以下、本発明の実態形態について添付図面を参照して説明する。尚、各図面は、構成の理解を容易にするため、実寸比ではなく部分的に拡大又は縮小されている。
図1は、本発明の一実施形態に係るタッチパネルの平面図である。本実施形態に係るタッチパネル1は、静電容量式のタッチパネルであり、透明な基板2と、基板2の一方面S側に設けられた複数の帯状の第1電極3及び複数の帯状の第2電極4とを備えている。第1電極3は、基板2の一方面Sの第1方向(X方向)に所定間隔をあけて配置されており、隣接する第1電極3間は電気的に絶縁されている。一方、第2電極4は、基板2の一方面Sの前記第1方向(X方向)と垂直に交差する第2方向(Y方向)に所定間隔をあけて配置されており、隣接する第2電極4間が電気的に絶縁されている。各第1電極3及び各第2電極4には、線状の配線5,6が接続されている。各配線5,6は、基板2の端縁まで延びるように配線されており、その先端部が静電容量検出回路(図示省略)に接続されている。各配線5,6は、その距離や幅を考慮して低抵抗とすることが好ましい。なお、本実施形態では、第1方向(X方向)及び第2方向(Y方向)は直交しているが、直交しない角度で基板2の一方面S上に第1電極3及び第2電極4を配置することもできる。
基板2は、誘電体基板である。基板2の材料は、ガラス、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンナフタレートなどの透明材料が挙げられる。ガラスであれば、厚みは0.1mm〜3mm程度が好ましく、プラスチックフィルムであれば厚みは10μm〜2000μm程度が好ましい。また、これらの材料を多層に積層してもよい。また、基板2の表面に、表面保護のためのハードコート層や、反射防止層、防汚層、アンチブロッキング層、受容層などの機能層を設けたり、プラズマ処理などを施したりしてもよい。
第1電極3は、図1及び図4〜図9に示すように、複数の第1電極セル30と、隣接する第1電極セル30を電気的に接続する第1電極接続線31とを備えている。複数の第1電極セル30は、基板2の一方面Sの第2方向(Y方向)に等間隔で配置されている。第1電極セル30は、複数の導体線Lを交差させることによって網目状に形成されており、複数の格子Kが組み合わされた形状である。格子Kは、図示例では正方形状である。第1電極セル30を構成する導体線Lの線幅は、例えば1μm〜50μm程度であり、好ましくは1μm〜25μm程度であり、より好ましくは1μm〜10μm程度である。また、各導体線Lのピッチは、例えば100μm〜1000μm程度である。また、導体線Lの厚みは、例えば0.01μm〜10μm程度であり、さらに好ましくは0.05μm〜5μm程度である。このような寸法を有する第1電極セル30は、各導体線Lの線幅が非常に細く、線幅に対するピッチが十分に大きいため目立ちにくい。
第1電極接続線31は、図4〜図9に示すように、隣り合う第1電極セル30の導体線L同士を互いに接続する線状のものであり、隣り合う第1電極セル30の間に1本又は複数本設けられていている。第1電極接続線31の形状は、詳細は後述するが、一方向に延びる直線的な形状であってもよいし、1箇所又は複数箇所で屈曲した形状(L字状、ジグザグ状など)であってもよく、第1電極接続線31は、直線的に延びている場合には、第1電極セル30の導体線Lと同方向(U方向又はV方向)を向いており、屈曲している場合には、それぞれ直線的に延びる構成部分31Aが導体線Lと同方向(U方向又はV方向)を向いている。また、第1電極接続線31(第1電極接続線31が屈曲している場合には、直線的に延びる各構成部分31A)は、第1電極セル30のいずれかの導体線Lの延長上に位置して、当該導体線Lと1本の線状となっていることが好ましい。第1電極接続線31は、第1電極セル30の導体線Lと同じ材料で形成されても異なる材料で形成されてもよいが、導体線Lと同じ材料で一体に基板2の一方面S上に形成するのが、効率よく形成することが可能であるので好ましい。
基板2の一方面S上には、図2〜図9に示すように、少なくとも第1電極接続線31を覆うようにして、絶縁層7が設けられている。絶縁層7は、透明でかつ導電性がない絶縁材料であれば、材料は特に限定されないが、その下方及び上方に配置される第1電極接続線31及び接続部材8との密着性が高いものが望まれ、エポキシ系やアクリル系などの一般的な熱硬化性透明樹脂や光硬化性透明樹脂などを用いることができる。このような透明樹脂を公知のコーティング法やスクリーン印刷法、インクジェット印刷法などで第1電極接続線31を覆うように塗布することで、絶縁層7を形成できる。また、酸化珪素などの無機絶縁材料を用いて、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法などのPVD法や、CVD法などにより、絶縁層7を形成することができる。その他、ポリエステル系樹脂の透明性フィルムなどを少なくとも第1電極接続線31を覆うように基板2の一方面S上に貼り付けることによっても、絶縁層7を形成できる。絶縁層7の厚みは、特に限定されるものではなく、例えば0.1μm〜50μm程度とすることができる。また、絶縁層7の外形は、図4や図5などでは矩形状であるが、これに限られることなく、例えば図6に示すような六角形状など、種々の形状とすることができる。
第2電極4は、図1に示すように、複数の第2電極セル40と、隣接する第2電極セル40間を電気的に接続する接続部材41とを備えている。複数の第2電極セル40は、基板2の一方面Sの第1方向(X方向)に等間隔で配置されている。第2電極セル40は、基板2の一方面S上に設けられた第1電極セル30と重ならないように第1電極セル30が存在しない空いたスペースを埋めるように設けられており、基板2の一方面Sは、複数の第1電極セル30及び複数の第2電極セル40により敷き詰められた状態となる。第2電極セル40も、第1電極セル30と同様に、複数の導体線Lを交差させることによって網目状に形成されており、導体線Lが第1電極セル30を構成する導体線L及び第1電極接続線31とは接続されないように隙間をあけて配線されている。この第2電極セル40を構成する導体線Lは、第1電極セル30を構成する導体線Lと同じ線幅、ピッチ、厚みであり、第2電極セル40は、第1電極セル30と同形状の格子Kが複数組み合わされた形状である。なお、第2電極セル40は、第1電極セル30と同じ材料で形成されても異なる材料で形成されてもよいが、第1電極セル30と同じ材料で一体に基板2の一方面S上に形成するのが、効率よく形成することが可能であるので好ましい。
接続部材8は、図2〜図9に示すように、絶縁層7の上面を横切るようにして、隣り合う第2電極セル40の導体線L同士を電気的に接続している。よって、第1電極接続線30と接続部材8とは、間に絶縁層7が配置されることで、基板2の一方面S上で交差する際に互いに絶縁されている。本実施形態の接続部材8は、線状の第2電極接続線41により構成され、第2電極接続線41が隣り合う第2電極セル40の間に1本又は複数本設けられていている。第2電極接続線41の形状は、詳細は後述するが、一方向に延びる直線的な形状であってもよいし、屈曲した形状(L字状、ジグザグ状など)であってもよく、第2電極接続線41は、直線的に延びている場合には、第2電極セル40の各導体線Lと同方向(U方向又はV方向)を向いており、屈曲している場合には、それぞれ直線的に延びる構成部分41Aが各導体線Lと同方向(U方向又はV方向)を向いている。また、第2電極接続線41(第2電極接続線41が屈曲している場合には、直線的に延びる各構成部分41A)は、第2電極セル40のいずれかの導体線Lの延長上に位置して、当該導体線Lと1本の線状となっていることが好ましい。第2電極接続線41は、第1電極セル30及び第2電極セル40の導体線Lと同じ材料で形成されていても異なる材料で形成されていてもよい。
第1電極接続線31及び第2電極接続線41は、図4〜図9に示すように、タッチパネル1を上方又は下方から見た場合に、交差することによりによって網目を形成している。第1電極接続線31は絶縁層7の下方に、第2電極接続線41は絶縁層7の上方に、それぞれ形成されているために互いに非接触であるが、見かけ上、網目状となるように配線されている。
例えば、図4の例では、L字状でありかつ左右対称な2本の第1電極接続線31が上下対称に配線され、隣り合う第1電極セル30の導体線L同士を接続している(図4(A))。各第1電極接続線31は、それぞれ直線的に延びる構成部分31Aが第1電極セル30及び第2電極セル40の導体線Lと同方向(U方向又はV方向)を向くとともに、第1電極セル30及び第2電極セル40の特定の導体線Lの延長上に位置して、当該導体線Lと1本の線状となっている。なお、第1電極接続線31と第2電極セル40の導体線Lとの間には隙間が形成されている。図示例では、説明のため隙間を大きめに描写しているが、隙間を小さくする方が視認性の観点からは好ましい。また、第1電極セル30は、隣り合う第1電極セル30と接続される側の頂点部分については導体線Lの交点が形成されておらず、断絶部となっているが、交点が形成されるように導体線L同士を繋いでもよい。
そして、各第1電極接続線31上に絶縁層7を設けた後(図4(B))、絶縁層7上にL字状でありかつ上下対称な2本の第2電極接続線41が左右対称に配線され、隣り合う第2電極セル40の導体線L同士を接続している(図4(C))。各第2電極接続線41も同様に、それぞれ直線的に延びる構成部分41Aが第1電極セル30及び第2電極セル40の導体線Lと同方向(U方向又はV方向)を向くとともに、第1電極セル30及び第2電極セル40の特定の導体線Lの延長上に位置して、当該導体線Lと1本の線状となっている。なお、第2電極接続線41は、見かけ上、第1電極セル30の導体線Lと接続されているが、間に絶縁層7が介在されているため、電気的には絶縁されている。また、第1電極接続線31と第2電極セル40の導体線Lと同様に、第2電極接続線41と第1電極セル30の導体線Lとの間に隙間Oを形成するようにしてもよい。第1電極接続線31及び第2電極接続線41の各線幅は同じであるが、図4(C)においては、第2電極接続線41を容易に判別できるように、第2電極接続線41の線幅を太くして図示してある。
これら第1電極接続線31及び第2電極接続線41の組み合わせによって、図4(C)に示すように、複数の格子Kからなる網目が形成される。すなわち、第1電極接続線31と第2電極接続線41とが交差した部分に、周りの第1電極セル30及び第2電極セル40を構成する格子Kと同形状の複数の格子Kが配置される。よって、基板2の一方面S上に、第1電極セル30、第2電極セル40、第1電極接続線31及び第2電極接続線41により見た目が全体的に均一な網目状パターンが形成されるので、第1電極3及び第2電極4のパターン形状を目立ちにくくすることができ、タッチパネル1の視認性を向上させることができる。
さらに、第1電極セル30の4つの辺部のうち、第2電極セル40と対向する辺部に、対向する第2電極セル40に向けて導体線Lが張り出す張出部32が複数設けられているとともに、第2電極セル30の4つの辺部のうち、第1電極セル30と対向する辺部にも、対向する第1電極セル30に向けて導体線Lが張り出す張出部42が複数設けられている。これらの張出部32,42は、互い違いとなるよう交互に設けられるのが好ましいが、必ずしも互い違いである必要はない。これらの張出部32,42が、第1電極セル30及び第2電極セル40の導体線Lと格子Kを形成することで、第1電極セル30と第2電極セル40との隙間が格子Kで敷き詰められる。よって、第1電極セル30及び第2電極セル40の境界が目立たなくなるので、タッチパネル1の視認性をより一層向上させることができる。
次に、図5の例では、L字状でありかつ左右非対称な2本の第1電極接続線31が上下対称に配線され、隣り合う第1電極セル30の導体線L同士を接続している(図5(A))。そして、絶縁層7を介して各第1電極接続線31上に、L字状でありかつ上下対称な1本の第2電極接続線41が配線され、隣り合う第2電極セル40の導体線L同士を接続している(図5(B),(C))。なお、図5においても、第2電極接続線41の線幅を太くして図示してある。これら第1電極接続線31及び第2電極接続線41の組み合わせによって、第1電極接続線31と第2電極接続線41とが交差した部分に複数の格子Kからなる網目が形成され、周りの第1電極セル30及び第2電極セル40を構成する格子Kとともに一様な網目状パターンを形成することで、タッチパネル1の視認性を向上している(図5(C))。また、図5の例においても、タッチパネル1の視認性をより一層向上させるために、張出部32,42が、第1電極セル30及び第2電極セル40のそれぞれ対向する辺部に形成されている。
次に、図6の例では、L字状でありかつ左右非対称な2本の第1電極接続線31が上下対称に配線され、隣り合う第1電極セル30の導体線L同士を接続している(図6(A))。そして、絶縁層7を介して各第1電極接続線31上に、L字状でありかつ上下対称な2本の第2電極接続線41が左右に並列に配線され、隣り合う第2電極セル40の導体線L同士を接続している(図6(B),(C))。図6においても、第2電極接続線41の線幅を太くして図示してある。これら第1電極接続線31及び第2電極接続線41の組み合わせによって、第1電極接続線31と第2電極接続線41とが交差した部分に、複数の格子Kからなる網目が形成され、周りの第1電極セル30及び第2電極セル40を構成する格子Kとともに一様な網目状パターンを形成することで、タッチパネル1の視認性を向上している(図6(C))。図6の例においても、タッチパネル1の視認性をより一層向上させるために、張出部32,42が、第1電極セル30及び第2電極セル40のそれぞれ対向する辺部に形成されている。なお、第1の電極セル30は、第2電極接続線41と重なるように配線される導体線Lが省かれるように形成されているが、第2電極接続線41と重なる導体線Lを省かずに形成してもよい。
次に、図7の例では、L字状でありかつ左右非対称な4本の第1電極接続線31が上下・左右対称に配線され、隣り合う第1電極セル30の導体線L同士を接続している(図7(A))。そして、絶縁層7を介して各第1電極接続線31上に、L字状でありかつ上下対称な2本の第2電極接続線41が左右対称に配線され、隣り合う第2電極セル40の導体線L同士を接続している(図7(B),(C))。図7においても、第2電極接続線41の線幅を太くして図示してある。これら第1電極接続線31及び第2電極接続線41の組み合わせによって、第1電極接続線31と第2電極接続線41とが交差した部分に、複数の格子Kからなる網目が形成され、周りの第1電極セル30及び第2電極セル40を構成する格子Kとともに一様な網目状パターンを形成することで、タッチパネル1の視認性を向上している(図7(C))。図7の例においても、タッチパネル1の視認性をより一層向上させるために、張出部32,42が、第1電極セル30及び第2電極セル40のそれぞれ対向する辺部に形成されている。なお、第1の電極セル30は、第2電極接続線41と重なるように配線される導体線Lが省かれるように形成されているが、第2電極接続線41と重なる導体線Lを省かずに形成してもよい。
次に、図8の例では、M字状のジグザグに屈曲した2本の第1電極接続線31が上下対称に配線され、隣り合う第1電極セル30の導体線L同士を接続している(図8(A))。そして、絶縁層7を介して各第1電極接続線31上に、L字状でありかつ上下対称な2本の第2電極接続線41が左右対称に配線され、隣り合う第2電極セル40の導体線L同士を接続している(図8(B),(C))。図8においても、第2電極接続線41の線幅を太くして図示してある。さらに、絶縁層7上には、隣り合う第2電極セル40の導体線L同士を電気的に接続しない補助線9が第2電極接続線41とともに1本又は複数本(図示例では4本)設けられている。補助線9は、第1電極セル30及び第2電極セル40の導体線Lと同方向(U方向又はV方向)を向くとともに、タッチパネル1を上方または下方から見た場合に、第1電極セル30及び第2電極セル40の特定の導体線Lや第1電極接続線31とで、見かけ上、1本の線状となっている。この図8の例では、上記のように、補助線9を設けることで、第1電極接続線31、第2電極接続線41及び補助線9によって、複数の格子Kが組み合わされた網目が形成されている(図8(C))。これにより、周りの第1電極セル30及び第2電極セル40を構成する格子Kとともに、基板2の一方面S上に一様な網目状パターンを形成することで、タッチパネル1の視認性を向上している。図8の例においても、タッチパネル1の視認性をより一層向上させるために、張出部32,42が、第1電極セル30及び第2電極セル40のそれぞれ対向する辺部に形成されている。なお、第1の電極セル30は、第2電極接続線41や補助線9と重なるように配線される導体線Lが省かれるように形成されていて、完全な菱形状ではなく、隣り合う第1電極セル30と接続される側の頂点部分について、L字をなす3個の格子Lが取り外されたような形状となっているが、第2電極接続線41や補助線9と重なる導体線Lを省かずに形成してもよい。
次に、図9の例では、L字状でありかつ左右対称な2本の第1電極接続線31が上下対称に配線され、隣り合う第1電極セル30の導体線L同士を接続している(図9(A))。なお、第1の電極セル30は、後述する第2電極接続線41と重なるように配線される導体線Lが省かれるように形成されていて、完全な菱形状ではなく、隣り合う第1電極セル30と接続される側の頂点部分について、2個の格子Lが取り外されたような形状となっている。一方で、第2電極セル40は、1本の導体線Lの先端が、上記した第1電極セル30の格子Kが取り外された領域まで延びている。そして、絶縁層7を介して各第1電極接続線31上に、直線的に延びる2本の第2電極接続線41がXをなすように配線され、隣り合う第2電極セル40の導体線L同士を接続している(図9(B),(C))。図9においても、第2電極接続線41の線幅を太くして図示してある。これら第1電極接続線31及び第2電極接続線41の組み合わせによって、第1電極接続線31と第2電極接続線41とが交差した部分に、複数の格子Kからなる網目が形成され、周りの第1電極セル30及び第2電極セル40を構成する格子Kとともに一様な網目状パターンを形成することで、タッチパネル1の視認性を向上している(図9(C))。図9の例においても、タッチパネル1の視認性をより一層向上させるために、張出部32,42が、第1電極セル30及び第2電極セル40のそれぞれ対向する辺部に形成されている。なお、第1の電極セル30は、上記した第2電極接続線41と重なる導体線Lを省かずに形成してもよい。
上記の例のように、第1電極接続線31及び第2電極接続線41の形状、本数を適宜設定して、見かけ上、第1電極接続線31及び第2電極接続線41により網目を形成する。そして、この網目を第1電極セル30及び第2電極セル40の網目と一様に並べることにより、基板2の一方面Sに見た目が全体的に均一な網目状パターンを形成できる。その結果、第1電極3及び第2電極4のパターン形状を目立ちにくくすることができるので、タッチパネル1の視認性を向上させることが可能となる。なお、上記した説明及び以下の説明において、網目状とは、導体線Lや第1電極接続線31、第2電極接続線41などの線と線とが見かけ上も含め交点を有するように交差していることに加えて、線が交わる部分において少なくとも一方の線が断続しているために線と線とが交点を有さないが交差していることも含んでいる。
次に、上記構成のタッチパネル1を製造する方法を説明する。まず、基板2の一方面S上に、第1電極セル30及び第2電極セル40の導体線Lと第1電極接続線31とを形成する。基板2は、必要に応じて所望の形状にカットする。導体線L及び第1電極接続線31の形成方法は、(1)銀、金、白金、パラジウム、銅、カーボンなどの極微細な導電性粒子を含む導電性ペーストを基板2上にスクリーン印刷する方法(特開2007−142334等参照)、(2)銅などの金属箔を基板2上に積層した後、金属箔上にレジストパターンを形成し、金属箔をエッチングする方法(特開2008−32884等参照)が挙げられる。また、導体線L及び第1電極接続線31の形成方法は、上記(1)、(2)の形成方法に限定されず、上記(1)以外のグラビア印刷やインクジェット印刷などの公知の印刷法や、上記(2)以外のフォトリソグラフィを使用してもよい。また、配線5,6は、導体線L及び第1電極接続線31と一緒に上記した方法で形成してもよいし、導体線L及び第1電極接続線31を形成した後、配線印刷用の導電インクを例えばスクリーン印刷などの公知の印刷方法を用いて基板2の一方面S上に印刷することで形成してもよい。
そして、絶縁層7を、基板2の一方面Sの少なくとも第1電極接続線31を覆うようにして設けた後、絶縁層7の上面に、第2電極接続線41を、銀、金、白金、パラジウム、銅、カーボンなどの極微細な導電性粒子を含む導電性ペーストを例えばスクリーン印刷などの公知の印刷方法を用いて印刷することで形成する。
以上の構成を備えるタッチパネル1において、タッチ位置の検出方法は、従来の静電容量式のタッチパネルと同様であり、第1電極セル30及び第2電極セル40の接触位置において人体の静電容量に基づく電圧等の変化を検出することによって、接触位置の座標が演算される。
本実施形態に係るタッチパネル1においては、複数の導体線Lを交差させることで網目状の電極3,4を形成しているので、基板2上に形成される電極パターンの低抵抗化を図ることができるとともに、電極パターンの視認性も向上させることができるので、静電容量式のタッチパネルとして好適に用いることができる。また、第1電極3及び第2電極4のいずれもが基板2の一方面Sに形成されているので、タッチパネル1の構造の簡略化と全体的な厚み・重さの軽減を実現できるという優位性を有する。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の具体的な態様は上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態においては、図4の例において示すように、2本の第2電極接続線41は、接続する第2電極セル40の導体線Lの延長上に位置して、当該導体線Lと1本の線状となるように配置されているが、隣り合う第2電極セル40の導体線L同士が接続され、また、絶縁層7上に設けられて第1電極セル30の導体線Lや第1電極接続線31と絶縁されていれば、図10に示すように、多少、ずれた位置に配置されたとしても動作上の問題は生じない。また、第2電極接続線41は第2電極セル40の各導体線Lと同方向(U方向又はV方向)が好ましいが、動作上又は視認性に問題ない範囲で角度が多少ずれていても構わない。
また、上記実施形態では、第1電極セル30及び第2電極セル40の導体線L、第1電極接続線31及び第2電極接続線41の線幅が同じに形成されているが、第1電極接続線31や第2電極接続線41の線幅を、第1電極セル30及び第2電極セル40の導体線Lの線幅と異なるように形成されてもよい。例えば、第2電極接続線41の線幅が第1電極セル30及び第2電極セル40の導体線Lの線幅よりも太く形成される場合に、第1電極接続線31の線幅を導体線Lの線幅よりも細くしてもよい。この実施形態によると、電極パターンの電極セル部分の網目領域と、電極セル3,4を接続する接続部分の網目領域との光線透過率の差を小さくすることができるので、より一層、電極のパターン形状を目立ちにくくすることができ、タッチパネル1の視認性を向上させることができる。なお、第2電極接続線41の線幅が第1電極セル30及び第2電極セル40の導体線Lの線幅よりも細く形成される場合は、第1電極接続線31の線幅を導体線Lの線幅よりも細くすることで、上記と同様に視認性を向上することができる。
また、例えば、第2電極接続線41の線幅が第1電極セル30及び第2電極セル40の導体線Lの線幅よりも太く(細く)形成された場合において、第1電極セル30及び第2電極セル40の導体線Lの少なくとも一部(所々)の線幅を、第2電極接続線の線幅と同じく太くするようにしてもよい。これにより、線幅が太く(細く)なった箇所が均一に配置されると、電極パターンの電極セル部分の網目領域と、電極セル3,4を接続する接続部分の網目領域との光線透過率の差を小さくしたうえで、見た目もより均一にできるため、より一層、電極のパターン形状を目立ちにくくすることができ、タッチパネル1の視認性を向上させることができる。第1電極接続線31の線幅が導体線Lの線幅と異なる場合も同様の構成が可能である。なお、第1電極セル30の導体線Lの線幅と第2電極セル40の導体線Lの線幅は厳密に同一でなくてもよいが、見た目の均一性の観点から略等しい線幅とすることが望ましい。
また、図2〜図9の例においては、基板2の一方面S上に、第1電極セル30及び第2電極セル40の導体線Lと第1電極接続線31とを形成した後、絶縁層7、第2電極接続線41を順次設けているが、基板2の一方面S上に、第2電極接続線41を設けた後、第2電極接続線41上に絶縁層7を設け、絶縁層7上に第1電極接続線31が位置するとともに、第2電極接続線41により隣り合う第2電極セル40の導体線L同士が電気的に接続されるように、第1電極セル30及び第2電極セル40の導体線Lと第1電極接続線31とを形成するようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、接続部材8を線状の第2電極接続線41で構成しているが、図11に示すように、透明導電膜80で構成してもよい。図11の例では、第1電極セル30及び第2電極セル40の導体線Lと第1電極接続線31とが形成された基板2に対して(図11(A))、絶縁層7を、基板2の一方面Sの少なくとも第1電極接続線31を覆うようにして設けた後(図11(B))、絶縁層7上を横切るようにして絶縁層7よりも長さの長い透明導電膜80を設けて、透明導電膜80により隣り合う第2電極セル40の導体線L同士を電気的に接続している(図11(C))。
透明導電膜80の材料としては、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化インジウム、アンチモン添加酸化錫、フッ素添加酸化錫、アルミニウム添加酸化亜鉛、カリウム添加酸化亜鉛、シリコン添加酸化亜鉛や、酸化亜鉛−酸化錫系、酸化インジウム−酸化錫系、酸化亜鉛−酸化インジウム−酸化マグネシウム系、酸化亜鉛、スズ酸化膜などの透明導電材料、あるいは、スズ、銅、アルミニウム、ニッケル、クロムなどの金属材料、金属酸化物材料を例示することができ、これら2種以上を複合して形成してもよい。また、酸やアルカリに弱い金属単体でも導電材料として使用できる。また、カーボンナノチューブやカーボンナノホーン、カーボンナノワイヤ、カーボンナノファイバー、グラファイトフィブリルなどの極細導電炭素繊維や銀素材からなる極細導電繊維をバインダーとして機能するポリマー材料に分散させた複合材を透明導電膜80の材料として用いることもできる。ここでポリマー材料としては、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリフェニレンビニレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリp−フェニレン、ポリ複素環ビニレン、PEDOT:poly(3,4-ethylenedioxythiophene)などの導電性ポリマーを採用することができる。また、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、アクリル、ポリイミド、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、脂肪族環状ポリオレフィン、ノルボルネン系の熱可塑性透明樹脂などの非導電性ポリマーを採用することができる。透明導電膜80の形成方法は、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法などのPVD法や、CVD法、塗工法、印刷法などを例示することができる。また、透明導電膜80の厚みは、材料や形成方法により異なるが、塗工法や印刷法などを用いた場合は50μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。
図11の例のように、透明導電膜80を用いて隣り合う第2電極セル40の導体線L同士を電気的に接続する場合には、隣り合う第1電極セル30の導体線L同士を電気的に接続する複数の第1電極接続線31が、複数の格子Kが組み合わされた網目を形成するように配線されるのが好ましい。これにより、タッチパネル1を上方又は下方から見た場合に、透明導電膜80が透明であるので、図11(C)に示すように、第1電極接続線31と透明導電膜80とが交差した部分に、周りの第1電極セル30及び第2電極セル40を構成する格子Kと同形状の複数の格子Kが配置されるため、基板2の一方面S上に、第1電極セル30、第2電極セル40及び第1電極接続線31により見た目が全体的に均一なメッシュパターンが形成される。よって、第1電極3及び第2電極4のパターン形状を目立ちにくくすることができ、タッチパネル1の視認性を向上させることができる。
なお、第1電極接続線31の網目パターンは、図11(C)に示すように、第1電極接続線31と第2電極セル40の導体線Lとの隙間がまとまって現れるように形成すると、隙間が集中して目立ってしまい、タッチパネル1の視認性の悪影響を与える。よって、第1電極接続線31と第2電極セル40の導体線Lとの隙間が集中せず、より目立ちにくいように多少ばらけて現れるように第1電極接続線31の網目パターンを形成することが好ましい。
また、図11の例においては、基板2の一方面S上に、第1電極セル30及び第2電極セル40の導体線Lと第1電極接続線31とを形成した後(図11(A))、絶縁層7及び透明導電膜80を設けているが(図11(B),(C))、基板2の一方面S上に、透明導電膜80を設けた後、透明導電膜80上に絶縁層7を設け、絶縁層7上に第1電極接続線31が位置するとともに、透明導電膜80により隣り合う第2電極セル40の導体線L同士が電気的に接続されるように、第1電極セル30及び第2電極セル40の導体線Lと第1電極接続線31とを形成するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、絶縁層7を、基板2の一方面Sの少なくとも第1電極接続線31を覆うようにして設けているが、図12に示すように、基板2の一方面Sのほぼ全面に絶縁層7を設けるようにしてもよい。図12の例では、基板2の一方面S上に、第1電極セル30及び第2電極セル40の導体線Lと第1電極接続線31とを形成した後(図12(A))、絶縁層7を第1電極接続線31を含めた基板2の一方面Sのほぼ全面を覆うようにして設ける。ただし、この際には、第2電極セル40のX方向両側の一部分、つまり、隣り合う第2電極セル40と接続される側の一部分については導体線Lが露出するように、絶縁層7に開口Hを設ける(図12(B)。そして、絶縁層7上に透明導電膜80を配備し、開口Hを介して透明導電膜80により隣り合う第2電極セル40の導体線L同士を電気的に接続する。この実施形態によると、基板2の一方面Sのほぼ全面に透明な絶縁層7を形成することで、タッチパネル1の色目の均一化を図ることができるので、より視認性が向上したタッチパネル1を形成することができる。なお、図12の例では、透明導電膜80により、隣り合う第2電極セル40の導体線L同士を電気的に接続しているが、第2電極接続線41により第2電極セル40同士を接続してもよい。
また、上記実施形態では、第1電極セル30及び第2電極セル40の導体線L、第1電極接続線31及び第2電極接続線41は真っ直ぐな直線状であるが、図14に示すように、波のような形の波形状や、図15に示すように、のこぎりの歯のような形の鋸歯状など、種々の形状とすることができる。
また、上記実施形態では、第1電極セル30及び第2電極セル40の外形は、菱形状であるが、第1電極セル30と第2電極セル40との間で絶縁性が確保され、指などの接触ポイントを検出可能である限り、菱形状に限られることなく任意の形状とすることができる。
また、上記実施形態において、各電極3,4の両端部間での導通性を阻害しない範囲で、各電極セル30,40を構成する複数の導体線Lに対して、図13に示すように、導体線Lを切断する切断部33,43を部分的に設けるように構成してもよい。上記したように、第1電極接続線31と第2電極セル40の導体線Lとの間には隙間が形成されているため、各電極セル30,40にこのような切断部33,43を設けることにより、電極パターン全体に対して一様に導体線Lが途切れる断続部(空白部)が発生する。よって、光線透過率が向上するとともに、電極パターンの見た目をより均一にできるので、視認性をさらに向上させることができる。
また、第1電極セル30と第2電極セル40との隙間に、電極パターンとは電気的に独立したダミーパターンを形成することで、第1電極3及び第2電極4のパターン形状を目立ちにくくしてもよい。ダミーパターンは、第1電極接続線31や第1電極セル30及び第2電極セル40の導体線Lと略等しい線幅の導体線などで、均一な網目状となるように第1電極セル30と第2電極セル40との隙間を補完するパターンを形成する。
本発明のタッチパネルは、液晶ディスプレイや有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、電子発光(EL)ディスプレイなどの表示装置の表示面上にタッチパネルを装着したタッチパネル付きの表示装置として用いることができる。
また、タッチパネル1の基板2として、光学等方性基板や光学位相性基板を用いることで、表示装置の構成内にタッチパネル1を備えた、所謂オンセルタイプのタッチパネル付きの表示装置とすることができる。例えば、オンセルタイプのタッチパネル付きの表示装置10は、図16に示すように、バックライト11と、液晶ディスプレイ12と、タッチパネル1とを備えた構成のものを例示できる。液晶ディスプレイパネル12は、通常、偏光板13と、TFT素子基板14と、液晶層15と、カラーフィルタ基板16と、偏向板17とが積層された構成であるが、タッチパネル1は液晶ディスプレイパネル12の表面側(図示例では上側)の偏光板17の下側に配置されて構成される。液晶ディスプレイパネル12の背面側(図示例では下側)の偏光板13にバックライト11が装着されている。偏光板17の表面には、保護するためのカバーフィルム18が装着されている。
上記した光学等方性基板や光学位相性基板は、リタデーション値が0nm〜800nmであることが好ましく、0nm〜600nmであることがさらに好ましい。リタデーションは、例えば王子計測機器株式会社製の位相差測定装置KOBRA−WRなどを用いて測定できる。また上記した光学等方性基板や光学位相性基板の材料としては、脂肪族環状ポリオレフィン、ノルボルネン系の熱可塑性透明樹脂などが例示できる。
上記した表示装置は、携帯電話、スマートフォン、タブレットデバイス、ノート型パソコン、ディスプレイ一体型パソコン、カーナビゲーションシステム、ゲーム機器、POS端末などのタッチ操作する電子機器に好適に用いられる。