JP2015117777A - プレッシャプレートおよびこれを用いたブレーキパッド、並びにこれらの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
ブラスト処理により、前記プレッシャプレートの少なくとも前記被接着面を粗面化するとともに、該被接着面に存在する酸化皮膜を除去する粗面化工程と、
前記粗面化工程後に、少なくとも前記被接着面に酸化皮膜が形成されないように、前記プレッシャプレートに乾燥および/または洗浄を施す、乾燥および/または洗浄工程と、
前記乾燥工程後に、少なくとも前記被接着面に酸化皮膜が存在しない状態で、該プレッシャプレートをガス軟窒化処理する熱処理工程と、
を備えることを特徴とする。
本発明のプレッシャプレートおよびブレーキパッドの製造方法は、ブラスト処理、好ましくはウェットブラスト処理により、プレッシャプレートの少なくとも被接着面を粗面化するとともに、この被接着面に存在する酸化皮膜を除去した後、酸化皮膜が形成されないように、被接着面を乾燥および/または洗浄し、プレッシャプレートの被接着面に酸化皮膜が存在しない状態でガス軟窒化処理することを特徴とする。なお、本発明において、被接着面以外の表面が同時に処理されることは妨げられない。
本発明のブレーキパッドを構成するプレッシャプレートは、板金プレス加工などにより成形されるものである。このプレッシャプレートの素材は、特に限定されることはなく、公知の鉄製金属材料を使用することができる。たとえば、SAPH400やSAPH440などの自動車用熱間圧延板や、SPFH590などの自動車用加工性熱間圧延高張力鋼板を使用することができる。
本発明では、鉄系金属製のプレッシャプレートの表面を粗面化し、その表面に存在する酸化皮膜を除去する手段として、ブラスト処理、より具体的には、ウェットブラストとドライブラストを採用する。このような粗面化処理により、プレッシャプレートの表面に次述するような算術平均粗さRaおよび十点平均粗さRzを備える凹凸構造を形成することができる。
研磨材としては、球形粒子状のショットやビーズ、または、角のある非球形粒子状のグリッドなどから適宜選択することができるが、粒子が硬く、加工力が高いグリッドを使用することが好ましい。特に、ホワイトアルミナ、褐色アルミナ、黒色炭化ケイ素、緑色炭化ケイ素などのコランダムから選択される少なくとも1種のグリッドを使用することがより好ましく、これらの中でも、残留不純物の少ないホワイトアルミナを使用することがさらに好ましい。
プレッシャプレートに研磨材を投射するためのエア圧は、好ましくは0.1MPa〜0.5MPaの範囲、より好ましくは0.2MPa〜0.45MPaの範囲、さらに好ましくは0.3MPa〜0.4MPaの範囲とする。エア圧が0.1MPa未満では、プレッシャプレートの表面を十分に粗面化することができない場合がある。一方、0.5MPaを超えると、ブラスト処理によりプレッシャプレートの表面を粗面化し、凹凸構造を形成しても、そのエッジが丸まってしまい、十分なアンカー効果を発揮することができなくなる場合がある。また、ブラスト装置自体が研磨され、著しい場合には装置内壁に穴が開いてしまう場合がある。
ブラスト処理の処理時間は、好ましくは10秒〜600秒の範囲、より好ましくは15秒〜450秒の範囲、さらに好ましくは20秒〜300秒の範囲に設定する。処理時間が10秒未満では、プレッシャプレートの表面を十分に粗面化することができない場合がある。一方、600秒を超えても、それ以上の効果を得ることができないばかりか、ブラスト処理により形成された凹凸構造のエッジが丸まってしまい、十分なアンカー効果を発揮することができなくなる場合がある。
ウェットブラストにより粗面化処理をする場合には、上述したグリッドのグリッド濃度(スラリー濃度)を、好ましくは5質量%〜30質量%の範囲、より好ましくは10質量%〜25質量%の範囲、さらに好ましくは15質量%〜20質量%の範囲とする。グリッド濃度が5質量%未満では、プレッシャプレートの表面を十分に粗面化することができない場合がある。一方、30質量%を超えると、ウェットブラスト装置にグリッドが詰まってしまう場合がある。
同様に、ウェットブラストにより粗面化処理をする場合には、処理液として、水道水、あるいは、トップアルクリーン(奥野製薬工業株式会社製)やケミクリーナ(日本シー・ビー・ケミカル株式会社製)などのアルカリ水溶液を使用することができる。
ウェットブラストにより粗面化処理した場合、プレッシャプレートの表面を乾燥するための手段として、その被接着面を含む表面の酸化を防止しつつ、乾燥することができる手段を用いる必要がある。このような手段としては、たとえば、真空乾燥、圧縮空気乾燥、熱風乾燥などを挙げることができる。ただし、乾燥手段として熱風乾燥を採用する場合には、熱風の温度や吹付け量などによっては、被接着面に直ぐに酸化皮膜が形成されてしまう場合がある。これを防止するため、予め、次述する炭化水素系洗浄液などを用いて、表面に残存する水分を置換し、物理的に移動させた上で熱風乾燥することが好ましい。
本発明では、乾燥および/または洗浄工程の後、プレッシャプレートの表面(被接着面)に酸化皮膜が存在しない状態で、ガス軟窒化処理をすることが重要となる。ここで、酸化皮膜が存在しない状態とは、プレッシャプレートの表面(被接着面)に酸化皮膜が存在しないか、または、酸化皮膜が存在するとしても、その厚さがきわめて薄く、1μm未満の状態であることを意味する。このようにプレッシャプレートの表面の清浄度をきわめて高い状態でガス軟窒化処理をすることで、より多くの窒素を、より深い位置まで浸透させることが可能となる。この結果、酸化皮膜の存在下でガス軟窒化したものと比べて、窒素化合物層およびその最表部のポーラス層を厚く形成することができるため、摩擦材との接着において、その接着強度を向上させることができるばかりでなく、耐食性も優れたものとすることができる。
接着工程は、ガス軟窒化処理後のプレッシャプレートの表面のうち、摩擦材を接着する被接着面に接着剤を塗布し、この被接着面に、予備成形した摩擦材の接着面を当接させ、加熱圧縮成形することにより、プレッシャプレートと摩擦材とを接着する工程である。この工程におけるプレッシャプレートと摩擦材の接着方法やその条件は、基本的に従来技術と同様であるため、ここでの説明は省略し、以下、本発明の特徴部分を中心に説明する。
(1)プレッシャプレート
本発明のディスクブレーキを構成するプレッシャプレートは、鉄系金属製の母材の表面のうち、少なくとも被接着面に形成された窒素拡散層と、この窒素拡散層の上に形成され、算術平均粗さRaが1.5μm〜8.0μmの範囲にあり、かつ、十点平均粗さRzが10μm〜40μmの範囲にある窒素化合物層を備えており、この窒素化合物層の最表部には、厚さが3.0μm〜20.0μmの範囲にあるポーラス層が形成されていることを特徴とする。
窒素拡散層は、ガス軟窒化処理の際に、母材中に窒素が過飽和に固溶することにより形成される層である。この窒素拡散層の厚さは、好ましくは20μm〜500μmの範囲、より好ましくは50μm〜200μmの範囲に調整される。窒素拡散層の厚さが20μm未満では、十分な防錆効果を得ることができない場合がある。一方、500μmを超えると、プレッシャプレートの寸法精度が悪化したり、窒素拡散層の形成に要する時間が長時間となって、生産性が悪化したりするおそれがある。
窒素化合物層は、Fe3Nなどから構成される層であり、優れた耐食性を有する。特に、本発明では、プレッシャプレートの表面に酸化皮膜が存在しない状態でガス軟窒化処理を行っているため、酸化皮膜が存在する状態でガス軟窒化処理を行ったものと比べて、窒素化合物層を厚く形成することができ、耐食性も、より優れたものとすることができる。
ポーラス層は、ガス軟窒処理により母材中に侵入した窒素原子が、母材内部で再結合し、窒素ガスとして放出される際に形成される無数の細孔からなる層である。本発明では、上述したように、プレッシャプレートの表面に酸化皮膜が存在しない状態でガス軟窒化処理を行っており、酸化皮膜が存在する状態でガス軟窒化処理を行ったものと比べて、より多くの窒素を、より深い位置まで浸透させることができる。このため、より多くの細孔が、より深い位置まで形成されたポーラス層を形成することができる。なお、このようなポーラス層は、窒素化合物層の最表部に形成されるように調整されるので、このポーラス層を構成する細孔が、窒素化合物層を貫通して、窒素拡散層まで到達することはなく、このポーラス層または細孔の存在によって、耐食性が低下することはない。
本発明のブレーキパッドは、上述したプレッシャプレートと、このプレッシャプレートの被接着面に接着剤を介して接着された摩擦材とから構成される。このため、本発明のブレーキパッドでは、プレッシャプレートの被接着面に、摩擦材を高い接着強度で強固に接着することが可能となる。また、このプレッシャプレートの表面は優れた耐食性を備えるため、錆が発生することにより、接着強度が低下することを効果的に防止することができる。
初めに、厚さ1.6mm、幅25mm、長さ100mmのSAPH400製の鋼板に対して、ウェットブラスト処理やガス軟窒化処理などを行い、処理後の鋼板と銅寸法の鋼板(以下、「相手側鋼板」という)とを、粉体系接着剤または溶剤系接着剤を用いて接着することでサンプルを得て、その接着強度を確認する試験を行った。
鋼板を回転バレル式ウェットブラスト装置(マコー株式会社製、MSB−S5)に投入し、ホワイトアルミナ製のグリッド(グリッド番号:#60)とアルカリ洗浄液(日本シー・ビー・ケミカル株式会社製、ケミクリーナ576)とからなる、濃度が15体積%のスラリーを用いて、ウェットブラスト処理を行った。このときのエア圧は0.10MPa、処理時間は180秒、スラリーの温度は常温〜90℃、pH値は8〜11(液温25℃基準)であった。なお、ウェットブラスト処理後、鋼板の表面粗さを表面粗さ測定機(株式会社小坂研究所製、サーフコーダー SE2300/DR−250X)により測定した結果、十点平均粗さRzは5.5μmであり、算術平均粗さRaは1.0μmであった。
鋼板の表面を、表1に示す方法および条件で処理したこと以外は、実施例1−1と同様にしてサンプルを得た。これらのサンプルに対して、実施例1−1と同様にして引張試験を行い、常温および250℃での接着強度を評価した。これらの結果を表2に示す。
鋼板の表面を、表1に示す方法および条件で処理したこと以外は、実施例1−1と同様にしてサンプルを得た。これらのサンプルに対して、実施例1−1と同様にして引張試験を行い、常温および250℃での接着強度を評価した。これらの結果を表2に示す。
接着剤として、溶剤系接着剤(カシュー株式会社製、フェノールエポキシ系接着剤)を使用したこと以外は、実施例1−4と同様にしてサンプルを得た。このサンプルに対して、実施例1−1と同様にして引張試験を行い、常温および250℃での接着強度を評価した。この結果を表2に示す。
鋼板の表面を、表1に示す方法および条件で処理したこと以外は、実施例1−4と同様にしてサンプルを得た。このサンプルに対して、実施例1−1と同様にして引張試験を行い、常温および250℃での接着強度を評価した。これらの結果を表2に示す。
次に、摩擦材の接着面の面積が55cm2であるSAPH400製のプレッシャプレート素材に対して、ブラスト処理やガス軟窒化処理などを行い、これらの処理により得られたプレッシャプレートの被接着面に、粉体系接着剤または溶剤系接着を用いて、摩擦材を接着することでブレーキパッドを得て、その接着強度および耐食性を評価する試験を行った。
(1)粗面化工程
プレッシャプレート素材を回転バレル式ウェットブラスト装置(マコー株式会社製、MSB−S5)に投入し、ホワイトアルミナ製のグリッド(グリッド番号:#60、株式会社不二製作所製、フジランダム WA−60)とアルカリ洗浄液(日本シー・ビー・ケミカル株式会社、ケミクリーナ576)とからなる、濃度が15体積%のスラリーを用いて、ウェットブラスト処理を行った。このときのエア圧は0.1MPa、処理時間は180秒、スラリーの温度は30℃、pH値は10(液温25℃基準)であった。なお、ウェットブラスト処理後、プレッシャプレートの表面粗さを表面粗さ測定機により測定した結果、4つのプレッシャプレートの平均で、算術平均粗さRaは1.2μmであり、十点平均粗さRzは7.9μmであった。
ウェットブラスト処理後、回転バレル式ウェットブラスト装置からプレッシャプレートを取り出し、直ちに、30℃の圧縮空気を吹き付け、その表面を乾燥させた。さらに、炭化水素系洗浄液(日本グリース株式会社製、AYクリーン A−78L)を用いて、プレッシャプレートを減圧下で浸漬させることにより洗浄し、表面に残存する水分を完全に除去した。このとき、プレッシャプレートの表面近傍の断面を走査型電子顕微鏡およびX線回折装置(株式会社島津製作所製、XRD−6100)により観察した結果、その表面には、酸化皮膜が存在しないことが確認された。
乾燥および洗浄工程後、直ちに、プレッシャプレートをガス軟窒化炉(株式会社不二越製、EQ−6S)に投入し、処理温度を570℃、この処理温度における保持時間を100分として軟窒化処理を行った。このとき、窒素供給源として5.0m3/hのアンモニアを、炭素供給源として0.05L/hのメタノールを使用した。ガス軟窒化処理終了後、プレッシャプレートを60℃以下に冷却し、表面粗さを表面粗さ測定機により測定した結果、算術平均粗さRaは1.5μmであり、十点平均粗さRzは10.1μmであった。
繊維基材、結合材、充填材および潤滑材などからなる混合物を、常温下、20MPaで10秒間の加圧成形し、これらの混合物からなる成形物(予備成形体)を得た。一方、上述した方法と同様にして得られた3つのプレッシャプレートの表面のうち、予備成形体を接着する被接着面に、フェノール樹脂系粉体接着剤A(住友ベークライト株式会社製、スミライトレジン)を塗布した。その後、予備成形体をプレッシャプレートの被接着面に重ね合せた状態で熱成形型にセットし、150℃、40MPaで5分間の加熱加圧成形を行い、プレッシャプレートと予備成形体を接着した。
予備成形体を接着したプレッシャプレートに対して、250℃で3時間加熱する熱処理を行った後、仕上げ加工を行い、ブレーキパッドを得た。
上述のようにして得られた3つのブレーキパッドを用いて、(a)常温における接着強度、(b)300℃に加熱した場合の接着強度および(c)耐食性の評価を行った。
精密万能試験機オートグラフ(株式会社島津製作所製、AG−25TB)を用いて、ブレーキパッドに対してせん断試験(JIS D4422)を行い、常温(25℃)におけるプレッシャプレートと摩擦材の接着強度(平均値、最小値および最大値)を測定した。また、せん断後にプレッシャプレート上に残存する摩擦材の残存率(=残存した摩擦材の面積/被接着面の面積)を求め、残存率が100%であるものを「良(○)」と、80%以上100%未満のものを「可(△)」と、80%未満のものを「不良(×)」と評価した。
ブレーキパッドを300℃に加熱したこと以外は、(a)と同様にしてせん断試験を行い、300℃におけるプレッシャプレートと摩擦材の接着強度を測定するとともに、残存率を求め、その評価を行った。
ブレーキパッドの表面に、霧吹きを用いて5質量%の塩水2mLを噴霧し、温度50℃、湿度90%に保持した恒温恒湿層内に24時間放置するサイクルを、5サイクル行う塩水噴霧試験を行い、プレッシャプレートの表面に錆が発生しなかったものを「良(○)」と、錆が発生したものを「不良(×)」と評価した。これらの評価試験の結果を表5に示す。
プレッシャプレートの表面を、表3に示す方法および条件で処理したこと以外は、実施例2−1と同様にしてブレーキパッドを得た。これらのブレーキパッドについて、(a)常温における接着強度、(b)300℃における接着強度、および、(c)耐食性を、それぞれ評価した。プレッシャプレートの表面の性状(表面粗さ、各層の厚さ)を表4に、評価試験の結果を表5に示す。また、比較例2−1(ガス軟窒化のみ)および2−3(塩浴軟窒化)のプレッシャプレートの断面SEM像を図2および図3に示す。
圧縮空気式ドライブラスト装置(新日本工機サービス株式会社製、e―ブラスター)を用いて、ホワイトアルミナ製のグリッド(グリッド番号:#60、株式会社不二製作所製、フジランダム WA−60)を用いて、0.3MPaのエア圧、60秒の処理時間で、ドライブラスト処理をプレッシャプレートに施した。ドライブラスト処理後、プレッシャプレートの表面をアルカリ洗浄液(日本シー・ビー・ケミカル株式会社、ケミクリーナ576)により洗浄し、30℃の圧縮空気を吹き付け、その表面を乾燥させた。乾燥後、直ちに、炭化水素系洗浄液(日本グリース株式会社製、AYクリーン A−78L)を用いて、プレッシャプレートを減圧下で浸漬させることにより洗浄し、表面に残存する水分を完全に除去した。このとき、プレッシャプレートの表面近傍の断面を走査型電子顕微鏡およびX線回折装置により観察した結果、その表面には、酸化皮膜が存在しないことが確認された。
粗面化処理工程を、平置式ウェットブラスト装置(マコー株式会社製、ココット)を使用し、プレッシャプレートの表面を表3に示す方法および条件で処理したこと以外は、実施例2−1と同様にしてブレーキパッドを得た。これらのブレーキパッドについて、(a)常温における接着強度、(b)300℃における接着強度、および、(c)耐食性を、それぞれ評価した。プレッシャプレートの表面の性状(表面粗さ、各層の厚さ)を表4に、評価試験の結果を表5に示す。
接着剤として、表6および表7に示すものを使用したこと以外は、実施例2−15と同様にしてブレーキパッドを得た。これらのブレーキパッドについて、(a)常温における接着強度、(b)300℃における接着強度、および、(c)耐食性を、それぞれ評価した。これらの評価試験の結果を表7に示す。
接着剤として、表6および表7に示すものを使用したこと以外は、比較例2−1と同様にしてブレーキパッドを得た。このブレーキパッドについて、(a)常温における接着強度、(b)300℃における接着強度、および、(c)耐食性を、それぞれ評価した。これらの評価試験の結果を表7に示す。
接着剤として、表6および表7に示すものを使用したこと以外は、比較例2−2と同様にしてブレーキパッドを得た。このブレーキパッドについて、(a)常温における接着強度、(b)300℃における接着強度、および、(c)耐食性を、それぞれ評価した。これらの評価試験の結果を表7に示す。
接着剤として、表6および表7に示すものを使用したこと以外は、比較例2−3と同様にしてブレーキパッドを得た。このブレーキパッドについて、(a)常温における接着強度、(b)300℃における接着強度、および、(c)耐食性を、それぞれ評価した。これらの評価試験の結果を表7に示す。
2 プレッシャプレート
3 摩擦材
Claims (13)
- 摩擦材が接着される被接着面を備える、鉄系金属製のプレッシャプレートの製造方法であって、
ブラスト処理により、前記プレッシャプレートの少なくとも前記被接着面を粗面化するとともに、該被接着面に存在する酸化皮膜を除去する粗面化工程と、
前記粗面化工程後に、少なくとも前記被接着面に酸化皮膜が形成されないように、前記プレッシャプレートに乾燥および/または洗浄を施す、乾燥および/または洗浄工程と、
前記乾燥工程後に、少なくとも前記被接着面に酸化皮膜が存在しない状態で、該プレッシャプレートをガス軟窒化処理する熱処理工程と、
を備える、プレッシャプレートの製造方法。 - 前記熱処理工程後のプレッシャプレートの前記被接着面の算術平均粗さRaを1.5μm〜8.0μmの範囲とし、かつ、十点平均粗さRzを10μm〜40μmの範囲とする、請求項1に記載のプレッシャプレートの製造方法。
- 前記被接着面のうち、最も突出した部分と最も凹んだ部分の高低差を5μm〜50μmとする、請求項1または2に記載のプレッシャプレートの製造方法。
- 前記ブラスト処理において、研磨材として粒度が#24〜#100の範囲にあるグリッドを使用し、エア圧を0.1MPa〜0.5MPaの範囲に、処理時間を10秒〜600秒の範囲にそれぞれ設定する、請求項1〜3のいずれかに記載のプレッシャプレートの製造方法。
- 前記グリッドとして、ホワイトアルミナ、褐色アルミナ、黒色炭化ケイ素、および、緑色炭化ケイ素から選択される少なくとも1種を使用する、請求項4に記載のプレッシャプレートの製造方法。
- 前記ブラスト処理として、ウェットブラストが用いられ、かつ、前記グリッドのグリッド濃度を5質量%〜30質量%とする、請求項4または5に記載のプレッシャプレートの製造方法。
- 前記ブラスト処理として、ウェットブラストが用いられ、かつ、前記乾燥および/または洗浄工程において、前記プレッシャプレートを乾燥させた後、少なくとも前記被接着面を、炭化水素系洗浄液を用いて、洗浄する、請求項1〜6のいずれかに記載のプレッシャプレートの製造方法。
- 前記ガス軟窒化処理において、アンモニアガスと浸炭性ガスとからなる混合ガス雰囲気を用い、処理温度を500℃〜590℃の範囲に、処理時間を0.1時間〜4時間の範囲に設定する、請求項1〜7のいずれかに記載のプレッシャプレートの製造方法。
- 請求項1〜8のいずれかの製造方法により得られたプレッシャプレートの被接着面に、接着剤を介して、摩擦材を接着させることを特徴とする、ブレーキパッドの製造方法。
- 鉄系金属製の母材と、該母材のうち摩擦材が接着される被接着面と、該母材の表面のうち、少なくとも前記被接着面に形成された窒素拡散層と、該窒素拡散層の上に形成され、算術平均粗さRaが1.5μm〜8.0μmの範囲にあり、かつ、十点平均粗さRzが10μm〜40μmの範囲にある窒素化合物層と、該窒素化合物層の最表部に形成され、厚さが3.0μm〜20.0μmの範囲にあるポーラス層とを備える、プレッシャプレート。
- 前記窒素化合物層の厚さは5μm〜25μmである、請求項10に記載のプレッシャプレート。
- 前記窒素化合物のうち、最も突出した部分と最も凹んだ部分の高低差が5μm〜50μmである、請求項11に記載のプレッシャプレート。
- 請求項10〜12のいずれかに記載のプレッシャプレートと、該プレッシャプレートの被接着面に、接着剤を介して接着された摩擦材とからなる、ブレーキパッド。
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