JP2015117000A - ハイブリッド車両とハイブリッド車両の制御方法 - Google Patents

ハイブリッド車両とハイブリッド車両の制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ロックアップクラッチが解放状態になった場合に発生する内燃機関の回転数の急激な上昇を回避することができると共に、ロックアップクラッチが解放状態と結合状態とを繰り返すことで発生するロックアップクラッチの消耗を抑制して、耐久性を向上することができるハイブリッド車両とハイブリッド車両の制御方法を提供する。【解決手段】制御装置20が、エンジン3の出力トルクTeが目標出力トルクTe’より小さくなった場合に、電動発電機5から動力伝達機構4に駆動力を付与可能なときは、電動発電機5を力行駆動する力行制御C30を行って、ロックアップクラッチ10dを解放状態にしないで、結合状態を維持する結合維持制御C40を行うように構成される。【選択図】図4

Description

本発明は、ハイブリッド車両とハイブリッド車両の制御方法に関し、より詳細には、燃費を向上することができると共に、流体伝動装置に設けられたロックアップクラッチの耐久性を向上することができるハイブリッド車両とハイブリッド車両の制御方法に関する。
変速機としてAT(Automatic Transmission)やAMT(Automated Manual Transmission)を搭載した車両には、エンジンと変速機との間に流体を使って動力を伝達するトルクコンバータ(流体伝動装置)が設けられている。
このトルクコンバータは、エンジンの駆動トルクが小さい場合に、その駆動トルクを増幅して変速機に伝達するが、流体を介して動力を伝達するため動力損失が発生する。そこで、トルクコンバータにロックアップクラッチを設けることで、エンジンからの駆動トルクを損失なく伝達している。
これに関して、エンジンと電動発電機とを備えたハイブリッド車両では、電動発電機に接続されたバッテリーの充電状態に基づいて、ロックアップ領域を拡大する装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
なお、この装置でいうロックアップ領域とは、ロックアップクラッチを結合状態にすることができる領域のことであり、このロックアップ領域を拡大することで、例えば、変速機が8段の変速段を有する場合に、1速〜8速の各段でロックアップクラッチを結合状態にすることを可能にしている。
上記の装置は、電動発電機を回生駆動できる場合にロックアップ領域を拡大して、低車速領域でのエンジンのトルク変動が発生しても、電動発電機を回生駆動してトルク変動を緩和している。また、ロックアップクラッチの使用頻度を高めて、動力伝達系での伝達効率を上げて燃費を向上している。
しかしながら、ロックアップクラッチを結合状態にする頻度を高めることは、ロックアップクラッチが解放状態と結合状態を繰り返す頻度が高くなることであり、その分、ロックアップクラッチの消耗が激しくなり、ロックアップクラッチの耐久性が低下する。
また、通常、ロックアップクラッチを解放状態及び結合状態にする場合は、トルクコンバータからの出力を変速機に伝達するインプットシャフト(入力軸)の目標出力トルクに基づいて制御されている。つまり、エンジンの出力トルクが、インプットシャフトに入力されるべき目標出力トルクよりも小さい場合には、ロックアップクラッチを解放状態にして、トルクコンバータでエンジンの出力トルクを増幅している。そして、出力トルクが目標出力トルクと同等になった場合に、ロックアップクラッチを結合状態にしている。
上記の装置もロックアップクラッチを変速機の各変速段で結合状態にするように構成されているが、変速機の変速段を切り換える場合に、エンジンの駆動トルクが低下したときには、ロックアップクラッチを一旦解放状態にしてから再度結合状態にする必要がある。このとき、ロックアップクラッチが解放状態になることで、エンジンの回転数が急激に上昇し、それに伴って、燃料消費量が増加する。
国際公開2013/088467号
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、その課題は、ロックアップクラッチが解放状態になった場合に発生する内燃機関の回転数の急激な上昇を回避することができると共に、ロックアップクラッチが解放状態と結合状態とを繰り返すことで発生するロックアップクラッチの消耗を抑制して、耐久性を向上することができるハイブリッド車両とハイブリッド車両の制御方法を提供することである。
上記の課題を解決するための本発明のハイブリッド車両は、内燃機関と、該内燃機関の動力を、ロックアップクラッチを有した流体伝動装置を介して変速機に伝達し、該変速機から駆動輪に伝達する動力伝達機構と、該動力伝達機構に連結された電動発電機とを備え、前記内燃機関及び前記電動発電機の少なくとも一方を駆動源とするハイブリッドシステムと、該ハイブリッドシステムの制御を行うと共に、前記内燃機関の機関出力値が、前記流体伝動装置の出力を前記変速機に伝達する入力軸に入力される目標機関出力値より小さくなった場合に、前記ロックアップクラッチを解放状態にする制御を行う制御装置と、を備えるハイブリッド車両において、前記制御装置が、前記機関出力値が前記目標機関出力値より小さくなった場合に、前記電動発電機から前記動力伝達機構に駆動力を付与可能なときは、前記電動発電機を力行駆動する力行制御を行って、前記ロックアップクラッチを解放状態にしないで、結合状態を維持する結合維持制御を行うように構成される。
なお、ここでいうロックアップクラッチの解放状態とは、内燃機関の出力トルクが流体伝動装置の流体を介して伝達される状態のことであり、この場合には、内燃機関の出力トルクは流体伝動装置により増幅されて入力軸に伝達されるが、伝達効率が低下する。このロックアップクラッチの解放状態には、ロックアップクラッチが滑りを生じて、内燃機関の駆動トルクの一部が流体を介して伝達される状態を含む。また、ロックアップクラッチの結合状態とは、内燃機関の出力トルクの全てがロックアップクラッチを介して伝達される状態のことである。
また、ここでいう電動発電機から動力伝達機構に駆動力を付与可能な場合とは、電動発電機を力行駆動可能で、且つ電動発電機を動力伝達機構に接続可能な場合のことであり、例えば、電動発電機に接続されたバッテリーが電動発電機を力行駆動するために必要な電力を蓄えていない場合は除外される。
また、ここでいう機関出力値とは、トルクや回転数などの出力状態を示す値であり、例えば、機関出力値は、制御装置により制御される内燃機関の燃料噴射量から算出される出力トルクや、回転数検知手段で取得される内燃機関の回転数を用いることができる。また、目標機関出力値は、車速検知手段で取得されるハイブリッド車両の車速と変速機の変速段から算出される目標出力トルクや、回転数検知手段で取得される入力軸の回転数を用いることができる。
この構成によれば、内燃機関の機関出力値が、目標機関出力値よりも小さくなったときに、電動発電機を力行駆動して、電動発電機から動力伝達機構に駆動力を付与して、内燃機関の機関出力値の低減分を補うことで、ロックアップクラッチを解放状態にせずに、結合状態を維持するので、内燃機関の機関出力値が急激に上昇することを抑えることができる。これにより、内燃機関の燃料消費量を抑えて、燃費を向上することができる。
また、ロックアップクラッチの結合状態を維持するので、ロックアップクラッチが解放状態と結合状態とを繰り返す頻度を低減することができる。これにより、ロックアップクラッチの消耗を抑制して、耐久性を向上することができる。
また、上記のハイブリッド車両において、前記制御装置が、前記変速機の変速段を高速段に切り換える場合で、且つ前記機関出力値が前記目標機関出力値より小さくになった場合に、前記力行制御を行って、前記結合維持制御を行うように構成されると、変速機の変速段を高速段に変速する場合に、内燃機関の機関出力値が低下しても、ロックアップクラッチを解放状態にせずに、結合状態を維持することができる。
加えて、上記のハイブリッド車両において、前記制御装置が、前記内燃機関の回転数が予め定めたアイドル回転数以下になるまで、前記結合維持制御を行うように構成されると、内燃機関が始動してから一度ロックアップクラッチが結合状態になると、内燃機関の回転数がアイドル回転数以下になるまで、つまり、ハイブリッド車両が走行してから停車するまでの間は、ロックアップクラッチの結合状態を維持するので、内燃機関の燃料消費量を抑えることができると共に、ロックアップクラッチの消耗を抑制することができる。
そして、上記の課題を解決するための本発明のハイブリッド車両の制御方法は、内燃機関と、該内燃機関の動力を、ロックアップクラッチを有した流体伝動装置を介して変速機に伝達し、該変速機から駆動輪に伝達する動力伝達機構と、該動力伝達機構に連結された電動発電機とを備え、前記内燃機関及び前記電動発電機の少なくとも一方を駆動源とするハイブリッド車両の制御方法において、前記内燃機関の機関出力値が、前記流体伝動装置の出力を前記変速機に伝達する入力軸に入力される目標機関出力値より小さくなった場合に、前記電動発電機から前記動力伝達機構に駆動力を付与可能なときは、前記電動発電機を力行駆動して、前記ロックアップクラッチを解放状態にしないで、結合状態を維持する方法である。
この方法によれば、ロックアップクラッチの結合状態を維持するので、ロックアップクラッチが解放状態になった場合に発生する内燃機関の回転数の急激な上昇を回避することができると共に、ロックアップクラッチが解放状態と結合状態とを繰り返すことで発生するロックアップクラッチの消耗を抑制して、耐久性を向上することができる。
本発明のハイブリッド車両とハイブリッド車両の制御方法によれば、内燃機関の出力トルクや回転数などの機関出力値が目標機関出力値よりも小さくなったときに、電動発電機の力行駆動により電動発電機から動力伝達機構に駆動トルクを付与して、内燃機関の出力値の低減分を補うことで、ロックアップクラッチを解放状態にせずに、結合状態を維持するので、内燃機関の機関出力値が急激に上昇することを抑えることができる。これにより、内燃機関の燃料消費量を抑えて、燃費を向上することができる。
また、ロックアップクラッチの結合状態を維持することで、ロックアップクラッチが解放状態と結合状態とを繰り返す頻度を低減することができるので、ロックアップクラッチの消耗を抑制して、耐久性を向上することができる。
本発明に係る実施の形態のハイブリッド車両の構成の一部を示す図である。 図1の制御装置の構成の一部を示す図である。 図1のハイブリッド車両の変速制御を示すフローチャートである。 本発明に係る実施の形態のハイブリッド車両の制御方法を示すフローチャートである。 図1の内燃機関の出力を示し、横軸を内燃機関の回転数、縦軸を内燃機関の出力トルクとする出力マップである。
以下、本発明に係る実施の形態のハイブリッド車両とハイブリッドシステムの制御方法について説明する。
図1に示すように、実施の形態のハイブリット車両(以下、HEVという)1は、ハイブリッドシステム2を備えており、そのハイブリッドシステム2は、ディーゼルエンジン(内燃機関;以下、エンジンという)3と、エンジン3で発生した駆動トルクを伝達する動力伝達機構4と、その動力伝達機構4に連結された電動発電機5と、その電動発電機5にインバータ6を通じて電気的に接続されるバッテリー7とを備えている。
この動力伝達機構4は、エンジン3で発生した駆動トルクを、トルクコンバータ10と摩擦クラッチ11を経由してトランスミッション(変速機)12に伝達し、トランスミッション12からプロペラシャフト13、デファレンシャル14、及びドライブシャフト15を経由して駆動輪16に伝達している。また、電動発電機5で発生した駆動トルクをPTO(動力入出機構)17を経由して駆動輪16に伝達している。
電動発電機5は、回生駆動すると発電機として動力伝達機構4に制動力を付与して回生発電をしたり、力行駆動すると電動機として動力伝達機構4に駆動力を付与してアシストしたりする。なお、発電して得た電力は、インバータ6で変換してバッテリー7に充電される。また、電動発電機5を駆動するときは、バッテリー7に充電された電力をインバータ6で変換して電動発電機5に供給する。
トルクコンバータ10は、互いに対向するように配置されたポンプインペラ10aとタービンランナ10bを備え、図示しない作動油供給ポンプに接続されている。このトルクコンバータ10は、エンジン3のクランク軸18に接続されたフロントカバー10cを介してポンプインペラ10aが回転して作動油(流体)を流動させ、その作動油の流動をタービンランナ10bが受動して、タービンランナ10bに接続されたインプットシャフト(入力軸)19を回転するように構成されている。
また、このトルクコンバータ10は、タービンランナ10bとフロントカバー10cとの間にロックアップクラッチ10dを備えている。このロックアップクラッチ10dは、摩擦クラッチであり、解放状態では、タービンランナ10bとフロントカバー10cとの間を解放するので、前述したように、ポンプインペラ10aとタービンランナ10bが作動油を介して別個に回転して、エンジン3の出力をインプットシャフト19に伝達する。一方、結合状態では、タービンランナ10bとフロントカバー10cとの間を結合するので、フロントカバー10cを介してエンジン3のクランク軸18に接続されたポンプインペラ10aと、インプットシャフト19が接続されたタービンランナ10bを摩擦により結合することで、ポンプインペラ10aとインプットシャフト19が作動油を介さずに、一体的に回転して、エンジン3の出力を直接インプットシャフト19に伝達する。
なお、ここでいうロックアップクラッチ10dの解放状態とは、エンジン3の出力の全て、あるいはその一部がトルクコンバータ10の作動油を介して伝達される状態のことであり、この場合には、エンジン3の駆動トルクはトルクコンバータ10により増幅されてインプットシャフト19に伝達されるが、作動油を介すことで、伝達効率が低下する。このロックアップクラッチ10dの解放状態には、ロックアップクラッチ10dが滑りを生じる状態も含む。
また、ロックアップクラッチ10dの結合状態とは、エンジン3の駆動トルクの全てがロックアップクラッチ10dを介してインプットシャフト19に伝達される状態のことである。
PTO17は、スレーブドグクラッチ(以下、ドグクラッチという)17aを備え、図示しないソレノイドバルブに電流を流すとドグクラッチ17aを解放状態にして、動力伝達機構4から電動発電機5を切り離す。一方、電流を止めるとドグクラッチ17aを結合状態にして、動力伝達機構4に電動発電機5を接続する。
また、このHEV1は、制御装置20として、エンジン用制御装置21と、変速用制御装置22と、電動発電機用制御装置23とを備え、その各制御装置21〜23は互いに車載ネットワーク24により並列に接続され、相互に情報を送るように構成される。
また、各制御装置21〜23には、アクセルペダルに設けられたアクセルセンサ25、シフトレバーに設けられたシフトセンサ26、車速センサ27、エンジン回転数センサ28、及びインプットシャフト回転数センサ29が接続される。
この制御装置20は、図2に示すように、ハイブリッドシステム2の制御として、エンジン3の燃料噴射量を制御する噴射量制御C1、トルクコンバータ10の作動油を図示しない油圧ポンプにより供給する作動油供給制御C2、摩擦クラッチ11の解放状態と結合状態を制御して、エンジン3からの動力を断接する断接制御C3、及びトランスミッション12の変速段を変速する変速制御C4を行うように構成される。
また、この制御装置20は、解放制御C10、結合制御C20、力行制御C30、及び結合維持制御C40を行って、エンジン3の機関出力値が、インプットシャフト19に入力される目標機関出力値より小さくなった場合に、電動発電機5から動力伝達機構4に駆動力を付与可能なときは、電動発電機5を力行駆動する力行制御C30を行って、ロックアップクラッチ10dを解放状態にしないで、結合状態を維持する結合維持制御C40を行うように構成される。
なお、ここでいう機関出力値とは、エンジン3の燃料噴射量から算出されるエンジン3から出力される出力トルクTeや、エンジン回転数センサ28で検知されるエンジン回転数Neなどのことであり、目標機関出力値は、シフトセンサ26で検知されるトランスミッション12の変速段と車速センサ27で検知されるHEV1の車速から算出されるインプットシャフト19に入力される目標出力トルクTe’や、インプットシャフト回転数センサ29で検知されるインプットシャフト19の回転数Niなどのことである。なお、この実施の形態では、機関出力値として出力トルクTe、目標機関出力値として目標出力トルクTe’を用いた例を説明する。
解放制御C10は、エンジン3から出力される出力トルクTeが、インプットシャフト19に入力される目標出力トルクTe’より小さくなった場合に、ロックアップクラッチ10dを解放状態にする制御である。
この解放制御C10を行うことにより、エンジン3から出力される出力トルクTeを、トルクコンバータ10の作動油を介して増幅して、インプットシャフト19に伝達することができる。但し、作動油を介すことで、動力損失が発生する。また、解放制御C10を行うことにより、エンジン3の回転数が急激に上昇するので、その回転数の上昇に合わせて噴射量制御C1を行うため燃料噴射量が増加する。
結合制御C20は、出力トルクTeが目標出力トルクTe’と同等となった場合に、ロックアップクラッチ10dを結合状態にする制御である。この結合制御C20を行うことにより、エンジン3から出力される出力トルクTeを損失することなくインプットシャフト19に伝達することができる。
力行制御C30は、PTO17のドグクラッチ17aを結合状態にして電動発電機5を動力伝達機構4に接続すると共に、インバータ6を制御して電動発電機5を力行駆動する制御である。この力行制御C30は、電動発電機5から出力され、動力伝達機構4に入力される力行トルクTmを、出力トルクTeと目標出力トルクTe’との差を補完するように、フィードバック制御する。そして、エンジン3の出力トルクTeが目標出力トルクTe’と略等しくなったときに、電動発電機5を停止すると共に、ドグクラッチ17aを解放状態にして電動発電機5を動力伝達機構4から切り離す。
結合維持制御C40は、出力トルクTeが目標出力トルクTe’より小さくなった場合に、上記の力行制御C30が行われたときに、上記の解放制御C10を行うことを禁止して、ロックアップクラッチ10dを解放状態にしないで、ロックアップクラッチ10dの結合状態を維持する制御である。
この結合維持制御C40は、エンジン3の回転数がアイドル回転数以下になるまで行われる。つまり、エンジン3を始動した後に、結合制御C20を行って、一旦ロックアップクラッチ10dが結合状態になった後は、HEV1が停車する、あるいはエンジン3が停止するまで、ロックアップクラッチ10dの結合状態を維持する。
次に、本発明に係る実施の形態のHEV1の制御方法について、図3及び図4のフローチャートを参照しながら説明する。なお、この実施の形態では、トランスミッション12のシフトアップ時を例に説明する。
制御装置20の変速用制御装置22が、シフトセンサ26から直接発信される、あるいは、エンジン用制御装置21からエンジン3の回転数に基づいて発信されるシフトアップ信号を受信すると、図3に示すように、摩擦クラッチ11を解放状態にするステップS10を行う。次に、エンジン用制御装置21が、エンジン3の回転数を下げるために、燃料噴射量を低減するステップS20を行う。次に、変速用制御装置22が、トランスミッション12の変速段をシフトするステップS30を行う。次に、摩擦クラッチ11を結合状態にするステップS40を行う。
このようにトランスミッション12の変速段をシフトアップする場合には、摩擦クラッチ11を一旦解放状態にして、エンジン3の回転数を下げる必要がある。そして、摩擦クラッチ11を再度結合状態にしたときに、エンジン3の回転数の低下に伴って、エンジン3から出力される出力トルクTeが、目標出力トルクTe’よりも小さくなる。
このとき、図4に示すように、電動発電機用制御装置23が、電動発電機5がアシスト可能か否かを判断するステップS100を行う。このステップS100では、バッテリー7に電動発電機5を力行駆動できるだけの充電量が充電されていない場合を除いて、電動発電機5がアシスト可能と判断する。
ステップS100で、電動発電機5がアシスト可能と判断されると、次に、ドグクラッチ17aを結合状態にして、電動発電機5を動力伝達機構4に接続するステップS200を行う。次に、インバータ6を制御して、電動発電機5を力行駆動するステップS300を行う。このステップS300では、電動発電機5から出力される力行トルクTmが、出力トルクTeと目標出力トルクTe’との差を補うような値となるように、フィードバッ
ク制御を行う。つまり、エンジン3の出力トルクTeが大きくなると、この電動発電機5から出力される力行トルクTmは小さくなる。
次に、変速用制御装置22が、ロックアップクラッチ10dを解放状態にすることを禁止するステップS400を行う。つまり、このステップS400では、エンジン3の出力トルクTeが目標出力トルクTe’よりも小さくなっていても、その差を電動発電機5から出力される力行トルクTmで補うので、ロックアップクラッチ10dを解放状態にせずに、ロックアップクラッチ10dの結合状態を維持する。
次に、出力トルクTeが目標出力トルクTe’と略同等になることを検知するステップS500を行う。次に、電動発電機5を停止するステップS600を行って、この制御方法は完了する。
ステップS100で、電動発電機5がアシスト不可能と判断されると、従来技術と同様に、変速用制御装置22が、ロックアップクラッチ10dを解放状態にするステップS700を行う。次に、出力トルクTeが目標出力トルクTe’と略同等になることを検知するステップS800を行う。次に、ロックアップクラッチ10dを結合状態にするステップS900を行って、この制御方法は完了する。
なお、図3のステップS10及びS40が断接制御C3に、ステップS20が噴射量制御C1に、及びステップS30が変速制御C4に相当する。また、図4のステップS100〜S300とステップS500とステップS600が力行制御C30に、ステップS400が結合維持制御C40に、ステップS700が解放制御C10に、及びステップS800とステップS900が結合制御C20に相当する。
上記の実施の携帯のHEV1及びHEV1の制御方法によれば、エンジン3の出力トルクTeが、目標出力トルクTe’よりも小さくなったときに、電動発電機5を力行駆動して、電動発電機5から動力伝達機構4に駆動力を付与して、エンジン3の出力トルクTeの低減分を補うことで、ロックアップクラッチ10dを解放状態にせずに、結合状態を維持することができる。
これにより、ロックアップクラッチ10dを解放状態にしたときに発生するエンジン3の出力トルクTeや回転数の急激な上昇を抑えることができるので、エンジン3の燃料消費量を抑えて、燃費を向上することができる。
また、ロックアップクラッチ10dの結合状態を維持するので、ロックアップクラッチ10dが解放状態と結合状態とを繰り返す頻度を低減することができるので、ロックアップクラッチ10dの消耗を抑制して、耐久性を向上することができる。
また、特に、トランスミッション12の変速段を高速段にシフトアップする場合に、エンジン3の回転数の低いところでシフトアップするアーリーシフトを行う際に効果的である。
図5のエンジン3の出力マップMAP1には、エンジン3のトルクカーブL1が記憶されている。また、エンジン3には、燃料の単位容量あたりの走行距離、あるいは一定の距離をどれだけの燃料で走行可能かを示す指標として燃料消費率(SFC)が定められており、この出力マップMAP1には、最も燃料消費率の低い領域SFC1から順に燃料消費率が高くなる領域SFC2、SFC3、SFC4が設けられている。
つまり、アーリーシフトを行うことによって、燃料消費率の低い領域でエンジン3を運
転する時間が長くなるため、燃費を向上することができる。しかし、従来技術においては、アーリーシフトを行っても、シフトアップの際にロックアップクラッチ10dを解放状態にする必要があった。そのため、燃料消費率の低い領域でエンジン3を運転する時間が短くなってしまうので、アーリーシフトを行うことによる燃費向上の効果は少なかった。
しかし、上記のHEV1とその制御方法によれば、トランスミッション12のシフトアップ時にロックアップクラッチ10dを解放状態にせずに、ロックアップクラッチ10dの結合状態を維持するので、エンジン3の出力トルクTeや回転数が急激に上昇することがなくなる。そのため、エンジン3を燃料消費率の小さい領域で運転する時間が増えるので、アーリーシフトを行うことによる燃費向上の効果を最大限発揮することができる。
なお、上記の実施の形態では、パラレル方式のハイブリッドシステム2を搭載したHEV1を例に説明したが、本発明はこれに限定されずに、例えば、シリーズ方式のハイブリッドシステムを搭載した車両にも適用することができる。また、上記のハイブリッドシステム2の構成は一例であり、例えば、電動発電機5の連結先をトランスミッション12にしなくてもよい。
また、上記の実施の形態では、機関出力値としてエンジン3から出力される出力トルクTeを例に説明したが、この他、機関出力値としてエンジン3の回転数や出力馬力などを用いてもよい。
また、図4のステップS100で、電動発電機5がアシスト可能か否かを判断する場合に、バッテリー7の充電量以外にも、HEV1の走行状況やドグクラッチ17aの制御状況なども合わせて判断してもよい。
本発明のハイブリッド車両は、ロックアップクラッチが解放状態になった場合に発生する内燃機関の回転数の急激な上昇を回避することができると共に、ロックアップクラッチが解放状態と結合状態とを繰り返すことで発生するロックアップクラッチの消耗を抑制して、耐久性を向上することができるので、ロックアップクラッチを有したトルクコンバータを備えるハイブリッド車両に利用することができる。
1 HEV(ハイブリッド車両)
2 ハイブリッドシステム
3 エンジン(内燃機関)
4 動力伝達機構
5 電動発電機
6 インバータ
7 バッテリー
10 トルクコンバータ
10d ロックアップクラッチ
11 摩擦クラッチ
12 トランスミッション(変速機)
17a ドグクラッチ
18 クランク軸
19 インプットシャフト(入力軸)
20 制御装置
C30 力行制御
C40 結合維持制御

Claims (4)

  1. 内燃機関と、該内燃機関の動力を、ロックアップクラッチを有した流体伝動装置を介して変速機に伝達し、該変速機から駆動輪に伝達する動力伝達機構と、該動力伝達機構に連結された電動発電機とを備え、前記内燃機関及び前記電動発電機の少なくとも一方を駆動源とするハイブリッドシステムと、該ハイブリッドシステムの制御を行うと共に、前記内燃機関の機関出力値が、前記流体伝動装置の出力を前記変速機に伝達する入力軸に入力される目標機関出力値より小さくなった場合に、前記ロックアップクラッチを解放状態にする制御を行う制御装置と、を備えるハイブリッド車両において、
    前記制御装置が、前記機関出力値が前記目標機関出力値より小さくなった場合に、前記電動発電機から前記動力伝達機構に駆動力を付与可能なときは、前記電動発電機を力行駆動する力行制御を行って、前記ロックアップクラッチを解放状態にしないで、結合状態を維持する結合維持制御を行うように構成されることを特徴とするハイブリッド車両。
  2. 前記制御装置が、前記変速機の変速段を高速段に切り換える場合で、且つ前記機関出力値が前記目標機関出力値より小さくになった場合に、前記力行制御を行って、前記結合維持制御を行うように構成されることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両。
  3. 前記制御装置が、前記内燃機関の回転数が予め定めたアイドル回転数以下になるまで、前記結合維持制御を行うように構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載のハイブリッド車両。
  4. 内燃機関と、該内燃機関の動力を、ロックアップクラッチを有した流体伝動装置を介して変速機に伝達し、該変速機から駆動輪に伝達する動力伝達機構と、該動力伝達機構に連結された電動発電機とを備え、前記内燃機関及び前記電動発電機の少なくとも一方を駆動源とするハイブリッド車両の制御方法において、
    前記内燃機関の機関出力値が、前記流体伝動装置の出力を前記変速機に伝達する入力軸に入力される目標機関出力値より小さくなった場合に、前記電動発電機から前記動力伝達機構に駆動力を付与可能なときは、前記電動発電機を力行駆動して、前記ロックアップクラッチを解放状態にしないで、結合状態を維持することを特徴とするハイブリッド車両の制御方法。
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