JP2015113243A - 水硬性組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】水中不分離性を低下させることなく、粘性を低減できる、水中不分離性コンクリート等として好適な、水硬性組成物を提供する。
【解決手段】カチオン性界面活性剤(A1)及び特定のアニオン性芳香族化合物(A2)の組み合わせ、又は炭素数10以上、26以下の炭化水素基を少なくとも1つ有する4級カチオン基(a1)と特定の芳香族アニオン基(a2)とを含む4級塩型カチオン性化合物(A3)と、特定のアニオン性界面活性剤と、水硬性粉体と、水とを、特定条件で含有する、水硬性組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、水硬性組成物及び水硬性組成物の製造方法に関する。
近年の安全意識の高まりから、土木関連工事において護岸の耐震工事等、水のある場所においてもコンクリート工事を実施したいという要望が多くなり、水中不分離コンクリートの需要も増加している。
水中不分離性コンクリートは、水中においてセメント成分が分散溶解しないように、種々の増粘剤を含有している。コンクリートの水中不分離性は、増粘剤の添加量の増加に伴い改善できるが、一方でコンクリート粘性の増加を招き、ハンドリング性に悪影響を及ぼす場合がある。例えば、コンクリートの流動性が低下し充填不良を引き起こすケースや、ポンプ圧送する際にポンプに圧送能力以上の負荷がかかり圧送不良を引き起こすケースがある。また、圧送不良を防止するために、予め圧送能力の高いポンプを設置する必要が生じ、コストアップにも繋がっている。
これらを防止するために、水中不分離性を低下させることなく、コンクリート粘性が低減できる水中不分離性コンクリートが望まれている。
特許文献1には、2種の水溶性低分子化合物を含有する特定のスラリーレオロジー改質剤が、材料分離抵抗性などのレオロジー特性を付与できることが開示されている。また、特許文献2には、特定の4級塩型カチオン性化合物を含有する1剤型のレオロジー改質剤が開示されている。
特開2003−313536号公報 特開2004−124007号公報
本発明は、水中不分離性を低下させることなく、粘性を低減できる、水中不分離性コンクリート等として好適な、水硬性組成物を提供する。
本発明は、下記(A)成分、下記(B)成分、水硬性粉体、及び水を含有する水硬性組成物であって、
(A)成分の含有量が、水硬性組成物の水相100質量部に対して、0.75質量部以上、5.0質量部以下であり、
(B)成分の含有量が、水硬性組成物の水相100質量部に対して、0.010質量部以上、1.5質量部以下であり、
(A)成分の含有量が、水硬性組成物の水相100質量部に対して、0.75質量部以上、2.5質量部未満の場合、(A)成分の含有量と(B)成分の含有量の質量比が、[(B)成分の含有量/(A)成分の含有量]で、0.0080以上、0.32以下であり、
(A)成分の含有量が、水硬性組成物の水相100質量部に対して、2.5質量部以上、5.0質量部以下の場合、(A)成分の含有量と(B)成分の含有量の質量比は、[(B)成分の含有量/(A)成分の含有量]で、0.032以上、0.32以下である、
水硬性組成物に関する。
(A)成分:カチオン性界面活性剤(A1)及び、サリチル酸、p−トルエンスルホン酸、スルホサリチル酸、安息香酸、m−スルホ安息香酸、p−スルホ安息香酸、4−スルホフタル酸、5−スルホイソフタル酸、p−フェノールスルホン酸、m−キシレン−4−スルホン酸、クメンスルホン酸、メチルサリチル酸、スチレンスルホン酸、クロロ安息香酸の1種以上より選ばれるアニオン性芳香族化合物(A2)の組み合わせ、又は炭素数10以上、26以下の炭化水素基を少なくとも1つ有する4級カチオン基(a1)とパラトルエンスルホネート、サリシレート、メタキシレンスルホネート、クメンスルホネート、スチレンスルホネート、ベンゼンスルホネート、ベンゾエートの1種以上から選ばれる芳香族アニオン基(a2)とを含む4級塩型カチオン性化合物(A3)
(B)成分:(A2)及び(a2)を除くアニオン性界面活性剤であって、総炭素数が8以上、22以下であるアニオン性界面活性剤及び炭素数8以上、22以下の炭化水素基を有するアニオン性界面活性剤から選ばれるアニオン性界面活性剤
また、本発明は、下記(A)成分と、下記(B)成分と、水硬性粉体と、水とを混合する工程を有する、水硬性組成物の製造方法であって、
(A)成分を、水硬性組成物の水相100質量部に対して、0.75質量部以上、5.0質量部以下、(B)成分を、水硬性組成物の水相100質量部に対して、0.010質量部以上、1.5質量部以下の割合で混合し、
(A)成分を、水硬性組成物の水相100質量部に対して、0.75質量部以上、2.5質量部未満の割合で混合する場合、(A)成分の含有量と(B)成分の含有量の質量比は、[(B)成分の含有量/(A)成分の含有量]で、0.0080以上、0.32以下であり、
(A)成分を、水硬性組成物の水相100質量部に対して、2.5質量部以上、5.0質量部以下の割合で混合する場合、(A)成分の量と(B)成分の量の質量比は、[(B)成分の量/(A)成分の量]で、0.032以上、0.32以下である、
水硬性組成物の製造方法に関する。
(A)成分:カチオン性界面活性剤(A1)及び、サリチル酸、p−トルエンスルホン酸、スルホサリチル酸、安息香酸、m−スルホ安息香酸、p−スルホ安息香酸、4−スルホフタル酸、5−スルホイソフタル酸、p−フェノールスルホン酸、m−キシレン−4−スルホン酸、クメンスルホン酸、メチルサリチル酸、スチレンスルホン酸、クロロ安息香酸の1種以上より選ばれるアニオン性芳香族化合物(A2)の組み合わせ、又は炭素数10以上、26以下の炭化水素基を少なくとも1つ有する4級カチオン基(a1)とパラトルエンスルホネート、サリシレート、メタキシレンスルホネート、クメンスルホネート、スチレンスルホネート、ベンゼンスルホネート、ベンゾエートの1種以上から選ばれる芳香族アニオン基(a2)とを含む4級塩型カチオン性化合物(A3)
(B)成分:(A2)及び(a2)を除くアニオン性界面活性剤であって、総炭素数が8以上、22以下であるアニオン性界面活性剤及び炭素数8以上、22以下の炭化水素基を有するアニオン性界面活性剤から選ばれるアニオン性界面活性剤
また、本発明は、上記本発明の水硬性組成物をポンプ圧送する、水硬性組成物の圧送方法に関する。
また、本発明は、上記本発明の水硬性組成物をポンプで圧送する工程と、ポンプで圧送された水硬性組成物を打設する工程を有する、水硬性組成物の打設方法に関する。
また、本発明は、下記(B)成分からなる水硬性組成物用粘度低減剤であって、水硬性組成物が下記(A)成分を含有する、水硬性組成物用粘度低減剤に関する。
(B)成分:下記(A)成分の(A2)及び(a2)を除くアニオン性界面活性剤であって、総炭素数が8以上、22以下であるアニオン性界面活性剤及び炭素数8以上、22以下の炭化水素基を有するアニオン性界面活性剤から選ばれるアニオン性界面活性剤
(A)成分:カチオン性界面活性剤(A1)及び、サリチル酸、p−トルエンスルホン酸、スルホサリチル酸、安息香酸、m−スルホ安息香酸、p−スルホ安息香酸、4−スルホフタル酸、5−スルホイソフタル酸、p−フェノールスルホン酸、m−キシレン−4−スルホン酸、クメンスルホン酸、メチルサリチル酸、スチレンスルホン酸、クロロ安息香酸の1種以上より選ばれるアニオン性芳香族化合物(A2)の組み合わせ、又は炭素数10以上、26以下の炭化水素基を少なくとも1つ有する4級カチオン基(a1)とパラトルエンスルホネート、サリシレート、メタキシレンスルホネート、クメンスルホネート、スチレンスルホネート、ベンゼンスルホネート、ベンゾエートの1種以上から選ばれる芳香族アニオン基(a2)とを含む4級塩型カチオン性化合物(A3)
本発明によれば、水中不分離性を低下させることなく、粘性を低減できる、水中不分離性コンクリート等として好適な、水硬性組成物が提供される。
本発明者らは、(A)成分を用いた水硬性組成物において、(B)成分を添加することにより、水中不分離性を低下させることなくコンクリート粘性が低減できることを見出した。本発明で選定した(B)成分は、(A)成分により形成される紐状ミセル内に十分に侵入し、その結果、水硬性組成物の粘性を低減させているものと推察される。併せて、本発明では、(A)成分と(B)成分の質量比を所定条件とすることで、(B)成分の紐状ミセルへの侵入量が適切となり、紐状ミセルを適度に細分化して、棒状或いは球状ミセルに変化させることで粘性が低減すると考えられる。
[水硬性組成物]
<(A)成分>
(A)成分の一つは、カチオン性界面活性剤(A1)及び特定のアニオン性芳香族化合物(A2)の組み合わせである。また、(A)成分の他の一つは、炭素数10以上、26以下の炭化水素基を少なくとも1つ有する4級カチオン基(a1)と特定の芳香族アニオン基(a2)とを含む4級塩型カチオン性化合物(A3)である。なお、カチオン性界面活性剤(A1)からは、芳香族アニオン基(a2)を有する4級塩型カチオン性化合物は除かれる。
紐状ミセル形成の観点から、(A)成分は、炭素数10以上、26以下の炭化水素基を少なくとも1つ有する4級カチオン基(a1)と特定の芳香族アニオン基(a2)とを含む4級塩型カチオン性化合物(A3)が好ましい。
カチオン性界面活性剤(A1)としては、4級塩型カチオン性界面活性剤が好ましく、4級塩型のカチオン性界面活性剤としては、構造中に、10個以上、26個以下の炭素原子を含む飽和又は不飽和の直鎖又は分岐鎖アルキル基を、少なくとも1つ有しているものが好ましい。例えば、アルキル(炭素数10以上、26以下)トリメチルアンモニウム塩、アルキル(炭素数10以上、26以下)ピリジニウム塩、アルキル(炭素数10以上、26以下)イミダゾリニウム塩、アルキル(炭素数10以上、26以下)ジメチルベンジルアンモニウム塩等が挙げられ、具体的には、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、タロートリメチルアンモニウムクロライド、タロートリメチルアンモニウムブロマイド、水素化タロートリメチルアンモニウムクロライド、水素化タロートリメチルアンモニウムブロマイド、ヘキサデシルエチルジメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルエチルジメチルアンモニウムクロライド、へキサデシルプロピルジメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルピリジニウムクロライド、1,1−ジメチル−2−ヘキサデシルイミダゾリニウムクロライド、ヘキサデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等が挙げられ、これらを2種以上併用してもよい。水溶性と増粘効果の観点から、具体的には、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド(例えば花王(株)製コータミン60W)、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルピリジニウムクロライド等が好ましい。また、上記のアルキル基の炭素数の異なるカチオン性界面活性剤を2種類以上併用することができる。
また、本発明のスラリーレオロジー改質剤をコンクリート等に適用する場合、塩害による鉄筋の腐食やコンクリート劣化を防止する観点から、塩素等のハロゲンを含まない4級アンモニウム塩を用いることができる。
塩素等のハロゲンを含まない4級塩として、硫酸塩や亜硫酸塩が挙げられ、具体的にはへキサデシルトリメチルアンモニウムメトサルフェート、ヘキサデシルジメチルエチルアンモニウムエトサルフェート、オクタデシルトリメチルアンモニウムメトサルフェート、オクタデシルジメチルエチルアンモニウムエトサルフェート、タロートリメチルアンモニウムメトサルフェート、タロージメチルエチルアンモニウムエトサルフェート、1,1−ジメチル−2−ヘキサデシルイミダゾリニウムメトサルフェート、ヘキサデシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムアセテート、オクタデシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムアセテート、ヘキサデシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムプロピオネート、オクタデシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムプロピオネート、タロージメチルヒドロキシエチルアンモニウムアセテート、タロージメチルヒドロキシエチルアンモニウムプロピオネート、等が挙げられる。塩素等のハロゲンを含まない4級アンモニウム塩は、例えば、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸で3級アミンを4級化することで得ることができる。
好ましいカチオン性界面活性剤(A1)としては、下記一般式(A1−1)で表されるカチオン性界面活性剤が挙げられる。
Figure 2015113243
〔式中、Rlは炭素数10以上、26以下のアルキル基又はアルケニル基、好ましくはアルキル基、R2は炭素数1以上、22以下のアルキル基又は炭素数2以上、22以下のアルケニル基、R3及びR4は、それぞれ、炭素数1以上、3以下のアルキル基である。X-は陰イオン基(アニオン性芳香族化合物由来の陰イオン基を除く)を表す。〕
一般式(A1−1)において、Rlは、好ましくは炭素数12以上、より好ましくは炭素数14以上、また。好ましくは炭素数22以下、より好ましくは20以下である。また、R2、R3及びR4は、それぞれ、メチル基が好ましい。X-は硫酸イオン、メチル硫酸イオン及びエチル硫酸イオンから選ばれる陰イオン基が好ましい。
アニオン性芳香族化合物(A2)は、サリチル酸、p−トルエンスルホン酸、スルホサリチル酸、安息香酸、m−スルホ安息香酸、p−スルホ安息香酸、4−スルホフタル酸、5−スルホイソフタル酸、p−フェノールスルホン酸、m−キシレン−4−スルホン酸、クメンスルホン酸、メチルサリチル酸、スチレンスルホン酸、クロロ安息香酸の1種以上より選ばれるアニオン性芳香族化合物である。これらは塩を形成していていも良く、これらを2種以上併用してもよい。また、アニオン性芳香族化合物(A2)が、重合体である場合は、重量平均分子量(例えば、ゲルーパーミエーションクロマトグラフィー法/ポリエチレンオキシド換算)が500未満であることが好ましい。アニオン性芳香族化合物(A2)は、p−トルエンスルホン酸又はその塩が好ましい。
カチオン性界面活性剤(A1)とアニオン性芳香族化合物(A2)のモル比は、カチオン性界面活性剤(A1)/アニオン性芳香族化合物(A2)で、好ましくは0.15以上、より好ましくは0.40以上、より好ましくは0.80以上であり、そして、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.2以下、より好ましくは1.0以下である。
4級塩型カチオン性化合物(A3)は、炭素数10以上、26以下の炭化水素基を少なくとも1つ有する4級カチオン基(a1)の1種以上を有する。4級カチオン基(a1)において、前記炭化水素基の炭素数は好ましくは12以上、より好ましくは14以上であり、そして、好ましくは22以下、より好ましくは18以下である。
4級カチオン基として、長鎖アルキル(炭素数10以上、26以下)ヒドロキシエチルジメチルアンモニウム基やモノ長鎖アルキル(炭素数10以上、26以下)トリメチルアンモニウム基が挙げられる。4級カチオン基(a1)は、4級塩型カチオン性化合物に由来することができ、当該化合物としては、具体的には、テトラデシルヒドロキシエチルジメチルアンモニウム、ヘキサデシルヒドロキシエチルジメチルアンモニウム、オクタデシルヒドロキシエチルジメチルアンモニウム、オレイルヒドロキシエチルジメチルアンモニウム、タローヒドロキシエチルジメチルアンモニウム、水素化タローヒドロキシエチルジメチルアンモニウム、テトラデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、オクタデシルトリメチルアンモニウム、オレイルトリメチルアンモニウム、タロートリメチルアンモニウム、水素化タロートリメチルアンモニウム、ヘキサデシルジヒドキシエチルメチルアンモニウム、オクタデシルジヒドキシエチルメチルアンモニウム、オレイルジヒドキシエチルメチルアンモニウム、タロージヒドキシエチルメチルアンモニウム、水素化タロージヒドキシエチルメチルアンモニウム、ヘキサデシルピリジニウム、1,1−ジメチル−2−ヘキサデシルイミダゾリニウム等が挙げられる。これらのうち、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、オクタデシルトリメチルアンモニウム、タロートリメチルアンモニウム、水素化タロートリメチルアンモニウム、がより好ましい。
また、4級塩型カチオン性化合物(A3)は、パラトルエンスルホネート、サリシレート、メタキシレンスルホネート、クメンスルホネート、スチレンスルホネート、ベンゼンスルホネート、ベンゾエートの1種以上から選ばれる芳香族アニオン基(a2)を含む。芳香族アニオン基(a2)は、パラトルエンスルホネートが好ましい。
4級塩型カチオン性化合物(A3)では、増粘する温度領域を広くできる点で、4級塩型カチオン性化合物(A3)の4級カチオン基(a1)として炭化水素基の長さが異なる4級カチオン基が2種以上存在することが好ましく、そのためには、4級カチオン基の炭化水素基の長さが異なる4級塩型カチオン性化合物(A)を2種以上併用しても、1つのカチオン基に長さが異なる炭化水素基が2つ以上結合した4級カチオン基を有する4級塩型カチオン性化合物(A)を使用しても、炭化水素基の長さが異なる4級カチオン基を2つ以上有する4級塩型カチオン性化合物(A)を使用しても、更にこれらの組み合わせでも、何れでもよい。これらのうちで、水への溶解性とレオロジー改質の効果の点から、4級カチオン基の炭化水素基の長さが異なる4級塩型カチオン性化合物(A)を2種以上併用するのが好ましい。
4級塩型カチオン性化合物(A3)としては、下記一般式(A3−1)で表される化合物〔以下、カチオン性化合物(A3−1)という〕が挙げられる。
Figure 2015113243
〔式中、Rllは炭素数10以上、26以下のアルキル基、Rl2は炭素数1以上、22以下のアルキル基又は炭素数2もしくは3のヒドロキシアルキル基、Rl3及びRl4は、それぞれ、炭素数1以上、3以下のアルキル基又は炭素数2もしくは3のヒドロキシアルキル基であり、少なくとも一方は炭素数2又は3のヒドロキシアルキル基である。X1-はパラトルエンスルホネート、サリシレート、メタキシレンスルホネート、クメンスルホネート、スチレンスルホネート、ベンゼンスルホネート、ベンゾエートの1種以上から選ばれる芳香族アニオン基、好ましくはパラトルエンスルホネートを表す。〕
一般式(A3−1)中、Rllは、好ましくは炭素数12以上、より好ましくは14以上、そして、好ましくは22以下、より好ましくは20以下のアルキル基である。また、Rl2、Rl3及びRl4の少なくとも一方は炭素数2又は3のヒドロキシアルキル基であることが好ましい。R12が炭素数2もしくは3のヒドロキシアルキル基でない場合、Rl2は、メチル基が好ましい。
カチオン性化合物(A3−1)は、原料としてアミンとアニオン性芳香族化合物を、アニオン性芳香族化合物/アミン=0.93以上、1.02以下のモル比で用いて得られた化合物である。このアニオン性芳香族化合物は、所定の芳香族アニオン基(a2)の由来となるものである。アミンとアニオン性芳香族化合物との反応は、バッチ式或いは連続式で行うことができるが、何れの場合も、前記モル比は、カチオン性化合物(A3−1)を製造するために用いた全てのアミンとアニオン性芳香族化合物のモル数に基づいて算出する。また、カチオン性化合物(A3−1)は、アミンの反応率99以上、100%以下でアミンとアニオン性芳香族化合物とを前記モル比で反応させて得られた化合物が好ましい。ここで、アミンの反応率とは、4級化率を意味する。
カチオン性化合物(A3−1)の製造方法においては、カチオン性化合物(A3−1)が、原料として更にエポキシ化合物を用いて得られた化合物であること、すなわち、原料としてアミンとアニオン性芳香族化合物とエポキシ化合物とを用いて得られた化合物であって、アニオン性芳香族化合物/アミンのモル比が0.93以上、1.02以下である化合物であることが好ましい。この場合も、アミンの反応率は99以上、100%以下が好ましい。従って、カチオン性化合物(A3−1)は、アミンに、該アミンに対してモル比で0.93以上、1.02以下のアニオン性芳香族化合物の存在下で、エポキシ化合物を付加させる工程(I)を有する製造方法により得られた化合物が好ましい。
エポキシ化合物を付加させる場合も含め、本発明では、原料アミンに対するアニオン性芳香族化合物のモル比は、アニオン性芳香族化合物/原料アミンで、好ましくは0.93以上、より好ましくは0.94以上、より好ましくは0.95以上、より好ましくは0.98以上であり、そして、好ましくは1.02以下、より好ましくは1.01以下、より好ましくは1.00以下である。このモル比が0.93以上であれば、紐状ミセル成分が生成しやすくなるので、適度なスラリー粘度が得られ、1.02以下であれば、アニオン性芳香族化合物が多すぎないため、緩和時間が早くなることなく、適度なスラリー粘度が得られる。
アミンは、一般式(A3−1)中の4級カチオン基の由来となる化合物であり、具体的には、ドデシルジメチルアミン、テトラデシルジメチルアミン、ヘキサデシルジメチルアミン、オクタデシルジメチルアミン、ベヘニルジメチルアミン等が挙げられ、好ましくはヘキサデシルジメチルアミン、オクタデシルジメチルアミン、及びベヘニルジメチルアミンから選ばれるアミンであり、より好ましくはヘキサデシルジメチルアミン及び/又はオクタデシルジメチルアミンである。
カチオン性化合物(A3−1)は、一般式(A3−1)中のR11が炭素数16のアルキル基である化合物(A−C16)と炭素数18のアルキル基である化合物(A−C18)とを含有することが好ましく、これらの比が、製品安定性と性能の温度依存性の観点から、モル比で(A−C16)/(A−C18)=20/80以上が好ましく、40/60以上がより好ましく、45/55以上がより好ましく、そして、80/20以下が好ましく、60/40以下がより好ましく、55/45以下がより好ましく、より好ましくは50/50以下であり、50/50であってもよい。また、カチオン性化合物(A3−1)は、一般式(A3−1)中のR11が、炭素数16のアルキル基及び炭素数18のアルキル基以外の炭素数のアルキル基である化合物の割合が、スラリーに対する粘性付与効果の観点から、カチオン性化合物(A3−1)の全量中好ましくは10モル%以下、より好ましくは5モル%以下、より好ましくは1モル%以下である。前記モル比や前記割合を満たすようにアミンの種類、組成を選定することが好ましい。
芳香族アニオン性化合物は、芳香族アニオン基(a2)である一般式(A3−1)中のX-を構成し、スルホン酸基やカルボキシル基等のアニオン基と、ベンゼン環等の芳香族基とを有する化合物が挙げられる。具体的には、パラトルエンスルホン酸、サリチル酸、メタキシレンスルホン酸、クメンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、及びこれらの塩が挙げられる。これらのうち、パラトルエンスルホン酸が好ましい。また、これらの化合物は、例えばパラトルエンスルホン酸ナトリウムなど、塩の形態のものを用いることができる。
カチオン性化合物(A3−1)において、一般式(A3−1)中のR13及びR14のヒドロキシアルキル基は、アミンへのエポキシ化合物の付加により生成させることができる。エポキシ化合物1分子の付加の後、連続して付加が行われ、例えばジエチレングリコール、ポリエチレングリコールのような連鎖を有している化合物が含まれていてもよい。つまり、Rl3及びRl4の少なくとも一方は炭素数2又は3のヒドロキシアルキル基であることが好ましいが、これらの炭素数は平均の値であり、オキシエチレン基の付加モル数には分布を持っていてもよい。
エポキシ化合物としては、炭素数2又は3のものが挙げられ、反応性の観点から、具体的にはエチレンオキシド、プロピレンオキシド、エピクロルヒドリン等が挙げられる。
また、原料として用いられるアミンに対するエポキシ化合物のモル比は、カチオン性化合物(A3−1)の製造効率と製造コストの観点から決定することでき、エポキシ化合物/アミンで、好ましくは1.0以上、より好ましくは1.05以上、より好ましくは1.2以上であり、そして、好ましくは3.0以下、より好ましくは2.0以下、より好ましくは1.5以下である。このモル比が1.0以上であれば紐状ミセルが十分に形成されスラリーへの粘性付与効果が良好となり、3.0以下であれば紐状ミセルの緩和時間が適切となり、同様に粘性付与効果が良好となる。
カチオン性化合物(A3−1)が、原料として更にエポキシ化合物を用いて得られた化合物である場合、カチオン性化合物(A3−1)は、下記工程(I)及び工程(II)を有する製造方法により得られた化合物であり、工程(I)及び工程(II)で用いるアニオン性芳香族化合物の合計が、工程(I)で用いたアミンに対してモル比で0.93以上、1.02以下であることが好ましい。
工程(I):アニオン性芳香族化合物の存在下で、アミンにエポキシ化合物を付加させる工程
工程(II):工程(I)で得られた反応生成物に、更にアニオン性芳香族化合物を添加する工程
工程(I)は、原料アミンに、所定量のアニオン性芳香族化合物の存在下で、エポキシ化合物を付加させる工程である。エポキシ化合物の付加反応は、公知の方法に準じて行うことができる。例えば、反応温度は、好ましくは30℃以上、より好ましく50℃以上、そして、好ましくは150℃以下、より好ましくは120℃である。また、反応時間は、好ましくは0.05時間以上、より好ましくは0.1時間以上、そして、好ましくは20時間以下、より好ましくは10時間以下である。エポキシ化合物の付加反応の終結は、原料として用いたアミンの残存量を定量することにより確認できる。原料アミンの残存量は電位差滴定を用いた逆滴定により求めることができる。
本発明では、工程(I)で得られた反応生成物に、更にアニオン性芳香族化合物を添加する工程(II)を有することが、エポキシ化合物の付加反応を高められる、すなわち4級化反応が進むので、粘弾性発現に優れるレオロジー改質剤が得られることから好ましい。ただし、工程(II)を行う場合、工程(I)及び工程(II)で用いるアニオン性芳香族化合物の合計は、工程(I)で用いた原料として用いたアミンに対してモル比で0.93以上、1.02以下である。すなわち、工程(I)で仕込んだアミンを基準にして、工程(I)で用いたアニオン性芳香族化合物と工程(II)で更に添加するアニオン性芳香族化合物との合計モル比が0.93以上、1.02以下となるように、工程(I)で得られた反応生成物に、更にアニオン性芳香族化合物を添加する。
工程(I)におけるアミンに対するアニオン性芳香族化合物のモル比は、好ましくは0.90以上、より好ましくは0.92以上、そして、好ましくは0.98以下、より好ましくは0.96以下であり、工程(II)における工程(I)で用いたアミンに対するアニオン性芳香族化合物のモル比は、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.03以上、そして、好ましくは0.12以下、より好ましくは0.06以下である。
また、工程(I)におけるアミンに対するアニオン性芳香族化合物のモル比(M1)と工程(II)における工程(I)で用いたアミンに対するアニオン性芳香族化合物のモル比(M2)との比率(M2)/(M1)は、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.03以上、そして、好ましくは0.13以下、より好ましくは0.07以下である。
カチオン性化合物(A3−1)は、水溶液やスラリー中で会合体を形成し増粘させる機能を有する4級カチオン基と芳香族アニオン基(a2)の両方を有する4級塩型化合物であることから、4級カチオン性化合物と芳香族アニオン性化合物という2種の薬剤を別々に計量・添加する必要がなく、1種の薬剤の計量・添加で同様の増粘状態が得られるため作業性に優れる。
カチオン性化合物(A3−1)は、その製造方法上、ハロゲン元素が含まれないため、使用する場所に金属が存在していた場合でも、その腐食を促進する恐れがない。
カチオン性化合物(A3−1)は、増粘する温度領域を広くする観点から、一般式(A3−1)中のR11の炭素数が異なる4級カチオン基を2種以上有することが好ましい。更に、レオロジー改質剤の水への溶解性とレオロジー改質の効果を高める観点から、4級カチオン基のアルキル基(R11)の長さが異なるカチオン性化合物(A3−1)を2種以上用いることが好ましい。
<(B)成分>
(B)成分は、(A2)及び(a2)を除くアニオン性界面活性剤であって、総炭素数が8以上、22以下であるアニオン性界面活性剤及び炭素数8以上、22以下の炭化水素基を有するアニオン性界面活性剤から選ばれるアニオン性界面活性剤である。
(B)成分のうち、炭素数8以上、22以下の炭化水素基を有するアニオン性界面活性剤では、粘性低減の観点から、炭化水素基の炭素数は、8以上、好ましくは12以上、そして、22以下、好ましくは18以下である。また、炭化水素基はアルキル基又はアルケニル基が好ましい。
(B)成分としては、総炭素数8以上、22以下のアルキルナフタレンスルホン酸、炭素数8以上、22以下のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキル又はアルケニルベンゼンスルホン酸、炭素数8以上、22以下のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキル又はアルケニル硫酸、炭素数8以上、22以下のアルキル基又はアルケニル基を有するポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテル硫酸、総炭素数8以上、22以下の脂肪酸及びこれらのアルカリ金属塩からなる群より選ばれる1種以上のアニオン性界面活性剤が挙げられる。
(B)成分としては、総炭素数8以上、22以下のアルキルナフタレンスルホン酸、炭素数8以上、22以下のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキル又はアルケニルベンゼンスルホン酸、炭素数8以上、22以下のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキル又はアルケニル硫酸、炭素数8以上、22以下のアルキル基又はアルケニル基を有するポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテル硫酸及びこれらのアルカリ金属塩からなる群より選ばれる1種以上のアニオン性界面活性剤が好ましい。
総炭素数8以上、22以下のアルキルナフタレンスルホン酸及びそのアルカリ金属塩としては、粘性低減の観点から、アルキル基の炭素数が好ましくは2以上、より好ましくは4以上、そして、好ましくは8以下、より好ましくは6以下のものが挙げられる。従って、アルキルナフタレンスルホン酸及びそのアルカリ金属塩の総炭素数は、好ましくは12以上、より好ましくは14以上、そして、好ましくは18以下、より好ましくは16以下である。
また、アルキル又はアルケニルベンゼンスルホン酸及びそのアルカリ金属塩としては、粘性低減の観点から、アルキル基又はアルケニル基の炭素数が6以上、好ましくは8以上、そして、18以下、好ましくは16以下のものが挙げられる。よって、アルキル又はアルケニルベンゼンスルホン酸及びそのアルカリ金属塩は、炭素数6以上、好ましくは8以上、そして、好ましくは18以下、より好ましくは16のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキル又はアルケニルベンゼンスルホン酸及びそのアルカリ金属塩が挙げられる。
また、アルキル又はアルケニル硫酸及びそのアルカリ金属塩としては、粘性低減の観点から、アルキル基又はアルケニル基の炭素数が8以上、好ましくは12以上、そして、22以下、好ましくは18以下のものが挙げられる。よって、アルキル又はアルケニル硫酸及びそのアルカリ金属塩は、炭素数8以上、好ましくは12以上、そして、22以下、好ましくは18以下のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキル又はアルケニル硫酸及びそのアルカリ金属塩が挙げられる。
また、ポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテル硫酸及びそのアルカリ金属塩としては、粘性低減の観点から、エチレンオキサイド平均付加モル数が好ましくは0.1以上、より好ましくは1以上、そして、好ましくは5以下、より好ましくは3以下のものが挙げられる。エチレンオキサイドの付加モル数は、1以上が好ましく、そして、10以下が好ましく、8以下がより好ましく、5以下が更に好ましい。また、ポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテルのアルキル基又はアルケニル基としては、炭素数8以上、好ましくは12以上、そして、炭素数22以下、好ましくは18以下のものが挙げられる。よって、ポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテル硫酸及びそのアルカリ金属塩は、炭素数8以上、好ましくは12以上、そして、22以下、好ましくは18以下のアルキル基又はアルケニル基を有し、エチレンオキサイド平均付加モル数が好ましくは0.1以上、より好ましくは1以上、そして、好ましくは5以下、より好ましくは3以下である、ポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテル硫酸及びそのアルカリ金属塩が挙げられる。
また、脂肪酸及びそのアルカリ金属塩としては、粘性低減の観点から、総炭素数が8以上、好ましくは12以上、そして、22以下、好ましくは18以下のものが挙げられる。脂肪酸及びその塩としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチル酸、パルミチン酸、ステアリン酸及びこれらのアルカリ金属塩から選ばれる化合物が好ましい。
(B)成分は、水中不分離性とポンプ圧送性の観点から、アルキル基の炭素数が好ましくは2以上、より好ましくは4以上、そして、好ましくは8以下、より好ましくは6以下のアルキルナフタレンスルホン酸及びそのアルカリ金属塩から選ばれる1種以上のアニオン性界面活性剤がより好ましい。
<水硬性粉体>
水硬性粉体は、水と混合することで硬化する粉体であり、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、白色ポルトランドセメント、エコセメント(例えばJIS R5214等)が挙げられる。これらの中でも、水硬性組成物の必要な強度に達するまでの時間を短縮する観点から、早強ポルトランドセメント、普通ポルトランドセメント、耐硫酸性ポルトランドセメント及び白色ポルトランドセメントから選ばれるセメントが好ましく、早強ポルトランドセメント、普通ポルトランドセメントがより好ましい。
また、水硬性粉体には、高炉スラグ、フライアッシュ、シリカヒューム等が含まれてよく、また、非水硬性の石灰石微粉末等が含まれていてよい。水硬性粉体として、セメントと高炉スラグ、フライアッシュ、シリカヒューム等とが混合されたシリカヒュームセメントや高炉セメントを用いてもよい。
<骨材>
本発明の水硬性組成物は、骨材を含有することが好ましい。骨材は、細骨材や粗骨材等が挙げられ、細骨材は山砂、陸砂、川砂、砕砂が好ましく、粗骨材は山砂利、陸砂利、川砂利、砕石が好ましい。用途によっては、軽量骨材を使用してもよい。なお、骨材の用語は、「コンクリート総覧」(1998年6月10日、技術書院発行)による。
<分散剤>
本発明の水硬性組成物は、分散剤を含有することが好ましい。分散剤は、水硬性粉体用分散剤であり、ナフタレン系重合体、メラミン系重合体、フェノール系重合体、リグニン系重合体が挙げられ、水硬性組成物の必要な強度に達するまでの時間を短縮する観点から、好ましくはナフタレン系重合体及びポリカルボン酸系共重合体から選ばれる分散剤であり、より好ましくはナフタレン系重合体から選ばれる分散剤である。
ナフタレン系重合体としては、ナフタレンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物(例えば花王株式会社製マイテイ150)、メラミン系重合体としてはメラミンスルフォン酸塩ホルムアルデヒド縮合物(例えば花王株式会社製マイテイ150−V2)、フェノール系重合体としては、フェノールスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物(特開昭49−104919号公報に記載の化合物等)、リグニン系重合体としてはリグニンスルフォン酸塩(ボレガード社製ウルトラジンNA、日本製紙ケミカル株式会社製サンエキス、バニレックス、パールレックス等)等を用いることができる。
ポリカルボン酸系共重合体としては、ポリアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸とのモノエステルと(メタ)アクリル酸等のカルボン酸との共重合体(例えば特開平8−12397号公報に記載の化合物等)、ポリアルキレングリコールを有する不飽和アルコールと(メタ)アクリル酸等のカルボン酸との共重合体、ポリアルキレングリコールを有する不飽和アルコールとマレイン酸等のジカルボン酸との共重合体等を用いることができる。ここで、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれるカルボン酸の意味である。
ポリカルボン酸系共重合体としては、下記の一般式(1)で表される単量体(1)と下記の一般式(2)で表される単量体(2)とを重合して得られる共重合体〔以下、ポリカルボン酸系共重合体(I)という〕を用いることができる。
Figure 2015113243
〔式中、
1、R2:水素原子、又はメチル基
l:0以上2以下の数
m:0又は1の数
AO:炭素数2以上4以下のアルキレンオキシ基
n:AOの平均付加モル数であり、5以上150以下の数、
3:水素原子、又は炭素数1以上4以下のアルキル基
を表す。〕
Figure 2015113243
〔式中、
4、R5、R6:水素原子、メチル基、又は(CH2m1COOM2
1、M2:水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム、アルキルアンモニウム、又は置換アルキルアンモニウム
m1:0以上2以下の数
を表す。なお、(CH2m1COOM2はCOOM1と無水物を形成していてもよい。〕
一般式(1)中、AOは、水硬性組成物の流動性の観点から、好ましくは炭素数2又は3、より好ましくは炭素数2のアルキレンオキシ基(エチレンオキシ基)である。
nは、水硬性組成物の24時間後の強度向上の観点から、好ましくは9以上、より好ましくは20以上、より好ましくは50以上、より好ましくは70以上の数である。nは、水硬性組成物の初期流動性の観点から、好ましくは150以下、より好ましくは130以下の数である。
mが0の場合は、lは好ましくは1又は2である。mが1の場合は、lは好ましくは0である。共重合体の重合時の重合性の観点から、mは1が好ましい。mが0の場合は、単量体の製造の容易性の観点からR3は水素原子が好ましい。mが1の場合は、単量体の製造の容易性の観点からR3は炭素数1以上4以下のアルキル基が好ましく、さらに水溶性の観点からメチル基がより好ましい。
単量体(1)として、例えば、ポリアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸とのエステル及びアルケニルアルコールにアルキレンオキシドが付加したエーテル等を用いることができる。単量体(1)は、共重合体の重合時の重合性の観点から、ポリアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸とのエステルが好ましい。
ポリアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸とのエステルとして、片末端封鎖されたアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸とのエステル等を用いることができる。具体的には、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、エトキシポリエチレングリコールアクリレート及びエトキシポリエチレングリコールメタクリレート等の1種以上を用いることができる。
また、アルケニルアルコールにアルキレンオキシドが付加したエーテルとして、アリルアルコールのエチレンオキサイド付加物等を用いることができる。具体的には、メタリルアルコールのエチレンオキサイド付加物及び3−メチル−3−ブテン−1−オールのエチレンオキサイド付加物等を用いることができる。
単量体(2)としては、アクリル酸又はその塩、メタクリル酸又はその塩、マレイン酸又はその塩、無水マレイン酸等から選ばれる1種以上を用いることができる。単量体(2)は、単量体(1)のmが1の場合は、共重合体の重合時の重合性の観点から、メタクリル酸又はその塩が好ましく、単量体(1)のmが0の場合は、共重合体の重合時の重合性の観点から、マレイン酸又はその塩、無水マレイン酸が好ましい。
<その他の成分>
水硬性組成物は、本発明の効果に影響ない範囲で、更にその他の成分を含有することもできる。例えば、AE剤、遅延剤、起泡剤、増粘剤、発泡剤、防水剤、流動化剤、消泡剤等が挙げられる。
<水硬性組成物の組成等>
本発明の水硬性組成物は、水中不分離性確保及び粘性低減の観点から、(A)成分の含有量が、水硬性組成物の水相100質量部に対して、0.75質量部以上、5.0質量部以下である。水中不分離性確保の観点から、(A)成分の含有量は、水硬性組成物の水相100質量部に対して、0.75質量部以上、好ましくは0.85質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上であり、そして、粘性低減の観点から、5.0質量部以下、好ましくは4.0質量部以下、より好ましくは2.5質量部未満、より好ましくは1.5質量部以下である。この含有量は(A)成分が、カチオン性界面活性剤(A1)及びアニオン性芳香族化合物(A2)の組み合わせである場合は、これらの合計の含有量である。なお、(A)成分の含有量は、特記しない限り、有効分換算の含有量であり、質量比も有効分換算の含有量に基づくものである。
ここで、水硬性組成物の水相とは、水硬性組成物から水硬性粉体などの水に不溶である固体相を除いた、水及び(A)成分、(B)成分などの水に溶解している成分を含む液体相である。本発明に係る水硬性組成物の水は、コンクリートの調製に当業界で通常用いられるものが使用でき、水道水などが挙げられる。水相は、使用時の温度において形成されるものを基準とすることができる。通常は、5℃以上、35℃での溶解状態を基準に、この範囲にある温度で形成されている液体相を水相とすることができる。
本発明の水硬性組成物は、粘性低減と水中不分離性確保の観点から、(B)成分の含有量が、水硬性組成物の水相100質量部に対して、0.010質量部以上、1.5質量部以下である。粘性低減の観点から、(B)成分の含有量は、水硬性組成物の水相100質量部に対して、0.010質量部以上、好ましくは0.015質量部以上、より好ましくは0.020質量部以上であり、そして、水中不分離性確保の観点から、1.5質量部以下、好ましくは1.0質量部以下、より好ましくは0.50質量部以下である。なお、(B)成分の含有量は、特記しない限り、有効分換算の含有量であり、質量比も有効分換算の含有量に基づくものである。
本発明の水硬性組成物は、(A)成分の含有量と(B)成分の含有量の質量比が、[(B)成分の含有量/(A)成分の含有量]で、特定範囲にある。
すなわち、(A)成分の含有量が、水硬性組成物の水相100質量部に対して、0.75質量部以上、2.5質量部未満、好ましくは1.5以下である場合は、(B)成分の含有量/(A)成分の含有量の質量比は、水中不分離性確保と粘性低減の観点から、0.0080以上、好ましくは0.0090以上、より好ましくは0.010以上、そして、水中不分離性確保の観点から、0.32以下、好ましくは0.30以下、より好ましくは0.10以下である。
また、(A)成分の含有量が、水硬性組成物の水相100質量部に対して、2.5質量部以上、5.0質量部以下の場合は、(B)成分の含有量/(A)成分の含有量の質量比は、水中不分離性確保と粘性低減の観点から、0.032以上、好ましくは0.036以上、より好ましくは0.040以上であり、そして、水中不分離性確保の観点から、0.32以下、好ましくは0.30以下、より好ましくは0.10以下である。
本発明の水硬性組成物は、強度発現の観点から、水硬性粉体の含有量が、水硬性組成物の水相100質量部に対して、好ましくは30質量部以上、より好ましくは40質量部以上、より好ましくは50質量部以上であり、そして、粘性低減の観点から、好ましくは700質量部以下、より好ましくは600質量部以下、より好ましくは500質量部以下である。
本発明の水硬性組成物は、フレッシュコンクリートの流動性発現の観点から、分散剤の含有量が、水相100質量部に対して、好ましくは0.02質量部以上、より好ましくは0.06質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上であり、そして、保持性確保の観点から、好ましくは2質量部以下、より好ましくは1.4質量部以下、より好ましくは1質量部以下である。
<水硬性組成物の製造方法、圧送方法、粘度低減剤>
本発明により、上記(A)成分と、上記(B)成分と、水硬性粉体と、水とを混合する工程を有する、水硬性組成物の製造方法であって、
(A)成分を、水硬性組成物の水相100質量部に対して、0.75質量部以上、好ましくは0.85質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上、そして、5.0質量部以下、好ましくは4.0質量部以下、より好ましくは2.5質量部以下、より好ましくは2.5質量部未満、より好ましくは1.5質量部以下、(B)成分を、水硬性組成物の水相100質量部に対して、0.010質量部以上、好ましくは0.015質量部以上、より好ましくは0.020質量部以上、そして、1.5質量部以下、好ましくは1.0質量部以下、より好ましくは0.50質量部以下の割合で混合し、
(A)成分を、水硬性組成物の水相100質量部に対して、0.75質量部以上、2.5質量部未満、好ましくは1.5以下の割合で混合する場合、(A)成分の含有量と(B)成分の含有量の質量比は、[(B)成分の含有量/(A)成分の含有量]で、0.0080以上、好ましくは0.0090以上、より好ましくは0.010以上、0.32以下、好ましくは0.30以下、より好ましくは0.10以下であり、
(A)成分を、水硬性組成物の水相100質量部に対して、2.5質量部以上、5.0質量部以下の割合で混合する場合、(A)成分の量と(B)成分の量の質量比は、[(B)成分の量/(A)成分の量]で、0.032以上、好ましくは0.036以上、より好ましくは0.040以上、0.32以下、好ましくは0.30以下、より好ましくは0.10以下である、
水硬性組成物の製造方法が提供される。この水硬性組成物の製造方法では、(A)成分、(B)成分を、それぞれ、水硬性組成物の水相100質量部に対して、前記所定の割合となるように混合するが、(A)成分、(B)成分、水硬性粉体の好ましい態様、その他の成分の好ましい態様は、水硬性組成物で述べたものを適用できる。また、(A)成分の量及び(B)成分の量は、それぞれ、有効分換算の含有量であり、質量比も有効分換算の含有量に基づくものである。
本発明の水硬性組成物の製造方法として、
(A)成分が、カチオン性界面活性剤(A1)及びアニオン性芳香族化合物(A2)の組み合わせであり、
アニオン性芳香族化合物(A2)と(B)成分と水硬性粉体と水を混合して混合物(1)を得る工程(1)、
カチオン性界面活性剤(A1)と水を混合して混合物(2)を得る工程(2)、及び
混合物(1)と混合物(2)を混合する工程(3)、
を有する水硬性組成物の製造方法が挙げられる。
本発明の水硬性組成物の製造方法では、水硬性組成物の製造工程の何れかで、骨材を混合することが好ましい。また、本発明の水硬性組成物の製造方法では、水硬性組成物の製造工程の何れかで、分散剤を混合することが好ましい。分散剤は、水硬性組成物の水相100質量部に対して、好ましくは0.02質量部以上、より好ましくは0.06質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、そして、好ましくは2質量部以下、より好ましくは1.4質量部以下、より好ましくは1質量部以下の割合となるように混合する。
本発明の水硬性組成物の製造方法において、各成分の混合は、既存の装置は全て使用可能であり、例えば、傾胴ミキサー、パン型ミキサー、二軸強制ミキサー、オムニミキサー、ヘンシェルミキサー、V型ミキサー、及びナウターミキサーなどが挙げられる。
本発明に係る水硬性組成物の打設の方法は、水硬性組成物をポンプで圧送する工程と、ポンプで圧送された水硬性組成物を打設する工程、を有する方法が挙げられる。
本発明により、前記本発明の水硬性組成物は、打設場所まで運搬しその後型枠に流し込み打設を行う。運搬方法は、一般的に用いる方法が挙げられ、特に限定されるものでは無いが、ポンプで圧送する方法、ミキサー車で運搬する方法、混合機からホッパーに流し込み移動させる方法等が挙げられる。粘性が低減できる観点から、ミキサー車やホッパーで運搬できない場所に打設する場合などは、低い能力のポンプでも圧送出来る利点があり、特にポンプで圧送する運搬方法が好適である。
本発明の水硬性組成物をポンプ圧送する場合は、所望の物性に調整され、練りあがった水硬性組成物を、適切に配設された配管にポンプで圧送することで実施できる。ミキサー車などで搬送後に、水硬性組成物をポンプ車などのポンプを用いて圧送することもできる。
ポンプの種類は、一般的に用いるスクイーズ式とピストン式などが挙げられ、特に限定されるものではない。
本発明により、前記(B)成分からなる水硬性組成物用粘度低減剤であって、水硬性組成物が前記(A)成分を含有する、水硬性組成物用粘度低減剤が提供される。
本発明の態様を以下に示す。
<1> 下記(A)成分、下記(B)成分、水硬性粉体、及び水を含有する水硬性組成物であって、
(A)成分の含有量が、水硬性組成物の水相100質量部に対して、0.75質量部以上、5.0質量部以下であり、
(B)成分の含有量が、水硬性組成物の水相100質量部に対して、0.010質量部以上、1.5質量部以下であり、
(A)成分の含有量が、水硬性組成物の水相100質量部に対して、0.75質量部以上、2.5質量部未満の場合、(A)成分の含有量と(B)成分の含有量の質量比が、[(B)成分の含有量/(A)成分の含有量]で、0.0080以上、0.32以下であり、
(A)成分の含有量が、水硬性組成物の水相100質量部に対して、2.5質量部以上、5.0質量部以下の場合、(A)成分の含有量と(B)成分の含有量の質量比は、[(B)成分の含有量/(A)成分の含有量]で、0.032以上、0.32以下である、
水硬性組成物。
(A)成分:カチオン性界面活性剤(A1)及び、サリチル酸、p−トルエンスルホン酸、スルホサリチル酸、安息香酸、m−スルホ安息香酸、p−スルホ安息香酸、4−スルホフタル酸、5−スルホイソフタル酸、p−フェノールスルホン酸、m−キシレン−4−スルホン酸、クメンスルホン酸、メチルサリチル酸、スチレンスルホン酸、クロロ安息香酸の1種以上より選ばれるアニオン性芳香族化合物(A2)の組み合わせ、又は炭素数10以上、26以下の炭化水素基を少なくとも1つ有する4級カチオン基(a1)とパラトルエンスルホネート、サリシレート、メタキシレンスルホネート、クメンスルホネート、スチレンスルホネート、ベンゼンスルホネート、ベンゾエートの1種以上から選ばれる芳香族アニオン基(a2)とを含む4級塩型カチオン性化合物(A3)
(B)成分:(A2)及び(a2)を除くアニオン性界面活性剤であって、総炭素数が8以上、22以下であるアニオン性界面活性剤及び炭素数8以上、22以下の炭化水素基を有するアニオン性界面活性剤から選ばれるアニオン性界面活性剤
<2> 前記カチオン性界面活性剤(A1)が4級塩型カチオン性界面活性剤である、前記<1>記載の水硬性組成物。
<3> 前記カチオン性界面活性剤(A1)が下記一般式(A1−1)で表されるカチオン性界面活性剤である、前記<1>又は<2>記載の水硬性組成物。
Figure 2015113243
〔式中、Rlは炭素数10以上、26以下のアルキル基又はアルケニル基、好ましくはアルキル基、R2は炭素数1以上、22以下のアルキル基又は炭素数2以上、22以下のアルケニル基、R3及びR4は、それぞれ、炭素数1以上、3以下のアルキル基である。X-は陰イオン基(アニオン性芳香族化合物由来の陰イオン基を除く)を表す。〕
<4> 前記アニオン性芳香族化合物(A2)が、p−トルエンスルホン酸又はその塩である、前記<1>〜<3>の何れか記載の水硬性組成物。
<5> (A)成分が、カチオン性界面活性剤(A1)及びアニオン性芳香族化合物(A2)の組み合わせであり、カチオン性界面活性剤(A1)とアニオン性芳香族化合物(A2)のモル比が、カチオン性界面活性剤(A1)/アニオン性芳香族化合物(A2)で、好ましくは0.15以上、より好ましくは0.40以上、より好ましくは0.80以上であり、そして、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.2以下、より好ましくは1.0以下である、前記<1>〜<4>の何れか記載の水硬性組成物。
<6> (A)成分が、炭素数10以上、26以下の炭化水素基を少なくとも1つ有する4級カチオン基(a1)とパラトルエンスルホネート、サリシレート、メタキシレンスルホネート、クメンスルホネート、スチレンスルホネート、ベンゼンスルホネート、ベンゾエートの1種以上から選ばれる芳香族アニオン基(a2)とを含む4級塩型カチオン性化合物(A3)である、前記<1>〜<4>の何れか記載の水硬性組成物。
<7> 4級塩型カチオン性化合物(A3)が、下記一般式(A3−1)で表される化合物〔以下、カチオン性化合物(A3−1)という〕である、前記<1>〜<6>の何れか記載の水硬性組成物。
Figure 2015113243
〔式中、Rllは炭素数10以上、26以下のアルキル基、Rl2は炭素数1以上、22以下のアルキル基又は炭素数2もしくは3のヒドロキシアルキル基、Rl3及びRl4は、それぞれ、炭素数1以上、3以下のアルキル基又は炭素数2もしくは3のヒドロキシアルキル基であり、少なくとも一方は炭素数2又は3のヒドロキシアルキル基である。X1-はパラトルエンスルホネート、サリシレート、メタキシレンスルホネート、クメンスルホネート、スチレンスルホネート、ベンゼンスルホネート、ベンゾエートの1種以上から選ばれる芳香族アニオン基、好ましくはパラトルエンスルホネートを表す。〕
<8> カチオン性化合物(A3−1)が、一般式(A3−1)中のR11の炭素数が異なる化合物を2種以上含む、前記<7>記載の水硬性組成物。
<9> カチオン性化合物(A3−1)が、一般式(A3−1)中のR11が炭素数16のアルキル基である化合物(A−C16)と炭素数18のアルキル基である化合物(A−C18)とを含み、化合物(A−C16)と化合物(A−C18)とのモル比が(A−C16)/(A−C18)で、好ましくは20/80以上、より好ましくは40/60以上、より好ましくは45/55以上であり、そして、80/20以下、好ましくは60/40以下、より好ましくは55/45以下であり、より好ましくは50/50以下であり、50/50であってもよい、前記<7>又は<8>記載の水硬性組成物。
<10> カチオン性化合物(A3−1)の全量中、一般式(A3−1)中のR11が炭素数16のアルキル基及び炭素数18のアルキル基以外の炭素数のアルキル基である化合物の割合が、好ましくは10モル%以下、より好ましくは5モル%以下、より好ましくは1モル%以下である、前記<7>〜<9>の何れか記載の水硬性組成物。
<11> (B)成分が、総炭素数8以上、22以下のアルキルナフタレンスルホン酸、炭素数8以上、22以下のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキル又はアルケニルベンゼンスルホン酸、炭素数8以上、22以下のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキル又はアルケニル硫酸、炭素数8以上、22以下のアルキル基又はアルケニル基を有するポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテル硫酸、総炭素数8以上、22以下の脂肪酸及びこれらのアルカリ金属塩からなる群より選ばれる1種以上のアニオン性界面活性剤である、前記<1>〜<10>の何れか記載の水硬性組成物。
<12> (B)成分が、アルキル基の炭素数が好ましくは2以上、より好ましくは4以上、そして、好ましくは8以下、より好ましくは6以下のアルキルナフタレンスルホン酸及びそのアルカリ金属塩から選ばれる1種以上のアニオン性界面活性剤である、前記<1>〜<11>の何れか記載の水硬性組成物。
<13> 更に、分散剤を含有する、前記<1>〜<12>の何れか記載の水硬性組成物。
<14> 分散剤が、ナフタレン系重合体及びポリカルボン酸系共重合体から選ばれる分散剤、好ましくはナフタレン系重合体から選ばれる分散剤である、前記<13>記載の水硬性組成物。
<15> 分散剤が、下記の一般式(1)で表される単量体(1)と下記の一般式(2)で表される単量体(2)とを重合して得られる共重合体〔以下、ポリカルボン酸系共重合体(I)という〕である、前記<13>又は<14>記載の水硬性組成物。
Figure 2015113243
〔式中、
1、R2:水素原子、又はメチル基
l:0以上2以下の数
m:0又は1の数
AO:炭素数2以上4以下のアルキレンオキシ基
n:AOの平均付加モル数であり、5以上、好ましくは9以上、より好ましくは20以上、より好ましくは50以上、より好ましくは70以上、そして、150以下、好ましくは130以下の数、
3:水素原子、又は炭素数1以上4以下のアルキル基
を表す。〕
Figure 2015113243
〔式中、
4、R5、R6:水素原子、メチル基、又は(CH2m1COOM2
1、M2:水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム、アルキルアンモニウム、又は置換アルキルアンモニウム
m1:0以上2以下の数
を表す。なお、(CH2m1COOM2はCOOM1と無水物を形成していてもよい。〕
<16> (A)成分の含有量が、水硬性組成物の水相100質量部に対して、0.75質量部以上、好ましくは0.85質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上であり、そして、5.0質量部以下、好ましくは4.0質量部以下、より好ましくは2.5質量部以下、より好ましくは2.5質量部未満、より好ましくは1.5質量部以下である、前記<1>〜<15>の何れか記載の水硬性組成物。
<17> (B)成分の含有量が、水硬性組成物の水相100質量部に対して、0.010質量部以上、好ましくは0.015質量部以上、より好ましくは0.020質量部以上であり、そして、1.5質量部以下、好ましくは1.0質量部以下、より好ましくは0.50質量部以下である、前記<1>〜<16>の何れか記載の水硬性組成物。
<18>
(A)成分の含有量が、水硬性組成物の水相100質量部に対して、0.75質量部以上、2.5質量部未満、好ましくは1.5以下である場合、(B)成分の含有量/(A)成分の含有量の質量比が、0.0080以上、好ましくは0.0090以上、より好ましくは0.010以上、0.32以下、好ましくは0.30以下、より好ましくは0.10以下であり、
(A)成分の含有量が、水硬性組成物の水相100質量部に対して、2.5質量部以上、5.0質量部以下の場合、(B)成分の含有量/(A)成分の含有量の質量比が、0.032以上、好ましくは0.036以上、より好ましくは0.040以上、0.32以下、好ましくは0.30以下、より好ましくは0.10以下である、
前記<1>〜<17>の何れか記載の水硬性組成物。
<19> 水硬性粉体の含有量が、水硬性組成物の水相100質量部に対して、好ましくは30質量部以上、より好ましくは40質量部以上、より好ましくは50質量部以上であり、そして、好ましくは700質量部以下、より好ましくは600質量部以下、より好ましくは500質量部以下である、前記<1>〜<18>の何れか記載の水硬性組成物。
<20> 分散剤の含有量が、水相100質量部に対して、好ましくは0.02質量部以上、より好ましくは0.06質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上であり、そして、好ましくは2質量部以下、より好ましくは1.4質量部以下、より好ましくは1質量部以下である、前記<13>〜<19>の何れか記載の水硬性組成物。
<21> 下記(A)成分と、下記(B)成分と、水硬性粉体と、水とを混合する工程を有する、水硬性組成物の製造方法であって、
(A)成分を、水硬性組成物の水相100質量部に対して、0.75質量部以上、好ましくは0.85質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上、そして、5.0質量部以下、好ましくは4.0質量部以下、より好ましくは2.5質量部未満、より好ましくは1.5質量部以下、(B)成分を、水硬性組成物の水相100質量部に対して、0.010質量部以上、好ましくは0.015質量部以上、より好ましくは0.020質量部以上、そして、1.5質量部以下、好ましくは1.0質量部以下、より好ましくは0.50質量部以下の割合で混合し、
(A)成分を、水硬性組成物の水相100質量部に対して、0.75質量部以上、2.5質量部未満、好ましくは1.5以下の割合で混合する場合、(A)成分の含有量と(B)成分の含有量の質量比は、[(B)成分の含有量/(A)成分の含有量]で、0.0080以上、好ましくは0.0090以上、より好ましくは0.010以上、0.32以下、好ましくは0.30以下、より好ましくは0.10以下であり、
(A)成分を、水硬性組成物の水相100質量部に対して、2.5質量部以上、5.0質量部以下の割合で混合する場合、(A)成分の量と(B)成分の量の質量比は、[(B)成分の量/(A)成分の量]で、0.032以上、好ましくは0.036以上、より好ましくは0.040以上、0.32以下、好ましくは0.30以下、より好ましくは0.10以下である、
水硬性組成物の製造方法。
(A)成分:カチオン性界面活性剤(A1)及び、サリチル酸、p−トルエンスルホン酸、スルホサリチル酸、安息香酸、m−スルホ安息香酸、p−スルホ安息香酸、4−スルホフタル酸、5−スルホイソフタル酸、p−フェノールスルホン酸、m−キシレン−4−スルホン酸、クメンスルホン酸、メチルサリチル酸、スチレンスルホン酸、クロロ安息香酸の1種以上より選ばれるアニオン性芳香族化合物(A2)の組み合わせ、又は炭素数10以上、26以下の炭化水素基を少なくとも1つ有する4級カチオン基(a1)とパラトルエンスルホネート、サリシレート、メタキシレンスルホネート、クメンスルホネート、スチレンスルホネート、ベンゼンスルホネート、ベンゾエートの1種以上から選ばれる芳香族アニオン基(a2)とを含む4級塩型カチオン性化合物(A3)
(B)成分:(A2)及び(a2)を除くアニオン性界面活性剤であって、総炭素数が8以上、22以下であるアニオン性界面活性剤及び炭素数8以上、22以下の炭化水素基を有するアニオン性界面活性剤から選ばれるアニオン性界面活性剤
<22> (A)成分が、カチオン性界面活性剤(A1)及びアニオン性芳香族化合物(A2)の組み合わせであり、
アニオン性芳香族化合物(A2)と(B)成分と水硬性粉体を混合して混合物(1)を得る工程(1)、
カチオン性界面活性剤(A1)と水を混合して混合物(2)を得る工程(2)、及び
混合物(1)と混合物(2)を混合する工程(3)、
を有する、前記<21>記載の水硬性組成物の製造方法。
<23> 水硬性組成物の製造工程の何れかで、分散剤を混合する、前記<21>又は<22>記載の水硬性組成物の製造方法。
<24> 水硬性組成物の製造工程の何れかで、骨材を混合する、前記<21>〜<23>の何れか記載の水硬性組成物の製造方法。
<25> 前記<1>〜<20>の何れか記載の水硬性組成物をポンプ圧送する、水硬性組成物の圧送方法。
<26> 前記<1>〜<20>の記載の水硬性組成物をポンプで圧送する工程と、ポンプで圧送された水硬性組成物を打設する工程を有する、水硬性組成物の打設方法。
<27> 下記(B)成分からなる水硬性組成物用粘度低減剤であって、水硬性組成物が下記(A)成分を含有する、水硬性組成物用粘度低減剤。
(B)成分:下記(A)成分の(A2)及び(a2)を除くアニオン性界面活性剤であって、総炭素数が8以上、22以下であるアニオン性界面活性剤及び炭素数8以上、22以下の炭化水素基を有するアニオン性界面活性剤から選ばれるアニオン性界面活性剤
(A)成分:カチオン性界面活性剤(A1)及び、サリチル酸、p−トルエンスルホン酸、スルホサリチル酸、安息香酸、m−スルホ安息香酸、p−スルホ安息香酸、4−スルホフタル酸、5−スルホイソフタル酸、p−フェノールスルホン酸、m−キシレン−4−スルホン酸、クメンスルホン酸、メチルサリチル酸、スチレンスルホン酸、クロロ安息香酸の1種以上より選ばれるアニオン性芳香族化合物(A2)の組み合わせ、又は炭素数10以上、26以下の炭化水素基を少なくとも1つ有する4級カチオン基(a1)とパラトルエンスルホネート、サリシレート、メタキシレンスルホネート、クメンスルホネート、スチレンスルホネート、ベンゼンスルホネート、ベンゾエートの1種以上から選ばれる芳香族アニオン基(a2)とを含む4級塩型カチオン性化合物(A3)
<モルタルの調製>
(1−1)使用材料
・セメント(C):普通ポルトランドセメント(太平洋セメント(株)製/住友大阪セメント(株)製=1/1、質量比)、密度3.16g/cm3
・細骨材(S):城陽産、山砂、FM=2.67、密度2.56g/cm3
・水相(W):水道水、セメント分散剤(AD)、(A)成分、(B)成分の混合系
・セメント分散剤(AD):花王(株)製高性能減水剤マイテイ3000H(ポリカルボン酸系分散剤、有効分濃度20質量%の水溶液)
・A1−1:ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド/オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライドを50/50(質量比)で併用した混合物の29質量%水溶液
・A2−1:パラトルエンスルホン酸ソーダの20質量%水溶液
・A3−1:下記合成例1で製造した、ジメチルヒドロキシエチルアルキルアンモニウムパラトルエンスルホネート〔(A)成分〕濃度が25質量%の水溶液
<合成例1>
フラスコにヘキサデシルジメチルアミン404g(1.48モル)、オクタデシルジメチルアミン444g(1.48モル)を仕込み、65℃に昇温した。前記アミン混合物中、炭素数18のアルキル基を有する化合物は50モル%であった。さらに、1,2−プロピレングリコール893gとイオン交換水1871g、p−トルエンスルホン酸の63.2質量%水溶液760g〔p−トルエンスルホン酸として2.81モル、前記の全アミン(以下単にアミンともいう。)に対するモル比0.95〕を仕込み、1時間攪拌し均一化させた。得られた混合水溶液の全量をオートクレーブに仕込み、85℃まで昇温し、攪拌後、系内を窒素置換した。エチレンオキサイド157g(3.56モル)を仕込み、3時間80〜90℃で反応させた。その後、65℃に冷却して反応器内の残圧を系外にブローし、65℃で400torr(53.3kPa)、15分間の脱気を行った。さらにp−トルエンスルホン酸の63.2質量%水溶液40g(p−トルエンスルホン酸として0.15モル、前記全アミンに対するモル比0.05)とシリコーン消泡剤(東レ・ダウコーニング(株)製、自己乳化型コンパウンド DK Q1−1183)0.12gを仕込んだ。更に、イタコン酸476.4g、デカン酸59.6g、ポリ(メタクリロイルオキシエチルジメチルエチルアンモニウムエチルサルフェート)(重量平均分子量12万)の35質量%水溶液850.8gを仕込み0.5時間攪拌し均一化させ、混合水溶液A3−1を製造した。混合水溶液A3−1の組成は、ジメチルヒドロキシエチルアルキルアンモニウムパラトルエンスルホネート〔(A)成分〕25.0質量%、1,2−プロピレングリコール15.0質量%、イタコン酸8.0質量%、デカン酸1.0質量%、ポリ(メタクリロイルオキシエチルジメチルエチルアンモニウムエチルサルフェート)5.0質量%であった。
・(B)成分:表1、2に示すアニオン性界面活性剤を用いた。モルタルの調製には、アニオン性界面活性剤をイオン交換水で10倍(質量比)に希釈して使用した。なお、表1、2中では、便宜的に(B)成分に該当しないアニオン性界面活性剤も(B)成分の欄に記載した。
(1−2)モルタルの調製
モルタルの混練は、モルタルミキサー((株)ダルトン社製 万能混練攪拌機 形式:5DM−03−V)を用い、室温20℃で評価を行った。セメント(C)、細骨材(S)を投入し空練りを10秒行い、水、セメント分散剤(AD)、アニオン性界面活性剤〔(B)成分〕を添加し1分間攪拌した。なお、セメント分散剤(AD)の添加量は、モルタルフローが、目標24±1cmとなる量を採用した。いずれのモルタル配合でも、分散剤がモルタルの水相100質量部に対して1.0質量部で前記モルタルフローとなったため、各実施例、比較例では分散剤をこの量に固定して実施した。なお、このモルタルフローは、(A)成分、(B)成分を用いないモルタルについて、JIS R 5201に基づき、直ちにフローコーンに2層詰めし、フローコーンを正しく上の方に取り去り、コーンを取り去り5分後に測定したものである。A3−1を用いる場合は、その後、A3−1を添加し更に1分間攪拌し使用モルタルとした。また、A1−1とA2−1を用いる場合は、分散剤(AD)の添加時期にA2−1のみを添加し、1分間攪拌後、A1−1を添加する以外は上記と同様の方法でモルタルを得た。表1、2に各成分の具体的な配合量等を示す。表中、水相(W)の質量は、水とA1−1、A2−1、A3−1、(B)成分、セメント分散剤(AD)を含めた質量として表記した。
<評価>
(2−1)水中不分離性の評価
水中不分離性は、コンクリート用水中不分離性混和剤品質規格(JSCE−D 104−2007)付属書2 水中不分離性コンクリートの水中分離度試験方法と類似する以下の方法で、懸濁液の濁度を測定することで評価した。
300mlのビーカーにイオン交換水を200ml計量し、別の300mlビーカーに混練後のモルタルを80g秤量した。80gのモルタルを200mlのイオン交換水中に、約8gずつ10回に分けて1分間の間に投入した。投入後3分間静置した後、上澄みを100ml採取し、アズワン(株)製ラコムテスター濁度計TN−100を用いて濁度を測定した。結果を表1、2に示した。
濁度は小さい方が水中不分離性が良好であり、以下のように判定され、a、b、cが合格水準である。
a:濁度が100以下
b:濁度が100超、150以下
c:濁度が150超、200以下
d:濁度が200超、333以下
e:濁度が333超
(2−2)ポンプ圧送性
ポンプ圧送性はモルタルの粘性に影響される。本例では、モルタルフロータイムでポンプ圧送性を評価した。
混練後のモルタルを、JIS R 5201に基づき、直ちにフローコーンに2層詰めし、フローコーンを正しく上の方に取り去り、フローの平均長さが20cmに達する時間(以下、モルタルフロータイムという)を計測しポンプ圧送性の指標とした。結果を表1、2に示した。
モルタルフロータイムは小さい方がポンプ圧送性が良好であり、以下のように判定され、a、bが合格水準である。
a:モルタルフロータイムが30秒以下
b:モルタルフロータイムが30秒超、45秒以下
c:モルタルフロータイムが45秒超
Figure 2015113243
Figure 2015113243
表1、2中、モルタル配合における分散剤、(A)成分の配合量(g)は、水溶液としての配合量(g)を示す。表1、2中、モルタル配合における(B)/(A)の質量比は、有効分換算の配合量に基づく質量比を示す。また、表1、2中、分散剤、(A)成分、(B)成分の水相100質量部に対する質量部は、それぞれ、有効分換算の質量部である。

Claims (11)

  1. 下記(A)成分、下記(B)成分、水硬性粉体、及び水を含有する水硬性組成物であって、
    (A)成分の含有量が、水硬性組成物の水相100質量部に対して、0.75質量部以上、5.0質量部以下であり、
    (B)成分の含有量が、水硬性組成物の水相100質量部に対して、0.010質量部以上、1.5質量部以下であり、
    (A)成分の含有量が、水硬性組成物の水相100質量部に対して、0.75質量部以上、2.5質量部未満の場合、(A)成分の含有量と(B)成分の含有量の質量比が、[(B)成分の含有量/(A)成分の含有量]で、0.0080以上、0.32以下であり、
    (A)成分の含有量が、水硬性組成物の水相100質量部に対して、2.5質量部以上、5.0質量部以下の場合、(A)成分の含有量と(B)成分の含有量の質量比は、[(B)成分の含有量/(A)成分の含有量]で、0.032以上、0.32以下である、
    水硬性組成物。
    (A)成分:カチオン性界面活性剤(A1)及び、サリチル酸、p−トルエンスルホン酸、スルホサリチル酸、安息香酸、m−スルホ安息香酸、p−スルホ安息香酸、4−スルホフタル酸、5−スルホイソフタル酸、p−フェノールスルホン酸、m−キシレン−4−スルホン酸、クメンスルホン酸、メチルサリチル酸、スチレンスルホン酸、クロロ安息香酸の1種以上より選ばれるアニオン性芳香族化合物(A2)の組み合わせ、又は炭素数10以上、26以下の炭化水素基を少なくとも1つ有する4級カチオン基(a1)とパラトルエンスルホネート、サリシレート、メタキシレンスルホネート、クメンスルホネート、スチレンスルホネート、ベンゼンスルホネート、ベンゾエートの1種以上から選ばれる芳香族アニオン基(a2)とを含む4級塩型カチオン性化合物(A3)
    (B)成分:(A2)及び(a2)を除くアニオン性界面活性剤であって、総炭素数が8以上、22以下であるアニオン性界面活性剤及び炭素数8以上、22以下の炭化水素基を有するアニオン性界面活性剤から選ばれるアニオン性界面活性剤
  2. (B)成分が、総炭素数8以上、22以下のアルキルナフタレンスルホン酸、炭素数8以上、22以下のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキル又はアルケニルベンゼンスルホン酸、炭素数8以上、22以下のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキル又はアルケニル硫酸、炭素数8以上、22以下のアルキル基又はアルケニル基を有するポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテル硫酸、総炭素数8以上、22以下の脂肪酸及びこれらのアルカリ金属塩からなる群より選ばれる1種以上のアニオン性界面活性剤である請求項1記載の水硬性組成物。
  3. 前記カチオン性界面活性剤(A1)が4級塩型カチオン性界面活性剤である請求項1又は2記載の水硬性組成物。
  4. 前記水硬性粉体の含有量が、水硬性組成物の水相100質量部に対して、30質量部以上、700質量部以下である請求項1〜3の何れか1項記載の水硬性組成物。
  5. 更に、分散剤を含有する請求項1〜4の何れか1項記載の水硬性組成物。
  6. 下記(A)成分と、下記(B)成分と、水硬性粉体と、水とを混合する工程を有する、水硬性組成物の製造方法であって、
    (A)成分を、水硬性組成物の水相100質量部に対して、0.75質量部以上、5.0質量部以下、(B)成分を、水硬性組成物の水相100質量部に対して、0.010質量部以上、1.5質量部以下の割合で混合し、
    (A)成分を、水硬性組成物の水相100質量部に対して、0.75質量部以上、2.5質量部未満の割合で混合する場合、(A)成分の含有量と(B)成分の含有量の質量比は、[(B)成分の含有量/(A)成分の含有量]で、0.0080以上、0.32以下であり、
    (A)成分を、水硬性組成物の水相100質量部に対して、2.5質量部以上、5.0質量部以下の割合で混合する場合、(A)成分の量と(B)成分の量の質量比は、[(B)成分の量/(A)成分の量]で、0.032以上、0.32以下である、
    水硬性組成物の製造方法。
    (A)成分:カチオン性界面活性剤(A1)及び、サリチル酸、p−トルエンスルホン酸、スルホサリチル酸、安息香酸、m−スルホ安息香酸、p−スルホ安息香酸、4−スルホフタル酸、5−スルホイソフタル酸、p−フェノールスルホン酸、m−キシレン−4−スルホン酸、クメンスルホン酸、メチルサリチル酸、スチレンスルホン酸、クロロ安息香酸の1種以上より選ばれるアニオン性芳香族化合物(A2)の組み合わせ、又は炭素数10以上、26以下の炭化水素基を少なくとも1つ有する4級カチオン基(a1)とパラトルエンスルホネート、サリシレート、メタキシレンスルホネート、クメンスルホネート、スチレンスルホネート、ベンゼンスルホネート、ベンゾエートの1種以上から選ばれる芳香族アニオン基(a2)とを含む4級塩型カチオン性化合物(A3)
    (B)成分:(A2)及び(a2)を除くアニオン性界面活性剤であって、総炭素数が8以上、22以下であるアニオン性界面活性剤及び炭素数8以上、22以下の炭化水素基を有するアニオン性界面活性剤から選ばれるアニオン性界面活性剤
  7. (A)成分が、前記カチオン性界面活性剤(A1)及び前記アニオン性芳香族化合物(A2)の組み合わせであり、
    アニオン性芳香族化合物(A2)と(B)成分と水硬性粉体と水を混合して混合物(1)を得る工程(1)、
    カチオン性界面活性剤(A1)と水を混合して混合物(2)を得る工程(2)、及び
    混合物(1)と混合物(2)を混合する工程(3)、
    を有する請求項6記載の水硬性組成物の製造方法。
  8. 水硬性組成物の製造工程の何れかで、分散剤を混合する、請求項6又は7記載の水硬性組成物の製造方法。
  9. 請求項1〜5の何れか1項記載の水硬性組成物をポンプ圧送する、水硬性組成物の圧送方法。
  10. 請求項1〜5の何れか1項記載の水硬性組成物をポンプで圧送する工程と、ポンプで圧送された水硬性組成物を打設する工程を有する、水硬性組成物の打設方法。
  11. 下記(B)成分からなる水硬性組成物用粘度低減剤であって、水硬性組成物が下記(A)成分を含有する、水硬性組成物用粘度低減剤。
    (B)成分:下記(A)成分の(A2)及び(a2)を除くアニオン性界面活性剤であって、総炭素数が8以上、22以下であるアニオン性界面活性剤及び炭素数8以上、22以下の炭化水素基を有するアニオン性界面活性剤から選ばれるアニオン性界面活性剤
    (A)成分:カチオン性界面活性剤(A1)及び、サリチル酸、p−トルエンスルホン酸、スルホサリチル酸、安息香酸、m−スルホ安息香酸、p−スルホ安息香酸、4−スルホフタル酸、5−スルホイソフタル酸、p−フェノールスルホン酸、m−キシレン−4−スルホン酸、クメンスルホン酸、メチルサリチル酸、スチレンスルホン酸、クロロ安息香酸の1種以上より選ばれるアニオン性芳香族化合物(A2)の組み合わせ、又は炭素数10以上、26以下の炭化水素基を少なくとも1つ有する4級カチオン基(a1)とパラトルエンスルホネート、サリシレート、メタキシレンスルホネート、クメンスルホネート、スチレンスルホネート、ベンゼンスルホネート、ベンゾエートの1種以上から選ばれる芳香族アニオン基(a2)とを含む4級塩型カチオン性化合物(A3)
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