JP2015112866A - 金属繊維による繊維構造体の交絡積層体 - Google Patents
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Abstract
Description
このうち金属不織布は、1枚では空隙が大きいため、所望の多孔性を得るために、積層によって厚くして使用することが多い。しかし、不織布間の密着性が弱いために層間剥離が発生し易いことや、取り扱い時に金属繊維が離脱する等といった問題があった。
また、前記したようにグラスウールの如き空隙の多い状態となる多孔性構造では、緻密でないため空気移動の遮断性に劣り、また金属繊維が不連続で存在するために熱抵抗や電気抵抗も大きくなる等の理由から、音的性能や熱的性能、電気的性能、対・流体性能などを十分に期待できないことが予測される。これらのことから、この従来の多孔性素材は、柔軟性及び多孔性について要請を満足させるような構造を備えたものではなく、また当然に、この構造を備えてないために所望する高機能も得られてないと言わざるを得なかった。
即ち、本発明に係る金属繊維による繊維構造体の交絡積層体は、積層された複数層の繊維構造体を有しており、少なくとも一層の繊維構造体は金属繊維によって形成されていると共に、前記金属繊維には積層関係にある少なくとも一つの繊維構造体を突き抜けた後に元層へ戻るループ形を形成したものが含まれており、前記ループは繊維構造体を突き抜けた部分が当該繊維構造体に沿う面方向で屈曲変形されていることを特徴とする。
により形成されたものとするのがよい。
この交絡積層体は、積層前における全繊維構造体の総厚に比べて積層状態の総厚が圧縮状態に保持形成されたものとするのがよい。
少なくとも一方の表面層に配置される繊維構造体は金属繊維により形成されたものとし、当該繊維構造体から突出又は積層の下層側から突き抜けて突出する全てのループが屈曲変形されることによって表面側を平坦面に形成されたものとしてもよい。
積層方向両側の表面層に配置される繊維構造体について、表裏の区別なく同一構造とすることができる。
金属繊維により形成された前記繊維構造体は、編物とするのが好適である。
図1及び図2は、本発明に係る交絡積層体1の第1実施形態を模式的に示した側断面図である。この交絡積層体1は、細孔を無数に含んだ多孔性構造となったものであって(図6(b)参照)、2層以上の繊維構造体2を積層させ(図例では4層の場合を示している)、且つ積層厚(積層方向の総厚)を圧縮状態に保持させた構成となっている。
各層の繊維構造体2は編物とされている。すなわち、繊維構造体2は、コース方向に沿
ってループが繰り替えされ、このコースが、コース方向とは直交関係にあるウエール方向に並びつつループ相互を絡み合わせるように編成された編組織を有している(図6(a)参照)。編組織には平編、ゴム編、パール編、両面編などを採用することができ、また丸編機や横編機など、汎用の編機によって編成できるものとしてある。また、応用組織も適用可能である。
各層の繊維構造体2は金属繊維によって形成されている。ここにおいて、金属繊維には連続長繊維のみならず、金属線の単線を含むものとする。また個々の繊維構造体2のなかにおいて同種又は異種の複数本の金属繊維を混用することもできる。更に、金属繊維を含むことを条件として、その他、有機繊維を混用することもできる。これらの混用は、引きそろえ編やプレーティング編、或いはインレイを採用することで実現可能である。
金属線とする場合の線径は10〜500μmのものが好適である。また、金属線を採用する場合、線表面に対して湿式や乾式のコーティング、又はメッキなどで表面処理を施したり、真空成膜により有機又は無機の薄膜を成膜したりすることが可能である。このようにすることで、繊維構造体2、ひいては交絡積層体1の全体として、親水性、撥水性、耐食・防食性、カラーリング等の機能を持たせることができる。
、中間層の繊維構造体2B,2Cの層中や層間などに生じた絡まりにより中間凝縮部7が形成されている。このような突き抜けループ5による絡まり(表面凝縮部3や中間凝縮部7)により、各層の繊維構造体2が層間剥離し難い層構造として交絡結合されている。
このような構成の交絡積層体1を製造するには、次のようにする。
次に、この重ね合わせた繊維構造体2に対し、図4(c)に矢符Xで示すようにその片面側からニードルパンチ、ウォータージェット等の交絡処理を施す。この交絡処理により、各繊維構造体2の地ループ6が積層方向(図4(c)の上方)へ飛び出すようになり、最上層の繊維構造体2Aを除く下層側の繊維構造体2B,2C,2Dではそれぞれの上層側となる繊維構造体2を突き抜けて突き抜けループ5を形成することになる。最上層の繊維構造体2Aでは、自らを突き抜けるだけ(飛び出しただけ)の突き抜けループ5が形成される。
このように突き抜けループ5が形成された段階でも、各層の繊維構造体2は交絡結合の状態となっているが、まだ充分と言えるほどの結合力を生起するには至っていない。そのため、不測の外力が加わった際などには層間剥離を起こすおそれがある。そこで、図5(a)に示す圧延装置10により繊維構造体2の交絡処理体を圧縮させたり、或いは図5(b)に示すプレス装置11により繊維構造体2の交絡処理体を圧縮させたりする。
この圧縮処理により、少なくとも一層又は全層の繊維構造体2が積層前の厚さを減小させると共に、最上層の繊維構造体2Aの表面側には、無数の突き抜けループ5や地ループ6が互いに絡まり、折り重なるように屈曲変形されることによる表面凝縮部3が形成される。また、中間層の繊維構造体2B,2Cの層中や層間には、無数の突き抜けループ5や地ループ6が互いに絡まり、横拡大することによる中間凝縮部7が形成される。加えて、表面凝縮部3や最下層の繊維構造体2における表面(下面)は平坦面化される。
すなわち、各層の繊維構造体2から上方及び下方の両方へ向けて突き抜けループ5が形成されるようになっている。また、図3における最上層の繊維構造体2Aの表面(上面)だけでなく、図3における最下層の繊維構造体2Dの表面(下面)に、それぞれ表面凝縮部3が被覆形成されている。
ものとなっている。
[実施例]
繊維径が100μmのアルミ繊維(単線)を、シンカー丸編機(シングル編機)を用いて緯編に編むことで、アルミ製の繊維構造体(目付133g/m2、厚さ0.61mm)を得た。
その後、この交絡処理品をプレス装置によって圧縮(100℃、0.25MPa、30秒)して、交絡積層体を得た。
得られた交絡積層体は、積層厚が薄いにも拘わらず緻密な多孔性構造を有し、金属繊維の脱落や層間剥離もなく、取り扱いが容易なものであった。また繰り返して曲げや折りができるような可撓性及び柔軟性を有したものであった。
また、金属繊維を含んでいるため、機械的強度が大きく、耐水性や耐久性に優れ、耐候性(屋外使用)も有したものとなっている。殊に、金属繊維は連続長繊維や金属線とされているので、グラスウールや不織布構造などとは異なって金属粉類の飛散がなく、バインダー等の不純物を含まないため、異物や汚染を嫌う清浄な環境や電子部品内での使用が可能である。
(1)吸音材:建築用の吸音・遮音パネル、道路用の防音・遮音壁、自動車用吸音材
(2)電極集電体:蓄電池(鉛、ニッケル水素、ニッカド、リチウムイオン等)、空気電池、キャパシタ、燃料電池等の電極
(3)耐熱フィルター:ストレーナ、濾過器、浄水器、ガス浄化器等
(4)放熱材:ヒートシンクや熱交換器等
ところで、本発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、実施の形態に応じて適宜変更可能である。
重ね合わせる繊維構造体2は、目付が異なるものとしてもよいし目付が同じものとしてもよい。例えば、交絡積層体1の表面層には、他の層に比べて緻密な目付の繊維構造体2を配置するようにしてもよい。このようにすることで、多孔性構造により得られる作用としての多様性、殊に厚さ方向の多様性を開拓できる。
同種又は異種の複数本の金属繊維を混用したり有機繊維を混用したりする場合では、使用繊維の特性を強調させたり、複合化した(相加的、相乗的な)新たな機能を生起させたりすることができる。例えば、フッ素繊維の混用により強い撥水性を発現させることができる。なお、ここにおいて「複数本の金属繊維」には、複数本の金属線(単線)を一緒に使用して繊維構造体2を形成させる場合を当然に含むものとする。
表面凝縮部3は、最上層となる繊維構造体2の表面で、この繊維構造体2を元層として飛び出る突き抜けループ5が屈曲され、圧縮されるようになることから、他の層よりもループの絡まりが凝縮することを表現したものである。そのため、最上層となる繊維構造体2からの突き抜けループ5を多くさせない方法、或いはそもそも突き抜けループ5を生じさせない方法を採用するのであれば、表面凝縮部3は省略することが可能である。
2 繊維構造体
3 表面凝縮部
5 突き抜けループ
6 地ループ
7 中間凝縮部
10 圧延装置
11 プレス装置
Claims (8)
- 積層された複数層の繊維構造体を有しており、少なくとも一層の繊維構造体は金属繊維によって形成されていると共に、前記金属繊維には積層関係にある少なくとも一つの繊維構造体を突き抜けた後に元層へ戻るループ形を形成したものが含まれており、前記ループは繊維構造体を突き抜けた部分が当該繊維構造体に沿う面方向で屈曲変形されていることを特徴とする金属繊維による繊維構造体の交絡積層体。
- 前記金属繊維は、連続長繊維又は金属線の単線により形成されていることを特徴とする請求項1記載の金属繊維による繊維構造体の交絡積層体。
- 積層前における全繊維構造体の総厚に比べて積層状態の総厚が圧縮状態に保持形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の金属繊維による繊維構造体の交絡積層体。
- 少なくとも一方の表面層に配置される繊維構造体は金属繊維により形成されたものとし、当該繊維構造体から突出又は積層の下層側から突き抜けて突出する全てのループが屈曲変形されることによって表面側を平坦面に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の金属繊維による繊維構造体の交絡積層体。
- 少なくとも一方の表面層に配置される繊維構造体は金属繊維により形成されたものとし、当該繊維構造体から突出して形成されたループと積層の下層側から突き抜けたループとが互いに折り重なるように屈曲変形されて成る表面凝縮部によって被覆形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の金属繊維による繊維構造体の交絡積層体。
- 積層方向両側の表面層に配置される繊維構造体が、表裏の区別なく同一構造とされていることを特徴とする請求項4又は請求項5記載の金属繊維による繊維構造体の交絡積層体。
- 少なくとも積層の中間に金属繊維により形成された繊維構造体が配置されるものとして当該繊維構造体の層中又は層間には、当該繊維構造体の金属繊維に対して積層の下層側及び/又は上層側から突き抜けて突出するループが絡まった中間凝縮部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の金属繊維による繊維構造体の交絡積層体。
- 金属繊維により形成された前記繊維構造体が編物とされていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の金属繊維による繊維構造体の交絡積層体。
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