JP2019131903A - 積層不織布 - Google Patents

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賢一 境
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Abstract

【課題】筒状体との貼り合せることに優れ、筒状体と貼り合せることで低周波域(800〜1250Hz)と高周波域(2000〜5000Hz)の双方で優れた吸音性能を有する吸音構造体を得ることができる積層不織布を提供しようとするものである。【解決手段】第1の層および第2の層を有する積層不織布であって、前記第1の層は、単繊維直径1nm以上1000nm以下の繊維Aを第1の層を構成する全繊維に対し80質量%以上含有し、前記第1の層の厚みは0.1mm以上2.0mm以下であり、前記第2の層は、単繊維直径10μm以上50μm以下の繊維Bを第2の層を構成する全繊維に対し80質量%以上含有し、前記第2の層の厚みは0.3mm以上4.0mm以下であり、通気度が10cm3/cm2/s以上40cm3/cm2/s以下であり、剛軟度が15mN以下である、積層不織布。【選択図】図2

Description

本発明は、積層不織布に関する。
近年、自動車や電気製品などにおいて静粛性が製品の商品価値の一つとしてこれまで以上に重要視されてきている。一般に騒音対策には対策部品となる吸音材の重量および厚みを増すことが有効とされるが自動車室内や居室内の空間を広く保つことや自動車では低燃費化の観点から、軽量化・コンパクト化が要求されている。
特許文献1には、2つの不織布層から構成される積層不織布と、この積層不織布と筒状体とを貼り合わされてなる吸音構造体が開示されている。
特許文献2には、厚みが0.5〜2.5mmの不織布から構成される表皮層と厚みが5〜40mmの不織布から構成される基材層が積層されてなる積層不織布が開示されている。
特開平8−30274号公報 国際公開第2016/143857号
特許文献1に開示されている積層不織布は、筒状体に貼り合せて吸音構造体とした場合に、低周波の1000Hzでの吸音率が84%と記載されているが、高周波域(2000〜5000Hz)での吸音性能が不十分との課題がある。この課題を改善する方法としては、特許文献1に開示されている積層不織布自体を吸音性能に優れるものとすることが考えられる。そして、積層不織布自体が優れた吸音性能を有するには積層不織布が備える不織布層の厚さを厚くすることが考えられる。そして、このような積層不織布としては、特許文献2に開示された厚みが5〜40mmの不織布から構成される基材層を備えた積層不織布がある。
しかしながら、特許文献2に開示された積層不織布は、基材層に一定の厚み(5〜40mm)を有することで、その分、積層不織布全体の厚みも大きくなり、剛軟性が硬くなるため、筒状体との貼り合せには向かないとの課題がある。
そこで、上記の課題に鑑み本発明では、筒状体と貼り合せることに優れ、筒状体と貼り合せることで低周波域(800〜1250Hz)と高周波域(2000〜5000Hz)の双方で優れた吸音性能を有する吸音構造体を得るのに好適な積層不織布を提供することを課題とする。
本発明は、前記課題を解決するために、本発明の積層不織布は次のようなものである。
すなわち、(1)第1の層および第2の層を有する積層不織布であって、前記第1の層は、単繊維直径1nm以上1000nm以下の繊維Aを第1の層を構成する全繊維に対し80質量%以上含有し、前記第1の層の厚みは0.1mm以上2.0mm以下であり、前記第2の層は、単繊維直径10μm以上50μm以下の繊維Bを第2の層を構成する全繊維に対し80質量%以上含有し、前記第2の層の厚みは0.3mm以上4.0mm以下であり、通気度が10cm/cm/s以上40cm/cm/s以下であり、剛軟度が15mN以下である、積層不織布。
(2)10%伸長時の引張応力が100N/50mm以下である、(1)の積層不織布。
(3)目付が、100g/m以上400g/m以下であり、厚みが、0.5mm以上4.5mm以下である、(1)または(2)の積層不織布。
(4)(1)〜(3)のいずれかに記載の積層不織布と、有底の筒状体と、を備える吸音構造体であって、前記筒状体の開口を閉塞するように、前記積層不織布が前記筒状体に接着固定されている、吸音構造体。
(5)前記筒状体が多角柱状または円柱状であり、前記筒状体の高さが5mm以上50mm以下である、(4)の吸音構造体。
本発明は、筒状体との貼り合せることに優れ、筒状体と貼り合せることで低周波域(800〜1250Hz)と高周波域(2000〜5000Hz)の双方で優れた吸音性能を有する吸音構造体を得ることができる積層不織布が得られる。
本発明の積層不織布を備える吸音構造体の実施形態例の概念図である。 図1に示す本発明の積層不織布を備える吸音構造体のA−A’断面の断面概念図である。
以下、本発明の実態の形態について詳細に説明する。
本発明の積層不織布は、第1の層および第2の層を有する積層不織布である。そして、前記第1の層は、単繊維直径1nm以上1000nm以下の繊維Aを第1の層を構成する全繊維に対し80質量%以上含有し、前記第1の層の厚みは0.1mm以上2.0mm以下である。前記第2の層は、単繊維直径10μm以上50μm以下の繊維Bを第2の層を構成する全繊維に対し80質量%以上含有し、前記第2の層の厚みは0.3mm以上4.0mm以下である。また、積層不織布の通気度は10cm/cm/s以上40cm/cm/s以下であり、積層不織布の剛軟度は15mN以下である。
そして、上記のとおりの構成を有する本発明の積層不織布は筒状体との貼り合せることに優れ、さらに、この積層不織布を筒状体と貼り合せることで低周波域(800〜1250Hz)から高周波域(2000〜5000Hz)にかけて優れた吸音性能を有する吸音構造体を得ることができる。
次に、本発明の積層不織布を備える吸音構造体の一実施形態例について図1を用いて説明する。この吸音構造体1は、積層不織布2と有底の筒状体3を有する。また、図2は、図1に示す本発明の積層不織布を備える吸音構造体のA−A’断面の断面概念図を示すものであり、積層不織布2が有底の筒状体3の開口を閉塞するように有底の筒状体3に固定されており、吸音構造体1は内部空間である空気層を備えることを示している。
まず、本発明の積層不織布について述べる。
この積層不織布は第1の層および第2の層を有する。
ここで、積層不織布の前記第1の層は、単繊維直径1nm以上1000nm以下の繊維Aを第1の層を構成する全繊維に対し80質量%以上含有することが必要である。単繊維直径1nm以上1000nm以下の繊維A(以下、この繊維をナノファイバーと称することがある。)を第1の層を構成する全繊維に対し80質量%以上含有することで、第1の層の単位空間あたりに存在する繊維本数を増やすことでき、第1の層の内部に存在する細孔の細孔径サイズが小さくなり、その結果、この積層不織布を用いた吸音構造体の低周波域(800〜1250Hz)の吸音性能が優れたものとなる。また、ナノファイバーを第1の層を構成する全繊維に対し80質量%以上含有することで、積層不織布の剛軟度が小さくなり、積層不織布の筒状体への取り付けが容易となる。繊維Aの単繊維直径を1nm以上とすることで、繊維Aの繊維強度低下による耐摩耗性の低下を抑制することができ、繊維Aの単繊維直径を1000nm以下とすることでこの積層不織布を用いた吸音構造体の低周波(800〜1250Hz)の吸音性能を向上させることができる。上記の観点から、繊維Aの単繊維直径の下限は、10nm以上がより好ましく、50nm以上がさらに好ましい。繊維Aの単繊維直径の上限は、500nm以下がより好ましく、300nm以下がさらに好ましい。
上記の繊維Aとしては、ポリオレフィン繊維、ポリアミド繊維、およびポリエステル繊維などを用いることができる。なかでも、繊維Aがポリアミド繊維またはポリエステル繊維であることで吸音材の耐熱性が優れたものとなるとの理由により、繊維Aは、ポリアミド繊維またはポリエステル繊維であることが好ましい。そして、ポリアミド繊維やポリエステル繊維は、ポリアミド樹脂やポリエステル樹脂以外にも本発明の効果を阻害しない範囲で添加剤などを含んでいてもよい。なお、入手の容易性および生産性の観点から、ポリアミド繊維はナイロン6繊維、ポリエステル繊維はポリエチレンテレフタレート繊維であることが好ましい。
また、積層不織布の前記第1の層の厚みは0.1mm以上2.0mm以下である。第1層の厚みが0.1mm以上であると、この積層不織布を用いた吸音構造体の低周波域(800〜1250Hz)の吸音性能が優れたものとなる。一方で、第1層の厚みが2.0mm以下であると、柔軟性に優れ、加工性に優れた積層不織布となる。上記の観点より、その下限は0.3mm以上であることが好ましく、0.5mm以上であることがより好ましい。その上限は1.5mm以下であることが好ましい。
さらに、積層不織布の前記第2の層は、単繊維直径10μm以上50μm以下の繊維Bを第2の層を構成する全繊維に対し80質量%以上含有する。単繊維直径10μm以上50μm以下の繊維Bを第2の層を構成する全繊維に対し80質量%以上含有することで、第1の層の単位空間あたりに存在する繊維本数よりも第2の層の単位空間あたりに存在する繊維本数の方が少なくなり第2の層は第1層の内部に存在する細孔の細孔径サイズが大きくなり、その結果、この積層不織布を用いた吸音構造体の高周波域(2000〜5000Hz)の吸音性能が優れたものとなる。繊維Bの単繊維直径の下限は、15μm以上がより好ましい。繊維Bの単繊維直径の上限は、30μm以下がより好ましい。
前記繊維Bとしては、ポリオレフィン繊維、ポリアミド繊維、およびポリエステル繊維などを用いることができる。なかでも、繊維Bがポリアミド繊維またはポリエステル繊維であることで吸音材の耐熱性が優れたものとなるとの理由により、繊維Bは、ポリアミド繊維またはポリエステル繊維であることが好ましい。そして、ポリアミド繊維やポリエステル繊維は、ポリアミド樹脂やポリエステル樹脂以外にも本発明の効果を阻害しない範囲で添加剤などを含んでいてもよい。なお、入手の容易性および生産性の観点から、ポリアミド繊維はナイロン6繊維、ポリエステル繊維はポリエチレンテレフタレート繊維であることが好ましい。
また、積層不織布の前記第2の層の厚みは0.3mm以上4.0mm以下である。第2層の厚みを0.3mm以上とすることで、この積層不織布を用いた吸音構造体の高周波域(2000〜5000Hz)の吸音性能が優れたものとなる。一方で、第2層の厚みを4.0mm以下とすることで、柔軟性に優れ、積層不織布の筒状体への貼り合せが容易となる。上記の観点より、その下限は0.5mm以上であることが好ましく、その上限は3.5mm以下であることが好ましい。なお、本発明の積層不織布を用いた吸音構造体の詳細については後述する。
なお、後述する積層不織布の厚みの範囲内であれば、2枚以上の積層不織布を重ねて使用してもよい。例えば、積層不織布を2枚重ねると、第1の層/第2の層/第1の層/第2の層との積層構造となる。
また、積層不織布の通気度が10cm/cm/s以上40cm/cm/s以下であることが必要である。ここで、通気度とは、実施例の項で述べるようにJIS L 1096(8.27.1)(2010)A法(フラジール形法)に準じて測定したものをいう。10cm/cm/s以上とすることで、音が一定の流速で積層不織布が有する繊維細孔を通過するときに細孔部分で空気摩擦によって音を熱に効率よく変換することができ、特に高周波域(2000〜5000Hz)の音を反射させることなく積層不織布の内部に音を通すことができ、40cm/cm/s以下とすることでこの積層不織布を用いた吸音構造体の低周波域(800〜1250Hz)の吸音性能を上げることができる。上記の観点から、その下限は15cm/cm/s以上であることが好ましく、その上限は35cm/cm/s以下であることが好ましい。なお、積層不織布の第1層の厚み、積層不織布の第2層の厚み、積層不織布の第1層に含まれる繊維Aの含有量、繊維Aの単繊維直径、積層不織布の第2層に含まれる繊維Bの含有量、繊維Bの単繊維直径、積層不織布の目付、積層不織布の孔径分散度、からなる群より選ばれる一種以上を適宜調整することで積層不織布の通気度を上記の範囲とすることができる。より具体的には、例えば、実施例1などの積層不織布の構成を採用することで積層不織布の通気度を上記の範囲とすることができる。
また、積層不織布は細孔の分布についても、空気摩擦によるエネルギー損失を増加させてこの積層不織布を用いた吸音構造体の低周波域(800〜1250Hz)の吸音性能と高周波域(2000〜5000Hz)の吸音性能とをともに優れたものとすべく一定の範囲とすることが好ましく、積層不織布に存在する細孔の細孔径分布については、細孔径分布で10μm以下の孔径分散度が1以上20以下、かつ10μm超え20μm以下の孔径分散度が15以上60以下とすることが好ましい。ここで、細孔径分布とは、実施例の項で述べるようにASTM F316−86に規定される方法によって測定したものをいう。なお、積層不織布の第1層の厚み、積層不織布の第2層の厚み、積層不織布の第1層に含まれる繊維Aの含有量、繊維Aの単繊維直径、積層不織布の第2層に含まれる繊維Bの含有量、繊維Bの単繊維直径、積層不織布の目付、からなる群より選ばれる一種以上を適宜調整することで積層不織布の細孔径分布を上記の範囲とすることができる。
本発明の積層不織布の目付は、100g/m以上400g/m以下であることが好ましい。目付を100g/m以上とすることで、板振動や共鳴効果によるこの積層不織布を用いた吸音構造体の低周波域(800〜1250Hz)の吸音性能をより向上させるのに十分な剛性を積層不織布に付与することができる。また、400g/m以下とすることで、軽量で柔軟性をもった積層不織布が得られ、結果、筒状体の積層不織布と貼り合せる場所が凸凹構造を有する形状であっても積層不織布と筒状体との貼り合せは容易となり、施工性に優れたものとなる。上記の観点から、その下限は150g/m以上であることが好ましく、その上限は300g/m以下であることが好ましい。
本発明の積層不織布の厚みは、0.5mm以上4.5mm以下であることが好ましい。厚みが0.5mm以上であることで、この積層不織布と筒状体とで吸音構造体とした際に、積層不織布と筒状体とで形成される吸音構造体が備える内部空間である空気層によって生じる共鳴効果によって積層不織布内部で粘性摩擦が生じ吸音性能を上げることが可能となる。ここでいう共鳴とは、ヘルムホルツの共鳴器の吸音原理をさす。また、積層不織布の厚みが4.5mm以下であることで、柔軟性に優れた積層不織布となり、この積層不織布と筒状体との貼り合わせが容易となる。上記の観点から、その下限は1.0mm以上であることが好ましく、その上限は3.0mm以下であることが好ましい。さらに好ましくは2.5mm以下である。
本発明の積層不織布の10%伸長時の引張応力は、100N/50mm以下であることが好ましい。積層不織布の10%伸長時の引張応力が100N/50mm以下であることで、伸縮性に優れた積層不織布となり、この積層不織布は筒状体と貼り合わせしやすいものとなる。上記の観点から、本発明の積層不織布の10%伸長時の引張応力は、90N/50mm以下であることがより好ましい。なお、積層不織布の第1層の厚み、積層不織布の第2層の厚み、積層不織布の第1層に含まれる繊維Aの含有量、繊維Aの単繊維直径、積層不織布の第2層に含まれる繊維Bの含有量、繊維Bの単繊維直径、積層不織布の目付、からなる群より選ばれる一種以上を適宜調整することで10%伸長時の引張応力を上記の範囲とすることができる。具体的には、例えば、実施例1などの積層不織布の構成を採用することで積層不織布の通気度を上記の範囲とすることができる。なお、特に限定されないが、本発明の積層不織布の10%伸長時の引張応力は10N/50mm以上であることが好ましい。積層不織布の10%伸長時の引張応力を10N/50mm以上とすることで、取扱い易く、また耐久性の低下を抑制できる。
本発明の積層不織布の剛軟度は、15mN以下であることが必要である。ここで、剛軟度とは、実施例の項で述べるようにJIS L 1913(6.7.3)(2010)に規定されたガーレ法に準じて測定したものをいう。剛軟度を15mN以下とすることで、積層不織布の柔軟性が優れ、筒状体の湾曲部に沿って積層不織布を貼り付け易くなる。上記の観点から、その上限は12mN以下であることがより好ましく、さらに好ましくは10mN以下である。なお、積層不織布の第1層の厚み、積層不織布の第2層の厚み、積層不織布の第1層に含まれる繊維Aの含有量、繊維Aの単繊維直径、繊維Bの単繊維直径、積層不織布の目付、積層不織布の10%伸長時の引張応力、からなる群より選ばれる一種以上を適宜調整することで積層不織布の柔軟性を上記の範囲とすることができる。具体的には、例えば、実施例1などの積層不織布の構成を採用することで積層不織布の通気度を上記の範囲とすることができる。なお、特に限定されないが、積層不織布の剛軟度が1mN以上であることが好ましい。積層不織布の剛軟度が1mN以上とすることで、取扱い易い積層不織布となる。
本発明の積層不織布は、第1の層および第2の層ともにニードルパンチ法やスパンレース法により得られる短繊維不織布であることが、第1の層や第2の層の密度や厚み、通気度をコントロールしやすく、積層不織布の通気度をコントロールしやすいので好ましい。
次に、積層不織布と有底の筒状体とを備える吸音構造体について述べる。
前記積層不織布は、有底の筒状体の開口を閉塞するように、筒状体に接着固定されていることが好ましい。積層不織布が筒状体の開口を閉塞するように、筒状体に接着固定されていることで、吸音性能の低下を抑制することができる。
積層不織布を筒状体に接着固定させる方法としては、特に限定されるものではないが、接着剤による固定方法や熱融着による固定方法などが使用できる。また、生産性の観点からは、熱融着による固定方法を採用することが好ましい。熱融着による固定方法の例としては、高周波ウェルダー、高周波ミシン、マイクロ波融着、超音波融着、インパルスシール、ホットジェットなどが挙げられる。
また、筒状体の素材は、特に限定されるものではなく、無機材料、有機材料などが挙げられる。無機材料としては、アルミニウムや鉄などの金属が例示できる。また有機材料としては、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂などが例示できる。
また、筒状体の形状としては多角柱状または円柱状が例示でき、これらの形状の筒状体の高さは5mm以上50mm以下であることが好ましい。ここで、筒状体の高さとは、筒状体の内法をいう。筒状体の高さを5mm以上とすることで積層不織布と筒状体とで形成される吸音構造体が備える内部空間である空気層によって生じる共鳴効果によって積層不織布の内部で空気の粘性摩擦が生じ、低周波域(800〜1250Hz)から高周波域(2000〜5000Hz)にかけて吸音性能が優れたものとなる。筒状体の高さが大きいほど低周波域(800〜1250Hz)へ吸音ピークがシフトするが、筒状体の高さを50mm以下とすることで自動車などに施工する場合に狭い空隙に取り付ける時などに作業性が良くなる。前記観点から、筒状体の高さの上限は40mm以下であることがより好ましく、30mm以下であることがさらに好ましい。また、筒状体の高さの下限は10mm以上がより好ましい。
また、筒状体の積層不織布と貼り合わせる場所は、フラットな形状であっても、凸凹構造を有する形状であってもよい。
なお、本発明の積層不織布は積層不織布以外に、本発明の効果を阻害しない範囲において、他のシート状物等を積層不織布の片面、または両面に有していてもよい。
積層不織布と有底の筒状体とを備える吸音構造体の吸音特性については低周波域(800〜1250Hz)と高周波域(2000〜5000Hz)の双方で高い吸音性能が得られる。具体的には、本発明の積層不織布を用いた吸音構造体においては、低周波域(800〜1250Hz)の吸音性能の代表値である1000Hzの吸音率が50%以上であり、高周波域(2000〜5000Hz)の吸音性能の代表値である4000Hzの吸音率が80%以上であることが好ましい。
1000Hzにおける吸音率が50%以上であり、4000Hzにおける吸音率が80%以上であれば、吸音性能に優れ自動車などに用いるのに好適である。なお、積層不織布の第1層の厚み、積層不織布の第2層の厚み、積層不織布の第1層に含まれる繊維Aの含有量、繊維Aの単繊維直径、積層不織布の第2層に含まれる繊維Bの含有量、繊維Bの単繊維直径、積層不織布の目付、積層不織布の通気度、積層不織布の孔径分散度、積層不織布と筒状体の接着度合い、筒状体の高さ、からなる群より選ばれる一種以上を適宜調整することで積層不織布と有底の筒状体とを備える吸音構造体の1000Hzの吸音率および4000Hzの吸音率を上記の範囲とすることができる。
本発明の積層不織布と有底の筒状体とを備える吸音構造体は、自動車以外にも電気機器、住宅用などの吸音材として用いるのにも好適である。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、実施例中の性能は次の方法で測定した。
[測定方法]
(1)第1の層および第2の層の特定
積層不織布を上記積層不織布の面に垂直に切断し、この積層不織布から薄切片を切り出し、この薄切片の断面にPt−Pd(白金−パラジウム)合金を真空蒸着し蒸着体を得た。次いで、この蒸着体の断面部分を走査型電子顕微鏡(SEM)(日立ハイテク社製S−3500N型)で観察し、積層不織布が、構成する繊維の単繊維直径が異なる複数の層を備えるものであることを目視にて確認した。
次に、上記の複数の層の各々について、他の測定方法の項目に記載の手法で、構成する繊維の単繊維直径および層の厚みを測定した。そして、これらの測定結果に基づき、単繊維直径が1nm以上1000nm以下の繊維を、層を構成する全繊維に対し80質量%以上含有し、かつ、厚みが0.1mm以上2.0mm以下の層を第1の層と特定した。また、単繊維直径が10μm以上50μm以下の繊維を、層を構成する全繊維に対し80質量%以上含有し、かつ、厚みが0.3mm以上4.0mm以下の層を第2の層と特定した。
(2)単繊維直径が1000nmを超える繊維の単繊維直径
積層不織布を上記積層不織布の面に垂直に切断し、この積層不織布から薄切片を切り出し、この薄切片の断面にPt−Pd(白金−パラジウム)合金を真空蒸着し蒸着体を得た。次いで、この薄切片に含まれる層の断面部分を走査型電子顕微鏡(SEM)(日立ハイテク社製S−3500N型)で観察し、この観察範囲から無作為に10箇所抽出し、倍率1,000倍の断面写真を撮影した。次いで、同一写真内で単繊維直径が1000nmを超える繊維を無作為に10本ずつ抽出し、計100本の単繊維直径が1000nmを超える繊維の単繊維直径を測定した。尚、単繊維直径が1000nmを超える繊維が異形断面形状の場合は、断面写真から繊維の断面積を測定し、前記の断面積から真円直径に換算することで、単繊維直径が1000nmを超える繊維の単繊維直径とした。
(3)単繊維直径が1000nm以下の繊維の単繊維直径
断面写真の倍率を10,000倍としたこと以外は、上記(2)の繊維の単繊維直径の測定方法に記載の方法と同様にして、走査型電子顕微鏡(SEM)(日立ハイテク社製SU8010型)で断面写真を撮影した。次いで、同一写真内で単繊維直径が1000nm以下の繊維を無作為に10本ずつ抽出し、計100本の単繊維直径が1000nm以下の繊維の単繊維直径を測定した。尚、単繊維直径が1000nm以下の繊維が異形断面形状の場合は、断面写真から繊維の断面積を測定し、前記の断面積から真円直径に換算することで、単繊維直径が1000nm以下の繊維の単繊維直径とした。
(4)積層不織布を構成する各層の厚み
積層不織布を上記積層不織布の面に垂直に切断し、この積層不織布から薄切片を切り出し、この薄切片の断面にPt−Pd(白金−パラジウム)合金を真空蒸着し蒸着体を得た。次いで、この蒸着体の断面部分を走査型電子顕微鏡(SEM)(日立ハイテク社製S−3500N型)で観察し、積層不織布が、構成する繊維の単繊維直径が異なる複数の層を備えるものであることを目視にて確認した。
次に、上記積層不織布の断面において、断面写真の撮影箇所を、断面写真に写る積層不織布の断面が一部でも重複しないように、10点、無作為に選定し、これらの撮影箇所の断面写真を10枚撮影した。この10枚の断面写真から各層の厚みを測定し、各層のそれぞれにおける10点の厚みの測定値の平均を各層それぞれの厚みとした。なお、1枚の断面写真における各層の厚みは、1枚の断面写真における各層の厚みの最大値と最小値の中間値とした。
(5)積層不織布の厚み(mm)
JIS L 1096(8.5.1)(2010)に規定された方法により、(株)テクロック製の厚み測定器を用いて積層不織布の厚さ(mm)を求めた。
(6)積層不織布の目付(g/m
JIS L 1096(8.4.2)(2010)に規定された方法により、試料の単位面積(1m)当たりの質量を求めた。
(7)有底の筒状体の厚み(mm)
有低の筒状体の縦方向の長さを金型定規で測定し、厚み(mm)とした。
(8)積層不織布の通気度
JIS L 1096(8.27.1)(2010)A法(フラジール形法)に準じて測定した。積層不織布の試料の異なる5か所から20cm×20cmの試験片を採取し、フラジール形試験機(テクストテスト社製、FX3300型)を用い、円筒の一端(吸気側)に試験片を取り付けた。試験片の取り付けに際し、円筒の上に試験片を置き、試験片上から吸気部分を塞がないように均等に約98N(10kgf)の荷重を加え試験片の取り付け部におけるエアーの漏れを防止した。試験片を取り付けた後、加減抵抗器によって傾斜形気圧計が125Paの圧力を示すように吸込みファンを調整し、そのときの垂直形気圧計の示す圧力と、使用した空気孔の種類とから、試験機に付属の表によって試験片を通過する空気量を求め、5枚の試験片についての平均値を算出した。
(9)積層不織布の細孔径分布
ASTM F316−86に規定される方法によって測定した。
測定装置としては パームポロメーター(Porous Materials,Inc.製、CFP−1200−AEXCS型)を用い、測定試薬としてはPMI社製の“ガルヴィック”を用い、シリンダー圧力を100kPaとし、測定モードとしてはWET UP−DRY UPの条件にて測定した。
得られた細孔径分布(ヒストグラム)から10nm刻み(階級)とする分布において、0〜10nm、10〜20nm、および、20〜30nmの孔径分散度の値を求めた。なお、細孔径分布はy軸を細孔径分布としx軸を細孔径とする分布図で、x軸の範囲は0〜100nmとし、各10nmの刻みの分散度数を合計した全度数は100%となる。
(10)積層不織布の剛軟度
JIS L 1913(6.7.3)(2010)に規定されたガーレ法剛軟度により、積層不織布の一方の面と他方の面について、それぞれ任意の方向及び任意の方向に垂直な方向の剛軟度をそれぞれn=5で測定し、得られた剛軟度の最大値を本発明における剛軟度(mN)とし求めた。
(11)積層不織布の引張強力
JIS L 1913(6.3.1)(2010)に規定された方法により、積層不織布のタテ方向およびヨコ方向の引張強力(N/50mm)を測定した。長さ30cm×幅5cmの積層不織布(タテ方向、ヨコ方向)を引張試験機につかみ間隔200mmで取付け、200mm/minの速度で積層不織布が切断するまで荷重を加え、最大荷重時の強さを測定した。ここで試験片は測定前に標準状態である20±2℃、65±2%RH雰囲気下で24時間以上静置しておくこと。測定はタテ方向およびヨコ方向を各5回行い、その平均値を求めた。
(12)積層不織布の10%伸長時の引張応力
上記(11)の積層不織布の引張強力を測定する際に、積層不織布の10%伸長時の引張応力を求めた。
(13)吸音構造体の吸音率(%)
JIS A 1405(1998)の垂直入射吸音測定法(管内法)に準じて測定した。
試験装置としては、電子測器株式会社製の自動垂直入射吸音率測定器(型式10041A)を用いた。試験片を、1測定用のインピーダンス管の一端に金属反射板との間に空気層がないようにし、適切な厚さのスペーサー内に収まるように設置した。ここで試料が積層不織布と有底の筒状体で構成される場合は、積層不織布が音波側に有底の筒状体が金属反射板側になるように設置した。周波数毎の吸音率は測定で得られた吸音係数を100倍した値を採用した。ここで、1000Hzの吸音率を低周波域(800〜1250Hz)の吸音性能の代表値とし、また4000Hzの吸音率を高周波域(2000〜5000Hz)の吸音性能の代表値とした。そして、測定によって得られた1000Hzの吸音率を低周波吸音率とし、得られた4000Hzの吸音率を高周波吸音率とした。
(14)総合評価
得られた吸音構造体の総合評価を以下の基準で実施した。
○:1000Hzにおける低周波吸音率が50%以上であり、4000Hzにおける高周波吸音率が80%以上であり、剛軟度が15mN以下であるもの。
×:1000Hzにおける低周波吸音率が50%未満、および4000Hzにおける高周波吸音率が80%未満、および剛軟度が15mNを超える、の少なくともひとつを満たすもの。
[実施例1]
(ポリマーアロイ繊維)
融点220℃のポリアミド6(N6)(40質量部)チップと融点170℃のポリL乳酸(60質量部)チップを2軸押し出し混練機にて、220℃で混練してポリマーアロイチップを得た。
得られたポリマーアロイチップを、ステープル用紡糸機の一軸押し出し型溶融装置に供給し、溶融温度235℃、紡糸温度235℃(口金面温度220℃)、紡糸速度1200m/minとして溶融紡糸を行い、ポリマーアロイからなる繊維を得た。これを合糸した後、スチーム延伸を行い単糸繊度3.6デシテックスのトウを得た。
上記ポリマーアロイの繊維からなるトウに捲縮(12山/25mm)を施した後、51mmの短繊維にカットした。
(積層不織布)
ポリマーアロイ繊維を220g/mと、平均繊維長51mm、単糸繊度2.2デシテックスのポリエチレンテレフタレート短繊維(東レ(株)“テトロン”(登録商標))を140g/mが2層構造となるようカードで開繊した後、クロスラップウエーバーでウエブとした。このウエブを、ニードルパンチ機で加工を実施し、不織布を得た。
次に上記不織布に対して、1%水酸化ナトリウム水溶液で温度95℃、浴比1:40にて処理することにより、ポリ乳酸を脱海し、平均単繊維直径が200nmのナイロン6ナノファイバーからなる第1の層とポリエチレンテレフタレート糸とからなる第2の層から構成される目付が200g/m、厚み2.0mm(第1の層の厚み:0.5mm、第2の層の厚み:1.5mm)の積層不織布を得た。第1の層に含まれる繊維Aの単繊維直径は210nmであった。また、第2の層に含まれる繊維Bの単繊維直径は15μmであった。この積層不織布の構成や通気度などの評価結果を表1に示す。
(有底の筒状体)
PE樹脂製の高さ20mmの有底の円柱状(底面の直径:40mm)を筒状体として用いた。
(吸音構造体)
高周波ウェルダーによる熱融着で積層不織布を筒状体の開口を閉塞するように接着固定し、吸音構造体を得た。
得られた吸音構造体の1000Hzの吸音率は70%、4000Hzの吸音率は90%となり、総合評価は「○」であった。
この吸音構造体の構成や吸音性能などの評価結果を表1に示す。
[実施例2]
(積層不織布)
積層不織布の第1の層の厚みを0.3mm、第2の層の厚みを1.7mmに変更した以外は、実施例1と同様にして積層不織布を得た。第1の層に含まれる繊維Aの単繊維直径は208nmであった。また、第2の層に含まれる繊維Bの単繊維直径は15μmであった。この積層不織布の構成や通気度などの評価結果を表1に示す。
(有底の筒状体)
実施例1と同じ筒状体を用いた。
(吸音構造体)
実施例1と同じ接合方法で吸音構造体を得た。
得られた吸音構造体の1000Hzの吸音率は55%、4000Hzの吸音率は92%となり、総合評価は「○」であった。
この吸音構造体の構成や吸音性能などの評価結果を表1に示す。
[実施例3]
(海島複合繊維)
島成分として、ナイロン6(N6 溶融粘度:190Pa・s)、海成分として、5−ナトリウムスルホイソフタル酸8.0モル%共重合したPET(共重合PET 溶融粘度:95Pa・s)を270℃で別々に溶融後、計量し、既知の複合口金(例えば、国際公開12/173116号公報の図6(a)に開示された配列の複合口金)が組み込まれ、1つの吐出孔あたり島成分用として3000の分配孔を穿設した分配プレートを使用した紡糸パックに、海/島成分の複合比が50/50となるように流入し、吐出孔から複合ポリマー流を吐出して溶融紡糸を行い、未延伸繊維を得た。これを、延伸速度800m/minで延伸し、217dtex−100フィラメントの海島複合繊維を得た。
上記海島複合繊維からなるフィラメントに捲縮(12山/25mm)を施した後、51mmの短繊維にカットした。 (積層不織布)
実施例1のポリマーアロイ繊維を上記海島構造繊維に変更した以外は、実施例1と同様にして積層不織布を得た。第1の層に含まれる繊維Aの単繊維直径は205nmであった。また、第2の層に含まれる繊維Bの単繊維直径は15μmであった。この積層不織布の構成や通気度などの評価結果を表1に示す。
(有底の筒状体)
実施例1と同じ筒状体を用いた。
(吸音構造体)
実施例1と同じ接合方法で吸音構造体を得た。
得られた吸音構造体の1000Hzの吸音率は72%、4000Hzの吸音率は90%となり、総合評価は「○」であった。
この吸音構造体の構成や吸音性能などの評価結果を表1に示す。
[実施例4]
第1の層に含まれる繊維Aの単繊維直径を500nmに変更した以外は、実施例3と同様にして積層不織布を得た。第2の層に含まれる繊維Bの単繊維直径は15μmであった。この積層不織布の構成や通気度などの評価結果を表1に示す。
(有底の筒状体)
実施例1と同じ筒状体を用いた。
(吸音構造体)
実施例1と同じ接合方法で吸音構造体を得た。
得られた吸音構造体の1000Hzの吸音率は62%、4000Hzの吸音率は88%となり、総合評価は「○」であった。
この吸音構造体の構成や吸音性能などの評価結果を表1に示す。
[実施例5]
(積層不織布)
実施例1と同じ積層不織布を用いた。
(有底の筒状体)
PE樹脂からなる高さ30mmの有底の円柱状(底面の直径:40mm)を筒状体として用いた。
(吸音構造体)
実施例1と同じ接合方法で吸音構造体を得た。
得られた吸音構造体の1000Hzの吸音率は80%、4000Hzの吸音率は82%となり、総合評価は「○」であった。
この吸音構造体の構成や吸音性能などの評価結果を表1に示す。

[比較例1]
(積層不織布)
単糸繊度2.2デシテックスのPET繊維による、厚み0.2mm、目付70g/m、スパンボンド長繊維不織布(東レ(株)“アクスター”(登録商標))と、平均繊維長51mm、単糸繊度2.2デシテックスのポリエチレンテレフタレート短繊維(東レ(株)“テトロン”(登録商標))で作製された厚み5.0mm、目付130g/mのニードルパンチ不織布とを低融点パウダー樹脂を用いて接着させて、目付が200g/m、厚み5.2mmの積層不織布を得た。積層不織布の第1の層(相当)に含まれる繊維A以外の単繊維直径は15μmであった。また、積層不織布の第2の層(相当)に含まれる繊維Bの単繊維直径は15μmであった。この積層不織布の構成や通気度などの評価結果を表1に示す。
(有底の筒状体)
実施例1と同じ筒状体を用いた。
(吸音構造体)
実施例1と同じ接合方法で吸音構造体を得た。
得られた吸音構造体の1000Hzの吸音率は65%、4000Hzの吸音率は40%となり、総合評価は「×」であった。
この吸音構造体の構成や吸音性能などの評価結果を表2に示す。
[比較例2]
(積層不織布)
平均繊維長51mm、単糸繊度2.2デシテックスのポリエチレンテレフタレート短繊維(東レ(株)“テトロン”(登録商標))を120g/mと、平均繊維長35mm、単糸繊度0.8デシテックスのポリエチレンテレフタレート短繊維(東レ(株)“テトロン”(登録商標))を80g/mを2層構造となるようカードで開繊した後、クロスラップウエーバーでウエブとした。このウエブを、ニードルパンチ機で加工を実施し、目付が200g/m、厚み2.0mm(第1の層の厚み:0.5mm、第2の層の厚み:1.5mm)の積層不織布を得た。積層不織布の第1の層(相当)に含まれる繊維A以外の単繊維直径は8μmであった。また、積層不織布の第2の層(相当)に含まれる繊維Bの単繊維直径は15μmであった。この積層不織布の構成や通気度などの評価結果を表2に示す。
(有底の筒状体)
実施例1と同じ筒状体を用いた。
(吸音構造体)
実施例1と同じ接合方法で吸音構造体を得た。
得られた吸音構造体の1000Hzの吸音率は40%、4000Hzの吸音率は80%となり、総合評価は「×」であった。
この吸音構造体の構成や吸音性能などの評価結果を表2に示す。
[比較例3]
(不織布)
平均繊維長51mm、単糸繊度2.2デシテックスのポリエチレンテレフタレート短繊維(東レ(株)“テトロン”(登録商標))を100g/mと、平均繊維長35mm、単糸繊度0.8デシテックスのポリエチレンテレフタレート短繊維(東レ(株)“テトロン”(登録商標))を100g/mとを混繊させてカードで開繊した後、クロスラップウエーバーでウエブとした。このウエブを、ニードルパンチ機で加工を実施し、目付が200g/m、厚み2.0mmの不織布を得た。積層不織布の第2の層(相当)に含まれる繊維Bの単繊維直径は15μmであった。また、積層不織布の第2の層(相当)に含まれる繊維B以外の単繊維直径は8μmであった。この不織布の構成や通気度などの評価結果を表2に示す。
(有底の筒状体)
実施例1と同じ筒状体を用いた。
(吸音構造体)
実施例1と同じ接合方法で吸音構造体を得た。
得られた吸音構造体の1000Hzの吸音率は40%、4000Hzの吸音率は82%となり、総合評価は「×」であった。
この吸音構造体の構成や吸音性能などの評価結果を表2に示す。
[比較例4]
(積層不織布)
実施例1と同じ積層不織布を用いた。
(基材層)
熱可塑性繊維として平均繊維長35mm、単糸維度0.8デシテックスのポリエチレンテレフタレート短繊維(東レ(株)“テトロン”(登録商標))を15質量%、平均繊維長51mm、単糸繊度6.6デシテックスの中空ポリエチレンテレフタレート短繊維(東レ(株)“テトロン”(登録商標))を15質量%、平均繊維長51mm、単糸繊度2.2デシテックスのポリエチレンテレフタレート短繊維(東レ(株)“テトロン”(登録商標))を55質量%、また、バインダー繊維として平均繊維長51mm、単糸繊度2.2デシテックスのポリエチレンテレフタレート短繊維の芯鞘複合繊維(鞘成分:低融点ポリエチレンテレフタレート(融点110℃)、芯成分:ホモポリエチレンテレフタレート(融点255℃)、鞘比率50質量%、東レ(株)“サフメット”(登録商標)T9611)を15質量%の比率で混繊した。
カードマシンを用いて混繊、開繊し、均一なウェブを成形した。次にウェブを所定の厚みとなるように積層し、プレスロールでウエブの厚みを20mmとなるように押さえながら、熱処理炉にて繊維間を熱融着させ、目付が400g/mおよび厚みが20mmとなるように調整し、不織布からなる基材層を得た。
(吸音材)
積層不織布と基材層とを低融点パウダー樹脂を用いて接着させて、積層不織布と基材層を接合した吸音材を得た。
(有底の筒状体)
実施例1と同じ筒状体を用いた。
実施例1と同じ接合方法で、吸音材と筒状体を接着固定しようとしたが、接着部に発生したシワにより貼り合せができなかった。
この吸音材の構成などの評価結果を表2に示す。
Figure 2019131903
Figure 2019131903
1:吸音構造体
2:積層不織布
3:有底の筒状体
4:空気層

Claims (5)

  1. 第1の層および第2の層を有する積層不織布であって、前記第1の層は、単繊維直径1nm以上1000nm以下の繊維Aを第1の層を構成する全繊維に対し80質量%以上含有し、前記第1の層の厚みは0.1mm以上2.0mm以下であり、前記第2の層は、単繊維直径10μm以上50μm以下の繊維Bを第2の層を構成する全繊維に対し80質量%以上含有し、前記第2の層の厚みは0.3mm以上4.0mm以下であり、通気度が10cm/cm/s以上40cm/cm/s以下であり、剛軟度が15mN以下である、積層不織布。
  2. 10%伸長時の引張応力が100N/50mm以下である、請求項1に記載の積層不織布。
  3. 目付が、100g/m以上400g/m以下であり、厚みが、0.5mm以上4.5mm以下である、請求項1または2に記載の積層不織布。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の積層不織布と、有底の筒状体と、を備える吸音構造体であって、前記筒状体の開口を閉塞するように、前記積層不織布が前記筒状体に接着固定されている、吸音構造体。
  5. 前記筒状体が多角柱状または円柱状であり、前記筒状体の高さが5mm以上50mm以下である、請求項4に記載の吸音構造体。
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