JP2018199253A - 極細繊維を含む積層吸音材 - Google Patents

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Abstract

【課題】低周波領域において優れた吸音性を示す吸音材を提供することを課題とする【解決手段】繊維層と基材層とを含む積層吸音材であって、繊維層は積層吸音材中に1層以上含まれ、平均繊維径が450nm未満である繊維からなり、目付けが0.1g/m2〜25g/m2であり、基材層は、積層吸音材中に1層以上含まれ、平均繊維径が500nm〜1mmである繊維からなる不織布及び織物ならびに紙からなる群より選ばれる1つ以上からなり、目付けが1g/m2以上であり、さらに、前記積層吸音材は、膜構造体を1層以上有する、積層吸音材である。【選択図】図1

Description

本発明は、極細繊維を含んで構成される、積層構造の吸音材に関する。
吸音材とは音を吸収する機能を有する製品であって、建築分野や自動車分野において多用されている。吸音材を構成する材料として、不織布を用いることが公知である。例えば特許文献1には、メジアン直径が1μm未満のサブミクロン繊維と、メジアン直径が少なくとも1μmであるマイクロファイバーとを含む複合不織布ウェブが開示されている。特許文献1の複合繊維ウェブは、サブミクロン繊維及びマイクロファイバーと称される2種類の異なるメジアン直径を有する繊維が混合されてなり、その混合比を変化させることによって、厚み方向に混合比の勾配を形成し、不均質な繊維混合物を得ている。代表的な実施形態においては、マイクロファイバー流を形成し、またサブミクロン繊維流を別個に形成してマイクロファイバー流に加えることによって、異なる繊維が混合されてなるウェブを形成できることが開示されている。
また特許文献2には、吸音性を有する多層物品として、支持体層と、支持体層上に積層されるサブミクロン繊維層とを含み、サブミクロン繊維層は、中央繊維直径が1μm未満かつ平均繊維直径が0.5〜0.7μmの範囲であり、溶融フィルムフィブリル化法や電界紡糸法によって形成されることが開示されている。特許文献2の実施例においては、坪量(目付)100g/m、直径約18μmのポリプロピレンスパンボンド不織布を支持体層とし、その上に、目付14〜50g/m、平均繊維直径約0.56μmのサブミクロンポリプロピレン繊維を積層した積層物品が開示されている。また別の実施例では、目付62g/mのポリエステルのカード処理ウェブの上に、目付6〜32g/m、平均繊維直径0.60μmの電界紡糸ポリカプロラクトン繊維を積層させた多層物品が開示されている。実施例で作製された多層物品は、音響吸収特性が測定され、支持体のみの音響吸収特性よりも優れた音響吸収特性を備えることが示されている。
特許文献3には、低周波及び高周波の音を吸収する積層吸音不織布であって、共振膜と、少なくとも1つの別の繊維材料層とを含み、共振膜は、直径600nmまでで表面重量(目付)0.1〜5g/mのナノ繊維層によって形成されるものが開示されている。ナノ繊維層は典型的には電界紡糸によって作り出され、一方、基材層は、直径10〜45μmで目付5〜100g/mの繊維織物であり、さらに別の層が積層されてもよいことが開示されている。また、適切な厚さ及び目付に到達するために、この積層体をさらに積層してもよいことが開示されている。
特許文献4には、ナノ繊維による、吸音特性に優れる不織布構造体が開示されている。特許文献4の不織布構造体は、繊維径が1μm未満のナノ繊維を含む繊維体を含み、当該繊維体の厚みが10mm以上であることを特徴とする。また、前記繊維体は支持体に支持されていてもよく、繊維体と支持体とが繰り返し積層された構造になっていてもよいことが開示されている。ナノ繊維は例えばメルトブローン法で形成され、実施例においては、支持体であるポリプロピレンスパンレース不織布の上に、繊維径0.5μm、目付350g/mのナノ繊維体の層を形成することが開示されている。
特表2011−508113号公報 特開2014−15042号公報 特表2008−537798号公報 特開2016−121426号公報
上述のとおり、吸音材としてさまざまな構成の不織布積層体が検討されており、繊維径が1μmを下回るナノ繊維やサブミクロン繊維と称される極細繊維を用いることも公知である。しかしながら、より優れた吸音特性を有する吸音材、特に、1000Hz以下の、比較的低周波数の領域において優れた吸音性能を示し、且つ、省スペース性に優れた吸音材が求められている。この状況に鑑み、本発明は、低周波領域において優れた吸音性を示す吸音材を提供することを課題とする。
発明者は上述の課題を解決するために検討を重ねた。その結果、基材層と繊維層とを含む積層吸音材において、特定範囲の繊維径及び目付を有する繊維層を1層以上含み、さらに、膜構造体を1層以上有することで、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
本発明は、以下の構成を有する。
[1]繊維層と基材層とを含む積層吸音材であって、
前記繊維層は、前記積層吸音材中に1層以上含まれ、平均繊維径が450nm未満である繊維からなり、目付けが0.1g/m〜25g/mであり、
前記基材層は、前記積層吸音材中に1層以上含まれ、平均繊維径が500nm〜1mmである繊維からなる不織布および織物ならびに紙からなる群より選ばれる1つ以上からなり、目付けが1g/m以上であり、
さらに、前記積層吸音材は、膜構造体を1層以上有する、積層吸音材。
[2]前記膜構造体の厚みが、10μm以上500μm未満である、[1]記載の積層吸音材。
[3]前記膜構造体の素材が、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートおよび金属からなる群より選ばれる1つ以上である、[1]又は[2]に記載の積層吸音材。
[4]前記基材層が、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエチレン繊維およびポリプロピレン繊維からなる群から選ばれる1種以上からなる不織布であり、前記基材層の目付けが1〜300g/mである、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の積層吸音材。
[5]前記繊維層を形成する繊維が、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデンの共重合体、ナイロン6,6、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリスルフォンおよびポリビニルアルコールからなる群から選ばれる1種以上である、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の積層吸音材。
[6]垂直入射吸音率測定法において、周波数xが200Hzから3200Hzまでの吸音率を1Hz間隔で測定し、得られる曲線をf(x)としたとき、200Hzから1000Hzまでの吸音率を積分した値Sが、下記式を満たす範囲である、[1]〜[5]のいずれか1項に記載の積層吸音材。
[7]垂直入射吸音率測定法において、周波数xが200Hzから3200Hzまでの吸音率を1Hz間隔で測定し、得られる曲線をf(x)としたとき、200Hzから1000Hzまでの吸音率を積分した値Sが、下記式を満たす範囲である、[1]〜[5]のいずれか1項に記載の積層吸音材。
[8][1]〜[7]のいずれか1項に記載の積層吸音材において、前記繊維層を構成する繊維が、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデンの共重合体、ナイロン6,6、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリスルフォンおよびポリビニルアルコールからなる群から選ばれる1種以上の高分子を含む溶液を電界紡糸することによって作り出されることを特徴とする、積層吸音材の製造方法。
上述の構成を有する本発明によれば、積層吸音材中に膜構造体を有することで、少ない層数で高い吸音性を実現することが可能であり、吸音材として厚みの削減ができる。また、上述の構成を有する本発明によれば、低周波数領域における吸音特性に優れた吸音材が得られる。本発明の積層吸音材は、吸音特性のピークが従来の吸音材よりも低い領域にあり、1000Hz以下の領域における吸音性能に優れる。建築分野では、生活騒音の多くは200〜500Hz程度といわれており、また自動車分野では、ロードノイズでは100〜500Hz程度、また、加速時やトランスミッション変動時の騒音は100〜2000Hz程度といわれている。本発明の積層吸音材は、このような騒音対策に有用である。また、本発明の積層吸音材は、多孔質材料やガラス繊維等からなる吸音材と比較して軽量であるため、部材の軽量化と省スペース化が可能であり、この点は特に自動車分野向けの吸音材として有用である。
本発明の実施例(実施例7)及び比較例(比較例1)の吸音特性を示すグラフである。
以下、本発明を詳細に説明する。
(積層吸音材の構造)
本発明の積層吸音材は、繊維層と基材層とを含む積層吸音材であって、繊維層は、積層吸音材中に1層以上含有され、平均繊維径が450nm未満である繊維からなり、繊維層の目付けは0.1g/m〜25g/mである。基材層は、積層吸音材中に1層以上含有され、平均繊維径が500nm〜1mmである繊維からなる不織布および織物ならびに紙からなる群より選ばれる1つ以上であり、基材層の目付けは1g/m以上である。さらに、本発明の積層吸音材は前記に加えて、膜構造体を1層以上有することを特徴とする。
積層吸音材において、繊維層は、平均繊維径が450nm未満である極細繊維からなる繊維集合体であり、かつ、積層吸音材中に1層以上含有され、好ましくは1〜6層、より好ましくは1〜3層含まれる。1層の繊維層は、1つの繊維集合体から構成されていてもよいし、1層の繊維層の中に複数の繊維集合体が含まれ、複数の繊維集合体から1層の繊維層が構成されていてもよい。
また、繊維層が2層以上ある場合、繊維層と繊維層との間には他の層(すなわち基材層や膜構造体)が介在するが、介在する他の層は1層であってもよく、2層以上であってもよい。
積層吸音材において、基材層は1層以上含まれ、好ましくは2層〜6層、より好ましくは2層〜4層含まれる。基材層は、積層吸音材の全体の構造を保持する機能を有する。特に、極細繊維の層である繊維層を支持し、また、繊維層と繊維層との層間、あるいは、繊維層と膜構造体との層間に介在して、適切な層間距離を確保する役割を有する。
積層吸音材中、膜構造体は、1層以上含まれ、好ましくは1層〜3層、より好ましくは1層〜2層含まれる。
積層吸音材に含まれる繊維層、基材層及び膜構造体のそれぞれは、それぞれ1種類ずつでもよいが、2種類以上の繊維層、基材層及び膜構造体が含まれていてもよい。また、本発明の積層吸音材には、本発明の効果を損なわない限り、繊維層、基材層及び膜構造体以外の構成が含まれていてもよい。例えば、本発明に規定する範囲外のさらなる繊維層(1層でも2層以上でもよい)、印刷層、発泡体、メッシュ、織布等が含まれていてもよい。また、各層間を連結するための接着剤、クリップ、縫合糸等を含んでいてもよい。
積層吸音材を構成する各層は、物理的及び/または化学的に接着されていてもよいし、接着されていなくてもよい。積層吸音材の層間の一部が接着され、一部は接着されていない形態であってもよい。接着は、例えば、繊維層の形成工程において、または後工程として加熱を行い、繊維層を構成する繊維の一部を融解し、繊維層を他の層に融着させることによって繊維層と他の層とを接着してもよい。また、層の表面に接着剤を付与して層間を接着することもできる。
積層吸音材の厚みは、本発明の効果が得られる限り特に制限されないが、例えば、0.1〜50mmとすることができ、0.3〜40mmとすることが好ましく、0.3〜25mmであれば、省スペース性の観点からより好ましい。なお、積層吸音材の厚みとは、繊維層、基材層及び膜構造体の厚みの合計のことを意味し、カートリッジや蓋等の外装体が取り付けられている場合、その部分の厚みは含まないものとする。
(繊維層)
本発明の積層吸音材に含まれる繊維層は、平均繊維径が450nm未満である繊維からなる繊維集合体である。平均繊維径が450nm未満であれば、高い吸音性が得られるため好ましく、420nm未満であれば、より高い吸音性が得られるためさらに好ましい。平均繊維径の下限は特に限定されないが、平均繊維径が10nm以上であれば加工性に優れるため利用しやすい。平均繊維径の測定は、公知の方法によることができる。例えば、繊維層表面の拡大写真から測定ないし算出することによって得られる値であり、詳細な測定方法は実施例に詳述される。
本発明の積層吸音材に含まれる繊維層は、1層の繊維層が一つの繊維集合体からなっていてもよく、また、1層の繊維層中に複数の繊維集合体を含み、繊維集合体の層が重ね合わされたものが1層の繊維層を形成していてもよい。
繊維層の目付けは、0.1〜25g/mであることが好ましく、0.3〜20g/mであることがさらに好ましい。目付けが0.1g/m以上であれば、繊維層と基材層を構成する繊維の密度差による流れ抵抗の制御が良好となり、25g/m未満であれば、吸音材として反りが大きくなる恐れが低くなり、実用性に優れた吸音材が得られる。
繊維層を構成する繊維集合体は、好ましくは不織布であり、前記の範囲の繊維径及び目付を有している限り特に制限されないが、メルトブローン不織布、電界紡糸法によって形成される極細繊維の不織布等であることが好ましい。電界紡糸法によれば、極細繊維を基材層上に繊維集合体として効率よく積層させることができる。電界紡糸法の詳細は製造方法に詳述する。
繊維集合体に用いる繊維を構成する樹脂としては、発明の効果を得られる限り特に制限されないが、例えば、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン、ポリウレタン、ポリ乳酸、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル類、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン12等のナイロン(アミド樹脂)類、ポリフェニレンスルフィド、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリスルフォン、液晶ポリマー類、ポリエチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン等のポリフッ化ビニリデンの共重合体が挙げられる。これらの中でも、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン、ナイロン6,6、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリスルフォンおよびポリビニルアルコールが、電界紡糸法においては、各種溶剤に可溶である観点から、より好ましい。
繊維は、前記の樹脂の1種を含むことが好ましく、2種類以上を含んでいてもよい。
また、繊維には、樹脂以外の各種の添加剤を含んでもよい。樹脂に添加されうる添加剤としては例えば、充填剤、安定化剤、可塑剤、粘着剤、接着促進剤(例えば、シランおよびチタン酸塩)、シリカ、ガラス、粘土、タルク、顔料、着色剤、酸化防止剤類、蛍光増白剤類、抗菌剤類、界面活性剤類、難燃剤類、およびフッ化ポリマーが挙げられる。前記添加物のうち1つ以上を用いて、得られる繊維および層の重量および/またはコストを軽減してもよく、粘度を調整してもよく、または繊維の熱的特性を変性してもよく、あるいは電気特性、光学特性、密度に関する特性、液体バリアもしくは粘着性に関する特性を包含する、添加物の特性に由来する様々な物理特性活性を付与してもよい。
(基材層)
積層吸音材における基材層は、吸音性を有するとともに、繊維層を支持して吸音材全体の形状を保持する機能を有している。本発明の積層吸音材において、繊維層は450nm未満の極めて細い繊維径の繊維から形成される繊維集合体であるため、強度(剛性)が低い。そのため、基材層及び膜構造体が実質的に積層吸音材の強度を担うことになる。
基材層は、通気性を有し、その少なくとも一方の表面上に繊維層を積層できるものであれば特に制限されず、不織布、織物、紙、樹脂発泡体等の構造体を用いることができる。特に、不織布、織物、紙のいずれか1種以上であることが好ましく、不織布であることがより好ましい。積層吸音材に含まれる基材層は1種類であってもよく、2種類以上の基材層を含むことも好ましい。
基材層が樹脂からなる繊維から構成される不織布である場合、メルトブローン不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、スルーエア不織布、サーマルボンド不織布、ニードルパンチ不織布等を用いることができ、所望の物性や機能によって適宜選択できる。
基材層の不織布の繊維を構成する樹脂としては、熱可塑性樹脂を用いることができ、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂が例示できる。ポリオレフィン系樹脂としては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、若しくは4−メチルペンテン−1等の単独重合体、及びこれらと他のα−オレフィン、即ち、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1あるいは4−メチルペンテン−1などのうちの1種以上とのランダム若しくはブロック共重合体あるいはこれらを組み合わせた共重合体のことであり、またはこれらの混合物などを挙げることができる。ポリアミド系樹脂としてはナイロン4、ナイロン6、ナイロン7、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6,6、ナイロン6,10、ポリメタキシリレンアジパミド、ポリパラキシリレンデカンアミド、ポリビスシクロヘキシルメタンデカンアミドもしくはこれらのコポリアミド等を挙げることができる。ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレートの他、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリブチルテレフタレート、ポリエチレンオキシベンゾエート、ポリ(1,4−ジメチルシクロヘキサンテレフタレート)若しくはこれらの共重合体を挙げることができる。これらの中でも、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエチレン繊維及びポリプロピレン繊維の1種又は2種以上を組み合わせて用いることが好ましい。
基材層が、織布である場合にも同様の樹脂から構成される繊維を用いることができる。
基材層の不織布を構成する繊維としては、1成分のみを含む繊維を使用することもできるが、繊維同士の交点の融着の効果を考慮したとき、低融点樹脂と高融点樹脂の複合成分からなる繊維、すなわち、融点が異なる2成分以上からなる複合繊維を用いることも好ましい。複合形態は例えば鞘芯型、偏心鞘芯型、並列型を挙げることができる。また、基材層の不織布を構成する繊維として、融点が異なる2成分以上の混繊繊維を用いることも好ましい。なお、混繊繊維とは、高融点樹脂からなる繊維と低融点樹脂からなる繊維とが独立して存在し、混合されてなる繊維を意味している。基材が、織布である場合にも同様の繊維を用いることができる。
基材層の不織布を構成する繊維の繊維径は、特に制限されるものではないが、繊維径が500nm〜1mmである繊維からなるものを用いることができる。繊維径が500nm〜1mmであるとは、平均繊維径がこの数値範囲内であることを意味する。繊維径が500nm以上であれば、繊維層と基材層の不織布を構成する繊維との密度差による流れ抵抗を制御することができ、1mm未満であれば、汎用性が失われることがなく、また入手も容易となる。繊維径は、1.0〜100μmであれば、繊維層と基材層の不織布を構成する繊維の密度差による流れ抵抗を制御することができ入手も容易であるためより好ましい。繊維径の測定は、繊維層の繊維径の測定と同様の方法で行うことができる。基材が、織布である場合にも同様の繊維を用いることができる。
基材層が織物である場合、平織、目抜き平織、綾織、朱子織、模しゃ織などの織り方によって得られる織物を用いることができ、所望の物性や機能によって適宜選択できる。織物としては、例えば、ガラスヤーンを用いて製造したガラスクロスや、金属線または樹脂からなる繊維を平織や綾織したメッシュが利用できる。
基材層が紙である場合、植物繊維その他の繊維を膠着させて製造した紙であれば、特に制限なく用いることができる。紙は、例えば、パルプなどの植物繊維、樹脂からなる繊維、ガラス繊維などを原料として、湿式抄紙法により製造することができる。
基材層が樹脂発泡体である場合、樹脂中にガスを細かく分散させ、発泡状または多孔質形状に成形させた樹脂発泡体であれば、特に制限なく用いることができる。樹脂発泡体としては、例えば、軟質ポリウレタンフォーム、硬質ポリウレタンフォーム、ポリスチレンフォーム、シリコーンフォーム、ポリ塩化ビニルフォーム、アクリルフォーム、ユリアフォームが利用できる。
基材層は、積層吸音材の最外面に位置する層として含まれてもよい。1層の基材層は、1枚の不織布のみで構成されていてもよく、2枚以上の不織布が積層されて1層の基材層が構成されていてもよい。不織布を2枚以上積層することで、基材層の厚みによって繊維層や膜構造体の層間距離を制御できるという利点がある。
基材層の目付けは、1g/m以上であればよく、1〜300g/mであることが好ましく、15〜300g/mであることがより好ましい。基材層の目付けが1g/m未満であると、吸音材として必要な強度を得ることができない恐れがある。
本発明において、基材層の合計の厚みは、特に制限されるものではないが、基材層の厚みは積層吸音材の厚みの大部分を占めることが多いため、省スペース性の観点からは0.1〜60mmであることが好ましく、0.1〜30mmであることがより好ましい。
一層の基材層を構成する構造体1枚あたりの厚みは、例えば、20μm〜20mmとすることができ、30μm〜10mmとすることがより好ましい。基材層の厚みが20μm以上であれば、皺の発生がなく取り扱いが容易で、生産性が良好であり、基材層の厚みが20mm以下であれば、省スペース性を妨げる恐れがない。一層の基材層の厚みは、言い換えると、基材層以外の層(繊維層や膜構造体)の間を隔てる層の厚みである。この厚み(層間距離)を適切なものとすることによって、高い吸音性と省スペース性が両立できるものと考えられている。
基材層には、本発明の効果を妨げない範囲内で、各種の添加剤、例えば、着色剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、造核剤、滑剤、抗菌剤、難燃剤、可塑剤及び他の熱可塑性樹脂等が添加されていてもよい。また、表面が各種の仕上げ剤で処理されていてもよく、これによって撥水性、制電性、表面平滑性、耐摩耗性などの機能が付与されていてもよい。
(膜構造体)
本発明の積層吸音材は、前述の繊維層及び基材層に加えて、膜構造体を1層以上有することを特徴とする。本発明に用いる膜構造体は、通気性を有さない樹脂製のフィルム、シートや金属箔であり、前述の繊維層及び基材層が通気性を有する構造体であるのに対して、膜構造体は通気性を有さない構造体である点で区別される。
膜構造体としては、樹脂製のフィルムないしシートであることが好ましく、フィルム(シート)を構成する樹脂は特に制限されないが、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ナイロン4、ナイロン6、ナイロン7、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6,6、ナイロン6,10、ポリメタキシリレンアジパミド、ポリパラキシリレンデカンアミド、ポリビスシクロヘキシルメタンデカンアミドもしくはこれらのコポリアミド等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレートの他、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリブチルテレフタレート、ポリエチレンオキシベンゾエート、ポリ(1,4−ジメチルシクロヘキサンテレフタレート)若しくはこれらの共重合体等のポリエステル系樹脂を挙げることができる。
膜構造体の厚みは、本発明の効果を得られる限り特に制限されないが、10μm以上500μm未満であることが好ましい。生産性が高く入手しやすい10〜500μmの厚みのフィルムやシートを用いることで、吸音材全体としての生産性向上と生産コスト削減に寄与でき、かつ吸音特性に優れるという本願発明の効果が得られる。このような膜構造体は、所望の素材および厚みを有するフィルムを製造して用いてもよいし、市販品を用いることもできる。市販品としては例えば、無延伸ポリプロピレンフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルム、一軸延伸フィルム、ポリエステルフィルム、リニアローデンシティポリエチレンフィルム、インフレーションフィルム、ポリプロピレンシート、ポリエチレンシート、ポリエステルシート、ビニールシート、テフロン(登録商標)シート、アルミ箔等から、適切な物性を有するものを選択して用いることができる。
積層吸音材における膜構造体の位置は、特に制限されず、積層構造の内部に位置していてもよいし、最外層として外部に露出する層であってもよいが、最外層に位置していることがより好ましく、特に、下流側(音源から遠い側)の最外層に配置されることが好ましい。積層吸音材に2層以上の膜構造体が含まれる場合、それらのうちの1層が下流側の最外層に配置されることが好ましい。特定の理論に拘束されるものではないが、積層吸音材において、上流側(音源に近い側)には相対的に密度の低い不織布を配置し、下流側に膜構造体を配置することによって、より吸音機能が向上し、高い吸音機能を有する薄い吸音材を実現できるものと考えられている。
(積層吸音材の吸音特性)
本発明の積層吸音材は、特に低周波数領域(1000Hz以下の周波領域)における吸音性に優れる。本発明の積層吸音材は、特に400Hz〜1000Hz領域の吸音性に優れるという、従来の吸音材と異なる吸音特性を示すものである。特定の理論に拘束されるものではないが、本発明の積層吸音材は、繊維層と基材層の密度差を利用して音波の流れ抵抗を制御し、さらに膜構造体を設置した結果、低周波領域の吸収性に優れるという性能が得られるものと考えられている。
吸音性の評価方法は、実施例に詳述される。
(積層吸音材の製造方法)
積層吸音材の製造方法は特に制限されないが、例えば、基材層上に繊維層を形成した繊維層と基材層の積層体を作製する工程、複数の積層体と、膜構造体とを所定の順番及び枚数で重ね合わせて一体化する工程、を含む製造方法によって得ることができる。
基材層として不織布を用いる場合、公知の方法で不織布を製造して用いてもよいし、市販の不織布を選択して用いることもできる。基材層上に繊維層を形成する工程は、電界紡糸法を用いることが好ましい。電界紡糸法は、紡糸溶液を吐出させるとともに、電界を作用させて、吐出された紡糸溶液を繊維化し、コレクター上に繊維を得る方法である。例えば、紡糸溶液をノズルから押し出すとともに電界を作用させて紡糸する方法、紡糸溶液を泡立たせるとともに電界を作用させて紡糸する方法、円筒状電極の表面に紡糸溶液を導くとともに電界を作用させて紡糸する方法などを挙げることができる。本発明においては、コレクター上に基材層となる不織布等を挿入し、基材層上に繊維を集積させて繊維層を形成することができる。
紡糸溶液としては、曳糸性を有するものであれば特に限定されないが、高分子を含む溶液であることが好ましく、例えば、高分子樹脂を溶媒に分散させたもの、高分子樹脂を溶媒に溶解させたもの、高分子樹脂を熱やレーザー照射によって溶融させたものなどを用いることができる。
樹脂を分散または溶解させる溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、トルエン、キシレン、ピリジン、蟻酸、酢酸、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロパノール、トリフルオロ酢酸及びこれらの混合物などを挙げることができる。混合して使用する場合の混合率は、特に限定されるものではなく、求める曳糸性や分散性、得られる繊維の物性を鑑みて、適宜設定することができる。
電界紡糸の安定性や繊維形成性を向上させる目的で、紡糸溶液中にさらに界面活性剤を含有させてもよい。界面活性剤は、例えば、ドデシル硫酸ナトリウムなどの陰イオン性界面活性剤、臭化テトラブチルアンモニウムなどの陽イオン界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタモンモノラウレートなどの非イオン性界面活性剤などを挙げることができる。界面活性剤の濃度は、紡糸溶液に対して5重量%以下の範囲であることが好ましい。5重量%以下であれば、使用に見合う効果の向上が得られるため好ましい。また、本発明の効果を著しく損なわない範囲であれば、上記以外の成分も紡糸溶液の成分として含んでもよい。
紡糸溶液の調製方法は、特に限定されず、撹拌や超音波処理などの方法を挙げることができる。また、混合の順序も特に限定されず、同時に混合しても、逐次に混合してもよい。撹拌により紡糸溶液を調製する場合の撹拌時間は、樹脂が溶媒に均一に溶解または分散していれば特に限定されず、例えば、1〜24時間程度撹拌してもよい。
電界紡糸により繊維を得るためには、紡糸溶液の粘度を、10〜10,000cPの範囲に調製することが好ましく、50〜8,000cPの範囲であることがより好ましい。粘度が10cP以上であると、繊維を形成するための曳糸性が得られ、10,000cP以下であると、紡糸溶液を吐出させるのが容易となる。粘度が50〜8,000cPの範囲であれば、広い紡糸条件範囲で良好な曳糸性が得られるのでより好ましい。紡糸溶液の粘度は、樹脂の分子量、濃度や溶媒の種類や混合率を適宜変更することで、調整することができる。
紡糸溶液の温度は、常温で紡糸することもできるし、加熱・冷却して紡糸してもよい。紡糸溶液を吐出させる方法としては、例えば、ポンプを用いてシリンジに充填した紡糸溶液をノズルから吐出させる方法などが挙げられる。ノズルの内径としては、特に限定されないが、0.1〜1.5mmの範囲であるのが好ましい。また吐出量としては、特に限定されないが、0.1〜10mL/hrであるのが好ましい。
紡糸溶液に電界を作用させる方法としては、ノズルとコレクターに電界を形成させることができれば特に限定されるものではなく、例えば、ノズルに高電圧を印加し、コレクターをアースとして接地してもよい。印加する電圧は、繊維が形成されれば特に限定されないが、5〜100kVの範囲であるのが好ましい。また、ノズルとコレクターとの距離は、繊維が形成されれば特に限定されないが、5〜50cmの範囲であるのが好ましい。
前記によって得られた、基材層と繊維層からなる積層体、及び、別途準備した膜構造体を、複数枚重ね合わせて一体化する方法は、特に限定されず、接着を行わずに重ね合わせるだけでもよく、また、各種の接着方法、つまり、加熱したフラットロールやエンボスロールによる熱圧着、ホットメルト剤や化学接着剤による接着、循環熱風もしくは輻射熱による熱接着などを採用することもできる。極細繊維を含む繊維層の物性低下を抑制するという観点では、なかでも循環熱風もしくは輻射熱による熱処理が好ましい。フラットロールやエンボスロールによる熱圧着の場合、加工温度を調整し、繊維層が溶融してフィルム化したり、エンボス点周辺部分に破れが発生したりする等のダメージを受けないようにすることが必要である。また、ホットメルト剤や化学接着剤による接着の場合には、該成分によって繊維層の繊維間空隙が埋められ、性能低下を生じないように加工することが必要である。一方で、循環熱風もしくは輻射熱による熱処理で一体化した場合には、繊維層へのダメージが少なく、かつ十分な層間剥離強度で一体化できるので好ましい。循環熱風もしくは輻射熱による熱処理によって一体化する場合には、特に限定されるものではないが、熱融着性複合繊維からなる不織布および積層体を使用することが好ましい。
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、以下の実施例は例示を目的としたものに過ぎない。本発明の範囲は、本実施例に限定されない。
実施例で用いた物性値の測定方法または定義を以下に示す。
<平均繊維径>
株式会社日立ハイテクノロジーズ製の走査型電子顕微鏡SU8020を使用して、極細繊維を観察し、画像解析ソフトを用いて極細繊維50本の直径を測定した。極細繊維50本の繊維径の平均値を平均繊維径とした。
<吸音率測定>
吸音率測定は、各積層体より直径63mmのサンプルを採取し、各条件の積層をした後、垂直入射吸音率測定装置「ブリュエル&ケアー社製TYPE4206」を用いASTM E 1050に準拠し、周波数200〜3200Hzにおける試験片に平面音波が垂直に入射するときの垂直入射吸音率を測定した。
<低周波数領域の吸音性>
周波数xが200Hzから3200Hzまでの吸音率を1Hz間隔で測定し、得られる曲線をf(x)としたとき、200Hzから1000Hzまでの吸音率の積分値Sが下記数式で得られる。
積分値Sは200〜1000Hzの周波数領域の吸音性能を示し、数値が高ければ、吸音性が高いと判断される。S値が170を超える場合、低周波数領域の吸音性を良好と評価し、170未満の場合、吸音性を不良と評価した。
<省スペース性>
積層吸音材の厚みが、25mm未満のものが、良好(○)と評価し、厚みが25mm以上となる場合、省スペース性が不十分(×)と評価した。
[基材層Aの準備]
高密度ポリエチレン樹脂として、KEIYOポリエチレン製の高密度ポリエチ「M6900」(MFR17g/10分)を用い、ポリプロピレン樹脂として、日本ポリプロ製のポリプロピレンホモポリマー「SA3A」(MFR=11g/10分)を用いて、熱溶融紡糸法により、繊維径22μmの鞘成分が高密度ポリエチレン樹脂、芯成分がポリプロピレン樹脂からなる鞘芯型熱融着性複合繊維を作製した。
この鞘芯型熱融着性複合繊維を用いて、目付が200g/m、厚み5mmのカード法スルーエア不織布を製造し、基材層Aとした。
[実施例1]
Arkema製のポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン(以下、「PVDF−HFP」と略記する。)樹脂であるKynar(商品名)3120を、N,N−ジメチルアセトアミドとアセトンの共溶媒(60/40(w/w))に15質量%の濃度で溶解し、紡糸溶液を調製した。目付が18g/m、厚み60μm、幅が1000mmのポリエチレンテレフタレート製スルーエア不織布を基材層Bとして準備し、この上に前記PVDF−HFP溶液を電界紡糸して、ポリエチレンテレフタレート製スルーエア不織布からなる基材層BとPVDF−HFP極細繊維からなる繊維層との2層からなる積層体を作製した。電界紡糸の条件は、24Gニードルを使用し、単孔溶液供給量は3.0mL/h、印加電圧は35kV、紡糸距離は17.5cmとした。得られた積層体におけるPVDF−HFP極細繊維の層の目付は1.0g/mであり、平均繊維径は180nmであり、融解温度は168℃であった。積層体を直径63mmの円形に打ち抜き、積層体2枚と、目付が200g/m、厚み5mm、カード法スルーエア不織布(基材層A)、樹脂製膜構造体(25SS:オージェイケイ株式会社製 製品名「25SS」、厚み25μm、無延伸ポリプロピレンフィルム)とを準備し、繊維層/基材層B/基材層A/繊維層/基材層B/基材層A/膜構造体となるように重ね合わせ、吸音率測定用サンプルとした。繊維層と繊維層、繊維層と膜構造体の層間距離は、5.1mm(基材層の厚みであり、基材層B及び基材層Aの厚みの和)であった。なお、積層された基材層B/基材層Aを、1層の基材層と見なした。
垂直入射吸音率を測定し、低周波数領域の吸音性(200Hzから1000Hzまでの吸音率を積分した値S)を評価したところ、187であり良好であった。
[実施例2]
繊維層/基材層B/基材層A/膜構造体/基材層B/基材層A/膜構造体となるよう重ね合わせた以外は、実施例1と同様に実施した。繊維層と膜構造体、膜構造体と膜構造体の層間距離は、5.1mmであった。垂直入射吸音率を測定し、低周波数領域の吸音性(200Hzから1000Hzまでの吸音率を積分した値S)を評価したところ、201であり良好であった。
[実施例3]
繊維層/基材層B/基材層A/基材層A/繊維層/基材層B/基材層A/基材層A/膜構造体となるよう重ね合わせた以外は、実施例1と同様に実施した。繊維層と繊維層、繊維層と膜構造体の層間距離は、10.1mmであった。垂直入射吸音率を測定し、低周波数領域の吸音性(200Hzから1000Hzまでの吸音率を積分した値S)を評価したところ、269であり良好であった。
[実施例4]
繊維層/基材層B/基材層A/基材層A/膜構造体/基材層B/基材層A/基材層A/膜構造体となるよう重ね合わせた以外は、実施例1と同様に実施した。繊維層と膜構造体、膜構造体と膜構造体の層間距離は、10.1mmであった。垂直入射吸音率を測定し、低周波数領域の吸音性(200Hzから1000Hzまでの吸音率を積分した値S)を評価したところ、299であり良好であった。
[実施例5]
膜構造体として樹脂製膜構造体(オージェイケイ株式会社製 製品名「80A」、厚さ80μm、無延伸ポリプロピレンフィルム)を準備し、繊維層/基材層B/基材層A/繊維層/基材層B/基材層A/膜構造体となるよう重ね合わせた以外は、実施例1と同様に実施した。繊維層と繊維層、繊維層と膜構造体の層間距離は、5.1mmであった。垂直入射吸音率を測定し、低周波数領域の吸音性(200Hzから1000Hzまでの吸音率を積分した値S)を評価したところ、270であり良好であった。
[実施例6]
繊維層/基材層B/基材層A/膜構造体/基材層B/基材層A/膜構造体となるよう重ね合わせた以外は、実施例5と同様に実施した。繊維層と膜構造体、膜構造体と膜構造体の層間距離は、5.1mmであった。垂直入射吸音率を測定し、低周波数領域の吸音性(200Hzから1000Hzまでの吸音率を積分した値S)を評価したところ、204であり良好であった。
[実施例7]
繊維層/基材層B/基材層A/基材層A/繊維層/基材層B/基材層A/基材層A/膜構造体となるよう重ね合わせた以外は、実施例5と同様に実施した。繊維層と繊維層、膜構造体と膜構造体の層間距離は、10.1mmであった。垂直入射吸音率を測定し、低周波数領域の吸音性(200Hzから1000Hzまでの吸音率を積分した値S)を評価したところ、300であり良好であった。
[実施例8]
繊維層/基材層B/基材層A/基材層A/膜構造体/基材層B/基材層A/基材層A/膜構造体となるよう重ね合わせた以外は、実施例5と同様に実施した。繊維層と膜構造体、膜構造体と膜構造体の層間距離は、10.1mmであった。垂直入射吸音率を測定し、低周波数領域の吸音性(200Hzから1000Hzまでの吸音率を積分した値S)を評価したところ、316であり良好であった。
[実施例9]
膜構造体として、樹脂製膜構造体400P(オージェイケイ株式会社製 製品名「400P」、厚み400μm、ポリプロピレンシート)を準備し、繊維層/基材層B/基材層A/繊維層/基材層B/基材層A/膜構造体となるよう重ね合わせた以外は、実施例1と同様に実施した。繊維層と繊維層、繊維層と膜構造体の層間距離は、5.1mmであった。垂直入射吸音率を測定し、低周波数領域の吸音性(200Hzから1000Hzまでの吸音率を積分した値S)を評価したところ、191であり良好であった。
[実施例10]
繊維層/基材層B/基材層A/膜構造体/基材層B/基材層A/膜構造体となるよう重ね合わせた以外は、実施例9と同様に実施した。繊維層と膜構造体、膜構造体と膜構造体の層間距離は、5.1mmであった。垂直入射吸音率を測定し、低周波数領域の吸音性(200Hzから1000Hzまでの吸音率を積分した値S)を評価したところ、245であり良好であった。
[実施例11]
繊維層/基材層B/基材層A/基材層A/繊維層/基材層B/基材層A/基材層A/膜構造体となるよう重ね合わせた以外は、実施例9と同様に実施した。繊維層と繊維層、繊維層と膜構造体の層間距離は、10.1mmであった。垂直入射吸音率を測定し、低周波数領域の吸音性(200Hzから1000Hzまでの吸音率を積分した値S)を評価したところ、218であり良好であった。
[実施例12]
繊維層/基材層B/基材層A/基材層A/膜構造体/基材層B/基材層A/基材層A/膜構造体となるよう重ね合わせた以外は、実施例9と同様に実施した。繊維層と膜構造体、膜構造体と膜構造体の層間距離は、10.1mmであった。垂直入射吸音率を測定し、低周波数領域の吸音性(200Hzから1000Hzまでの吸音率を積分した値S)を評価したところ、383であり良好であった。
[実施例13]
膜構造体として、厚み100μmのポリエステル製フィルム:PET100(東レ株式会社製 製品名「ルミラー」)を準備し、膜構造体/基材層A/基材層A/基材層B/繊維層となるよう重ね合わせた以外は、実施例1と同様に実施した。膜構造体と繊維層の層間距離は、10.1mmであった。垂直入射吸音率を測定し、低周波数領域の吸音性(200Hzから1000Hzまでの吸音率を積分した値S)を評価したところ、206であり良好であった。
[実施例14]
基材層B/繊維層/膜構造体/基材層A/基材層A/基材層B/繊維層となるよう重ね合わせた以外は、実施例13と同様に実施した。繊維層と繊維層の層間距離は、10.2mmであった。垂直入射吸音率を測定し、低周波数領域の吸音性(200Hzから1000Hzまでの吸音率を積分した値S)を評価したところ、250であり良好であった。
[比較例1]
実施例1で得られた2層からなる積層体を長軸直径252mm短軸直径63mmに切り抜き、幅10mm間隔で山折と谷折を繰り返し、プリーツ加工を施した。長軸方向に幅10mm長さ197.8mmの紙を円形に加工し、紙製の枠を作製した。この紙製の枠内に収まるよう、プリーツ加工を施した2層からなる積層体の周りを市販のシリコンコーキング材(コニシ株式会社製化学反応型接着剤)で固定し、吸音率測定用サンプルを得た。垂直入射吸音率を測定し、低周波数領域の吸音性(200Hzから1000Hzまでの吸音率を積分した値S)を評価したところ、50となり、低周波数領域の吸音性が得られず、不良であった。吸収特性のピークは3200Hz以上であった。
[比較例2]
市販されているポリプロピレン樹脂製不織布(3M社製シンサレートT2203、繊維径0.7μm〜4.0μm、厚み29mm)を直径63mmの円形に打ち抜き、吸音率測定用サンプルとした。垂直入射吸音率を測定し、低周波数領域の吸音性(200Hzから1000Hzまでの吸音率を積分した値S)を評価したところ、129であり低周波数領域の吸音性が得られず、不良であった。
[比較例3]
基材層A/基材層B/繊維層/繊維層/基材層B/基材層Aとなるよう重ね合わせた以外は、実施例1と同様に実施した。垂直入射吸音率を測定し、低周波数領域の吸音性(200Hzから1000Hzまでの吸音率を積分した値S)を評価したところ、55であり、低周波数領域の吸音性が得られず、不良であった。
[比較例4]
繊維層/基材層B/基材層A/基材層A/基材層B/繊維層となるよう重ね合わせた以外は、実施例1と同様に実施した。垂直入射吸音率を測定し、低周波数領域の吸音性(200Hzから1000Hzまでの吸音率を積分した値S)を評価したところ、142であり、低周波数領域の吸音性が得られず、不良であった。
[比較例5]
繊維層/基材層B/基材層Aとなるよう重ね合わせた以外は、実施例1と同様に実施した。垂直入射吸音率を測定し、低周波数領域の吸音性(200Hzから1000Hzまでの吸音率を積分した値S)を評価したところ、59であり、低周波数領域の吸音性が得られず、不良であった。
実施例1〜7の積層吸音材の構造及び物性、吸音性能を表1にまとめる。
実施例8〜14の積層吸音材の構造及び物性、吸音性能を表2にまとめる。
比較例1〜5の積層吸音材の構造及び物性、吸音性能を表3にまとめる。
表1〜3に示されるとおり、本発明の実施例1〜14の積層吸音材はいずれも、低周波数領域の吸音性と省スペース性に優れていた。一方、積層体をプリーツ加工した比較例1は、低周波数領域の吸音性が不十分であった。また、繊維層と基材層を含むが膜構造体を含まない比較例3、比較例4、比較例5は、いずれも低周波数領域の吸音性が不十分であった。従来品である比較例2は、低周波数領域の吸音性、省スペース性ともに不十分であった。
また、図1に実施例7及び比較例1の吸音特性のグラフを示す。実施例7は、特に低周波領域(1000Hz以下の領域)において、比較例1よりも顕著に高い吸音性を示している。

Claims (8)

  1. 繊維層と基材層とを含む積層吸音材であって、
    前記繊維層は、前記積層吸音材中に1層以上含まれ、平均繊維径が450nm未満である繊維からなり、目付けが0.1g/m〜25g/mであり、
    前記基材層は、前記積層吸音材中に1層以上含まれ、平均繊維径が500nm〜1mmである繊維からなる不織布及び織物ならびに紙からなる群より選ばれる1つ以上からなり、目付けが1g/m以上であり、
    さらに、前記積層吸音材は、膜構造体を1層以上有する、積層吸音材。
  2. 前記膜構造体の厚みが、10μm以上500μm未満である、請求項1に記載の積層吸音材。
  3. 前記膜構造体の素材が、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、金属からなる群より選ばれる1つ以上である、請求項1又は2に記載の積層吸音材。
  4. 前記基材層が、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエチレン繊維およびポリプロピレン繊維からなる群から選ばれる1種以上からなる不織布であり、前記基材層の目付けが1〜300g/mである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層吸音材。
  5. 前記繊維層を形成する繊維が、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデンの共重合体、ナイロン6,6、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリスルフォンおよびポリビニルアルコールからなる群から選ばれる1種以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層吸音材。
  6. 垂直入射吸音率測定法において、周波数xが200Hzから3200Hzまでの吸音率を1Hz間隔で測定し、得られる曲線をf(x)としたとき、200Hzから1000Hzまでの吸音率を積分した値Sが、下記式を満たす範囲である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層吸音材。
  7. 垂直入射吸音率測定法において、周波数xが200Hzから3200Hzまでの吸音率を1Hz間隔で測定し、得られる曲線をf(x)としたとき、200Hzから1000Hzまでの吸音率を積分した値Sが、下記式を満たす範囲である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層吸音材。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の積層吸音材において、前記繊維層を構成する繊維が、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデンの共重合体、ナイロン6,6、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリスルフォンおよびポリビニルアルコールからなる群から選ばれる1種以上の高分子を含む溶液を電界紡糸することによって作り出されることを特徴とする、積層吸音材の製造方法。
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