JP7468255B2 - 吸音材用不織布、吸音材、および吸音材用不織布の製造方法 - Google Patents

吸音材用不織布、吸音材、および吸音材用不織布の製造方法 Download PDF

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本発明は、吸音材用不織布、吸音材、および吸音材用不織布の製造方法に関する。
近年、自動車や電気製品などにおいて静粛性が製品の商品価値の一つとしてこれまで以上に重要視されてきている。一般に騒音対策には対策部品となる吸音材の質量および厚みを増すことが有効とされるが、自動車室内や居室内の空間を広く保つことや自動車では低燃費化の観点から、吸音材の軽量化・コンパクト化が要求されている。さらに、自動車分野ではエンジン廻りなどに適用できる耐熱性が要求されている。
特許文献1には、ナノファイバーからなる層とナノファイバーより太い繊維の層とを積層した吸音材用積層不織布が提案されている。
また、特許文献2には、繊度が0.1~1.0dtexの極細繊維と繊度が1.2~5.0dtexの短繊維とを含むシート状の基材の片面を加熱および加圧して、通気調整膜を形成した車両用防音材の製造方法が提案されている。
また、特許文献3には、繊度が0.4~0.8dtexの合成繊維とセルロース繊維を主成分とするフェイスマスク用混繊不織布が提案されている。
また、特許文献4には、メルトブローン不織布と、繊維径が6~8μmの短繊維を含むニードルパンチ不織布基材を積層した吸音材が提案されている。
国際公開第2016/143857号 特開2016―34828号公報 国際公開第2020/31798号 国際公開第2019/106757号
本発明者らの知見によると、特許文献1に開示された吸音材用積層不織布および特許文献2に開示された車両用防音材(以下、吸音材用不織布など)は、いずれも極細繊維を含有するため、いずれの防音性能も比較的、優れたものとなる傾向がみられる。
しかし、吸音材用不織布などは、これらの製造工程において、極細繊維を含有する繊維にカード機やフリースマシンによる開繊処理を施す工程(以下、カード工程)を経て得られるものである。そして、上記のカード工程では、極細繊維は、繊度が比較的大きい繊維に比べて糸切れや針布への巻き付きが発生する傾向がみられる。以上のことから、極細繊維を使用する吸音材用不織布などは生産性に劣るとの課題がある。また、吸音材用不織布などの内部に切れた極細繊維が繊維塊として発生する傾向もみられ、この場合には、吸音材用不織布などを用いた吸音材の吸音性能が劣ったものとなるとともに、上記の吸音材の品位も劣ったものとなるとの課題がある。
上記の生産性の課題について、特許文献3では、不織布に使用する極細繊維の物性を特定の範囲とすることで、カード工程における糸切れや針布への巻き付きの抑制が図れるとされている。しかし、特許文献3には、極細繊維の捲縮度と生産性の関係を示す開示は無く、吸音材用不織布を製造する際の生産性には劣るとの課題がある。また、極細繊維が繊維塊として発生する傾向もみられ、この場合には、吸音材としての吸音性能が劣ったものとなるとともに、品位も劣ったものとなるとの課題がある。
他方、特許文献4には、優れた吸音効果を得るために、極細短繊維を含むニードルパンチ不織布基材の表面にメルトブローン不織布を積層し吸音材とする開示がある。しかし、特許文献4には極細短繊維の物性と生産性の関係を示す開示はなく、吸音材用不織布を製造する際の生産性には劣るとの課題がある。また、極細繊維が繊維塊として発生する傾向もみられ、この場合には、吸音材としての吸音性能が劣ったものとなるとともに、品位も劣ったものとなるとの課題がある。
そこで、本発明は、上記の事情に鑑み、特に低周波領域の吸音性能、および生産性に優れるとともに、品位にも優れた吸音材用不織布、吸音材、および吸音材用不織布の製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を有する。すなわち、
(1)不織布Aと不織布Bとの積層構造を有し、前記不織布Aが、繊度0.002~0.3dtexの繊維A1を不織布A全体に対して80質量%以上含有し、前記不織布Bが、繊度0.4~0.9dtexの短繊維A2を不織布B全体に対して30~80質量%含有し、前記不織布Bが、繊度が1.1~20.0dtexの短繊維Bを不織布B全体に対して20~70質量%含有し、前記短繊維A2の下記の式(1)に示す通過係数は15~260の範囲内である、吸音材用不織布であり、
通過係数=(繊度×強度×√伸度×√捲縮数×√捲縮度)/(繊維長) (1)
<繊度(dtex)、強度(cN/dtex)、伸度(%)、捲縮数(山/25mm)、捲縮度(%)、繊維長(cm)>
(2)目付が、150g/m以上700g/m以下であり、厚さが、0.6mm以上4.0mm以下である、(1)の吸音材用不織布であることが好ましく、
(3)密度が、0.07g/cm以上0.40g/cm以下である、(1)または(2)の吸音材用不織布であることが好ましく、
(4)前記短繊維A2がポリエステル系短繊維である、(1)~(3)のいずれかの吸音材用不織布であることが好ましく、
(5)前記短繊維A2の引張強度が5cN/dtex以上であり、前記短繊維A2の引張伸度が20~35%である、(1)~(4)のいずれかの吸音材用不織布であることが好ましく、
(6)前記短繊維A2の繊度が0.4~0.9dtexであり、前記短繊維Bの繊度が1.1~1.8dtexであり、かつ前記短繊維A2と前記短繊維Bの繊度の比(短繊維A2の繊度/短繊維Bの繊度)が0.30~0.60である、(1)~(5)のいずれかの吸音材用不織布であることが好ましく、
(7)(1)~(6)のいずれかの吸音材用不織布と、繊維系多孔質体、発泡体、または空気層からなる層状物とを、有し、前記層状物は、前記吸音材用不織布の一方の面に積層されており、前記層状物の厚さが、5~50mmである、吸音材であり、
(8)メルトブロー法により、繊度0.002~0.3dtexの繊維A1を不織布A全体に対して80質量%以上含有する不織布Aを得る工程と、短繊維A2および短繊維Bに開繊処理を施し、短繊維A2および短繊維Bの混繊ウェブを得る工程と、前記混繊ウェブがウォータージェットパンチノズルを3回以上通過し、不織布Bを得る工程と、前記不織布Aと前記部織布Bとを積層する工程とを有し、前記短繊維A2の繊度が、0.4~0.9dtexであり、前記短繊維A2の下記の式(1)に示す通過係数が、15~260の範囲内であり、前記短繊維Bの繊度が、1.1~20.0dtexであり、前記混繊ウェブの全体に対する前記短繊維A2の含有量が、30~80質量%であり、前記混繊ウェブの全体に対する前記短繊維Bの含有量が、20~70質量%である、吸音材用不織布の製造方法である。
通過係数=(繊度×強度×√伸度×√捲縮数×√捲縮度)/(繊維長) (1)
<繊度(dtex)、強度(cN/dtex)、伸度(%)、捲縮数(山/25mm)、捲縮度(%)、繊維長(cm)>
本発明によれば、所定の物性を有する極細繊維を使用することにより、特に、低周波領域の吸音性能、および生産性に優れるとともに、品位にも優れた吸音材用不織布を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明の吸音材用不織布は、不織布Aと不織布Bとの積層構造を有する。そして、不織布Aが、繊度0.002~0.3dtexの繊維A1を不織布A全体に対して80質量%以上含有する。
吸音材用不織布が、繊度0.002~0.3dtexの微細な繊維A1を不織布A全体に対して80質量%以上含有する不織布Aを有することにより、吸音材用不織布が、微細な孔を多数有する多孔質部を形成することができる。これにより、音が繊維の間の空隙(すなわち、多孔質部)を通過する際に空隙の周辺の繊維との空気摩擦によって音を熱に効率よく変換することができ、吸音材として使用した際に優れた吸音性を得ることができる。さらに、不織布Aが上記の微細な繊維A1を不織布A全体に対して80質量%以上含有することで、後述の吸音材用不織布に積層される繊維系多孔質体、発泡体、または空気層に含まれる空気と、吸音材用不織布が共鳴し、吸音材用不織布の膜振動効果により、特に低周波領域の吸音性能が向上する。なお、本件明細書において、吸音性能に優れるとの記載は、低周波領域の吸音性能に優れることを意味する。
繊維A1の繊度を0.002dtex以上とすることで、不織布Aの表面における音の表面反射を低減することができ、不織布Aに含まれる繊維A1と音の空気摩擦による吸音性を高めることができる。一方、繊維A1の繊度を0.3dtex以下とすることで、吸音材用不織布の膜振動効果により、特に低周波の吸音性を高めることができる。前記の点で、繊維A1の繊度は、0.004~0.2dtexであることが好ましく、0.006~0.1dtexであることがさらに好ましい。
ここで、繊維A1を構成する素材については、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等の熱可塑性樹脂を使用することができる。これらの中でも、繊維A1は、耐熱性に優れる、すなわち、自動車などのエンジンルームに使用する際の吸音材用不織布の高温環境下における変形や変色が少なくできる点で、ポリエステル系樹脂からなる繊維(ポリエステル系繊維)、中でも耐熱性に優れるポリエチレンテレフタレート樹脂からなる繊維であることが好ましい。また、生産性の点では後述のメルトブロー法により効率的に不織布Aを生産できる、ポリオレフィン系樹脂からなる繊維(ポリオレフィン系繊維)、中でも生産性に優れるポリプロピレン樹脂からなる繊維であることが好ましい。なお、これらの熱可塑性樹脂は、複数種類のモノマーが重合されてなるものであっても良いし、また、安定剤などの添加物を含有するものであっても良い。
本発明の不織布Bは、繊度が0.4~0.9dtexの短繊維A2を不織布B全体に対して30~80質量%含有し、繊度が1.1~20.0dtexの短繊維Bを不織布B全体に対して20~70質量%含有し、短繊維A2の下記の式(1)に示す通過係数は15~260の範囲内である。
通過係数=(繊度×強度×√伸度×√捲縮数×√捲縮度)/(繊維長) (1)
<繊度(dtex)、強度(cN/dtex)、伸度(%)、捲縮数(山/25mm)、捲縮度(%)、繊維長(cm)>
上記の不織布Bを有することにより、吸音材用不織布が、微細な孔を多数有する多孔質部を形成することができる。これにより、音が繊維の間の空隙(すなわち、多孔質部)を通過する際に空隙の周辺の繊維との空気摩擦によって音を熱に効率よく変換することができ、吸音材として使用した際に優れた吸音性を得ることができる。更に、不織布層Bが一定の質量を有することで、不織布Aにより得られる吸音材用不織布の膜振動効果を、より高めることができ、特に低周波の吸音性が向上する。
上記のような不織布Bは、その製造工程におけるカード機などによるカード工程で、短繊維A2の糸切れや短繊維A2の針布への巻き付きの発生が抑制される。そして、短繊維A2の糸切れや短繊維A2の針布への巻き付きの発生が抑制されることで、不織布Bの生産性が向上し、吸音材用不織布の生産性が優れたものとなるとともに、不織布Bの内部に切れた短繊維A2が繊維塊として発生することも抑制されるので、高い吸音性能が得られる。また、不織布Bの内部に切れた短繊維A2が繊維塊として発生することも抑制されるので、不織布Bの品位も向上し、吸音材用不織布の品位も優れたものとなるとの効果が得られることを本発明者は見出した。なお、これらの効果を総じて「本発明の効果」と称することがある。本発明の吸音材用不織布が上記の効果を奏することができるのは、短繊維A2のカード通過係数が15~260の範囲内であるためと推測する。
本発明の不織布Bは、繊度が1.1~20.0dtexの短繊維Bを不織布Bの全質量に対して20~70質量%含有するとの特徴(特徴点1)を有する。本発明の吸音材用不織布の構成において、吸音材用不織布が上記の特徴点1を満たすことで、本発明の効果が得られる。上記のとおり、繊度の小さい短繊維A2は、短繊維Bと比較して、カード工程において糸切れを起こしたり、針布へ巻き付いたり、吸音材用不織布の内部において繊維塊となり易い傾向がみられる。その一方で、繊度が1.1~20.0dtexの短繊維Bは上記の糸切れや巻き付き、繊維塊の現象が発生しにくい。
よって、そのような短繊維Bを不織布Bの全質量に対して20質量%以上含有することで、不織布B全体で発生する糸切れや針布への巻き付き、繊維塊の発生の頻度が低下し、結果として、不織布Bの生産性や品位が向上し、生産性や品位に優れた吸音材用不織布が得られるものと推測する。一方で、不織布Bを構成する短繊維Bの含有量が多すぎると、不織布Bの多孔質部が粗く大きいものとなり、吸音材用不織布を吸音材として使用する際の吸音性能が低下する傾向にある。したがって、短繊維Bの含有量は不織布Bの全質量に対して70質量%以下である。前記の点で、短繊維Bの含有量は、不織布Bの全質量に対して、25質量%以上であることが好ましく、30%質量以上であることがさらに好ましい。また、60質量%以下であることが好ましく、55質量%以下であることがさらに好ましい。
また、短繊維Bの繊度は1.1~20.0dtexである。短繊維Bの繊度を20.0dtex以下とすることで、繊度の小さい短繊維A2にて得られる、微細な多孔質部の形成を阻害することなく、吸音材として使用した際に優れた吸音性を得ることができる。一方、短繊維Bの繊度を1.1dtex以上とすることで、カード工程において、短繊維A2が不織布の内部で均一に分散し、不織布Bの内部に、短繊維A2が繊維塊として発生することが抑制され、不織布Bの品位が向上し、吸音材用不織布の品位が向上する。また、短繊維A2が均一に分散することで微細な孔を多数有する多孔質部を不織布Bの内部に形成することができ、不織布Bを含む吸音材用不織布を吸音材とした際の吸音性能が優れたものとなる。さらに、短繊維A2のカード工程での糸切れや、針布への巻き付きを抑制し、結果として、不織布Bの生産性、さらには吸音材用不織布の生産性を向上させることができる。前記の点で、短繊維Bの繊度は1.3~18.0dtexであることが好ましく、1.4~15.0dtexであることがさらに好ましい。
次に、本発明の不織布Bは、繊度が0.4~0.9dtexの短繊維A2を30~80質量%含有し、かつ、前記短繊維A2の下記の式(1)に示す通過係数が15~260の範囲内であるとの特徴(特徴点2)を有する。
通過係数=(繊度×強度×√伸度×√捲縮数×√捲縮度)/(繊維長) (式1)
<繊度(dtex)、強度(cN/dtex)、伸度(%)、捲縮数(山/25mm)、捲縮度(%)、繊維長(cm)>
本発明の不織布Bが上記の特徴点2を満たすことで、本発明の効果が得られる。上記のとおり、繊度の小さい短繊維A2は、カード工程において糸切れを起こしたり、針布へ巻き付いたり、不織布Bの内部にて繊維塊を形成し易い傾向がある。しかし、繊度が0.4~0.9dtexの短繊維A2であっても、カード通過係数が15~260の範囲内である場合には、カード工程における短繊維A2の糸切れ等の発生は抑制される。すなわち、短繊維A2の繊度が0.4~0.9dtexであり、かつ、通過係数が15~260であることで、その短繊維A2を特定の含有量にて含有する吸音材用不織布は、カード工程における短繊維A2の糸切れ等の発生が抑制され、不織布Bの生産性は向上し、吸音材用不織布は生産性に優れると共に、その吸音材用不織布を用いた吸音材の吸音性能が優れたものとなる。そのメカニズムは以下のとおりと推測する。短繊維A2の特性である、繊度、強度、伸度、捲縮数、捲縮度と、繊維長のバランスを最適化する(すなわち、短繊維A2のカード通過係数が15~260である)ことで、カード工程における短繊維A2と針布との間の摩擦による糸切れが抑制されたり(このことには、特に、短繊維A2の強度や短繊維A2の伸度の影響が大きいと考えられる)、カード工程における短繊維A2の針布への巻き付きが低減する(このことには、特に、短繊維A2の繊維長の影響が大きいと考える)ものと推測する。そして、カード工程において、不織布の内部で短繊維A2と短繊維Bとが均一に分散、交絡し、不織布Bの内部にて、短繊維A2が繊維塊として発生することも抑制され(このことは、特に、短繊維A2の捲縮数および捲縮度の影響が大きいと考えられる)、不織布Bの品位が向上し、吸音材用不織布の品位が向上するとともに、短繊維A2が不織布Bの内部で均一に分散することで微細な孔を多数有する多孔質部を不織布Bの内部に形成することができ、不織布Bを含む吸音材用不織布を用いた吸音材の吸音性能が優れたものとなる。
また、前記の短繊維A2の通過係数は、短繊維A2の繊度、強度、伸度、捲縮数、捲縮度および繊維長の全てを考慮した調整により、所望のものとすることができる。そして、上記の理由から、短繊維A2の通過係数は20以上であることが好ましく、150以下であることがさらに好ましい。また、25以上であることがより好ましく、100以下であることがより好ましい。
短繊維A2の繊度、強度、伸度、捲縮数、捲縮度および繊維長の各々が取り得る範囲については、上記の通過係数が15~260の範囲となる限りにおいては特に限定されるものではないが、これらの個々についての好ましい範囲は以下のとおりである。
短繊維A2の繊度は0.4~0.9dtexである。短繊維A2の繊度を0.9dtex以下とすることで、繊度の小さい短繊維A2により、不織布Bの内部に、微細な孔を多数有する多孔質部を形成することができる。これにより、音が繊維の間の空隙(すなわち、多孔質部)を通過する際に空隙の周辺の繊維との空気摩擦によって音を熱に効率よく変換することができ、吸音材として使用した際に優れた吸音性を得ることができる。
一方、短繊維A2の繊度を0.4dtex以上とすることで、カード工程において、不織布内部において短繊維A2が均一に分散し、不織布Bの内部に、短繊維A2が繊維塊として発生することが抑制されるため、不織布Bの品位が向上し、吸音材用不織布の品位が向上する。また、短繊維A2が不織布内部で均一に分散することで微細な孔を多数有する多孔質部を不織布Bの内部に形成することができ、吸音材とした際の吸音性能が優れたものとなる。前記の点で、短繊維A2の繊度は0.5~0.8dtexであることが好ましく、0.5~0.7dtexであることがさらに好ましい。なお、0.4~0.9dtexよりも繊度の小さい極細繊維を得るためには、海島繊維を脱海する手法やエレクトロスピニング法を採用する必要があるが、これらの手法は短繊維等を製造する溶融紡糸法や湿式紡糸法等に比べ生産性に劣るとの課題がある。本発明の吸音材用不織布で用いる短繊維A2は、繊度が0.4~0.9dtexである。よって、この短繊維A2は溶融紡糸法や湿式紡糸法で生産することが可能である。すなわち、本発明の吸音材用不織布を得るのに海島繊維を脱海する手法やエレクトロスピニング法を用いる必要がない。よって、本発明の吸音材用不織布の生産性は、製造工程において海島繊維を脱海する手法やエレクトロスピニング法を用いる必要がある吸音材用不織布の生産性と比較し、優れたものとなる。
吸音材用不織布の吸音性を更に高めるためには、繊度が0.4~0.9dtexの短繊維A2と、繊度が1.1~1.8dtexの短繊維Bとを使用し、かつ短繊維A2と短繊維Bの繊度の比(短繊維A2の繊度/短繊維Bの繊度)が0.30~0.60とすることが好ましい。短繊維A2と短繊維Bの繊度を上記の範囲とすることで、繊度の小さい短繊維A2と、短繊維A2よりは大きい繊度であるが、比較的繊度の小さい短繊維Bによって、不織布Bの内部に、微細な孔を多数有する多孔質部を形成することができ、不織布Bを含む吸音材用不織布による吸音性を向上でき、特に優れた吸音性を備える吸音材とすることができる。
また、短繊維A2と短繊維Bの繊度の比(短繊維A2の繊度/短繊維Bの繊度)を0.30以上とすることで、短繊維A2の相対的な繊度が小さくなることによるカード通過工程での繊維塊の発生が抑制されると共に、短繊維Bの相対的な繊度が大きくなることによる吸音性の低下が抑制されるため好ましい。また、短繊維A2と短繊維Bの繊度の比(短繊維A2の繊度/短繊維Bの繊度)を0.60以下とすることで、相対的に繊度の小さな短繊維A2と、相対的に繊度の大きい短繊維Bにより、カード工程において、短繊維A2と短繊維Bが不織布の内部で均一に分散し、不織布Bの内部に、短繊維A2が繊維塊として発生することが抑制され、短繊維A2が均一に分散することで微細な孔を多数有する多孔質部を不織布Bの内部に形成することができ、結果的に不織布Bを含む吸音材用不織布を吸音材とした際の吸音性能が優れたものとなる。
短繊維A2の引張強度(本明細書等においては、単に「強度」と称することがある)は2.5cN/dtex以上であることが好ましい。短繊維A2の引張強度を2.5cN/dtex以上とすることで、不織布Bの製造工程における、カード工程での短繊維A2と針布との摩擦による糸切れがより抑制され、結果として、不織布Bの生産性、さらには不織布Bを含む吸音材用不織布の生産性をより向上させることができる。前記の点で短繊維A2の引張強度については2.8cN/dtex以上であることがさらに好ましい。
短繊維A2の引張伸度(本明細書等においては、単に「伸度」と称することがある。)は20~40%であることが好ましい。短繊維A2の引張伸度を20%以上とすることで、カード工程での短繊維A2と針布との摩擦による糸切れがより抑制され、吸不織布Bの生産性を高め、結果的に吸音材用不織布の生産性をより向上させることができる。一方、短繊維A2の引張伸度を40%以下とすることでカード工程での針布との摩擦による短繊維A2の伸びから発生する、針布への巻き付きがより低減し、不織布Bの生産性が向上し、結果として、吸音材用不織布の生産性をより向上させることができる。前記の点で短繊維A2の引張伸度については22%~35%であることがさらに好ましい。
短繊維A2は、引張強度が5cN/dtex以上であり、かつ引張伸度が20~35%であることが、カード工程での短繊維A2と針布との摩擦による糸切れの抑制と、針布との摩擦による短繊維A2の伸びから発生する、針布への巻き付きがより低減し、不織布Bの生産性、さらには吸音材用不織布の生産性をより向上させることができるため好ましい。また、摩擦による糸切れと針布への巻き付きを抑制することで、繊維塊の発生が抑制され、短繊維A2が均一に分散することで微細な孔を多数有する多孔質部を不織布Bの内部に形成することができ、結果的に不織布Bを含む吸音材用不織布を吸音材とした際の吸音性能が優れたものとなる。さらに、前記の点で、短繊維A2の引張強度は、6.0cN/dtex以上であることが特に好ましい。
短繊維A2の捲縮数は10.0山/25mm以上であることが好ましい。短繊維A2の捲縮数を10.0山/25mm以上とすることで、カード工程において、不織布の内部で短繊維A2と短繊維Bが均一に分散し、不織布Bの内部に、短繊維A2が繊維塊として発生することが抑制され、不織布Bの品位が向上し、結果的に吸音材用不織布の品位が向上する。また、短繊維A2が均一に分散することで微細な孔を多数有する多孔質部を不織布Bの内部に形成することができ、不織布Bを含む吸音材用不織布を用いた吸音材の吸音性能が優れたものとなる。前記の点で短繊維A2の捲縮数は12.0山/25mm以上であることがさらに好ましく、12.5山/25mm以上であることが特に好ましい。短繊維A2の捲縮数の上限は特に限定はされないが、短繊維A2の分散性などの観点からは18.0山/25mm以下であることが好ましい。
短繊維A2の捲縮度は12.0%以上であることが好ましい。短繊維A2の捲縮度を12.0%とすることで、カード工程において、短繊維A2と短繊維Bが均一に分散し、不織布Bの内部に、短繊維A2が繊維塊として発生することが抑制され、不織布Bの品位が向上し、結果的に吸音材用不織布の品位が向上する。また、短繊維A2が均一に分散することで微細な孔を多数有する多孔質部を不織布Bの内部に形成することができ、不織布Bを含む吸音材用不織布を吸音材とした際の吸音性能が優れたものとなる。前記の点で短繊維A2の捲縮度は13.0%以上であることがさらに好ましく、14.0%以上であることが特に好ましい。短繊維A2の捲縮度の上限は特に限定はされないが、短繊維A2の分散性などの観点からは19.0%以下であることが好ましい。
短繊維A2の繊維長は2.5~4.5cmの範囲であることが好ましい。短繊維A2の繊維長を4.5cm以下とすることで、不織布Bの製造工程におけるカード工程での針布への巻き付きを抑制することができ、不織布Bの生産性が向上し、結果として、吸音材用不織布の生産性を向上させることができる。一方、2.5cm以上とすることで、カード通過後のウェブにおいて、短繊維同士の交絡が高まり、後述のニードルパンチ工程やスパンレース工程へのウェブの搬送性が良好となり、不織布Bの生産性が向上し、結果として、吸音材用不織布の生産性を向上させることができる。上記の点で、短繊維A2の繊維長は、3.0~4.5cmの範囲であることがさらに好ましい。
本発明の不織布Bは、上記のような短繊維A2を不織布Bの全質量に対して、30質量%以上含有することで、繊度の小さい短繊維A2により、不織布Bの内部に、微細な孔を多数有する多孔質部を形成することができ、音が繊維の間の空隙(すなわち、多孔質部)を通過する際に空隙の周辺の繊維との空気摩擦によって音を熱に効率よく変換することができ、不織布Bを含む吸音材用不織布を吸音材として使用した際に優れた吸音性を得ることができる。一方、上記のような短繊維A2の含有量を不織布Bの全質量に対して、80質量%以下とすることで、カード工程において発生する短繊維A2の糸切れなどの発生を極めて効果的に抑制することができる。前記の点で、短繊維A2の含有量は、不織布Bの全質量に対して、40質量%以上であることが好ましく、45%質量以上であることがさらに好ましい。また、75質量%以下であることが好ましく、70%質量以下であることがさらに好ましい。
ここで、短繊維A2を構成する素材については、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等の熱可塑性樹脂を使用することができる。これらの中でも、短繊維A2は、耐熱性に優れる、すなわち、自動車などのエンジンルームに使用する際の吸音材用不織布の高温環境下における変形や変色が少なくできる点で、ポリエステル系樹脂からなる短繊維(ポリエステル系短繊維)であることが好ましく、中でも特に耐熱性に優れる、ポリエチレンテレフタレート樹脂からなる短繊維(ポリエチレンテレフタレート短繊維)であることが好ましい。
また、短繊維Bを構成する素材については、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等の熱可塑性樹脂を使用することができる。これらの中でも、短繊維Bは、耐熱性に優れる、すなわち、自動車などのエンジンルームに使用する際の吸音材用不織布の高温環境下における変形や変色が少なくできる点でポリエステル系樹脂からなる短繊維(ポリエステル系短繊維)であることが好ましく、中でも特に耐熱性に優れる、ポリエチレンテレフタレート樹脂からなる短繊維(ポリエチレンテレフタレート短繊維)であることが好ましい。
本発明の吸音材用不織布の目付は、150g/m以上700g/m以下であることが好ましい。目付を150g/m以上とすることにより、空気摩擦による吸音性能を向上することができる。さらに、吸音材用不織布が一定の質量を有することで、不織布Aによる膜振動効果をより高めることができ、共鳴周波数をより低周波領域へシフトさせ、特に低周波領域の吸音性能を高めることができる。一方で、目付を700g/m以下とすることで柔軟性を向上させることができ、自動車部材などとして使用する際の立体追従性に優れた吸音材用不織布が得られる。前記の観点から、目付は、170g/m以上が好ましく、190g/m以上がさらに好ましい。また目付の上限については600g/m以下が好ましく、550g/m以下がさらに好ましい。
本発明の不織布Aの目付は、5g/m以上50g/m以下であることが好ましい。不織布Aの目付を5g/m以上とすることで、後述の吸音材用不織布に積層される繊維系多孔質体、発泡体、または空気層に含まれる空気と、吸音材用不織布が共鳴し、吸音材用不織布の膜振動効果により、特に低周波の吸音性が向上するため好ましい。一方、目付を50g/m以下とすることで、不織布Aの生産性を高めることができ、結果的に吸音材用不織布の生産性が高められるため好ましい。
本発明の不織布Bの目付は、100g/m以上650g/m以下であることが好ましい。目付を100g/m以上とすることにより、空気摩擦による吸音性能を向上することができる。さらに、不織布Bが一定の質量を有することで、不織布Aによる膜振動効果をより高めることができ、特に低周波領域の吸音性能を高めることができる。一方で、目付を450g/m以下とすることで柔軟性を向上させることができ、自動車部材などとして使用する際の立体追従性に優れた吸音材用不織布が得られる。前記の観点から、目付は、120g/m以上が好ましく、140g/m以上がさらに好ましい。また目付の上限については550g/m以下が好ましく、500g/m以下がさらに好ましい。
また、吸音材用不織布の厚さは、0.6mm以上4.0mm以下であることが好ましい。厚さを0.6mm以上とすることで、吸音材用不織布に十分なサイズの多孔質部が形成され、吸音材用不織布の厚さ方向に音が貫通する際の、空気摩擦による音の熱への変換を、より効率的なものとすることができる。一方で厚さを4.0mm以下とすることで、吸音材用不織布がより緻密な構造となり、繊維A1や短繊維A2による微細な多孔質部が形成され、空気摩擦による音の熱への変換を、より効率的なものとすることができ、結果として、吸音材用不織布を吸音材として用いた際の吸音性能がより優れたものとなる。さらに、吸音材用不織布を一定の厚さ以下とすることで、不織布が柔軟なものとなり、吸音材用不織布の膜振動効果をより高めることができ、特に低周波領域の吸音性能を高めることができる。前記の観点から、厚さは0.7mm以上が好ましく、0.8mm以上がさらに好ましい。また厚さの上限については3.0mm以下が好ましく、2.5mm以下がさらに好ましい。なお、本発明の厚さはJIS L1913:1998 6.1.2 A法に基づき、不織布に0.36kPaの圧力をかけた際の厚さによって測定される。
また、吸音材用不織布は、吸音材用不織布の目付が150g/m以上700g/m以下であり、かつ、吸音材用不織布の厚さが0.6mm以上4.0mm以下であることが好ましい。吸音材用不織布の目付が上記の範囲にあり、さらに、吸音材用不織布の厚さも上記の範囲にあることで、吸音性能がより一層優れたものとなる。
吸音材用不織布の密度は、0.07g/cm以上0.40g/cm以下であることが好ましい。密度を0.07g/cm以上とすることで、吸音材用不織布が緻密な構造となり、繊維A1や短繊維A2による微細な多孔質部が形成され、空気摩擦による音の熱への変換を、より効率的なものとすることができ、結果として、吸音材用不織布を吸音材として用いた際の吸音性能がより優れたものとなる。さらに、一方で密度を0.40g/cm以下とすることで、吸音材用不織布に十分なサイズの多孔質部が形成され、空気摩擦による吸音性能がより優れたものとなる。前記の観点から、密度は0.09g/cm以上が好ましく、0.10g/cm以上がさらに好ましい。また密度の上限については0.35g/cm以下が好ましく、0.32g/cm以下がさらに好ましい。
吸音材用不織布は、0μmを超え5μm未満の径の細孔が5~100%である細孔径分布を有することが好ましい。このような細細孔径分布を有することにより、空気摩擦による音の熱への変換を、より効率的なものとすることができ、結果として、吸音材用不織布を吸音材として用いた際の吸音性能がより優れたものとなる。さらに、吸音材用不織布の膜振動効果をより高めることができ、特に低周波領域の吸音性能を高めることができる。前記の点で、0μmを超え10μm未満の径の細孔が10~100%であることが好ましく、特に、0μmを超え10μm未満の径の細孔が15~100%であることがさらに好ましい。なお、前記の細孔径分布は、ASTM F316-86に規定される方法によって測定される。
本発明の吸音材用不織布の通気度は0.1~15cm/cm/sであることが好ましい。吸音材用不織布の通気度が0.1cm/cm/s以上であることにより、吸音材用不織布の表面における音の表面反射を抑制し、空気摩擦による吸音材用不織布の吸音性能がより優れたものとなるため好ましい。前記の観点で通気度は0.2cm/cm/s以上が好ましく、0.4cm/cm/s以上であることが特に好ましい。一方で、吸音材用不織布の通気度が15cm/cm/s以下であることにより、空気摩擦による吸音性能が向上するため好ましい。さらに、吸音材用不織布の膜振動効果をより高めることができ、特に低周波領域の吸音性能を高めることができる。前記の観点で通気度は12cm/cm/s以下が好ましく、10cm/cm/s以下がさらに好ましい。なお、通気度はJIS L 1096-1999 8.27.1 A法(フラジール形法)に準じて測定される。
次に、本発明の吸音材用不織布を製造するための好ましい製造方法について説明する。本発明の吸音材用不織布の好ましい製造方法は、以下の工程を有する。
(不織布Aの製造)
(a)メルトブロー法により、繊度0.002~0.3dtexの繊維A1を不織布A全体に対して80質量%以上含有する不織布Aを得る工程。
(不織布Bの製造)
(b)短繊維A2および短繊維Bに開繊処理を施し、短繊維A2および短繊維Bの混繊ウェブを得る工程
(c)混繊ウェブがウォータージェットパンチノズルを3回以上通過し、不織布Bを得る工程。
(吸音材用不織布の製造)
(d)不織布Aおよび不織布Bを積層させ吸音材用不織布を得る工程。
以下、これら(a)~(d)の工程の詳細について説明する。
(不織布Aの製造)
まず、(a)メルトブロー法により、不織布Aを得る工程について説明する。
メルトブロー工程では、加熱された押出機に熱可塑性樹脂を供給し、溶融押し出しを行い、メルトブロー口金を用いて、溶融樹脂をノズルから吐出すると共に、吐出された溶融樹脂に加熱エアーを吹き付けることで、繊度0.002~0.3dtexの繊維A1を不織布A全体に対して80質量%以上含有する不織布Aを得ることができる。
なお、不織布Aについては、カレンダー加工機などを用いてロールプレスすることにより、不織布Aを緻密化することで、吸音材用不織布の通気度を低減させ、低周波領域の吸音性を高めることができる。
(不織布Bの製造)
次に、(b)混繊ウェブを得る工程について説明する。まず、上記の工程に含まれる、短繊維A2と短繊維Bを開繊させる工程(オープナー工程)ついて説明する。
オープナー工程は、吸音材用不織布における短繊維A2の含有量と短繊維Bの含有量が所望のものとなるように短繊維A2および短繊維B(以下、各短繊維ともいう)を計量した後、エアー等を用いて各短繊維を十分に開繊させ混繊する。
次に、短繊維A2と短繊維Bとが混繊したものをウェブ状にする工程(カード工程)について説明する。
カード工程は、オープナー工程で得た混繊された各短繊維を針布ローラーで引き揃えて混繊ウェブを得る。
次に、(c)ニードルまたは水流により、混繊ウェブに含まれる短繊維A2と短繊維Bとを交絡させ不織布Bを得る工程(交絡工程)について説明する。
交絡工程において、各短繊維同士の交絡は、ニードルパンチ法、またはウォータージェットパンチ法(水流交絡法)で機械的交絡法を実施することが好ましい。この方法は、ケミカルボンド法などに比べ不織布Bを緻密化することができ、好ましい厚さ、および密度の吸音材用不織布が得られやすいため好ましく採用される。
また、ニードルパンチ法で各短繊維を交絡させる場合は、その針密度を200本/cm以上とし、交絡処理させることが好ましい。さらに好ましくは、250本/cm以上、特に好ましくは、300本/cm以上の針密度で交絡させることが好ましい。上記の針密度とすることで、不織布Bを緻密化することができ、不織布Bを含む吸音材用不織布を吸音材として用いる際の吸音性能を向上できるため好ましい。
ウォータージェットパンチ法で各短繊維を交絡させる場合は、ウォータージェットパンチノズルの圧力を12.0MPa以上の圧力で、3回以上ウォーターノズルを通過させることが好ましい。ウォータージェットパンチノズルの圧力を12.0MPa以上とすることで、不織布Bを緻密化することができ、不織布Bを含む吸音材用不織布を吸音材として用いる際の吸音性能を向上できるため好ましい。また、3回以上ウォーターノズルを通すことで、前記と同様に不織布Bを緻密化することができ、不織布Bを含む吸音材用不織布を吸音材として用いる際の吸音性能を向上できるため好ましい。ウォーターノズルを通す方法としては、連続して3回以上ウォーターノズルを通したり、1回ウォーターノズルを通して不織布を巻き取った後に再びウォーターノズルを通す方法があり、生産性を向上する点で好ましくは連続して3回以上通す方法である。
ウォータージェットパンチ法で繊維を交絡させる場合に、最初に上向きでノズル面に接する面を表面とし、その逆面を裏面とした場合、ノズルから水流を流す面は表面/裏面/表面や表面/裏面/裏面、表面/表面/裏面/表面/裏面など任意に設定することができる。
特に、ウォータージェットパンチ法は、細繊度の短繊維をその交絡工程で糸切れなく効率的に交絡することができ、繊度が0.4~0.9dtexの短繊維A2を含む本発明の不織布Bを製造するために好適に利用できる。
最後に、(d)不織布Aと不織布Bとを積層させ、吸音材用不織布を得る工程について説明する。不織布Aと不織布Bを積層し、一体化させる方法としては、ポリオレフィンやポリアミド、ポリエステル等の低融点共重合樹脂を用い、前記低融点共重合樹脂からなるパウダーを不織布Aと不織布Bの間に散布し、加熱ロールで前記樹脂を溶融させて接着させる方法を用いることができる。
次に、吸音材について説明する。本発明の吸音材用不織布を備える吸音材は、本発明の吸音材用不織布と、繊維系多孔質体層、発泡体層、または空気層からなる層状物とを、有しており、上記の層状物は、上記の吸音材用不織布の一方の面に積層されている。このような吸音材においては、吸音材用不織布の音が入射する側の面の反対側の面に、上記の層状物が位置するようにして吸音材を用いることで、吸音材の吸音性能が優れたものとなる。また、上記の層状物の厚さは、5~50mmであることが好ましい。そして、上記の層状物は、繊維系多孔質体、発泡体または空気層であることが好ましい。すなわち、本発明の吸音材用不織布は、音が入射する側の面の反対側の面に、厚さが5~50mmの熱塑性樹脂繊維を用いた繊維系多孔質体または無機繊維を用いた繊維系多孔質体からなる基材や、発泡ウレタンなどの発泡体からなる基材等を貼り合わせて使用することで、これらの複合製品(吸音材)の吸音性能は極めて優れたものとなる。また、本発明の吸音材用不織布の音が入射する側の面の反対側の面に厚さ5~50mmの空気層を設けることで、吸音材用積層不織布と空気層との複合製品(吸音材)の吸音性能が極めて優れたものとなる。さらに上記のような構成とすることで、繊維系多孔質体、発泡体、または空気層に含まれる空気と、吸音材用不織布が共鳴し、吸音材用不織布の膜振動効果により、特に低周波の吸音性が向上する。なお、層状物の厚さは、層状物の側面の厚さ方向の長さを金属定規を用いて測定することができる。
本実施例で用いた測定法を後述する。
(測定方法)
(1)吸音材用不織布を構成する各繊維と含有量
不織布Aと不織布Bを分離させ、それぞれの不織布について、JIS L 1030-1:2006「繊維製品の混用率試験方法-第1部:繊維識別」、およびJIS L 1030-2:2005「繊維製品の混用率試験方法-第2部:繊維混用率」に基づいて、正量混用率(標準状態における各繊維の質量比)を測定し、これを吸音材用不織布を構成する繊維の含有量(質量%)とした。これにより、吸音材用不織布(不織布A、および不織布B)を構成する繊維素材と、その含有量(質量%)を特定した。
(2)吸音材用不織布を構成する繊維の繊度と含有量
上記(1)のJIS L 1030-2:2005「繊維製品の混用率試験方法-第2部:繊維混用率」の6.溶解法における、不織布A、不織布Bのそれぞれの残留不織布について、その断面を走査型電子顕微鏡(SEM)(日立ハイテク社製S-3500N型)で観察し、無作為に30箇所の観察範囲を抽出し、倍率1,000倍の断面写真を撮影した。さらに断面写真内に存在する全ての繊維について単繊維直径を測定した。また、繊維の断面形状が異形断面形状の場合は、断面写真から繊維の断面積を測定し、前記の断面積から真円直径に換算することで、繊維の単繊維直径とした。得られた単繊維直径データを、0.1μmの区間毎に峻別し、区間毎の平均単繊維直径と区間毎の繊維本数を集計した。得られた区間毎の平均単繊維直径と、上記(1)にて特定した各繊維の比重から、下記式(2)により区間毎の繊維の繊度を算出した。
繊度(dtex)=(平均単繊維直径(μm)/2)×3.14×繊維の比重/100 (2)
不織布Aについては、繊度が0.002~0.3dtexの繊維について、その区間毎の繊度と区間毎の繊維本数、繊維素材の比重から、繊度が0.002~0.3dtexの繊維の含有量(質量%)を下記式(3)により算出した。
繊度が0.002~0.3dtexの繊維の含有量(質量%)=((繊度が0.002~0.3dtexの繊維の区間毎の繊度(dtex)×同区間毎の繊維本数(本))/(繊度が0.002~0.3dtex以外の繊維の区間毎の繊度(dtex)×同区間毎の繊維本数(本))×100 (3)
不織布Bについては、繊度が0.4~0.9dtexの繊維について、その区間毎の繊度と区間毎の繊維本数、繊維素材の比重から、繊度が0.4~0.9dtexの繊維の含有量(質量%)を下記式(4)により算出した。
繊度が0.4~0.9dtexの繊維の含有量(質量%)=((繊度が0.4~0.9dtexの繊維の区間毎の繊度(dtex)×同区間毎の繊維本数(本))/(繊度が0.4~0.9dtex以外の繊維の区間毎の繊度(dtex)×同区間毎の繊維本数(本))×100 (4)
不織布Bについて、同様にして、繊度が1.1~20.0dtexの繊維の含有量(質量%)を求めた。
また、吸音材用不織布を構成する不織布A、または不織布Bの繊維素材が複数である場合は、上記の繊度、含有量の測定を、溶解法における残留不織布を用いて、各繊維素材について実施し、吸音材用不織布を構成する繊維の繊度と含有量を求めた。
(3)不織布Bを構成する短繊維の繊維長
JIS L 1015:2010 8.4.1 直接法(C法)で単位をcmで測定した。
(4)不織布Bを構成する短繊維の強度、および伸度
JIS L 1015(1999)8.7.1に基づき、空間距離20mm、短繊維を一本ずつ区分線に緩く張った状態で両端を接着剤で紙片にはり付けて固着し、区分ごとを1試料とする。試料を引張試験器のつかみに取り付け、上部つかみの近くで紙片を切断し、つかみ間隔20mm、引張速度20mm/分の速度で引っ張り、試料が切断したときの荷重(N)及び伸び(mm)を測定、次の式により引張強度(cN/dtex)及び伸度(%)を算出した。
Tb=SD/F0
Tb:引張強度(cN/dtex)
SD:破断時の荷重(cN)
F0:試料の正量繊度(dtex)
S={(E2-E1)/(L+E1)}×100
S:伸度(%)
E1:緩み(mm)
E2:切断時の伸び(mm)又は最大荷重時の伸び(mm)
L:つかみ間隔(mm) 。
(5)不織布Bを構成する短繊維の捲縮数
JIS L 1015-8-12-1,2(2010年改正版)の方法に準じて不織布を構成する繊維の捲縮数(山/25mm)を測定した。
(6)不織布Bを構成する短繊維の捲縮度
JIS L 1015-8-12-1,2(2010年改正版)の方法に準じて不織布を構成する繊維の捲縮率(%)を測定し、これを繊維の捲縮度(%)とした。
(7)不織布Bのカード工程通過率(生産性および品質)
使用する短繊維比率に調整し、オープナー工程に処した原綿を20gに計量して、ラボカードマシン(シリンダー回転数300rpm、ドッファー速度10m/min)に投入し、糸切れによるカード工程での落綿や針布に巻き付かずにカードから出てきたウェブの質量(g)を測定する。測定したウェブの質量等を用いて、以下式にてカード工程通過率を求めた。このカード工程通過率の値が大きいほど、カード工程通過率は優れているといえる。
カード工程通過率(%)=ウェブ質量(g)/投入量(g)×100
また、得られた不織布Bについて目視にて外観観察を行った。不織布Bの試料から300mm×300mmの試験片を、鋼製定規とかみそり刃とを用いて3枚採取し、繊維塊の個数を数え、繊維塊の個数(個/m)に換算した。
(8)吸音材用不織布の目付
JIS L 1913:1998 6.2に基づいて測定した。吸音材用不織布の試料から300mm×300mmの試験片を、鋼製定規とかみそり刃とを用いて3枚採取した。標準状態における試験片の質量を測定して、単位面積当たりの質量である目付を次の式によって求め、平均値を算出した。なお、不織布A、不織布Bのそれぞれの目付については、不織布Aと不織布Bを分離し、同様にして目付を測定した。
ms=m/S
ms:単位面積当たりの質量(g/m
m:吸音材用不織布の試験片の平均質量(g)
S:吸音材用不織布の試験片の面積(m) 。
(9)吸音材用不織布の厚さ
JIS L1913:1998 6.1.2 A法に基づいて測定した。吸音材用不織布の試料から50mm×50mmの試験片を5枚採取した。厚さ測定器(TECLOCK社製定圧厚さ測定器、型式PG11J)を用いて標準状態で試験片に0.36kPaの圧力を10秒間かけて厚さを測定した。測定は各試験片(5枚)について行い、平均値を算出した。
(10)吸音材用不織布の密度
上記(8)の吸音材用積層不織布の目付と、上記(9)の吸音材用積層不織布の厚さから、次の式によって求めた。
吸音材用不織布の密度(g/cm)=吸音材用不織布の目付(g/m)/吸音材用不織布の厚さ(mm)/1000
(11)吸音材用不織布の細孔径分布度数
ASTM F316-86に規定される方法によって測定した。測定装置としてはPorous Materials,Inc(米国)社製“パームポロメーター”を用い、測定試薬としてはPMI社製の“ガルヴィック”を用い、シリンダー圧力を100kPaとし、測定モードとしてはWET UP-DRY UPの条件にて細孔径分布(%)を測定し、0を超え5μm未満、5μm以上10μm未満の細孔径分布(%)を示した。
(12)吸音材用不織布の通気度
JIS L 1096-1999 8.27.1 A法(フラジール形法)に準じて測定した。吸音材用不織布の試料から、200mm×200mmの試験片を5枚採取した。フラジール形試験機を用い、円筒の一端(吸気側)に試験片を取り付けた。試験片の取り付けに際し、円筒の上に試験片を置き、試験片上から吸気部分を塞がないように均等に約98N(10kgf)の荷重を加え試験片の取り付け部におけるエアーの漏れを防止した。試験片を取り付けた後、加減抵抗器によって傾斜形気圧計が125Paの圧力を示すように吸込みファンを調整し、そのときの垂直形気圧計の示す圧力と、使用した空気孔の種類とから、試験機に付属の表によって試験片を通過する通気量(cm/cm/s)を求め、5枚の試験片についての平均値を算出した。
(13)吸音材用不織布の垂直入射吸音率
JIS A 1405(1998)の垂直入射吸音測定法(管内法)に準じて測定した。吸音材用不織布の試料から直径92mmの円形の試験片を3枚採取した。試験装置としては、電子測器株式会社製の自動垂直入射吸音率測定器(型式10041A)を用いた。試験片を、測定用のインピーダンス管の一端に、試験片と金属反射板との間に20mmの厚さの空気層ができるようにスペーサーを設置し、試験片を取り付けた。周波数毎の吸音率は測定で得られた吸音係数を100倍した値を採用した。そして、得られた1000Hzの吸音率の平均値を低周波吸音率(%)とした。
(実施例1)
(不織布A)
ポリプロピレン(PP)樹脂を、押出機に供給して260℃の温度で溶融させ、メルトブロー口金から押出した。この際に吐出された樹脂流体に向けて300℃、0.09MPaの加熱エアーを吹き付け、前記口金から20cmの距離にある、金網製の堆積装置に積層させ、繊度0.002~0.3dtex区間における平均繊度0.017dtex 、繊維A1の含有量が99質量%、目付20g/mの不織布Aを得た。
(不織布B)
短繊維A2として繊度0.56dtex、繊維長3.8cm、強度5.4cN/dtex、伸度23%、捲縮数13.4山/25mm、捲縮度15.3%で通過係数が55のポリエチレンテレフタレート(PET)短繊維を50質量%、短繊維Bとして繊度1.60dtex、繊維長5.1cmのポリエチレンテレフタレート(PET)短繊維を50質量%使用し、各短繊維をオープナー工程に処した後、カード工程(シリンダー回転数300rpm、ドッファー速度10m/min)に処した。その後、下記の条件の水流交絡工程(圧力条件:上面8.0MPa、上面10.0MPa、下面13.5MPa、上面16.0MPa、下面13.5MPaの5回通し)に処した後、乾燥工程にて120℃で乾燥し、短繊維A2と短繊維Bの繊度の比0.35、目付200g/mの不織布Bを得た。
(吸音材用不織布)
不織布Bの上面に融点が83℃のエチレン酢酸ビニル共重合樹脂からなる低融点パウダーを5g/m散布し、さらに不織布Bの上面に不織布Aを積層させ、120℃の加熱ロールで貼り合せて、目付225g/m、厚さ1.1mm、不織布密度0.205g/cmの吸音材用不織布を得た。
実施例1の吸音材用不織布は、不織布Bのカード工程での糸切れによる落綿や針布への巻き付きも無く、カード工程通過性も97%と良好であった。また、各短繊維の分散は良好であり、繊維塊の発生が無く品位が良好であった。
得られた吸音材用積層不織布の低周波吸音率は高かった。
(実施例2)
(不織布A)
実施例1の不織布Aを用いた。
(不織布B)
短繊維A2として実施例1の短繊維A2を用い、短繊維Bとして実施例1の短繊維Bを用い、含有量をそれぞれ35質量%、65質量%に変更した以外は、実施例1と同一の工程、条件で処理し、短繊維A2と短繊維Bの繊度の比0.35、目付200g/mの不織布Bを得た。
(吸音材用不織布)
実施例1と同一の方法で不織布Aと不織布Bを貼り合わせて、目付225g/m、厚さ1.2mm、不織布密度0.188g/cmの吸音材用不織布を得た。
実施例2の吸音材用不織布は、不織布Bのカード工程での糸切れによる落綿や針布への巻き付きも無く、カード工程通過性も97%と良好であった。また、各短繊維の分散は良好であり、繊維塊の発生が無く品位が良好であった。
得られた吸音材用積層不織布の低周波吸音率は高かった。
(実施例3)
(不織布A)
実施例1の不織布Aを用いた。
(不織布B)
短繊維A2として実施例1の短繊維A2を用い、短繊維Bとして実施例1の短繊維Bを用い、含有量をそれぞれ65質量%、35質量%に変更した以外は、実施例1と同一の工程、条件で処理し、短繊維A2と短繊維Bの繊度の比0.35、目付200g/mの不織布Bを得た。
(吸音材用不織布)
実施例1と同一の方法で不織布Aと不織布Bを貼り合わせて、目付225g/m、厚さ1.1mm、不織布密度0.205g/cmの吸音材用不織布を得た。
実施例3の吸音材用不織布は、不織布Bのカード工程での糸切れによる落綿や針布への巻き付きも少なく、カード工程通過性も94%と比較的良好であった。また、各短繊維の分散は良好であり、繊維塊の発生が少なく品位が良好であった。
得られた吸音材用積層不織布の低周波吸音率は高かった。

(実施例4)
(不織布A)
実施例1の不織布Aを用いた。
(不織布B)
短繊維A2として実施例1の短繊維A2を用い、短繊維Bとして実施例1の短繊維Bを用い、含有量をそれぞれ75質量%、25質量%に変更した以外は、実施例1と同一の工程、条件で処理し、短繊維A2と短繊維Bの繊度の比0.35、目付200g/mの不織布Bを得た。
(吸音材用不織布)
実施例1と同一の方法で不織布Aと不織布Bを貼り合わせて、目付225g/m、厚さ1.1mm、不織布密度0.205g/cmの吸音材用不織布を得た。
実施例4の吸音材用不織布は、不織布Bのカード工程での糸切れによる落綿や針布への巻き付きも少なく、カード工程通過性も92%と比較的良好であった。また、各短繊維の分散は良好であり、繊維塊の発生が比較的少なく、品位も比較的良好であった。
得られた吸音材用積層不織布の低周波吸音率は高かった。
(実施例5)
(不織布A)
ポリプロピレン(PP)樹脂を、押出機に供給して240℃の温度で溶融させ、メルトブロー口金から押出した。この際に吐出された樹脂流体に向けて300℃、0.06MPaの加熱エアーを吹き付け、前記口金から20cmの距離にある、金網製の堆積装置に積層させ、繊度0.002~0.3dtex区間における平均繊度0.142dtex 、繊維A1の含有量が90質量%、目付20g/mの不織布Aを得た。
(不織布B)
実施例1の不織布Bを用いた。
(吸音材用不織布)
実施例1と同一の方法で不織布Aと不織布Bを貼り合わせて、目付225g/m、厚さ1.2mm、不織布密度0.188g/cmの吸音材用不織布を得た。
実施例5の吸音材用不織布は、不織布Bのカード工程での糸切れによる落綿や針布への巻き付きも無く、カード工程通過性も97%と良好であった。また、各短繊維の分散は良好であり、繊維塊の発生が無く品位が良好であった。
得られた吸音材用積層不織布の低周波吸音率は比較的高かった。
(実施例6)
(不織布A)
実施例1の不織布Aを用い、金属ロールとペーパーロールを有するカレンダー加工機を用いて、金属ロール温度90℃、ペーパーロール温度60℃、線圧力600N/cm、速度2m/minの条件で金属ロール/ペーパーロール間でロールプレスし、繊度0.002~0.3dtex区間における平均繊度0.018dtex 、繊維A1の含有量が99質量%、目付20g/mの不織布Aを得た。
(不織布B)
実施例1の不織布Bを用いた。
(吸音材用不織布)
実施例1と同一の方法で不織布Aと不織布Bを貼り合わせて、目付225g/m、厚さ1.0mm、不織布密度0.225g/cmの吸音材用不織布を得た。
実施例6の吸音材用不織布は、不織布Bのカード工程での糸切れによる落綿や針布への巻き付きも無く、カード工程通過性も97%と良好であった。また、各短繊維の分散は良好であり、繊維塊の発生が無く品位が良好であった。
得られた吸音材用積層不織布の低周波吸音率は高かった。
(実施例7)
(不織布A)
実施例1の不織布Aを用いた。
(不織布B)
短繊維A2として繊度0.56dtex、繊維長3.8cm、強度5.4cN/dtex、伸度24%、捲縮数7.5山/25mm、捲縮度9.1%で通過係数が32のポリエチレンテレフタレート(PET)短繊維を50質量%、短繊維Bとして実施例1の短繊維Bを50質量%使用した以外は、実施例1と同一の工程、条件で処理し、短繊維A2と短繊維Bの繊度の比0.35、目付200g/mの不織布Bを得た。
(吸音材用不織布)
実施例1と同一の方法で不織布Aと不織布Bを貼り合わせて、目付225g/m、厚さ1.2mm、不織布密度0.188g/cmの吸音材用不織布を得た。
実施例7の吸音材用不織布は、不織布Bのカード工程での糸切れによる落綿や針布への巻き付きも少なく、カード工程通過性も85%と比較的良好であった。また、各短繊維の分散は良好であり、繊維塊の発生が比較的少なく、品位も比較的良好であった。
得られた吸音材用積層不織布の低周波吸音率は高かった。
(実施例8)
(不織布A)
実施例1の不織布Aを用いた。
(不織布B)
短繊維A2として繊度0.56dtex、繊維長3.8cm、強度4.7cN/dtex、伸度24%、捲縮数13.5山/25mm、捲縮度15.2%で通過係数が49のポリエチレンテレフタレート(PET)短繊維を50質量%、短繊維Bとして実施例1の短繊維Bを50質量%使用した以外は、実施例1と同一の工程、条件で処理し、短繊維A2と短繊維Bの繊度の比0.35、目付200g/mの不織布Bを得た。
(吸音材用不織布)
実施例1と同一の方法で不織布Aと不織布Bを貼り合わせて、目付225g/m、厚さ1.2mm、不織布密度0.188g/cmの吸音材用不織布を得た。
実施例8の吸音材用不織布は、不織布Bのカード工程での糸切れによる落綿や針布への巻き付きも少なく、カード工程通過性も92%と比較的良好であった。また、各短繊維の分散は良好であり、繊維塊の発生が少なく、品位も良好であった。
得られた吸音材用積層不織布の低周波吸音率は高かった。
(実施例9)
(不織布A)
実施例1の不織布Aを用いた。
(不織布B)
短繊維A2として繊度0.57dtex、繊維長3.8cm、強度6.3cN/dtex、伸度24%、捲縮数13.5山/25mm、捲縮度15.3%で通過係数が67のポリエチレンテレフタレート(PET)短繊維を50質量%、短繊維Bとして実施例1の短繊維Bを50質量%使用した以外は、実施例1と同一の工程、条件で処理し、短繊維A2と短繊維Bの繊度の比0.36、目付200g/mの不織布Bを得た。
(吸音材用不織布)
実施例1と同一の方法で不織布Aと不織布Bを貼り合わせて、目付225g/m、厚さ1.1mm、不織布密度0.205g/cmの吸音材用不織布を得た。
実施例9の吸音材用不織布は、不織布Bのカード工程での糸切れによる落綿や針布への巻き付きも無く、カード工程通過性も98%と良好であった。また、各短繊維の分散は良好であり、繊維塊の発生が無く、品位も良好であった。
得られた吸音材用積層不織布の低周波吸音率は高かった。
(実施例10)
(不織布A)
実施例1の不織布Aを用いた。
(不織布B)
短繊維A2として実施例1の短繊維A2を50質量%、短繊維Bとして、繊度2.20dtex、繊維長5.1cmのポリエチレンテレフタレート(PET)短繊維を50質量%使用した以外は、実施例1と同一の工程、条件で処理し、短繊維A2と短繊維Bの繊度の比0.25、目付200g/mの不織布Bを得た。
(吸音材用不織布)
実施例1と同一の方法で不織布Aと不織布Bを貼り合わせて、目付225g/m、厚さ1.1mm、不織布密度0.205g/cmの吸音材用不織布を得た。
実施例10の吸音材用不織布は、不織布Bのカード工程での糸切れによる落綿や針布への巻き付きも無く、カード工程通過性も98%と良好であった。また、各短繊維の分散は良好であり、繊維塊の発生が無く、品位も良好であった。
得られた吸音材用積層不織布の低周波吸音率は高かった。
(実施例11)
(不織布A)
実施例1の不織布Aを用いた。
(不織布B)
短繊維A2として繊度0.85dtex、繊維長5.1cm、強度5.3cN/dtex、伸度25%、捲縮数13.3山/25mm、捲縮度15.4%で通過係数が63のポリエチレンテレフタレート(PET)短繊維を50質量%、短繊維Bとして、繊度1.21dtex、繊維長5.1cmのポリエチレンテレフタレート(PET)短繊維を50質量%使用した以外は、実施例1と同一の工程、条件で処理し、短繊維A2と短繊維Bの繊度の比0.70、目付200g/mの不織布Bを得た。
(吸音材用不織布)
実施例1と同一の方法で不織布Aと不織布Bを貼り合わせて、目付225g/m、厚さ1.1mm、不織布密度0.205g/cmの吸音材用不織布を得た。
実施例11の吸音材用不織布は、不織布Bのカード工程での糸切れによる落綿や針布への巻き付きも少なく、カード工程通過性も94%と比較的良好であった。また、各短繊維の分散は良好であり、繊維塊の発生が比較的少なく、品位も比較的良好であった。
得られた吸音材用積層不織布の低周波吸音率は高かった。
(実施例12)
(不織布A)
実施例1の不織布Aを用いた。
(不織布B)
短繊維A2として実施例1の短繊維A2を50質量%、短繊維Bとして実施例1の短繊維Bを50質量%使用し、実施例1と同一の工程で、目付のみ変更し、他は実施例1と同一の条件で処理し、短繊維A2と短繊維Bの繊度の比0.35、目付140g/mの不織布Bを得た。
(吸音材用不織布)
実施例1と同一の方法で不織布Aと不織布Bを貼り合わせて、目付165g/m、厚さ0.9mm、不織布密度0.183g/cmの吸音材用不織布を得た。
実施例12の吸音材用不織布は、不織布Bのカード工程での糸切れによる落綿や針布への巻き付きも無く、カード工程通過性も97%と良好であった。また、各短繊維の分散は良好であり、繊維塊の発生が無く、品位も良好であった。
得られた吸音材用積層不織布の低周波吸音率は比較的高かった。
(実施例13)
(不織布A)
実施例1の不織布Aを用いた。
(不織布B)
短繊維A2として実施例1の短繊維A2を50質量%、短繊維Bとして実施例1の短繊維Bを50質量%使用し、実施例1と同一の工程で、水流交絡工程の圧力条件を上面8.0MPa、上面10.0MPa、下面11.0MPa、上面11.0MPa、下面11.0MPaの5回通しに変更し、他は実施例1と同一の条件で処理し、短繊維A2と短繊維Bの繊度の比0.35、目付200g/mの不織布Bを得た。
(吸音材用不織布)
実施例1と同一の方法で不織布Aと不織布Bを貼り合わせて、目付225g/m、厚さ4.1mm、不織布密度0.055g/cmの吸音材用不織布を得た。
実施例13の吸音材用不織布は、不織布Bのカード工程での糸切れによる落綿や針布への巻き付きも無く、カード工程通過性も97%と良好であった。また、各短繊維の分散は良好であり、繊維塊の発生が無く、品位も良好であった。
得られた吸音材用積層不織布の低周波吸音率は比較的高かった。
(実施例14)
(不織布A)
実施例1の不織布Aを用いた。
(不織布B)
短繊維A2として繊度0.58dtex、繊維長3.8cm、強度3.5cN/dtex、伸度23%、捲縮数13.1山/25mm、捲縮度15.5%で通過係数が37のアクリル短繊維を50質量%、短繊維Bとして実施例1の短繊維Bを50質量%使用した以外は、実施例1と同一の工程、条件で処理し、短繊維A2と短繊維Bの繊度の比0.36、目付200g/mの不織布Bを得た。
(吸音材用不織布)
実施例1と同一の方法で不織布Aと不織布Bを貼り合わせて、目付225g/m、厚さ1.1mm、不織布密度0.205g/cmの吸音材用不織布を得た。
実施例14の吸音材用不織布は、不織布Bのカード工程での糸切れによる落綿や針布への巻き付きも無く、カード工程通過性も95%と良好であった。また、各短繊維の分散は良好であり、繊維塊の発生が少なく、品位も良好であった。
得られた吸音材用積層不織布の低周波吸音率は比較的高かった。
(比較例1)
(不織布A)
実施例1の不織布Aを用いた。
(不織布B)
短繊維A2として実施例1の短繊維A2を用い、短繊維Bとして実施例1の短繊維Bを用い、含有量をそれぞれ20質量%、80質量%に変更した以外は、実施例1と同一の工程、条件で処理し、短繊維A2と短繊維Bの繊度の比0.35、目付200g/mの不織布Bを得た。
(吸音材用不織布)
実施例1と同一の方法で不織布Aと不織布Bを貼り合わせて、目付225g/m、厚さ1.2mm、不織布密度0.188g/cmの吸音材用不織布を得た。
比較例1の吸音材用不織布は、不織布Bのカード工程での糸切れによる落綿や針布への巻き付きも無く、カード工程通過性も98%と良好であった。また、各短繊維の分散は良好であり、繊維塊の発生が無く、品位も良好であった。
得られた吸音材用積層不織布の低周波吸音率は低かった。
(比較例2)
(不織布A)
実施例1の不織布Aを用いた。
(不織布B)
短繊維A2として実施例1の短繊維Aを用い、短繊維Bとして実施例1の短繊維Bを用い、含有量をそれぞれ90質量%、10質量%に変更した以外は、実施例1と同一の工程、条件で処理し、短繊維Aと短繊維Bの繊度の比0.35、目付200g/mの不織布Bを得た。
(吸音材用不織布)
実施例1と同一の方法で不織布Aと不織布Bを貼り合わせて、目付225g/m、厚さ1.1mm、不織布密度0.205g/cmの吸音材用不織布を得た。
比較例2の吸音材用不織布は、不織布Bのカード工程での糸切れによる落綿や針布への巻き付きが多く、カード工程通過性も70%と劣るものであった。また、繊維の分散性が低く、繊維塊の発生が多くなり、品位に劣るものであった。
得られた吸音材用積層不織布の低周波吸音率は低かった。
(比較例3)
(不織布A)
ポリプロピレン(PP)樹脂を、押出機に供給して220℃の温度で溶融させ、メルトブロー口金から押出した。この際に吐出された樹脂流体に向けて300℃、0.04MPaの加熱エアーを吹き付け、前記口金から20cmの距離にある、金網製の堆積装置に積層させ、繊度0.002~0.3dtex区間における平均繊度0.307dtex 、繊維A1の含有量が46質量%、目付20g/mの不織布Aを得た。
(不織布B)
実施例1の不織布Bを用いた。
(吸音材用不織布)
実施例1と同一の方法で不織布Aと不織布Bを貼り合わせて、目付225g/m、厚さ1.2mm、不織布密度0.188g/cmの吸音材用不織布を得た。
比較例3の吸音材用不織布は、不織布Bのカード工程での糸切れによる落綿や針布への巻き付きも無く、カード工程通過性も97%と良好であった。また、各短繊維の分散は良好であり、繊維塊の発生が無く品位が良好であった。
得られた吸音材用積層不織布の低周波吸音率は低かった。
(比較例4)
(不織布A)
実施例1の不織布Aを用いた。
(不織布B)
短繊維A2として繊度0.34dtex、繊維長3.8cm、強度5.4cN/dtex、伸度23%、捲縮数13.4山/25mm、捲縮度15.3%で通過係数が33のポリエチレンテレフタレート(PET)短繊維を50質量%、短繊維Bとして実施例1の短繊維Bを50質量%使用した以外は、実施例1と同一の工程、条件で処理し、短繊維A2と短繊維Bの繊度の比0.21、目付200g/mの不織布Bを得た。
(吸音材用不織布)
実施例1と同一の方法で不織布Aと不織布Bを貼り合わせて、目付225g/m、厚さ1.2mm、不織布密度0.188g/cmの吸音材用不織布を得た。
比較例4の吸音材用不織布は、不織布Bのカード工程での糸切れによる落綿や針布への巻き付きが多く、カード工程通過性も75%と劣るものであった。また、繊維の分散性が低く、繊維塊の発生が多くなり、品位に劣るものであった。
得られた吸音材用積層不織布の低周波吸音率は低かった。
(比較例5)
(不織布A)
実施例1の不織布Aを用いた。
(不織布B)
短繊維A2として繊度0.97dtex、繊維長3.8cm、強度5.4cN/dtex、伸度24%、捲縮数13.3山/25mm、捲縮度15.4%で通過係数が97のポリエチレンテレフタレート(PET)短繊維を50質量%、短繊維Bとして実施例1の短繊維Bを50質量%使用した以外は、実施例1と同一の工程、条件で処理し、短繊維A2と短繊維Bの繊度の比0.61、目付200g/mの不織布Bを得た。
(吸音材用不織布)
実施例1と同一の方法で不織布Aと不織布Bを貼り合わせて、目付225g/m、厚さ1.2mm、不織布密度0.188g/cmの吸音材用不織布を得た。
比較例5の吸音材用不織布は、不織布Bのカード工程での糸切れによる落綿や針布への巻き付きも無く、カード工程通過性も97%と良好であった。また、各短繊維の分散は良好であり、繊維塊の発生が無く品位が良好であった。
得られた吸音材用積層不織布の低周波吸音率は低かった。

(比較例6)
(不織布A)
実施例1の不織布Aを用いた。
(不織布B)
短繊維A2として繊度0.55dtex、繊維長3.8cm、強度1.5cN/dtex、伸度17%、捲縮数13.5山/25mm、捲縮度15.2%で通過係数が13のポリエチレンテレフタレート(PET)短繊維を50質量%、短繊維Bとして実施例1の短繊維Bを50質量%使用した以外は、実施例1と同一の工程、条件で処理し、短繊維A2と短繊維Bの繊度の比0.34、目付200g/mの不織布Bを得た。
(吸音材用不織布)
実施例1と同一の方法で不織布Aと不織布Bを貼り合わせて、目付225g/m、厚さ1.2mm、不織布密度0.188g/cmの吸音材用不織布を得た。
比較例6の吸音材用不織布は、不織布Bのカード工程での糸切れによる落綿や針布への巻き付きが多く、カード工程通過性も72%と劣るものであった。また、繊維の分散性が低く、繊維塊の発生が多くなり、品位に劣るものであった。
得られた吸音材用積層不織布の低周波吸音率は低かった。
(比較例7)
(不織布A)
実施例1の不織布Aを用いた。
(不織布B)
短繊維A2として繊度0.56dtex、繊維長3.8cm、強度4.8cN/dtex、伸度21%、捲縮数4.0山/25mm、捲縮度4.5%で通過係数が14のポリエチレンテレフタレート(PET)短繊維を50質量%、短繊維Bとして実施例1の短繊維Bを50質量%使用した以外は、実施例1と同一の工程、条件で処理し、短繊維A2と短繊維Bの繊度の比0.35、目付200g/m、の不織布Bを得た。
(吸音材用不織布)
実施例1と同一の方法で不織布Aと不織布Bを貼り合わせて、目付225g/m、厚さ1.2mm、不織布密度0.188g/cmの吸音材用不織布を得た。
比較例6の吸音材用不織布は、不織布Bのカード工程での糸切れによる落綿や針布への巻き付きが多く、カード工程通過性も76%と劣るものであった。また、繊維の分散性が低く、繊維塊の発生が多くなり、品位に劣るものであった。
得られた吸音材用積層不織布の低周波吸音率は低かった。
実施例および比較例の吸音材用不織布の構成と特性を表1~表4にまとめた。
Figure 0007468255000001
Figure 0007468255000002
Figure 0007468255000003
Figure 0007468255000004
本発明の吸音材用不織布は、特に、低周波領域の吸音性能に優れ、生産性に優れるとともに、品位にも優れるため、特に自動車などの吸音材として好適に用いられる。

Claims (8)

  1. 不織布Aと不織布Bとの積層構造を有し、
    前記不織布Aが、繊度0.002~0.3dtexの繊維A1を不織布A全体に対して80質量%以上含有し、
    前記不織布Bが、繊度0.4~0.9dtexの短繊維A2を不織布B全体に対して30~80質量%含有し、
    前記不織布Bが、繊度が1.1~20.0dtexの短繊維Bを不織布B全体に対して20~70質量%含有し、
    前記短繊維A2の下記の式(1)に示す通過係数は15~260の範囲内である、吸音材用不織布。
    通過係数=(繊度×強度×√伸度×√捲縮数×√捲縮度)/(繊維長) (1)
    <繊度(dtex)、強度(cN/dtex)、伸度(%)、捲縮数(山/25mm)、捲縮度(%)、繊維長(cm)>
  2. 目付が、150g/m以上700g/m以下であり、
    厚さが、0.6mm以上4.0mm以下である、請求項1に記載の吸音材用不織布。
  3. 密度が、0.07g/cm以上0.40g/cm以下である、請求項1または2に記載の吸音材用不織布。
  4. 前記短繊維A2がポリエステル系短繊維である、請求項1~3のいずれか一つに記載の吸音材用不織布。
  5. 前記短繊維A2の引張強度が5cN/dtex以上であり、前記短繊維A2の引張伸度が20~35%である、請求項1~4のいずれか一つに記載の吸音材用不織布。
  6. 前記短繊維A2の繊度が0.4~0.9dtexであり、前記短繊維Bの繊度が1.1~1.8dtexであり、かつ前記短繊維A2と前記短繊維Bの繊度の比(短繊維A2の繊度/短繊維Bの繊度)が0.30~0.60である、請求項1~5のいずれかに記載の吸音材用不織布。
  7. 請求項1~6のいずれか一つに記載の吸音材用不織布と、
    繊維系多孔質体、発泡体、または空気層からなる層状物とを、有し、
    前記層状物は、前記吸音材用不織布の一方の面に積層されており、
    前記層状物の厚さが、5~50mmである、吸音材。
  8. メルトブロー法により、繊度0.002~0.3dtexの繊維A1を不織布A全体に対して80質量%以上含有する不織布Aを得る工程と、
    短繊維A2および短繊維Bに開繊処理を施し、短繊維A2および短繊維Bの混繊ウェブを得る工程と、
    前記混繊ウェブがウォータージェットパンチノズルを3回以上通過し、不織布Bを得る工程と、
    前記不織布Aと前記不織布Bとを積層する工程とを有し、
    前記短繊維A2の繊度が、0.4~0.9dtexであり、
    前記短繊維A2の下記の式(1)に示す通過係数が、15~260の範囲内であり、
    前記短繊維Bの繊度が、1.1~20.0dtexであり、
    前記混繊ウェブの全体に対する前記短繊維A2の含有量が、30~80質量%であり、
    前記混繊ウェブの全体に対する前記短繊維Bの含有量が、20~70質量%である、吸音材用不織布の製造方法。
    通過係数=(繊度×強度×√伸度×√捲縮数×√捲縮度)/(繊維長) (1)
    <繊度(dtex)、強度(cN/dtex)、伸度(%)、捲縮数(山/25mm)、捲縮度(%)、繊維長(cm)>
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