JP2020020856A - 吸音材用積層不織布 - Google Patents

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Makoto Nakahara
誠 中原
梶山 宏史
Hiroshi Kajiyama
宏史 梶山
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Abstract

【課題】低周波領域と高周波域の吸音性能に優れ、かつ耐熱性に優れた、吸音材用積層不織布を提供する。【解決手段】不織布層(A)5、不織布層(B)6、および不織布層(C)7が、この順に積層されてなる吸音材用積層不織布であって、不織布層(A)5は、単繊維直径が3μm以上30μm以下の繊維Aを主成分として含有し、不織布層(B)6は、単繊維直径が50nm以上800nm以下の繊維Bを主成分として含有し、不織布層(C)7は、単繊維直径が3μm以上30μm以下の繊維Cを主成分として含有する。不織布層(A)5は、吸音材用積層不織布の一方の最表面を構成しており、不織布層(C)7は、吸音材用積層不織布の他方の最表面を構成している。【選択図】図2

Description

本発明は、吸音材用積層不織布に関する。
近年、自動車や電気製品などにおいて静粛性が製品の商品価値の一つとしてこれまで以上に重要視されてきている。一般に騒音対策には対策部品となる吸音材の重量および厚みを増すことが有効とされるが自動車室内や居室内の空間を広く保つことや自動車では低燃費化の観点から、軽量化・コンパクト化が要求されている。さらに、自動車分野ではエンジン廻りなどに適用できる耐熱性が要求されている。
特許文献1には、ナノファイバーからなる層とポリエチレンテレフタレート短繊維からなる層を有する積層不織布が優れた吸音性を備えた吸音材用積層不織布として提案されている。また、特許文献1には、上記のナノファイバーからなる層と上記のポリエチレンテレフタレート短繊維からなる層との積層体を1つの単位とし、この積層体が複数、積層されてなる吸音材用積層不織布も提案されている。また、特許文献1には、上記のナノファイバーからなる層、上記のポリエチレンテレフタレート短繊維からなる層、および上記のナノファイバーからなる層を、この順に積層してなり、両面の最表面を、それぞれ上記のナノファイバーからなる層が構成してなる吸音材用積層不織布も提案されている。
国際公開第2016/143857号公報
本発明者らの知見によると、上記の特許文献1に開示された吸音材用積層不織布((I)平均繊維径が150nmのナノファイバーからなる層(ナノファイバー層)と、単糸繊度が2.2デシテックスのポリエチレンテレフタレート短繊維からなる層(ポリエチレンテレフタレート短繊維層)とが積層されてなる吸音材用積層不織布および(II)ナノファイバー層とポリエチレンテレフタレート短繊維層との積層体を1つの単位とし、この積層体が複数、積層されてなる吸音材用積層不織布)は、ナノファイバー層とポリエチレンテレフタレート短繊維層との積層構造を有しているため吸音性能には優れるものの、自動車のエンジン廻りなどにおける高温環境下では、吸音材用積層不織布が反ってしまい、その形状が変形するとの課題がある。また、本発明者らの知見によると、上記の特許文献1に開示された吸音材用積層不織布((III)ナノファイバー層、ポリエチレンテレフタレート短繊維層、およびナノファイバー層を、この順に積層してなり、両面の最表面を、それぞれナノファイバー層が構成してなる吸音材用積層不織布)は、ナノファイバー層とポリエチレンテレフタレート短繊維層との積層構造を有しているため吸音性能には優れるものの、自動車のエンジン廻りなどにおける高温環境下では、表皮層が変色し、結果として、吸音材用積層不織布の外観悪化が発生するとの課題がある。
そこで、本発明は、上記の事情に鑑み、吸音性能に優れる吸音材用積層不織布であって、高温環境下での形状の変形および変色による外観悪化が抑制された吸音材用積層不織布を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を有する。すなわち、
不織布層(A)、不織布層(B)、および不織布層(C)が、この順に積層されてなる吸音材用積層不織布であって、前記不織布層(A)は、単繊維直径が3μm以上30μm以下の繊維Aを主成分として含有し、前記不織布層(B)は、単繊維直径が50nm以上800nm以下の繊維Bを主成分として含有し、前記不織布層(C)は、単繊維直径が3μm以上30μm以下の繊維Cを主成分として含有し、前記不織布層(A)は、前記吸音材用積層不織布の一方の最表面を構成しており、前記不織布層(C)は、前記吸音材用積層不織布の他方の最表面を構成している、吸音材用積層不織布である。
本発明によれば、吸音性能に優れる吸音材用積層不織布であって、高温環境下での形状の変形が抑制され、さらに、変色による外観悪化が抑制された吸音材用積層不織布を提供することができる。
比較的繊維径の小さい繊維から構成される不織布層と比較的繊維径の大きい繊維から構成される不織布層とが積層されてなる2層構成の吸音材用積層不織布の一実施形態の概念図を示す。 不織布層(A)と不織布層(B)と不織布層(C)とが積層されてなる本発明の吸音材用積層不織布の一実施形態の概念図を示す。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。本発明の吸音材用積層不織布は、不織布層(A)、不織布層(B)、および不織布層(C)が、この順に積層された構成を採用する。また、上記の構成における不織布層(A)は、単繊維直径が3μm以上30μm以下の繊維Aを主成分として含有しており、さらに、吸音材用積層不織布の一方の面の最表面を構成している。また、上記の構成における不織布層(C)は、単繊維直径が3μm以上30μm以下の繊維Cを主成分として含有しており、さらに、吸音材用積層不織布の他方の面の最表面を構成している。また、上記の構成における不織布層(B)は、単繊維直径が50nm以上800nm以下の繊維Bを主成分として含有しており、さらに、吸音材用積層不織布において不織布層(A)と不織布層(C)との間に配置されている。このような構成の吸音材用積層不織布は、吸音性能に優れるとともに、高温環境下であっても反りによる形状の変形や変色による外観悪化が抑制される。
ここで、吸音材用積層不織布の、優れた吸音性能について説明する。本発明の吸音材用積層不織布は、単繊維直径が50nm以上800nm以下の繊維Bを主成分とする前記不織布層(B)を有することにより、繊維Bによる微細な孔を多数有する多孔質部を不織布層(B)に形成することができ、音が繊維Bの間の空隙(すなわち、多孔質部)を通過する際に空隙の周辺の繊維Bとの空気摩擦によって音を熱に効率よく変換することができる。さらに、単繊維直径が3μm以上30μm以下の繊維Aを主成分とする不織布層(A)、および単繊維直径が3μm以上30μm以下の繊維Cを主成分とする不織布層(C)を有することで、吸音材用積層不織布の厚さを大きくすることができ、吸音材用積層不織布の厚さ方向に音が貫通する際の、空気摩擦による音の熱への変換を、より効率的なものとすることができる。結果として、本発明の吸音材用積層不織布の吸音性能は優れたものとなる。
次に、高温環境下における吸音材用積層不織布の反りによる形状の変形の抑制について説明する。まず、高温環境下において吸音材用積層不織布の反りによる形状の変形が発生するメカニズムについて以下のとおり推測する。このメカニズムを、図1を用いて説明する。図1は、比較的繊維径の小さい繊維から構成される不織布層(以下、小不織布層と称することがある)と比較的繊維径の大きい繊維から構成される不織布層(以下、大不織布層と称することがある)とが積層されてなる2層構成の吸音材用積層不織布の概念図を示す。この吸音材用積層不織布は小不織布層1と大不織布層2とを有している。ここで、小不織布層1は、例えば単繊維直径が50nm以上800nm以下と極めて細い繊維Bを主成分として含有する。そして、上記の小不織布層は高温環境下に置かれると、上記の小不織布層では、小不織布層の周縁部側から小不織布層の中心部側への方向に大きな収縮応力3が発生する。一方で、大不織布層2は、例えば単繊維直径が3μm以上30μm以下と太い繊維Cを主成分として含有する。そして、上記の大不織布層は高温環境下に置かれたとしても、大不織布層の周縁部側から大不織布層の中心部側への方向の収縮応力は発生しないか、発生しても極めて小さい。よって、小不織布層には、収縮応力3に対する抗力4が発生する。そして、収縮応力3と抗力4との相互作用により収縮応力3の方向が吸音材用不織布の面方向とは平行ではなくなり、この収縮応力3により吸音材用不織布は反ることで、その形状は変形するものと推測する。次に、高温環境下において吸音材用積層不織布の反りによる形状の変形が抑制されるメカニズムについて以下のとおり推測する。このメカニズムを、図2を用いて説明する。図2は、不織布層(A)と不織布層(B)と不織布層(C)とが積層されてなる本発明の吸音材用積層不織布の一実施形態の概念図を示す。上記のとおり、高温環境下において、不織布層(B)6には収縮応力9が発生し、不織布層(C)7には収縮応力9に対する抗力10が発生する。そして、不織布層(A)5にも不織布層(C)7と同様に収縮応力9に対する抗力8が発生する。そして、抗力8、収縮応力9および抗力10は相互作用するが、この吸音材用不織布では、収縮応力9のベクトルは吸音材用不織布の面方向に略平行となるので、反りによる吸音材用不織布の変形は抑制されるものと推測する。また、この吸音材用不織布では、吸音材用不織布の収縮も抑制される。単繊維直径が3μm以上30μm以下と太い繊維を主成分として含有する不織布層(A)および不織布層(C)により吸音材用不織布の収縮が抑制されるものと推測する。
ここで、高温環境下において吸音材用積層不織布の反りによる形状の変形を抑制すべく、上記の不織布層(B)、上記の不織布層(A)および/または上記の不織布層(C)、ならびに上記の不織布層(B)が、この順に積層されてなる吸音材用積層不織布であり、この吸音材用積層不織布の両面の最表面が、それぞれ上記の不織布層(B)で構成されるものとすることも考えられる。しかし、この場合には、高温環境下における不織布層(B)の変色による吸音材用積層不織布の外観悪化が発生する傾向がみられる。これは、高温環境下では、不織布層(B)に主成分として含まれる単繊維直径が50nm以上800nm以下の繊維Bが、その単繊維直径の小ささ故に変色するため発生するものと推測する。一方で、高温環境下であっても、単繊維直径が3μm以上30μm以下と、単繊維直径が大きい繊維Aや繊維Cでは、その変色は抑制される。よって、本発明の吸音材用積層不織布では、外観悪化の発生は抑制される。
ここで、不織布層(B)について、説明する。この不織布層(B)は50nm以上800nm以下の繊維Bを主成分として含有している。ここで、「主成分として含有する」とは、例えば、不織布層(B)全体に対し繊維Bを80質量%以上含有することをいう。吸音材用積層不織布の吸音性能がより優れたものとなるとの理由から、不織布層(B)全体に対する繊維Bの含有量は90質量%以上であることが好ましく、100質量%であることがより好ましい。また、繊維Bの単繊維直径を50nm以上とすることで一定の多孔質部を不織布層(B)に形成することができ、吸音材用積層不織布の吸音性能が優れたものとなる。前記の観点で繊維Bの単繊維直径は100nm以上であることが好ましく、特に好ましくは150nm以上である。一方で、繊維Bの単繊維直径の上限を800nm以下とすることにより、上記の多孔質部が微細なものとなり、吸音材用積層不織布の吸音性能、特に1000Hz近傍の低周波域の吸音材用積層不織布の吸音性能が優れたものとなる。前記の観点で繊維Bの単繊維直径は700nm以下であることが好ましく、特に好ましくは600nm以下である。なお、繊維Bの単繊維直径は走査型電子顕微鏡により繊維Bの単繊維直径を測定し求めることで測定される。
また、前記不織布層(A)と前記不織布層(C)により、前記不織布層(B)を挟み込む構成とすることにより、吸音材用積層不織布の高温環境下における反りによる変形を抑制することができる。ここで、繊維Aや繊維Cの単繊維直径を3μm以上とすることで高温環境下における不織布層(B)の収縮応力に対する、不織布層(A)および不織布層(C)の抗力が強まり、吸音材用積層不織布の高温環境下における反りによる変形を抑制できる。前記の観点で繊維Aや繊維Cの単繊維直径は7μm以上が好ましく、特に好ましくは10μm以上である。一方で、繊維Aの単繊維直径の上限を30μm以下とすることにより、不織布層(A)や不織布層(C)に形成される多孔質部が微細なものとなり、結果として、吸音材用積層不織布の吸音性能が優れたものとなる。前記の観点で繊維Aの単繊維直径は25μm以下であることが好ましく、特に好ましくは20μm以下である。「主成分として含有する」とは、例えば、不織布層(A)全体に対し繊維Aを80質量%以上含有することをいう。吸音材用積層不織布の吸音性能がより優れたものとなるとの理由から、不織布層(A)全体に対する繊維Aの含有量は90質量%以上であることが好ましく、100質量%であることがより好ましい。また、不織布層(C)についても上記と同様のことがいえる。なお、繊維Aや繊維Cの単繊維直径は走査型電子顕微鏡により繊維Aや繊維Cの単繊維直径を測定し求めることで測定される。
さらに、本発明の吸音材用積層不織布の目付は、80g/m以上400g/m以下であることが好ましい。目付を80g/m以上とすることにより、空気摩擦による吸音性能を向上することができる。一方で、目付を400g/m以下とすることで柔軟性を向上することができ、自動車部材などとして使用する際の立体追従性に優れた吸音材用積層不織布が得られる。前記の観点から、目付は、120g/m以上が好ましく、150g/m以上がさらに好ましい。また目付の上限については300g/m以下が好ましく、250g/m以下がさらに好ましい。
また、本発明の吸音材用積層不織布の厚さは、1.0mm以上4.0mm以下であることが好ましい。厚さを1.0mm以上とすることで、吸音材用積層不織布に十分なサイズの多孔質部が形成され、吸音材用積層不織布の厚さ方向に音が貫通する際の、空気摩擦による音の熱への変換を、より効率的なものとすることができる。一方で厚さを4.0mm以下とすることで、吸音材用積層不織布がより緻密な構造となり、剛性が発現、吸音材用積層不織布の変形、特に反りによる変形を抑制できる。前記の観点から、厚さは1.2mm以上が好ましく、1.4mm以上がさらに好ましい。また厚さの上限については3.5mm以下が好ましく、3.0mm以下がさらに好ましい。なお、本発明の厚さはJIS L1913:1998 6.1.2 A法に基づき、不織布に0.36kPaの圧力をかけた際の厚さによって測定される。
本発明の吸音材用積層不織布の密度は、0.07g/cm以上0.16g/cm以下であることが好ましい。密度を0.07g/cm以上とすることで、前記のとおり、吸音材用積層不織布が緻密な構造となり、吸音材用積層不織布の剛性が向上し、吸音材用積層不織布の高温環境下における変形、特に反りによる発生を抑制できる。さらに、前記の密度とすることにより、吸音材用積層不織布に形成される多孔質部も緻密な構造となり、空気摩擦によって音を熱に変換する効率が高まり、結果として、吸音材用積層不織布の吸音性能がより優れたものとなる。一方で密度を0.16g/cm以下とすることで、吸音材用積層不織布に十分なサイズの多孔質部が形成され、空気摩擦による吸音性能をより優れたものとなる。前記の観点から、密度は0.08g/cm以上が好ましく、0.09g/cm以上がさらに好ましい。また密度の上限については0.15g/cm以下が好ましく、0.14g/cm以下がさらに好ましい。
本発明の吸音材用積層不織布のL*a*b* 表色系のL 値は70 以下であることが好ましい。L値を70以下とすることにより、吸音材用積層不織布の高温環境下における変色を目立ちにくくすることができる。前記の観点でL値は65以下であることが好ましく、60以下であることがさらに好ましい。一方でL値の下限については特に限定されないが、安定的に生産が可能な20以上が好ましい。吸音材用積層不織布のL値を70以下とするための手段については、不織布層(A)および不織布層(C)に用いる繊維Aや繊維Cを、カーボンブラックなどを含む原着繊維とすることで達成できる。黒原着繊維の含有量については、不織布層(A)または不織布層(C)のそれぞれ1層の全質量に対して、前記の原着繊維を15質量%以上含むことが好ましく、更に好ましくは30質量%以上含むことが好ましい。なお、本発明のL*a*b* 表色系のL値とは、国際照明委員会( C I E ) で規格化され、JIS Z8781−4:2013でも採用されている表色系である。L*a*b* 表色系のL値は、色差計などを用いて測定される。また、吸音材用積層不織布の高温環境下における変色については、高温環境下に置かれる前の吸音材用積層不織布のb値と、高温環境下に置かれた後の吸音材用積層不織布のb値との差を測定することにより評価できる。
不織布層(A)の目付と不織布層(B)の目付との比(不織布層(A)の目付/不織布層(B)の目付)、および、不織布層(C)の目付と不織布層(B)の目付との比(不織布層(C)の目付/不織布層(B)の目付)は、いずれも0.3以上2.0以下であることが好ましい。これらの目付の比が0.3以上とすることで、高温環境下において不織布層(B)に発生する収縮応力に対する不織布層(A)および不織布層(C)の抗力が強まり、吸音材用積層不織布の高温環境下における変形をさらに抑制できる。一方で、これらの目付の比の上限については、2.0以下であることで、吸音材用積層不織布の柔軟性がより優れたものとなり、自動車部材などとして使用する際の立体追従性に優れた吸音材用積層不織布が得られる。前記の観点で、これらの目付の比は0.35以上であることが好ましく、0.4以上であることが特に好ましい。また、これらの目付の比の上限は1.5以下であることが好ましく、1.0以下であることがさらに好ましい。
また、不織布層(A)および不織布層(C)の目付は、いずれも20g/m以上100g/m以下であることが好ましい。不織布層(A)および不織布層(C)の目付を、いずれも20g/m以上とすることで、高温環境下に不織布層(B)で発生する収縮応力に対する不織布層(A)や不織布層(C)の抗力が強まり、吸音材用積層不織布の高温環境下における変形を抑制できるため好ましい。前記の観点で、不織布層(A)および不織布層(C)の目付は、それぞれ30g/m以上であることが好ましく、40g/m以上であることが特に好ましい。一方で、不織布層(A)および不織布層(C)の目付の上限を100g/m以下とすることで、吸音材用積層不織布の柔軟性が高まり、自動車部材などとして使用する際の立体追従性に優れた吸音材用積層不織布が得られる。前記の観点で不織布層(A)および不織布層(C)の目付の上限は、それぞれ80g/m以下であることが好ましく、それぞれ60g/m以下であることがさらに好ましい。
不織布層(B)の目付は40g/m以上200g/mであることが好ましい。不織布層(B)の目付を40g/m以上とすることで、不織布層(B)による空気摩擦による吸音性能を向上できるため好ましい。前記の観点で不織布層(B)の目付は60g/m以上であることが好ましく、80g/m以上であることが特に好ましい。一方で、不織布層(B)の目付の上限を200g/m以下とすることで高温環境下にて不織布層(B)に発生する収縮応力が弱まり、吸音材用積層不織布の高温環境下における反りによる変形を抑制できるため好ましい。前記の観点で不織布層(B)の目付は160g/m以下であることが好ましく、120g/m以下であることが特に好ましい。
また、不織布層(A)と不織布層(B)の目付の比(不織布層(A)の目付/不織布層(B)の目付)が、0.3以上2.0以下であり、かつ、不織布層(A)と不織布層(C)の目付の比(不織布層(A)の目付/不織布層(C)の目付)が、0.2以上5.0以下であることが好ましい。上記の条件を満たす吸音材用積層不織布の高温環境下における反りによる変形が極めて高度に抑制される。そのメカニズムは下記のように推測する。まず、不織布層(A)と不織布層(B)の目付の比を0.3以上とすることで、不織布層(B)に発生する収縮応力に対する不織布層(A)の抗力が強まり、吸音材用積層不織布の高温環境下における変形をさらに抑制できる。さらに、不織布層(A)と不織布層(C)の目付の比を上記の範囲内とすることで、不織布層(A)の抗力と不織布層(C)の抗力が均等なものとなり、吸音材用積層不織布の高温環境下における変形をさらに抑制できる。 本発明の吸音材用積層不織布の通気度は4〜40cm/cm/sであることが好ましい。吸音材用積層不織布の通気度が4cm/cm/s以上であることにより、吸音材用積層不織布に多孔質部が形成されやすくなり、空気摩擦による吸音材用積層不織布の吸音性能がより優れたものとなるため好ましい。前記の観点で通気度は6cm/cm/s以上が好ましく、8cm/cm/s以上であることが特に好ましい。一方で、吸音材用積層不織布の通気度が40cm/cm/s以下であることにより、吸音材用積層不織布に形成される多孔質部が微細なものとなり、空気摩擦による吸音性能が向上するため好ましい。なお、通気度はJIS L 1096−1999 8.27.1 A法(フラジール形法)に準じて測定される。
本発明の吸音材用積層不織布の耐熱性は、実施例に記載の150℃×500hr処理後の吸音材用積層不織布の変形量によって評価できる。前記の変形量が少ないほど耐熱性が良好であり好ましく、変形量の好ましい範囲としては、30mm以下であることが好ましく、さらに好ましくは20mm以下、特に好ましくは10mm以下であることが好ましい。
本発明の吸音材用積層不織布の柔軟性は、実施例に記載の引張強度によって評価できる。前記の引張強度が小さいほど柔軟性が良好で、自動車部材などとして使用する際の立体追従性に優れた吸音材用積層不織布が得られるため好ましい。引張強度の好ましい範囲としては、600N/50mm以下であることが好ましく、さらに好ましくは500N/50mm以下、特に好ましくは400N/50mm以下であることが好ましい。一方、引張強度の下限については、自動車部材などとして使用する際のハンドリング性を得る点で、100N/50mm以上が好ましく、さらに好ましくは200N/50mm以上であることが好ましい。
本発明で用いる繊維Aの素材としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリオレフィン等の熱可塑性樹脂を使用することができる。これらの中でも、繊維Aは耐熱性に優れるポリエステル樹脂からなるものであることが好ましく、特に、耐熱性に優れるポリエチレンテレフタレート樹脂からなるものであることがより好ましい。なお、これらの熱可塑性樹脂は、複数種類のモノマーが重合されてなるものであっても良いし、また、安定剤などの添加物を含有するものであっても良い。
また、本発明で用いる繊維Cの素材としては、繊維Aの素材と同様の素材を用いることができる。ここで、本発明の効果がより優れたものとなるとの理由からは、繊維Cの素材は繊維Aの素材と同一であることが好ましい。
本発明で用いる繊維Bの素材としては、ポリエステルやポリアミド、ポリオレフィン等の熱可塑性樹脂を使用することができる。これらの中でも、繊維Bは耐熱性と生産効率に優れるポリエステル樹脂、または、ポリアミド樹脂からなるものであることが好ましく、特に、耐熱性に優れるとの観点からはポリエチレンテレフタレート樹脂からなるものであることがより好ましく、生産性に優れる(単繊維直径が50nm以上800nm以下の極細繊維をより安定的に生産できる)との観点からはナイロン6樹脂からなるものであることが好ましい。
本発明の吸音材用積層不織布はニードルパンチ不織布またはスパンレース不織布であることが好ましい。前記の不織布とすることにより、不織布層(A)、不織布層(B)、および、不織布層(C)を、カーディング法などにより効率的に形成することができる。
本発明の吸音材用積層不織布は、音が入射する側の面の逆側の面に厚さ10〜50mm程度の空気層を設けることで、吸音材用積層不織布と空気層との複合製品(吸音材)の吸音性能が極めて優れたものとなる。また、吸音材用積層不織布の両面か、音が入射する側の面の逆側の面に、厚さ10〜50mm程度の熱塑性樹脂繊維や無機繊維を用いた繊維系多孔質体からなる基材や、発泡ウレタンなどの発泡体からなる基材を貼り合わせて使用することで、これらの複合製品(吸音材)の吸音性能は極めて優れたものとなる。
本実施例で用いた測定法を後述する。
(1)不織布層(A)または不織布層(C)の繊維の単繊維直径
吸音材用積層不織布を前記積層不織布の面に垂直に切断し、この積層不織布から薄切片を切り出し、この薄切片の断面にPt−Pd(白金−パラジウム)合金を真空蒸着し蒸着体を得た。次いで、この薄切片断面部分を走査型電子顕微鏡(SEM)(日立ハイテク社製S−3500N型)で観察し、積層不織布が構成する繊維の単繊維直径が異なる複数の不織布層を備えるものであることを目視にて確認した。次に、上記の複数の不織布層のうち、積層不織布の両面の最表層を構成している2つの不織布層について、後述の測定方法に記載の手法で、構成する繊維の単繊維直径を測定した。そして、これらの測定結果に基づき、上記の2つの不織布層のいずれもが単繊維直径が3μm以上30μm以下の繊維を主成分とするものであった場合には、上記の2つの不織布層の一方を繊維Aを主成分として含有する不織布層(A)とし、上記の2つの不織布層の他方を繊維Cを主成分として含有する不織布層(C)であることを特定した。ここで、上記の2つの不織布層を構成する繊維の単繊維直径は以下の方法にて測定した。上記の2つの不織布層の各々の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)(日立ハイテク社製S−3500N型)で観察した。上記の2つの不織布層の各々の観察範囲から、各不織布層について無作為に10箇所の観察範囲を抽出し、倍率1,000倍の断面写真を撮影した。次いで、同一の断面写真内で単繊維直径が1,000nm以上の繊維を無作為に10本ずつ抽出し、計100本の単繊維直径が1,000nm以上の繊維の単繊維直径を測定した。なお、断面写真内に存在する単繊維直径が1,000nm以上の繊維が9本以下の場合には、断面写真内に存在する単繊維直径が1,000nm以上の繊維の全てについて単繊維直径を測定した。
次に、上記の2つの不織布層の各々の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)(日立ハイテク社製SU8010型)で観察した。上記の2つの不織布層の各々の観察範囲から、各不織布層について無作為に10箇所の観察範囲を抽出し、倍率10,000倍の断面写真を撮影した。次いで、同一の断面写真内で単繊維直径が1,000nm未満の繊維を無作為に10本ずつ抽出し、計100本の単繊維直径が1,000nm未満の繊維の単繊維直径を測定した。なお、断面写真内に存在する単繊維直径が1,000nm未満の繊維が9本以下の場合には、断面写真内に存在する単繊維直径が1,000nm未満の繊維の全てについて単繊維直径を測定した。また、繊維の断面形状が異形断面形状の場合は、断面写真から繊維の断面積を測定し、前記の断面積から真円直径に換算することで、繊維の単繊維直径とした。
(2)不織布層(B)の繊維の単繊維直径
「(1)不織布層(A)または不織布層(C)の繊維の単繊維直径」の項に記載の方法と同様の方法にて、積層不織布が構成する繊維の単繊維直径が異なる複数の不織布層を備えるものであることを目視にて確認した。次に、上記の複数の不織布層のうち、積層不織布の両面の最表層を構成している不織布層以外の不織布層について、上記の不織布層を構成する繊維の単繊維直径を測定し、繊維Bや不織布層(B)を特定した。ここで、上記の不織布層を構成する繊維の単繊維直径は「(1)不織布層(A)または不織布層(C)の繊維の単繊維直径」の項に記載の不織布層を構成する繊維の繊維径の測定方法と同様の方法にて測定した。
(3)吸音材用積層不織布の目付
JIS L 1913:1998 6.2に基づいて測定した。吸音材用積層不織布の試料から300mm×300mmの試験片を、鋼製定規とかみそり刃とを用いて3枚採取した。標準状態における試験片の質量を測定して、単位面積当たりの質量を次の式によって求め、平均値を算出した。

ms=m/S
ここに、ms:単位面積当たりの質量(g/m
m:吸音材用積層不織布の試験片の平均重量(g)
S:吸音材用積層不織布の試験片の面積(m)。
(4)不織布層(A)または不織布層(B)、不織布層(C)の目付
JIS L 1913:1998 6.2に基づいて測定した。上記(3)にて採取した300mm×300mmの試験片から、不織布層(A)、不織布層(B)、不織布層(C)をピンセットを用いて分離し、標準状態における各層の試験片の質量を測定して、単位面積当たりの質量を次の式によって求め、平均値を算出した。

ms=m/S
ここに、ms:単位面積当たりの質量(g/m
m:分離後の各層の試験片の平均重量(g)
S:分離前の吸音材用積層不織布の試験片の面積(m)。
(5)不織布層の目付の比(A/B、C/BまたはA/C)
上記(3)にて測定した各層の目付から、次の式によって求めた。

不織布層の目付の比(A/B)=不織布層Aの目付(g/m)/不織布層Bの目付(g/m
不織布層の目付の比(C/B)=不織布層Cの目付(g/m)/不織布層Bの目付(g/m
不織布層の目付の比(A/C)=織布層Aの目付(g/m)/不織布層Cの目付(g/m)。
(6)吸音材用積層不織布の厚さ
JIS L1913:1998 6.1.2 A法に基づいて測定した。吸音材用積層不織布の試料から50mm×50mmの試験片を5枚採取した。厚さ測定器(TECLOCK社製定圧厚さ測定器、型式PG11J)を用いて標準状態で試験片に0.36kPaの圧力を10秒間かけて厚さを測定した。測定は各試験片(5枚)について行い、平均値を算出した。
(7)吸音材用積層不織布の密度
上記、(3)の吸音材用積層不織布の目付と、上記(6)の吸音材用積層不織布の厚さから、次の式によって求めた。

吸音材用不織布の密度(g/cm)=吸音材用積層不織布の目付(g/m)/吸音材用積層不織布の厚さ(mm)/1000。
(8)吸音材用積層不織布の通気度
JIS L 1096−1999 8.27.1 A法(フラジール形法)に準じて測定した。吸音材用積層不織布の試料から、200mm×200mmの試験片を5枚採取した。フラジール形試験機を用い、円筒の一端(吸気側)に試験片を取り付けた。試験片の取り付けに際し、円筒の上に試験片を置き、試験片上から吸気部分を塞がないように均等に約98N(10kgf)の荷重を加え試験片の取り付け部におけるエアーの漏れを防止した。試験片を取り付けた後、加減抵抗器によって傾斜形気圧計が125Paの圧力を示すように吸込みファンを調整し、そのときの垂直形気圧計の示す圧力と、使用した空気孔の種類とから、試験機に付属の表によって試験片を通過する通気量(cm/cm2/s)を求め、5枚の試験片についての平均値を算出した。
(9)吸音材用積層不織布の引張強度
JIS L 1913:1998 6.3.2に準じて測定した。幅50mm、長さ250mmの試験片を、吸音材用積層不織布のタテ方向(機械方向)と上記の長さ方向が平行となるように、吸音材用積層不織布から切り出し、この試験片を5枚用意した。同様にして、吸音材用積層不織布のヨコ方向(幅方向)と上記の長さ方向が平行となるように5枚切り出した。前記の試験片を定速伸長形引張試験機に取り付けて測定を行った。つかみ間隔を100mmとし、100mm/minの引張速度で、試験片が切断するまで荷重を加え、最大点の応力を、応力ひずみ曲線から読み取った。得られた試験片5枚のそれぞれの応力の平均値を求め、さらにタテ方向とヨコ方向の平均値を求め、吸音用不織布の引張強度とした。
(10)吸音材用積層不織布のL*a*b*表色系のL値
吸音材用積層不織布の試料から、100mm×100mmの試験片を3枚採取した。色差計(ミノルタカメラ製CR310型)を用いて、光源:D65、視野角:2°の条件で上記の試験片3枚についてL値の測定を行い、この平均値を吸音材用積層不織布のL*a*b*表色系のL値とした。
(11)吸音材用積層不織布の垂直入射吸音率
JIS A 1405(1998)の垂直入射吸音測定法(管内法)に準じて測定した。吸音材用積層不織布の試料から直径92mmの円形の試験片を3枚採取した。試験装置としては、電子測器株式会社製の自動垂直入射吸音率測定器(型式10041A)を用いた。試験片を、測定用のインピーダンス管の一端に、試験片と金属反射板との間に20mmの厚さの空気層ができるようにスペーサーを設置し、試験片を取り付けた。周波数毎の吸音率は測定で得られた吸音係数を100倍した値を採用した。そして、得られた1000Hzの吸音率の平均値を低周波吸音率(%)とし、得られた2000Hzの吸音率の平均値を高周波吸音率(%)とした。
(12)吸音材用積層不織布の耐熱性(150℃×500hr処理後の変形量)
吸音材用積層不織布の試料から、300mm×300mmの試験片を3枚採取した。この試験片を無荷重の状態で鉄板に上載し、150℃の熱風オーブンに投入し、静置された状態で500hrの間、加熱処理を行った。加熱処理後の試験片を水平な面を有する台に上載し、前記の台の水平面に直角な方向で、台の水平面と試験片との距離の最大値を定規で測定した。測定は3枚の試験片について行い、その平均値を150℃×500hr処理後の変形量(mm)とした。
(13)吸音材用積層不織布のL*a*b*表色系のb値の変化
上記(12)で用いた処理前の試験片と、150℃で500hrの加熱処理を行った試験片について、色差計(ミノルタカメラ製CR310型)を用いて、光源:D65、視野角:2°の条件で処理前の試験片と150℃×500hr処理後の試験片の各3枚についてb値の測定を行い、この平均値から次の式によりb値の変化を求めた。

b値の変化 = 処理前の試験片のb値−150℃×500hr処理後の試験片のb値 。
(実施例1)
(ポリマーアロイ繊維)
溶融粘度212Pa・s(262℃、剪断速度121.6sec-1)、融点220℃のナイロン6(N6)(40質量%)と、重量平均分子量12万、溶融粘度30Pa・s(240℃、剪断速度2432sec-1)、融点170℃で光学純度99.5%以上のポリL乳酸(60質量%)とを別々に計量し、別々に下記詳細の2軸押し出し混練機に供給し、220℃で混練してポリマーアロイチップを得た。
スクリュー形状:同方向完全噛合型 2条ネジ
スクリュー :直径37mm、有効長さ1670mm、L/D=45.1
混練部長さはスクリュー有効さの28%
混練部はスクリュー有効長さの1/3より吐出側に位置させた
途中3箇所のバックフロー部有り
ベント :2箇所。
得られたポリマーアロイチップを、ステープル用紡糸機の一軸押し出し型溶融装置に供給し、溶融温度235℃、紡糸温度235℃(口金面温度220℃)、紡糸速度1200m/minとして溶融紡糸を行い、ポリマーアロイ繊維を得た。これを合糸した後、スチーム延伸を行い単糸繊度3.0dtexのポリマーアロイ繊維からなるトウを得た。得られたポリマーアロイ繊維の強度は、3.5cN/dtex、伸度45%、U%=1.0%の優れた特性を示した。上記トウに捲縮(12山/25mm)を施した後、51mmの短繊維にカットし、N6を島、ポリ乳酸を海とするポリマーアロイ繊維を得た。
(不織布層(A)、不織布層(C))
カーボンブラックを2質量%含むポリエチレンテレフタレート(PET)からなる数平均による単繊維直径が18μmでカット長51mmの黒原着短繊維と、カーボンブラックを含まないポリエチレンテレフタレート(PET)からなる数平均による単繊維直径が18μmでカット長51mmの短繊維(白色)とを、70:30の質量比でカードで混繊した後、クロスラップウエーバーでウエッブとした。このウエッブを、針密度:40本/cmの条件でニードルパンチにより絡合させ、目付:50g/mの不織布層(A)を得た。不織布層(C)についても、不織布層(A)と同様にして得た。
(脱海前の不織布層(B))
上記のポリマーアロイ繊維をカードで開繊した後、クロスラップウエーバーでウエッブとした。このウエッブを、針密度:40本/cmの条件でニードルパンチにより絡合させ、目付:250g/mの不織布層(B)を得た。
(吸音材用積層不織布)
上記の不織布層(A)、脱海前の不織布層(B)、不織布層(C)をこの順で積層し、不織布構成を不織布層(A)/脱海前の不織布層(B)/不織布層(C)とし、針密度:320本/cmの条件でニードルパンチにより絡合させ、350g/mの積層不織布を得た。前記積層不織布に対して、2%水酸化ナトリウム水溶液で温度95℃、浴比1:40、処理時間40分にて処理(脱海処理)することにより、不織布層(B)に含まれるポリ乳酸を脱海し、目付:200g/m、厚さ:2.2mm、密度:0.091g/cmの吸音材用積層不織布を得た。不織布層(A)に含まれる繊維Aの単繊維直径、および不織布層(C)に含まれる繊維Cの単繊維直径は、それぞれ18μm、不織布層(B)に含まれる繊維Bの単繊維直径は200nmであった。また、不織布層の目付の比(A/B、およびC/B)は何れも0.5であった。また、不織布層の目付の比(A/C)は1.00であった。
得られた吸音材用積層不織布の低周波吸音率は高く、高周波吸音率は高く、耐熱性は150℃×500hr処理後の変形量が小さく良好で、前記処理によるb値の変化も少なく良好で、引張強度が低く柔軟性に優れるものであった。
(実施例2)
実施例1の吸音材用積層不織布を得る際のニードルパンチの針密度を240本/cmに変更した以外は実施例1と同様にして、目付:200g/m、厚さ:3.3mm、密度:0.061g/cmの吸音材用積層不織布を得た。不織布層(A)に含まれる繊維Aの単繊維直径、および不織布層(C)に含まれる繊維Cの単繊維直径は、それぞれ18μm、不織布層(B)に含まれる繊維Bの単繊維直径は200nmであった。また、不織布層の目付の比(A/B、およびC/B)は何れも0.5であった。また、不織布層の目付の比(A/C)は1.00であった。
得られた吸音材用積層不織布の低周波吸音率は比較的高く、高周波吸音率は高く、耐熱性は150℃×500hr処理後の変形量が比較的小さく良好で、前記処理によるb値の変化も少なく良好で、引張強度が低く柔軟性に優れるものであった。
(実施例3)
実施例1の吸音材用積層不織布を、温度:180℃、クリアランス:0.3mmの金属ロール間を速度:2.0m/minの条件で通過させ圧縮し、目付:200g/m、厚さ:1.1mm、密度:0.182g/cmの吸音材用積層不織布を得た。不織布層(A)に含まれる繊維Aの単繊維直径、および不織布層(C)に含まれる繊維Cの単繊維直径は、それぞれ18μm、不織布層(B)に含まれる繊維Bの単繊維直径は200nmであった。また、不織布層の目付の比(A/B、およびC/B)は何れも0.5であった。また、不織布層の目付の比(A/C)は1.00であった。
得られた吸音材用積層不織布の低周波吸音率は高く、高周波吸音率は比較的高く、耐熱性は150℃×500hr処理後の変形量が比較的小さく良好で、前記処理によるb値の変化も少なく良好で、引張強度が比較的低く柔軟性に優れるものであった。
(実施例4)
実施例1の吸音材用積層不織布の不織布層(A)、および不織布層(C)の目付を30g/mに変更し、脱海処理後の不織布層(B)の目付を140g/mに変更した以外は実施例1と同様にして、目付:200g/m、厚さ:2.0mm、密度:0.100g/cmの吸音材用積層不織布を得た。不織布層(A)に含まれる繊維Aの単繊維直径、および不織布層(C)に含まれる繊維Cの単繊維直径は、それぞれ18μm、不織布層(B)に含まれる繊維Bの単繊維直径は200nmであった。また、不織布層の目付の比(A/B、およびC/B)は何れも0.2であった。また、不織布層の目付の比(A/C)は1.00であった。
得られた吸音材用積層不織布の低周波吸音率は高く、高周波吸音率は高く、耐熱性は150℃×500hr処理後の変形量が比較的小さく良好で、前記処理によるb値の変化も少なく良好で、引張強度が低く柔軟性に優れるものであった。
(実施例5)
実施例1の吸音材用積層不織布の不織布層(A)、および不織布層(C)の目付を82g/mに変更し、脱海後の不織布層(B)の目付を36g/mに変更した以外は実施例1と同様にして、目付:200g/m、厚さ:2.4mm、密度:0.083g/cmの吸音材用積層不織布を得た。不織布層(A)に含まれる繊維Aの単繊維直径、および不織布層(C)に含まれる繊維Cの単繊維直径は、それぞれ18μm、不織布層(B)に含まれる繊維Bの単繊維直径は200nmであった。また、不織布層の目付の比(A/B、およびC/B)は何れも2.3であった。また、不織布層の目付の比(A/C)は1.00であった。
得られた吸音材用積層不織布の低周波吸音率は比較的高く、高周波吸音率は高く、耐熱性は150℃×500hr処理後の変形量が小さく良好で、前記処理によるb値の変化も少なく良好で、引張強度が比較的低く柔軟性に優れるものであった。
(実施例6)
実施例1の吸音材用積層不織布の不織布層(A)、および不織布層(C)に用いた黒原着短繊維と短繊維(白色)の質量比を、10:90に変更した以外は実施例1と同様にして、目付:200g/m、厚さ:2.2mm、密度:0.091g/cmの吸音材用積層不織布を得た。不織布層(A)に含まれる繊維Aの単繊維直径、および不織布層(C)に含まれる繊維Cの単繊維直径は、それぞれ18μm、不織布層(B)に含まれる繊維Bの単繊維直径は200nmであった。また、不織布層の目付の比(A/B、およびC/B)は何れも0.5であった。また、不織布層の目付の比(A/C)は1.00であった。
得られた吸音材用積層不織布の低周波吸音率は高く、高周波吸音率は高く、耐熱性は150℃×500hr処理後の変形量が小さく良好で、前記処理によるb値の変化も比較的少なく良好で、引張強度が比較的低く柔軟性に優れるものであった。
(実施例7)
実施例1の吸音材用積層不織布の不織布層(A)、および不織布層(C)の目付を18g/mに変更し、脱海後の不織布層(B)の目付を36g/mに変更した以外は実施例1と同様にして、目付:72g/m、厚さ:0.8mm、密度:0.090g/cmの吸音材用積層不織布を得た。不織布層(A)に含まれる繊維Aの単繊維直径、および不織布層(C)に含まれる繊維Cの単繊維直径は、それぞれ18μm、不織布層(B)に含まれる繊維Bの単繊維直径は200nmであった。また、不織布層の目付の比(A/B、およびC/B)は何れも0.5であった。また、不織布層の目付の比(A/C)は1.00であった。
得られた吸音材用積層不織布の低周波吸音率は比較的高く、高周波吸音率は比較的高く、耐熱性は150℃×500hr処理後の変形量が小さく良好で、前記処理によるb値の変化も少なく良好で、引張強度が低く柔軟性に優れるものであった。
(実施例8)
実施例1の吸音材用積層不織布の不織布層(A)、および不織布層(C)の目付を105g/mに変更し、脱海後の不織布層(B)の目付を210g/mに変更した以外は実施例1と同様にして、目付:420g/m、厚さ:4.4mm、密度:0.095g/cmの吸音材用積層不織布を得た。不織布層(A)に含まれる繊維Aの単繊維直径、および不織布層(C)に含まれる繊維Cの単繊維直径は、それぞれ18μm、不織布層(B)に含まれる繊維Bの単繊維直径は200nmであった。また、不織布層の目付の比(A/B、およびC/B)は何れも0.5であった。また、不織布層の目付の比(A/C)は1.00であった。
得られた吸音材用積層不織布の低周波吸音率は高く、高周波吸音率は比較的高く、耐熱性は150℃×500hr処理後の変形量が小さく良好で、前記処理によるb値の変化も少なく、引張強度がやや高く柔軟性にやや劣るものであった。
(実施例9)
実施例1の吸音材用積層不織布を得る際のニードルパンチの針密度を160本/cmに変更した以外は実施例1と同様にして、目付:200g/m、厚さ:4.3mm、密度:0.047g/cmの吸音材用積層不織布を得た。不織布層(A)に含まれる繊維Aの単繊維直径、および不織布層(C)に含まれる繊維Cの単繊維直径は、それぞれ18μm、不織布層(B)に含まれる繊維Bの単繊維直径は200nmであった。また、不織布層の目付の比(A/B、およびC/B)は何れも0.5であった。また、不織布層の目付の比(A/C)は1.00であった。
得られた吸音材用積層不織布の低周波吸音率は比較的高く、高周波吸音率は比較的高く、耐熱性は150℃×500hr処理後の変形量は比較的小さく良好で、前記処理によるb値の変化は少なく良好で、引張強度が低く柔軟性に優れるものであった。
(実施例10)
実施例1の吸音材用積層不織布の不織布層(A)の目付を15g/mに変更し、不織布層(C)の目付を85g/mに変更した以外は実施例1と同様にして、目付:200g/m、厚さ:2.3mm、密度:0.087g/cmの吸音材用積層不織布を得た。不織布層(A)に含まれる繊維Aの単繊維直径、および不織布層(C)に含まれる繊維Cの単繊維直径は、それぞれ18μm、不織布層(B)に含まれる繊維Bの単繊維直径は200nmであった。また、不織布層の目付の比(A/B、およびC/B)はそれぞれ0.2、0.9であった。また、不織布層の目付の比(A/C)は0.18であった。
得られた吸音材用積層不織布の低周波吸音率は高く、高周波吸音率は高く良好で、耐熱性は150℃×500hr処理後の変形量は比較的小さく良好で、前記処理によるb値の変化も少なく、引張強度が低く柔軟性に優れるものであった。
(比較例1)
不織層(C)の目付を100g/mに変更し、実施例1の不織布層(B)と前記の不織層(C)をこの順に積層し、不織布構成をB/Cに変更した以外は実施例1と同様にして、目付:200g/m、厚さ:2.0mm、密度:0.100g/cmの吸音材用積層不織布を得た。不織布層(C)に含まれる繊維Cの単繊維直径は18μm、不織布層(B)に含まれる繊維Bの単繊維直径は200nmであった。また、不織布層の目付の比(C/B)は何れも1.0であった。また、不織布層の目付の比(A/C)は1.00であった。
得られた吸音材用積層不織布の低周波吸音率は高く、高周波吸音率は高く、耐熱性は150℃×500hr処理後の変形量が大きく劣るものであった。また、前記処理によるb値の変化は大きく劣るものであった。引張強度は低く柔軟性に優れるものであった。
(比較例2)
実施例1のポリマーアロイ繊維のナイロン6の質量比を80質量%、ポリL乳酸の質量比を20質量%に変更した以外は実施例1と同様にして、目付:200g/m、厚さ:2.4mm、密度:0.083g/cmの吸音材用積層不織布を得た。不織布層(A)に含まれる繊維Aの単繊維直径、および不織布層(C)に含まれる繊維Cの単繊維直径は、それぞれ18μm、不織布層(B)に含まれる繊維Bの単繊維直径は950nmであった。また、不織布層の目付の比(A/B、およびC/B)は何れも0.5であった。また、不織布層の目付の比(A/C)は1.00であった。
得られた吸音材用積層不織布の低周波吸音率は低く、高周波吸音率は低く吸音性能に劣るものであった。耐熱性は150℃×500hr処理後の変形量が小さく良好で、前記処理によるb値の変化は少なく良好で、引張強度が低く柔軟性に優れるものであった。
(比較例3)
実施例1の吸音材用積層不織布の不織布層(A)、および不織布層(C)に用いた黒原着短繊維と短繊維(白色)を、単繊維直径が2μmでカット長51mmのポリエチレンテレフタレート(PET)黒原着分割短繊維と、単繊維直径が2μmでカット長51mmのポリエチレンテレフタレート(PET)分割短繊維(白色)に変更した以外は実施例1と同様にして、目付:200g/m、厚さ:1.9mm、密度:0.105g/cmの吸音材用積層不織布を得た。不織布層(A)に含まれる繊維Aの単繊維直径、および不織布層(C)に含まれる繊維Cの単繊維直径は、それぞれ2μm、不織布層(B)に含まれる繊維Bの単繊維直径は200nmであった。また、不織布層の目付の比(A/B、およびC/B)は何れも0.5であった。また、不織布層の目付の比(A/C)は1.00であった。
得られた吸音材用積層不織布の低周波吸音率は高く、高周波吸音率は高く、耐熱性は150℃×500hr処理後の変形量は大きく劣るものであった。前記処理によるb値の変化は少なく良好で、引張強度が低く柔軟性に優れるものであった。 実施例1〜6の吸音材用積層不織布の構成と特性とを表1にまとめ、実施例7〜10の吸音材用不織布および比較例1〜3の吸音材用積層不織布の構成と特性とを表2にまとめた。
Figure 2020020856
Figure 2020020856
1・・・小不織布層
2・・・大不織布層
3・・・小不織布層の収縮応力
4・・・大不織布層の抗力
5・・・不織布層(A)
6・・・不織布層(B)
7・・・不織布層(C)
8・・・不織布層(A)の抗力
9・・・不織布層(B)の収縮応力
10・・不織布層(C)の抗力
本発明の吸音材用積層不織布は、低周波領域と高周波域の吸音性能に優れ、かつ耐熱性に優れるため、特に自動車などの吸音材として好適に用いられる。

Claims (5)

  1. 不織布層(A)、不織布層(B)、および不織布層(C)が、この順に積層されてなる吸音材用積層不織布であって、
    前記不織布層(A)は、単繊維直径が3μm以上30μm以下の繊維Aを主成分として含有し、
    前記不織布層(B)は、単繊維直径が50nm以上800nm以下の繊維Bを主成分として含有し、
    前記不織布層(C)は、単繊維直径が3μm以上30μm以下の繊維Cを主成分として含有し、
    前記不織布層(A)は、前記吸音材用積層不織布の一方の最表面を構成しており、
    前記不織布層(C)は、前記吸音材用積層不織布の他方の最表面を構成している、吸音材用積層不織布。
  2. 前記吸音材用積層不織布の目付が、80g/m以上400g/m以下であり、
    前記吸音材用積層不織布の厚さが、1.0mm以上4.0mm以下である、請求項1に記載の吸音材用積層不織布。
  3. 前記吸音材用積層不織布の密度が、0.07g/cm以上0.16g/cm以下である、請求項1または2に記載の吸音材用積層不織布。
  4. 前記吸音材用積層不織布のL*a*b*表色系のL 値が70 以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の吸音材用積層不織布。
  5. 前記不織布層(A)と前記不織布層(B)の目付の比(不織布層(A)の目付/不織布層(B)の目付)が、0.3以上2.0以下であり、
    前記不織布層(A)と前記不織布層(C)の目付の比(不織布層(A)の目付/不織布層(C)の目付)が、0.2以上5.0以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の吸音材用積層不織布。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US20220148551A1 (en) * 2019-03-07 2022-05-12 Toray Industries, Inc. Sound-absorbing material nonwoven fabric, sound-absorbing material, and method for producing sound-absorbing material nonwoven fabric

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