JP2015108063A - 水系インク用水分散体、インクジェット記録用水系インク、インクカートリッジ、画像記録装置 - Google Patents
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Abstract
Description
近年では、家庭用のみならず、例えばディスプレイ、ポスター、掲示板など産業用途にも利用されている。しかし、産業用途の場合、記録媒体は紙に限定されず透明なものから着色されたものまで幅広い。これらの媒体に白を表現する場合やカラーインクで着色する場合、記録媒体の透明性をインクで隠蔽したり、記録媒体の色をインクで十分に隠蔽する必要がある。そこで透明媒体や着色媒体を白色にするため白色インクが用いられている。また、カラーインクを用いる場合は、一般的な画像に用いるカラーインクと共通化するため、記録媒体にカラーインクの下地として白色インクを印字してカラーの発色を向上させている。
従来、白色顔料インクは白色を示すために屈折率が高い平均粒径が200〜300nmの無機粒子を用いて、水溶性高分子を分散剤として混合分散し、分散体やインクとしているが、有機顔料に比べて非常に沈降しやすく分散安定性が足りない状況である。
1) 着色剤として二酸化チタンを含有する水難溶性ビニルポリマー粒子が分散している水系インク用水分散体であって、前記水難溶性ビニルポリマー粒子がシリコーン成分を含み、かつ、前記水難溶性ビニルポリマーが、下記(A)〜(C)の不飽和モノマーを含むモノマー混合物を重合させたポリマーである水系インク用水分散体。
(A)芳香族ビニル化合物、下記<化学式1>の(メタ)アクリル酸エステル、及び、これらのモノマーを構成要素にした片末端に重合性官能基を有するマクロマーの少なくとも1種
<化学式1>
CH2=CR1COOR2
R1:水素又はメチル基、R2:炭素数1〜20のアルキル基、フェニル基又はナフチル基
(B)下記<化学式2>の(メタ)アクリル酸エステル
<化学式2>
CH2=CR1COO(R3O)n−R4
R1:水素又はメチル基、R3:炭素数1〜4のアルキレン基、R4:水素、メチル基又はフェニル基、n:1〜30
(C)塩生成基を有する不飽和モノマー
2) 前記水難溶性ビニルポリマーが、更に前記(A)〜(C)の不飽和モノマーと共重合可能な重合性不飽和モノマー(D)を含むモノマー混合物を重合させたものである1)記載の水系インク用水分散体。
3) 前記(D)の不飽和モノマーが、ジメチルシロキサン基を有する重合性不飽和モノマーから選ばれた1種以上を含有する1)又は2)記載の水系インク用水分散体。
4) 前記(D)の不飽和モノマーが、ジメチルシロキサン基を有し、片末端に重合性官能基を有するマクロマーから選ばれた1種以上を含有する1)〜3)のいずれかに記載の水系インク用水分散体。
5) 1)〜4)のいずれかに記載の水系インク用水分散体を含有するインクジェット記録用水系インク。
6) 5)記載のインクジェット記録用水系インクを容器中に収容したインクカートリッジ。
7) 6)記載のインクカートリッジを備えた画像記録装置。
また、前記水難溶性ビニルポリマーを、前記(A)〜(C)の不飽和モノマーを用いたものとすることにより、二酸化チタン粒子への吸着性と水への親和性、分散時の立体障害性を兼ね備えることが可能となる。
<二酸化チタン>
本発明は着色剤として二酸化チタンを用いることを特徴としている。インクジェット記録では塗膜を厚くすることが難しいため、少量の液量で形成された薄い塗膜で白色性を出す必要がある。そのため白度が上がりやすい条件が好ましい。したがって、二酸化チタン粒子の結晶系は、ルチル型とアナターゼ型のうち、屈折率が高く白度が上がりやすいルチル型の方が好ましい。また二酸化チタン粒子の平均一次粒径が100〜400nmであると白色性が高く、可視光の散乱特性からは、200〜300nmのとき、特に210〜250nmのとき、白度が高くなるので好ましい。このような酸化チタン粒子の製法としては硫酸法、塩素法などがあるが、特に限定されない。
また二酸化チタン粒子の表面処理についても特に限定されないが、二酸化チタン粒子の高い光触媒活性を抑制し、粒子表面に付着した水難溶性ビニルポリマーの分解を抑制するために、粒子表面をアルミナで処理したものが好ましい。
疎水化処理方法としては、二酸化チタン粒子表面の二酸化チタンや、アルミナ成分、シリカ成分に対して有機官能基を共有結合する方法、樹脂を二酸化チタン粒子表面に焼き付ける方法などがある。前記有機官能基を共有結合する方法としては、オルガノシロキサン系化合物、シランカップリング剤、トリメチルシロキシケイ酸、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤を用いる方法がある。
前記アルミネート系カップリング剤としては、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートなどが挙げられる。
また樹脂を二酸化チタン粒子表面に焼き付ける方法としては、ジメチルシリコーンオイルに代表される公知のシリコーンオイル等と二酸化チタン粒子とを高温度下で接触反応させる方法などが挙げられる。
上記二酸化チタン粒子は、石原産業社、堺化学工業社、テイカ社、チタン工業社、富士チタン工業社、古河ケミカルズ社、デュポン社、トロノックス社、クロノス社、ミレニアム・インオーガニック・ケミカルズ社などから入手可能であり、また疎水化処理品も同様に石原産業社、堺化学工業社、テイカ社などから入手可能である。
本発明は着色剤として二酸化チタンを用いるが、他の着色剤を添加して調色することも可能である。他の着色剤をとしては、顔料、染料共に使用可能であるが、二酸化チタンの光活性が強く分解性が強いため、光褪色の面から顔料が好ましい。
前記顔料としては、有機顔料でも無機顔料でもよい。
前記無機顔料としては、例えば酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエロー、チタンイエローカーボンブラックなどが挙げられる。これらの中でもカーボンブラックが特に好ましい。なお、カーボンブラックとしては、例えば、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたものが挙げられる。
前記アゾ顔料としては、例えば、アゾレーキ、難溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などが挙げられる。前記多環式顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料などが挙げられる。前記染料キレートとしては、例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなどが挙げられる。
これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記黒色用の着色剤としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料などが挙げられる。
前記カーボンブラックの市販品としては、例えば、Regal(登録商標)、Black Pearls(登録商標)、Elftex(登録商標)、Monarch(登録商標)、Mogul(登録商標)、Vulcan(登録商標)の商標でCabot Corporation社から入手できるカーボンブラックなどが挙げられる。
このような顔料はインクの調色のために必要に応じて添加することが好ましく、二酸化チタンの隠ぺい力の影響で透明感のない発色となる。
本発明で用いる水難溶性ビニルポリマーは、不飽和モノマーの重合により得られるポリマーである。重合方法はラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合等のいずれでも良いが、幅広い種類の不飽和モノマーを利用できる点でラジカル重合が好ましく、共重合ポリマーの組成や分子量に幅を持っていることが傾斜素材として働き、分散特性に有利に働く点でもラジカル重合が好ましい。
本発明では前記(A)〜(C)の不飽和モノマーを用いるが、これらと共重合可能な不飽和モノマーであれば、不飽和カルボン酸類、(メタ)アクリル酸エステルモノマー類、(メタ)アクリル酸アミドモノマー類、芳香族ビニルモノマー類、ビニルシアン化合物モノマー類、ビニルモノマー類、アリル化合物モノマー類、オレフィンモノマー類、ジエンモノマー類、不飽和炭素を持つオリゴマー類などを単独で又は複数組み合わせて用いることができる。これらのモノマーを組み合わせることにより、柔軟に性質を改質することが可能であり、オリゴマー型重合開始剤を用いて重合反応、グラフト反応を行うことにより樹脂の特性を改質することもできる。
本発明に用いる不飽和モノマーの具体例を以下に示す。
(A)芳香族ビニル化合物、下記<化学式1>の(メタ)アクリル酸エステル、及び、これらの不飽和モノマーを構成要素にした片末端に重合性官能基を有するマクロマーの少なくとも1種
<化学式1>
CH2=CR1COOR2
R1:水素又はメチル基、R2:炭素数1〜20のアルキル基、フェニル基又はナフチル基
本発明では、得られるポリマーの造膜温度やガラス転移温度(Tg)といった熱特性が水分散体の性能に影響を及ぼす。そのため複数種類の不飽和モノマーを組み合わせて熱特性を制御する必要がある。主に(A)群の不飽和モノマーを選択配合することにより、好ましい熱特性を示すポリマーとすることが出来る。
(A)群の不飽和モノマーは、二酸化チタン粒子との密着性及び印字画像の定着性の面から、全モノマー中の15〜80質量%が好ましく、25〜70質量%が特に好ましい。
また、(メタ)アクリル酸エステルとしては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、イソアミルアクリレート、n−へキシルアクリレート、2−エチルへキシルアクリレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、シクロへキシルアクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレートなどが挙げられる。
更にマクロマーとしては、メタクリロイル基を持つスチレンオリゴマー、メタクリロイル基を持つスチレン−アクリロニトリルオリゴマー、メタクリロイル基を持つメチルメタクリレートオリゴマー、メタクリロイル基を持つブチルアクリレートオリゴマー、メタクリロイル基を持つイソブチルメタクリレートオリゴマー、メタクリロイル基を持つ2−エチルヘキシルメタクリレート−ヒドロキシエチルメタクリレートオリゴマーなどが挙げられる。これらのモノマーは東亞合成社から試薬として入手可能である。
<化学式2>
CH2=CR1COO(R3O)n−R4
R1:水素又はメチル基、R3:炭素数1〜4のアルキレン基、R4:水素、メチル基又はフェニル基、n:1〜30
本発明では、水難溶性ビニルポリマーの親水性と水中における立体障害性が、分散体の安定性と再分散性に影響を及ぼす。親水性の度合いと水中での立体障害性は、主に(B)群の不飽和モノマーを選択して配合することにより制御できる。(B)群の不飽和モノマー由来の官能基は親水性が高いため、水溶媒に対してポリマー鎖が膨潤しやすい。立体障害の機能を利用するためには官能基鎖が適度に長いことが好ましく、繰り返し数が5〜15のポリエチレングリコール鎖やポリプロピレングリコール鎖を持つ不飽和モノマーが好ましい。
(B)群の不飽和モノマーは、分散体の分散安定性の面から、全モノマー中の5〜60質量%が好ましく、特に再分散性の面から10〜35質量%が好ましい。
本発明で用いる塩生成基を有する不飽和モノマーは、ポリマーに親水性とイオン性を付与する機能を有しており、ポリマーの親水性と表面の電荷が水分散体の沈降速度と分散安定性に影響を及ぼす。主に(C)群の不飽和モノマーの量と中和塩の比率を制御することにより電荷状態を制御することが出来る。このような塩生成基含有不飽和モノマーとしてはアニオン性不飽和モノマーとカチオン性不飽和モノマーが好ましい。
(C)群の不飽和モノマーは、分散体の分散性向上の面から、全モノマー中の5〜40質量%が好ましく、特に分散安定性の面から10〜25質量%が好ましい。
更に両性不飽和モノマーも使用可能であり、このような不飽和モノマーとしては2−メタクリロイロキシエチルホスホニルコリンが挙げられる。
本発明では(D)群の不飽和モノマーを加えることにより、濡れ性の向上や、架橋構造の制御などが可能となる。
(D)群の不飽和モノマーは、分散体の熱安定性や二酸化チタン粒子への濡れ性の面から、全モノマー中の0〜30質量%が好ましく、0〜15質量%が特に好ましい。
(D)群の不飽和モノマーとしては、顔料との親和性の面から、ジメチルシロキサン基を持つ不飽和モノマーが好ましく、より好ましくはポリジメチルシロキサンの末端にアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基をもつマクロマーである。その例としては、両末端にメタクリロイル基を持つジメチルシロキサンマクロマーと片末端にメタクリロイル基を持つジメチルシロキサンマクロマーが挙げられるが、好ましくは後者(片末端)である。
ジメチルシロキサン鎖は短すぎると濡れ性を向上させる効果が少なくなるため、繰り返し数が5以上が好ましい。また、繰り返し数が80以下であれば主鎖と強い分離が起こらないが、好ましくは15以下である。このようなマクロマーは信越化学社、東亞合成社、JNC社などから入手可能である。
また水溶性不飽和モノマーを添加することにより、ポリマーの親水性を上げることが出来る。このような不飽和モノマーとしては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミド、ビニルピロリドンなどが挙げられる。
更にアクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニリデン、塩化ビニル、ビニルエーテル、ビニルケトン等の不飽和モノマーを用いて共重合させることによりポリマー物性を改質することも可能である。
このような多官能不飽和モノマーとしては、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリブチレングリコールジメタクリレート、2,2′−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2′−ビス(4−アクリロキシプロピロキシフェニル)プロパン、2,2′−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパントリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、ジトリメチロールテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。これらのモノマーは東亞合成社、共栄社化学社、日油社などから入手可能である。
本発明で用いる水難溶性ビニルポリマーはラジカル重合で反応させることが好ましく、反応手法として溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法などの何れを用いても構わない。この中で共重合のコントロールのしやすさから、反応条件の制御性が高い溶液重合法が好ましい。
溶液重合に用いる反応溶媒は、塩生成基含有不飽和モノマーのような極性の高い不飽和モノマーを共重合させるために、エタノール、メタノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチルなどの極性溶媒が好ましい。これらに、水、NMP等の溶媒を混合して利用することも可能である。
アゾ化合物としては、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジメチル−2,2′−アゾビスブチレート、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)が好ましい。
またメタノールを溶媒に用いる場合は水系用の開始剤も利用でき、ポリジメチルシロキサンユニット含有高分子アゾ重合開始剤(和光純薬社製VPS−1001)やポリエチレングリコールユニット含有高分子アゾ重合開始剤(和光純薬社製VPE−0201)を使用することにより、ポリマー鎖に官能基を導入することが出来る。
ラジカル重合では生成するポリマーの分子量を制御するため重合連鎖移動剤を添加しても良い。連鎖移動剤としては、チオール類、メルカプタン類、アリル化合物、四塩化炭素、α−スチレンダイマー、多環芳香族化合物、ヘテロ環状化合物等が挙げられる。
重合連鎖移動剤の使用量は狙いとするポリマーの分子量、反応スケール応じて適宜変更することができ、単独で用いても複数混合して用いてもよい。
ポリマーの重合温度は、常温以上で溶媒の沸点以下であればよいが、好ましくは40〜90℃、更に好ましくは50〜80℃である。重合温度は反応開始剤の分解性とモノマー濃度、生成ポリマーの分子量に依存して決定され、反応時間はモノマー濃度の制御に応じて変動する。
反応容器は反応溶媒やモノマーのpH、反応温度の変動などで適宜選択可能であるが、反応系のpHが6未満の場合はガラス又はグラスライニングの反応容器を使用し、pHが6以上の場合はSUS製の反応容器を使用するとよい。
反応で得られたポリマーは、反応溶媒に溶かした状態で次工程に利用できるが、貧溶媒による再沈殿による分別や、溶媒留去によりポリマー単体を回収してもよい。また得られたポリマーは、再沈殿やクロマトグラフィ、抽出などで精製してもよい。
本発明における二酸化チタン粒子を含有する水難溶性ビニルポリマー粒子は、ポリマー粒子中に二酸化チタン粒子を封入したものと、ポリマー粒子の表面に二酸化チタン粒子が付着したもののいずれでもよいが、通常は、一部が封入され一部が付着した状態で存在する。また、本発明の水分散体では、全ての二酸化チタン粒子が封入及び/又は付着している必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲で二酸化チタン粒子がエマルジョン中に分散していてもよい。
ポリマー粒子に二酸化チタン粒子を含有させる方法としては、二酸化チタン粒子の存在下で溶剤に溶かしたポリマーを貧溶媒に分散させ、二酸化チタン粒子表面に析出させる転相乳化法や、二酸化チタン粒子とポリマー粒子を機械的に混摩砕するメカノケミカル法が挙げられる。二酸化チタン粒子とポリマー粒子を付着させるためには、二酸化チタン粒子表面で均一に析出できる転相乳化法が好ましい。
転相乳化法では溶媒構成とポリマーの親水性によって生成する水分散体の粒径や安定性が変わってしまう。ポリマーを溶かす溶媒は水との相溶性の高い溶剤が好ましく、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤が好ましい。これらの中でもアセトン、メチルエチルケトン、ブタノール、ジブチルエーテルが好ましく、溶媒コストと転相後の溶媒除去性、ポリマー溶解性の面から、アセトン、メチルエチルケトンがより好ましい。
転相後の溶媒留去には既存の留去方法を使用できるが、留去温度を低くでき分散体の安定性を崩さない減圧蒸留や、平易な設備で留去可能な水蒸気蒸留が好ましい。留去した溶媒は回収して再利用することが望ましいため、溶解に用いる溶媒は単一種とすることが好ましい。残留溶媒は0.1質量%以下なら分散体への影響は小さいが、インクに溶媒の臭気が残らないようにするため、溶媒の種類にもよるが0.01質量%以下が好ましい。
分散体は乾燥すると分散している樹脂が凝集して粉体化するので、乾燥抑制のため水溶性糖類やグリセリン、ポリエチレングリコールなどの湿潤剤を添加しても良い。添加する溶剤はインクに使用する溶剤が好ましい。また、カビの発生を抑制する防かび剤、腐食を抑制する防錆剤、分散状態を安定化させるための分散安定剤を添加しても良い。
本発明のインクジェット記録用水系インク(以下、インクという)には、前記水系インク用水分散体の他に、二酸化チタン以外の色材、水溶性有機溶剤、界面活性剤、水分散性樹脂、及びその他の添加剤を適宜加えることができる。
<色材>
本発明のインクに用いる色材は、二酸化チタンであるが、他の色材を併用してもよく、染料と顔料の何れの色材も使用できる。
前記顔料としては有機顔料や無機顔料がある。また色調調整の目的で染料を併用しても構わないが、耐候性を劣化させない範囲内で使用する必要がある。
またこの形態のインクは、乾燥後の再分散性に優れるため、長期間印字を休止し、インクジェットヘッドのノズル付近のインクの水分が蒸発した場合でも目詰まりを起こさず、簡単なクリーニング動作で容易に良好な印字が行える。また自己分散型の顔料は、後述する界面活性剤及び浸透剤と組み合わせたときに特に相乗効果が大きく、より信頼性の高い、高品位な画像を得ることが可能となる。
ポリマーエマルジョンを形成するポリマーとしては、ビニル系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリウレタン系ポリマー等が挙げられるが、特に好ましいのは、ビニル系ポリマーとポリエステル系ポリマーである。これらの具体例は、特開2000−53897号公報、2001−139849号公報に開示されている。
前記顔料分散剤としては、アニオン系界面活性剤及びHLB値10〜20のノニオン系界面活性剤のいずれかが好適である。
これらの中でも、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレン−β−ナフチルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンスチレンフェニルエーテルが特に好ましい。
前記顔料分散剤によって顔料が水中に均一に微分散した顔料分散体は、水系媒体中に前記顔料分散剤を溶解させ、次いで、前記顔料を加えて充分に湿潤させた後、ホモジナイザーによる高速撹拌、ビーズミルやボールミルのようなボールを用いた分散機、ロールミルのような剪断力を用いた混練分散機、超音波分散機等を用いる方法などで作製することができる。
<酸性染料及び食用染料>
C.I.アシッド・イエロー 17、23、42、44、79、142
C.I.アシッド・レッド 1、8、13、14、18、26、27、35、37、42、52、82、87、89、92、97、106、111、114、115、134、186、249、254、289
C.I.アシッド・ブルー 9、29、45、92、249
C.I.アシッド・ブラック 1、2、7、24、26、94
C.I.フード・イエロー 2、3、4
C.I.フード・レッド 7、9、14
C.I.フード・ブラック 1、2
C.I.ダイレクト・イエロー 1、12、24、26、33、44、50、120、132、142、144、86
C.I.ダイレクト・レッド 1、4、9、13、17、20、28、31、39、80、81、83、89、225、227
C.I.ダイレクト・オレンジ 26、29、62、102
C.I.ダイレクト・ブルー 1、2、6、15、22、25、71、76、79、86、87、90、98、163、165、199、202
C.I.ダイレクト・ブラック 19、22、32、38、51、56、71、74、75、77、154、168、171
C.I.ベーシック・イエロー 1、2、11、13、14、15、19、21、23、24、25、28、29、32、36、40、41、45、49、51、53、63、465、67、70、73、77、87、91
C.I.ベーシック・レッド 2、12、13、14、15、18、22、23、24、27、29、35、36、38、39、46、49、51、52、54、59、68、69、70、73、78、82、102、104、109、112
C.I.ベーシック・ブルー 1、3、5、7、9、21、22、26、35、41、45、47、54、62、65、66、67、69、75、77、78、89、92、93、105、117、120、122、124、129、137、141、147、155
C.I.ベーシック・ブラック 2、8
C.I.リアクティブ・ブラック 3、4、7、11、12、17
C.I.リアクテイブ・イエロー 1、5、11、13、14、20、21、22、25、40、47、51、55、65、67
C.I.リアクティブ・レッド 1、14、17、25、26、32、37、44、46、55、60、66、74、79、96、97
C.I.リアクティブ・ブルー 1、2、7、14、15、23、32、35、38、41、63、80、95
また、平均粒径(D50)が500nm以下であれば、吐出安定性が向上し、ドットの着弾位置も向上する。しかし、平均粒径(D50)が1μmを超えると、急激に吐出安定性が低下し、ノズル詰まりやインクの曲がりが発生し易くなる。
水溶性有機溶剤としては、例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類、多価アルコールアリールエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類、プロピレンカーボネート、炭酸エチレンが挙げられる。
好ましい水溶性有機溶剤としては、23℃、80%環境中の平衡水分量が30質量%以上の多価アルコール類が挙げられる。その具体例としては、1,2,3−ブタントリオール(38質量%)、1,2,4−ブタントリオール(41質量%)、グリセリン(49質量%)、ジグリセリン(38質量%)、トリエチレングリコール(39質量%)、テトラエチレングリコール(37質量%)、ジエチレングリコール(43質量%)、1,3−ブタンジオール(35質量%)等が挙げられる。中でもグリセリン、1,3−ブタンジオールは水分を含んだ場合に低粘度化することができるため特に好適に用いられる。
水溶性有機溶剤のインク中の含有量は20〜50質量%程度が好ましい。20質量%以上であれば、吐出安定性確保やインク吐出装置の維持装置での廃インク固着防止に優れるため好ましい。しかし、50質量%を超えて添加するとインクの液性が有機性に寄ってしまい、水難溶性ビニルポリマーの溶解が起こって樹脂成分が膨潤する。そのため分散体が凝集し、粒径の増加やヘッド内流路への吸着が起こり吐出不良を引き起こす。
前記多価アルコール類としては、例えば、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、3−メチル−1,3−ヘキサンジオール、プロピルプロピレンジグリコールなどが挙げられる。
前記多価アルコールアリールエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテルなどが挙げられる。
前記環状エーテル類としては、エポキシ類、オキセタン類、テトラヒドロフラン類、テトラヒドロピラン類、クラウンエーテル等が挙げられる。本発明としてはオキセタン類、テトラヒドロフラン類が好ましく、水溶性の面からオキセタン類が望ましい。
前記アミド化合物類としては、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン、β−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、β−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミドなどが挙げられる。ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドもアミド化合物として存在するが、有害性が高く使用することは好ましくない。アミド化合物は染料を可溶化する作用を持ち、インク乾燥時の結晶析出を抑制する効果がある。
前記含硫黄化合物類としては、例えば、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジグリコールなどが挙げられる。
このような水溶性有機溶剤はインクに対して0〜30質量%添加することが好ましい。
前記界面活性剤には、前記色材の種類や湿潤剤の組み合わせに応じて、分散安定性を損なわず、表面張力が低く、浸透性、レベリング性の高いものを用いる。例えばアニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤等が挙げられる。これらの中でも、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤が特に好ましい。
これらは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物、などが挙げられる。これらの中でも、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物は起泡性が少なく、特に好ましい。
〔一般式1〕
CF3CF2(CF2CF2)m−CH2CH2O(CH2CH2O)nH
上記式中、mは1〜10の整数を表し、nは1〜40の整数を表す。
また、前記一般式1で表される化合物において、ポリオキシエチレン基[(CH2CH2O)a部分]の分子量(MWEO)とフルオロアルキル基(CnF2n+1部分及びCmF2m+1部分)の分子量(MWF)とは、界面活性剤としての機能及び水への溶解性バランス等の理由により、式:MWEO/MWF=2.2〜10の関係を満たすことが好ましい。
CnF2n+1−CH2CH(OH)CH2−O−(CH2CH2O)a−Y
上記式中、nは2〜6の整数であり、aは15〜50の整数であり、Yは−CbH2b+1(bは11〜19の整数である)、又は−CH2CH(OH)CH2−CdF2d+1(dは2〜6の整数である)を表す。
前記一般式2で表される化合物の好ましい例としては、表面張力を下げる能力が高く浸透性が高い等の理由により、次の式(a)〜式(v)の化合物が挙げられる。
これらの中でも、有機溶剤と相溶性が良好な前記式(a)〜(c)、及び前記式(n)〜(v)の化合物が特に好ましい。
前記パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩などが挙げられる。
前記パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルリン酸エステルの塩などが挙げられる。
前記パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩などが挙げられる。
これらのフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、例えば、Li、Na、K、NH4、NH3CH2CH2OH、NH2(CH2CH2OH)2、NH(CH2CH2OH)3などが挙げられる。
(1)アニオン系フッ素系界面活性剤
このような界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。前記市販品としては、例えば、ビックケミー社、信越シリコーン社、東レ・ダウコーニング・シリコーン社などから容易に入手できる。
前記ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、市販品を用いることができ、例えば、KF−618、KF−642、KF−643(いずれも、信越化学工業社製)などが挙げられる。
〔一般式3〕
〔一般式4〕
〔式5〕
前記ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミドなどが挙げられる。
前記水分散性樹脂としては、造膜性(画像形成性)に優れ、かつ高撥水性、高耐水性、高耐候性を備えたものが、高耐水性で高画像濃度(高発色性)の画像記録に有用である。
前記水分散性樹脂の例としては、縮合系合成樹脂、付加系合成樹脂、天然高分子化合物などが挙げられる。前記縮合系合成樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリ(メタ)アクリル樹脂、アクリル−シリコーン樹脂、フッ素系樹脂などが挙げられる。前記付加系合成樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルエステル系樹脂、ポリアクリル酸系樹脂、不飽和カルボン酸系樹脂などが挙げられる。前記天然高分子化合物としては、例えば、セルロース類、ロジン類、天然ゴムなどが挙げられる。これらの中でも、ポリウレタン樹脂微粒子、アクリル−シリコーン樹脂微粒子及びフッ素系樹脂微粒子が特に好ましい。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
このような水分散性樹脂は、ホモポリマーとして使用しても、コポリマーとして使用してもよく、単相構造型、コアシェル型、及びパワーフィード型エマルジョンのいずれのものも使用できる。
更に、ポリカーボネート系ウレタン樹脂の合成には、少なくとも1種の脂環式ジイソシアネートを用いることが好ましい。該樹脂が、脂環式ジイソシアネートに由来する構造を有する場合には、耐擦過性及び耐エタノール性が一層向上する。特にイソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートが好ましい。また、脂環式ジイソシアネートの割合は全イソシアネート化合物中の60質量%以上が好ましい。
また、前記ウレタン樹脂微粒子を水性媒体中に分散させるにあたり、分散剤を利用した強制乳化型のものを用いることもできるが、塗膜に分散剤が残り強度を下げることがあるため、分子構造中にアニオン性基を有する、いわゆる自己乳化型のものが好ましい。その場合、アニオン性基を酸価が20〜100となる割合で有することが、優れた耐擦過性や耐薬品性を付与する上で好ましい。
このようなウレタン樹脂微粒子は、従来公知の製造方法により得ることができる。
また、本発明で用いるポリカーボネート系ウレタン樹脂微粒子は、塗膜を形成したときの表面硬度が100N/mm2以上であることが好ましい。この条件を満たすと、インクが強靭な塗膜を形成し、より強い耐擦過性が得られる。
前記その他の成分としては、必要に応じて添加する、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤などが挙げられる。
前記防腐防黴剤としては、1、2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、ぺンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム等が挙げられる。
前記防錆剤としては、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコ−ル酸アンモン、ジイソプロピルアンモニイウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリト−ル、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト等が挙げられる。
前記pH調整剤としては、調合されるインクに悪影響を及ぼさずにpHを所望の値に調整できるものであれば、任意の物質を使用できる。その例としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属元素の水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、第4級アンモニウム水酸化物やジエタノールアミン、トリエタノ−ルアミン等のアミン、水酸化アンモニウム、第4級ホスホニウム水酸化物等が挙げられる。
本発明のインクカートリッジは、本発明のインクを容器中に収容し、更に必要に応じて適宜選択したその他の部材等を有する。
前記容器としては特に制限はなく、目的に応じてその形状、構造、大きさ、材質等を適宜選択することができ、例えば、アルミニウムラミネートフィルム、樹脂フィルム等で形成されたインク袋を少なくとも有するもの、などが好適である。
インクカートリッジについて、図1及び図2を参照して説明する。図1は、インクカートリッジの一例を示す概略図であり、図2は、図1のインクカートリッジのケースも含めた概略図である。
インクはインク注入口242からインク袋241内に充填し、排気した後、該インク注入口242を融着により閉じる。使用時には、ゴム部材からなるインク排出口243に装置本体の針を刺して装置にインクを供給する。インク袋241は、透気性の無いアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。このインク袋241は、図2に示すように、通常、プラスチック製のカートリッジケース244内に収容され、インクカートリッジ201として、各種インクジェット記録装置に着脱可能に装着して用いられるようになっている。このインクカートリッジは、インクを収容し、後述するインクジェット記録装置に着脱可能に装着して用いるのが特に好ましい。
本発明のインクは、インクジェット記録方式による各種画像記録装置、例えば、インクジェット記録用プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機などに好適に使用することができる。
以下、実施例でも用いたインクジェット記録装置について概要を説明する。
図3に示すインクジェット記録装置は、装置本体(101)と、装置本体(101)に装着した用紙を装填するための給紙トレイ(102)と、装置本体(101)に装着され画像が記録(形成)された用紙をストックするための排紙トレイ(103)と、インクカートリッジ装填部(104)とを有する。インクカートリッジ装填部(104)の上面には操作キーや表示器などの操作部(105)が配置されている。インクカートリッジ装填部(104)は、インクカートリッジ(200)の脱着を行うための開閉可能な前カバー(115)を有している。(111)は上カバー、(112)は前カバーの前面である。
キャリッジ(133)には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する4個のインクジェット記録用ヘッドからなる記録ヘッド(134)の複数のインク吐出口を、主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
また、キャリッジ(133)には、記録ヘッド(134)に各色のインクを供給するための各色のサブタンク(135)を搭載している。サブタンク(135)には、インク供給チューブ(不図示)を介して、インクカートリッジ装填部(104)に装填されたインクカートリッジ(200)から、インクが供給されて補充される。
この給紙部から給紙された用紙(142)を記録ヘッド(134)の下方側で搬送するための搬送部として、用紙(142)を静電吸着して搬送するための搬送ベルト(151)と、給紙部からガイド(145)を介して送られる用紙(142)を搬送ベルト(151)との間で挟んで搬送するためのカウンタローラ(152)と、略鉛直上方に送られる用紙(142)を略90°方向転換させて搬送ベルト(151)上に倣わせるための搬送ガイド(153)と、押さえ部材(154)で搬送ベルト(151)側に付勢された先端加圧コロ(155)とが備えられ、また、搬送ベルト(151)表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ(156)が備えられている。
装置本体(101)の背面部には、両面給紙ユニット(181)が着脱自在に装着されている。両面給紙ユニット(181)は、搬送ベルト(151)の逆方向回転で戻される用紙(142)を取り込んで反転させて再度、カウンタローラ(152)と搬送ベルト(151)との間に給紙する。なお、両面給紙ユニット(181)の上面には手差し給紙部(182)が設けられている。
このとき、帯電ローラ(156)によって搬送ベルト(157)が帯電されており、用紙(142)は、搬送ベルト(151)に静電吸着されて搬送される。そこで、キャリッジ(133)を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド(134)を駆動することにより、停止している用紙(142)にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙(142)を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙(142)の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙(142)を排紙トレイ(103)に排紙する。
このインクジェット記録装置においては、インクカートリッジ(200)中のインクを使い切ったときには、インクカートリッジ(200)における筐体を分解して内部のインク袋だけを交換することができる。また、インクカートリッジ(200)は、縦置きで前面装填構成としても、安定したインクの供給を行うことができる。したがって、装置本体(101)の上方が塞がって設置されているような場合、例えば、ラック内に収納したり、あるいは装置本体(101)の上面に物が置かれているような場合でも、インクカートリッジ(200)の交換を容易に行うことができる。
なお、ここでは、キャリッジが走査するシリアル型(シャトル型)インクジェット記録装置に適用した例で説明したが、ライン型ヘッドを備えたライン型インクジェット記録装置にも同様に適用することができる。
ポリマーの質量平均分子量の測定には、東ソー社製HLC−8320GPCを使用し、カラムは東ソー社製TSL−GEL α−M×1本を使用し、溶媒は、NMPにリチウムブロマイドを10mmol/Lになるように溶解させた液を使用し、カラム温度40℃、流速0.5mL/minで、標準物質としてポリスチレンを用いて測定を行った。
顔料分散体及び樹脂エマルジョンの粒径測定は、マイクロトラックUPA−EX150により、固形分が0.01%となるように純水で希釈して行い、計算パラメーターに二酸化チタンを用いた分散体の場合は屈折率2.71、有機顔料を用いた分散体の場合は屈折率1.6を用いて粒径を測定した。
<ポリマーaの調製>
機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管及び滴下ロートを備えた1Lのフラスコ内を充分に窒素ガス置換した後、メチルメタクリレート10.0g、スチレン5.0g、スチレンマクロマー(東亞合成社製AS−6S)5.0g、メチルメタクリレートマクロマー(東亞合成社製AA−6)5.0g、シリコーンマクロマー(JNC社製FM−0711)2.5g、ポリオキシプロピレンメタクリレート(日油社製ブレンマーPP−800)2.5g、フェノキシポリオキシエチレンポリオキシプロピレンメタクリレート(日油社製ブレンマー43PAPE−600B)10.0g、メルカプトエタノール0.1g、及びメチルエチルケトン30.0gを混合し、75℃に昇温した。
次にメチルメタクリレート80.0g、スチレン40.0g、スチレンマクロマー45.0g、メチルメタクリレートマクロマー45.0g、シリコーンマクロマー22.5g、メタクリル酸80.0g、ポリオキシプロピレンメタクリレート20.0g、フェノキシポリオキシエチレンポリオキシプロピレンメタクリレート80.0g、メルカプトエタノール0.5g、2,2‘−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬社製V65)4.0g及びメチルエチルケトン150.0gの混合溶液を3時間かけて、フラスコ内に滴下した。
更にメチルメタクリレート10.0g、スチレン5.0g、メタクリル酸20.0g、ポリオキシプロピレンメタクリレート2.5g、フェノキシポリオキシエチレンポリオキシプロピレンメタクリレート10.0g、メルカプトエタノール1.0g、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.0g及びメチルエチルケトン50.0gの混合溶液を2時間かけて、フラスコ内に滴下した。その後、2時間攪拌を行った。
更に2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.75g及びメチルエチルケトン30.0gの混合溶液をフラスコ内に加えて1時間攪拌し、85℃に昇温した後、2時間攪拌を行ってポリマーa溶液を得た。
このポリマーa溶液をロータリーエバポレータで減圧乾燥してメチルエチルケトンを蒸発させ、約500gのポリマーaを得た。ポリマーaの平均分子量は180000であった。
14.0gのポリマーaをメチルエチルケトン28.0gに溶解させ、二酸化チタン(石原産業社製PC−3、一次粒径210nm、ルチル型、シロキサン処理品)14.0gを混合し、氷浴下、日本精機製作所製エクセルオートホモジナイザーにより5000rpmで30分間攪拌して均一な状態まで分散した。その後、氷浴下において、エクセルオートホモジナイザーにより2000rpmで攪拌しながら0.5Nの水酸化カリウム水溶液28.0gを10分間掛けて加え、徐々に回転数を上げていき10000rpmで30分間攪拌を行った。得られた顔料分散液を水冷しながら日本精機製作所製超音波ホモジナイザーUS−300T(チップφ26)により200μAで1時間処理し、アドバンスドナノテクノロジー製ナノメーカーを用いて100MPaの圧力で20パス分散処理を行った。その後、高純水300.0gを加え、減圧下60℃でメチルエチルケトンを水と共に留去させ、5μmのメンブランフィルター(セルロースアセテート膜)で濾過し、固形分30%の二酸化チタン含有ポリマー微粒子水分散体Aを得た。平均粒径(d50)は473nmであった。
<二酸化チタン含有ポリマー微粒子水分散体Bの調製>
14.0gのポリマーaをメチルエチルケトン28.0gに溶解させ、二酸化チタン(石原産業社製PF−691、一次粒径210nm、ルチル型、シロキサン処理品)14.0gを混合し、氷浴下、日本精機製作所製エクセルオートホモジナイザーにより5000rpmで30分間攪拌して均一な状態まで分散した。その後、氷浴下において、エクセルオートホモジナイザーにより2000rpmで攪拌しながら0.5Nの水酸化カリウム水溶液28.0gを10分間掛けて加え、徐々に回転数を上げていき10000rpmで30分間攪拌を行った。得られた顔料分散液を水冷しながら日本精機製作所製超音波ホモジナイザーUS−300T(チップφ26)により200μAで1時間処理し、アドバンスドナノテクノロジー製ナノメーカーを用いて100MPaの圧力で20パス分散処理を行った。その後、高純水300.0gを加え、減圧下60℃でメチルエチルケトンを水と共に留去させ、5μmのメンブランフィルター(セルロースアセテート膜)で濾過し、固形分30%の二酸化チタン含有ポリマー微粒子水分散体Bを得た。平均粒径(d50)は501nmであった。
<ポリマーbの調製>
機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管及び滴下ロートを備えた1Lのフラスコ内を充分に窒素ガス置換した後、メチルメタクリレート15.0g、メチルメタクリレートマクロマー(東亞合成社製AA−6)7.5g、ポリエーテルシリコーンマクロマー(信越化学社製X−22−1602)2.5g、ポリオキシプロピレンメタクリレート(日油社製ブレンマーPP−800)5.0g、フェノキシポリオキシエチレンポリオキシプロピレンメタクリレート(日油社製ブレンマー43PAPE−600B)10.0g、メルカプトエタノール0.1g、及びメチルエチルケトン30.0gを混合し、75℃に昇温した。
次にメチルメタクリレート120.0g、メチルメタクリレートマクロマー67.5g、ポリオキシプロピレンシリコーンマクロマー22.5g、メタクリル酸80.0g、ポリオキシプロピレンメタクリレート40.0g、フェノキシポリオキシエチレンポリオキシプロピレンメタクリレート80.0g、メルカプトエタノール0.5g、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬社製V65)4.0g及びメチルエチルケトン150.0gの混合溶液を3時間かけて、フラスコ内に滴下した。
更にメチルメタクリレート15.0g、メタクリル酸20.0g、ポリオキシプロピレンメタクリレート5.0g、フェノキシポリオキシエチレンポリオキシプロピレンメタクリレート10.0g、メルカプトエタノール1.0g、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.0g及びメチルエチルケトン50.0gの混合溶液を2時間かけて、フラスコ内に滴下した。その後、2時間攪拌を行った。
更に2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.75g及びメチルエチルケトン30.0gの混合溶液をフラスコ内に加えて1時間攪拌し、85℃に昇温した後、2時間攪拌を行ってポリマーb溶液を得た。
このポリマーb溶液をロータリーエバポレータで減圧乾燥してメチルエチルケトンを蒸発させ、約500gのポリマーbを得た。ポリマーbの平均分子量は200000であった。
14.0gのポリマーbをメチルエチルケトン28.0gに溶解させ、二酸化チタン(堺化学工業社製R−39、一次粒径230nm、ルチル型、オルガノシラン処理品)14.0gを混合し、氷浴下、日本精機製作所製エクセルオートホモジナイザーにより5000rpmで30分間攪拌して均一な状態まで分散した。その後、氷浴下において、エクセルオートホモジナイザーにより2000rpmで攪拌しながら0.5Nの水酸化カリウム水溶液28.0gを10分間掛けて加え、徐々に回転数を上げていき10000rpmで30分間攪拌を行った。得られた顔料分散液を水冷しながら日本精機製作所製超音波ホモジナイザーUS−300T(チップφ26)により200μAで1時間処理し、アドバンスドナノテクノロジー製ナノメーカーを用いて100MPaの圧力で20パス分散処理を行った。
その後、高純水300.0gを加え、減圧下60℃でメチルエチルケトンを水と共に留去させ、5μmのメンブランフィルター(セルロースアセテート膜)で濾過し、固形分30%の二酸化チタン含有ポリマー微粒子水分散体Cを得た。平均粒径(d50)は487nmであった。
<二酸化チタン含有ポリマー微粒子水分散体Dの調製>
14.0gのポリマーbをメチルエチルケトン28.0gに溶解させ、二酸化チタン(石原産業社製CR−50、一次粒径250nm、ルチル型、Al処理品)14.0gを混合し、氷浴下、日本精機製作所製エクセルオートホモジナイザーにより5000rpmで30分間攪拌して均一な状態まで分散した。その後、氷浴下において、エクセルオートホモジナイザーにより2000rpmで攪拌しながら0.5Nの水酸化カリウム水溶液28.0gを10分間掛けて加え、徐々に回転数を上げていき10000rpmで30分間攪拌を行った。得られた顔料分散液を水冷しながら日本精機製作所製超音波ホモジナイザーUS−300T(チップφ26)により200μAで1時間処理し、アドバンスドナノテクノロジー製ナノメーカーを用いて100MPaの圧力で20パス分散処理を行った。
その後、高純水300.0gを加え、減圧下60℃でメチルエチルケトンを水と共に留去させ、5μmのメンブランフィルター(セルロースアセテート膜)で濾過し、固形分30%の二酸化チタン含有ポリマー微粒子水分散体Dを得た。平均粒径(d50)は482nmであった。
<ポリマーcの調製>
機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管及び滴下ロートを備えた1Lのフラスコ内を充分に窒素ガス置換した後、ステアリルメタクリレート5.0g、メチルメタクリレート7.50g、スチレン5.0g、スチレンマクロマー(東亞合成社製AS−6S)5.0g、メチルメタクリレートマクロマー(東亞合成社製AA−6)5.0g、ポリオキシプロピレンメタクリレート(日油社製ブレンマーPP−800)7.5g、フェノキシポリオキシエチレンポリオキシプロピレンメタクリレート(日油社製ブレンマー43PAPE−600B)7.5g、メルカプトエタノール0.1g、及びメチルエチルケトン30.0gを混合し、75℃に昇温した。
次にステアリルメタクリレート40.0g、メチルメタクリレート60.0g、スチレン40.0g、スチレンマクロマー45.0g、メチルメタクリレートマクロマー45.0g、メタクリル酸60.0g、ポリオキシプロピレンメタクリレート60.0g、フェノキシポリオキシエチレンポリオキシプロピレンメタクリレート60.0g、メルカプトエタノール0.5g、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬社製V65)4.0g及びメチルエチルケトン150.0gの混合溶液を3時間かけて、フラスコ内に滴下した。
更にステアリルメタクリレート5.0g、メチルメタクリレート7.5g、スチレン5.0g、メタクリル酸15.0g、ポリオキシプロピレンメタクリレート7.5g、フェノキシポリオキシエチレンポリオキシプロピレンメタクリレート7.5g、メルカプトエタノール1.0g、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.0g及びメチルエチルケトン50.0gの混合溶液を2時間かけて、フラスコ内に滴下した。その後、2時間攪拌を行った。
更に2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.75g及びメチルエチルケトン30.0gの混合溶液をフラスコ内に加えて1時間攪拌し、85℃に昇温した後、2時間攪拌を行ってポリマーc溶液を得た。
このポリマーc溶液をロータリーエバポレータで減圧乾燥してメチルエチルケトンを蒸発させ、約500gのポリマーcを得た。ポリマーcの平均分子量は160000であった。
14.0gのポリマーcをメチルエチルケトン28.0gに溶解させ、二酸化チタン(堺化学工業社製R−39、一次粒径230nm、ルチル型、オルガノシラン処理品)14.0gを混合し、氷浴下、日本精機製作所製エクセルオートホモジナイザーにより5000rpmで30分間攪拌して均一な状態まで分散した。その後、氷浴下において、エクセルオートホモジナイザーにより2000rpmで攪拌しながら0.5Nの水酸化カリウム水溶液28.0gを10分間掛けて加え、徐々に回転数を上げていき10000rpmで30分間攪拌を行った。得られた顔料分散液を水冷しながら日本精機製作所製超音波ホモジナイザーUS−300T(チップφ26)により200μAで1時間処理し、アドバンスドナノテクノロジー製ナノメーカーを用いて100MPaの圧力で20パス分散処理を行った。
その後、高純水300.0gを加え、減圧下60℃でメチルエチルケトンを水と共に留去させ、5μmのメンブランフィルター(セルロースアセテート膜)で濾過し、固形分30%の二酸化チタン含有ポリマー微粒子水分散体Eを得た。平均粒径(d50)は455nmであった。
<二酸化チタン含有ポリマー微粒子水分散体Fの調製>
14.0gのポリマーcをメチルエチルケトン28.0gに溶解させ、二酸化チタン(石原産業社製CR−50、一次粒径250nm、ルチル型、Al処理品)14.0gを混合し、氷浴下、日本精機製作所製エクセルオートホモジナイザーにより5000rpmで30分間攪拌して塊のない状態まで分散した。その後、氷浴下においてエクセルオートホモジナイザーにより2000rpmで攪拌しながら0.5Nの水酸化カリウム水溶液28.0gを10分間掛けて加え、徐々に回転数を上げていき10000rpmで30分間攪拌を行った。得られた顔料分散液を水冷しながら日本精機製作所製超音波ホモジナイザーUS−300T(チップφ26)により200μAで1時間処理し、アドバンスドナノテクノロジー製ナノメーカーを用いて100MPaの圧力で20パス分散処理を行った。
その後、高純水300.0gを加え、減圧下60℃でメチルエチルケトンを水と共に留去させた。5μmのメンブランフィルター(セルロースアセテート膜)で濾過が出来なかったため濾過を行わず、固形分30%の二酸化チタン含有ポリマー微粒子水分散体Fを得た。平均粒径(d50)は2052nmであった。
<シリカ含有ポリマー微粒子水分散体Gの調製>
14.0gのポリマーbを疎水性シリカ(日産化学工業社製MEK−ST、平均粒径10〜20nm、メチルエチルケトン70%含有)45.0gと混合し、30分間攪拌して溶解させ均一な状態とした。その後、氷浴下において、エクセルオートホモジナイザーにより2000rpmで攪拌しながら0.5Nの水酸化カリウム水溶液28.0gを10分間掛けて加え、徐々に回転数を上げていき10000rpmで30分間攪拌を行った。
得られた顔料分散液を水冷しながら日本精機製作所製超音波ホモジナイザーUS−300T(チップφ26)により200μAで1時間処理し、アドバンスドナノテクノロジー製ナノメーカーを用いて100MPaの圧力で5パス分散処理を行った。
その後、高純水300.0gを加え、減圧下60℃でメチルエチルケトンを水と共に留去させ、5μmのメンブランフィルター(セルロースアセテート膜)で濾過し、固形分30%のシリカ含有ポリマー微粒子水分散体Gを得た。平均粒径(d50)は102nmであった。
<白色有機顔料含有ポリマー微粒子水分散体Hの調製>
14.0gのポリマーaをメチルエチルケトン28.0gに溶解させ、白色有機顔料(ハッコールケミカル社製ShigenoxOWP)14.0gを混合し、氷浴下、日本精機製作所製エクセルオートホモジナイザーにより5000rpmで30分間攪拌して塊のない状態まで分散した。その後、氷浴下において、エクセルオートホモジナイザーにより2000rpmで攪拌しながら0.5Nの水酸化カリウム水溶液28.0gを10分間掛けて加え、徐々に回転数を上げていき10000rpmで30分間攪拌を行った。
得られた顔料分散液をシンマルエンタープライゼス社製DYNO−Milマルチラボ型にメディア粒子として粒径2ミリのジルコニアビーズを用いて、ビーズ充填率70体積%、撹拌翼周速8m/s、バッチ処理で30分間処理し、アドバンスドナノテクノロジー社製ナノメーカーを用いて100MPaの圧力で20パス分散処理を行った。
その後、高純水300.0gを加え、減圧下60℃でメチルエチルケトンを水と共に留去させ、5μmのメンブランフィルター(セルロースアセテート膜)で濾過し、固形分30%の白色有機顔料含有ポリマー微粒子水分散体Hを得た。平均粒径(d50)は551nmであった。
<二酸化チタン水分散体I調製>
高純水30.8g、分散剤(ビックケミー社製DISPERBYK−190)1.2gを入れ軽く撹拌して均一化した後、二酸化チタン(堺化学工業社製GTR−100、一次粒径260nm、ルチル型、水分散用有機処理品)12.0gを加え、水冷しながら日本精機製作所製超音波ホモジナイザーUS−300T(チップφ26)により200μAで1時間処理し、5μmのメンブランフィルター(セルロースアセテート膜)で濾過して、固形分30%の二酸化チタン水分散体Iを得た。平均粒径(d50)は352nmであった。
<ウレタン樹脂エマルジョンの調製>
攪拌機、還流冷却管及び温度計を挿入した反応容器に、ポリカーボネートジオール(1,6−ヘキサンジオールとジメチルカーボネートの反応生成物)1500g、2,2−ジメチロールプロピオン酸(DMPA)220g及びN−メチルピロリドン(NMP)1347gを窒素気流下で仕込み、60℃に加熱してDMPAを溶解させた。
次いで、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを1445g、ジブチルスズジラウリレート(触媒)を2.6g加えて90℃まで加熱し、5時間かけてウレタン化反応を行い、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーを得た。
次いで、反応混合物を80℃まで冷却し、これにトリエチルアミン149gを添加・混合したものの中から4340gを抜き出して、強攪拌しつつ水5400g及びトリエチルアミン15gの混合溶液の中に加えた。
次いで、氷1500gを投入し、35%の2−メチル−1,5−ペンタンジアミン水溶液626gを加えて鎖延長反応を行い、固形分濃度が30%となるように溶媒を留去して、ウレタン樹脂エマルジョンを得た。
このエマルジョンをスライドガラス上に膜厚10μmとなるように塗布し、100℃30分で乾燥して樹脂フィルムを成形した。そして、微小表面硬度計(FISCHERSCOPE HM2000、フィッシャー社製)を用い、ビッカース圧子を9.8mNの荷重をかけて押し込んだ際のマルテンス硬度を測定した結果、120N/mm2であった。
2,3−ブタンジオール15%、1,3−プロパンジオール10%、ゾニールFS−300(Dupont社製)1%、Proxel GXL(アーチケミカルズ社製)0.3%、トリエタノールアミン0.2%、高純水6.8%をスターラーにより15分間攪拌して均一に混合した。この混合液に対して前記ウレタン樹脂エマルジョン16.7%を添加し、15分間攪拌した後、前記実施例1〜5の水分散体A〜E及び比較例1〜4の水分散体F〜Iを、それぞれ50.0%添加して30分間撹拌した。その後、5.0μmセルロースアセテートメンブランフィルターで加圧濾過し、粗大粒子を除去して実施例6〜10及び比較例5〜8の各評価インクとした。
≪インクの沈降性評価≫
タービスキャンMA2000(英弘精機社製)によりインクの顔料の沈降性を調べた。
即ち、各インクを超音波分散処理(100W、40分)し均一な状態にしてから、ピペットを用いて装置専用のガラスセルに5.5mL入れた。セル内のインクの液面が安定した30分後に測定を行い、この時間を沈降性評価開始とした。その後、23℃で静置し、120時間後まで測定を行い、沈降性評価開始を基準とした偏差表示により、沈降性を確認した。沈降性を確認は、主に、上澄みの生成による後方散乱光の変化を、ピークの積算(相対値モード)で行い、次の基準で評価した。
〔評価基準〕
◎:評価開始120時間後の相対変化が5%未満
〇:評価開始120時間後の相対変化が5%以上、10%未満
×:評価開始120時間後の相対変化が10%以上
各インクを室温でガラス製の30mLサンプル瓶に15g入れて密栓し1ヶ月静置したところ、顔料が沈降したため、再分散性の評価を、次の基準で評価した。
〔評価基準〕
◎:サンプル瓶を手で30秒振ると顔料の沈降が解消し、静置前の粒径に戻る。
〇:超音波ホモジナイザーUS−300T(チップφ7)を用いて120μAで
1分間照射すると、顔料の粒径が静置前の粒径に戻る。
×:超音波ホモジナイザーUS−300T(チップφ7)を用いて120μAで
1分以上照射しても、顔料の沈降が解消しない。
各インクをガラス製の30mLサンプル瓶に15g入れて密栓し60℃で1ヶ月静置し、インク溶剤による樹脂の膨潤や分散破壊の有無を確認した。保存後のインクを超音波ホモジナイザーUS−300T(チップφ7)を用いて120μAで1分間照射し、再分散後の粒径により、次の基準で評価した。
〔評価基準〕
◎:粒径の変化率の絶対値が、5%未満
〇:粒径の変化率の絶対値が、5%以上、15%未満
×:粒径の変化率の絶対値が、15%以上
<印字条件>
外装を外しマルチ手差しフィーダーを取り付けたインクジェットプリンター(リコー社製IPSiO GXe3300)の印字ヘッドを含めたインク供給経路に純水を通液して洗浄し、洗浄液が着色しなくなるまで十分に通液した後、液を装置から抜ききって評価用印写装置とした。また各インクを5〜10Paの減圧条件で30分間攪拌することによりインク中の気体を脱気し、インクカートリッジに充填して評価用インクカートリッジとした。充填動作を行い、全ノズルにインクが充填され異常画像が出ないことを確認し、プリンタ添付のドライバで光沢紙きれいモードを選択した後、ユーザー設定でカラーマッチングoffを印字モードとした。このモードで、ベタ画像のメディア上へのインク付着量が20g/m2となるようにヘッドの駆動電圧を変更して吐出量を調整した。
次いで、Microsoft Word2003により作成した50mm×50mmのベタ画像をOHPシート上に印字した。印字後、記録媒体を80℃の恒温槽に入れ、1時間乾燥を行って評価した。
この印字したOHPシートの下に市販の黒紙を敷いた状態で、印字した部分を分光測色濃度計X−Rite938を用いて明度(L*)を測定し、次の基準で評価した。
参考として黒紙の上に未印字のOHPシートを敷いた状態で測定したL*値は22.4であった。
〔評価基準〕
◎:L*値が、70以上
〇:L*値が、60以上、70未満
×:L*値が、60未満
また実施例6〜9のように、ポリマー成分にシリコーン成分が含まれると、更に再分散性を高めることが出来る。更に二酸化チタンにシリコーン成分による表面処理を行うと、保存安定性を高めることが出来る。
一方、比較例5のように色材の二酸化チタンにシリコーン成分の表面処理が無く、またポリマー成分にシリコーン成分が無いと、顔料表面へのポリマーの親和性が低く、分散性が不十分になり沈降性が悪化してしまう。また比較例8のように水溶性樹脂により分散を行うと、沈降後に凝集してしまい再分散性が非常に低い水分散体となってしまう。また、比較例6、7のように二酸化チタンと異なる色材を用いると、分散安定性は優れているが白色度が得られないため、白インク用水分散体として使用できず、白色インクとして使用できない。
102 給紙トレイ
103 排紙トレイ
104 インクカートリッジ装填部
105 操作部
111 上カバー
112 前カバーの前面
115 前カバー
131 ガイドロッド
132 ステー
133 キャリッジ
134 記録ヘッド
135 サブタンク
141 用紙載置部
142 用紙
143 給紙コロ
144 分離パッド
145 ガイド
151 搬送ベルト
152 カウンタローラ
153 搬送ガイド
154 押さえ部材
155 加圧コロ
156 帯電ローラ
157 搬送ローラ
158 テンションローラ
161 ガイド部材
171 分離爪
172 排紙ローラ
173 排紙コロ
181 両面給紙ユニット
182 手差し給紙部
200 インクカートリッジ
201 インクカートリッジ
241 インク袋
242 インク注入口
243 インク排出口
244 カートリッジケース
Claims (7)
- 着色剤として二酸化チタンを含有する水難溶性ビニルポリマー粒子が分散している水系インク用水分散体であって、前記水難溶性ビニルポリマー粒子がシリコーン成分を含み、かつ、前記水難溶性ビニルポリマーが、下記(A)〜(C)の不飽和モノマーを含むモノマー混合物を重合させたポリマーである水系インク用水分散体。
(A)芳香族ビニル化合物、下記<化学式1>の(メタ)アクリル酸エステル、及び、これらのモノマーを構成要素にした片末端に重合性官能基を有するマクロマーの少なくとも1種
<化学式1>
CH2=CR1COOR2
R1:水素又はメチル基、R2:炭素数1〜20のアルキル基、フェニル基又はナフチル基
(B)下記<化学式2>の(メタ)アクリル酸エステル
<化学式2>
CH2=CR1COO(R3O)n−R4
R1:水素又はメチル基、R3:炭素数1〜4のアルキレン基、R4:水素、メチル基又はフェニル基、n:1〜30
(C)塩生成基を有する不飽和モノマー - 前記水難溶性ビニルポリマーが、更に前記(A)〜(C)の不飽和モノマーと共重合可能な重合性不飽和モノマー(D)を含むモノマー混合物を重合させたものである請求項1記載の水系インク用水分散体。
- 前記(D)の不飽和モノマーが、ジメチルシロキサン基を有する重合性不飽和モノマーから選ばれた1種以上を含有する請求項1又は2記載の水系インク用水分散体。
- 前記(D)の不飽和モノマーが、ジメチルシロキサン基を有し、片末端に重合性官能基を有するマクロマーから選ばれた1種以上を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の水系インク用水分散体。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の水系インク用水分散体を含有するインクジェット記録用水系インク。
- 請求項5記載のインクジェット記録用水系インクを容器中に収容したインクカートリッジ。
- 請求項6記載のインクカートリッジを備えた画像記録装置。
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