JP6064432B2 - インクジェット記録用インク、インクカートリッジ、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置 - Google Patents
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Description
また、特許文献2では、インク流路内の粘度変化を低下させてインクの滞留を防止し、吐出安定性を良好にするために、25℃におけるせん断速度10(1/s)と1000(1/s)とにおける粘度変動幅が5(mPa・s)以下であることを特徴とするインクが提案されている。しかし、上記のインクは低せん断速度においてもインク粘度が低く、画像濃度を高くすることに難点がある。
また、特許文献3では、降伏値が一定以下[10(mPa・s)以下]であるインクが提案されている。これにより、保存安定性に優れたインクジェット用インクが得られるとしている。この提案では、顔料の分散安定性に注目しており、水分蒸発したインクの降伏値について着目しているものではなく、吐出安定性と、画像濃度について知見を与えるものではない。
提供することを目的とする。
即ち、上記課題は、顔料と、湿潤剤と、水分散性樹脂と、水とを少なくとも含有してなるインクジェット記録用インクであって、前記湿潤剤として、下記一般式(I)〜(III)で表される化合物(一般式はここでは省略する)のうちの少なくとも2種を含有し、下記式(1)で求められる該インクの蒸発率が25重量%のときに、下記〔1〕及び〔2〕の条件を満たすことを特徴とするインクジェット記録用インクにより解決される。
蒸発率(重量%)={(初期のインク重量)−(蒸発後のインク重量)}/(初期のインク重量)×100 ・・・式(1)
〔1〕:下記条件(I)により測定・算出されるCasson降伏値が5.9Pa以上8.4Pa以下
(I)[25℃50%RHの環境で、直径5cm、1°のコーンプレートを使用しギャップ50μmにてせん断速度(S)1〜100(1/s)に対するせん断応力(D)を求め、関係式;√S=a√D+b(a、bは係数)・・・式(2)における切片bの二乗からCasson降伏値を算出]
また、上記課題は、請求項1乃至3のいずれかに記載のインクジェット記録用インクを容器中に収容したことを特徴とするインクカートリッジにより解決される。
また、上記課題は、請求項1乃至3のいずれかに記載のインクジェット記録用インクに刺激を印加し、記録ヘッドから該インクを飛翔させて記録媒体に画像を形成するインク飛翔工程を少なくとも含むことを特徴とするインクジェット記録方法により解決される。
また、上記課題は、請求項1乃至3のいずれかに記載のインクジェット記録用インクに刺激を印加し、該インクを記録ヘッドから飛翔させて記録媒体に画像を形成するインク飛翔手段を少なくとも有することを特徴とするインクジェット記録装置により解決される。
本発明のインクジェット記録用インクを記録ヘッドから飛翔させて記録媒体に画像を形成するインク飛翔手段を有するインクジェット記録装置とし、インクに刺激を印加し、記録ヘッドからインクを飛翔させて記録媒体に画像を形成すればインク吐出不良がなく、安定したインク吐出特性によって高い濃度の画像形成が実現できる。また、本発明のインクジェット記録用インクを容器中に収容してインクカートリッジとすれば、インクジェット記録装置に配備されるインクカートリッジ装填部への着脱が容易で、かつ長期間安定したインク供給が可能となる。また、保存、搬送等が容易であり、交換を短時間に行うことができるなど取扱性にも優れている。
顔料と、湿潤剤と、水分散性樹脂と、水とを少なくとも含有してなるインクジェット記録用インクであって、下記式(1)で求められる該インクの水分蒸発率が25%のときに、下記〔1〕及び〔2〕の条件を満たすことを特徴とするインクジェット記録用インク。
水分蒸発率(%)={(初期のインク重量)−(蒸発後のインク重量)}/(初期のインク重量)×100 ・・・式(1)
〔1〕:下記条件(I)により測定・算出されるCasson降伏値が5Pa以上10Pa未満
(I)[25℃50%RHの環境で、直径5cm、1°のコーンプレートを使用しギャップ50μmにてせん断速度(S)1〜100(1/s)に対するせん断応力(D)を求め、関係式;√S=a√D+b(a、bは係数)・・・式(2)における切片bの二乗からCasson降伏値を算出]
〔2〕:下記条件(II)により測定される粘度が60mPa・s未満
(II)[25℃50%RHの環境で、直径5cm、1°のコーンプレートを使用しギャップ50μmにてせん断速度1000(1/s)で粘度を測定]
その理由は定かではないが、次のように推測される。インクが紙に着弾した後、インク中の水分は紙中に浸透もしくは雰囲気中に蒸発して紙表面には顔料成分の多いインク(以後濃縮インクと呼ぶ)が残る。このとき濃縮インクのCasson降伏値(略、降伏値)が高いと顔料が紙中へ浸透し難く紙表面に残るため画像濃度が高くなる。一方、該インクは記録ヘッド(略、ヘッド)内部において吐出されない状態が続くとノズル開孔部分から水分が蒸発するため、濃縮状態となる。このとき降伏値が高すぎると不吐出となってしまう。また、粘度が高すぎても不吐出となってしまう。
このとき濃縮インクの降伏値が上記範囲内にあると、良好な吐出安定性維持と、高画像濃度保持がバランスよく確保される。すなわち、吐出安定性が維持されると共に、顔料が紙中へ浸透し難く紙表面に残って画像濃度が高くなると推測される。
つまり、Casson降伏値が5Pa未満のときには、顔料が紙表面に残らずに紙中へ浸透することが多くなるために画像濃度が高くなり難い。一方、Casson降伏値が10Pa以上のときには、良好な吐出安定性を得ることが難しくなる。また、上記インクの粘度が60mPa・s未満であるとき良好な吐出安定性を得ることができる。
また、本発明のインクは、前記式(1)で求められるインクの水分蒸発率が0%のときに、前記条件(II)により測定される粘度が6mPa・s以上であることが高い画像濃度を得ることから好ましい。
√S=a√D+b ・・・(2)
S:せん断応力、D:せん断速度、(a、bは係数)
上記式(2)においてせん断速度の平方根√Dが0になる様にグラフを外挿したときの切片bの2乗がCasson降伏値となる。
容量50ml、内径5cmのガラス瓶にインクを5g秤量する。瓶を開放状態にて50℃の恒温槽で一定時間放置する。一定時間放置後、重量を測定して差分から水分蒸発率を下記式(1)にて計算する。
水分蒸発率(%)={(初期のインク重量)−(蒸発後のインク重量)}/(初期のインク重量)×100 ・・・式(1)
以下本発明のインク組成分について説明する。
本発明では、ヘッド内部でのインクの乾燥を抑制して吐出を安定させるために湿潤剤(以下、「水溶性有機溶剤」と呼称することがある。)を使用することができる。
水溶性有機溶剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物、プロピレンカーボネイト、炭酸エチレン等が挙げられる。
これらの中でも、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、グリセリン、2−ピロリドンが好ましい。
前記一般式(I)〜(IV)で表される化合物の含有量は、インク中、10質量%以上20質量%未満であることが好ましい。10質量%未満だと降伏値が上記の範囲になりづらく、20質量%以上だとインクの粘度が高くなってしまう。
前記顔料としては、有機顔料、又は無機顔料を用いることができる。なお、色調調整の目的で同時に染料を含有しても構わないが、耐候性を劣化させない範囲内で使用することが可能である。
本発明における顔料の含有量は、顔料の種類や色彩等により適宜選択されるため一義的に決められないが、おおよその範囲として、インク総量100質量%に対して固形分で2質量%〜10質量%程度である。
上記範囲より少ないと印字した際の画像濃度が低くなり、上記範囲より多すぎると、インクの粘度が高くなり、吐出安定性の低下を招くことになる。
自己分散型顔料(自己分散性顔料)は、顔料の表面に少なくとも1種の親水基が直接もしくは他の原子団を介して結合するように表面改質されたものである。該表面改質は、顔料の表面に、ある特定の官能基(スルホン基やカルボキシル基等の官能基)を化学的に結合させるか、あるいは、次亜ハロゲン酸又はその塩の少なくともいずれかを用いて湿式酸化処理するなどの方法が用いられる。これらの中でも、顔料の表面にカルボキシル基が結合され、水中に分散している形態が特に好ましい。このように自己分散型顔料は表面改質され、カルボキシル基が結合しているため、分散安定性が向上するばかりではなく、高品位な印字品質が得られるとともに、印字後の記録媒体(記録用メディア)の耐水性がより向上する。また、この形態のインクは乾燥後の再分散性に優れるため、長期間印字を休止し、インクジェットヘッドのノズル付近のインクの水分が蒸発した場合も目詰まりを起こさず、簡単なクリーニング動作で容易に良好な印字が行える。
前記自己分散型顔料の体積平均粒径(D50)は、インク中において0.01〜0.16μmであるのが好ましい。
なお、本発明における顔料の体積平均粒径(D50)は動的光散乱法により、粒度分布測定装置(日機装株式会社製、ナノトラックUPA−EX150)を用いて測定したものである。
前記アニオン性親水基としては、例えば、−COOM、−SO3M、−PO3HM、−PO3M2、−SO2NH2、−SO2NHCOR(ただし、Mは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを表す。Rは、炭素原子数1〜12のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基又は置換基を有してもよいナフチル基を表す)等が挙げられる。これらの中でも、−COOM、−SO3Mがカラー顔料表面に結合されたものを用いることが好ましい。
前記アニオン性に帯電したカラー顔料を得る方法としては、カラー顔料表面に−COONaを導入する方法として、例えば、カラー顔料を次亜塩素酸ソーダで酸化処理する方法、スルホン化による方法、ジアゾニウム塩を反応させる方法が挙げられる。
前記界面活性剤として、顔料の種類や水溶性有機溶剤の組み合わせによって分散安定性を損なわず、表面張力が低く、浸透性、レベリング性の高いものが好ましく、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤から選択される少なくとも1種が好適である。これらの中でも、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤が特に好ましい。
前記フッ素系界面活性剤としては、フッ素置換した炭素数が2〜16であるものが好ましく、フッ素置換した炭素数が4〜16であるものがより好ましい。前記フッ素置換した炭素数が2未満であると、フッ素の効果が得られないことがあり、16を超えると、インク保存性などにおいて問題が生じることがある。
さらに好ましくは、下記一般式(V)で表されるフッ素系界面活性剤である。
CF3CF2(CF2CF2)m−CH2CH2O(CH2CH2O)nH ・・・(V)
[ただし、前記一般式(V)中、mは0〜10の整数を表す。nは1〜40の整数を表す。]
前記パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、などが挙げられる。
前記パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルリン酸エステルの塩、などが挙げられる。
前記パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩、などが挙げられる。
該市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145(いずれも、旭硝子株式会社製);フルラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431(いずれも、住友スリーエム株式会社製);メガファックF−470、F−1405、F−474(いずれも、大日本インキ化学工業株式会社製);ゾニール(Zonyl)TBS、FSP、FSA、FSN−100、FSN、FSO−100、FSO、FS−300、UR(いずれも、DuPont社製);FT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW(いずれも、株式会社ネオス社製)、ポリフォックスPF−151N(オムノバ社製)などが挙げられる。
これらの中でも、良好な印字品質、特に発色性、紙に対する均染性が著しく向上する点から、DuPont社製のゾニールFS−300、株式会社ネオス製のFT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW及びオムノバ社製のポリフォックスPF−151Nが特に好ましい。
(1)アニオン系フッ素系界面活性剤
本発明の記録用インクは、浸透剤として、炭素数8〜11のポリオール化合物又はグリコールエーテル化合物を少なくとも1種を含有することが好ましい。これらは、25℃の水中において0.2〜5.0質量%の間の溶解度を有するものが好ましい。これらの中でも、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール[溶解度:4.2%(25℃)]、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール[溶解度:2.0%(25℃)]が特に好ましい。
その他のポリオール化合物として挙げられる脂肪族ジオールとしては、例えば、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、5−ヘキセン−1,2−ジオールなどがある。
水分散性樹脂は、造膜性(画像形成性)に優れ、かつ高撥水性、高耐水性、高耐候性を備えて、高耐水性で高画像濃度(高発色性)の画像記録に有用である。
前記水分散性樹脂としては、例えば、縮合系合成樹脂、付加系合成樹脂、天然高分子化合物などが挙げられる。
前記縮合系合成樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリ(メタ)アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、フッ素系樹脂などが挙げられる。
前記付加系合成樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルエステル系樹脂、ポリアクリル酸系樹脂、不飽和カルボン酸系樹脂などが挙げられる。
前記天然高分子化合物としては、例えば、セルロース類、ロジン類、天然ゴムなどが挙げられる。
これらの中でも、ポリウレタン樹脂微粒子、アクリルシリコーン樹脂微粒子及びフッ素系樹脂微粒子が特に好ましく用いられる。また、前記水分散性樹脂を2種類以上併用することは全く問題ない。
前記フルオロオレフィン単位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、−CF2CF2−、−CF2CF(CF3)−、−CF2CFCl−などが挙げられる。
前記ビニルエーテル単位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、下記に例示するビニルエーテル構造を含む化合物などが挙げられる。
該市販品としては、例えば、大日本インキ化学工業株式会社製のフルオネートFEM−500、FEM−600、ディックガードF−52S、F−90、F−90M、F−90N,アクアフランTE−5A;旭硝子株式会社製のルミフロンFE4300、FE4500、FE4400、アサヒガードAG−7105、AG−950、AG−7600、AG−7000、AG−1100などが挙げられる。
不飽和単量体の乳化重合の場合には、不飽和単量体、重合開始剤、界面活性剤、連鎖移動剤、キレート剤、及びpH調整剤などを添加した水にて反応させ樹脂エマルジョンを得るため、容易に水分散性樹脂を得ることができ、樹脂構成を容易に替えやすいため目的の性質を作りやすい。
前記単官能の(メタ)アクリル酸エステル単量体類としては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、メタクリロキシエチルトリメチルアンモニウム塩、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、イソアミルアクリレート、n−へキシルアクリレート、2−エチルへキシルアクリレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、シクロへキシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、グリシジルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、アクリロキシエチルトリメチルアンモニウム塩、などが挙げられる。
前記ビニルシアノ化合物単量体類としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
前記ビニル単量体類としては、例えば、酢酸ビニル、塩化ビニリデン、塩化ビニル、ビニルエーテル、ビニルケトン、ビニルピロリドン、ビニルスルホン酸又はその塩、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等が挙げられる。
前記アリル化合物単量体類としては、例えば、アリルスルホン酸その塩、アリルアミン、アリルクロライド、ジアリルアミン、ジアリルジメチルアンモニウム塩等が挙げられる。
前記オレフィン単量体類としては、例えば、エチレン、プロピレン等が挙げられる。
前記ジエン単量体類としては、例えば、ブタジエン、クロロプレン等が挙げられる。
前記不飽和炭素を持つオリゴマー類としては、例えば、メタクリロイル基を持つスチレンオリゴマー、メタクリロイル基を持つスチレン−アクリロニトリルオリゴマー、メタクリロイル基を持つメチルメタクリレートオリゴマー、メタクリロイル基を持つジメチルシロキサンオリゴマー、アクリロイル基を持つポリエステルオリゴマー等が挙げられる。
インク化した時に過剰な高粘度にならないためにも水分散性樹脂の平均粒子径(D50)は50nm以上が好ましい。
また、粒径が数十μmになるとインクジェットヘッドのノズル口より大きくなるため使用できない。ノズル口より小さくとも粒子径の大きな粒子がインク中に存在すると吐出性を悪化させる。そこで、インク吐出性を阻害させないために平均粒子径(D50)は200nm以下がより好ましく、150nm以下が更に好ましい。
なお、本発明における水分散性樹脂の平均粒子径[体積平均粒子径(D50)]は、25℃、50%RHの環境下において、日機装株式会社製、ナノトラックUPA−EX150で動的光散乱法により測定したものである。
そのため、前記水分散性樹脂の最低造膜温度(MFT)は30℃以下であることが好ましい。また、前記水分散性樹脂のガラス転移温度が、−40℃以下になると樹脂皮膜の粘稠性が強くなり印字物にタックが生じるため、ガラス転移温度が、−30℃以上の水分散性樹脂であることが好ましい。
そして、本発明のインクジェット用インクは、限定されるものではないが、水分量が通常50質量%より多く、樹脂と顔料の総量が通常3質量%より多いことから、溶媒蒸発率は、通常50質量%〜97質量%となる。
前述のように、前記その他の成分としては、特に制限はなく、必要に応じて適宜選択することができ、例えば、pH調整剤、防腐防黴剤、キレート試薬、防錆剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸素吸収剤、光安定化剤、などが挙げられる。
前記アルカリ金属元素の水酸化物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。
前記アンモニウムの水酸化物としては、例えば、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物などが挙げられる。
前記アルカリ金属の炭酸塩としては、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。
前記アミン系酸化防止剤としては、例えば、フェニル−β−ナフチルアミン、α−ナフチルアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチル−フェノール、ブチルヒドロキシアニソール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、テトラキス[メチレン−3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ジヒドロキフェニル)プロピオネート]メタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、等が挙げられる。
前記硫黄系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリルβ,β’−チオジプロピオネート、2−メルカプトベンゾイミダゾール、ジラウリルサルファイド等が挙げられる。
前記リン系酸化防止剤としては、トリフェニルフォスファイト、オクタデシルフォスファイト、トリイソデシルフォスファイト、トリラウリルトリチオフォスファイト、トリノニルフェニルフォスファイト、等が挙げられる。
前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2'−ヒドロキシ−5'−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−4'−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−tert−ブチル−5'−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、等が挙げられる。
前記サリチレート系紫外線吸収剤としては、例えば、フェニルサリチレート、p−tert−ブチルフェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレート、等が挙げられる。
前記シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、例えば、エチル−2−シアノ−3,3'−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート、ブチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート、等が挙げられる。
前記ニッケル錯塩系紫外線吸収剤としては、例えば、ニッケルビス(オクチルフェニル)サルファイド、2,2’−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)−n−ブチルアミンニッケル(II)、2,2’−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)−2−エチルヘキシルアミンニッケル(II)、2,2’−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)トリエタノールアミンニッケル(II)、等が挙げられる。
本発明のインクカートリッジは、本発明の前記インクジェット記録用インクを容器中に収容してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の部材等を有してなる。
前記容器としては、特に制限はなく、目的に応じてその形状、構造、大きさ、材質等を適宜選択することができ、例えば、アルミニウムラミネートフィルム、樹脂フィルム等で形成されたインク袋などを少なくとも有するもの、などが好適に挙げられる。
図1に示すように、インク注入口242から本発明の前記記録用インクがインク袋241内に充填され、排気した後、該インク注入口242は融着により閉じられる。使用時には、ゴム部材からなるインク排出口243に、図3で後述するインクジェット記録装置本体101の針が刺されて、前記インクが装置本体101に供給される。
インク袋241は、透気性のないアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。このインク袋241は、図2に示すように、通常、プラスチックス製のカートリッジケース244内に収容され、各種インクジェット記録装置に着脱可能に装着して用いられるようになっている。
本発明のインクジェット記録方法は、本発明の前記インクジェット記録用インクを飛翔させて記録媒体に画像を形成するインク飛翔工程を少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば、刺激発生工程、制御工程等を含む。
本発明のインクジェット記録装置は、インク飛翔手段を少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、刺激発生手段、制御手段等を有してなる。
本発明のインクジェット記録方法は、本発明のインクジェット記録装置により好適に実施することができ、前記インク飛翔工程は前記インク飛翔手段により好適に行うことができる。また、前記その他の工程は、前記その他の手段により好適に行うことができる。
前記インク飛翔工程は、前記本発明の記録用インクに、刺激(エネルギー)を印加し、該記録用インクを飛翔させて記録媒体(記録用メディア)に画像を形成する工程である。
前記インク飛翔手段は、前記本発明のインクジェット記録用インクに、刺激(エネルギー)を印加し、該記録用インクを記録ヘッド(インクジェットヘッド)から飛翔させて記録用メディアに画像を形成する手段である。該インク飛翔手段としては、特に制限はなく、例えば、インク吐出用の各種のノズル、などが挙げられる。
本発明においては、前記インクジェットヘッドの液室部、流体抵抗部、振動板、及びノズル部材の少なくとも一部がシリコン及びニッケルの少なくともいずれかを含む材料から形成されることが好ましい。
また、前記インクジェットノズルのノズル直径は、30μm以下が好ましく、1〜20μmがより好ましい。
なお、前記刺激発生手段としては、例えば、加熱装置、加圧装置、圧電素子、振動発生装置、超音波発振器、ライト、などが挙げられ、具体的には、例えば、圧電素子等の圧電アクチュエータ、発熱抵抗体等の電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータ等、などが挙げられる。
なお、前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
図3は、本発明に係るインクカートリッジ装填部のカバーを開いた状態のインクジェット記録装置の斜視図である。
図3に示すインクジェット記録装置は、装置本体101と、装置本体101に用紙を装填するための給紙トレイ102と、装置本体101に装填され画像が形成(記録)された用紙をストックするための排紙トレイ103と、インクカートリッジ装填部104とを有する。インクカートリッジ装填部104の上面には、操作キーや表示器などの操作部105が配置されている。インクカートリッジ装填部104は、インクカートリッジ201の脱着を行うための開閉可能な前カバー115を有している。
記録終了信号又は用紙142の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙142を排紙トレイ103に排紙する。そして、サブタンク135内の記録用インクの残量ニヤエンドが検知されると、インクカートリッジ201から所要量の記録用インクがサブタンク135に補給される。
なお、キャリッジが走査するシリアル型(シャトル型)インクジェット記録装置に適用した例で説明したが、ライン型ヘッドを備えたライン型インクジェット記録装置にも同様に適用することができる。
本発明のインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法により、記録媒体(記録用メディア)に画像が形成されたインク記録物が得られる。即ち、インク記録物は、本発明の前記インクメディアセットにおける記録用メディア上に、本発明の前記インクメディアセットにおける記録用インクを用いて形成された画像を有してなる。
前記記録用メディアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、普通紙、光沢紙、特殊紙、布、フィルム、OHPシート、汎用印刷紙などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記インク記録物は、高画質で滲みがなく、経時安定性に優れ、各種の印字乃至画像の記録された資料等として各種用途に好適に使用することができる。
なお、以下、実施例3、4、7とあるのは本発明に含まれない参考例3、4、7を示す。
(調整例1):表面処理ブラック顔料分散液
CTAB比表面積が150m2/g、DBP吸油量100ml/100gのカーボンブラック90gを、2.5規定の硫酸ナトリウム溶液3,000mlに添加し、温度60℃、速度300rpmで攪拌し、10時間反応させて酸化処理を行った。この反応液を濾過し、濾別したカーボンブラックを水酸化ナトリウム溶液で中和し、限外濾過を行った。得られたカーボンブラックを水洗し、乾燥させて、固形分30質量%となるよう純水中に分散させ、充分に撹拌してブラック顔料分散液を得た。このブラック顔料分散液における顔料分散体の平均粒子径(D50)を測定したところ103nmであった。
なお、顔料分散体の平均粒子径(D50)の測定は、粒度分布測定装置(日機装株式会社製、ナノトラックUPA−EX150)を用いた。
〔ポリマー溶液Aの調製〕
機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管、及び滴下ロートを備えた1Lのフラスコ内を充分に窒素ガス置換した後、スチレン11.2g、アクリル酸2.8g、ラウリルメタクリレート12.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート4.0g、スチレンマクロマー4.0g、及びメルカプトエタノール0.4gを混合し、65℃に昇温した。
次に、スチレン100.8g、アクリル酸25.2g、ラウリルメタクリレート108.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート36.0g、ヒドロキシルエチルメタクリレート60.0g、スチレンマクロマー36.0g、メルカプトエタノール3.6g、アゾビスメチルバレロニトリル2.4g、及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を2.5時間かけて、フラスコ内に滴下した。滴下後、アゾビスメチルバレロニトリル0.8g及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を0.5時間かけて、フラスコ内に滴下した。65℃で1時間熟成した後、アゾビスメチルバレロニトリル0.8gを添加し、更に1時間熟成した。反応終了後、フラスコ内にメチルエチルケトン364gを添加し、濃度が50質量%のポリマー溶液Aを800g得た。
〔マゼンタ顔料含有ポリマー微粒子分散液の調製〕
上記ポリマー溶液Aを28gと、C.I.ピグメントレッド122を42g、1mol/Lの水酸化カリウム水溶液13.6g、メチルエチルケトン20g、及びイオン交換水13.6gを十分に攪拌した後、ロールミルを用いて混練した。得られたペーストを純水200gに投入し、充分に攪拌した後、エバポレータ用いてメチルエチルケトン及び水を留去し、更に粗大粒子を除くためにこの分散液を平均孔径5.0μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターにて加圧濾過し、顔料15質量%含有、固形分20質量%のマゼンタ顔料含有ポリマー微粒子分散液を得た。得られたマゼンタ顔料含有ポリマー微粒子分散液におけるポリマー微粒子の平均粒子径(D50)を測定したところ127nmであった。
なお、ポリマー微粒子の平均粒子径(D50)の測定は、粒度分布測定装置(日機装株式会社製、ナノトラックUPA−EX150)を用いた。
調製例2において、顔料としてのC.I.ピグメントレッド122をフタロシアニン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3)に変更した以外は、調製例2と同様にして、シアン顔料含有ポリマー微粒子分散液を調製した。
得られたシアン顔料含有ポリマー微粒子分散液におけるポリマー微粒子について、粒度分布測定装置(日機装株式会社製、ナノトラックUPA−EX150)で測定した平均粒子径(D50)は93nmであった。
調製例2において、顔料としてのC.I.ピグメントレッド122をモノアゾイエロー顔料(C.I.ピグメントイエロー74)に変更した以外は、調製例2と同様にして、イエロー顔料含有ポリマー微粒子分散液を調製した。
得られたイエロー顔料含有ポリマー微粒子分散液におけるポリマー微粒子について、粒度分布測定装置(日機装株式会社製、ナノトラックUPA−EX150)で測定した平均粒子径(D50)は76nmであった。
<インクジェット記録用インクの作製>
下記表1に実施例1〜7のインク組成物の構成を、また下記表2に比較例1〜3のインク組成物の構成をそれぞれ示す。
各記録用インクの製造は、以下の手順で行った。まず、下記表1〜表2に示す、湿潤剤(水溶性有機溶剤)、浸透剤、界面活性剤、防カビ剤、及び水(純水)を混合し、1時間攪拌を行い均一に混合した。この混合液に対して、水分散性樹脂(樹脂エマルジョン)を添加して1時間撹拌した後、顔料分散液、消泡剤を添加し、1時間攪拌した。この混合・分散液を平均孔径5.0μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターにて加圧濾過し、粗大粒子やごみを除去して、各記録用インクを作製した。
なお、表1及び表2中の略号などは下記の意味を表す。
・アクリルシリコーン樹脂エマルジョン(1):ポリゾールROY6312;固形分37.2重量%、昭和高分子株式会社
・アクリルシリコーン樹脂エマルジョン(2):AP−4710;固形分50重量%、昭和高分子株式会社
・ウレタン樹脂エマルジョン(3):W5661;エーテル系ウレタン樹脂エマルジョン、固形分35重量%、三井武田ケミカル社製
・ゾニールFS−300:ポリオキシエチレンパーフロロアルキルエーテル(Dupont社製、成分40重量%)
・ソフタノールEP−7025:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(株式会社日本触媒製、成分100重量%)
・Proxel GXL:1,2−benzisothiazolin−3−oneを主成分とした防カビ剤(アビシア社製、成分20重量%、ジプロピレングリコール含有)
・KM−72F:自己乳化型シリコーン消泡剤(信越シリコーン株式会社製、成分100)重量%)
上記実施例1〜7、及び比較例1〜3で作成した記録用インクを下記の手順にて水分蒸発させて、水分蒸発率25%の記録用インクを作製した。
容量50(ml)、内径5(cm)のガラス瓶にインクを5(g)秤量する。瓶を開放状態にて50℃の恒温槽で一定時間放置し、一定時間放置後、重量を測定して差分から水分蒸発率を下記式(1)にて計算し、25%に調整する。
水分蒸発率(%)={(初期のインク重量)−(蒸発後のインク重量)}/(初期のインク重量)×100 ・・・式(1)
前記実施例1〜7、及び比較例1〜3の記録用インクの粘度を粘弾性測定装置(AntonPaar社製、PhysicaMCR301)を用いて25℃50%RHの環境にて測定した。コーンプレート(φ50mm、1°)を使用してギャップ50μmでせん断速度1〜100(1/s)のせん断応力を測定した。その後、下記式(2)においてせん断速度の平方根√Dが0になる様にグラフを外挿したときの切片bの2乗をCasson降伏値とした。
√S=a√D+b(a、bは係数)・・・式(2)
[式(2)中、S:せん断応力、D:せん断速度、a、b:係数]
<粘度>
前記実施例1〜7、及び比較例1〜3の記録用インクの粘度を粘弾性測定装置(AntonPaar社製、PhysicaMCR301)を用いて25℃50%RHの環境にて測定した。コーンプレート(φ50mm、1°)を使用してギャップ50μmでせん断速度1000(1/s)の粘度を測定した。
インクジェットプリンタ(IPSiO GXe5500、株式会社リコー製)を用い、インクの吐出量が均しくなるようにピエゾ素子の駆動電圧を変動させ、Microsoft Word2000にて作成した一色当りA4サイズ用紙の面積5%をベタ画像にて塗りつぶすチャートを1枚、マイペーパー(株式会社NBSリコー製)に打ち出して吐出乱れがないことを確認した。その後、プリンタの維持キャップをノズルから離してノズルを開放状態にした後、40℃10%RH環境に3時間放置した。その後、初期と同じチャートを印字して各ノズルの吐出乱れを以下の基準で評価した。印字モードはプリンタ添付のドライバで普通紙のユーザー設定より「普通紙−標準速い」モードを「色補正なし」と改変したモードを使用した。
〔評価基準〕
○:全ノズル吐出する
△:吐出しないノズルが10個未満
×:吐出しないノズルが10個以上
<画像濃度>
Microsoft Word2000にて作成した64point文字「■」の記載のあるチャートをマイペーパー(株式会社NBSリコー製)に打ち出し、印字面の「■」部をX−Rite938にて測色し、下記評価基準により判定した。印字モードはプリンタ添付のドライバで普通紙のユーザー設定より「普通紙−標準速い」モードを「色補正なし」と改変したモードを使用した。
〔評価基準〕
○:Black:1.2以上、Yellow:0.8以上、Magenta:1.0以上、Cyan:1.0以上
△:Black:1.15以上1.2未満、Yellow:0.75以上0.8未満、Magenta:0.95以上1.0未満、Cyan:0.95以上1.0未満
×:Black:1.15未満、Yellow:0.75未満、Magenta:0.95未満、Cyan0.95未満
なお、比較例3において測定不能とは、Casson降伏値を持たないことを示す。
つまり、測定値がb=0であり、前記関係式(2);√S=a√D+b(a,bは係数)が成立せずCasson降伏値を求めることができない。
102 給紙トレイ
103 排紙トレイ
104 インクカートリッジ装填部
105 操作部
111 上カバー
112 前面
115 前カバー
131 ガイドロッド
132 ステー
133 キャリッジ
134 記録ヘッド
135 サブタンク
141 用紙積載部
142 用紙
143 給紙コロ
144 分離パッド
145 ガイド
151 搬送ベルト
152 再度カウンタローラ
153 搬送ガイド
154 押さえ部材
155 先端加圧コロ
156 帯電ローラ
157 搬送ローラ
158 テンションローラ
161 ガイド部材
171 分離爪
172 排紙ローラ
173 排紙コロ
181 両面給紙ユニット
182 手差し給紙部
201 インクカートリッジ
241 インク袋
242 インク注入口
243 インク排出口
244 カートリッジケース
Claims (6)
- 顔料と、湿潤剤と、水分散性樹脂と、水とを少なくとも含有してなるインクジェット記録用インクであって、
前記湿潤剤として、下記一般式(I)〜(III)で表される化合物のうちの少なくとも2種を含有し、
下記式(1)で求められる該インクの蒸発率が25重量%のときに、下記〔1〕及び〔2〕の条件を満たすことを特徴とするインクジェット記録用インク。
蒸発率(重量%)={(初期のインク重量)−(蒸発後のインク重量)}/(初期のインク重量)×100 ・・・式(1)
〔1〕:下記条件(I)により測定・算出されるCasson降伏値が5.9Pa以上8.4Pa以下
(I)[25℃50%RHの環境で、直径5cm、1°のコーンプレートを使用しギャップ50μmにてせん断速度(S)1〜100(1/s)に対するせん断応力(D)を求め、関係式;√S=a√D+b(a、bは係数)・・・式(2)における切片bの二乗からCasson降伏値を算出]
〔2〕:下記条件(II)により測定される粘度が60mPa・s未満
(II)[25℃50%RHの環境で、直径5cm、1°のコーンプレートを使用しギャップ50μmにてせん断速度1000(1/s)で粘度を測定]
- 前記式(1)で求められるインクの蒸発率が0重量%のときに、前記条件(II)により測定される粘度が6mPa・s以上であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用インク。
- 前記水分散性樹脂がアクリルシリコーン樹脂エマルジョン又はウレタン樹脂エマルジョンであることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録用インク。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載のインクジェット記録用インクを容器中に収容したことを特徴とするインクカートリッジ。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載のインクジェット記録用インクに刺激を印加し、記録ヘッドから該インクを飛翔させて記録媒体に画像を形成するインク飛翔工程を少なくとも含むことを特徴とするインクジェット記録方法。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載のインクジェット記録用インクに刺激を印加し、該インクを記録ヘッドから飛翔させて記録媒体に画像を形成するインク飛翔手段を少なくとも有することを特徴とするインクジェット記録装置。
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