JP2015107720A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】帯電抑制性能を向上できる空気入りタイヤを提供すること。
【解決手段】この空気入りタイヤ1は、一対のビードコア11、11と、一対のビードコア11、11間に連続またはトレッド部で分断部を有して架け渡される少なくとも1層のカーカス層13と、カーカス層13のタイヤ径方向外側に配置されるベルト層14と、ベルト層14のタイヤ径方向外側に配置されるトレッドゴム15と、カーカス層13のタイヤ幅方向外側にそれぞれ配置される一対のサイドウォールゴム16、16と、カーカス層13の内周面に配置されるインナーライナ18とを備える。また、空気入りタイヤ1は、少なくともビード部からベルト層14までタイヤ内周面に露出しつつ連続して延在すると共に、タイヤ内周面に露出する部分にて1×10^8[Ω/mm^2]未満の表面抵抗率を有する導電部52を備える。
【選択図】図1

Description

この発明は、空気入りタイヤに関し、さらに詳しくは、帯電抑制性能を向上できる空気入りタイヤに関する。
空気入りタイヤでは、車両走行時にて車両に発生する静電気を路面に放出するために、アーストレッドを用いた帯電抑制構造が採用されている。アーストレッドは、キャップトレッドを貫通してタイヤ接地面に露出する導電ゴムである。この帯電抑制構造では、車両からの静電気がベルト層からアーストレッドを介して路面に放出されて、車両の帯電が抑制される。
一方で、近年では、タイヤの低燃費性能を向上させるために、キャップトレッド、アンダートレッド、サイドウォールゴムなどを構成するゴムコンパウンドのシリカ含有量を増加させる傾向にある。シリカは絶縁特性が高いため、キャップトレッドのシリカ含有量が増加するとキャップトレッドの抵抗値が増加して、タイヤの帯電抑制性能が低下する。
このため、従来の空気入りタイヤは、帯電抑制性能を向上させるために、ビード部から前記ベルト層までの領域に延在する導電層を備えている。かかる構成を採用する従来の空気入りタイヤとして、例えば、特許文献1、2に記載される技術が知られている。
特開2013−49382号公報 特開2012−131100号公報
この発明は、帯電抑制性能を向上できる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、この発明にかかる空気入りタイヤは、一対のビードコアと、前記一対のビードコア間に連続またはトレッド部で分断部を有して架け渡される少なくとも1層のカーカス層と、前記カーカス層のタイヤ径方向外側に配置されるベルト層と、前記ベルト層のタイヤ径方向外側に配置されるトレッドゴムと、前記カーカス層のタイヤ幅方向外側にそれぞれ配置される一対のサイドウォールゴムと、前記カーカス層の内周面に配置されるインナーライナとを備える空気入りタイヤであって、少なくともビード部から前記ベルト層までタイヤ内周面に露出しつつ連続して延在すると共に、タイヤ内周面に露出する部分にて1×10^8[Ω/mm^2]未満の表面抵抗率を有する導電部を備えることを特徴とする。
この発明にかかる空気入りタイヤでは、導電部により、ビード部からベルト層までの導電経路が確保されるので、タイヤの帯電抑制性能が効果的に向上する利点がある。
図1は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤを示すタイヤ子午線方向の断面図である。 図2は、図1に記載した空気入りタイヤの帯電抑制構造を示す説明図である。 図3は、図1に記載した空気入りタイヤの帯電抑制構造を示す説明図である。 図4は、図1に記載した空気入りタイヤの帯電抑制構造を示す説明図である。 図5は、図1に記載した空気入りタイヤの帯電抑制構造を示す説明図である。 図6は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図7は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図8は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図9は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図10は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図11は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図12は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図13は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図14は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図15は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施の形態の構成要素には、発明の同一性を維持しつつ置換可能かつ置換自明なものが含まれる。また、この実施の形態に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
[空気入りタイヤ]
図1は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤを示すタイヤ子午線方向の断面図である。同図は、タイヤ径方向の片側領域を示している。また、同図は、空気入りタイヤの一例として、乗用車用ラジアルタイヤを示している。
なお、同図において、タイヤ子午線方向の断面とは、タイヤ回転軸(図示省略)を含む平面でタイヤを切断したときの断面をいう。また、符号CLは、タイヤ赤道面であり、タイヤ回転軸方向にかかるタイヤの中心点を通りタイヤ回転軸に垂直な平面をいう。また、タイヤ幅方向とは、タイヤ回転軸に平行な方向をいい、タイヤ径方向とは、タイヤ回転軸に垂直な方向をいう。
この空気入りタイヤ1は、タイヤ回転軸を中心とする環状構造を有し、一対のビードコア11、11と、一対のビードフィラー12、12と、カーカス層13と、ベルト層14と、トレッドゴム15と、一対のサイドウォールゴム16、16と、一対のリムクッションゴム17、17と、インナーライナ18とを備える(図1参照)。
一対のビードコア11、11は、複数のビードワイヤを束ねて成る環状部材であり、左右のビード部のコアを構成する。一対のビードフィラー12、12は、一対のビードコア11、11のタイヤ径方向外周にそれぞれ配置されてビード部を構成する。
カーカス層13は、左右のビードコア11、11間にトロイダル状に架け渡されてタイヤの骨格を構成する。また、カーカス層13の両端部は、ビードコア11およびビードフィラー12を包み込むようにタイヤ幅方向外側に巻き返されて係止される。また、カーカス層13は、スチールあるいは有機繊維材(例えば、アラミド、ナイロン、ポリエステル、レーヨンなど)から成る複数のカーカスコードをコートゴムで被覆して圧延加工して構成され、絶対値で80[deg]以上95[deg]以下のカーカス角度(タイヤ周方向に対するカーカスコードの繊維方向の傾斜角)を有する。
なお、図1の構成では、カーカス層13が、タイヤ左右のビードコア11、11間に連続的に延在する構造を有している。
しかし、これに限らず、カーカス層13が、左右一対のカーカスプライから成ることによりタイヤ幅方向に分離した構造、いわゆる分割カーカス構造を有しても良い(図示省略)。具体的には、左右一対のカーカスプライのタイヤ径方向内側の端部が、タイヤ左右のビードコア11およびビードフィラー12を包み込むようにタイヤ幅方向外側にそれぞれ巻き返されて係止される、また、左右一対のカーカスプライのタイヤ径方向外側の端部が、トレッド部センター領域にてタイヤ幅方向に相互に分離して配置される。
かかる分割カーカス構造では、トレッド部センター領域に中抜き部(カーカスプライを有さない領域)が形成される。このとき、この中抜き部におけるカーカスの張力がベルト層14により担持され、左右のサイドウォール部における剛性が左右のカーカス層13、13によりそれぞれ確保される。これにより、タイヤの内圧保持能力およびサイドウォール部の剛性が維持されつつ、タイヤの軽量化が図られる。
ベルト層14は、一対の交差ベルト141、142と、ベルトカバー143とを積層して成り、カーカス層13の外周に掛け廻されて配置される。一対の交差ベルト141、142は、スチールあるいは有機繊維材から成る複数のベルトコードをコートゴムで被覆して圧延加工して構成され、絶対値で20[deg]以上55[deg]以下のベルト角度を有する。また、一対の交差ベルト141、142は、相互に異符号のベルト角度(タイヤ周方向に対するベルトコードの繊維方向の傾斜角)を有し、ベルトコードの繊維方向を相互に交差させて積層される(クロスプライ構造)。ベルトカバー143は、コートゴムで被覆されたスチールあるいは有機繊維材から成る複数のコードを圧延加工して構成され、絶対値で0[deg]以上10[deg]以下のベルト角度を有する。また、ベルトカバー143は、交差ベルト141、142のタイヤ径方向外側に積層されて配置される。
トレッドゴム15は、カーカス層13およびベルト層14のタイヤ径方向外周に配置されてタイヤのトレッド部を構成する。また、トレッドゴム15は、キャップトレッド151と、アンダートレッド152とを有する。
キャップトレッド151は、タイヤ接地面を構成するゴム部材であり、単層構造を有しても良いし(図1参照)、多層構造を有しても良い(図示省略)。キャップトレッド151の60[℃]のtanδ値は、0.25以下であることが好ましい。また、キャップトレッド151の体積固有抵抗率は、1×10^8[Ω・cm]以上の範囲にあることが好ましく、1×10^10[Ω・cm]以上の範囲にあることがより好ましく、1×10^12[Ω・cm]以上の範囲にあることがより好ましい。かかる体積固有抵抗率を有するキャップトレッド151は、カーボン配合量が少ない低発熱コンパウンドを使用し、また、シリカ含有量を増加させて補強することにより生成される。かかる構成では、60[℃]のtanδ値が低減して、タイヤの転がり抵抗が低下するため好ましい。
60[℃]のtanδ値は、(株)東洋精機製作所製、粘弾性スペクトロメーターを用いて、初期歪10[%]、振幅±0.5[%]、周波数20[Hz]で測定される。
体積固有抵抗率は、JIS-K6271規定の「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−体積抵抗率及び表面抵抗率の求め方」に基づいて測定される。一般に、抵抗率が1×10^8[Ω/mm^2]未満の範囲にあれば、部材が静電気の帯電を抑制可能な導電性を有するといえる。
アンダートレッド152は、キャップトレッド151のタイヤ径方向内側に積層される部材である。
一対のサイドウォールゴム16、16は、カーカス層13のタイヤ幅方向外側にそれぞれ配置されて左右のサイドウォール部を構成する。サイドウォールゴム16の60[℃]のtanδ値は、0.20以下であることが好ましい。また、サイドウォールゴム16の抵抗率は、1×10^8[Ω・cm]以上の範囲にあることが好ましく、1×10^10[Ω・cm]以上の範囲にあることがより好ましく、1×10^12[Ω・cm]以上の範囲にあることがより好ましい。かかる抵抗率を有するサイドウォールゴム16は、カーボン配合量が少ない低発熱コンパウンドを使用し、また、シリカ含有量を増加させて補強することにより生成される。かかる構成では、60[℃]のtanδ値が低減して、タイヤの転がり抵抗が低下するため好ましい。
一対のリムクッションゴム17、17は、左右のビードコア11、11およびカーカス層13の巻き返し部のタイヤ径方向内側にそれぞれ配置されて、リムRのリムフランジ部に対する左右のビード部の接触面を構成する。リムクッションゴム17の抵抗率は、1×10^8[Ω・cm]未満であることが好ましい。
なお、キャップトレッド151の抵抗率の上限値、アンダートレッド152の抵抗率の下限値、サイドウォールゴム16の抵抗率の上限値およびリムクッションゴム17の抵抗率の下限値は、特に限定がないが、これらがゴム部材であることから物理的な制約を受ける。
インナーライナ18は、タイヤ内表面に配置されてカーカス層13を覆う空気透過防止層であり、カーカス層13の露出による酸化を抑制し、また、タイヤに充填された空気の漏れを防止する。また、インナーライナ18は、例えば、ブチルゴムを主成分とするゴム組成物、熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂中にエラストマー成分をブレンドした熱可塑性エラストマー組成物などから構成される。特に、インナーライナ18が熱可塑性樹脂あるいは熱可塑性エラストマー組成物から成る構成では、インナーライナ18がブチルゴムから成る構成と比較して、インナーライナ18を薄型化できるので、タイヤ重量を大幅に軽減できる。なお、インナーライナ18には、一般に、温度30[℃]でJIS K7126−1に準拠して測定した場合に100×10^−12[cc・cm/cm^2・sec・cmHg]以下の空気透過係数が要求される。また、インナーライナ18の抵抗率は、一般に1×10^9[Ω・cm]以上である。
ブチルゴムを主成分とするゴム組成物としては、例えば、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(Br−IIR、Cl−IIR)などが採用され得る。ブチル系ゴムは、例えば、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴムなどのハロゲン化ブチルゴムであることが好ましい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアミド系樹脂〔例えばナイロン6(N6)、ナイロン66(N66)、ナイロン46(N46)、ナイロン11(N11)、ナイロン12(N12)、ナイロン610(N610)、ナイロン612(N612)、ナイロン6/66共重合体(N6/66)、ナイロン6/66/610共重合体(N6/66/610)、ナイロンMXD6、ナイロン6T、ナイロン9T、ナイロン6/6T共重合体、ナイロン66/PP共重合体、ナイロン66/PPS共重合体〕、ポリエステル系樹脂〔例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート(PEI)、ポリブチレンテレフタレート/テトラメチレングリコール共重合体、PET/PEI共重合体、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、液晶ポリエステル、ポリオキシアルキレンジイミドジ酸/ポリブチレンテレフタレート共重合体などの芳香族ポリエステル〕、ポリニトリル系樹脂〔例えばポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリロニトリル、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS)、メタクリロニトリル/スチレン共重合体、メタクリロニトリル/スチレン/ブタジエン共重合体〕、ポリ(メタ)アクリレート系樹脂〔例えばポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチル、エチレンエチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレンアクリル酸共重合体(EAA)、エチレンメチルアクリレート樹脂(EMA)〕、ポリビニル系樹脂〔例えば酢酸ビニル(EVA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ビニルアルコール/エチレン共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩化ビニル/塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニリデン/メチルアクリレート共重合体〕、セルロース系樹脂〔例えば酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース〕、フッ素系樹脂〔例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリクロルフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフロロエチレン/エチレン共重合体(ETFE)〕、イミド系樹脂〔例えば芳香族ポリイミド(PI)〕などが採用され得る。
エラストマーとしては、例えば、ジエン系ゴムおよびその水素添加物〔例えばNR、IR、エポキシ化天然ゴム、SBR、BR(高シスBRおよび低シスBR)、NBR、水素化NBR、水素化SBR〕、オレフィン系ゴム〔例えばエチレンプロピレンゴム(EPDM、EPM)、マレイン酸変性エチレンプロピレンゴム(M−EPM)〕、ブチルゴム(IIR)、イソブチレンと芳香族ビニルまたはジエン系モノマー共重合体、アクリルゴム(ACM)、アイオノマー、含ハロゲンゴム〔例えばBr−IIR、Cl−IIR、イソブチレンパラメチルスチレン共重合体の臭素化物(Br−IPMS)、クロロプレンゴム(CR)、ヒドリンゴム(CHC、CHR)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、塩素化ポリエチレン(CM)、マレイン酸変性塩素化ポリエチレン(M−CM)〕、シリコーンゴム〔例えばメチルビニルシリコーンゴム、ジメチルシリコーンゴム、メチルフェニルビニルシリコーンゴム〕、含イオウゴム〔例えばポリスルフィドゴム〕、フッ素ゴム〔例えばビニリデンフルオライド系ゴム、含フッ素ビニルエーテル系ゴム、テトラフルオロエチレン−プロピレン系ゴム、含フッ素シリコン系ゴム、含フッ素ホスファゼン系ゴム〕、熱可塑性エラストマー〔例えばスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー〕などが採用され得る。
[帯電抑制構造]
空気入りタイヤでは、車両走行時にて車両に発生する静電気を路面に放出するために、アーストレッドを用いた帯電抑制構造が採用されている。アーストレッドは、キャップトレッドを貫通してタイヤ接地面に露出する導電ゴムである。この帯電抑制構造では、車両からの静電気がベルト層からアーストレッドを介して路面に放出されて、車両の帯電が抑制される。
一方で、近年では、上記のように、タイヤの転がり抵抗を低減して低燃費性能を向上させるために、キャップトレッド、アンダートレッド、サイドウォールゴムなどを構成するゴムコンパウンドのシリカ含有量を増加させる傾向にある。シリカは絶縁特性が高いため、キャップトレッドのシリカ含有量が増加すると、キャップトレッドの抵抗値が増加してタイヤの帯電抑制性能が低下する。
そこで、この空気入りタイヤ1は、帯電抑制性能を向上させるために、以下の構成を採用している。
図2〜図5は、図1に記載した空気入りタイヤの帯電抑制構造を示す説明図である。これらの図において、図2は、タイヤ赤道面CLを境界とする片側領域におけるタイヤ子午線方向の断面図を示している。図3は、アーストレッド51の拡大断面図を示している。図4は、導電部52と、カーカス層13、インナーライナ18およびタイゴム19との積層構造を示している。図5は、タイヤ周方向にかかる導電部52の配置領域を模式的に示している。これらの図において、導電部52にはハッチングを付してある。
図1に示すように、この空気入りタイヤ1は、帯電抑制構造5として、アーストレッド51および導電部52を備える。
アーストレッド51は、図2および図3に示すように、トレッドゴム15の踏面に露出し、キャップトレッド151およびアンダートレッド152を貫通してベルト層14(ベルトカバー143)に導電可能に接触する。これにより、ベルト層14から路面への導電経路が確保される。また、アーストレッド51は、タイヤ全周に渡って延在する環状構造を有し、その一部をトレッド踏面に露出させつつタイヤ周方向に連続的に延在する。したがって、タイヤ転動時にて、アーストレッド51が常に路面に接触することにより、ベルト層14から路面への導電経路が常に確保される。
また、アーストレッド51は、トレッドゴム15よりも低い抵抗率を有する導電性ゴム材料から成る。具体的には、アーストレッド51の抵抗率が、1×10^8[Ω・cm]未満であることが好ましく、1×10^6[Ω・cm]以下であることがより好ましい。
導電部52は、図1および図2に示すように、少なくともビード部からベルト層14まで連続して延在する。これにより、ビード部からベルト層14までの導電経路が確保される。
ビード部とは、リム径の測定点からタイヤ断面高さSHの1/3までの領域をいう。
タイヤ断面高さSHとは、タイヤ外径とリム径との差の1/2をいい、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を付与すると共に無負荷状態として測定される。
ここで、規定リムとは、JATMAに規定される「適用リム」、TRAに規定される「Design Rim」、あるいはETRTOに規定される「Measuring Rim」をいう。また、規定内圧とは、JATMAに規定される「最高空気圧」、TRAに規定される「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値、あるいはETRTOに規定される「INFLATION PRESSURES」をいう。また、規定荷重とは、JATMAに規定される「最大負荷能力」、TRAに規定される「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値、あるいはETRTOに規定される「LOAD CAPACITY」をいう。ただし、JATMAにおいて、乗用車用タイヤの場合には、規定内圧が空気圧180[kPa]であり、規定荷重が最大負荷能力の88[%]である。
また、導電部52は、図4および図5に示すように、タイヤ内周面に露出して配置される。すなわち、導電部52は、タイヤ最内面にあり、タイヤ内腔部の表面に露出する。かかる構成では、導電部52がタイヤ内周面に露出することにより、隣接する部材の影響が少なくなり効果的に電気を流すことが可能になるという良さがある。また、導電部52に着色が施されることにより、導電部52がビード部からベルト層14までの所定の領域にて途切れることなく延在しているか否かを、容易に視認できる。
また、導電部52は、タイヤ内周面に露出する部分にて、1×10^8[Ω/mm^2]未満の表面抵抗率を有する。また、導電部52の表面抵抗率は、1×10^6[Ω/mm^2]未満の範囲にあることがより好ましい。これにより、導電部52の導電性が確保される。なお、表面抵抗率の下限は、特に限定がなく、小さいほど好ましい。
表面抵抗率は、JIS-K6271に規定された「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−体積抵抗率及び表面抵抗率の求め方」に基づいて測定される。
例えば、図1の構成では、図2に示すように、導電部52がインナーライナ18の内周面に沿って連続的に延在して、ビード部からベルト層14まで延在している。また、導電部52のタイヤ径方向内側の端部が、ビードフィラー12の側方に位置してリムクッションゴム17に接触している。これにより、リム嵌合面からリムクッションゴム17を介して導電部52に至る導電経路が確保されている。また、導電部52のタイヤ径方向外側の端部が、ベルト層14に対してタイヤ幅方向にラップする位置まで延在している。これにより、導電部52からベルト層14に至る導電経路が確保されている。
このとき、ベルト層14と導電部52とのラップ幅Laが、3[mm]≦Laの範囲にあることが好ましい。ラップ幅Laの上限は、特に限定がなく、導電部52がタイヤ赤道面CLを越えて左右のビード部に跨って延在しても良い。
ラップ幅Laは、タイヤ子午線方向の断面視にて、ベルト層14のうち最も幅広なベルトプライ141のタイヤ幅方向外側の端部から導電部52に垂線を引き、この垂線の足から導電部52の端部までの導電部52の表面長さとして測定される。
また、図4に示すように、導電部52が、インナーライナ18の内表面の一部に配置された導電層から構成されている。かかる導電層は、例えば、インナーライナ18の表面に積層されたシート状の導電ゴムであっても良いし、インナーライナ18の表面に塗布あるいは蒸着された導電塗料あるいは導電ペーストであっても良い。
また、図4のように導電部52が導電層である場合には、導電層のゲージGa(厚さ。図示省略)の最小値が、0.01[mm]≦Gaの範囲にあることが好ましい。これにより、導電部52の導電性を適正に確保できる。ゲージGaの上限は、特に限定がないが、余りに大きいとタイヤ重量が増加するため、好ましくない。
また、図5に示すように、導電部52が、タイヤ周方向の一部にのみ配置されてタイヤ径方向に延在している。このとき、導電部52のタイヤ周方向の幅Waと、タイヤ最大幅位置Pにおけるサイドウォール部の周長Lp(図示省略)とが、Wa/Lp≦0.10の関係を有することが好ましく、Wa/Lp≦0.05の関係を有することがより好ましく、Wa/Lp≦0.01の関係を有することがさらに好ましい。これにより、タイヤの転がり抵抗を低減できる。導電部52の幅Waの下限は、特に限定がないが、例えば、タイヤサイズ195/65R15のタイヤであれば、150[mm]≦Waの範囲にあることが好ましい。これにより、導電部52の導電性を適正に確保できる。
タイヤ最大幅位置Pは、JATMA規定のタイヤ断面幅の最大幅位置をいう。なお、タイヤ断面幅は、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を付与すると共に無負荷状態として測定される。
上記の構成では、車両に発生した静電気が、リムRからリムクッションゴム17、導電部52およびベルト層14(およびアンダートレッド152)を通ってアーストレッド51から路面に放出される。これにより、静電気による車両の帯電が抑制される。
なお、リムクッションゴム17、インナーライナ18およびタイゴム19、カーカス層13のコートゴムおよびベルト層14のコートゴムは、リムRからアーストレッド51に至る導電経路となる。このため、これらのゴムの抵抗率が低く設定されることが好ましい。これにより、リムRからアーストレッド51に至る導電効率が向上する。
[変形例]
図6および図7は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。同図は、ビード部の拡大断面図を示している。
図1の構成では、上記のように、導電部52が、ビード部からベルト層14まで連続して延在している(図2参照)。このとき、導電部52のタイヤ径方向内側の端部が、ビードコア11よりもタイヤ径方向外側にあり、この位置で、リムクッションゴム17に導電可能に接触している。これにより、リムRからリムクッションゴム17を介して導電部52に至る導電経路が形成される。かかる構成では、リムクッションゴム17の抵抗率を低く設定することにより、帯電抑制作用を効率的に得られる点で好ましい。
しかし、これに限らず、導電部52のタイヤ径方向内側の端部が、フィニッシングチェーファー20に接触しても良い(図示省略)。また、例えば、図6に示すように、導電部52が、ビードトゥを越えてビード部のリム接触面まで延在しても良い。さらに、図7に示すように、導電部52が、ビード部に沿って巻き上げられて、ビード部のタイヤ幅方向外側まで延在しても良い。これらの構成では、導電部52がビード部のリム接触面まで延在することにより、リムRから導電部52へ直接的な導電経路が形成される。これにより、導電効率が向上して、帯電抑制作用がさらに向上する。
図8は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。同図は、カーカス層13、ベルト層14およびインナーライナ18の積層構造を示している。
図1の構成では、上記のように、導電部52が、導電層であり、インナーライナ18の内周面に形成されている(図4参照)。かかる構成では、例えば、塗布や貼付などにより、導電部52を既存のタイヤに対して容易に形成できる点で好ましい。
しかし、これに限らず、図8に示すように、インナーライナ18の一部あるいは全部が、導電部52を兼ねても良い。例えば、インナーライナ18の一部あるいは全部が導電性ゴムから成り、カーカス層13の内周面を覆ってインナーライナとして機能する一方で、ビード部からベルト層14まで延在して導電部52として機能しても良い。
また、導電部52が、インナーライナ18の内周面に施された離型剤により形成されても良い(図示省略)。例えば、タイヤ加硫成型工程に先立って、離型剤をグリーンタイヤの内周面に塗布することにより、導電部52をインナーライナ18の内周面に形成できる。
かかる離型剤は、例えば、カーボン、カーボンナノチューブ、グラフェン、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどの電気伝導性に優れたフィラーを配合して生成される。また、離型剤は、DBP(Di-butyl phthalate)が100[cm^3/g]以上であるカーボンブラックを含むことが好ましい。また、離型剤は、0.5[μm]以上50[μm]の平均長さおよび0.5[nm]以上500[nm]以下の平均直径を有する炭素繊維を含むことが好ましい。また、離型剤は、グラフェンを含むことが好ましい。
図9〜図11は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。これらの図は、タイヤ周方向にかかる導電部52の配置領域を模式的に示している。
図1の構成では、上記のように、導電部52が、タイヤ周方向の一部にのみ配置されてタイヤ径方向に延在している。かかる構成では、導電部52の配置領域が狭いので、タイヤ重量が減少し、また、タイヤの転がり抵抗が減少する点で好ましい。
しかし、これに限らず、図9に示すように、導電部52が、タイヤ全周の領域に渡って一様に配置されても良い。また、図10あるいは図11に示すように、複数の導電部52が、タイヤ周方向に所定間隔をあけつつ放射状あるいは風車状に配置されても良い。また、図10あるいは図11の構成では、複数の導電部52のタイヤ周方向の幅の総和Waが、Wa/Lp≦0.10の関係を有することが好ましい。
また、図1の構成では、導電部52が、タイヤ左右の領域にそれぞれ配置されている。しかし、これに限らず、導電部52が、タイヤの片側領域にのみ配置されても良い(図示省略)。
図12は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。同図は、タイヤ子午線方向の断面図における導電部52の配置構造を示している。
図1および図2の構成では、導電部52が、ビード部からベルト層14まで延在して、ベルト層14の端部付近で終端している。かかる構成では、導電部52の配置領域が狭いので、タイヤ重量が減少し、また、タイヤの転がり抵抗が減少する点で好ましい。
しかし、これに限らず、図12に示すように、導電部52が、タイヤ幅方向の全周に渡って配置されても良い。このとき、単一の導電部52が、一方のビード部から他方のビード部に渡って連続的に延在しても良いし(図12参照)、複数の導電部52が、相互にラップしつつ一方のビード部から他方のビード部に渡って連続的に配置されても良い(図示省略)。例えば、左右一対の導電部52が、タイヤ左右のビード部からインナーライナ18に沿って延在して、ベルト層14に対してラップする任意の位置で相互に接続しても良い。
図13および図14は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。これらの図は、アーストレッド51の拡大断面図を示している。
図1の構成では、図3に示すように、タイヤ子午線方向の断面視にて、アーストレッド51が、トレッドゴム15の踏面に露出し、キャップトレッド151およびアンダートレッド152を貫通してベルト層14(最外層にあるベルトカバー143)に導電可能に接触している。また、アーストレッド51が、ストレート形状を有している。かかる構成では、低い抵抗率を有するベルト層14からアーストレッド51を介してトレッドゴム15の踏面に至る導電経路が確保されるので、帯電抑制作用を効率的に得られる点で好ましい。
これに対して、図13の構成では、図3の構成において、アーストレッド51が、キャップトレッド151のみを貫通してアンダートレッド152に接触している。かかる構成としても、アンダートレッド152の抵抗率を低く設定することにより、帯電抑制作用を効率的に得られる。
また、図14の構成では、図3の構成において、アーストレッド51が、トレッドゴム15の踏面からベルト層14に向かって拡幅した形状を有し、ベルト層14に対する接触面を増加させている。かかる構成では、アーストレッド51がストレート形状を有する構成(図3参照)と比較して、トレッド踏面におけるアーストレッド51の露出面積を抑制しつつ、アーストレッド51とベルト層14との接触面積を安定的に確保できる。これにより、ベルト層14からアーストレッド51への導電性が向上する。
なお、図3、図13および図14では、ベルト層14(あるいはアンダートレッド152)からトレッドゴム15の踏面までの放電構造として、アーストレッド51が採用されている。しかし、これに限らず、他の公知の放電構造が採用されても良い。
[効果]
以上説明したように、この空気入りタイヤ1は、一対のビードコア11、11と、一対のビードコア11、11間に連続またはトレッド部で分断部を有して架け渡される少なくとも1層のカーカス層13と、カーカス層13のタイヤ径方向外側に配置されるベルト層14と、ベルト層14のタイヤ径方向外側に配置されるトレッドゴム15と、カーカス層13のタイヤ幅方向外側にそれぞれ配置される一対のサイドウォールゴム16、16と、カーカス層13の内周面に配置されるインナーライナ18とを備える(図1参照)。また、空気入りタイヤ1は、少なくともビード部からベルト層14までタイヤ内周面に露出しつつ連続して延在すると共に、タイヤ内周面に露出する部分にて1×10^8[Ω/mm^2]未満の表面抵抗率を有する導電部52を備える(図2参照)。
かかる構成では、(1)導電部52により、ビード部からベルト層14までの導電経路が確保されるので、タイヤの帯電抑制性能が効果的に向上する利点がある。
また、(2)導電部52がタイヤ内周面に露出する(タイヤ最内面にある)ので、隣接する部材の影響が少なくなり効果的に電気を流すことが可能になるという良さがある。
また、この空気入りタイヤ1では、導電部52が、インナーライナ18の内周面に配置された導電層である(図2および図4参照)。かかる構成では、例えば、塗布などにより、導電部52を既存のタイヤに対して容易に形成できる利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、インナーライナ18の一部あるいは全部が、導電部52を兼ねる(図8参照)。かかる構成では、インナーライナ18に導電層を設ける構成(図4参照)と比較して、タイヤの転がり抵抗を低減できる利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、導電部52が、インナーライナ18の内周面に施された離型剤である。かかる構成では、インナーライナ18に導電層を設ける構成(図4参照)と比較して、タイヤの転がり抵抗を低減できる利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、ベルト層14と導電部52とのラップ幅Laが、3[mm]≦Laの範囲にある(図2参照)。これにより、導電部52からベルト層14への導電性が適正に確保される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、導電部52のタイヤ周方向の幅Waと、タイヤ最大幅位置P(図2参照)におけるタイヤ周長Lpとが、Wa/Lp≦0.10の関係を有する(図5参照)。かかる構成では、導電部52の設置領域を小さくすることにより、導電部52の設置に起因する転がり抵抗の悪化を抑制できる利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、インナーライナ18が、熱可塑性樹脂もしくは熱可塑性樹脂中にエラストマー成分をブレンドした熱可塑性エラストマー組成物から成る。かかる構成では、インナーライナ18がブチルゴムから成る構成と比較して、インナーライナ18の空気透過性を低減できる利点があり、また、タイヤ重量を軽減してタイヤの転がり抵抗を低減できる利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、トレッドゴム15が、タイヤ接地面を構成するキャップトレッド151と、キャップトレッド151のタイヤ径方向内側に積層されるアンダートレッド152とを有し(図1参照)、且つ、キャップトレッド151の60[℃]のtanδ値が0.25以下であり、キャップトレッド151の体積固有抵抗率が、1×10^8[Ω・cm]以上の範囲にある。かかる構成では、例えば、キャップトレッド151のシリカ含有量を増加させて上記の構成とすることにより、タイヤの転がり抵抗が低減する利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、トレッドゴム15が、タイヤ接地面を構成するキャップトレッド151と、キャップトレッド151のタイヤ径方向内側に積層されるアンダートレッド152とを有し、且つ、1×10^8[Ω・cm]未満の抵抗率を有すると共に、少なくともキャップトレッド151を貫通してタイヤ接地面に露出するアーストレッド51を備える(図1〜図3参照)。これにより、ベルト層14(あるいはアンダートレッド152)からトレッドゴム15の接地面への導電経路が確保される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、サイドウォールゴム16の60[℃]のtanδ値が0.25以下であり、サイドウォールゴム16の体積固有抵抗率が、1×10^8[Ω・cm]以上の範囲にある。かかる構成では、例えば、サイドウォールゴム16のシリカ含有量を増加させて上記の構成とすることにより、タイヤの転がり抵抗が低減する利点がある。
図15は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。
この性能試験では、相互に異なる複数の試験タイヤについて、(1)帯電抑制性能(電気抵抗値)および(2)低転がり抵抗性能に関する評価が行われた。この性能試験では、タイヤサイズ195/65R15 91Hの試験タイヤが試作されて用いられる。
(1)帯電抑制性能に関する評価では、JATMA規定の測定条件に基づき、ADVANTEST R8340A ウルトラ・ハイ・レジスタンスメータが使用されてタイヤの電気抵抗[Ω]が測定される。この評価は、数値が小さいほど放電性に優れており、好ましい。
(2)低転がり抵抗性能に関する評価では、ドラム径1707[mm]の室内ドラム式タイヤ転動抵抗試験機が用いられ、JATMA Y/B 2012年版の測定方法に準拠して、タイヤの転がり抵抗が測定される。この評価は、従来例を基準(100)とした指数評価により行われ、その数値が大きいほど転がり抵抗が小さく、好ましい。
実施例1〜12の試験タイヤでは、図1〜図5の構成において、導電部52が、導電性を有するゴムシートから成り、インナーライナ18の内周面に積層されて配置されて、ビード部からベルト層14まで延在する。また、実施例1〜5の試験タイヤでは、図1の構成において、インナーライナ18がブチルゴムから成る。一方、実施例6〜12の試験タイヤでは、インナーライナ18が熱可塑性樹脂から成る。また、実施例1〜7の試験タイヤは、図1の構成において、アーストレッド51を備えていない。一方、実施例8〜12の試験タイヤは、図1の構成を有し、アーストレッド51を備えている。
実施例13および実施例14の試験タイヤでは、図1の構成において、導電部52が、インナーライナ18の内周面に施された離型剤から成る。実施例13では、離型剤が、水100、界面活性剤0.1、タルク100、マイカ20、シリコンエマルジョン1、カーボンナノチューブ(昭和電工 VGCF−G)2の重量比で、これらを配合して成る。実施例14では、離型剤が、実施例13の配合に、グラフガードを加熱処理して生成したグラフェンを追加して成る。
従来例の試験タイヤは、実施例1の構成において、導電部52が、導電性を有するゴムシートから成り、カーカス層13とサイドウォールゴム16との間に挿入されて、ビード部からベルト層14まで延在する。また、インナーライナ18がブチルゴムから成り、アーストレッド51を備えていない。
試験結果に示すように、実施例1〜14の試験タイヤでは、タイヤの帯電抑制性能および低転がり抵抗性能が向上することが分かる。
1:空気入りタイヤ、5:帯電抑制構造、51:アーストレッド、52:導電部、11:ビードコア、12:ビードフィラー、13:カーカス層、14:ベルト層、141〜143:ベルトプライ、15:トレッドゴム、151:キャップトレッド、152:アンダートレッド、16:サイドウォールゴム、17:リムクッションゴム、18:インナーライナ、19:タイゴム、20:フィニッシングチェーファー

Claims (10)

  1. 一対のビードコアと、前記一対のビードコア間に連続またはトレッド部で分断部を有して架け渡される少なくとも1層のカーカス層と、前記カーカス層のタイヤ径方向外側に配置されるベルト層と、前記ベルト層のタイヤ径方向外側に配置されるトレッドゴムと、前記カーカス層のタイヤ幅方向外側にそれぞれ配置される一対のサイドウォールゴムと、前記カーカス層の内周面に配置されるインナーライナとを備える空気入りタイヤであって、
    少なくともビード部から前記ベルト層までタイヤ内周面に露出しつつ連続して延在すると共に、タイヤ内周面に露出する部分にて1×10^8[Ω/mm^2]未満の表面抵抗率を有する導電部を備えることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記導電部が、前記インナーライナの内周面に配置された導電層である請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記インナーライナの一部あるいは全部が、前記導電部を兼ねる請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記導電部が、前記インナーライナの内周面に施された離型剤である請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記ベルト層と前記導電部とのラップ幅Laが、3[mm]≦Laの範囲にある請求項1〜4のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記導電部のタイヤ周方向の幅Waと、タイヤ最大幅位置におけるタイヤ周長Lpとが、Wa/Lp≦0.10の関係を有する請求項1〜5のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記インナーライナが、熱可塑性樹脂もしくは熱可塑性樹脂中にエラストマー成分をブレンドした熱可塑性エラストマー組成物から成る請求項1〜6のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  8. 前記トレッドゴムが、タイヤ接地面を構成するキャップトレッドと、前記キャップトレッドのタイヤ径方向内側に積層されるアンダートレッドとを有し、且つ、
    前記キャップトレッドの60[℃]のtanδ値が0.25以下であり、前記キャップトレッドの体積固有抵抗率が、1×10^8[Ω・cm]以上の範囲にある請求項1〜7のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  9. 前記トレッドゴムが、タイヤ接地面を構成するキャップトレッドと、前記キャップトレッドのタイヤ径方向内側に積層されるアンダートレッドとを有し、且つ、
    1×10^8[Ω・cm]未満の抵抗率を有すると共に、少なくとも前記キャップトレッドを貫通してタイヤ接地面に露出するアーストレッドを備える請求項1〜8のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  10. 前記サイドウォールゴムの60[℃]のtanδ値が0.20以下であり、前記サイドウォールゴムの体積固有抵抗率が、1×10^8[Ω・cm]以上の範囲にある請求項1〜9のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
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