JP2015106589A - パッシベーション層付半導体基板の製造方法、パッシベーション層付半導体基板、太陽電池素子の製造方法及び太陽電池素子 - Google Patents

パッシベーション層付半導体基板の製造方法、パッシベーション層付半導体基板、太陽電池素子の製造方法及び太陽電池素子 Download PDF

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Abstract

【課題】パッシベーション層付半導体基板の製造方法。
【解決手段】電極形成用組成物を付与する工程と、前記組成物層が形成される面上に下記一般式で表される化合物を含むパッシベーション層形成用組成物を付与する工程と、熱処理して電極及びパッシベーション層を形成する工程とを有する。

【選択図】図1

Description

本発明は、パッシベーション層付半導体基板の製造方法、パッシベーション層付半導体基板、太陽電池素子の製造方法及び太陽電池素子に関する。
従来のシリコン太陽電池素子の製造工程について説明する。
まず、光閉じ込め効果を促して高効率化を図るよう、受光面側にテクスチャー構造を形成したp型シリコン基板を準備し、続いてオキシ塩化リン(POCl)、窒素及び酸素の混合ガス雰囲気において800℃〜900℃で数十分の処理を行って一様にn型拡散層を形成する。この従来の方法では、混合ガスを用いてリンの拡散を行うため、受光面である表面のみならず、側面及び裏面にもn型拡散層が形成される。そのため、側面に形成されたn型拡散層を除去するためのサイドエッチングを行う必要がある。また、裏面に形成されたn型拡散層はp型拡散層へ変換する必要がある。具体的には、裏面全体にアルミニウム粉末及びバインダを含むアルミニウムペーストを塗布し、これを熱処理(焼成、焼結)することで、n型拡散層をp型拡散層にし、かつアルミニウム電極を形成することでオーミックコンタクトを得ている。
しかしながら、アルミニウムペーストから形成されるアルミニウム電極は導電率が低い。そのためシート抵抗を下げるために、通常裏面全面に形成したアルミニウム電極は焼結後において10μm〜20μmほどの厚みを有していなければならない。さらに、ケイ素とアルミニウムとでは熱膨張率が大きく異なることから、焼結および冷却の過程で、アルミニウム電極が形成されたシリコン基板中に大きな内部応力が発生し、結晶粒界へのダメージ、結晶欠陥増長及び反りの原因となる。
この問題を解決するために、アルミニウムペーストの塗布量を減らし、裏面電極層の厚さを薄くする方法がある。しかしながら、アルミニウムペーストの塗布量を減らすと、p型シリコン半導体基板の表面から内部に拡散するアルミニウムの量が不充分となる。その結果、所望のBSF(Back Surface Field)効果(p型拡散層の存在により生成キャリアの収集効率が向上する効果)を達成することができないため、太陽電池の特性が低下するという問題が生じる。
上記に関連して、アルミニウムペーストをシリコン基板表面の一部に付与して部分的にp層とアルミニウム電極とを形成するポイントコンタクトの手法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このような受光面とは反対側の面(以下、「裏面」ともいう)にポイントコンタクト構造を有する太陽電池の場合、アルミニウム電極以外の部分の表面において、少数キャリアの再結合速度を抑制する必要がある。そのための裏面用の半導体基板パッシベーション層(以下、単に「パッシベーション層」ともいう)として、SiO膜等が提案されている(例えば、特許文献2参照)。このようなSiO膜を形成することによるパッシベーション効果としては、シリコン基板の裏面表層部におけるケイ素原子の未結合手を終端させ、再結合の原因となる表面準位密度を低減させる効果がある。
また、少数キャリアの再結合を抑制する別の方法として、パッシベーション層内の固定電荷が発生する電界によって少数キャリア密度を低減する方法がある。このようなパッシベーション効果は一般に電界効果と呼ばれ、負の固定電荷を有する材料として酸化アルミニウム(Al)膜などが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
このようなパッシベーション層は、一般的にはALD(Atomic Layer Deposition)法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等の方法で形成される(例えば、非特許文献1参照)。また、半導体基板上に酸化アルミニウム膜を形成する簡便な手法として、ゾルゲル法による手法が提案されている(例えば、非特許文献2及び3参照)。
特許第3107287号公報 特開2004−6565号公報 特許第4767110号公報
Journal of Applied Physics, 104(2008), 113703-1〜113703-7 Thin Solid Films, 517(2009), 6327-6330 Chinese Physics Letters, 26(2009), 088102-1〜088102-4
ポイントコンタクト構造を有する太陽電池を効率よく製造するためには、半導体基板上の電極が形成されない領域にのみパッシベーション層を形成することが望ましい。しかしながら、非特許文献1〜3に記載されたALD法、CVD法及び粘度の低い溶液を使ったゾルゲル法では、電極が形成されない領域にのみ選択的にパッシベーション層を直接形成することは困難である。そのため、これらの手法を用いる場合にはパッシベーション層を半導体基板上に一様に形成した後、所定のパターンの電極が形成される領域に対応する部分に形成されたパッシベーション層を、穴あけやエッチングにより除去し、その後、パッシベーション層が除去された部分に電極を形成する必要がある。このような煩雑な製造工程は、ポイントコンタクト構造を有する太陽電池を産業に利用する上で大きな障害となっている。また、パッシベーション層を形成する際の熱処理と、電極を形成する際の熱処理とをそれぞれ分けて行う必要があるため、半導体基板に与える熱負荷が大きく、半導体基板のパッシベーション効果への影響が大きいという問題がある。
本発明は、以上の従来の問題点に鑑みなされたものであり、優れたパッシベーション効果を有するパッシベーション層を、簡便な手法で所望の形状に形成することができるパッシベーション層付半導体基板の製造方法及びそれによって得られるパッシベーション層付半導体基板、並びに発電効率に優れる太陽電池素子の製造方法及びそれによって得られる太陽電池素子を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
<1>半導体基板の少なくとも一方の面上に電極形成用組成物を付与して電極形成用組成物層を形成する工程と、
前記半導体基板の前記電極形成用組成物層が形成される面上に、下記一般式(I)で表される化合物を含むパッシベーション層形成用組成物を付与してパッシベーション層形成用組成物層を形成する工程と、
前記半導体基板を熱処理して、前記電極形成用組成物層の熱処理物である電極と、前記パッシベーション層形成用組成物層の熱処理物であるパッシベーション層と、を形成する工程と、を有するパッシベーション層付半導体基板の製造方法。
[式中、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基を表す。nは0〜3の整数を表す。X及びXはそれぞれ独立して酸素原子又はメチレン基を表す。R、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。]
<2>前記熱処理によって、前記電極と前記パッシベーション層とが一括して形成される、<1に記載のパッシベーション層付半導体基板の製造方法。
<3>前記パッシベーション層形成用組成物層が、前記半導体基板の前記電極形成用組成物層が形成される面において前記電極形成用組成物層が形成されない領域の少なくとも一部の領域に形成される、<1>又は<2>に記載のパッシベーション層付半導体基板の製造方法。
<4>前記パッシベーション層形成用組成物は、さらに下記一般式(II)で表される化合物を含む、<1>〜<3>のいずれか一項に記載のパッシベーション層付半導体基板の製造方法。
M(OR11)m (II)
[式中、MはNb、Ta、V、Y及びHfからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を含み、R11はそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数6〜14のアリール基を表し、mは1〜5の整数を表す。]
<5>前記一般式(I)においてRがそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基である、<1>〜<4>のいずれか一項に記載のパッシベーション層付半導体基板の製造方法。
<6>前記一般式(I)においてnが1〜3の整数であり、Rがそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基である、<1>〜<5>のいずれか一項に記載のパッシベーション層付半導体基板の製造方法。
<7><1>〜<6>のいずれか1項に記載のパッシベーション層付半導体基板の製造方法で製造されるパッシベーション層付半導体基板。
<8>pn接合を有する半導体基板の表面に存在するp型層及びn型層からなる群より選択される少なくとも一方の上に電極形成用組成物を付与して電極形成用組成物層を形成する工程と、
前記半導体基板の前記電極形成用組成物層が形成される面上に、下記一般式(I)で表される化合物を含むパッシベーション層形成用組成物を付与してパッシベーション層形成用組成物層を形成する工程と、
前記半導体基板を熱処理して、前記電極形成用組成物層の熱処理物である電極と、前記パッシベーション層形成用組成物層の熱処理物であるパッシベーション層と、を形成する工程と、を有する太陽電池素子の製造方法。
[式中、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基を表す。nは0〜3の整数を表す。X及びXはそれぞれ独立して酸素原子又はメチレン基を表す。R、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。]
<9>前記熱処理によって、前記電極と前記パッシベーション層とが一括して形成される、<8>に記載の太陽電池素子の製造方法。
<10>前記パッシベーション層形成用組成物層が、前記半導体基板の前記電極形成用組成物層が形成される面において前記電極形成用組成物層が形成されない領域の少なくとも一部の領域に形成される、<8>又は<9>に記載の太陽電池素子の製造方法。
<11>前記パッシベーション層形成用組成物は、さらに下記一般式(II)で表される化合物を含む、<8>〜<10>のいずれか一項に太陽電池素子の製造方法。
M(OR11)m (II)
[式中、MはNb、Ta、V、Y及びHfからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を含み、R11はそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数6〜14のアリール基を表し、mは1〜5の整数を表す。]
<12>前記一般式(I)においてRがそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基である、<8>〜<11>のいずれか一項に記載の太陽電池素子の製造方法。
<13>前記一般式(I)においてnが1〜3の整数であり、Rがそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基である、<8>〜<12>のいずれか一項に記載の太陽電池素子の製造方法。
<14><8>〜<13>のいずれか1項に記載の製造方法で製造される太陽電池素子。
本発明によれば、優れたパッシベーション効果を有するパッシベーション層を、簡便な手法で所望の形状に形成することができるパッシベーション層付半導体基板の製造方法及びそれによって得られるパッシベーション層付半導体基板、並びに発電効率に優れる太陽電池素子の製造方法及びそれによって得られる太陽電池素子を提供することができる。
本実施形態にかかるパッシベーション層を有する太陽電池素子の製造方法の一例を模式的に示す断面図である。 本実施形態にかかるパッシベーション層を有する裏面電極型太陽電池素子を模式的に示す断面図である。 実施例で使用した電極形成用のスクリーンマスク版のパターンを示す平面図である。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。「層」との語は、平面図として観察したときに、全面に形成されている形状の構成に加え、一部に形成されている形状の構成も包含される。「熱処理」には、一般に「焼成」又は「焼結」と称される工程も包含される。「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリロキシ」、「(メタ)アクリロイル」等の語は、アクリル及びメタクリル、アクリロキシ及びメタクリロキシ、アクリロイル及びメタクリロイルのいずれか一方又は双方をそれぞれ意味する。
<パッシベーション層付半導体基板の製造方法>
本発明のパッシベーション層付半導体基板の製造方法は、半導体基板の少なくとも一方の面上に電極形成用組成物を付与して電極形成用組成物層を形成する工程と、前記半導体基板の前記電極形成用組成物層が形成される面上に、下記一般式(I)で表される化合物を含むパッシベーション層形成用組成物を付与してパッシベーション層形成用組成物層を形成する工程と、前記半導体基板を熱処理して、前記電極形成用組成物層の熱処理物である電極と、前記パッシベーション層形成用組成物層の熱処理物であるパッシベーション層と、を形成する工程と、を有する。
式中、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基を表す。nは0〜3の整数を表す。X及びXはそれぞれ独立して酸素原子又はメチレン基を表す。R、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。
本発明のパッシベーション層付半導体基板の製造方法において、電極形成用組成物層を形成する工程とパッシベーション層形成用組成物層を形成する工程の順序は特に制限されない。すなわち、本発明のパッシベーション層付半導体基板の製造方法は、以下のA又はBに記載の順序で行われる工程(1)〜(3)を少なくとも含む。
A(1)電極形成用組成物層を形成する工程
(2)パッシベーション層形成用組成物層を形成する工程
(3)半導体基板を熱処理して電極及びパッシベーション層を形成する工程
B(1)パッシベーション層形成用組成物層を形成する工程
(2)電極形成用組成物層を形成する工程
(3)半導体基板を熱処理して電極及びパッシベーション層を形成する工程
本発明のパッシベーション層付半導体基板の製造方法では、工程(1)及び工程(2)の後に工程(3)の熱処理が行われる。すなわち、工程(1)と工程(2)の間では工程(3)の熱処理が行われない。このため、半導体基板が加熱される時間を短縮でき、半導体基板に与える熱負荷を低減することができ、よりパッシベーション効果に優れるパッシベーション層付半導体基板を製造することができる。さらに、半導体基板にp型拡散層またはn型拡散層のいずれかひとつ以上が形成されている場合には、これらの拡散層が熱処理によって必要以上に拡散することを防止することができる。加えて、工程(1)と工程(2)の後に工程(3)の熱処理が行われるため、工程の数の削減が可能となり、製造方法を簡易にすることができる。
本発明のパッシベーション層付半導体基板の製造方法においては、半導体基板上にパッシベーション層形成用組成物層及び電極形成用組成物層を形成した後に半導体基板を熱処理して、電極形成用組成物層の熱処理物である電極と、パッシベーション層形成用組成物層の熱処理物であるパッシベーション層とを形成する。電極の形成とパッシベーション層の形成とは、別々に行われてもよく、一括して行われてもよい。電極の形成とパッシベーション層の形成とが一括して行われるとは、電極の形成とパッシベーション層の形成とが時間的に少なくとも一部重複して行われることを意味する。半導体基板が受ける熱負荷を低減する観点からは、半導体基板を熱処理する工程において、電極とパッシベーション層とが一括して形成されることが好ましい。
本発明のパッシベーション層付半導体基板の製造方法においては、パッシベーション層形成用組成物層が、前記半導体基板の前記電極形成用組成物層が形成される面において前記電極形成用組成物層が形成されない領域の少なくとも一部の領域に形成されてもよい。前述のように、ALD法、CVD法及びゾルゲル法では半導体基板の所望の領域にのみパッシベーション層形成用組成物を付与することが困難であるが、一般式(I)で表される化合物を含むパッシベーション層形成用組成物は半導体基板の所望の領域にのみ容易に付与することができる。従って、本発明のパッシベーション層付半導体基板の製造方法は、電極がパターン状に形成され、それ以外の領域にパッシベーション層が形成された構造を有するパッシベーション層付半導体基板の製造にも好適に用いることができる。
本発明のパッシベーション層付半導体基板の製造方法は、必要に応じてその他の工程をさらに有していてもよい。その他の工程としては、パッシベーション層形成用組成物層を形成する工程の後、半導体基板を熱処理する工程の前に行う乾燥工程を挙げることができる。パッシベーション層形成用組成物層を乾燥処理することで、固体膜状の層とすることができ、電極形成用組成物層との相溶をより効果的に防止することができる。その結果、半導体基板を熱処理して電極及びパッシベーション層を形成する工程をより良好に行うことができる。
本明細書において、半導体基板のパッシベーション効果は、パッシベーション層が形成された半導体基板内の少数キャリアの実効ライフタイムの測定を、日本セミラボ社製のWT−2000PVN等の装置を用いて、反射マイクロ波導電減衰法によって測定することで評価することができる。
ここで、実効ライフタイムτは、半導体基板内部のバルクライフタイムτと、半導体基板表面の表面ライフタイムτとによって下記式(A)のように表される。半導体基板表面の表面準位密度が小さい場合にはτが大きくなる結果、実効ライフタイムτが大きくなる。また、半導体基板内部のダングリングボンド等の欠陥が少なくなっても、バルクライフタイムτが大きくなって実効ライフタイムτが大きくなる。すなわち、実効ライフタイムτの測定によってパッシベーション層/半導体基板の界面特性、及び、ダングリングボンド等の半導体基板の内部特性を評価することができる。
1/τ=1/τ+1/τ (A)
尚、実効ライフタイムが長いほど少数キャリアの再結合速度が遅いことを示す。また実効ライフタイムが長い半導体基板を用いて太陽電池素子を構成することで、変換効率が向上する。
本発明の製造方法に用いる半導体基板は特に制限されず、目的に応じて通常用いられるものから適宜選択することができる。例えば、シリコン基板、ゲルマニウム基板等にp型不純物又はn型不純物を拡散(ドープ)したものを挙げることができ、中でもシリコン基板が好ましい。また半導体基板は、p型半導体基板であっても、n型半導体基板であってもよい。中でもパッシベーション効果の観点から、パッシベーション層が形成される面がp型層である半導体基板であることが好ましい。前記半導体基板上のp型層は、p型半導体基板に由来するp型層であっても、p型拡散層又はp型拡散層として、n型半導体基板又はp型半導体基板上に形成されたものであってもよい。
前記半導体基板の厚みは特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば50μm〜1000μmとすることができ、75μm〜750μmであることが好ましい。厚みが50μm〜1000μmの半導体基板にパッシベーション層を形成することで、より効果的にパッシベーション効果を得ることができる。
(電極形成用組成物層形成工程)
本発明のパッシベーション層付半導体基板の製造方法は、半導体基板の少なくとも一方の面上に電極形成用組成物を付与して電極形成用組成物層を形成する工程を有する。
電極形成用組成物は、目的に応じて通常用いられるものから適宜選択することができる。具体的には、各社から太陽電池の電極形成用として市販されている銀ペースト、アルミニウムペースト、銅ペースト等を挙げることができる。
電極形成用組成物を半導体基板上に付与する方法には特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。具体的には、スクリーン印刷等の印刷法、インクジェット法などを挙げることができる。マスク材やエッチング法等を併用する場合には、浸漬法、スピンコート法、刷毛塗り法、スプレー法、ドクターブレード法、ロールコーター法等の方法であってもよい。
半導体基板上への電極形成用組成物の付与量は特に制限されず、形成される電極の形状等に応じて適宜選択することができる。形成される電極の形状は特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。
(パッシベーション層形成用組成物層形成工程)
本発明のパッシベーション層付半導体基板の製造方法は、半導体基板の電極形成用組成物層が形成される面上に、一般式(I)で表される化合物を含むパッシベーション層形成用組成物を付与してパッシベーション層形成用組成物層を形成する工程を有する。
パッシベーション層形成用組成物層の形状は特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。パッシベーション層形成用組成物層は、半導体基板の面全体に形成されてもよく、一部の領域にのみ形成されていてもよい。また、パッシベーション層形成用組成物層は、半導体基板の片面にのみ形成されても、両面に形成されてもよい。さらに、パッシベーション層形成用組成物層は、電極形成用組成物層が形成される面以外に電極形成用組成物層が形成されない面に形成されてもよい。中でも、半導体基板上の電極形成用組成物層が形成されない領域の少なくとも一部の領域、すなわち、半導体基板と電極形成用組成物層とが接触する領域以外の少なくとも一部の領域にパッシベーション層形成用組成物層が形成されることが好ましい。これにより、電極の接触抵抗が上昇することが抑制され、より簡便な方法でパッシベーション層を形成することができる。パッシベーション層形成用組成物の詳細については後述する。
パッシベーション層形成用組成物を半導体基板上に付与する方法には特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。具体的には、スクリーン印刷等の印刷法、インクジェット法などを挙げることができる。マスク材やエッチング法等を併用する場合には、浸漬法、スピンコート法、刷毛塗り法、スプレー法、ドクターブレード法、ロールコーター法等の方法であってもよい。
半導体基板上へのパッシベーション層形成用組成物の付与量は特に制限されない。例えば、形成されるパッシベーション層の膜厚が後述する膜厚となるように適宜選択することが好ましい。
(熱処理工程)
本発明のパッシベーション層付半導体基板の製造方法は、半導体基板を熱処理して、電極形成用組成物層の熱処理物である電極と、パッシベーション層形成用組成物層の熱処理物であるパッシベーション層と、を形成する工程を有する。
熱処理工程は、一つの工程であってもよく、複数の工程であってもよい。また、電極形成用組成物層の熱処理物である電極の形成と、パッシベーション層形成用組成物層の熱処理物であるパッシベーション層の形成とは、いずれかを先に行っても、一括して行ってもよい。一括して行うとは、電極の形成とパッシベーション層の形成とが時間的に少なくとも一部重複して行われることを意味する。
電極の熱応力による反り、剥離等を防止する観点からは、パッシベーション層を形成する条件で熱処理を行った後に電極を形成する条件で熱処理を行うことが好ましい。パッシベーション層のアモルファス構造を維持する観点からは、電極を形成する条件で熱処理を行った後にパッシベーション層を形成する条件で熱処理を行うことが好ましい。上記二つの効果がともに得られ、かつ半導体基板への熱負荷も低減できる観点からは、電極の形成とパッシベーション層の形成とを一括して行うことが好ましい。すなわち、電極が形成され、かつパッシベーション層が形成される条件で熱処理を行うことが好ましい。さらに、電極の形成とパッシベーション層の形成とを一括して行うことで工程の数を削減でき、製造方法を簡易にすることができる。
パッシベーション層の形成を電極の形成よりも先に行う場合、パッシベーション層を形成するための熱処理の条件はパッシベーション層形成用組成物の成分等に応じて適宜選択されるが、パッシベーション層形成用組成物層の反応が適度に反応する温度であることが好ましい。例えば、300℃〜900℃で1秒〜10時間の熱処理を行うことにより、パッシベーション特性に優れるパッシベーション層を形成することができる。
電極の形成をパッシベーション層の形成よりも先に行う場合、電極を形成するための熱処理の条件は電極形成用組成物の成分等に応じて適宜選択されるが、パッシベーション層形成用組成物層の構造に影響を与えない条件で行うことが好ましい。例えば、600℃〜900℃で1秒〜1000秒の熱処理を行うことにより、パッシベーション層形成用組成物層の構造にほとんど影響を与えることなく電極を形成することができる。
電極の形成とパッシベーション層の形成とを一括して行う場合の熱処理の条件は、電極形成用組成物及びパッシベーション層形成用組成物の成分等に応じて適宜選択される。例えば、熱処理温度を600℃〜900℃、熱処理時間を1秒〜1000秒の範囲内とすることができる。熱処理温度は、パッシベーション特性の観点から、625℃〜875℃であることが好ましく、650℃〜850℃であることがより好ましく、670℃〜820℃であることがさらに好ましい。
パッシベーション層の厚さは特に制限されず、目的に応じて適宜選択できる。例えば、5nm〜50μmであることが好ましく、10nm〜30μmであることがより好ましく、15nm〜20μmであることがさらに好ましい。形成されたパッシベーション層の厚さは、触針式段差・表面形状測定装置(例えば、Ambios社のXP−2(商品名))を用いて常法により測定される。
電極の厚さは特に制限されず、目的に応じて適宜選択できる。例えば、100nm〜50μmであることが好ましく、300nm〜40μmであることがより好ましく、500nm〜30μmであることがさらに好ましい。形成された電極の厚さは、触針式段差・表面形状測定装置(例えば、Ambios社製)を用いて常法により測定される。
パッシベーション層及び電極の形状は特に制限されず、必要に応じて所望の形状とすることができる。
(乾燥処理工程)
本発明のパッシベーション層付半導体基板の製造方法は、半導体基板上に形成されたパッシベーション層形成用組成物層を乾燥処理する工程を有してもよい。パッシベーション層形成用組成物層を乾燥処理することで、より均一なパッシベーション効果を有するパッシベーション層を形成することができる。また、乾燥処理することで固体膜状の層となることから電極形成用組成物との相溶を防ぎ、加熱処理を同時に行うことができるようになる。
パッシベーション層形成用組成物層の形成が電極形成用組成物層の形成より先に行われる場合は、電極形成用組成物層を形成する前にパッシベーション層形成用組成物層を乾燥処理することが好ましい。パッシベーション層形成用組成物層を乾燥処理することで、その後に形成される電極形成用組成物層とパッシベーション層形成用組成物層とが混合するのを効果的に防ぐことができる。また、パッシベーション層形成用組成物層を乾燥処理することで、より均一なパッシベーション効果を有するパッシベーション層を形成することができる。同様に、電極形成用組成物層の形成がパッシベーション層形成用組成物層の形成より先に行われる場合は、パッシベーション層形成用組成物層を形成する前に電極形成用組成物層を乾燥処理する工程を有していることが好ましい。
パッシベーション層形成用組成物層を乾燥処理する工程は、パッシベーション層形成用組成物に含まれることがある溶媒の少なくとも一部を除去することができればよく、特に制限されない。例えば、30℃〜250℃で1分間〜60分間の乾燥処理とすることができ、40℃〜220℃で3分間〜40分間の乾燥処理であることが好ましい。乾燥処理は、常圧下で行なっても減圧下で行なってもよい。
電極形成用組成物層を乾燥処理する工程は、電極形成用組成物に含まれることがある溶媒の少なくとも一部を除去することができれば、特に制限されない。例えば、50℃〜300℃で10秒間〜10分間の乾燥処理とすることができ、100℃〜200℃で1分間〜3分間の乾燥処理であることが好ましい。乾燥処理は、常圧下で行なっても減圧下で行なってもよい。
(アルカリ水溶液処理工程)
本発明のパッシベーション層付半導体基板の製造方法は、半導体基板上に電極形成用組成物及びパッシベーション層形成用組成物を付与して電極形成用組成物層及びパッシベーション層形成用組成物層を形成する工程の前に、半導体基板上にアルカリ水溶液を接触させて半導体基板の表面を洗浄する工程をさらに有することが好ましい。アルカリ水溶液で洗浄することで、半導体基板表面に存在する有機物、パーティクル等を除去することができ、パッシベーション効果がより向上する。
アルカリ水溶液による洗浄の方法としては、一般的に知られているRCA洗浄などを例示することができる。例えばアンモニア水−過酸化水素水の混合溶液に半導体基板を浸し、60℃〜80℃で処理することで、有機物、パーティクル等を除去することできる。洗浄時間は、10秒〜10分間であることが好ましく、30秒〜5分間であることがさらに好ましい。
前記製造方法で製造されるパッシベーション層付半導体基板は、太陽電池素子、発光ダイオード素子等に適用することができる。例えば、太陽電池素子に適用することで変換効率に優れた太陽電池素子を得ることができる。
(パッシベーション層形成用組成物)
本発明の製造方法に用いられるパッシベーション層形成用組成物は、下記一般式(I)で表される化合物の少なくとも1種を含む。
式中、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基を表す。nは0〜3の整数を表す。X及びXはそれぞれ独立して酸素原子又はメチレン基を表す。R、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。ここでR〜R、X及びXのいずれかが複数存在する場合、複数存在する同一の記号で表される基は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
本発明の製造方法に用いられるパッシベーション層形成用組成物は、一般式(I)で表される化合物の少なくとも1種を含むため、経時的な保存安定性に優れる。パッシベーション層形成用組成物は必要に応じてその他の成分をさらに含んでいてもよい。半導体基板の所望の領域に選択的にパッシベーション層を形成する観点からは、樹脂の少なくとも1種をさらに含むことが好ましい。パッシベーション層形成用組成物が樹脂を含むことで、容易に所望の形状に組成物層を形成することが可能となる。
また、パッシベーション層形成用組成物の安定性は、経時による粘度変化で評価することができる。具体的には、調製直後(12時間以内)のパッシベーション層形成用組成物のせん断速度1.0s−1におけるせん断粘度(η)と、25℃において30日間保存した後のパッシベーション層形成用組成物のせん断速度1.0s−1におけるせん断粘度(η30)とから得られる経時による粘度変化率(%)によって評価することができる。経時による粘度変化率(%)は、調製直後と30日後のせん断粘度の差の絶対値を調製直後のせん断粘度で除して得られる値であり、具体的には下式で算出される。パッシベーション層形成用組成物の粘度変化率は、30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましく、10%以下であることがさらに好ましい。
粘度変化率(%)=|η30−η|/η×100 (式)
(一般式(I)で表される化合物)
パッシベーション層形成用組成物は、一般式(I)で表される化合物の少なくとも1種を含む。一般式(I)で表される化合物は、アルミニウムアルコキシド、アルミニウムキレートなどと呼ばれる化合物であり、アルミニウムアルコキシド構造に加えてアルミニウムキレート構造を有していることが好ましい。また、Nippon Seramikkusu Kyokai Gakujitsu Ronbunshi、97(1989)369−399にも記載されているように、一般式(I)で表される化合物である有機アルミニウム化合物は熱処理により酸化アルミニウム(Al)となる。
一般式(I)で表される化合物を含有するパッシベーション層形成用組成物を用いることで、優れたパッシベーション効果を有するパッシベーション層を形成できる理由について、発明者らは以下のように考えている。一般式(I)で表される化合物を含有するパッシベーション層形成用組成物を熱処理することにより形成される酸化アルミニウムはアモルファス状態となりやすく、アルミニウム原子の欠陥等が生じて半導体基板との界面付近に大きな負の固定電荷を持つことができると考えられる。この大きな負の固定電荷が半導体基板の界面近辺で電界を発生することで少数キャリアの濃度を低下させることができ、結果的に界面でのキャリア再結合速度が抑制されるため、優れたパッシベーション効果を有するパッシベーション層を形成することができると考えられる。
また、大きな負の固定電荷を持つ原因として4配位酸化アルミニウム層が半導体基板との界面付近に生じていることも考えられる。半導体基板表面上における負の固定電荷の原因種である4配位酸化アルミニウム層の状態は、半導体基板の断面について走査型透過電子顕微鏡(STEM、Scanning Transmission Electron Microscope)による電子エネルギー損失分光法(EELS、Electron Energy Loss Spectroscopy)の分析を行うことで、結合様式を調べることができる。4配位酸化アルミニウムは二酸化珪素(SiO)の中心が珪素からアルミニウムに同形置換した構造と考えられ、ゼオライトや粘土のように二酸化珪素と酸化アルミニウムの界面で負の電荷源として形成されることが知られている。
形成された酸化アルミニウムの状態は、X線回折スペクトル(XRD、X−Ray Diffraction)を測定することにより確認できる。例えば、XRDが特定の反射パターンを示さないことでアモルファス構造であることが確認できる。また、酸化アルミニウムがもつ負の固定電荷は、CV法(Capacitance Voltage Measurement)で評価することが可能である。ただし、パッシベーション層形成用組成物から形成された酸化アルミニウムを含む熱処理物層について、CV法から得られるその表面準位密度は、ALD法又はCVD法で形成される酸化アルミニウム層の場合と比べ、大きな値となる場合がある。しかし、パッシベーション層形成用組成物から形成されたパッシベーション層は、電界効果が大きく少数キャリアの濃度が低下して表面ライフタイムτが大きくなる。そのため、表面準位密度は相対的に問題にはならない。
一般式(I)において、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基を表す。Rで表されるアルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。Rで表されるアルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、エチルヘキシル基等を挙げることができる。中でもRで表されるアルキル基は、保存安定性とパッシベーション効果の観点から、炭素数1〜8の無置換のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜4の無置換のアルキル基であることがより好ましい。
一般式(I)において、nは0〜3の整数を表わす。nは保存安定性の観点から、1〜3の整数であることが好ましく、1又は3であることがより好ましい。X及びXはそれぞれ独立して酸素原子又はメチレン基を表す。保存安定性の観点から、X及びXの少なくとも一方は酸素原子であることが好ましい。
一般式(I)におけるR、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。R、R及びRで表されるアルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。R、R及びRで表されるアルキル基は、置換基を有していても、無置換であってもよく、無置換であることが好ましい。R、R及びRで表されるアルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、エチルヘキシル基等を挙げることができる。
中でも保存安定性とパッシベーション効果の観点から、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜8の無置換のアルキル基であることが好ましく、水素原子又は炭素数1〜4の無置換のアルキル基であることがより好ましい。
またRは、保存安定性とパッシベーション効果の観点から、水素原子又は炭素数1〜8の無置換のアルキル基であることが好ましく、水素原子又は炭素数1〜4の無置換のアルキル基であることがより好ましい。
一般式(I)で表される化合物は、保存安定性とパッシベーション効果の観点から、nが0であり、Rがそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基である化合物、及びnが1〜3であり、Rがそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基であり、X及びXの少なくとも一方が酸素原子であり、R及びRがそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、Rが水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基である化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。一般式(I)で表される化合物は、nが0であり、Rが炭素数1〜4の無置換のアルキル基である化合物、及びnが1〜3であり、Rが炭素数1〜4の無置換のアルキル基であり、X及びXの少なくとも一方が酸素原子であり、前記酸素原子に結合するR又はRが炭素数1〜4のアルキル基であり、X又はXがメチレン基の場合、前記メチレン基に結合するR又はRが水素原子であり、Rが水素原子である化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
一般式(I)で表され、nが0である化合物(アルミニウムトリアルコキシド)として具体的には、トリメトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニウム(アルミニウムエチレート)、トリイソプロポキシアルミニウム(アルミニウムイソプロピレート)、トリsec−ブトキシアルミニウム(アルミニウムsec−ブチレート)、モノsec−ブトキシ−ジイソプロポキシアルミニウム(モノsec−ブトキシアルミニウムジイソプロピレート)、トリtert−ブトキシアルミニウム、トリn−ブトキシアルミニウム等を挙げることができる。
一般式(I)で表され、nが1〜3である化合物は、前記アルミニウムトリアルコキシドと、2つのカルボニル基を有する特定構造の化合物とを混合することで調製することができる。また市販されているアルミニウムキレート化合物を用いてもよい。市販品としては例えば、川研ファインケミカル株式会社のALCH、ALCH−50F、ALCH−75、ALCH-TR、ALCH−TR−20等を挙げることができる。
前記アルミニウムトリアルコキシドと、2つのカルボニル基を有する化合物とを混合すると、アルミニウムトリアルコキシドのアルコキシド基の少なくとも一部が2つのカルボニル基を有する化合物と置換して、アルミニウムキレート構造を形成する。このとき必要に応じて、溶媒が存在してもよく、また加熱処理、触媒の添加等を行ってもよい。アルミニウムアルコキシド構造の少なくとも一部がアルミニウムキレート構造に置換されることで、一般式(I)で表される化合物の加水分解、重合反応等に対する安定性が向上し、これを含むパッシベーション層形成用組成物の保存安定性がより向上する。
前記2つのカルボニル基を有する特定構造の化合物としては、保存安定性の観点から、β−ジケトン化合物、β−ケトエステル化合物、及びマロン酸ジエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
β−ジケトン化合物の具体例としては、アセチルアセトン、3−メチル−2,4−ペンタンジオン、2,3−ペンタンジオン、3−エチル−2,4−ペンタンジオン、3−ブチル−2,4−ペンタンジオン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン、2,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオン、6−メチル−2,4−ヘプタンジオン等を挙げることができる。
β−ケトエステル化合物の具体例としては、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸プロピル、アセト酢酸イソブチル、アセト酢酸ブチル、アセト酢酸t−ブチル、アセト酢酸ペンチル、アセト酢酸イソペンチル、アセト酢酸ヘキシル、アセト酢酸n−オクチル、アセト酢酸ヘプチル、アセト酢酸3−ペンチル、2−アセチルヘプタン酸エチル、2−ブチルアセト酢酸エチル、4,4−ジメチル−3−オキソ吉草酸エチル、4−メチル−3−オキソ吉草酸エチル、2−エチルアセト酢酸エチル、ヘキシルアセト酢酸エチル、4−メチル−3−オキソ吉草酸メチル、アセト酢酸イソプロピル、3−オキソヘキサン酸エチル、3−オキソ吉草酸エチル、3−オキソ吉草酸メチル、3−オキソヘキサン酸メチル、2−メチルアセト酢酸エチル、3−オキソヘプタン酸エチル、3−オキソヘプタン酸メチル、4,4−ジメチル−3−オキソ吉草酸メチル等を挙げることができる。
マロン酸ジエステルの具体例としては、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジプロピル、マロン酸ジイソプロピル、マロン酸ジブチル、マロン酸ジ−t−ブチル、マロン酸ジヘキシル、マロン酸t−ブチルエチル、メチルマロン酸ジエチル、エチルマロン酸ジエチル、イソプロピルマロン酸ジエチル、ブチルマロン酸ジエチル、sec−ブチルマロン酸ジエチル、イソブチルマロン酸ジエチル、1−メチルブチルマロン酸ジエチル等を挙げることができる。
前記一般式(I)で表される化合物がアルミニウムキレート構造を有する場合、アルミニウムキレート構造の数は1〜3であれば特に制限されない。中でも、保存安定性の観点から、1又は3であることが好ましい。アルミニウムキレート構造の数は、例えば前記アルミニウムトリアルコキシドと、2つのカルボニル基を有する化合物とを混合する比率を適宜調整することで制御することができる。また市販のアルミニウムキレート化合物から所望の構造を有する化合物を適宜選択してもよい。
一般式(I)で表される化合物のうち、熱処理時の反応性と組成物としての保存安定性の観点から、具体的にはnが1〜3である化合物を用いることが好ましく、アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)及びアルミニウムトリス(アセチルアセトネート)からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることがより好ましく、アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレートを用いることがさらに好ましい。
一般式(I)で表される化合物におけるアルミニウムキレート構造の存在は、通常用いられる分析方法で確認することができる。例えば、赤外分光スペクトル、核磁気共鳴スペクトル、融点等を用いて確認することができる。
前記パッシベーション層形成用組成物に含まれる一般式(I)で表される化合物の含有率は、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、保存安定性とパッシベーション効果の観点から、一般式(I)で表される化合物の含有率は、パッシベーション層形成用組成物中に1質量%〜70質量%とすることができ、3質量%〜60質量%であることが好ましく、5質量%〜50質量%であることがより好ましく、10質量%〜30質量%であることがさらに好ましい。
一般式(I)で表される化合物は、液状であっても固体であってもよく、特に制限はない。パッシベーション効果と保存安定性の観点から、常温での安定性、溶解性又は分散性が良好な化合物であることで、形成されるパッシベーション層の均一性がより向上し、所望のパッシベーション効果を安定的に得ることができる。
(一般式(II)で表される化合物)
より優れたパッシベーション効果が得られることから、パッシベーション層形成用組成物は、さらに下記一般式(II)で表される化合物を含むことが好ましい。
M(OR11)m (II)
式中、MはNb、Ta、V、Y及びHfからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を含み、R11はそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数6〜14のアリール基を表し、mは1〜5の整数を表す。
一般式(II)において、Mは、Nb、Ta、V、Y及びHfからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を含む。パッシベーション効果、パッシベーション層形成用組成物の保存安定性、及びパッシベーション層形成用組成物を調製する際の作業性の観点から、MとしてはNb、Ta及びYからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を含むことが好ましい。また、パッシベーション層の固定電荷密度を負にする観点からは、MはNb、Ta、V及びHfからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を含むことが好ましく、Nb、Ta、VO及びHfからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
一般式(II)において、R11はそれぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数6〜14のアリール基を表し、炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましい。R11で表されるアルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。R11で表されるアルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、3−エチルヘキシル基等を挙げることができる。R11で表されるアリール基として具体的には、フェニル基を挙げることができる。R11で表されるアルキル基及びアリール基は、置換基を有していてもよく、アルキル基の置換基としては、ハロゲン元素、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホン基、ニトロ基等が挙げられる。アリール基の置換基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホン基、ニトロ基等が挙げられる。
保存安定性とパッシベーション効果の観点からは、R11は炭素数1〜8の無置換のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜4の無置換のアルキル基であることがより好ましい。
一般式(II)において、mは1〜5の整数を表す。安定性の観点から、MがNbである場合にはmが5であることが好ましく、MがTaである場合にはmが5であることが好ましく、MがVOである場合にはmが3であることが好ましく、MがYである場合にはmが3であることが好ましく、MがHfである場合にはmが4であることが好ましい。
一般式(II)で表される化合物としては、Mが、Nb、Ta及びYからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を含み、R11が炭素数1〜4の無置換のアルキル基であり、mが1〜5の整数であることが好ましい。
一般式(II)で表される化合物は、固体であっても液体であってもよい。パッシベーション層形成用組成物の保存安定性、及び一般式(I)で表わされる化合物との混合性の観点からは、液体であることが好ましい。
一般式(II)で表される化合物としては、ニオブメトキシド、ニオブエトキシド、ニオブイソプロポキシド、ニオブn−プロポキシド、ニオブn−ブトキシド、ニオブt−ブトキシド、ニオブイソブトキシド、タンタルメトキシド、タンタルエトキシド、タンタルイソプロポキシド、タンタルn−プロポキシド、タンタルn−ブトキシド、タンタルt−ブトキシド、タンタルイソブトキシド、イットリウムメトキシド、イットリウムエトキシド、イットリウムイソプロポキシド、イットリウムn−プロポキシド、イットリウムn−ブトキシド、イットリウムt−ブトキシド、イットリウムイソブトキシド、バナジウムメトキシドオキシド、バナジウムエトキシドオキシド、バナジウムイソプロポキシドオキシド、バナジウムn−プロポキシドオキシド、バナジウムn−ブトキシドオキシド、バナジウムt−ブトキシドオキシド、バナジウムイソブトキシドオキシド、ハフニウムメトキシド、ハフニウムエトキシド、ハフニウムイソプロポキシド、ハフニウムn−プロポキシド、ハフニウムn−ブトキシド、ハフニウムt−ブトキシド、ハフニウムイソブトキシド等を挙げることができ、中でもニオブエトキシド、ニオブn−プロポキシド、ニオブn−ブトキシド、タンタルエトキシド、タンタルn−プロポキシド、タンタルn−ブトキシド、イットリウムイソプロポキシド及びイットリウムn−ブトキシドが好ましい。負の固定電荷密度を得る観点からは、ニオブエトキシド、ニオブn−プロポキシド、ニオブn−ブトキシド、タンタルエトキシド、タンタルn−プロポキシド、タンタルn−ブトキシド、バナジウムエトキシドオキシド、バナジウムn−プロポキシドオキシド、バナジウムn−ブトキシドオキシド、ハフニウムエトキシド、ハフニウムn−プロポキシド及びハフニウムn−ブトキシドが好ましい。
一般式(II)で表される化合物は、調製したものを用いても、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、株式会社高純度化学研究所のペンタメトキシニオブ、ペンタエトキシニオブ、ペンタ−i−プロポキシニオブ、ペンタ−n−プロポキシニオブ、ペンタ−i−ブトキシニオブ、ペンタ−n−ブトキシニオブ、ペンタ−sec−ブトキシニオブ、ペンタメトキシタンタル、ペンタエトキシタンタル、ペンタ−i−プロポキシタンタル、ペンタ−n−プロポキシタンタル、ペンタ−i−ブトキシタンタル、ペンタ−n−ブトキシタンタル、ペンタ−sec−ブトキシタンタル、ペンタ−t−ブトキシタンタル、バナジウム(V)トリメトキシドオキシド、バナジウム(V)トリエトキシオキシド、バナジウム(V)トリ−i−プロポキシドオキシド、バナジウム(V)トリ−n−プロポキシドオキシド、バナジウム(V)トリ−i−ブトキシドオキシド、バナジウム(V)トリ−n−ブトキシドオキシド、バナジウム(V)トリ−sec−ブトキシドオキシド、バナジウム(V)トリ−t−ブトキシドオキシド、トリ−i−プロポキシイットリウム、トリ−n−ブトキシイットリウム、テトラメトキシハフニウム、テトラエトキシハフニウム、テトラ−i−プロポキシハフニウム、テトラ−t−ブトキシハフニウム、北興化学工業株式会社のペンタエトキシニオブ、ペンタエトキシタンタル、ペンタブトキシタンタル、イットリウム−n−ブトキシド、ハフニウム−t−ブトキシド、日亜化学工業株式会社のバナジウムオキシトリエトキシド、バナジウムオキシトリノルマルプロポキシド、バナジウムオキシトリノルマルブトキシド、バナジウムオキシトリイソブトキシド、バナジウムオキシトリセカンダリーブトキシド等を挙げることができる。
一般式(II)で表される化合物の調製には、特定の金属(M)のハロゲン化物とアルコールとを不活性有機溶媒の存在下で反応させ、さらにハロゲンを引き抜くためにアンモニア又はアミン類を添加する方法(特開昭63−227593号公報及び特開平3−291247号公報)等、既知の製法を用いることができる。
一般式(II)で表される化合物は、2つのカルボニル基を有する特定構造の化合物と混合することでキレート構造を形成した化合物としてもよい。一般式(II)で表される化合物と、2つのカルボニル基を有する特定構造の化合物とを混合すると、一般式(II)で表される化合物のアルコキシド基の少なくとも一部が特定構造の化合物と置換して、キレート構造を形成する。このとき必要に応じて、溶媒が存在してもよく、また加熱処理や触媒の添加を行ってもよい。アルコキシド構造の少なくとも一部がキレート構造に置換されることで、一般式(II)で表される化合物の加水分解、重合反応等に対する安定性が向上し、これを含むパッシベーション層形成用組成物の保存安定性がより向上する。2つのカルボニル基を有する特定構造の化合物としては、上述したβ−ジケトン化合物、β−ケトエステル化合物、マロン酸ジエステル等が挙げられる。
一般式(II)で表される化合物がキレート構造を有する場合、キレート構造の数は1〜5であれば特に制限されない。中でも、溶解度の観点から、キレート構造の数は1であることが好ましい。キレート構造の数は、例えば一般式(II)で表される化合物と、金属元素とキレートを形成し得る化合物とを混合する比率を適宜調整することで制御することができる。また市販の金属キレート化合物から所望の構造を有する化合物を適宜選択してもよい。
一般式(II)で表される化合物におけるキレート構造の存在は、通常用いられる分析方法で確認することができる。例えば、赤外分光スペクトル、核磁気共鳴スペクトル、融点等を用いて確認することができる。
パッシベーション層形成用組成物に含まれる一般式(II)で表される化合物の含有率は目的に応じて適宜選択することができる。保存安定性及びパッシベーション効果の観点からは、一般式(II)で表される化合物の含有率はパッシベーション層形成用組成物中に0.1質量%〜80質量%とすることができ、0.5質量%〜70質量%であることが好ましく、1質量%〜60質量%であることがより好ましく、1質量%〜50質量%であることがさらに好ましい。
パッシベーション層形成用組成物が一般式(I)で表される化合物と一般式(II)で表される化合物とを含む場合、それらの合計含有率は目的に応じて適宜選択することができる。パッシベーション効果と保存安定性の観点からは、一般式(I)で表される化合物と一般式(II)で表される化合物の合計含有率はパッシベーション層形成用組成物中に1質量%〜60質量%とすることができ、3質量%〜50質量%であることが好ましく、5質量%〜40質量%であることがより好ましい。
パッシベーション層形成用組成物が一般式(I)で表される化合物と一般式(II)で表される化合物とを含む場合、一般式(I)で表される化合物と一般式(II)で表される化合物との質量比は目的に応じて適宜選択することができる。パッシベーション効果の観点からは、前記質量比(一般式(I)で表される化合物:一般式(II)で表される化合物)は8:2〜2:8であることが好ましく、7:3〜3:7であることがより好ましく、6:4〜4:6であることがさらに好ましい。
(樹脂)
パッシベーション層形成用組成物は、樹脂の少なくとも1種を含むことが好ましい。樹脂を含むことで、パッシベーション層形成用組成物が半導体基板上に付与されて形成される組成物層の形状安定性がより向上し、パッシベーション層を組成物層が形成された領域に、所望の形状でより選択的に形成することができる。
樹脂の種類は特に制限されない。中でも、パッシベーション層形成用組成物を半導体基板上に付与する際に、良好なパターン形成ができる範囲に粘度調整が可能な樹脂であることが好ましい。前記樹脂として具体的には、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルアミド樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリエチレンオキサイド樹脂、ポリスルホン酸樹脂、アクリルアミドアルキルスルホン酸樹脂、セルロース、セルロースエーテル、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース樹脂、ゼラチン、ゼラチン誘導体、澱粉、澱粉誘導体、アルギン酸ナトリウム、キサンタン、キサンタン誘導体、グアーガム、グアーガム誘導体、スクレログルカン、スクレログルカン誘導体、トラガカント、トラガカント誘導体、デキストリン、デキストリン誘導体、(メタ)アクリル酸樹脂、アルキル(メタ)アクリレート樹脂、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート樹脂等の(メタ)アクリル酸エステル樹脂などの(メタ)アクリル樹脂、ブタジエン樹脂、スチレン樹脂、シロキサン樹脂、ブチラール樹脂、これらの共重合体などを挙げることができる。これらの樹脂は、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
上記の樹脂の中でも、保存安定性とパターン形成性の観点から、酸性及び塩基性の官能基を有さない中性樹脂を用いることが好ましく、含有量が少量の場合においても容易に粘度及びチキソ性を調節できる観点から、セルロース誘導体を用いることがより好ましい。
樹脂の分子量は特に制限されず、組成物としての所望の粘度を鑑みて適宜調整することが好ましい。樹脂の重量平均分子量は、保存安定性とパターン形成性の観点から、100〜10,000,000であることが好ましく、1,000〜5,000,000であることがより好ましい。なお、樹脂の重量平均分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて測定される分子量分布から標準ポリスチレンの検量線を使用して換算して求められる。
パッシベーション層形成用組成物が樹脂を含有する場合、樹脂のパッシベーション層形成用組成物中の含有率は、必要に応じて適宜選択することができる。例えば、樹脂の含有率は、パッシベーション層形成用組成物中に0.1質量%〜30質量%であることが好ましい。パターン形成をより容易にするようなチキソ性を発現させる観点から、樹脂の含有率は、1質量%〜25質量%であることがより好ましく、1.5質量%〜20質量%であることがより好ましく、1.5質量%〜10質量%であることがさらに好ましい。
パッシベーション層形成用組成物が樹脂を含有する場合、パッシベーション層形成用組成物における一般式(I)で表される化合物と前記樹脂の含有比率(質量比)は、必要に応じて適宜選択することができる。中でも、パターン形成性と保存安定性の観点から、一般式(I)で表される化合物に対する樹脂の含有比率(樹脂/一般式(I)で表される化合物)は、0.001〜1000であることが好ましく、0.01〜100であることがより好ましく、0.1〜1であることがさらに好ましい。
(液状媒体)
前記パッシベーション層形成用組成物は液状媒体(溶媒又は分散媒)を含んでいてもよい。パッシベーション層形成用組成物が液状媒体を含有することで、粘度の調整がより容易になり、付与性がより向上し、より均一なパッシベーション層を形成することができる傾向にある。前記液状媒体としては特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。中でも一般式(I)で表される化合物、及び必要に応じて用いられる樹脂を溶解して均一な溶液を得ることができる液状媒体が好ましく、有機溶剤の少なくとも1種を含むことがより好ましい。液状媒体とは、室温(25℃)において液体の状態の媒体をいう。
液状媒体としては、ケトン溶剤、エーテル溶剤、エステル溶剤、エーテルアセテート溶剤、非プロトン性極性溶剤、アルコール溶剤、グリコールモノエーテル溶剤、テルペン溶剤、水等を挙げることができる。これらの溶剤は、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
ケトン溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等を挙げることができる。
エーテル溶剤としては、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、メチル−n−プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、テトラエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、テトラエチレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラプロピレングリコールジエチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチルエチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、テトラプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル等を挙げることができる。
エステル溶剤としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸ジエチレングリコールメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリエチレングリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸イソアミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル等を挙げることができる。
エーテルアセテート溶剤としては、エチレングリコールメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、を挙げることができる。
非プロトン性極性溶剤としては、アセトニトリル、N−メチルピロリジノン、N−エチルピロリジノン、N−プロピルピロリジノン、N−ブチルピロリジノン、N−ヘキシルピロリジノン、N−シクロヘキシルピロリジノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等を挙げることができる。
アルコール溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、イソペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、t−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等を挙げることができる。
グリコールモノエーテル溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エトキシトリグリコール、テトラエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等を挙げることができる。
テルペン溶剤としては、α−ピネン、β−ピネン等のピネン、α−テルピネン等のテルピネン、α−テルピネオール等のテルピネオール、ミルセン、アロオシメン、リモネン、ジペンテン、カルボン、オシメン、フェランドレンなどを挙げることができる。
半導体基板への付与性及びパターン形成性の観点からは、液状媒体はテルペン溶剤、エステル溶剤及びアルコール溶剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、テルペン溶剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましい。
パッシベーション層形成用組成物が液状媒体を含む場合、液状媒体の含有率は、パッシベーション層形成用組成物の付与性、パターン形成性、保存安定性等を考慮して決定される。例えば液状媒体の含有率は、組成物の付与性とパターン形成性の観点から、パッシベーション層形成用組成物の総質量中に5質量%〜98%質量%であることが好ましく、10質量%〜95質量%であることがより好ましい。
(その他の成分)
本発明のパッシベーション層形成用組成物は、上述した成分に加えてその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、可塑剤、分散剤、界面活性剤、チキソ剤、無機フィラー、他の金属アルコキシド化合物等を挙げることができる。パッシベーション層をパターン状に形成する場合は、チキソ剤及び無機フィラーから選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。チキソ剤及び無機フィラーから選択される少なくとも1種を含むことで、パッシベーション層形成用組成物が半導体基板上に付与されて形成される組成物層の形状安定性がより向上し、パッシベーション層を前記組成物層が形成された領域に、所望の形状で形成することができる。
保存安定性の観点からは、パッシベーション層形成用組成物中の酸性化合物及び塩基性化合物の含有率は、パッシベーション層形成用組成物の総質量中にそれぞれ1質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましい。
酸性化合物としては、ブレンステッド酸及びルイス酸を挙げることができる。具体的には塩酸、硝酸等の無機酸、酢酸等の有機酸などを挙げることができる。また塩基性化合物としては、ブレンステッド塩基及びルイス塩基を挙げることができる。具体的にはアルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物等の無機塩基、トリアルキルアミン、ピリジン等の有機塩基などを挙げることができる。
パッシベーション層形成用組成物の粘度は特に制限されず、半導体基板への付与方法等に応じて適宜選択するこができる。例えば、0.01Pa・s〜10,000Pa・sとすることができる。中でもパターン形成性の観点から、0.1Pa・s〜1,000Pa・sであることが好ましい。なお、前記粘度は回転式せん断粘度計を用いて、25℃、せん断速度1.0s−1で測定される。
パッシベーション層形成用組成物のせん断粘度は特に制限されない。中でもパターン形成性の観点から、せん断速度1s−1におけるせん断粘度ηをせん断速度10s−1におけるせん断粘度ηで除して算出されるチキソ比(η/η)が1.05〜100であることが好ましく、1.1〜50であることがより好ましい。なお、せん断粘度は、コーンプレート(直径50mm、コーン角1°)を装着した回転式のせん断粘度計を用いて、温度25℃で測定される。
パッシベーション層形成用組成物の製造方法には特に制限はない。例えば、一般式(I)で表される化合物と、必要に応じて含まれる樹脂、液状媒体、一般式(II)で表される化合物等とを、通常用いられる混合方法で混合することで製造することができる。また樹脂を溶媒に溶解して溶液を得た後、前記溶液と一般式(I)で表される化合物とを混合することで製造してもよい。
さらに一般式(I)で表される化合物は、アルミニウムアルコキシドと、アルミニウムとキレートを形成可能な化合物とを混合して調製してもよい。その際、適宜溶媒を用いても、加熱処理を行ってもよい。このようにして調製した一般式(I)で表される化合物と、樹脂又は樹脂を含む溶液とを混合してパッシベーション層形成用組成物を製造してもよい。
パッシベーション層形成用組成物中に含まれる成分及び各成分の含有量は、TG/DTAなどの熱分析、NMR、IR等のスペクトル分析、HPLC、GPC等のクロマトグラフ分析などを用いて確認することができる。
<パッシベーション層付半導体基板>
本発明のパッシベーション層付半導体基板は、本発明のパッシベーション層付半導体基板の製造方法により製造されたものである。前記パッシベーション層付半導体基板は、半導体基板と、前記半導体基板の少なくとも一方の面上に設けられるパッシベーション層及び電極と、を有する。本発明のパッシベーション層付半導体基板は、一般式(I)で表される化合物を含むパッシベーション層形成用組成物の熱処理物からなるパッシベーション層を有しており、かつパッシベーション層の形成及び電極の形成の際の熱処理により半導体基板が受ける熱負荷が低減されているため、優れたパッシベーション効果を示す。
本発明のパッシベーション層付半導体基板は、太陽電池素子、発光ダイオード素子等に適用することができる。例えば、太陽電池素子に適用することで変換効率に優れた太陽電池素子を得ることができる。
<太陽電池素子の製造方法>
本発明の太陽電池素子の製造方法は、pn接合を有する半導体基板の表面に存在するp型層及びn型層からなる群より選択される少なくとも一方の上に電極形成用組成物を付与して電極形成用組成物層を形成する工程と、前記半導体基板の前記電極形成用組成物層が形成される面上に、一般式(I)で表される化合物を含むパッシベーション層形成用組成物を付与してパッシベーション層形成用組成物層を形成する工程と、前記半導体基板を熱処理して、前記電極形成用組成物層の熱処理物である電極と、前記パッシベーション層形成用組成物層の熱処理物であるパッシベーション層と、を形成する工程と、を有する。
本発明の太陽電池素子の製造方法に含まれる各工程の詳細及び好ましい態様は、上述のパッシベーション層付半導体基板の製造方法と同様である。また、本発明の太陽電池素子の製造方法は必要に応じてその他の工程をさらに有していてもよく、その詳細及び好ましい態様は、上述のパッシベーション層付半導体基板の製造方法と同様である。
本発明の太陽電池素子の製造方法では、一般式(I)で表される化合物を含むパッシベーション層形成用組成物を用いてパッシベーション層を形成するため、優れたパッシベーション効果を示し、変換効率に優れる太陽電池素子を簡便な方法で製造することができる。さらに本発明の太陽電池素子の製造方法では、電極が形成された半導体基板上に、所望の形状となるようにパッシベーション層を形成することができるため、太陽電池素子の生産性に優れる。
本発明の太陽電池素子の製造方法に用いられる半導体基板、電極形成用組成物、パッシベーション層形成用組成物、電極及びパッシベーション層の詳細及び好ましい態様は、上述のパッシベーション層付半導体基板の製造方法と同様である。
本発明の太陽電池素子の製造方法に用いられる半導体基板が有するpn接合とは、p型層(p型領域)とn型層(n型領域)とが接している部分を意味する。前記p型層とn型層とは、半導体基板の異なる面に存在していても、同じ面に存在していてもよい。半導体基板にpn接合を形成する方法は、特に制限されない。パッシベーション層が設けられる半導体基板の面は、p型層であっても、n型層であってもよい。変換効率の観点からは、p型層であることが好ましい。
<太陽電池素子>
本発明の太陽電池素子は、前記太陽電池素子の製造方法によって製造されたものである。前記太陽電池素子は、pn接合を有する半導体基板と、前記半導体基板の表面に存在するp型層及びn型層からなる群より選択される少なくとも一方の上に設けられる電極と、前記半導体基板の前記電極が設けられる面上に設けられるパッシベーション層と、を有する。前記太陽電池素子は、必要に応じてその他の構成要素をさらに有していてもよい。本発明の太陽電池素子は、前記太陽電池素子の製造方法によって形成されたパッシベーション層を有することで、変換効率に優れる。太陽電池素子の形状や大きさに制限はない。例えば、一辺が125mm〜156mmの正方形であることが好ましい。
本発明の太陽電池素子は、半導体基板の受光面となる面(受光面)と裏面の両方に電極を有する構造を有していても、裏面電極型又はバックコンタクト型といわれる裏面にのみ電極を有する構造を有していてもよい。半導体基板の受光面と裏面の両方に電極を有する構造の場合の構造としては、受光面に受光面電極を有し、裏面に裏面電極及びパッシベーション層を有する構造を挙げることができる。このような構造では、電極形成用組成物を半導体基板の受光面に付与した後に熱処理して受光面電極が形成されるが、受光面電極の形成を裏面電極及びパッシベーション層の形成と一括して行ってもよく、受光面電極の形成のための熱処理を単独で行ってもよい。半導体基板が受ける熱負荷をより低減する観点からは、受光面電極、裏面電極及びパッシベーション層の形成を一括して行うことが好ましい。
次に図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態にかかるパッシベーション層を有する太陽電池素子の製造方法の一例を模式的に示す工程図を断面図として示したものである。但し、この工程図は本発明をなんら制限するものではない。
図1(a)に示すように、p型半導体基板1の受光面にはn型拡散層2が形成されており、さらにその上に反射防止膜3が形成されている。反射防止膜3の材料としては、窒化ケイ素、酸化チタン等が挙げられる。反射防止膜3とp型半導体基板1との間に酸化ケイ素等の表面保護膜(図示せず)がさらに存在していてもよい。本発明の製造方法で使用するパッシベーション層を表面保護膜として使用してもよい。
次いで図1(b)に示すように、p型半導体基板1の裏面の一部の領域にアルミニウム電極ペースト等の裏面電極形成用組成物を付与して裏面電極形成用組成物層5を形成する。また、裏面電極形成用組成物層5が形成される領域以外の領域にパッシベーション層形成用組成物を付与してパッシベーション層形成用組成物層6を形成する。さらに、p型半導体基板1の受光面側の一部の領域に受光面電極形成用ペーストを付与して受光面電極形成用組成物層7を形成する。
裏面電極形成用組成物層5、パッシベーション層形成用組成物層6及び受光面電極形成用組成物層7を形成する各工程の順序に特に制限はない。また、各工程の間に乾燥工程を設けてもよい。上記工程は、例えばスクリーン印刷により行うことができる。
次いで図1(c)に示すように、p型半導体基板1を熱処理して、裏面電極形成用組成物層5の熱処理物である裏面電極50、パッシベーション層形成用組成物層6の熱処理物であるパッシベーション層60、及び受光面電極形成用組成物層7の熱処理物である受光面電極70をそれぞれ形成する。
裏面電極形成用組成物としてアルミニウム電極ペーストを用いることで、裏面電極50が形成される。さらに、p型半導体基板中にアルミニウムが拡散してp型拡散層4が形成される。
パッシベーション層形成用組成物として一般式(I)で表される化合物を含む組成物を用いることで、アモルファス状態の酸化アルミニウムを含むパッシベーション層60が形成される。
受光面電極形成用ペーストとしてファイヤースルー性を有するガラス粉末を含むものを用いることにより、反射防止膜3を貫通してn型拡散層2と接触する受光面電極70をが形成される。これにより、受光面電極70とn型拡散層2とのオーミックコンタクトを得ることができる。
図1に示す製造工程を含む製造方法で製造される太陽電池素子では、アルミニウム等から形成される裏面電極をポイントコンタクト構造とすることができ、基板の反りなどを低減することができる。さらに、電極及びパッシベーション層の形成のための熱処理によって半導体基板が受ける熱負荷が低減されるため、よりパッシベーション効果に優れた半導体基板を得ることができる。
図1には半導体基板としてp型半導体基板を用いた例を示したが、n型半導体基板を用いた場合も、上記に準じて変換効率に優れる太陽電池素子を製造することができる。
図1では裏面部分にのみパッシベーション層を形成する方法を示したが、半導体基板1の裏面側に加えて、側面にもパッシベーション層形成用組成物を付与し、これを熱処理することで半導体基板1の側面(エッジ)にパッシベーション層をさらに形成してもよい(図示せず)。これにより、発電効率により優れた太陽電池素子を製造することができる。
さらにまた、裏面部分にパッシベーション層を形成せず、側面のみに本発明のパッシベーション層形成用組成物を塗布、熱処理してパッシベーション層を形成してもよい。本発明のパッシベーション層形成用組成物は、側面のような結晶欠陥が多い場所に使用すると、その効果が特に大きい。
本発明の製造方法は、図2に示すような裏面側のみに電極が配置された構造の裏面電極型太陽電池素子の製造にも好適に適用できる。図2の概略断面図に示すように、p型半導体基板1の受光面側には、表面近傍にn型拡散層2が形成され、その上にパッシベーション層60及び反射防止膜3が形成されている。反射防止膜3の材料としては、窒化ケイ素、酸化チタン等が知られている。パッシベーション層60は、一般式(I)で表される化合物を含むパッシベーション層形成用組成物を付与し、これを熱処理して形成される。
p型半導体基板1の裏面側には、p型拡散層4及びn型拡散層2が形成されており、それらの上に裏面電極50が設けられている。さらに、裏面電極50が形成されていない領域にはパッシベーション層60が設けられている。p型拡散層4は、p型拡散層形成用組成物又はアルミニウム電極ペーストを所望の領域に付与した後に熱処理することで形成することができる。n型拡散層2は、例えば熱拡散処理によりn型拡散層を形成可能なn型拡散層形成用組成物を所望の領域に付与した後に熱処理することで形成することができる。n型拡散層形成用組成物としては、ドナー元素含有物質とガラス成分とを含む組成物を挙げることができる。
型拡散層4及びn型拡散層2上にそれぞれ設けられる裏面電極50は、銀電極ペースト等の通常用いられる電極形成用ペーストを用いて形成することができる。半導体基板に与える熱負荷を軽減する観点からは、裏面電極形成用組成物としてアルミニウム電極ペーストを使用し、熱処理の際にアルミニウムの拡散によるp型拡散層4の形成と、裏面電極50の形成とを一括して行ってもよい。p型半導体基板1の裏面に設けられるパッシベーション層60は、パッシベーション層形成用組成物を裏面電極50が設けられない領域に付与し、これを熱処理することで形成することができる。パッシベーション層60は半導体基板1の裏面のみならず、さらに側面にも形成してよい(図示せず)。
図2に示すような裏面電極型太陽電池素子においては、受光面側に電極がないために受光面の面積を大きくでき、発電効率に優れる。また裏面の電極が形成されていない領域にパッシベーション層が形成されているため、さらに変換効率に優れる。本発明の製造方法によれば、裏面の電極が形成されない領域にのみ容易にパッシベーション層を形成することができる。従って、裏面電極型太陽電池素子の生産効率を向上させることができる。
<太陽電池>
本発明の太陽電池は、前記太陽電池素子の少なくとも1つを含み、太陽電池素子の出力取出し電極上に配線材料が配置されて構成される。太陽電池は必要に応じて、配線材料を介して複数の太陽電池素子が連結され、封止材で封止された構造を有していてもよい。配線材料及び封止材の種類は特に制限されず、当該技術分野で通常用いられているものから適宜選択することができる。前記太陽電池の大きさに制限はない。例えば、0.5m〜3mであることが好ましい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「%」は質量基準である。
<実施例1>
(パッシベーション層形成用組成物の調製)
一般式(I)で表される化合物としてエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート(商品名:ALCH、川研ファインケミカル株式会社)を14.10g、一般式(II)で表される化合物としてニオブエトキシド(北興化学産業株式会社)を14.03g、テルピネオール(商品名:ターピネオールLW、日本テルペン化学株式会社)を21.96g混合して、有機金属化合物溶液を調製した。これとは別にエチルセルロース(商品名:ETHOCEL STD200cps、日進化成株式会社)を5.00g、テルピネオールを95.00g混合し、150℃で1時間攪拌して、エチルセルロース溶液を調製した。得られた有機金属化合物溶液50.09gにエチルセルロース溶液を50.01g加えて混合し、無色透明の溶液であるパッシベーション層形成用組成物1を調製した。パッシベーション層形成用組成物1中のエチルセルロースの含有率は2.50%、有機金属化合物(一般式(I)で表される化合物と一般式(II)で表される化合物の合計)の含有率は28.10%となった。
(パッシベーション層の形成)
半導体基板として、表面がミラー形状の単結晶型p型シリコン基板(株式会社SUMCO、50mm角、厚さ:625μm)を用いた。シリコン基板をRCA洗浄液(Frontier Cleaner−A01、関東化学株式会社)を用いて70℃にて5分間、浸漬洗浄し、前処理を行った。
その後、上記で得られたパッシベーション層形成用組成物1を前処理したシリコン基板上に、スクリーン印刷法を用いて付与した。スクリーン印刷法には、図3に示すような円形のドット状の非開口部14と開口部12とを有するパッシベーション層形成用のスクリーンマスク版を用いた。図3のマスクの非開口部14の直径Lは0.714mm、非開口部14の円中心間距離Lは2.000mmであった。シリコン基板表面のマスクの開口部12に相当する領域にパッシベーション層形成用組成物1を付与した。その後、150℃の温度で3分間加熱し、溶剤を蒸散させることで乾燥処理を行った。このようにして、シリコン基板上にパッシベーション層形成用組成物層を形成した。
次いで、市販のアルミニウム電極ペースト(PVG−AD−02、PVG Solutions株式会社)を、シリコン基板のパッシベーション層が形成されていない、ドット状の部分にスクリーン印刷法にて付与した。スクリーン印刷法には、図3に示すスクリーンマスク版とは逆の開口部パターンを有するスクリーンマスク版(すなわち、図3の非開口部14が開口部となる版)を用いた。このマスクの開口部14の直径Lは0.714mm、開口部14の円中心間距離Lは2.000mmであった。半導体基板表面のマスクの開口部14に相当する領域に電極ペーストを印刷した。その後、150℃の温度で5分間加熱し、溶剤を蒸散させることで乾燥処理を行った。このようにして、シリコン基板上のパッシベーション層形成用組成物層が形成されていない領域に、直径0.714mmのドット状に電極形成用組成物層を形成した。
続いて、パッシベーション層形成用組成物層及び電極形成用組成物層が形成された半導体基板をトンネル炉(1列搬送W/Bトンネル炉、株式会社ノリタケカンパニーリミテド)を用いて大気中雰囲気下、焼結最高温度800℃、保持時間10秒の条件で熱処理を行った。このようにして、パッシベーション層形成用組成物層の熱処理物であるパッシベーション層と、電極形成用組成物層の熱処理物である直径0.714mmのドット状のアルミニウム電極とを有する評価用基板1を得た。得られた評価用基板1を用いて実効ライフタイム及び電極形成性の評価を下記に示す方法で行った。結果を表1に示す。
(実効ライフタイムの測定)
評価用基板1のパッシベーション層が形成された領域における実効ライフタイム(μs)を、ライフタイム測定装置(WT−2000PVN、日本セミラボ株式会社)を用いて、室温で反射マイクロ波光電導減衰法により測定した。評価用基板1のパッシベーション層が形成された領域の実効ライフタイムは、1191μsであった。
(電極形成性)
評価用基板1上のパッシベーション層が形成されていない領域に、ドット状に形成されたアルミニウム電極の状態を調べた。具体的には、切断面がアルミニウム電極の中心を通過するように評価用基板1を切断し、得られた断面を走査型電子顕微鏡(XL30、フィリップス社)を用いて観察した。断面観察において、シリコン基板の表面とアルミニウム電極とが直接接触している部分の長さの合計を求め、得られた値をドット径(0.714mm)で除した数値(%)を接触率とした。断面観察は10個のアルミニウム電極について行い、得られた接触率の平均値によって電極形成性を下記の評価基準に従って評価した。評価用基板1の電極形成性はAであった。
−評価基準−
A:シリコン基板とアルミニウム電極の接触率が90%以上であった。
B:シリコン基板とアルミニウム電極の接触率が70%以上90%未満であった。
C:シリコン基板とアルミニウム電極の接触率が70%未満であった。
<実施例2>
実施例1において、トンネル炉での熱処理の際の保持時間を100秒に変更したこと以外は同様にして評価用基板2を作成し、実効ライフタイムと電極形成性を評価した。得られた評価用基板2のパッシベーション層形成用組成物を付与した領域の実効ライフタイムは、949μsであった。また、評価用基板2の電極形成性はAであった。
<実施例3>
実施例1において、トンネル炉での熱処理の際の保持時間を500秒に変更したこと以外は同様にして評価用基板3を作成し、実効ライフタイムと電極形成性を評価した。得られた評価用基板3のパッシベーション層形成用組成物を付与した領域の実効ライフタイムは、872μsであった。また、評価用基板3の電極形成性はBであった。
<実施例4>
実施例3において、トンネル炉の最高熱処理温度を700度に変更したこと以外は同様にして評価用基板4を作成し、実効ライフタイムと電極形成性を評価した。得られた評価用基板4のパッシベーション層形成用組成物を付与した領域の実効ライフタイムは、1244μsであった。また、評価用基板4の電極形成性はAであった。
<比較例1>
実施例1において、パッシベーション層形成用組成物1を半導体基板に付与しなかったこと以外は同様にして基板Aを作成し、実効ライフタイムと電極形成性を評価した。得られた基板Aの表面における実効ライフタイムは、31μsであった。
<比較例2>
実施例1において、トンネル炉での熱処理を行わなかったこと以外は同様にして基板Bを作成し、実効ライフタイムと電極形成性を評価した。得られた基板Bのパッシベーション層形成用組成物を付与した領域の実効ライフタイムは、20μsであった。また、基板Bの電極形成性はAであった。
<比較例3>
実施例1において、パッシベーション層形成用組成物1の代わりに実施例1で調製したエチルセルロース溶液のみを半導体基板に付与したこと以外は同様にして基板Dを作成し、実効ライフタイムと電極形成性を評価した。得られた基板Dのパッシベーション層形成用組成物を付与した領域の実効ライフタイムは、19μsであった。また、基板Dの電極形成性はBであった。
以上から、本発明のパッシベーション層付半導体基板の製造方法によれば、優れたパッシベーション効果を有するパッシベーション層付半導体基板を製造できることが分かる。また本発明のパッシベーション層形成用組成物を用いて製造されたパッシベーション層付き半導体基板は優れたパッシベーション効果を示すことが分かる。さらに本発明のパッシベーション層付半導体基板の製造方法によれば、簡便な工程で所望の形状にパッシベーション層を形成できることが分かる。
1 p型半導体基板
2 n型拡散層
3 反射防止膜
4 p型拡散層
5 裏面電極形成用組成物層
6 パッシベーション層形成用組成物層
7 受光面電極形成用組成物層
50 裏面電極
60 パッシベーション層
70 受光面電極
12 開口部
14 非開口部

Claims (14)

  1. 半導体基板の少なくとも一方の面上に電極形成用組成物を付与して電極形成用組成物層を形成する工程と、
    前記半導体基板の前記電極形成用組成物層が形成される面上に、下記一般式(I)で表される化合物を含むパッシベーション層形成用組成物を付与してパッシベーション層形成用組成物層を形成する工程と、
    前記半導体基板を熱処理して、前記電極形成用組成物層の熱処理物である電極と、前記パッシベーション層形成用組成物層の熱処理物であるパッシベーション層と、を形成する工程と、を有するパッシベーション層付半導体基板の製造方法。

    [式中、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基を表す。nは0〜3の整数を表す。X及びXはそれぞれ独立して酸素原子又はメチレン基を表す。R、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。]
  2. 前記熱処理によって、前記電極と前記パッシベーション層とが一括して形成される、請求項1に記載のパッシベーション層付半導体基板の製造方法。
  3. 前記パッシベーション層形成用組成物層が、前記半導体基板の前記電極形成用組成物層が形成される面において前記電極形成用組成物層が形成されない領域の少なくとも一部の領域に形成される、請求項1又は請求項2に記載のパッシベーション層付半導体基板の製造方法。
  4. 前記パッシベーション層形成用組成物は、さらに下記一般式(II)で表される化合物を含む、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のパッシベーション層付半導体基板の製造方法。
    M(OR11)m (II)
    [式中、MはNb、Ta、V、Y及びHfからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を含み、R11はそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数6〜14のアリール基を表し、mは1〜5の整数を表す。]
  5. 前記一般式(I)においてRがそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基である、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のパッシベーション層付半導体基板の製造方法。
  6. 前記一般式(I)においてnが1〜3の整数であり、Rがそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基である、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のパッシベーション層付半導体基板の製造方法。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のパッシベーション層付半導体基板の製造方法で製造されるパッシベーション層付半導体基板。
  8. pn接合を有する半導体基板の表面に存在するp型層及びn型層からなる群より選択される少なくとも一方の上に電極形成用組成物を付与して電極形成用組成物層を形成する工程と、
    前記半導体基板の前記電極形成用組成物層が形成される面上に、下記一般式(I)で表される化合物を含むパッシベーション層形成用組成物を付与してパッシベーション層形成用組成物層を形成する工程と、
    前記半導体基板を熱処理して、前記電極形成用組成物層の熱処理物である電極と、前記パッシベーション層形成用組成物層の熱処理物であるパッシベーション層と、を形成する工程と、を有する太陽電池素子の製造方法。

    [式中、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基を表す。nは0〜3の整数を表す。X及びXはそれぞれ独立して酸素原子又はメチレン基を表す。R、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。]
  9. 前記熱処理によって、前記電極と前記パッシベーション層とが一括して形成される、請求項8に記載の太陽電池素子の製造方法。
  10. 前記パッシベーション層形成用組成物層が、前記半導体基板の前記電極形成用組成物層が形成される面において前記電極形成用組成物層が形成されない領域の少なくとも一部の領域に形成される、請求項8又は請求項9に記載の太陽電池素子の製造方法。
  11. 前記パッシベーション層形成用組成物は、さらに下記一般式(II)で表される化合物を含む、請求項8〜請求項10のいずれか一項に太陽電池素子の製造方法。
    M(OR11)m (II)
    [式中、MはNb、Ta、V、Y及びHfからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を含み、R11はそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数6〜14のアリール基を表し、mは1〜5の整数を表す。]
  12. 前記一般式(I)においてRがそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基である、請求項8〜請求項11のいずれか一項に記載の太陽電池素子の製造方法。
  13. 前記一般式(I)においてnが1〜3の整数であり、Rがそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基である、請求項8〜請求項12のいずれか一項に記載の太陽電池素子の製造方法。
  14. 請求項8〜請求項13のいずれか1項に記載の製造方法で製造される太陽電池素子。
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