JP2014157871A - パッシベーション膜形成用組成物、パッシベーション膜付半導体基板及びその製造方法、並びに太陽電池素子及びその製造方法 - Google Patents

パッシベーション膜形成用組成物、パッシベーション膜付半導体基板及びその製造方法、並びに太陽電池素子及びその製造方法 Download PDF

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修一郎 足立
Masato Yoshida
誠人 吉田
Takeshi Nojiri
剛 野尻
Yasushi Kurata
靖 倉田
Toru Tanaka
徹 田中
Akihiro Oda
明博 織田
Takeshi Hayasaka
剛 早坂
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Abstract

【課題】保存安定性に優れ、パッシベーション膜を簡便な手法で、印刷ムラや印刷滲みを抑制し、所望の形状に形成することが可能で、かつ高いパッシベーション効果を有する該パッシベーション膜を、半導体基板上で均一に形成できるパッシベーション膜形成用組成物を提供する。
【解決手段】水酸化アルミニウム粒子と、溶剤と、を含むパッシベーション膜形成用組成物5。
【選択図】図1

Description

本発明は、パッシベーション膜形成用組成物、パッシベーション膜付半導体基板及びその製造方法、並びに太陽電池素子及びその製造方法に関する。
従来のシリコン太陽電池素子の作製工程について説明する。
まず、光閉じ込め効果を促して高効率化を図るよう、受光面側にテクスチャー構造を形成したp型シリコン基板を準備し、続いてオキシ塩化リン(POCl)、窒素及び酸素の混合ガス雰囲気において800℃〜900℃で数十分の処理を行って一様にn型拡散層を形成する。この従来の方法では、混合ガスを用いてリンの拡散を行うため、表面のみならず、側面及び裏面にもn型拡散層が形成される。そのため、側面に形成されたn型拡散層を除去するためのサイドエッチングを行う。また、裏面に形成されたn型拡散層はp型拡散層へ変換する必要があり、裏面の全体又は一部に、アルミニウム粉末、バインダー、樹脂及びガラスフリットを含むアルミペーストを塗布し、これを加熱(焼成)してアルミ電極を形成することで、n型拡散層をp型拡散層にするのと同時に、オーミックコンタクトを得ている。
アルミニウムペーストから形成されるアルミニウム電極は導電率が低く、シート抵抗を下げるために、通常裏面全体に形成したアルミニウム電極は加熱(焼成)後において10μm〜20μmほどの厚みを有していなければならない。更に、シリコンとアルミニウムとでは熱膨脹率が大きく異なることから、加熱(焼成)及び冷却の過程で、シリコン基板中に大きな内部応力が発生し、結晶粒界へのダメージ、結晶欠陥増長及び反りの原因となる。
この問題を解決するために、アルミニウムペーストの塗布量を減らし、裏面電極層を薄くする方法がある。しかしながら、アルミニウムペーストの塗布量を減らすと、p型シリコン半導体基板の表面から内部に拡散するアルミニウムの量が不充分となる。その結果、所望のBSF(Back Surface Field)効果(p型拡散層の存在により生成キャリアの収集効果が向上する効果)を達成することができないため、太陽電池の特性が低下するという問題が生じる。
上記に関連して、シリコン基板の受光面とは反対側(以下、「裏面側」ともいう)の一部に、アルミニウムペーストを付与して部分的にp型拡散層とアルミニウム電極とを形成するポイントコンタクトの手法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
裏面側にポイントコンタクト構造を有する太陽電池の場合、アルミニウム電極以外の部分の表面において、少数キャリアの再結合速度を抑制する必要がある。そのための裏面側用の半導体基板パッシベーション膜(以下、単に「パッシベーション膜」ともいう)として、SiO膜等が提案されている(例えば、特許文献2参照)。このようなSiO膜を形成することによるパッシベーション効果としては、シリコン基板の裏面表層部のシリコン原子の未結合手を終端させ、再結合の原因となる表面準位密度を低減させる効果がある。
また、少数キャリアの再結合を抑制する別の方法として、パッシベーション膜内の固定電荷が発生させる電界によって少数キャリア密度を低減する方法がある。このようなパッシベーション効果は一般に電界効果と呼ばれ、負の固定電荷をもつ材料として酸化アルミニウム(Al)膜等が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
このようなパッシベーション膜は、一般的にはALD(Atomic Layer Deposition)法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等の方法で形成される(例えば、非特許文献1参照)。また半導体基板上に酸化アルミニウム膜を形成する簡便な手法として、ゾルゲル法による手法が提案されている(例えば、非特許文献2〜3参照)。
特許第3107287号公報 特開2004−6565号公報 特許第4767110号公報
Journal of Applied Physics, 104(2008), 113703-1〜113703-7 Thin Solid Films、517(2009), 6327-6330 Chinese Physics Letters, 26(2009), 088102-1〜088102-4
非特許文献1に記載の手法は、蒸着等の複雑な製造工程を含むため、生産性を向上させることが困難な場合があった。また、非特許文献2〜3に記載の手法では、ゾルゲル法に用いるパッシベーション膜形成用組成物において、経時的にゲル化等の不具合が発生してしまい保存安定性が充分とは言い難かった。
また、上記パッシベーション膜形成用組成物では、基板上に塗布した際に印刷滲みが発生しやすいため、基板上に所望のパターン形状のパッシベーション膜を形成することも困難である。尚、印刷滲みとは、基板上に塗布したパッシベーション膜形成用組成物が広がる現象をいう。
ここで、テクスチャーなどの凹凸構造を有する基板を用いて太陽電池を製造する場合、前記パッシベーション膜形成用組成物の印刷滲みが、より発生しやすくなると考えられる。また、前記ポイントコンタクト構造を有する太陽電池を製造する場合、局所的に開口部(コンタクト部)を開けたパターンでパッシベーション膜形成用組成物を用いて組成物層を形成することになる。この開口部の寸法は、例えば、直径(矩形の場合、一辺の長さ)は0.5mm以下、ピッチは2mm以下になる場合が有り、パターンを均質に形成するためには、パッシベーション膜形成用組成物の印刷滲みを大幅に抑制する必要がある。
本発明は、以上の問題点に鑑みなされたものであり、保存安定性に優れ、パッシベーション膜を簡便な手法で、印刷滲みを抑制して所望の形状に形成することが可能で、パッシベーション効果に優れたパッシベーション膜を半導体基板の塗布面で均質に形成能なパッシベーション膜形成用組成物を提供することを課題とする。また、本発明は前記パッシベーション膜形成用組成物を用いて得られ、所望の形状に形成され、パッシベーション効果に優れたパッシベーション膜を有するパッシベーション膜付半導体基板及びその製造方法、並びに太陽電池素子及びその製造方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 水酸化アルミニウム粒子と、溶剤と、を含むパッシベーション膜形成用組成物。
<2> 下記一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物を更に含む<1>に記載のパッシベーション膜形成用組成物。
式中、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基を表す。nは0〜3の整数を表す。X及びXはそれぞれ独立して酸素原子又はメチレン基を表す。R、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。
<3> 前記水酸化アルミニウム粒子の平均粒子径が0.01μm〜50μmである前記<1>又は<2>に記載のパッシベーション膜形成用組成物。
<4> 前記水酸化アルミニウム粒子の含有率が、0.1質量%以上85質量%以下である前記<1>〜<3>のいずれか1項に記載のパッシベーション膜形成用組成物。
<5> 樹脂を更に含む前記<1>〜<4>のいずれか1項に記載のパッシベーション膜形成用組成物。
<6> 前記樹脂の含有率が、0.1質量%以上15質量%以下である前記<5>に記載のパッシベーション膜形成用組成物。
<7> 半導体基板にパッシベーション膜を形成するために用いられる前記<1>〜<6>のいずれか1項に記載のパッシベーション膜形成用組成物。
<8> 半導体基板と、前記半導体基板上の全面又は一部に設けられた前記<1>〜<7>のいずれか1項に記載のパッシベーション膜形成用組成物の焼成物層と、を有するパッシベーション膜付半導体基板。
<9> 半導体基板上の全面又は一部に、前記<1>〜<7>のいずれか1項に記載のパッシベーション膜形成用組成物を付与して組成物層を形成する工程と、前記組成物層を加熱処理して、パッシベーション膜を形成する工程と、を有するパッシベーション膜付半導体基板の製造方法。
<10> p型層及びn型層がpn接合されてなる半導体基板と、
前記半導体基板上の全面又は一部に設けられた前記<1>〜<7>のいずれか1項に記載のパッシベーション膜形成用組成物の焼成物層であるパッシベーション膜と、
前記半導体基板の前記p型層及びn型層の少なくとも一方の層上に配置された電極と、
を有する太陽電池素子。
<11> p型層及びn型層がpn接合されてなる半導体基板の全面又は一部に前記<1>〜<7>のいずれか1項に記載のパッシベーション膜形成用組成物を付与して組成物層を形成する工程と、
前記組成物層を加熱処理して、パッシベーション膜を形成する工程と、
前記p型層及びn型層の少なくとも一方の層上に、電極を形成する工程と、
を有する太陽電池素子の製造方法。
本発明によれば、保存安定性に優れ、パッシベーション膜を簡便な手法で、印刷滲みを抑制して所望の形状に形成することが可能で、パッシベーション効果に優れたパッシベーション膜を半導体基板の塗布面で均質に形成可能なパッシベーション膜形成用組成物を提供することができる。また、本発明は前記パッシベーション膜形成用組成物を用いて得られ、所望の形状に形成され、パッシベーション効果に優れたパッシベーション膜を有するパッシベーション膜付半導体基板及びその製造方法、並びに太陽電池素子及びその製造方法を提供することができる。
本実施形態にかかるパッシベーション膜を有する太陽電池素子の製造方法の一例を模式的に示す断面図である。 本実施形態にかかるパッシベーション膜を有する太陽電池素子の製造方法の他の一例を模式的に示す断面図である。 本実施形態にかかるパッシベーション膜を有する太陽電池素子の製造方法の他の一例を模式的に示す断面図である。 本実施形態にかかる太陽電池素子の受光面の一例を示す概略平面図である。 本実施形態にかかるパッシベーション膜の裏面における形成パターンの一例を示す概略平面図である。 本実施形態にかかるパッシベーション膜の裏面における形成パターンの他の一例を示す概略平面図である。 図5のA部を拡大した概略平面図である。 図5のB部を拡大した概略平面図である。 本実施形態にかかる太陽電池素子の裏面の一例を示す概略平面図である。 本実施形態にかかる太陽電池の製造方法の一例を説明するための図である。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。また「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。更に組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
<パッシベーション膜形成用組成物>
本発明のパッシベーション膜形成用組成物は、水酸化アルミニウム粒子と、溶剤と、を含む。かかる構成であることにより、保存安定性に優れ、印刷滲みを抑制できるパッシベーション膜形成用組成物が得られ、パッシベーション膜を簡便な手法で、所望の形状に形成することができる。
水酸化アルミニウム粒子を含むパッシベーション膜形成用組成物を、半導体基板に付与して所望の形状の組成物層を形成し、これを加熱(焼成)処理することで、優れたパッシベーション効果を有するパッシベーション膜を所望の形状に形成することができる。本発明の手法は、蒸着装置等を必要としない簡便で生産性の高い方法である。更にマスク処理等の煩雑な工程を要することなく、所望の形状にパッシベーション膜を形成できる。
本明細書において、半導体基板のパッシベーション効果は、パッシベーション膜が形成された半導体基板内の少数キャリアの実効ライフタイムを、日本セミラボ社製WT−2000PVN等の装置を用いて、反射マイクロ波導電減衰法によって測定することで評価することができる。
ここで、実効ライフタイムτは、半導体基板内部のバルクライフタイムτと、半導体基板表面の表面ライフタイムτとによって下記式(A)のように表される。半導体基板表面の表面準位密度が小さい場合にはτが長くなる結果、実効ライフタイムτが長くなる。また、半導体基板内部のダングリングボンド等の欠陥が少なくなっても、バルクライフタイムτが長くなって実効ライフタイムτが長くなる。すなわち、実効ライフタイムτの測定によってパッシベーション膜と半導体基板との界面特性、及び、ダングリングボンドなどの半導体基板の内部特性を評価することができる。
1/τ=1/τ+1/τ (A)
尚、実効ライフタイムが長いほど少数キャリアの再結合速度が遅いことを示す。また実効ライフタイムが長い半導体基板を用いて太陽電池素子を構成することで、変換効率が向上する。
(水酸化アルミニウム粒子)
本発明のパッシベーション膜形成用組成物は、水酸化アルミニウム粒子を含む。水酸化アルミニウム粒子は、パッシベーション膜形成用組成物中のフィラーとして機能させることができ、これによりスクリーン印刷等により半導体基板上にパッシベーション膜形成用組成物を塗布する際に、印刷性を向上させることができる。尚、ここで言う印刷性の向上とは、印刷滲み(半導体基板上に塗布したパッシベーション膜形成用組成物が広がる現象)を低減できることを言う。
パッシベーション膜形成用組成物が水酸化アルミニウム粒子を含む利点として、上記で挙げた印刷性向上の他、加熱(焼成)処理により形成されるパッシベーション膜のパッシベーション効果を向上できるという点が挙げられる。これは、以下のように考えることができる。
水酸化アルミニウムは、250℃以上の加熱で酸化アルミニウム(Al)になる。水酸化アルミニウムを含有するパッシベーション層形成用組成物を半導体基板に付与して加熱(焼成)処理することにより形成される酸化アルミニウムは、半導体基板との界面付近で4配位になりやすく、この4配位酸化アルミニウムに起因する大きな負の固定電荷をもつことができると考えられる。この大きな負の固定電荷が半導体基板の界面近辺で電界を発生することで、半導体基板の界面での少数キャリアの濃度を低下させることができ、結果的に界面でのキャリア再結合速度が抑制されるため、優れたパッシベーション効果を有するパッシベーション膜を形成することができると考えられる。
これに加え、水酸化アルミニウムが粒子状であると、加熱(焼成)処理により生成する酸化アルミニウムも粒子状になる傾向にある。この酸化アルミニウムがパッシベーション膜中でネットワーク化し、半導体基板の保護層として機能すると考えられる。従って、加熱(焼成)処理により生成する酸化アルミニウムは、半導体基板との界面付近では、4配位になることで大きな負の固定電荷を持ち、界面付近以外の部分では、半導体基板の保護層として機能するため、結果としてパッシベーション効果が向上するものと考えられる。
上記の半導体基板に対する保護層としての機能は、テクスチャーなどの凹凸構造を有する半導体基板には特に効果的である。すなわち、本発明のように水酸化アルミニウム由来の酸化アルミニウムを形成することで、上記凹凸構造の部分でもパッシベーション膜でカバーできるようになり、パッシベーション効果が向上するものと考えられる。
さらに、本発明で使用されるパッシベーション膜形成用組成物を用いることで、パッシベーション効果に優れたパッシベーション膜を、半導体基板の塗布面に均質に形成することができる。これは、例えば以下のようにして考えることができる。
本発明のパッシベーション膜形成用組成物に含まれる水酸化アルミニウムは、室温(20℃)〜250℃付近の温度までは安定に存在することができ、250℃以上の温度で酸化アルミニウムになる。水酸化アルミニウムから酸化アルミニウムに変化する際、水を発生する反応が生じるのみで、水酸化アルミニウム自身及び生成した酸化アルミニウムは、燃焼又は分解するものではない。
ここで、パッシベーション膜形成用組成物中に、水酸化アルミニウム以外の他の成分(溶剤、樹脂等)が混在していた場合、パッシベーション膜の均質性やパッシベーション効果の観点から、熱処理によって酸化アルミニウムを生成させるまでに、これら他の成分は、蒸散、燃焼、又は分解されて除去されることが好ましい。この蒸散、燃焼、又は分解が250℃付近で起こったとしても、水酸化アルミニウムは安定に保たれ、また酸化アルミニウムの生成にも影響をほとんど及ぼさないものと考えられる。
ここで、半導体基板表面上で負の固定電荷の原因である4配位酸化アルミニウム層の状態は、半導体基板の断面を走査型透過電子顕微鏡(STEM、Scanning Transmission electron Microscope)による電子エネルギー損失分光法(EELS、Electron Energy Loss Spectroscopy)の分析で結合様式を調べることにより確認できる。4配位酸化アルミニウムは、二酸化ケイ素(SiO)の中心がケイ素からアルミニウムに同形置換した構造と考えられ、ゼオライト及び粘土のように二酸化ケイ素と酸化アルミニウムとの界面で負の電荷源として形成されることが知られている。
尚、形成された酸化アルミニウム層の状態は、X線回折スペクトル(XRD、X-ray diffraction)を測定することにより確認できる。例えば、XRDが特定の反射パターンを示さないことでアモルファス構造であることが確認できる。また、酸化アルミニウムがもつ負の固定電荷は、CV法(Capacitance Voltage measurement)で評価することが可能である。ただし、本発明のパッシベーション膜形成用組成物から形成された酸化アルミニウムの焼成物層について、CV法から得られるその表面準位密度は、ALD法又はCVD法で形成される酸化アルミニウム層の場合と比べ、大きな値となる場合がある。しかし本発明のパッシベーション膜形成用組成物から形成されたパッシベーション膜は、電界効果が大きく少数キャリアの濃度が低下して表面ライフタイムτが大きくなる。そのため、表面準位密度は相対的に問題にはならない。
前記水酸化アルミニウム粒子の粒子径は特に制限はなく、粒度分布における体積基準の積算値が50%の場合における粒子径(これを平均粒子径と称する。以下、「D50%」と略記することがある)として、0.01μm〜50μmであることが好ましく、0.01μm〜30μmであることがより好ましく、0.01μm〜20μmであることが更に好ましく、0.01μm〜10μmであることが特に好ましい。水酸化アルミニウム粒子のD50%を0.01μm以上とすることで、パッシベーション膜形成用組成物に対して印刷に適した粘度特性を付与することができ、印刷ムラ及び印刷滲みをより抑制できる。また水酸化アルミニウム粒子のD50%を50μm以下とすることで、水酸化アルミニウム由来の酸化アルミニウムをより均一に形成することができ、パッシベーション効果を向上させることができる。尚、印刷ムラとは、スクリーン版がシリコン基板から離れる際に、一部版離れが悪い部分が生じたためにできる、前記パッシベーション膜形成用組成物の厚さが場所によりばらつく現象をいう。
尚、水酸化アルミニウム粒子の粒子径は、レーザ回折散乱法粒度分布測定装置(ベックマンコールター社製、LS 13 320)によって測定される。以下に、より詳細な粒子径の測定方法を示す。測定には、水酸化アルミニウム粒子を0.01g〜0.10g用い、125mlの溶媒(テルピネオール)に分散させて測定する。このとき、溶媒の屈折率を1.48、水酸化アルミニウムの屈折率を1.57とする。上記条件で測定された粒度分布から、体積基準の積算値が50%における粒子径(D50%)を算出する。
上記測定方法は、原料としての水酸化アルミニウム粒子の粒度分布から粒子径を算出するものであるが、本発明のパッシベーション膜形成用組成物を用いて水酸化アルミニウム粒子の粒子径を測定することもできる。この場合、パッシベーション膜形成用組成物1gと溶媒としてのテルピネオール9gとを混ぜ合わせ、粒子径測定サンプルとする。粒子径の測定には、上記と同様、レーザ回折散乱法粒度分布測定装置(ベックマンコールター社製、LS 13 320)を用いる。この場合、上記粒子径測定サンプルを0.05g〜0.50g用い、これを、125mlの溶媒(テルピネオール)に分散させて測定する。
前記水酸化アルミニウム粒子の純度は、95.0質量%以上であることが好ましく、98.0質量%以上であることがより好ましく、99.0質量%以上であることが更に好ましい。
また前記水酸化アルミニウム粒子の形状としては特に制限はなく、球状、扁平状、ブロック状、板状、鱗片状等のいずれかであってもよい。加熱(焼成)後の酸化アルミニウムの半導体基板への接触面積及びパッシベーション効果の観点から、水酸化アルミニウム粒子の形状は、球状、扁平状又は板状であることが好ましい。
パッシベーション膜形成用組成物中の前記水酸化アルミニウム粒子の含有量は特に制限されない。印刷ムラ及び印刷滲みの抑制の観点から、パッシベーション膜形成用組成物中、水酸化アルミニウム粒子の含有率は、0.1質量%以上85質量%以下であることが好ましく、1質量%以上80質量%であることがより好ましく、5質量%以上80質量%以下であることがさらに好ましい。水酸化アルミニウム粒子の含有率が0.1質量%以上であることで印刷ムラ及び印刷滲みをより抑制でき、85質量%以下であることでパッシベーション効果をより充分に得ることができる。
パッシベーション膜形成用組成物中の固形分に対する水酸化アルミニウム粒子の含有量は特に制限されない。印刷ムラ及び印刷滲みの抑制の観点から、パッシベーション膜形成用組成物中の固形分に対する水酸化アルミニウム粒子の含有率は、40質量%以上100質量%以下であることが好ましく、50質量%以上99質量%以下であることがより好ましく、60質量%以上98質量%以下であることがさらに好ましい。
ここで固形分とはパッシベーション膜形成用組成物から揮発性成分を除いた残りの成分を意味する。
本発明で用いられる水酸化アルミニウム粒子は、通常用いられる方法で製造することができ、例えば、ボーキサイト(酸化アルミニウムを含む鉱物)を濃水酸化ナトリウム溶液に浸し、溶け出したアルミン酸ナトリウム溶液を加水分解して得ることができる。
(溶剤)
本発明のパッシベーション膜形成用組成物は、溶剤の少なくとも1種を含む。これにより前記パッシベーション膜形成用組成物の液物性(粘度、表面張力等)を、半導体基板等に付与する際の付与方法に応じて必要とされる範囲に調整することができる。
前記溶剤としては特に制限はない。溶剤として具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン等のケトン系溶剤;ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、メチル−n−プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、テトラエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、テトラエチレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラプロピレングリコールジエチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチルエチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、テトラプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル等のエーテル系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸ジエチレングリコールメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸イソアミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、エチレングリコールメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等のエステル系溶剤;アセトニトリル、N−メチルピロリジノン、N−エチルピロリジノン、N−プロピルピロリジノン、N−ブチルピロリジノン、N−ヘキシルピロリジノン、N−シクロヘキシルピロリジノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶剤;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、イソペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、t−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等のアルコール系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エトキシトリグリコール、テトラエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールモノエーテル系溶剤;α−テルピネン、α−テルピネオール等のテルピネオール(ターピネオール)、ミルセン、アロオシメン、リモネン、ジペンテン、α−ピネン、β−ピネン、カルボン、オシメン、フェランドレン等のテルペン系溶剤;水などが挙げられる。これらは1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
前記溶剤としては、半導体基板への付与性及びパターン形成性の観点から、テルペン系溶剤、エステル系溶剤及びアルコール系溶剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、テルペン系溶剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましい。
パッシベーション膜形成用組成物中の溶剤の含有率は、付与性、パターン形成性、又は保存安定性を考慮して決定される。例えば、溶剤の含有率は、組成物の付与性とパターン形成性の観点から、パッシベーション膜形成用組成物の総質量中、5質量%〜98質量%であることが好ましく、10質量%〜95質量%であることがより好ましい。
(有機アルミニウム化合物)
パッシベーション膜形成用組成物は、下記一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物の少なくとも1種を更に含むことが好ましい。
式中、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基を表す。nは0〜3の整数を表す。X及びXはそれぞれ独立して酸素原子又はメチレン基を表す。R、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。
前記有機アルミニウム化合物は、アルミニウムアルコキシド、アルミニウムキレートなどと呼ばれる化合物を包含し、アルミニウムアルコキシド構造に加えてアルミニウムキレート構造を有していることが好ましい。また、Nippon Seramikkusu Kyokai Gakujitsu Ronbunshi, 97(1989)369-399にも記載されているように、前記有機アルミニウム化合物は加熱(焼成)処理により酸化アルミニウム(Al)となる。
一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物を含有するパッシベーション層形成用組成物を用いることで、より優れたパッシベーション効果を有するパッシベーション膜を形成できる。これは、例えば、以下のようにして考えることができる。
上記有機アルミニウム化合物を加熱(焼成)処理することにより形成される酸化アルミニウムはアモルファス状態となりやすいため、前記水酸化アルミニウム粒子を加熱(焼成)したときと同様、4配位酸化アルミニウム層が半導体基板との界面付近に形成されやすく、4配位酸化アルミニウムに起因する大きな負の固定電荷をもつことができると考えられる。この大きな負の固定電荷が半導体基板の界面近辺で電界を発生することで、半導体基板の界面での少数キャリアの濃度を低下させることができ、結果として、界面でのキャリア再結合速度が抑制されるため、優れたパッシベーション効果を有するパッシベーション膜を形成することができると考えられる。
また、本発明のパッシベーション膜形成用組成物が、水酸化アルミニウム粒子と有機アルミニウム化合物の両方を含有することで、さらにパッシベーション効果が向上するものと考えられる。これは、例えば、以下のようにして考えることができる。
本発明のパッシベーション膜形成用組成物では、水酸化アルミニウムは粒子状の固体として含まれるので、半導体基板上に塗布した際は、前記水酸化アルミニウム粒子と半導体基板との接触は点状になる。加熱(焼成)処理の過程で、水酸化アルミニウム粒子は一部軟化し、前記半導体基板との接触面積は増大すると考えられる。しかしながら、水酸化アルミニウム粒子の粒子径や、半導体基板の凹凸によっては、加熱(焼成)処理で生成した酸化アルミニウムによって半導体基板が覆われない部分が生じてしまうと考えられる。酸化アルミニウムによって覆われていない半導体基板の領域では、負の固定電荷が発生しにくくなり、少数キャリアの再結合が増大するなどして、充分なパッシベーション効果が得られなくなることが考えられる。
ここで、パッシベーション膜形成用組成物中に水酸化アルミニウム粒子と有機アルミニウム化合物の両方を含み、有機アルミニウム化合物が液体の場合、水酸化アルミニウム粒子だけでは酸化アルミニウムによる半導体基板の被覆が充分でなくとも、有機アルミニウム化合物由来の酸化アルミニウムによって補完でき、結果としてパッシベーション効果が高く保たれるものと考えられる。
一般式(I)において、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基を表し、炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましい。Rで表されるアルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。Rで表されるアルキル基は、置換基を有していても、無置換であってもよく、無置換であることが好ましい。
一般式(I)におけるRで表されるアルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、エチルヘキシル基等を挙げることができる。中でもRで表されるアルキル基は、保存安定性及びパッシベーション効果の観点から、炭素数1〜8の無置換のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜4の無置換のアルキル基であることがより好ましい。
一般式(I)において、nは0〜3の整数を表わす。nは保存安定性の観点から、1〜3の整数であることが好ましく、1又は3であることがより好ましい。またX及びXはそれぞれ独立して酸素原子又はメチレン基を表す。保存安定性の観点から、X及びXの少なくとも一方は酸素原子であることが好ましい。
一般式(I)におけるR、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。R、R及びRで表されるアルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。R、R及びRで表されるアルキル基は、置換基を有していても、無置換であってもよく、無置換であることが好ましい。
一般式(I)におけるR、R及びRで表されるアルキル基は、炭素数1〜8のアルキル基であり、炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、エチルヘキシル基等を挙げることができる。
中でも保存安定性とパッシベーション効果の観点から、一般式(I)におけるR及びRはそれぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜8の無置換のアルキル基であることが好ましく、水素原子又は炭素数1〜4の無置換のアルキル基であることがより好ましい。
一般式(I)におけるRは、保存安定性とパッシベーション効果の観点から、水素原子又は炭素数1〜8の無置換のアルキル基であることが好ましく、水素原子又は炭素数1〜4の無置換のアルキル基であることがより好ましい。
一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物は、保存安定性の観点から、nが1〜3であり、Rがそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基である化合物であることが好ましい。
一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物は、保存安定性とパッシベーション効果の観点から、nが0であり、Rがそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基である化合物、並びにnが1〜3であり、Rがそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基であり、X及びXの少なくとも一方が酸素原子であり、R及びRがそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、Rが水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基である化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。より好ましくは、nが0であり、Rがそれぞれ独立して炭素数1〜4の無置換のアルキル基である化合物、並びにnが1〜3であり、Rがそれぞれ独立して炭素数1〜4の無置換のアルキル基であり、X及びXの少なくとも一方が酸素原子であり、前記酸素原子に結合するR又はRが炭素数1〜4のアルキル基であり、X又はXがメチレン基の場合、前記メチレン基に結合するR又はRが水素原子であり、Rが水素原子である化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
一般式(I)で表され、nが0の有機アルミニウム化合物であるアルミニウムトリアルコキシドとして具体的には、トリメトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、トリsec−ブトキシアルミニウム、モノsec−ブトキシ−ジイソプロポキシアルミニウム、トリtert−ブトキシアルミニウム、トリn−ブトキシアルミニウム等を挙げることができる。
また一般式(I)で表され、nが1〜3である有機アルミニウム化合物として具体的には、アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレート(「(エチルアセトアセタト)アルミニウムイソプロポキシド」ともいう)、トリス(エチルアセトアセタト)アルミニウム等を挙げることができる。
また一般式(I)で表され、nが1〜3である有機アルミニウム化合物は、調製したものを用いても、市販品を用いてもよい。市販品としては例えば、川研ファインケミカル株式会社の商品名、ALCH、ALCH−50F、ALCH−75、ALCH−TR、ALCH−TR−20等を挙げることができる。
また一般式(I)で表され、nが1〜3である有機アルミニウム化合物は、前記アルミニウムトリアルコキシドと、2つのカルボニル基を有する特定構造の化合物とを混合することで調製することができる。また市販されているアルミニウムキレート化合物を用いてもよい。
前記アルミニウムトリアルコキシドと、2つのカルボニル基を有する特定構造の化合物とを混合すると、アルミニウムトリアルコキシドのアルコキシド基の少なくとも一部が特定構造の化合物と置換して、アルミニウムキレート構造を形成する。このとき必要に応じて、溶媒が存在してもよく、また加熱処理及び/又は触媒の添加を行ってもよい。アルミニウムアルコキシド構造の少なくとも一部がアルミニウムキレート構造に置換されることで、有機アルミニウム化合物の加水分解及び重合反応に対する安定性が向上し、これを含むパッシベーション膜形成用組成物の保存安定性がより向上する。
前記2つのカルボニル基を有する特定構造の化合物としては、反応性と保存安定性の観点から、β−ジケトン化合物、β−ケトエステル化合物及びマロン酸ジエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。前記2つのカルボニル基を有する特定構造の化合物として具体的には、アセチルアセトン、3−メチル−2,4−ペンタンジオン、2,3−ペンタンジオン、3−エチル−2,4−ペンタンジオン、3−ブチル−2,4−ペンタンジオン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン、2,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオン、6−メチル−2,4−ヘプタンジオン等のβ−ジケトン化合物;アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸プロピル、アセト酢酸イソブチル、アセト酢酸ブチル、アセト酢酸tert−ブチル、アセト酢酸ペンチル、アセト酢酸イソペンチル、アセト酢酸ヘキシル、アセト酢酸n−オクチル、アセト酢酸ヘプチル、アセト酢酸3−ペンチル、2−アセチルヘプタン酸エチル、2−ブチルアセト酢酸エチル、4,4−ジメチル−3−オキソ吉草酸エチル、4−メチル−3−オキソ吉草酸エチル、2−エチルアセト酢酸エチル、ヘキシルアセト酢酸エチル、4−メチル−3−オキソ吉草酸メチル、アセト酢酸イソプロピル、3−オキソヘキサン酸エチル、3−オキソ吉草酸エチル、3−オキソ吉草酸メチル、3−オキソヘキサン酸メチル、2−メチルアセト酢酸エチル、3−オキソヘプタン酸エチル、3−オキソヘプタン酸メチル、4,4−ジメチル−3−オキソ吉草酸メチル等のβ−ケトエステル化合物;マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジプロピル、マロン酸ジイソプロピル、マロン酸ジブチル、マロン酸ジ−tert−ブチル、マロン酸ジヘキシル、マロン酸tert−ブチルエチル、メチルマロン酸ジエチル、エチルマロン酸ジエチル、イソプロピルマロン酸ジエチル、ブチルマロン酸ジエチル、sec−ブチルマロン酸ジエチル、イソブチルマロン酸ジエチル、1−メチルブチルマロン酸ジエチル等のマロン酸ジエステルなどを挙げることができる。
前記有機アルミニウム化合物がアルミニウムキレート構造を有する場合、アルミニウムキレート構造の数は1〜3であれば特に制限されない。中でも、保存安定性の観点から、1又は3であることが好ましく、溶解度の観点から、1であることがより好ましい。アルミニウムキレート構造の数は、例えば前記アルミニウムトリアルコキシドと、2つのカルボニル基を有する特定構造の化合物との混合比率を適宜調整することで制御することができる。また市販のアルミニウムキレート化合物から所望の構造を有する化合物を適宜選択してもよい。
一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物のうち、パッシベーション効果及び添加される溶剤との相溶性の観点から、具体的にはアルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレート及びトリイソプロポキシアルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましく、アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレートを用いることがより好ましい。
前記有機アルミニウム化合物におけるアルミニウムキレート構造の存在は、通常用いられる分析方法で確認することができる。例えば、赤外分光スペクトル、核磁気共鳴スペクトル、融点等を用いて確認することができる。
前記パッシベーション膜形成用組成物に含まれる前記有機アルミニウム化合物の含有率は、必要に応じて適宜選択することができる。有機アルミニウム化合物の含有率は、保存安定性とパッシベーション効果の観点から、パッシベーション膜形成用組成物中に1質量%〜70質量%であることが好ましく、3質量%〜60質量%であることが好ましく、5質量%〜60質量%であることがより好ましく、8質量%〜50質量%であることが更に好ましい。
有機アルミニウム化合物は、液体であっても固体であってもよく、形状について特に制限はない。パッシベーション効果と保存安定性の観点から、常温での安定性、溶解性又は分散性が良好な有機アルミニウム化合物を用いることが好ましい。これにより形成されるパッシベーション膜の均一性がより向上し、所望のパッシベーション効果を安定的に得ることができる。
(樹脂)
パッシベーション膜形成用組成物は、樹脂の少なくとも1種を更に含むことが好ましい。樹脂を含むことで、前記パッシベーション膜形成用組成物が半導体基板上に付与されて形成される組成物層の形状安定性がより向上し、パッシベーション膜を前記組成物層が形成された領域に、所望の形状で選択的に形成することができる。
樹脂の種類は特に制限されない。樹脂は、パッシベーション膜形成用組成物を半導体基板上に付与する際に、良好なパターン形成ができる範囲に粘度調整が可能な樹脂であることが好ましい。樹脂として具体的には、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド類、ポリビニルアミド類、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド類、ポリスルホン酸、ポリアクリルアミドアルキルスルホン酸、セルロース、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース等のセルロースエーテルなど)、ゼラチン、ゼラチン誘導体、澱粉、澱粉誘導体、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム誘導体、キサンタン、キサンタン誘導体、グア、グア誘導体、スクレログルカン、スクレログルカン誘導体、トラガカント、トラガカント誘導体、デキストリン、デキストリン誘導体、(メタ)アクリル酸樹脂、(メタ)アクリル酸エステル樹脂(例えば、アルキル(メタ)アクリレート樹脂、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート樹脂等)、ブタジエン樹脂、スチレン樹脂、シロキサン樹脂、これらの共重合体などを挙げることができる。これら樹脂は1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
尚、(メタ)アクリル酸とはアクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも一方を意味し、(メタ)アクリレートとはアクリレート(アクリル酸エステル)及びそれに対応するメタクリレート(メタクリル酸エステル)の少なくとも一方を意味する。
これらの樹脂のなかでも、保存安定性とパターン形成性の観点から、酸性及び塩基性の官能基を有さない中性樹脂を用いることが好ましく、含有量が少量の場合においても容易に粘度及びチキソ性を調節できる観点から、セルロース誘導体を用いることがより好ましい。
これら樹脂の分子量は特に制限されず、パッシベーション膜形成用組成物としての所望の粘度を鑑みて適宜調整することが好ましい。前記樹脂の重量平均分子量は、保存安定性とパターン形成性の観点から、1000〜10,000,000であることが好ましく、1,000〜5,000,000であることがより好ましい。尚、樹脂の重量平均分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて測定される分子量分布から標準ポリスチレンの検量線を使用して換算して求められる。
パッシベーション膜形成用組成物が樹脂を含有する場合、樹脂のパッシベーション膜形成用組成物中の含有率は、必要に応じて適宜選択することができる。例えばパッシベーション膜形成用組成物の総質量中、0.1質量%〜20質量%であることが好ましい。パターン形成をより容易にするようなチキソ性を発現させる観点から、前記樹脂の含有率は0.3質量%〜20質量%であることがより好ましく、0.5質量%〜18質量%であることが更に好ましく、0.7質量%〜15質量%であることが特に好ましい。尚、樹脂の含有率が20質量%以下の場合、加熱(焼成)処理時の樹脂の熱分解による残渣等がパッシベーション膜中に欠陥として残存するのが抑えられ、前記欠陥による少数キャリアの再結合の促進が抑制される。
パッシベーション膜形成用組成物の製造方法としては特に制限はない。例えば、水酸化アルミニウム粒子と、溶剤と、必要に応じて含まれる一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物と、樹脂とを、通常用いられる混合方法で製造することができる。また、樹脂を含む場合、前記樹脂を溶剤に溶解した後、これと水酸化アルミニウム粒子と、必要に応じて一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物を混合することで製造してもよい。
尚、前記パッシベーション膜形成用組成物中に含まれる成分、及び各成分の含有量はTG/DTA等の熱分析、NMR、IR等のスペクトル分析、HPLC、GPC等のクロマトグラフ分析などを用いて確認することができる。
<パッシベーション膜付き半導体基板>
本発明のパッシベーション膜付き半導体基板は、半導体基板と、前記半導体基板上の全面又は一部に設けられた前記パッシベーション膜形成用組成物の焼成物層とを有する。前記パッシベーション膜付き半導体基板は、前記パッシベーション膜形成用組成物の焼成物からなる層であるパッシベーション膜を有することで優れたパッシベーション効果を示す。
前記半導体基板としては特に制限されず、目的に応じて通常用いられるものから適宜選択することができる。前記半導体基板としては、シリコン、ゲルマニウム等にp型不純物又はn型不純物をドープしたものであれば特に制限されない。中でも、半導体基板としてはシリコン基板であることが好ましい。前記半導体基板は、p型半導体基板であっても、n型半導体基板であってもよい。中でもパッシベーション効果の観点から、パッシベーション膜が形成される面がp型層である半導体基板であることが好ましい。前記半導体基板上のp型層は、p型半導体基板に由来するp型層であっても、p型拡散層又はp型拡散層として、n型半導体基板又はp型半導体基板上に形成されたものであってもよい。
前記半導体基板の厚みは特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、半導体基板の厚みは50μm〜1000μmとすることができ、75μm〜750μmであることが好ましい。
前記半導体基板上に形成されたパッシベーション膜の厚みは特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、パッシベーション膜の厚みは5nm〜50μmであることが好ましく、10nm〜30μmであることが好ましく、15nm〜20μmであることが更に好ましい。
前記パッシベーション膜付き半導体基板は、太陽電池素子、発光ダイオード素子等に適用することができる。例えば、前記パッシベーション膜付き半導体基板を太陽電池素子に適用することで、変換効率に優れた太陽電池素子を得ることができる。前記パッシベーション膜付き半導体基板を太陽電池素子に適用する場合、パッシべーション膜は太陽電池素子の受光面側に設けられることが好ましい。
<パッシベーション膜付き半導体基板の製造方法>
本発明のパッシベーション膜付き半導体基板の製造方法は、半導体基板上の全面又は一部に、前記パッシベーション膜形成用組成物を付与して組成物層を形成する工程と、前記組成物層を加熱(焼成)処理してパッシベーション膜を形成する工程とを有する。前記製造方法は必要に応じてその他の工程を更に含んでいてもよい。
前記半導体基板パッシベーション膜形成用組成物を用いることで、パッシベーション膜を簡便な手法で、印刷滲みを抑制し、所望の形状に形成することができる。また、前記パッシベーション膜形成用組成物を用いることで、パッシベーション効果に優れたパッシベーション膜を、半導体基板の塗布面に均質に形成することができる。
前記パッシベーション膜形成用組成物を付与する半導体基板としては特に制限されず、目的に応じて通常用いられるものから適宜選択することができる。前記半導体基板としては、シリコン、ゲルマニウム等にp型不純物又はn型不純物をドープしたものであれば特に制限されない。中でも、半導体基板としてはシリコン基板であることが好ましい。また、半導体基板は、p型半導体基板であっても、n型半導体基板であってもよい。中でもパッシベーション効果の観点から、パッシベーション膜が形成される面がp型層である半導体基板であることが好ましい。前記半導体基板上のp型層は、p型半導体基板に由来するp型層であっても、p型拡散層又はp型拡散層として、n型半導体基板又はp型半導体基板上に形成されたものであってもよい。
また前記半導体基板の厚みは特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば50μm〜1000μmとすることができ、75μm〜750μmであることが好ましい。
パッシベーション膜付き半導体基板の製造方法では、前記組成物層を形成する工程の前に、半導体基板上にアルカリ水溶液を付与する工程を更に有することが好ましい。すなわち、半導体基板上に前記パッシベーション膜形成用組成物を付与する前に、半導体基板の表面をアルカリ水溶液で洗浄することが好ましい。アルカリ水溶液で洗浄することで、半導体基板表面に存在する有機物、パーティクル等を除去することができ、パッシベーション効果がより向上する。
アルカリ水溶液による洗浄の方法としては、一般的に知られているRCA洗浄などを例示することができる。例えば、アンモニア水−過酸化水素水の混合溶液に半導体基板を浸し、60℃〜80℃で処理することで、半導体基板の表面から有機物及びパーティクルを除去又は洗浄することができる。洗浄時間は、10秒〜10分間であることが好ましく、30秒〜5分間であることがより好ましい。
半導体基板上に前記パッシベーション膜形成用組成物を付与して組成物層を形成する方法には、特に制限はない。例えば、公知の塗布方法等を用いて、半導体基板上に前記パッシベーション膜形成用組成物を付与する方法を挙げることができる。具体的には、スクリーン印刷、インクジェット法、ディスペンサー法等を挙げることができるが、生産性の観点から、スクリーン印刷による付与であることが好ましい。
前記パッシベーション膜形成用組成物の付与量は、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、形成されるパッシベーション膜の膜厚が、後述する所望の膜厚となるように、パッシベーション膜形成用組成物の付与量を適宜調整することができる。
パッシベーション膜形成用組成物をスクリーン印刷によって塗布する場合、パッシベーション膜形成用組成物の粘度は、0.01Pa・s〜10000Pa・sとすることができる。中でもパターン形成性の観点から、パッシベーション膜形成用組成物の粘度は0.1Pa・s〜1000Pa・sであることが好ましい。尚、前記粘度は、回転式せん断粘度計を用いて、25℃、せん断速度1.0s−1で測定される。
またパッシベーション膜形成用組成物は、チキソ性を有していることが好ましい。特にパッシベーション膜形成用組成物が樹脂を含む場合、パターン形成性の観点から、せん断速度1.0s−1におけるせん断粘度ηをせん断速度10s−1におけるせん断粘度ηで除して算出されるチキソ比(η/η)が1.05〜100であることが好ましく、1.1〜50であることがより好ましい。尚、せん断粘度は、コーンプレート(直径50mm、コーン角1°)を装着した回転式のせん断粘度計を用いて、温度25℃で測定される。
パッシベーション膜形成用組成物によって形成された組成物層を加熱(焼成)処理して、前記組成物層に由来する焼成物層を形成することで、半導体基板上にパッシベーション膜を形成することができる。
組成物層の加熱(焼成)条件は、組成物層に含まれる水酸化アルミニウム、更には任意で含まれる一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物をその焼成物である酸化アルミニウム(Al)に変換可能であれば特に制限されない。中でも特定の結晶構造を持たないアモルファス状のAlを含む層を形成可能な加熱(焼成)条件であることが好ましい。パッシベーション膜がアモルファス状のAlを含む層で構成されることで、パッシベーション膜により効果的に負電荷を持たせることができ、より優れたパッシベーション効果を得ることができる。具体的に、加熱(焼成)温度は、400℃〜900℃が好ましく、450℃〜800℃がより好ましい。また加熱(焼成)時間は、加熱(焼成)温度等に応じて適宜選択できる。例えば、0.1時間〜10時間とすることができ、0.2時間〜5時間であることが好ましい。
前記パッシベーション膜付き半導体基板の製造方法によって製造されるパッシベーション膜の膜厚は特に制限されず、目的に応じて適宜選択できる。例えば、パッシベーション膜の平均膜厚は、5nm〜50μmであることが好ましく、10nm〜30μmであることがより好ましく、15nm〜20μmであることが更に好ましい。
尚、形成されたパッシベーション膜の平均膜厚は、触針式段差・表面形状測定装置(例えば、Ambios社製)を用いて常法により、3点の厚みを測定し、その算術平均値として算出される。
前記パッシベーション膜付き半導体基板の製造方法は、パッシベーション膜形成用組成物を付与した後、加熱(焼成)処理によってパッシベーション膜を形成する工程の前に、パッシベーション膜形成用組成物からなる組成物層を乾燥処理する工程を更に有していてもよい。組成物層を乾燥処理する工程を有することで、より均一なパッシベーション効果を有するパッシベーション膜を形成することができる。
組成物層を乾燥処理する工程は、パッシベーション膜形成用組成物に含まれる溶剤の少なくとも一部を除去することができれば、特に制限されない。乾燥処理は、例えば、30℃〜250℃で1分間〜60分間の加熱処理とすることができ、40℃〜220℃で3分間〜40分間の加熱処理であることが好ましい。また乾燥処理は、常圧下で行なっても減圧下で行なってもよい。
パッシベーション膜形成用組成物が樹脂を含む場合、前記パッシベーション膜付き半導体基板の製造方法は、パッシベーション膜形成用組成物を付与した後、加熱(焼成)処理によってパッシベーション膜を形成する工程の前に、パッシベーション膜形成用組成物からなる組成物層を脱脂処理する工程を更に有していてもよい。組成物層を脱脂処理する工程を有することで、より均一なパッシベーション効果を有するパッシベーション膜を形成することができる。
組成物層を脱脂処理する工程は、パッシベーション膜形成用組成物に含まれることがある樹脂の少なくとも一部を除去することができれば、特に制限されない。脱脂処理は、例えば、250℃〜450℃で10分間〜120分間の加熱処理とすることができ、300℃〜400℃で3分間〜60分間の加熱処理であることが好ましい。また脱脂処理は、酸素存在下で行うことが好ましく、大気中で行なうことがより好ましい。
<太陽電池素子>
本発明の太陽電池素子は、p型層及びn型層がpn接合されてなる半導体基板と、前記半導体基板上の全面又は一部に設けられた前記パッシベーション膜形成用組成物の焼成物層であるパッシベーション膜と、前記半導体基板の前記p型層及びn型層の少なくとも一方の層上に配置された電極とを有する。前記太陽電池素子は、必要に応じてその他の構成要素を更に有していてもよい。
前記太陽電池素子は、前記パッシベーション膜形成用組成物から形成されたパッシベーション膜を有することで、変換効率に優れる。
前記パッシベーション膜形成用組成物を付与する半導体基板としては特に制限されず、目的に応じて通常用いられるものから適宜選択することができる。前記半導体基板としては、シリコン、ゲルマニウム等にp型不純物又はn型不純物をドープしたものであれば特に制限されない。中でも、半導体基板としてはシリコン基板であることが好ましい。また、半導体基板は、p型半導体基板であっても、n型半導体基板であってもよい。中でもパッシベーション効果の観点から、前記パッシベーション膜が設けられる半導体基板の面は、p型層であっても、n型層であってもよい。中でも変換効率の観点からp型層であることが好ましい。前記半導体基板上のp型層は、p型半導体基板に由来するp型層であっても、p型拡散層又はp型拡散層として、n型半導体基板又はp型半導体基板上に形成されたものであってもよい。また前記パッシベーション膜が設けられる半導体基板の面は、太陽電池素子における裏面(受光面とは反対面)であることが好ましい。
前記半導体基板の厚みは特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば50μm〜1000μmとすることができ、75μm〜750μmであることが好ましい。
また前記半導体基板上に形成されたパッシベーション膜の厚みは特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えばパッシベーション膜の平均膜厚は、5nm〜50μmであることが好ましく、10nm〜30μmであることが好ましく、15nm〜20μmであることが更に好ましい。
前記太陽電池素子の形状や大きさに制限はない。例えば、一辺が125mm〜156mmの正方形であることが好ましい。
<太陽電池素子の製造方法>
本発明の太陽電池素子の製造方法は、p型層及びn型層がpn接合されてなる半導体基板の全面又は一部に、前記パッシベーション膜形成用組成物を付与して組成物層を形成する工程と、前記組成物層を加熱(焼成)処理して、パッシベーション膜を形成する工程と、前記p型層及びn型層の少なくとも一方の層上に、電極を形成する工程と、を有する。前記太陽電池素子の製造方法は、必要に応じてその他の工程を更に有していてもよい。
前記パッシベーション膜形成用組成物を用いることで、優れた印刷性で、変換効率に優れる太陽電池素子を簡便な方法で製造することができる。更に、半導体基板上に、所望の形状となるようにパッシベーション膜を形成することができ、太陽電池素子の生産性に優れる。
半導体基板におけるp型層及びn型層の少なくとも一方の層上に電極を形成する方法としては、通常用いられる方法を採用することができる。例えば、半導体基板の所望の領域に、銀ペースト、アルミニウムペースト等の電極形成用ペーストを付与し、必要に応じて加熱(焼成)処理することで製造することができる。
前記パッシベーション膜が設けられる半導体基板の面は、p型層であっても、n型層であってもよい。中でも変換効率の観点からp型層であることが好ましい。
前記パッシベーション膜形成用組成物を用いてパッシベーション膜を形成する方法の詳細は、既述のパッシベーション膜付き半導体基板の製造方法と同様であり、好ましい態様も同様である。
前記半導体基板上に形成されるパッシベーション膜の厚みは特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、パッシベーション膜の平均膜厚は、5nm〜50μmであることが好ましく、10nm〜30μmであることがより好ましく、15nm〜20μmであることが更に好ましい。
次に図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態にかかるパッシベーション膜を有する太陽電池素子の製造方法の一例を模式的に示す工程図を断面図として示したものである。但し、この工程図は、本発明をなんら制限するものではない。
図1(1)では、p型半導体基板1をアルカリ水溶液で洗浄し、p型半導体基板1の表面の有機物、パーティクル等を除去する。これにより、パッシベーション効果がより向上する。アルカリ水溶液による洗浄方法としては、一般的に知られるRCA洗浄などを用いることができる。
その後、図1(2)に示すように、p型半導体基板1の表面を、アルカリエッチング等を施し、表面に凹凸(テクスチャともいう)を形成する。これにより、受光面側では太陽光の反射を抑制することができる。尚、アルカリエッチングには、NaOHとIPA(イソプロピルアルコール)とからなるエッチング溶液を使用することができる。
次いで、p型半導体基板1の表面にリン等を高温で熱的に拡散させることにより、n型拡散層2がサブミクロンオーダーの厚さで形成されるとともに、p型バルク部分との境界にpn接合部が形成される。
リンを拡散させるための手法としては、例えば、オキシ塩化リン(POCl)、窒素及び酸素の混合ガス雰囲気において、800℃〜1000℃で数十分の処理を行う方法が挙げられる。この方法では、混合ガスを用いてリンの拡散を行うため、図1(3)に示すように、受光面(表面)以外に、裏面及び側面(図示せず)にもn型拡散層2が形成される。またn型拡散層2の上には、PSG(リンシリケートガラス)層3が形成される。そこで、サイドエッチングを行い、側面のPSG層3及びn型拡散層2を除去する。
その後、図1(4)に示すように、受光面及び裏面のPSG層3をフッ酸等のエッチング溶液を用いて除去する。さらに裏面については、図1(5)に示すように、別途エッチング処理を行い、裏面のn型拡散層2を除去する。
そして、図1(6)に示すように、受光面のn型拡散層2上に、PECVD(Plasma Enhansed Chemical Vapor Deposition)法等によって、窒化ケイ素等の反射防止膜4を膜厚90nm前後で設ける。
次いで、図1(7)に示すように、裏面の一部に本発明のパッシベーション膜形成用組成物をスクリーン印刷等にて塗布した後、乾燥後に400℃〜900℃の温度で加熱(焼成)処理を行い、パッシベーション膜5を形成する。
図5に、裏面におけるパッシベーション膜の形成パターンの一例を概略平面図として示す。図7は、図5のA部を拡大した概略平面図である。図8は、図5のB部を拡大した概略平面図である。図5に示すパッシベーション膜の形成パターンの場合、図7及び図8からも分かるように、裏面のパッシベーション膜5は後の工程で裏面出力取出し電極7が形成される部分を除き、ドット状にp型半導体基板1が露出したパターンで形成される。このドット状開口部のパターンは、ドット径(L)及びドット間隔(L)で規定され、規則正しく配列していることが好ましい。ドット径(L)及びドット間隔(L)は任意に設定できるが、パッシベーション効果及び少数キャリアの再結合抑制の観点から、Lが5μm〜2mmでLが10μm〜3mmであることが好ましく、Lが10μm〜1.5mmでLが20μm〜2.5mmであることがより好ましく、Lが20μm〜1.3mmでLが30μm〜2mmであることが更に好ましい。
次いで、図1(8)に示すように、受光面に、ガラス粒子を含む銀電極ペーストをスクリーン印刷等にて塗布する。図4は、太陽電池素子の受光面の一例を示す概略平面図である。図4に示すように、受光面電極は、受光面集電用電極8と受光面出力取出し電極9からなる。受光面積を確保するため、これら受光面電極の形成面積は少なく抑える必要がある。その他、受光面電極の抵抗率及び生産性の観点から、受光面集電用電極8の幅は10μm〜250μmで、受光面出力取出し電極9の幅は100μm〜2mmであることが好ましい。また、図4では受光面出力取出し電極9を2本設けているが、少数キャリアの取出し効率(発電効率)の観点から、受光面出力取出し電極9の本数を3本または4本とすることもできる。
一方、図1(8)に示すように、裏面には、ガラス粉末を含むアルミニウム電極ペースト及びガラス粒子を含む銀電極ペーストを、スクリーン印刷等にて塗布する。図9は、太陽電池素子の裏面の一例を示す概略平面図である。裏面出力取出し電極7の幅は特に制限されないが、後の太陽電池の製造工程での配線材料の接続性などの観点から、裏面出力取出し電極7の幅は、100μm〜10mmであることが好ましい。
受光面及び裏面にそれぞれ電極ペーストを塗布した後は、乾燥後に大気中450℃〜900℃程度の温度で、受光面及び裏面ともに加熱(焼成)して、受光面に受光面集電用電極8及び受光面出力取出し電極9を、裏面に裏面集電用アルミニウム電極6及び裏面出力取出し電極7を、それぞれ形成する。
加熱(焼成)後、図1(9)に示すように、受光面では、受光面電極を形成する銀電極ペーストに含まれるガラス粒子と、反射防止膜4とが反応(ファイアースルー)して、受光面電極(受光面集電用電極8、受光面出力取出し電極9)とn型拡散層2とが電気的に接続(オーミックコンタクト)される。一方、裏面では、ドット状に半導体基板1が露出した部分(パッシベーション膜5が形成されなかった部分)では、加熱(焼成)時に、アルミニウム電極ペースト中のアルミニウムが半導体基板1中に拡散することで、p型拡散層10が形成される。本発明においては前記パッシベーション膜形成用組成物を用いることで、印刷滲みを抑制し、所望の形状に形成することが可能なパッシベーション膜を形成でき、パッシベーション効果を向上させることで、発電性能に優れた太陽電池素子を製造することができる。
図2は、本実施形態にかかるパッシベーション膜を有する太陽電池素子の製造方法の他の一例を示す工程図を断面図として示したものであり、裏面のn型拡散層2がエッチング処理によって除去された後に、さらに裏面が平坦化されること以外は、図1と同様にして太陽電池セルを製造することができる。平坦化する際は、硝酸、フッ酸及び酢酸の混合溶液、または水酸化カリウム溶液に、半導体基板の裏面を浸すなどの手法を用いることができる。
図3は、本実施形態にかかるパッシベーション膜を有する太陽電池素子の製造方法の他の一例を示す工程図を断面図として示したものである。この方法では、半導体基板1にテクスチャー構造、n型拡散層2及び反射防止膜4を形成する工程(図3(19)〜(24))までは、図1の方法と同様である。
反射防止膜4を形成した後、図3(25)に示すように、パッシベーション膜形成用組成物を塗布する。図6に、裏面におけるパッシベーション膜の形成パターンの一例を概略平面図として示す。図6に示すパッシベーション膜の形成パターンでは、裏面の全面に、ドット状開口部が配列し、後の工程で裏面出力取出し電極が形成される部分にもドット状開口部が配列されている。
その後、図3(26)に示すように、裏面においてドット状に半導体基板1が露出した部分(パッシベーション膜5が形成されなかった部分)から、ホウ素またはアルミニウムを拡散させ、p型拡散層10を形成する。p型拡散層を形成する際に、ホウ素を拡散させる場合は、三塩化ホウ素(BCl)を含むガス中で、1000℃付近の温度で処理する方法を用いることができる。但し、オキシ塩化リンを用いる場合と同様にガス拡散の手法であることから、基板の受光面、裏面及び側面(図示せず)にp型拡散層10が形成されてしまうため、これを抑制するためにドット状開口部以外の部分をマスキング処理して、ホウ素がp型半導体基板1の不要な部分に拡散するのを防止するなどの措置が必要である。
また、p型拡散層10を形成する際にアルミニウムを拡散させる場合は、前記アルミニウムペーストをドット状開口部に塗布し、これを450℃〜900℃の温度で加熱(焼成)し、ドット状開口部からアルミニウムを拡散させてp型拡散層10を形成し、その後p型拡散層10上のアルミニウムペーストからなる焼成層を塩酸などによりエッチングする手法を用いることができる。
次いで、図3(27)に示すように、裏面の全面にアルミニウムを物理的に蒸着することで、アルミニウム電極11を形成する。
その後、図3(28)に示すように、受光面にはガラス粒子を含む銀電極ペーストをスクリーン印刷等にて塗布し、裏面にはガラス粒子を含む銀電極ペーストをスクリーン印刷等にて塗布する。受光面の銀電極ペーストは図4に示す受光面電極の形状に合わせて、裏面の銀電極ペーストは図9に示す裏面電極の形状に合わせて、パターン状に付与する。
受光面及び裏面にそれぞれ電極ペーストを塗布した後は、乾燥後に大気中450℃〜900℃程度の温度で、受光面及び裏面ともに加熱(焼成)して、図3(29)に示すように、受光面に受光面集電用電極8及び受光面出力取出し電極9を、裏面に裏面集電用アルミニウム電極11及び裏面出力取出し電極7を、それぞれ形成する。このとき、受光面では受光面電極とn型拡散層2が電気的に接続され、裏面では、蒸着により形成されたアルミニウム電極11と裏面出力取出し電極7とが電気的に接続される。
<太陽電池>
太陽電池は、前記太陽電池素子の少なくとも1つを含み、太陽電池素子の出力取出し電極上に配線材料が配置されて構成される。太陽電池は更に必要に応じて、配線材料を介して複数の太陽電池素子が連結され、更に封止材で封止されて構成される。前記配線材料及び封止材としては特に制限されず、当業界で通常用いられているものから適宜選択することができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「%」は質量基準である。
<実施例1>
(パッシベーション膜形成用組成物1の調製)
水酸化アルミニウム粒子(HP−360、昭和電工製、粒子径(D50%)は3.2μm、純度99.0%)の77.0部、及びテルピネオール(ターピネオールLW、日本テルペン社製、TPOと略記することがある)の23部を混ぜ合わせ、自動乳鉢混錬装置を用いて混合してペースト化し、パッシベーション膜形成用組成物1を調製した。
(保存安定性の評価)
上記で調製したパッシベーション膜形成用組成物1のせん断粘度を、調製直後(12時間以内)及び25℃で30日間保存した後にそれぞれ測定した。せん断粘度の測定は、AntonPaar社製MCR301に、コーンプレート(直径50mm、コーン角1°)を装着し、温度25℃でせん断速度1.0s−1で行った。25℃におけるせん断粘度は、調製直後は28.2Pa・s、25℃で30日間保存した後は30.1Pa・sであった。
保存安定性の評価では、30日間保存した後のせん断粘度の変化率が10%未満のものをA、10%以上30%未満のものをB、30%以上のものをCとしている。評価がA及びBであれば、パッシベーション膜形成用組成物の保存安定性としては良好である。表2では、調製直後のせん断粘度の数値と、保存安定性の評価結果を示す。
(印刷性の評価)
パッシベーション膜形成用組成物の印刷性の評価を行う際は、半導体基板として、表面がミラー形状の単結晶p型シリコン基板(50mm角、厚さ625μm、以下、基板Aと呼ぶ)と、表面にテクスチャー構造が形成された単結晶p型シリコン基板(50mm角、厚さ180μm、以下、基板Bと呼ぶ)の2種類を使用した。
印刷ムラの評価では、上記で調製したパッシベーション膜形成用組成物1を、基板A及び基板Bのぞれぞれに10回連続で印刷を行い、基板Aについては10枚すべてに、基板Bについては9枚に印刷ムラがないことを目視で確認した。
ここで、印刷中に目視によって印刷ムラが生じなかったものが10枚中9枚以上の場合をA、8枚以下かつ6枚以上の場合をB、5枚以下の場合をCとしている。評価がA及びBであれば、パッシベーション膜形成用組成物の印刷ムラとしては良好である。
尚、印刷ムラとは、スクリーン版がシリコン基板から離れる際に、一部版離れが悪い部分が生じたためにできる、前記パッシベーション膜形成用組成物の厚さが場所によりばらつく現象を指す。
印刷滲みの評価では、調製したパッシベーション膜形成用組成物1を、基板A及び基板Bそれぞれに、スクリーン印刷法を用いて、図8に示すパターンでドット状開口部以外の全面に印刷した。ここで、評価に用いたドット状開口部のパターンは、ドット径(L)が368μm、ドット間隔(L)が0.5mmである。
その後、パッシベーション膜形成用組成物1を付与した基板A及び基板Bを150℃で3分間加熱し、溶剤を蒸散させることで乾燥処理した。次いで基板A及び基板Bを700℃の温度で10分間加熱(焼成)処理した後、室温で放冷した。
印刷滲みの評価では、加熱(焼成)後の基板に形成されるパッシベーション膜内のドット状開口部のドット径(L)を測定した。尚、ドット径(L)を10点測定し、その平均値を算出した。基板Aについてはドット径(L)が345μm、基板Bについては265μmであった。
ここで、印刷直後のドット径(L)(368μm)に対し、加熱(焼成)後のドット径(L)の減少率が10%未満のものをA、10%以上30%未満のものをB、30%以上のものをCとしている。評価がA及びBであれば、パッシベーション膜形成用組成物の印刷滲みとしては良好である。
尚、印刷滲みとは、基板上に塗布したパッシベーション膜形成用組成物が広がる現象をいう。
(実効ライフタイムの測定)
上記印刷ムラの評価で作製したパッシベーション膜形成用組成物1を全面に塗布した10枚の基板Aのうち1枚を、150℃で3分間加熱し、溶剤を蒸散させることで乾燥処理した。次いで基板を700℃の温度で10分間加熱(焼成)処理した後、室温で放冷し、評価用基板とした。
上記で得られた評価用基板の実効ライフタイムを、ライフタイム測定装置(日本セミラボ製WT−2000PVN)を用いて、室温で反射マイクロ波光電導減衰法により測定した。得られた評価用基板において、パッシベーション膜形成用組成物を付与した領域の実効ライフタイムは、255μsであった。
(太陽電池素子の作製)
まず、単結晶p型半導体基板(125mm角、厚さ200μm)を用意し、アルカリエッチングにより、受光面及び裏面にテクスチャー構造を形成した。次いでオキシ塩化リン(POCl)、窒素及び酸素の混合ガス雰囲気において、900℃の温度で30分間処理し、受光面、裏面及び側面にn型拡散層を形成した。その後、サイドエッチングを行い、側面のPSG層及びn型拡散層を除去するとともに、フッ酸を含むエッチング溶液を用いて、受光面及び裏面のPSG層を除去した。さらに裏面については別途エッチング処理を行い、裏面のn型拡散層を除去した。その後、受光面のn型拡散層上に窒化ケイ素からなる反射防止膜をPECVDにより約90nmの厚さで形成した。
次いで、上記で調製したパッシベーション膜形成用組成物1を、裏面に図5、図7及び図8のパターンで塗布した後、150℃の温度で5分間乾燥し、700℃の温度で10分間加熱(焼成)処理を行い、パッシベーション膜1を形成した。尚、図5、図7及び図8では、裏面のパッシベーション膜1は後の工程で裏面出力取出し電極が形成される部分を除き、ドット状にp型半導体基板が露出したパターンで形成した。このドット状開口部のパターンは、前記印刷滲みの評価で用いたものと同じ形状で、ドット径(L)は368μm、ドット間隔(L)は0.5mmとした。
次いで、受光面には市販の銀電極ペースト(PV−16A、DuPont社製)をスクリーン印刷法にて図4に示すパターンで印刷した。電極パターンは、120μm幅の受光面出力集電用電極と、1.5mm幅の受光面出力取出し電極で構成され、加熱(焼成)後の膜厚が20μmとなるように、印刷条件(スクリーン版のメッシュ、印刷速度、印圧)を適宜調整した。これを150℃の温度で5分間加熱し、溶剤を蒸散させることで乾燥処理を行った。
一方、裏面には、市販のアルミニウム電極ペースト(PVG−AD−02、PVG Solutions社製)及び市販の銀電極ペースト(PV−505、DuPont社製)をスクリーン印刷法にて図9のパターンで印刷した。銀電極ペーストからなる裏面出力取出し電極のパターンは、123mm×4mmで構成した。
尚、加熱(焼成)後の裏面出力取出し電極の膜厚が20μmとなるように、銀電極ペーストの印刷条件(スクリーン版のメッシュ、印刷速度及び印圧)を適宜調整した。また、アルミニウム電極ペーストを、裏面出力取出し電極以外の全面に印刷して、裏面集電用電極パターンを形成した。このとき、加熱(焼成)後の裏面集電用電極の膜厚が30μmとなるように、アルミニウム電極ペーストの印刷条件を適宜調整した。
各電極ペーストを印刷した後、150℃の温度で5分間加熱し、溶剤を蒸散させることで乾燥処理を行った。
続いて、トンネル炉(1列搬送W/Bトンネル炉、ノリタケ社製)を用いて大気中雰囲気下、加熱(焼成)最高温度800℃、保持時間10秒の条件で加熱(焼成)を行って、所望の電極が形成された太陽電池素子1を作製した。
(太陽電池の作製)
上記で得られた太陽電池素子1の受光面出力取出し電極及び裏面出力取出し電極の上に、配線部材(太陽電池用はんだめっき平角線、製品名:SSA−TPS 0.2×1.5(20)、厚さ0.2mm×幅1.5mmの銅線にSn−Ag−Cu系鉛フリーはんだを片面あたり最大20μmの厚さでめっきした仕様、日立電線社製)を配置し、タブ線接続装置(NTS−150−M、Tabbing&Stringing Machine、エヌピーシー社製)を用い、最高温度250℃、保持時間10秒の条件ではんだを溶融させることで、上記配線材料と受光面出力取出し電極及び裏面出力取出し電極とを接続した。
その後、ガラス板(白板強化ガラス3KWE33、AGC社製)、封止材(エチレンビニルアセテート;EVA)、バックシートを用いて、図10に示すように、ガラス板16/封止材14/配線材料13を接続した太陽電池素子12/封止材14/バックシート15の順に積層し、この積層体を真空ラミネータ(LM−50×50、エヌピーシー社製)を用いて、配線部材の一部が露出するように、140℃の温度で5分間真空ラミネートし、太陽電池1を作製した。
作製した太陽電池の発電性能の評価は、擬似太陽光(WXS−155S−10、ワコム電創社製)と、電圧−電流(I−V)評価測定器(I−V CURVE TRACER MP−180、EKO INSTRUMENT社製)の測定装置を組み合わせて行った。太陽電池としての発電性能を示すJsc(短絡電流)、Voc(開放電圧)、F.F.(形状因子)、η(変換効率)は、それぞれJIS−C−8913及びJIS−C−8914に準拠して測定を行い得られたものである。得られた測定値を、後に示す比較例1で作製した太陽電池(太陽電池C1)の測定値を100.0とした相対値に換算した。
<実施例2>
実施例1において、パッシベーション膜形成用組成物にエチルセルロース(日進化成社製、ETHOCEL200cps、ECと略記することがある)を加えた。具体的には、各成分の含有量を、水酸化アルミニウム粒子を75.5部、テルピネオールを22.5部、エチルセルロースを2.0部と変更したこと以外は、実施例1と同様にして、パッシベーション膜形成用組成物2を調製した。
その後は実施例1と同様にして、パッシベーション膜形成用組成物2の保存安定性の評価、印刷性(印刷ムラ及び印刷滲み)の評価、並びに実効ライフタイムの測定を行った。さらに実施例1と同様にして太陽電池素子2及び太陽電池2を作製し、発電性能を評価した。
<実施例3>
実施例1において、パッシベーション膜形成用組成物にアルミニウムエチルアセトアセタトジイソプロピレート(川研ファインケミカル社製、商品名:ALCH)を加えた。具体的には、各成分の含有量を、水酸化アルミニウム粒子を60.5部、テルピネオールを21.0部、アルミニウムエチルアセトアセタトジイソプロピレートを18.5部と変更したこと以外は、実施例1と同様にして、パッシベーション膜形成用組成物3を調製した。
その後は実施例1と同様にして、パッシベーション膜形成用組成物3の保存安定性の評価、印刷性(印刷ムラ及び印刷滲み)の評価、並びに実効ライフタイムの測定を行った。さらに実施例1と同様にして太陽電池素子3及び太陽電池3を作製し、発電性能を評価した。
<実施例4>
実施例1において、パッシベーション膜形成用組成物にエチルセルロース(日進化成社製、ETHOCEL200cps)とアルミニウムエチルアセトアセタトジイソプロピレート(川研ファインケミカル社製、商品名:ALCH)を加えた。具体的には、各成分の含有量を、水酸化アルミニウム粒子を40.7部、テルピネオールを40.5部、アルミニウムエチルアセトアセタトジイソプロピレートを12.5部、エチルセルロースを6.3部と変更したこと以外は、実施例1と同様にして、パッシベーション膜形成用組成物4を調製した。
その後は実施例1と同様にして、パッシベーション膜形成用組成物4の保存安定性の評価、印刷性(印刷ムラ及び印刷滲み)の評価、並びに実効ライフタイムの測定を行った。さらに実施例1と同様にして太陽電池素子4及び太陽電池4を作製し、発電性能を評価した。
<実施例5>
実施例4において、各成分の含有量を、水酸化アルミニウム粒子を25.0部、テルピネオールを58.0部、アルミニウムエチルアセトアセタトジイソプロピレートを14.9部、エチルセルロースを2.1部と変更したこと以外は、実施例1と同様にして、パッシベーション膜形成用組成物5を調製した。
その後は実施例1と同様にして、パッシベーション膜形成用組成物5の保存安定性の評価、印刷性(印刷ムラ及び印刷滲み)の評価、並びに実効ライフタイムの測定を行った。さらに実施例1と同様にして太陽電池素子5及び太陽電池5を作製し、発電性能を評価した。
<実施例6>
各評価には実施例1において調製したパッシベーション膜形成用組成物1を用いた。印刷性(印刷ムラ及び印刷滲み)の評価用基板の作製、実効ライフタイムの測定用基板の作製、太陽電池素子の作製におけるパッシベーション形成用組成物1の加熱(焼成)条件を700℃、10分間から、800℃、8分間と変更したこと以外は、実施例1と同様にして、印刷性(印刷ムラ及び印刷滲み)の評価、並びに実効ライフタイムの測定を行い、太陽電池素子6及び太陽電池6を作製し、発電性能を評価した。
<実施例7>
実施例1において、水酸化アルミニウム粒子の粒子径(D50%)を3.2μmから1.5μmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、パッシベーション膜形成用組成物7を調製した。
その後は実施例1と同様にして、パッシベーション膜形成用組成物5の保存安定性の評価、印刷性(印刷ムラ及び印刷滲み)の評価、並びに実効ライフタイムの測定を行った。さらに実施例1と同様にして太陽電池素子7及び太陽電池7を作製し、発電性能を評価した。
<実施例8>
各評価には実施例4において調製したパッシベーション膜形成用組成物4を用いた。印刷性(印刷ムラ及び印刷滲み)の評価用基板の作製、実効ライフタイムの測定用基板の作製、太陽電池素子の作製におけるパッシベーション形成用組成物4の加熱(焼成)条件を700℃、10分間から、800℃、8分間と変更したこと以外は、実施例4と同様にして、印刷性(印刷ムラ及び印刷滲み)の評価、並びに実効ライフタイムの測定を行い、太陽電池素子8及び太陽電池8を作製し、発電性能を評価した。
<実施例9〜12>
実施例1において、水酸化アルミニウム粒子の粒子径(D50%)及びその含有量、溶剤の種類及びその含有量、溶剤の種類及びその含有量、有機アルミニウム化合物の種類及びその含有量、樹脂の種類及びその含有量を表1に示したように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、パッシベーション膜形成用組成物9〜12をそれぞれ調製した。また表中、溶剤BCはジエチレングリコールモノブチルエーテル(日本乳化剤社製、商品名:ブチルジグリコール)を、有機アルミニウム化合物ALCH−TRはアルミニウムトリスエチルアセトアセテート(川研ファインケミカル社製、商品名:ALCH−TR)を、樹脂EPAはポリアクリル酸エチル(藤倉化成社製、商品名:PHT−21)を、それぞれ示す。
次いで、実施例1と同様にして、得られたパッシベーション膜形成用組成物9〜12の保存安定性を評価し、表1に示すパッシベーション膜形成用組成物の加熱(焼成)条件を用いて印刷性(印刷ムラ及び印刷滲み)の評価用基板の作製、実効ライフタイムの測定用基板の作製、太陽電池素子の作製を行った。その後は実施例1と同様にして、印刷性(印刷ムラ及び印刷滲み)の評価、並びに実効ライフタイムの測定を行い、太陽電池素子9〜12及び太陽電池9〜12をそれぞれ作製し、発電性能を評価した。
<比較例1>
半導体基板へのパッシベーション膜形成において、パッシベーション膜形成用組成物を用いずに、ALD(Atomic Layer Deposition)法を用いて酸化アルミニウム(Al)からなるパッシベーション膜を形成した。
具体的には、原子層堆積装置を用いて、Al膜厚が20nmの厚さになるよう、製膜条件を調節した。尚、製膜後の膜厚は干渉式膜厚計(F20膜厚測定システム、フィルメトリックス社製)を用いて測定した。
上記の手法で、実効ライフタイム測定用基板、及び太陽電池素子C1、及び太陽電池C1を作製し、実効ライフタイムの測定と太陽電池C1の発電性能の評価を行った。尚、それぞれの評価に用いた基板の種類や、製膜パターン、受光面及び裏面の電極形成方法は、実施例1と同じである。
<比較例2>
実施例1におけるパッシベーション膜形成用組成物の調製において、水酸化アルミニウム粒子を用いずに、表1に示すように、溶剤(TPO)と有機アルミニウム化合物(ALCH)とからなるパッシベーション膜形成用組成物C2を調製した。
その後は実施例1と同様にして、パッシベーション膜形成用組成物C2の保存安定性の評価、印刷性(印刷ムラ及び印刷滲み)の評価、並びに実効ライフタイムの測定を行った。さらに実施例1と同様にして太陽電池素子C2及び太陽電池C2を作製し、発電性能を評価した。
<比較例3>
実施例1におけるパッシベーション膜形成用組成物の調製において、水酸化アルミニウム粒子を用いずに、表1に示すように、溶剤(TPO)と酸化アルミニウム粒子(和光純薬社製、粒子径(D50%)は2.0μm、純度99.0%)とからなるパッシベーション膜形成用組成物C3を調製した。
その後は実施例1と同様にして、パッシベーション膜形成用組成物C3の保存安定性の評価、印刷性(印刷ムラ及び印刷滲み)の評価、並びに実効ライフタイムの測定を行った。さらに実施例1と同様にして太陽電池素子C3及び太陽電池C3を作製し、発電性能を評価した。
実施例1〜12及び比較例1〜3で実施したパッシベーション膜形成用組成物のせん断粘度、保存安定性の評価結果及び印刷性の評価結果ライフタイム測定結果、並びに太陽電池の発電性能の評価結果を表2に示す。
実施例1〜12で作製したパッシベーション膜形成用組成物は、いずれも保存安定性及び印刷性が良好であることがわかった。印刷性の評価のうち、印刷滲みの評価では、樹脂を含むパッシベーション膜形成用組成物2、4、5、10、11、12にて、印刷滲みがより少なく良好であった。
また、実施例1〜12で評価した実効ライフタイム及び太陽電池の発電性能は、比較例1で測定したものとほぼ同等であり、本発明のパッシベーション膜形成用組成物を用いることにより、ALD法の酸化アルミニウム(Al)に匹敵する優れたパッシベーション効果を有するパッシベーション膜が形成されていることが分かる。
また、実施例からは、パッシベーション膜形成用組成物中に水酸化アルミニウム粒子と有機アルミニウム化合物の両方を含み、また樹脂の量が少ないものほど、さらに、実効ライフタイム及び発電性能が高く、パッシベーション効果がより向上することが分かった。
一方、比較例2については、パッシベーション膜形成用組成物の保存安定性及び印刷性が著しく低下することが分かった。これは、パッシベーション中に水酸化アルミニウム粒子が含まれなかったことにより、パッシベーション膜形成用組成物中で溶剤と有機アルミニウム化合物とで相分離を生じるなどして保存安定性が悪化したことと、パッシベーション膜形成用組成物のチキソ性が低下したことにより印刷性が悪化したものと考えられる。
比較例2で作製した太陽電池C2の発電性能も、比較例1に比べ大幅に低下した。これは上記の印刷性悪化、つまり印刷滲みの進行により、パッシベーション膜形成用組成物の印刷パターンの中のドット状開口部(ドット径Lは368μm)がほとんど消失してしまい、後の工程で、アルミニウム電極ペーストを印刷加熱(焼成)した際に、裏面集電用電極と半導体基板との間で形成されるオーミックコンタクト部の面積が大幅に減少したことによると考えられる。
比較例3では、水酸化アルミニウム粒子の代わりに酸化アルミニウム粒子を用いた。比較例3のパッシベーション膜形成用組成物C3の保存安定性、及び印刷性(印刷ムラ及び印刷滲み)は、実施例1のパッシベーション膜形成用組成物1と評価結果とほぼ同等であった。
しかしながら、実効ライフタイム及び太陽電池C3の発電性能は、比較例1に比べ、大きく低下することが分かった。これは、以下のように考えることができる。すなわち、パッシベーション膜形成用組成物C3中に含まれる酸化アルミニウムは熱的に安定であり、加熱(焼成)処理によって構造を変化するものではないため、半導体基板に塗布した場合、その界面で4配位の酸化アルミニウム層が形成されにくく、そのために負の固定電荷が発現されず、結果としてパッシベーション効果が向上しなかったものと考えられる。
1 p型半導体基板
2 n型拡散層
3 PSG(リンシリケートガラス)層
4 反射防止膜
5 パッシベーション膜
6 アルミニウム電極ペースト、又はこれを加熱(焼成)した裏面集電用アルミニウム電極
7 裏面出力取出し電極ペースト、又はこれを加熱(焼成)した裏面出力取出し電極
8 受光面集電用電極ペースト、又はこれを加熱(焼成)した受光面集電用電極
9 受光面出力取出し電極ペースト、又はこれを加熱(焼成)した受光面出力取出し電極
10 p型拡散層
11 裏面集電用アルミニウム電極
12 太陽電池素子
13 配線材料
14 封止材
15 バックシート
16 ガラス板

Claims (11)

  1. 水酸化アルミニウム粒子と、溶剤と、を含むパッシベーション膜形成用組成物。
  2. 下記一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物を更に含む請求項1に記載のパッシベーション膜形成用組成物。

    [式中、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基を表す。nは0〜3の整数を表す。X及びXはそれぞれ独立して酸素原子又はメチレン基を表す。R、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。]
  3. 前記水酸化アルミニウム粒子の平均粒子径が0.01μm〜50μmである、請求項1または請求項2に記載のパッシベーション膜形成用組成物。
  4. 前記水酸化アルミニウム粒子の含有率が、0.1質量%以上85質量%以下である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のパッシベーション膜形成用組成物。
  5. 樹脂を更に含む請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のパッシベーション膜形成用組成物。
  6. 前記樹脂の含有率が、0.1質量%以上20質量%以下である請求項5に記載のパッシベーション膜形成用組成物。
  7. 半導体基板にパッシベーション膜を形成するために用いられる請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のパッシベーション膜形成用組成物。
  8. 半導体基板と、前記半導体基板上の全面又は一部に設けられた請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のパッシベーション膜形成用組成物の焼成物層と、を有するパッシベーション膜付半導体基板。
  9. 半導体基板上の全面又は一部に、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のパッシベーション膜形成用組成物を付与して組成物層を形成する工程と、前記組成物層を加熱処理してパッシベーション膜を形成する工程と、を有するパッシベーション膜付半導体基板の製造方法。
  10. p型層及びn型層がpn接合されてなる半導体基板と、
    前記半導体基板上の全面又は一部に設けられた請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のパッシベーション膜形成用組成物の焼成物層であるパッシベーション膜と、
    前記p型層及びn型層の少なくとも一方の層上に配置された電極と、
    を有する太陽電池素子。
  11. p型層及びn型層がpn接合されてなる半導体基板の全面又は一部に請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のパッシベーション膜形成用組成物を付与して組成物層を形成する工程と、
    前記組成物層を加熱処理して、パッシベーション膜を形成する工程と、
    前記p型層及びn型層の少なくとも一方の層上に、電極を形成する工程と、
    を有する太陽電池素子の製造方法。
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