JP2015115488A - パッシベーション層形成用組成物、パッシベーション層付半導体基板、パッシベーション層付半導体基板の製造方法、太陽電池素子、太陽電池素子の製造方法及び太陽電池 - Google Patents

パッシベーション層形成用組成物、パッシベーション層付半導体基板、パッシベーション層付半導体基板の製造方法、太陽電池素子、太陽電池素子の製造方法及び太陽電池 Download PDF

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俊輔 児玉
吉田 誠人
Masato Yoshida
誠人 吉田
野尻 剛
Takeshi Nojiri
剛 野尻
倉田 靖
Yasushi Kurata
靖 倉田
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Toru Tanaka
徹 田中
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Aya Momozaki
彩 桃崎
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Masatoshi Morishita
真年 森下
剛 早坂
Takeshi Hayasaka
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Abstract

【課題】簡便な手法で所望の形状にパッシベーション層を形成することができ、保存安定性に優れたパッシベーション層形成用組成物を提供する。
【解決手段】一般式(I):M(ORで表される化合物と、ウレア結合を有する化合物と、を含有するパッシベーション層形成用組成物。式中、MはNb、Ta、V、Y及びHfからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を含む。Rはそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数6〜14のアリール基を表す。mは1〜5の整数を表す。
【選択図】図8

Description

本発明は、パッシベーション層形成用組成物、パッシベーション層付半導体基板、パッシベーション層付半導体基板の製造方法、太陽電池素子、太陽電池素子の製造方法及び太陽電池に関する。
従来のシリコン太陽電池素子の製造工程について説明する。
まず、光閉じ込め効果を促して高効率化を図るよう、受光面側にテクスチャー構造を形成したp型シリコン基板を準備し、続いてオキシ塩化リン(POCl)、窒素及び酸素の混合ガス雰囲気において800℃〜900℃で数十分の処理を行って一様にn型拡散層を形成する。この従来の方法では、混合ガスを用いてリンの拡散を行うため、受光面である表面のみならず、側面及び裏面にもn型拡散層が形成される。そのため、側面に形成されたn型拡散層を除去するためのサイドエッチングを行っている。また、裏面に形成されたn型拡散層はp型拡散層へ変換する必要がある。このため、裏面全体にアルミニウムペーストを付与し、これを熱処理(焼成)することで、n型拡散層をp型拡散層に変換するのと一括して、アルミニウム電極を形成してオーミックコンタクトを得ている。
しかしながら、アルミニウムペーストから形成されるアルミニウム電極は導電率が低い。そのためシート抵抗を下げるために、通常裏面全面に形成したアルミニウム電極は熱処理(焼成)後において10μm〜20μmほどの厚みを有していなければならない。更に、シリコンとアルミニウムとでは熱膨張率が大きく異なることから、アルミニウム電極が形成されたシリコン基板において、熱処理(焼成)及び冷却の過程で、シリコン基板中に大きな内部応力が発生し、結晶粒界のダメージ、結晶欠陥の増長及び反りの原因となる。
この問題を解決するために、アルミニウムペーストの付与量を減らし、裏面電極層の厚さを薄くする方法がある。しかしながら、アルミニウムペーストの付与量を減らすと、p型シリコン半導体基板の表面から内部に拡散するアルミニウムの量が不充分となる。その結果、所望のBSF(Back Surface Field)効果(p型拡散層の存在により生成キャリアの収集効率が向上する効果)を達成することができないため、太陽電池の特性が低下するという問題が生じる。
上記に関連して、アルミニウムペーストをシリコン基板表面の一部に付与して部分的にp型拡散層とアルミニウム電極とを形成するポイントコンタクトの手法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このような受光面とは反対の面(以下、「裏面」ともいう)にポイントコンタクト構造を有する太陽電池の場合、アルミニウム電極以外の部分の表面において、少数キャリアの再結合速度を抑制する必要がある。そのためのパッシベーション層として、SiO膜等が提案されている(例えば、特許文献2参照)。このようなSiO膜を形成することによるパッシベーション効果としては、シリコン基板の裏面の表層部におけるケイ素原子の未結合手を終端させ、再結合の原因となる表面準位密度を低減させる効果がある。
また、少数キャリアの再結合を抑制する別の方法として、パッシベーション層内の固定電荷が発生する電界によって少数キャリア密度を低減する方法がある。このようなパッシベーション効果は一般に電界効果と呼ばれ、負の固定電荷をもつ材料として酸化アルミニウム(Al)膜等が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
このようなパッシベーション層は、一般的にはALD(Atomic Layer Deposition)法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等の方法で形成される(例えば、非特許文献1参照)。また、半導体基板上に酸化アルミニウム膜を形成する簡便な手法として、ゾルゲル法による手法が提案されている(例えば、非特許文献2及び非特許文献3参照)。
特許第3107287号公報 特開2004−6565号公報 特許第4767110号公報
Journal of Applied Physics, 104(2008), 113703-1〜113703-7 Thin Solid Films, 517(2009), 6327〜6330 Chinese Physics Letters, 26(2009), 088102-1〜088102-4
非特許文献1に記載の手法は、蒸着等の複雑な製造工程を含むため、生産性を向上させることが困難な場合がある。また、非特許文献2及び非特許文献3に記載の手法に用いるパッシベーション層形成用組成物では、経時的にゲル化等の不具合が発生してしまい保存安定性が充分とは言い難い。更に、アルミニウム以外の金属元素を含む酸化物を用いて優れたパッシベーション効果を有するパッシベーション層についての検討は、これまで充分になされていない。
本発明は、以上の従来の問題点に鑑みなされたものであり、簡便な手法で所望の形状のパッシベーション層を形成することができ、保存安定性に優れたパッシベーション層形成用組成物を提供することを課題とする。また、本発明は該パッシベーション層形成用組成物を用いたパッシベーション層付半導体基板、太陽電池素子及び太陽電池を提供することを課題とする。更に本発明は、該パッシベーション層形成用組成物を用いた、パッシベーション層付半導体基板の製造方法及び太陽電池素子の製造方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
<1>下記一般式(I)で表される化合物と、ウレア結合を有する化合物と、を含有するパッシベーション層形成用組成物。
M(OR (I)
[式中、MはNb、Ta、V、Y及びHfからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を含む。Rはそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数6〜14のアリール基を表す。mは1〜5の整数を表す。]
<2>前記ウレア結合を有する化合物はレオロジーコントロール剤である、<1>に記載のパッシベーション層形成用組成物。
<3>更に、下記一般式(II)で表される化合物を含有する、<1>又は<2>に記載のパッシベーション層形成用組成物。
[式中、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基を表す。nは0〜3の整数を表す。X及びXはそれぞれ独立して酸素原子又はメチレン基を表す。R、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。]
<4>前記ウレア結合を有する化合物の含有率が、パッシベーション層形成用組成物中に0.01質量%〜10質量%である<1>〜<3>のいずれか1項に記載のパッシベーション層形成用組成物。
<5>前記一般式(II)において、Rがそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基である<3>又は<4>に記載のパッシベーション層形成用組成物。
<6>前記一般式(II)において、nが1〜3の整数であり、Rがそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基である<3>〜<5>のいずれか1項に記載のパッシベーション層形成用組成物。
<7>半導体基板と、
前記半導体基板の少なくとも一方の面の少なくとも一部に設けられる、<1>〜<6>のいずれか1項に記載のパッシベーション層形成用組成物の熱処理物であるパッシベーション層と、
を有するパッシベーション層付半導体基板。
<8>半導体基板の少なくとも一方の面の少なくとも一部に、<1>〜<6>のいずれか1項に記載のパッシベーション層形成用組成物を付与して組成物層を形成する工程と、
前記組成物層を熱処理してパッシベーション層を形成する工程と、
を有するパッシベーション層付半導体基板の製造方法。
<9>p型層及びn型層がpn接合されてなるpn接合を有する半導体基板と、
前記半導体基板の少なくとも一方の面の少なくとも一部に設けられる、<1>〜<6>のいずれか1項に記載のパッシベーション層形成用組成物の熱処理物であるパッシベーション層と、
前記p型層及び前記n型層からなる群より選択される少なくとも一方の上に配置される電極と、
を有する太陽電池素子。
<10>p型層及びn型層が接合されてなるpn接合を有する半導体基板の前記p型層及び前記n型層からなる群より選択される少なくとも一方の上に電極を配置する工程と、
前記半導体基板の少なくとも一方の面であって前記電極が配置される面の少なくとも一部に<1>〜<6>のいずれか1項に記載のパッシベーション層形成用組成物を付与して組成物層を形成する工程と、
前記組成物層を熱処理してパッシベーション層を形成する工程と、を有する太陽電池素子の製造方法。
<11>に記載の太陽電池素子と、
前記太陽電池素子の前記電極上に配置される配線材料と、
を有する太陽電池。
本発明によれば、簡便な手法で所望の形状にパッシベーション層を形成することができ、保存安定性に優れたパッシベーション層形成用組成物を提供することができる。また、本発明によれば、優れたパッシベーション効果を有するパッシベーション層を有するパッシベーション層付半導体基板及びその製造方法、並びに優れた変換効率を有する太陽電池素子、太陽電池素子の製造方法及び太陽電池を提供することができる。
パッシベーション層を有する太陽電池素子の製造方法の一例を模式的に示す断面図である。 パッシベーション層を有する太陽電池素子の製造方法の他の一例を模式的に示す断面図である。 パッシベーション層を有する太陽電池素子の製造方法の他の一例を模式的に示す断面図である。 太陽電池素子の受光面の一例を示す概略平面図である。 パッシベーション層の裏面における形成パターンの一例を示す概略平面図である。 パッシベーション層の裏面における形成パターンの他の一例を示す概略平面図である。 図5のA部を拡大した概略平面図である。 図5のB部を拡大した概略平面図である。 太陽電池素子の裏面の一例を示す概略平面図である。 太陽電池の構造の一例を説明するための図である。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、本用語に含まれる。また本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。更に本明細書において組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。また、本明細書において「層」との語は、平面図として観察したときに、全面に形成されている形状の構成に加え、一部に形成されている形状の構成も包含される。
<パッシベーション層形成用組成物>
本発明のパッシベーション層形成用組成物は、下記一般式(I)で表される化合物と、ウレア結合を有する化合物とを含む。パッシベーション層形成用組成物は、必要に応じてその他の成分を更に含んでいてもよい。
M(OR (I)
式中、MはNb、Ta、V、Y及びHfからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を含む。Rはそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数6〜14のアリール基を表す。mは1〜5の整数を表す。
一般式(I)で表される化合物を含むパッシベーション層形成用組成物を半導体基板に付与し、これを熱処理(焼成)することで、優れたパッシベーション効果を有するパッシベーション層を形成することができる。更に、ウレア結合を有する化合物を含むことにより、所望の形状にパッシベーション層を形成することができる。またパッシベーション層形成用組成物は、一般式(I)で表される化合物を含むことで、ゲル化等の不具合の発生が抑制されて経時的な保存安定性に優れる。
また、本発明のパッシベーション層形成用組成物を用いる手法は、蒸着装置等を必要としない簡便で生産性の高い方法である。更にマスク処理等の煩雑な工程を要することなく、所望の形状にパッシベーション層を形成できる。またパッシベーション層形成用組成物は、一般式(I)で表される化合物を含むことで、ゲル化等の不具合の発生が抑制されて経時的な保存安定性に優れる。
本明細書において、半導体基板のパッシベーション効果は、パッシベーション層が付与された半導体基板内の少数キャリアの実効ライフタイムを、日本セミラボ株式会社、WT−2000PVN、Sinton Instruments社、WCT−120等の装置を用いて、反射マイクロ波導電減衰法によって測定することで評価することができる。
ここで、実効ライフタイムτは、半導体基板内部のバルクライフタイムτと、半導体基板表面の表面ライフタイムτとによって下記式(A)のように表される。半導体基板表面の表面準位密度が小さい場合にはτが長くなる結果、実効ライフタイムτが長くなる。また、半導体基板内部のダングリングボンド等の欠陥が少なくなっても、バルクライフタイムτが長くなって実効ライフタイムτが長くなる。すなわち、実効ライフタイムτの測定によってパッシベーション層と半導体基板との界面特性、及び、ダングリングボンド等の半導体基板の内部特性を評価することができる。
1/τ=1/τ+1/τ (A)
実効ライフタイムτが長いほど少数キャリアの再結合速度が遅いことを示す。また実効ライフタイムが長い半導体基板を用いて太陽電池素子を構成することで、変換効率が向上する。
また、パッシベーション層形成用組成物の保存安定性は、経時による粘度変化で評価することができる。具体的には、調製直後(18時間〜30時間以内)におけるパッシベーション層形成用組成物の25℃、せん断速度1.0s−1でのせん断粘度(η)と、25℃において30日間保存した後のパッシベーション層形成用組成物の25℃、せん断速度1.0s−1でのせん断粘度(η30)とを比較することで評価することができ、例えば、経時による粘度変化率(%)によって評価することができる。経時による粘度変化率(%)は、調製直後と30日後のせん断粘度の差の絶対値を調製直後のせん断粘度で除して得られ、具体的には下式で算出される。パッシベーション層形成用組成物の粘度変化率は、30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましく、10%以下であることが更に好ましい。
粘度変化率(%)=|η30−η|/η×100 (式)
(一般式(I)で表される化合物)
パッシベーション層形成用組成物は、一般式(I)で表される化合物の少なくとも1種を含む。一般式(I)で表される化合物は、Nb、Ta、V、Y、及びHfからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を含むアルコキシド化合物である。パッシベーション層形成用組成物が一般式(I)で表される化合物を含有することで、優れたパッシベーション効果を有するパッシベーション層を形成することができる。この理由について以下のように考えることができる。
一般式(I)で表される化合物を含有するパッシベーション層形成用組成物を熱処理(焼成)することにより形成される金属酸化物はアモルファス状態になりやすく、金属原子又は酸素原子の欠陥を生じるため、大きな固定電荷を生じやすくなると考えられる。この固定電荷が半導体基板の界面付近で電荷を発生することにより少数キャリアの濃度を低下させることができ、結果的に界面でのキャリア再結合速度が抑制されるため、優れたパッシベーション効果が奏されると考えられる。
ここで、走査型透過電子顕微鏡(STEM、Scanning Transmission electron Microscope)を用いる電子エネルギー損失分光法(EELS、Electron Energy Loss Spectroscopy)により、パッシベーション層を有する半導体基板の断面を分析することで、パッシベーション層中の結合様式を調べることができる。また、X線回折スペクトル(XRD、X-ray diffraction)を測定することにより、パッシベーション層の界面付近の結晶相を確認できる。更に、パッシベーション層がもつ固定電荷は、CV法(Capacitance Voltage measurement)で評価することが可能である。
一般式(I)において、MはNb、Ta、V、Y及びHfからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を含む。中でも、パッシベーション層形成用組成物の保存安定性、パッシベーション層形成用組成物を調製する際の作業性、及びパッシベーション層形成用組成物から形成されるパッシベーション層のパッシベーション効果の観点から、Mは、Nb、Ta及びYからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、Nbであることがより好ましい。また、パッシベーション層の固定電荷密度を負にする観点からは、Mは、Nb、Ta、V、及びHfからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を含むことが好ましく、Nb、Ta、VO、及びHfからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
一般式(I)において、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数6〜14のアリール基を表し、炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましい。Rで表されるアルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。Rで表されるアルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基等を挙げることができる。
で表されるアリール基として具体的には、フェニル基を挙げることができる。
で表されるアルキル基及びアリール基は、置換基を有していてもよい。アルキル基の置換基としては、ハロゲン原子、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホン基、ニトロ基等が挙げられる。アリール基の置換基としては、ハロゲン原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホン基、ニトロ基等が挙げられる。
中でもRは、保存安定性とパッシベーション効果の観点から、炭素数1〜8の無置換のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜4の無置換のアルキル基であることがより好ましい。
一般式(I)において、mは1〜5の整数を表す。ここで、保存安定性の観点から、MがNbである場合にはmが5であることが好ましく、MがTaである場合にはmが5であることが好ましく、MがVOである場合にはmが3であることが好ましく、MがYである場合にはmが3であることが好ましく、MがHfである場合にはmが4であることが好ましい。
一般式(I)で表される化合物は、パッシベーション効果の観点からは、Mが、Nb、Ta及びYからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を含むことが好ましく、保存安定性とパッシベーション効果の観点から、Rが炭素数1〜4の無置換のアルキル基である化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。また、保存安定性とパッシベーション層の固定電荷密度を負にする観点からは、Mは、Nb、Ta、VO、及びHfからなる群より選択される少なくとも1種であってRが炭素数1〜4の無置換のアルキル基である化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
一般式(I)で表される化合物は、ニオブメトキシド、ニオブエトキシド、ニオブイソプロポキシド、ニオブn−プロポキシド、ニオブn−ブトキシド、ニオブt−ブトキシド、ニオブイソブトキシド、タンタルメトキシド、タンタルエトキシド、タンタルイソプロポキシド、タンタルn−プロポキシド、タンタルn−ブトキシド、タンタルt−ブトキシド、タンタルイソブトキシド、イットリウムメトキシド、イットリウムエトキシド、イットリウムイソプロポキシド、イットリウムn−プロポキシド、イットリウムn−ブトキシド、イットリウムt−ブトキシド、イットリウムイソブトキシド、バナジウムメトキシドオキシド、バナジウムエトキシドオキシド、バナジウムイソプロポキシドオキシド、バナジウムn−プロポキシドオキシド、バナジウムn−ブトキシドオキシド、バナジウムt−ブトキシドオキシド、バナジウムイソブトキシドオキシド、ハフニウムメトキシド、ハフニウムエトキシド、ハフニウムイソプロポキシド、ハフニウムn−プロポキシド、ハフニウムn−ブトキシド、ハフニウムt−ブトキシド、ハフニウムイソブトキシ等を挙げることができ、ニオブエトキシド、ニオブn−プロポキシド、ニオブn−ブトキシド、タンタルエトキシド、タンタルn−プロポキシド、タンタルn−ブトキシド、イットリウムイソプロポキシド、イットリウムn−ブトキシド等を用いることが好ましい。負の固定電荷密度を得る観点からは、ニオブエトキシド、ニオブn−プロポキシド、ニオブn−ブトキシド、タンタルエトキシド、タンタルn−プロポキシド、タンタルn−ブトキシド、バナジウムエトキシドオキシド、バナジウムn−プロポキシドオキシド、バナジウムn−ブトキシドオキシド、ハフニウムエトキシド、ハフニウムn−プロポキシド及びハフニウムn−ブトキシドが好ましい。
一般式(I)で表される化合物は、調製したものを用いても、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、株式会社高純度化学研究所のペンタメトキシニオブ、ペンタエトキシニオブ、ペンタ−i−プロポキシニオブ、ペンタ−n−プロポキシニオブ、ペンタ−i−ブトキシニオブ、ペンタ−n−ブトキシニオブ、ペンタ−sec−ブトキシニオブ、ペンタメトキシタンタル、ペンタエトキシタンタル、ペンタ−i−プロポキシタンタル、ペンタ−n−プロポキシタンタル、ペンタ−i−ブトキシタンタル、ペンタ−n−ブトキシタンタル、ペンタ−sec−ブトキシタンタル、ペンタ−t−ブトキシタンタル、バナジウム(V)トリメトキシドオキシド、バナジウム(V)トリエトキシオキシド、バナジウム(V)トリ−i−プロポキシドオキシド、バナジウム(V)トリ−n−プロポキシドオキシド、バナジウム(V)トリ−i−ブトキシドオキシド、バナジウム(V)トリ−n−ブトキシドオキシド、バナジウム(V)トリ−sec−ブトキシドオキシド、バナジウム(V)トリ−t−ブトキシドオキシド、トリ−i−プロポキシイットリウム、トリ−n−ブトキシイットリウム、テトラメトキシハフニウム、テトラエトキシハフニウム、テトラ−i−プロポキシハフニウム、テトラ−t−ブトキシハフニウム、北興化学工業株式会社のペンタエトキシニオブ、ペンタエトキシタンタル、ペンタブトキシタンタル、イットリウム−n−ブトキシド、ハフニウム−tert−ブトキシド、日亜化学工業株式会社のバナジウムオキシトリエトキシド、バナジウムオキシトリノルマルプロポキシド、バナジウムオキシトリノルマルブトキシド、バナジウムオキシトリイソブトキシド、バナジウムオキシトリセカンダリーブトキシド等を挙げることができる。
一般式(I)で表される化合物の調製には、特定の金属(M)のハロゲン化物とアルコールとを不活性有機溶媒の存在下で反応させ、更にハロゲンを引き抜くためにアンモニア又はアミン化合物を添加する方法(特開昭63−227593号公報及び特開平3−291247号公報)等、既知の製法を用いることができる。
一般式(I)で表される化合物は、2つのカルボニル基を有する特定構造の化合物と混合することでキレート構造を形成した化合物として用いてもよい。キレート構造を形成した化合物は、一般式(I)で表される化合物のアルコキシド基の少なくとも一部が特定構造の化合物と置換して、キレート構造を形成する。このとき必要に応じて、液状媒体が存在してもよく、また加熱処理、触媒の添加等を行ってもよい。アルコキシド構造の少なくとも一部がキレート構造に置換されることで、一般式(I)で表される化合物の加水分解及び重合反応に対する安定性が向上し、これを含むパッシベーション層形成用組成物の保存安定性がより向上する。
2つのカルボニル基を有する特定構造の化合物は、保存安定性の観点から、β−ジケトン化合物、β−ケトエステル化合物及びマロン酸ジエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
β−ジケトン化合物として具体的には、アセチルアセトン、3−メチル−2,4−ペンタンジオン、2,3−ペンタンジオン、3−エチル−2,4−ペンタンジオン、3−ブチル−2,4−ペンタンジオン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン、2,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオン、6−メチル−2,4−ヘプタンジオン等を挙げることができる。
β−ケトエステル化合物として具体的には、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸プロピル、アセト酢酸イソプロピル、アセト酢酸イソブチル、アセト酢酸ブチル、アセト酢酸t−ブチル、アセト酢酸ペンチル、アセト酢酸イソペンチル、アセト酢酸ヘキシル、アセト酢酸n−オクチル、アセト酢酸ヘプチル、アセト酢酸3−ペンチル、2−アセチルヘプタン酸エチル、2−メチルアセト酢酸エチル、2−ブチルアセト酢酸エチル、ヘキシルアセト酢酸エチル、4,4−ジメチル−3−オキソ吉草酸エチル、4−メチル−3−オキソ吉草酸エチル、2−エチルアセト酢酸エチル、4−メチル−3−オキソ吉草酸メチル、3−オキソヘキサン酸エチル、3−オキソ吉草酸エチル、3−オキソ吉草酸メチル、3−オキソヘキサン酸メチル、3−オキソヘプタン酸エチル、3−オキソヘプタン酸メチル、4,4−ジメチル−3−オキソ吉草酸メチル等を挙げることができる。
マロン酸ジエステルとして具体的には、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジプロピル、マロン酸ジイソプロピル、マロン酸ジブチル、マロン酸ジ−t−ブチル、マロン酸ジヘキシル、マロン酸t−ブチルエチル、メチルマロン酸ジエチル、エチルマロン酸ジエチル、イソプロピルマロン酸ジエチル、ブチルマロン酸ジエチル、sec−ブチルマロン酸ジエチル、イソブチルマロン酸ジエチル、1−メチルブチルマロン酸ジエチル等を挙げることができる。
一般式(I)で表される化合物がキレート構造を有する場合、キレート構造の数は1〜5であれば特に制限されない。キレート構造の形成に寄与するカルボニル基の数には特に制限はないが、MがNbである場合にはキレート構造の形成に寄与するカルボニル基の数が1〜5であることが好ましく、MがTaである場合にはキレート構造の形成に寄与するカルボニル基の数が1〜5であることが好ましく、MがVOである場合にはキレート構造の形成に寄与するカルボニル基の数が1〜3であることが好ましく、MがYである場合にはキレート構造の形成に寄与するカルボニル基の数が1〜3であることが好ましく、MがHfである場合にはキレート構造の形成に寄与するカルボニル基の数が1〜4であることが好ましい。
キレート構造の数は、例えば一般式(I)で表される化合物と、一般式(I)で表される化合物中の金属元素とキレートを形成し得る化合物とを混合する比率を適宜調整することで制御することができる。また市販の金属キレート化合物から所望の構造を有する化合物を適宜選択してもよい。
一般式(I)で表される化合物におけるキレート構造の存在は、通常用いられる分析方法で確認することができる。例えば、赤外分光スペクトル、核磁気共鳴スペクトル又は融点を用いて確認することができる。
一般式(I)で表される化合物の状態は、液状であっても固体であってもよい。パッシベーション層形成用組成物の保存安定性、及び後述する一般式(II)で表される化合物を併用する場合における混合性の観点から、一般式(I)で表される化合物は、常温(25℃)で液体であることが好ましい。一般式(I)で表される化合物が固体の場合には、形成されたパッシベーション層のパッシベーション効果、パッシベーション層形成用組成物の保存安定性等の観点から、溶媒に対して溶解性又は分散性が良好な化合物であることが好ましく、また溶液又は分散液としたときに安定な化合物であることが好ましい。
パッシベーション層形成用組成物に含まれる一般式(I)で表される化合物の含有率は、必要に応じて適宜選択することができる。一般式(I)で表される化合物の含有率は、保存安定性とパッシベーション効果の観点から、パッシベーション層形成用組成物中に0.1質量%〜80質量%とすることができ、0.5質量%〜70質量%であることが好ましく、1質量%〜60質量%であることがより好ましく、1質量%〜50質量%であることが更に好ましい。
(ウレア結合を有する化合物)
本発明のパッシベーション層形成用組成物は、ウレア結合を有する化合物を含む。ウレア結合を有する化合物はレオロジーコントロール剤として作用し、パッシベーション層形成用組成物のチキソ性が向上する。これにより、パッシベーション層形成用組成物が半導体基板上に付与されて形成される組成物層の形状安定性が著しく向上し、組成物層が形成された領域に、パッシベーション層を所望の形状で選択的に形成することができる。
ウレア結合を有する化合物を含む本発明のパッシベーション層形成用組成物のチキソ性が向上する理由について、本願発明者らは次のように考える。すなわち、ウレア結合を有する化合物が有するウレア結合がパッシベーション層形成用組成物中の金属アルコキシド(一般式(I)で表される化合物)若しくはその反応物との間、又はウレア結合を有する化合物同士の間で水素結合を形成する。水素結合を形成した箇所は、擬似的な架橋点となり、パッシベーション層形成用組成物中における擬似的なネットワーク構造の形成に寄与する。そのため、低せん断速度ではネットワーク構造が維持され、パッシベーション層形成用組成物中の粘度は低下しにくい。一方、高せん断速度ではネットワーク構造の一部が破壊され、粘度が低下しやすい。更に、一度形成されたネットワーク構造が破壊されて粘度が低下しても、時間が経過すると再度水素結合が形成され、ネットワーク構造が再生されて、粘度も回復する。その結果、簡便な方法でパッシベーション膜形成用組成物を選択的に形成するのに適したチキソ性が実現される。
ウレア結合を有する化合物の構造は特に制限されず、ポリマーであってもモノマーであってもよい。ただし、ネットワーク構築の観点から化合物中にウレア結合を二つ以上含むものが好ましく、化合物中にウレア結合を三つ以上含むものがより好ましい。
ウレア結合を有する化合物の好ましい例としては、イソシアネート単量体と有機アミンとの反応物、イソシアネート単量体のアダクト体と有機アミンとの反応物である変性ウレア等を挙げることができる。
ウレア結合を有する化合物は、市販されている製品であってもよい。市販されている製品としては、ビックケミージャパン株式会社の商品名、BYK−410、BYK−E410、BYK−420、BYK−E420、BYK−D410等の変性ウレアを有機溶剤に溶解させた溶液を挙げることができる。
パッシベーション層形成用組成物中のウレア結合を有する化合物の含有率は特に制限されず、所望のチキソ性を実現するのに充分な数のウレア結合がパッシベーション層形成用組成物に存在する範囲から選択することができる。例えば、ウレア結合を有する化合物の含有率は、パッシベーション層形成用組成物中に0.01質量%〜10質量%とすることができ、印刷性の観点から、0.5質量%〜10質量%であることが好ましく、パッシベーション効果の観点から、0.5質量%〜5質量%であることがより好ましい。
パッシベーション層形成用組成物中にウレア結合を有する化合物が含まれているか否かは、ウレア結合の存在を通常用いられる分析方法で調べることによって確認することができる。例えば、赤外分光スペクトル、核磁気共鳴スペクトル等の測定結果からウレア結合が存在するか否かを調べることができる。
(一般式(II)で表される化合物)
本発明のパッシベーション層形成用組成物は、更に、下記一般式(II)で表される化合物の少なくとも1種を含有してもよい。

式中、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基を表す。nは0〜3の整数を表す。X及びXはそれぞれ独立して酸素原子又はメチレン基を表す。R、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。
一般式(II)で表される化合物は、アルミニウムアルコキシド、アルミニウムキレート等と呼ばれる化合物を包含し、アルミニウムアルコキシド構造に加えてアルミニウムキレート構造を有していることが好ましい。また、Nippon Seramikkusu Kyokai Gakujutsu Ronbunshi, vol.97, pp369-399(1989)にも記載されているように、一般式(II)で表される化合物のような有機アルミニウム化合物は、熱処理(焼成)により酸化アルミニウム(Al)となる。このとき、形成された酸化アルミニウムはアモルファス状態となりやすいため、4配位酸化アルミニウム層が半導体基板との界面付近に形成されやすく、4配位酸化アルミニウムに起因する大きな負の固定電荷をもつことができると考えられる。結果として優れたパッシベーション効果を有するパッシベーション層を形成することができるものと考えられる。
上記に加え、一般式(I)で表される化合物と一般式(II)で表される化合物とを組み合わせることで、パッシベーション層内でそれぞれの効果により、パッシベーション効果がより高くなると考えられる。更に、一般式(I)で表される化合物と一般式(II)で表される化合物が併存する状態で熱処理(焼成)されることで、一般式(I)で表される金属(M)とアルミニウム(Al)との複合金属アルコキシドとしての反応性、蒸気圧等の物理特性が改善され、熱処理物(焼成物)としてのパッシベーション層の緻密性が向上し、結果としてパッシベーション効果がより高くなると考えられる。
一般式(II)において、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基を表し、炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましい。Rで表されるアルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。Rで表されるアルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基等を挙げることができる。中でもRで表されるアルキル基は、保存安定性とパッシベーション効果の観点から、炭素数1〜8の無置換のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜4の無置換のアルキル基であることがより好ましい。
一般式(II)において、nは0〜3の整数を表す。nは保存安定性の観点から、1〜3の整数であることが好ましく、1又は3であることがより好ましい。またX及びXはそれぞれ独立して酸素原子又はメチレン基を表す。保存安定性の観点から、X及びXの少なくとも一方は酸素原子であることが好ましい。
一般式(II)におけるR、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。R、R及びRで表されるアルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。R、R及びRで表されるアルキル基は、置換基を有していても、無置換であってもよく、無置換であることが好ましい。R、R及びRで表されるアルキル基としては、炭素数1〜8のアルキル基であり、炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましい。R、R及びRで表されるアルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、エチルヘキシル基等を挙げることができる。
中でも保存安定性とパッシベーション効果の観点から、一般式(II)におけるR及びRはそれぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜8の無置換のアルキル基であることが好ましく、水素原子又は炭素数1〜4の無置換のアルキル基であることがより好ましい。
また一般式(II)におけるRは、保存安定性及びパッシベーション効果の観点から、水素原子又は炭素数1〜8の無置換のアルキル基であることが好ましく、水素原子又は炭素数1〜4の無置換のアルキル基であることがより好ましい。
一般式(II)で表される化合物は、保存安定性の観点からは、nが1〜3であり、Rがそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基である化合物であることが好ましい。
一般式(II)で表される化合物は、保存安定性とパッシベーション効果の観点からは、nが0であり、Rがそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基である化合物、並びにnが1〜3であり、Rがそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基であり、X及びXの少なくとも一方が酸素原子であり、R及びRがそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、Rが水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基である化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
より好ましくは、一般式(II)で表される化合物は、nが0であり、Rがそれぞれ独立して炭素数1〜4の無置換のアルキル基である化合物、並びにnが1〜3であり、Rがそれぞれ独立して炭素数1〜4の無置換のアルキル基であり、X及びXの少なくとも一方が酸素原子であり、前記酸素原子に結合するR又はRが炭素数1〜4のアルキル基であり、X又はXがメチレン基の場合、前記メチレン基に結合するR又はRが水素原子であり、Rが水素原子である化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
一般式(II)においてnが0である化合物(アルミニウムトリアルコキシド)として具体的には、トリメトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、トリsec−ブトキシアルミニウム、モノsec−ブトキシ−ジイソプロポキシアルミニウム、トリt−ブトキシアルミニウム、トリn−ブトキシアルミニウム等を挙げることができる。
また一般式(II)においてnが1〜3である化合物として具体的には、アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレート〔(エチルアセトアセタト)アルミニウムイソプロポキシド〕、トリス(エチルアセトアセタト)アルミニウム等を挙げることができる。
また一般式(II)においてnが1〜3である化合物は、調製したものを用いても、市販品を用いてもよい。市販品としては例えば、川研ファインケミカル株式会社の商品名、ALCH、ALCH−50F、ALCH−75、ALCH−TR、ALCH−TR−20等を挙げることができる。
一般式(II)においてnが1〜3である化合物は、アルミニウムトリアルコキシドと、前述の2つのカルボニル基を有する特定構造の化合物とを混合することで調製することができる。
アルミニウムトリアルコキシドと、2つのカルボニル基を有する特定構造の化合物とを混合すると、アルミニウムトリアルコキシドのアルコキシド基の少なくとも一部が特定構造の化合物と置換して、アルミニウムキレート構造を形成する。このとき必要に応じて、液状媒体が存在してもよく、また加熱処理、触媒の添加等を行ってもよい。アルミニウムアルコキシド構造の少なくとも一部がアルミニウムキレート構造に置換されることで、一般式(II)で表される化合物の加水分解及び重合反応に対する安定性が向上し、これを含むパッシベーション層形成用組成物の保存安定性がより向上する。
2つのカルボニル基を有する特定構造の化合物としては、上述したβ−ジケトン化合物、β−ケトエステル化合物、マロン酸ジエステル等が挙げられ、保存安定性の観点から、β−ジケトン化合物、β−ケトエステル化合物、マロン酸ジエステルからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
一般式(II)で表される化合物がアルミニウムキレート構造を有する場合、アルミニウムキレート構造の数は1〜3であれば特に制限されない。中でも、保存安定性の観点から、1又は3であることが好ましく、溶解度の観点から、1であることがより好ましい。アルミニウムキレート構造の数は、例えば、アルミニウムトリアルコキシドと、2つのカルボニル基を有する特定構造の化合物とを混合する比率を適宜調整することで制御することができる。また市販のアルミニウムキレート化合物から所望の構造を有する化合物を適宜選択してもよい。
一般式(II)で表される化合物のうち、パッシベーション効果及び必要に応じて添加される溶剤との相溶性の観点から、具体的にはアルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレート及びトリイソプロポキシアルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましく、アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレートを用いることがより好ましい。
一般式(II)で表される化合物におけるアルミニウムキレート構造の存在は、通常用いられる分析方法で確認することができる。例えば、赤外分光スペクトル、核磁気共鳴スペクトル、融点等を用いて確認することができる。
一般式(II)で表される化合物は、液状であっても固体であってもよく、特に制限はない。パッシベーション効果と保存安定性の観点から、常温(25℃)での安定性、及び溶解性又は分散性が化合物であることが好ましい。このような性質を有する一般式(II)で表される化合物を用いることで、形成されるパッシベーション層の均質性がより向上し、所望のパッシベーション効果が安定的に得られる傾向にある。
パッシベーション層形成用組成物が一般式(II)で表される化合物を含む場合、一般式(II)で表される化合物の含有率は特に制限されない。中でも、一般式(I)で表される化合物と一般式(II)で表される化合物の総含有率を100質量%としたときの一般式(II)で表される化合物の含有率が、0.5質量%以上80質量%以下であることが好ましく、1質量%以上75質量%以下であることがより好ましく、2質量%以上70質量%以下であることが更に好ましく、3質量%以上70質量%以下であることが特に好ましい。
一般式(II)で表される化合物の含有率を0.5質量%以上とすることで、パッシベーション層形成用組成物の保存安定性が向上する傾向にある。また一般式(II)で表される化合物の含有率を80質量%以下とすることで、パッシベーション効果が向上する傾向にある。
パッシベーション層形成用組成物が一般式(II)で表される化合物を含む場合、パッシベーション層形成用組成物中の一般式(II)で表される化合物の含有率は、必要に応じて適宜選択することができる。例えば、保存安定性とパッシベーション効果の観点から、一般式(II)で表される化合物の含有率は、パッシベーション層形成用組成物中に0.1質量%〜60質量%とすることができ、0.5質量%〜55質量%であることが好ましく、1質量%〜50質量%であることがより好ましく、1質量%〜45質量%であることが更に好ましい。
(液状媒体)
パッシベーション層形成用組成物は、更に液状媒体(溶媒又は分散媒)を含んでいてもよい。パッシベーション層形成用組成物が液状媒体を含有することで、粘度の調整がより容易になり、付与性がより向上し、より均一なパッシベーション層を形成することができる傾向にある。液状媒体としては特に制限されず、必要に応じて適宜選択することができる。中でも一般式(I)で表される化合物、ウレア結合を有する化合物、及び必要に応じて含まれる一般式(II)で表される化合物を溶解して均一な溶液を与えることができる液状媒体が好ましく、有機溶剤の少なくとも1種を含むことがより好ましい。
一般式(I)で表される化合物は、そのままの状態では加水分解、重合反応等を容易に起こし固化するものもあるが、一般式(I)で表される化合物を液状媒体中に溶解又は分散させることによって反応が抑制されるため保存安定性が向上しやすい傾向がある。
液状媒体としては、ケトン溶剤、エーテル溶剤、エステル溶剤、非プロトン性極性溶剤、疎水性有機溶剤、アルコール溶剤、グリコールモノエーテル溶剤、テルペン溶剤、水等が挙げられる。これらの液状媒体は、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
ケトン溶剤として具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン等が挙げられる。
エーテル溶剤として具体的には、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、メチル−n−プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、テトラエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、テトラエチレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラプロピレングリコールジエチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチルエチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、テトラプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル等が挙げられる。
エステル溶剤として具体的には、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸ジエチレングリコールメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリエチレングリコール、酢酸イソアミル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸イソアミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、エチレングリコールメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等が挙げられる。
非プロトン性極性溶剤として具体的には、アセトニトリル、N−メチルピロリジノン、N−エチルピロリジノン、N−プロピルピロリジノン、N−ブチルピロリジノン、N−ヘキシルピロリジノン、N−シクロヘキシルピロリジノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
疎水性有機溶剤として具体的には、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、オクタン、エチルベンゼン、2−エチルヘキサン酸、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。
アルコール溶剤として具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、イソペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、t−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、イソボルニルシクロヘキサノール等が挙げられる。
グリコールモノエーテル溶剤として具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エトキシトリグリコール、テトラエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。
テルペン溶剤として具体的には、テルピネン、テルピネオール、ミルセン、アロオシメン、リモネン、ジペンテン、ピネン、カルボン、オシメン、フェランドレン等が挙げられる。
中でも液状媒体は、半導体基板への付与性及びパターン形成性の観点から、テルペン溶剤、エステル溶剤及びアルコール溶剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、テルペン溶剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましい。
また、液状媒体として、高粘度かつ低沸点のもの(高粘度低沸点溶媒)を用いてもよい。高粘度低沸点溶媒を含むパッシベーション層形成用組成物は、半導体基板へ付与し形成した組成物層の形状を充分に維持できる粘度となり、かつその後の焼成工程の途中段階で揮発するため残留溶媒による影響が抑えられるという利点がある。具体的な高粘度低沸点溶媒としては、イソボルニルシクロヘキサノール等が挙げられる。
パッシベーション層形成用組成物が液状媒体を含む場合、液状媒体の含有率は、付与性、パターン形成性及び保存安定性を考慮して決定される。例えば、液状媒体の含有率は、組成物の付与性とパターン形成性の観点から、パッシベーション層形成用組成物の総質量中に5質量%〜98質量%であることが好ましく、10質量%〜95質量%であることがより好ましい。
(樹脂)
パッシベーション層形成用組成物は、樹脂の少なくとも1種を含んでいてもよい。樹脂を含むことで、パッシベーション層形成用組成物が半導体基板上に付与されて形成される組成物層の形状安定性がある程度向上し、組成物層が形成された領域に、パッシベーション層を所望の形状で選択的に形成することができる。
樹脂の種類は特に制限されない。中でもパッシベーション層形成用組成物を半導体基板上に付与する際に、良好なパターン形成ができる範囲に粘度調整が可能な樹脂であることが好ましい。樹脂として具体的には、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリルアミド誘導体、ポリビニルアミド、ポリビニルアミド誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイド誘導体、ポリスルホン酸、アクリルアミドアルキルスルホン酸、セルロース、セルロースエーテル誘導体(カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース等のセルロースエーテルなど)、ゼラチン、ゼラチン誘導体、澱粉、澱粉誘導体、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム誘導体、キサンタン、キサンタン誘導体、グアーガム、グアーガム誘導体、スクレログルカン、スクレログルカン誘導体、トラガカント、トラガカント誘導体、デキストリン、デキストリン誘導体、(メタ)アクリル酸樹脂、(メタ)アクリル酸エステル樹脂(アルキル(メタ)アクリレート樹脂、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート樹脂等)、ブタジエン樹脂、スチレン樹脂、シロキサン樹脂、これらの共重合体などを挙げることができる。これらの樹脂は、1種単独で又は2種以上を併用できる。
尚、本明細書における「(メタ)アクリル酸」とは「アクリル酸」及び「メタクリル酸」の少なくとも一方を意味し、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート」及び「メタクリレート」の少なくとも一方を意味する。
これらの樹脂のなかでも、保存安定性とパターン形成性の観点から、酸性及び塩基性の官能基を有さない中性樹脂を用いることが好ましく、含有量が少量の場合においても容易に粘度及びチキソ性を調節できる観点から、エチルセルロース等のセルロース誘導体を用いることがより好ましい。
またこれら樹脂の分子量は特に制限されず、パッシベーション層形成用組成物としての所望の粘度を鑑みて適宜調整することが好ましい。樹脂の重量平均分子量は、保存安定性とパターン形成性の観点から、1,000〜10,000,000であることが好ましく、1,000〜5,000,000であることがより好ましい。尚、樹脂の重量平均分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて測定される分子量分布から標準ポリスチレンの検量線を使用して換算して求められる。検量線は、標準ポリスチレンの5サンプルセット(PStQuick MP−H、PStQuick B[東ソー株式会社、商品名])を用いて3次式で近似する。GPCの測定条件を以下に示す。
装置:(ポンプ:L−2130型[株式会社日立ハイテクノロジーズ])
(検出器:L−2490型RI[株式会社日立ハイテクノロジーズ])
(カラムオーブン:L−2350[株式会社日立ハイテクノロジーズ])
カラム:Gelpack GL−R440 + Gelpack GL−R450 + Gelpack GL−R400M(計3本)(日立化成株式会社、商品名)
カラムサイズ:10.7mm(内径)×300mm
溶離液:テトラヒドロフラン
試料濃度:10mg/2mL
注入量:200μL
流量:2.05mL/分
測定温度:25℃
パッシベーション層形成用組成物中の樹脂の含有率は、必要に応じて適宜選択することができる。例えば、樹脂の含有率は、パッシベーション層形成用組成物の総質量中に0.1質量%〜50質量%であることが好ましく、0.1質量%〜30質量%であることがより好ましい。印刷性の観点から、樹脂の含有率は0.2質量%〜25質量%であることが更に好ましく、0.5質量%〜20質量%であることが特に好ましく、0.5質量%〜15質量%であることが極めて好ましい。
パッシベーション層形成用組成物における一般式(I)で表される化合物(一般式(II)で表される化合物を更に含有する場合には、一般式(I)で表される化合物及び一般式(II)で表される化合物の総量)と樹脂の含有比率(質量比)は、必要に応じて適宜選択することができる。中でも、パターン形成性と保存安定性の観点から、一般式(I)で表される化合物に対する樹脂の含有比率(樹脂/一般式(I)で表される化合物)、一般式(II)で表される化合物を更に含有する場合には、一般式(I)で表される化合物及び一般式(II)で表される化合物の総量に対する樹脂の含有比率〔樹脂/(一般式(I)で表される化合物+一般式(II)で表される化合物)〕は、0.001〜1000であることが好ましく、0.01〜100であることがより好ましく、0.05〜1であることが更に好ましい。
(その他の成分)
本発明のパッシベーション層形成用組成物は、上述した成分に加え、必要に応じて当該分野で通常用いられるその他の成分を更に含むことができる。その他の成分としては、可塑剤、分散剤、界面活性剤、チキソ剤、フィラー、一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物以外の金属アルコキシド化合物等を挙げることができる。中でも、チキソ剤及びフィラーから選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。チキソ剤及びフィラーから選択される少なくとも1種を含むことで、パッシベーション層形成用組成物が半導体基板上に付与されて形成される組成物層の形状安定性がより向上し、パッシベーション層を前記組成物層が形成された領域に、所望の形状で選択的に形成することができる。
前記チキソ剤としては、脂肪酸アミド、ポリアルキレングリコール化合物、有機フィラー、無機フィラー等が挙げられる。
ポリアルキレングリコール化合物としては、下記一般式(III)で表される化合物等が挙げられる。
式(III)中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基を示し、Rはアルキレン基を示す。nは3以上の任意の整数である。尚、複数存在するRは同一であっても異なっていてもよい。
脂肪酸アミドとしては、下記一般式(1)、(2)、(3)及び(4)で表される化合物等が挙げられる。
CONH・・・・(1)
CONH−R10−NHCOR・・・・(2)
NHCO−R10−CONHR・・・・(3)
CONH−R10−N(R11・・・・(4)
一般式(1)、(2)、(3)及び(4)中、R及びR11は各々独立に炭素数1〜30のアルキル基又は炭素数2〜30のアルケニル基を示し、R10は炭素数1〜10のアルキレン基を示す。2つのR11は同一であっても異なっていてもよい。
有機フィラーとしては、アクリル樹脂、セルロース樹脂、ポリスチレン樹脂等で構成される粒子又は繊維状物が挙げられる。
無機フィラーとしては、二酸化珪素、水酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化珪素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭化珪素、ガラス等の粒子などが挙げられる。
有機フィラー及び無機フィラーが粒子形状の場合、その体積平均粒子径は、0.01μm〜50μmであってもよい。有機フィラー及び無機フィラーの体積平均粒子径は、レーザー回折散乱法粒度分布測定装置(例えば、ベックマンコールターLS13320)で測定することができ、得られた粒度分布からメディアン径を算出した値を平均粒子径とすることができる。また、SEM(走査型電子顕微鏡)を用いて観察することで平均粒子径を求めることもできる。
一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物以外の金属アルコキシド化合物としては、チタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド、シリコンアルコキシド等が挙げられる。
パッシベーション層形成用組成物は、酸性化合物又は塩基性化合物を含有してもよい。パッシベーション層形成用組成物が酸性化合物又は塩基性化合物を含有する場合、保存安定性の観点から、酸性化合物又は塩基性化合物の含有率が、パッシベーション層形成用組成物中にそれぞれ1質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましい。
酸性化合物としては、ブレンステッド酸及びルイス酸を挙げることができる。具体的には塩酸、硝酸等の無機酸、酢酸等の有機酸などを挙げることができる。また塩基性化合物としては、ブレンステッド塩基及びルイス塩基を挙げることができ、具体的には、塩基性化合物としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物等の無機塩基、トリアルキルアミン、ピリジン等の有機塩基などを挙げることができる。
(物性値)
パッシベーション層形成用組成物の粘度は特に制限されず、半導体基板への付与方法等に応じて適宜選択することができる。例えば、パッシベーション層形成用組成物の粘度は、0.01Pa・s〜10000Pa・sとすることができる。中でもパターン形成性の観点から、パッシベーション層形成用組成物の粘度は0.1Pa・s〜1000Pa・sであることが好ましい。尚、粘度は、回転式せん断粘度計を用いて、25℃、せん断速度1.0s−1で測定される。
また、パッシベーション層形成用組成物のせん断粘度は特に制限されず、パッシベーション層形成用組成物がチキソ性を有していることが好ましい。中でもパターン形成性の観点から、せん断速度1.0s−1におけるせん断粘度ηをせん断速度10s−1におけるせん断粘度ηで除して算出されるチキソ比(η/η)が1.0〜10であることが好ましく、2.0〜6.0であることがより好ましい。尚、せん断粘度は、コーンプレート(直径50mm、コーン角1°)を装着した回転式のせん断粘度計を用いて、温度25℃で測定される。
尚、パッシベーション層形成用組成物中に含まれる成分、及び各成分の含有量は示差熱-熱重量同時測定(TG/DTA)等の熱分析、核磁気共鳴(NMR)、赤外分光法(IR)等のスペクトル分析、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)等のクロマトグラフ分析などを用いて確認することができる。
(パッシベーション層形成用組成物の製造方法)
パッシベーション層形成用組成物の製造方法には特に制限はない。例えば、一般式(I)で表される化合物と、ウレア結合を有する化合物と、必要に応じて含まれるその他の成分とを、通常用いられる混合方法で混合することで製造することができる。
<パッシベーション層付半導体基板>
本発明のパッシベーション層付半導体基板は、半導体基板と、前記半導体基板の少なくとも一方の面の少なくとも一部に設けられる、本発明のパッシベーション層形成用組成物の熱処理物(焼成物)であるパッシベーション層と、を有する。本発明のパッシベーション層付半導体基板は、パッシベーション層形成用組成物の熱処理物層(焼成物層)であるパッシベーション層を有することで優れたパッシベーション効果を示す。
半導体基板は特に制限されず、目的に応じて通常用いられるものから適宜選択することができる。半導体基板としては、シリコン、ゲルマニウム等にp型不純物又はn型不純物をドープ(拡散)したものが挙げられる。中でもシリコン基板であることが好ましい。また半導体基板は、p型半導体基板であっても、n型半導体基板であってもよい。中でもパッシベーション効果の観点から、パッシベーション層が形成される面がp型層である半導体基板であることが好ましい。半導体基板上のp型層は、p型半導体基板に由来するp型層であっても、p型拡散層又はp型拡散層として、n型半導体基板又はp型半導体基板上に形成されたものであってもよい。
また半導体基板の厚みは特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、半導体基板の厚みは50μm〜1000μmとすることができ、75μm〜750μmであることが好ましい。
半導体基板上に形成されたパッシベーション層の厚みは特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、パッシベーション層の厚みは5nm〜50μmであることが好ましく、10nm〜30μmであることがより好ましく、15nm〜20μmであることが更に好ましい。
パッシベーション層付半導体基板は、太陽電池素子、発光ダイオード素子等に適用することができる。例えば、太陽電池素子に適用することで変換効率に優れた太陽電池素子を得ることができる。
<パッシベーション層付半導体基板の製造方法>
本発明のパッシベーション層付半導体基板の製造方法は、半導体基板の少なくとも一方の面の少なくとも一部に、本発明のパッシベーション層形成用組成物を付与して組成物層を形成する工程と、前記組成物層を熱処理(焼成)してパッシベーション層を形成する工程と、を有する。前記製造方法は必要に応じてその他の工程を更に含んでいてもよい。本発明のパッシベーション層付半導体基板の製造方法は、本発明のパッシベーション層形成用組成物を用いることで、優れたパッシベーション効果を有するパッシベーション層を所望の形状に、簡便な方法で形成することができる。
パッシベーション層付半導体基板の製造方法は、組成物層を形成する工程の前に、半導体基板上にアルカリ水溶液を付与する工程を更に有することが好ましい。すなわち、半導体基板上にパッシベーション層形成用組成物を付与する前に、半導体基板の表面をアルカリ水溶液で洗浄することが好ましい。アルカリ水溶液で洗浄することで、半導体基板表面に存在する有機物、パーティクル等を除去することができ、パッシベーション効果がより向上する。アルカリ水溶液による洗浄の方法としては、一般的に知られているRCA洗浄等を例示することができる。例えば、アンモニア水と過酸化水素水の混合溶液に半導体基板を浸し、60℃〜80℃で処理することで、有機物及びパーティクルを除去し、半導体基板を洗浄することができる。洗浄時間は、10秒間〜10分間であることが好ましく、30秒間〜5分間であることがより好ましい。
半導体基板上にパッシベーション層形成用組成物を付与して組成物層を形成する方法には特に制限はない。例えば、公知の付与方法等を用いて、半導体基板上にパッシベーション層形成用組成物を付与する方法を挙げることができる。具体的には、浸漬法、スクリーン印刷、インクジェット法、ディスペンサー法、スピンコート法、刷毛塗り法、スプレー法、ドクターブレード法、ロールコート法等を挙げることができる。これらの中でもパターン形成性及び生産性の観点から、スクリーン印刷法及びインクジェット法等が好ましい。
パッシベーション層形成用組成物の付与量は、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、形成されるパッシベーション層の厚みが、後述する所望の厚みとなるように適宜調整することができる。
パッシベーション層形成用組成物によって形成された組成物層を熱処理(焼成)して、組成物層に由来する熱処理物層(焼成物層)を形成することで、半導体基板上にパッシベーション層を形成することができる。
組成物層の熱処理(焼成)条件は、組成物層に含まれる一般式(I)で表される化合物及び必要に応じて含まれる一般式(II)で表される化合物を、その熱処理物(焼成物)である金属酸化物又は複合酸化物に変換可能であれば特に制限されない。パッシベーション層に効果的に固定電荷を与え、より優れたパッシベーション効果を得るために、具体的には、熱処理(焼成)温度は300℃〜900℃が好ましく、450℃〜800℃がより好ましい。ここでいう熱処理(焼成)温度は、熱処理(焼成)に用いる炉の中の最高温度を意味する。また熱処理(焼成)時間は、熱処理(焼成)温度等に応じて適宜選択できる。例えば、熱処理(焼成)時間は0.1時間〜10時間とすることができ、0.12時間〜5時間であることが好ましい。ここでいう熱処理(焼成)時間は、最高温度での保持時間を意味する。
なお、熱処理(焼成)は、拡散炉(例えば、ACCURON CQ−1200、株式会社日立国際電気)等を用いて行うことができる。熱処理(焼成)を行う雰囲気は特に制限されず、大気中で実施することができる。
パッシベーション層付半導体基板の製造方法によって製造されるパッシベーション層の厚みは特に制限されず、目的に応じて適宜選択できる。例えば、パッシベーション層の平均膜厚は、5nm〜50μmであることが好ましく、10nm〜30μmであることがより好ましく、15nm〜20μmであることが更に好ましい。
尚、形成されたパッシベーション層の平均膜厚は、干渉式膜厚計(例えば、F20膜厚測定システム、フィルメトリクス株式会社)を用いて常法により、3点の厚みを測定し、その算術平均値として算出される。
パッシベーション層付半導体基板の製造方法は、パッシベーション層形成用組成物を半導体基板に付与した後、熱処理(焼成)によってパッシベーション層を形成する工程の前に、パッシベーション層形成用組成物からなる組成物層を乾燥処理する工程を更に有していてもよい。組成物層を乾燥処理する工程を有することで、より均質なパッシベーション効果を有するパッシベーション層を形成することができる。
組成物層を乾燥処理する工程は、パッシベーション層形成用組成物に含まれることがある液状媒体の少なくとも一部を除去することができれば、特に制限されない。乾燥処理は、例えば、30℃〜250℃で1分間〜60分間の加熱処理とすることができ、40℃〜220℃で3分間〜40分間の加熱処理であることが好ましい。また乾燥処理は、常圧下で行なっても減圧下で行なってもよい。
また、パッシベーション層付半導体基板の製造方法は、パッシベーション層形成用組成物を付与した後、熱処理(焼成)によってパッシベーション層を形成する工程の前に、パッシベーション層形成用組成物からなる組成物層を脱脂処理する工程を更に有していてもよい。組成物層を脱脂処理する工程を有することで、より均一なパッシベーション効果を有するパッシベーション層を形成することができる。
組成物層を脱脂処理する工程は、パッシベーション層形成用組成物に含まれる樹脂の少なくとも一部を除去することができれば、特に制限されない。脱脂処理は例えば250℃〜450℃で10分間〜120分間の加熱処理とすることができ、300℃〜400℃で3分間〜60分間の加熱処理であることが好ましい。また脱脂処理は、酸素存在下で行うことが好ましく、大気中で行なうことがより好ましい。
<太陽電池素子>
本発明の太陽電池素子は、p型層及びn型層がpn接合されてなるpn接合を有する半導体基板と、前記半導体基板の少なくとも一方の面の少なくとも一部に設けられる、本発明のパッシベーション層形成用組成物の熱処理物(焼成物)であるパッシベーション層と、前記p型層及び前記n型層からなる群より選択される少なくとも一方の上に配置される電極と、を有する。前記太陽電池素子は、必要に応じてその他の構成要素を更に有していてもよい。本発明の太陽電池素子は、本発明のパッシベーション層形成用組成物から形成されたパッシベーション層を有することで、変換効率に優れる。
パッシベーション層形成用組成物を付与する半導体基板としては特に制限されず、目的に応じて通常用いられるものから適宜選択することができる。半導体基板としては、パッシベーション層付半導体基板で説明したものを使用することができ、好適に使用できるものも同様である。パッシベーション層が設けられる半導体基板の面は、p型層であることが好ましい。
半導体基板上に形成されたパッシベーション層の厚みは特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、パッシベーション層の平均厚さは、5nm〜50μmであることが好ましく、10nm〜30μmであることがより好ましく、15nm〜20μmであることが更に好ましい。
太陽電池素子の形状及び大きさに制限はない。例えば、一辺が125mm〜156mmの正方形であることが好ましい。
<太陽電池素子の製造方法>
本発明の太陽電池素子の製造方法は、p型層及びn型層が接合されてなるpn接合を有する半導体基板の前記p型層及び前記n型層からなる群より選択される少なくとも一方の上に電極を配置する工程と、前記半導体基板の少なくとも一方の面であって前記電極が配置される面の少なくとも一部に本発明のパッシベーション層形成用組成物を付与して組成物層を形成する工程と、前記組成物層を熱処理(焼成)してパッシベーション層を形成する工程と、を有する。前記製造方法は、必要に応じてその他の工程を更に有していてもよい。
本発明の太陽電池素子の製造方法によれば、本発明のパッシベーション層形成用組成物を用いることで、優れた印刷性で、変換効率に優れる太陽電池素子を簡便な方法で製造することができる。更に、半導体基板上に、所望の形状となるようにパッシベーション層を形成することができ、太陽電池素子の生産性に優れる。
p型層及びn型層の少なくとも一方の層上に電極を形成する方法としては、通常用いられる方法を採用することができる。例えば、半導体基板の所望の領域に、銀ペースト、アルミニウムペースト等の電極形成用ペーストを付与し、必要に応じて熱処理することで製造することができる。
パッシベーション層が設けられる半導体基板の面は、p型層であっても、n型層であってもよい。中でも変換効率の観点からp型層であることが好ましい。
パッシベーション層形成用組成物を用いてパッシベーション層を形成する方法の詳細は、既述のパッシベーション層付半導体基板の製造方法と同様であり、好ましい態様も同様である。
半導体基板上に形成されるパッシベーション層の厚みは特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、パッシベーション層の平均厚さは、5nm〜50μmであることが好ましく、10nm〜30μmであることがより好ましく、15nm〜20μmであることが更に好ましい。
次に図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態にかかるパッシベーション層を有する太陽電池素子の製造方法の一例を模式的に示す工程図を断面図として示したものである。但し、この工程図は、本発明をなんら制限するものではない。
図1(1)では、p型半導体基板1をアルカリ水溶液で洗浄し、p型半導体基板1の表面の有機物、パーティクル等を除去する。これにより、パッシベーション効果がより向上する。アルカリ水溶液による洗浄方法としては、一般的に知られるRCA洗浄等を用いることができる。
その後、図1(2)に示すように、p型半導体基板1の表面を、アルカリエッチング等を施し、表面に凹凸(テクスチャともいう)を形成する。これにより、受光面側では太陽光の反射を抑制することができる。尚、アルカリエッチングには、NaOHとIPA(イソプロピルアルコール)とからなるエッチング溶液を使用することができる。
次いで、図1(3)に示すように、p型半導体基板1の表面にリン等を熱的に拡散させることにより、n型拡散層2がサブミクロンオーダーの厚さで形成されるとともに、p型バルク部分との境界にpn接合部が形成される。
リンを拡散させるための手法としては、例えば、オキシ塩化リン(POCl)、窒素及び酸素の混合ガス雰囲気において、800℃〜1000℃で数十分の処理を行う方法が挙げられる。この方法では、混合ガスを用いてリンの拡散を行うため、図1(3)に示すように、受光面(表面)以外に、裏面及び側面(図示せず)にもn型拡散層2が形成される。またn型拡散層2の上には、PSG(リンシリケートガラス)層3が形成される。そこで、サイドエッチングを行い、側面のPSG層3及びn型拡散層2を除去する。
その後、図1(4)に示すように、受光面及び裏面のPSG層3をフッ酸等のエッチング溶液を用いて除去する。更に裏面については、図1(5)に示すように、別途エッチング処理を行い、裏面のn型拡散層2を除去する。
そして、図1(6)に示すように、受光面のn型拡散層2上に、PECVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)法等によって、窒化ケイ素等の反射防止膜4を膜厚90nm前後で設ける。
次いで、図1(7)に示すように、裏面の一部に本発明のパッシベーション層形成用組成物をスクリーン印刷等にて付与した後、乾燥後に300℃〜900℃の温度で熱処理(焼成)を行い、パッシベーション層5を形成する。
図5に、裏面におけるパッシベーション層の形成パターンの一例を概略平面図として示す。図7は、図5のA部を拡大した概略平面図である。図8は、図5のB部を拡大した概略平面図である。図5に示すパッシベーション層の形成パターンの場合、図7及び図8からも分かるように、裏面のパッシベーション層5は後の工程で裏面出力取出し電極7が形成される部分を除き、ドット状にp型半導体基板1が露出したパターンで形成される。このドット状開口部のパターンは、ドット径(L)及びドット間隔(L)で規定され、規則正しく配列していることが好ましい。ドット径(L)及びドット間隔(L)は任意に設定でき、パッシベーション効果及び少数キャリアの再結合抑制の観点から、Lが5μm〜2mmでLが10μm〜3mmであることが好ましく、Lが10μm〜1.5mmでLが20μm〜2.5mmであることがより好ましく、Lが20μm〜1.3mmでLが50μm〜2mmであることが更に好ましい。
ここで、上記ではパッシベーション層を形成したい部位(ドット状開口部以外の部分)にパッシベーション層形成用組成物を付与し、熱処理(焼成)することで、所望の形状のパッシベーション層を形成している。これに対し、ドット状開口部を含む全面にパッシベーション層形成用組成物を付与し、熱処理(焼成)後にレーザー、フォトリソグラフィ等により、ドット状開口部のパッシベーション層を選択的に除去することもできる。また、ドット状開口部のようにパッシベーション層形成用組成物を付与したくない部分に予めマスク材によりマスクすることで、パッシベーション層形成用組成物を選択的に付与することもできる。
次いで、図1(8)に示すように、受光面に、ガラス粒子を含む銀電極ペーストをスクリーン印刷等にて付与する。図4は、太陽電池素子の受光面の一例を示す概略平面図である。図4に示すように、受光面電極は、受光面集電用電極8と受光面出力取出し電極9からなる。受光面積を確保するため、これら受光面電極の形成面積は少なく抑える必要がある。その他、受光面電極の抵抗率及び生産性の観点から、受光面集電用電極8の幅は10μm〜250μmで、受光面出力取出し電極9の幅は100μm〜2mmであることが好ましい。また、図4では受光面出力取出し電極9を2本設けているが、少数キャリアの取出し効率(発電効率)の観点から、受光面出力取出し電極9の本数を3本又は4本とすることもできる。
一方、図1(8)に示すように、裏面には、ガラス粉末を含むアルミニウム電極ペースト及びガラス粒子を含む銀電極ペーストを、スクリーン印刷等にて付与する。図9は、太陽電池素子の裏面の一例を示す概略平面図である。裏面出力取出し電極7の幅は特に制限されず、後の太陽電池の製造工程での配線材料の接続性等の観点から、裏面出力取出し電極7の幅は、100μm〜10mmであることが好ましい。
受光面及び裏面にそれぞれ電極ペーストを付与した後は、乾燥後に大気中450℃〜900℃程度の温度で、受光面及び裏面ともに熱処理(焼成)して、受光面に受光面集電用電極8及び受光面出力取出し電極9を、裏面に裏面集電用アルミニウム電極6及び裏面出力取出し電極7を、それぞれ形成する。
熱処理(焼成)後、図1(9)に示すように、受光面では、受光面電極を形成する銀電極ペーストに含まれるガラス粒子と、反射防止膜4とが反応(ファイアースルー)して、受光面電極(受光面集電用電極8、受光面出力取出し電極9)とn型拡散層2とが電気的に接続(オーミックコンタクト)される。一方、裏面では、ドット状に半導体基板1が露出した部分(パッシベーション層5が形成されなかった部分)では、熱処理(焼成)により、アルミニウム電極ペースト中のアルミニウムが半導体基板1中に拡散することで、p型拡散層10が形成される。本発明のパッシベーション層形成用組成物を用いることで、印刷滲みを抑制し、所望の形状に形成することが可能なパッシベーション層を形成でき、パッシベーション効果を向上させることで、発電性能に優れた太陽電池素子を製造することができる。
図2は、本実施形態にかかるパッシベーション層を有する太陽電池素子の製造方法の他の一例を示す工程図を断面図として示したものであり、裏面のn型拡散層2がエッチング処理によって除去された後に、更に裏面が平坦化されること以外は、図1と同様にして太陽電池セルを製造することができる。平坦化する際は、硝酸、フッ酸及び酢酸の混合溶液又は水酸化カリウム溶液に、半導体基板の裏面を浸す等の手法を用いることができる。
図3は、本実施形態にかかるパッシベーション層を有する太陽電池素子の製造方法の他の一例を示す工程図を断面図として示したものである。この方法では、半導体基板1にテクスチャー構造、n型拡散層2及び反射防止膜4を形成する工程(図3(19)〜(24))までは、図1の方法と同様である。
反射防止膜4を形成した後、図3(25)に示すように、パッシベーション層形成用組成物を付与する。図6に、裏面におけるパッシベーション層の形成パターンの一例を概略平面図として示す。図6に示すパッシベーション層の形成パターンでは、裏面の全面に、ドット状開口部が配列し、後の工程で裏面出力取出し電極が形成される部分にもドット状開口部が配列されている。
その後、図3(26)に示すように、裏面においてドット状に半導体基板1が露出した部分(パッシベーション層5が形成されなかった部分)から、ホウ素又はアルミニウムを拡散させ、p型拡散層10を形成する。p型拡散層を形成する際に、ホウ素を拡散させる場合は、三塩化ホウ素(BCl)を含むガス中で、1000℃付近の温度で処理する方法を用いることができる。但し、オキシ塩化リンを用いる場合と同様にガス拡散の手法であることから、半導体基板1の受光面、裏面及び側面にp型拡散層10が形成されてしまうため、これを抑制するためにドット状開口部以外の部分をマスキング処理して、ホウ素がp型半導体基板1の不要な部分に拡散するのを防止する等の措置が必要である。
また、p型拡散層10を形成する際にアルミニウムを拡散させる場合は、アルミニウムペーストをドット状開口部に付与し、これを450℃〜900℃の温度で熱処理(焼成)し、ドット状開口部からアルミニウムを拡散させてp型拡散層10を形成し、その後、塩酸等によりエッチングして、p型拡散層10上に形成されたアルミニウムペースト由来の熱処理物層(焼成物層)を除去する手法を用いることができる。
次いで、図3(27)に示すように、裏面の全面にアルミニウムを物理的に蒸着することで、裏面集電用アルミニウム電極11を形成する。
その後、図3(28)に示すように、受光面にはガラス粒子を含む銀電極ペーストをスクリーン印刷等にて付与し、裏面にはガラス粒子を含む銀電極ペーストをスクリーン印刷等にて付与する。受光面の銀電極ペーストは図4に示す受光面電極の形状に合わせて、裏面の銀電極ペーストは図9に示す裏面電極の形状に合わせて、パターン状に付与する。
受光面及び裏面にそれぞれ電極ペーストを付与した後は、乾燥後に大気中450℃〜900℃程度の温度で、受光面及び裏面ともに熱処理(焼成)して、図3(29)に示すように、受光面に受光面集電用電極8及び受光面出力取出し電極9を、裏面に裏面集電用アルミニウム電極11及び裏面出力取出し電極7を、それぞれ形成する。このとき、受光面では受光面電極とn型拡散層2が電気的に接続され、裏面では、蒸着により形成された裏面集電用アルミニウム電極11と裏面出力取出し電極7とが電気的に接続される。
なお、図1〜図3では、パッシベーション層5を形成した後で、裏面集電用アルミニウム電極6又は11、及び裏面出力取出し電極7を形成しているが、先に電極を形成した後に、パッシベーション層5を形成してもよい。また、電極を有する半導体基板を入手し、これにパッシベーション層5を形成してもよい。
<太陽電池>
太陽電池は、前記太陽電池素子と、太陽電池素子の電極上に設けられる配線材料と、を有する。配線材料が配置される電極は、出力取出し電極等である。太陽電池は更に必要に応じて、配線材料を介して複数の太陽電池素子が連結され、更に封止材で封止されて構成される。前記配線材料及び封止材としては特に制限されず、当業界で通常用いられているものから適宜選択することができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
(パッシベーション層形成用組成物の調製)
ペンタエトキシニオブ(北興化学工業株式会社、構造式:Nb(OC、分子量:318.2)を15.123g、テルピネオール(日本テルペン化学株式会社、TPOと略記することがある)を23.667g、イソボルニルシクロヘキサノール(日本テルペン化学株式会社、商品名:テルソルブMTPH、MTPHと略記することがある)を62.984g、及びBYK−410(ビックケミージャパン株式会社、変性ウレアの溶液、溶剤:N−メチルピロリドン、不揮発分:52%)を2.056g混合して、パッシベーション層形成用組成物1を調製した。
(チキソ性の評価)
上記で調製したパッシベーション層形成用組成物1の調製直後(18時間〜30時間以内)のせん断粘度を、せん断速度1.0s−1及び10s−1の条件でそれぞれ測定した。せん断粘度の測定は、粘弾性測定装置(AntonPaar社、MCR301)にコーンプレート(直径50mm、コーン角1°)を装着し、温度25℃で行った。
せん断速度が1.0s−1の条件でのせん断粘度(η)は18.0Pa・s、せん断速度が10s−1の条件でのせん断粘度(η)は5.6Pa・sとなった。せん断速度が1.0s−1と10s−1の場合でのチキソ比(η/η)は3.2となった。
(保存安定性の評価)
上記で調製したパッシベーション層形成用組成物1のせん断粘度を、調製直後(18時間〜30時間以内)及び25℃で30日間保存した後にそれぞれ測定した。せん断粘度の測定は、粘弾性測定装置(AntonPaar社、MCR301)にコーンプレート(直径50nm、コーン角1°)を装着し、温度25℃で、せん断速度1.0s−1で行った。25℃におけるせん断粘度は、調製直後は18.0Pa・s、25℃で30日間保存した後は18.6Pa・sであった。
保存安定性の評価では、30日間保存した後のせん断粘度の変化率が10%未満のものをA、10%以上30%未満のものをB、30%以上のものをCとしている。評価がA及びBであれば、パッシベーション層形成用組成物の保存安定性が良好であると判断する。
(印刷性の評価)
パッシベーション層形成用組成物の印刷性の評価を行うための半導体基板として、表面がミラー形状の単結晶p型シリコン基板(50mm角、厚さ770μm、以下、基板Aと呼ぶ)を使用した。
上記で調製したパッシベーション層形成用組成物1を、基板Aに、スクリーン印刷法を用いて、図8に示すパターンでドット状開口部以外の全面に印刷した。ここで、評価に用いたドット状開口部のパターンは、ドット径(L)が368μmでドット間隔(L)が0.5mmであるものと、ドット径(L)が178μmでドット間隔(L)が0.5mmであるものの2種類とした。
その後、パッシベーション層形成用組成物1を付与した基板Aを150℃で3分間加熱し、液状媒体を蒸散させることで乾燥処理した。次いで、基板Aを700℃の温度で10分間熱処理(焼成)した後、室温(25℃)で放冷した。
次に、熱処理(焼成)後の基板に形成されるパッシベーション層内のドット状開口部のドット径(L)を10点測定し、その平均値を算出した。ドット径(L)が368μmであるパターンを用いて形成したパッシベーション層のドット状開口部のドット径(L)の平均値は370μm、ドット径(L)が178μmであるパターンを用いて形成したパッシベーション層のドット状開口部のドット径(L)の平均値は180μmであった。
印刷性の評価は、印刷直後のドット径(L)(368μm又は178μm)に対し、熱処理(焼成)後のドット径(L)の変化率が20%未満のものをA、20%以上30%未満のものをB、30%以上のものをC、開口部がパッシベーション層で塞がったものをDとしている。評価がA又はBであれば、パッシベーション層形成用組成物の印刷性は良好である。
(実効ライフタイムの測定)
スクリーン印刷法により片面の全体にパッシベーション層形成用組成物1を付与した基板Aを、150℃で3分間加熱し、液状媒体を蒸散させることで乾燥処理した。次いで基板Aを700℃の温度で10分間熱処理(焼成)した後、室温(25℃)で放冷し、評価用基板とした。熱処理(焼成)は、拡散炉(ACCURON CQ−1200、株式会社日立国際電気)を用いて、大気中雰囲気下、最高温度700℃、保持時間10分間の条件で行った。
上記で得られた評価用基板の実効ライフタイムを、ライフタイム測定装置(日本セミラボ株式会社、WT−2000PVN)を用いて、室温(25℃)で反射マイクロ波光電導減衰法により測定した。得られた評価用基板において、パッシベーション層形成用組成物を付与した領域の実効ライフタイムは、280μsであった。
(パッシベーション層の厚さ測定)
上記で得られた評価用基板上のパッシベーション層の厚みを、干渉式膜厚計(フィルメトリクス株式会社、F20膜厚測定システム)を用いて測定したところ、膜厚は170nmであった。
(太陽電池素子の作製)
単結晶p型半導体基板(125mm角、厚さ200μm)の両面(受光面及び裏面)に、アルカリエッチングによりテクスチャー構造を形成した。次いで、オキシ塩化リン(POCl)、窒素及び酸素の混合ガス雰囲気において、900℃の温度で20分間処理し、受光面、裏面及び側面にn型拡散層を形成した。その後、サイドエッチングを行い、側面のリンンシリケートガラス(PSG)層及びn型拡散層を除去し、フッ酸を含むエッチング溶液を用いて受光面及び裏面のPSG層を除去した。更に、裏面については別途エッチング処理を行い、裏面のn型拡散層を除去した。その後、受光面のn型拡散層上に窒化ケイ素からなる反射防止膜をプラズマCVD(PECVD)により約90nmの厚さとなるように形成した。
次いで、上記で調製したパッシベーション層形成用組成物1を半導体基板の裏面に付与した後、150℃の温度で5分間の乾燥処理を行った。次いで、拡散炉(ACCURON CQ−1200、株式会社日立国際電気)を用いて、大気中雰囲気下、最高温度700℃、保持時間10分間の熱処理(焼成)を行い、パッシベーション層1を形成した。
パッシベーション層形成用組成物1の付与は、図5、図7及び図8に示すパターン状となるように行った。具体的には、後の工程で裏面出力取出し電極(図9の符号7)が形成される部分以外の領域に、ドット状開口部ではp型半導体基板が露出するようにパッシベーション層形成用組成物1を付与してパッシベーション層を形成した。ドット状開口部のパターンは、印刷滲みの評価で用いたものと同じ形状で、ドット径(L)を168μm、ドット間隔(L)を0.5mmとした。
次いで、半導体基板の受光面に市販の銀電極ペースト(PV−16A、デュポン株式会社)をスクリーン印刷法にて図4に示す電極パターンとなるように付与した。電極パターンは、120μm幅の受光面集電用電極と、1.5mm幅の受光面出力取出し電極とから構成されており、熱処理(焼成)後の厚さが20μmとなるように印刷条件(スクリーン版のメッシュ、印刷速度及び印圧)を適宜調整した。これを150℃の温度で5分間加熱し、液状媒体を蒸散させることで乾燥処理を行った。
一方、半導体基板の裏面には、市販のアルミニウム電極ペースト(PVG−AD−02、PVG Solutions株式会社)を全面に付与した。次いで、市販の銀電極ペースト(PV−505、デュポン株式会社)をスクリーン印刷法にて図9に示す裏面出力取出し電極のパターンとなるように付与した。銀電極ペーストからなる裏面出力取出し電極のパターンは、長さ123mm×幅4mmとなるようにした。
銀電極ペースト及びアルミニウム電極ペーストの印刷条件(スクリーン版のメッシュ、印刷速度及び印圧)は、熱処理(焼成)後の裏面出力取出し電極(銀電極、図9の符号7)及び裏面集電用電極(アルミニウム電極、図9の符号6)の膜厚がそれぞれ20μmとなるように、適宜調整した。各電極ペーストの付与後、150℃の温度で5分間加熱し、液状媒体を蒸散させることで乾燥処理を行った。
続いて、トンネル炉(1列搬送W/Bトンネル炉、株式会社ノリタケカンパニーリミテド)を用いて大気中雰囲気下、最高温度800℃、保持時間10秒の条件で熱処理(焼成)を行って、所望の電極が形成された太陽電池素子1を作製した。
(太陽電池の作製)
上記で得られた太陽電池素子1の受光面出力取出し電極及び裏面出力取出し電極の上に、配線部材(太陽電池用はんだめっき平角線、製品名:SSA−TPS 0.2×1.5(20)、厚さ0.2mm×幅1.5mmの銅線にSn−Ag−Cu系鉛フリーはんだを片面あたり最大20μmの厚さでめっきした仕様、日立金属株式会社[(旧)日立電線株式会社])を配置し、タブ線接続装置(NTS−150−M、Tabbing & Stringing Machine、株式会社エヌピーシー)を用い、最高温度250℃、保持時間10秒の条件ではんだを溶融させることで、上記配線部材と受光面出力取出し電極及び裏面出力取出し電極とを接続した。
その後、ガラス板(白板強化ガラス3KWE33、旭硝子株式会社)、封止材(エチレンビニルアセテート;EVA)、及びバックシートを用いて、図10に示す構造の太陽電池1を作製した。具体的には、ガラス板16、封止材14、配線材料13を接続した太陽電池素子12、封止材14及びバックシート15をこの順に重ね合わせ、これを真空ラミネータ(LM−50×50、株式会社エヌピーシー)を用いて、配線部材13の一部が露出するように、140℃の温度で5分間真空ラミネートし、太陽電池1を作製した。
作製した太陽電池1の太陽電池特性(発電性能)の評価は、擬似太陽光(WXS−155S−10、株式会社ワコム電創)と、電圧−電流(I−V)評価測定器(I−V CURVE TRACER MP−180、英弘精機株式会社)の測定装置を組み合わせて行った。太陽電池としての発電性能を示すJsc(短絡電流)、Voc(開放電圧)、F.F.(形状因子)、η(変換効率)は、それぞれJIS−C−8913(2005年度)及びJIS−C−8914(2005年度)に準拠して測定を行って得られたものである。得られた測定値を、後に示す比較例1で作製した、ALD法により形成される酸化アルミニウム(Al)のパッシベーション層を有する太陽電池(太陽電池C1)の測定値を100.0とした相対値に換算した。
<実施例2>
ペンタエトキシタンタル(北興化学工業株式会社、構造式:Ta(OC、分子量:406.3)を14.923g、テルピネオールを23.453g、イソボルニルシクロヘキサノールを62.234g、BYK−410を1.993g混合して、パッシベーション層形成用組成物2を調製した。
その後は、実施例1と同様にして、パッシベーション層形成用組成物2のチキソ性の評価、保存安定性の評価、印刷性の評価、及びパッシベーション層2の実効ライフタイムの評価、厚さの測定及び固定電荷密度の測定を行った。更に実施例1と同様にして、太陽電池素子2及び太陽電池2を作製し、太陽電池特性を評価した。
<実施例3>
バナジウムエトキシドオキシド(株式会社高純度化学研究所、構造式:VO(OC、分子量:202.2)を14.856g、テルピネオールを23.658g、イソボルニルシクロヘキサノールを62.789g、BYK−410を2.034g混合して、パッシベーション層形成用組成物3を調製した。
その後は、実施例1と同様にして、パッシベーション層形成用組成物3のチキソ性の評価、保存安定性の評価、印刷性の評価、及びパッシベーション層3の実効ライフタイムの評価、厚さの測定及び固定電荷密度の測定を行った。更に実施例1と同様にして、太陽電池素子3及び太陽電池3を作製し、太陽電池特性を評価した。
<実施例4>
ハフニウムt−ブトキシド(株式会社高純度化学研究所、構造式:Hf(O−t−C、分子量:471.0)を15.125g、テルピネオールを24.023g、イソボルニルシクロヘキサノールを63.238g、BYK−410を2.089g混合して、パッシベーション層形成用組成物4を調製した。
その後は、実施例1と同様にして、パッシベーション層形成用組成物4のチキソ性の評価、保存安定性の評価、印刷性の評価、及びパッシベーション層4の実効ライフタイムの評価、厚さの測定及び固定電荷密度の測定を行った。更に実施例1と同様にして、太陽電池素子4及び太陽電池4を作製し、太陽電池特性を評価した。
<実施例5>
ペンタエトキシニオブを14.823g、アルミニウムエチルアセトアセタトジイソプロピレート(川研ファインケミカル株式会社、商品名:ALCH)を14.890g、テルピネオールを46.689g、イソボルニルシクロヘキサノールを122.461g混合して、パッシベーション層形成用組成物Aを調製した。更に、パッシベーション層形成用組成物Aを14.907g、BYK−410を0.310g混合してパッシベーション層形成用組成物5を調製した。
その後は、実施例1と同様にして、パッシベーション層形成用組成物4のチキソ性の評価、保存安定性の評価、印刷性の評価、及びパッシベーション層5の実効ライフタイムの評価、厚さの測定及び固定電荷密度の測定を行った。更に実施例1と同様にして、太陽電池素子5及び太陽電池5を作製し、太陽電池特性を評価した。
<実施例6>
実施例5で調製したパッシベーション層形成用組成物Aを14.966g、BYK−E410(ビックケミージャパン株式会社、変性ウレアの溶液、溶剤:N−エチルピロリドン、不揮発分:52%)を0.300g混合してパッシベーション層形成用組成物6を調製した。
その後は、実施例1と同様にして、パッシベーション層形成用組成物6のチキソ性の評価、保存安定性の評価、印刷性の評価、及びパッシベーション層6の実効ライフタイムの評価、厚さの測定及び固定電荷密度の測定を行った。更に実施例1と同様にして、太陽電池素子6及び太陽電池6を作製し、太陽電池特性を評価した。
<実施例7>
実施例5で調製したパッシベーション層形成用組成物Aを15.079g、BYK−D410(ビックケミージャパン株式会社、変性ウレアの溶液、溶剤:ジメチルスルホキシド、不揮発分:52%)を0.305g混合してパッシベーション層形成用組成物7を調製した。
その後は、実施例1と同様にして、パッシベーション層形成用組成物7のチキソ性の評価、保存安定性の評価、印刷性の評価、及びパッシベーション層7の実効ライフタイムの評価、厚さの測定及び固定電荷密度の測定を行った。更に実施例1と同様にして、太陽電池素子7及び太陽電池7を作製し、太陽電池特性を評価した。
<実施例8>
実施例5で調製したパッシベーション層形成用組成物Aを15.018g、BYK−E410を0.312g混合してパッシベーション層形成用組成物8を調製した。
その後は、実施例1と同様にして、パッシベーション層形成用組成物8のチキソ性の評価、保存安定性の評価、印刷性の評価、及びパッシベーション層8の実効ライフタイムの評価、厚さの測定及び固定電荷密度の測定を行った。更に実施例1と同様にして、太陽電池素子8及び太陽電池8を作製し、太陽電池特性を評価した。
<実施例9>
ペンタエトキシタンタルを7.546g、アルミニウムエチルアセトアセタトジイソプロピレートを5.558g、テルピネオールを23.254g、イソボルニルシクロヘキサノールを62.775g、BYK−410を2.004g混合してパッシベーション層形成用組成物9を調製した。
その後は、実施例1と同様にして、パッシベーション層形成用組成物9のチキソ性の評価、保存安定性の評価、印刷性の評価、及びパッシベーション層9の実効ライフタイムの評価、厚さの測定及び固定電荷密度の測定を行った。更に実施例1と同様にして、太陽電池素子9及び太陽電池9を作製し、太陽電池特性を評価した。
<実施例10>
バナジウムエトキシドオキシドを7.934g、アルミニウムエチルアセトアセタトジイソプロピレートを7.349g、テルピネオールを23.478g、イソボルニルシクロヘキサノールを63.098g、BYK−410を2.028g混合してパッシベーション層形成用組成物10を調製した。
その後は、実施例1と同様にして、パッシベーション層形成用組成物10のチキソ性の評価、保存安定性の評価、印刷性の評価、及びパッシベーション層10の実効ライフタイムの評価、厚さの測定及び固定電荷密度の測定を行った。更に実施例1と同様にして、太陽電池素子10及び太陽電池10を作製し、太陽電池特性を評価した。
<実施例11>
ハフニウムt−ブトキシドを7.605g、アルミニウムエチルアセトアセタトジイソプロピレートを4.356g、テルピネオールを23.875g、イソボルニルシクロヘキサノールを62.995g、BYK−410を2.095g混合してパッシベーション層形成用組成物11を調製した。
その後は、実施例1と同様にして、パッシベーション層形成用組成物11のチキソ性の評価、保存安定性の評価、印刷性の評価、及びパッシベーション層11の実効ライフタイムの評価、厚さの測定及び固定電荷密度の測定を行った。更に実施例1と同様にして、太陽電池素子11及び太陽電池11を作製し、太陽電池特性を評価した。
<実施例12>
実施例5で調製したパッシベーション層形成用組成物Aを15.023g、BYK−410を0.075g混合してパッシベーション層形成用組成物12を調製した。
その後は、実施例1と同様にして、パッシベーション層形成用組成物12のチキソ性の評価、保存安定性の評価、印刷性の評価、及びパッシベーション層12の実効ライフタイムの評価、厚さの測定及び固定電荷密度の測定を行った。更に実施例1と同様にして、太陽電池素子12及び太陽電池12を作製し、太陽電池特性を評価した。
<実施例13>
実施例5で調製したパッシベーション層形成用組成物Aを14.989g、BYK−410を0.156g混合してパッシベーション層形成用組成物13を調製した。
その後は、実施例1と同様にして、パッシベーション層形成用組成物13のチキソ性の評価、保存安定性の評価、印刷性の評価、及びパッシベーション層13の実効ライフタイムの評価、厚さの測定及び固定電荷密度の測定を行った。更に実施例1と同様にして、太陽電池素子13及び太陽電池13を作製し、太陽電池特性を評価した。
<実施例14>
実施例5で調製したパッシベーション層形成用組成物Aを15.102g、BYK−410を0.610g混合してパッシベーション層形成用組成物14を調製した。
その後は、実施例1と同様にして、パッシベーション層形成用組成物14のチキソ性の評価、保存安定性の評価、印刷性の評価、及びパッシベーション層14の実効ライフタイムの評価、厚さの測定及び固定電荷密度の測定を行った。更に実施例1と同様にして、太陽電池素子14及び太陽電池14を作製し、太陽電池特性を評価した。
<比較例1>
半導体基板へのパッシベーション層形成において、パッシベーション層形成用組成物を用いずに、ALD(Atomic Layer Deposition)法を用いて酸化アルミニウム(Al)からなるパッシベーション層C1を形成した。
具体的には、原子層堆積装置を用いて、Al層が20nmの厚さになるよう、成膜条件を調整した。尚、成膜後の膜厚はエリプソメーター(MARY−102、ファイブラボ)を用いて測定した。
上記の手法で、パッシベーション層C1の実効ライフタイム及び厚さの評価用基板、及び太陽電池素子C1及び太陽電池C1を作製し、実効ライフタイム、厚さ及び固定電荷密度の測定と、太陽電池C1の太陽電池特性を評価した。尚、それぞれの評価に用いた基板、種類、成膜パターン、受光面及び裏面の電極形成方法は、実施例1〜14と同じである。
<比較例2>
実施例1と同様にして、実施例5で調製したパッシベーション層形成用組成物Aのチキソ性の評価、保存安定性の評価、印刷性の評価、及びパッシベーション層Aの実効ライフタイムの評価、厚さの測定及び固定電荷密度の測定を行った。更に実施例1と同様にして、太陽電池素子A及び太陽電池Aを作製し、太陽電池特性を評価した。
<比較例3>
実施例5で調製したパッシベーション層形成用組成物Aを15.022g、ANTI−TERRA−203(ビックケミージャパン株式会社、ポリカルボン酸のアルキルアンモニウム塩の溶液、溶剤:アルキルベンゼン、不揮発分:50%)を0.153g混合してパッシベーション層形成用組成物15を調製した。
その後は、実施例1と同様にして、パッシベーション層形成用組成物15のチキソ性の評価、保存安定性の評価、印刷性の評価、及びパッシベーション層15の実効ライフタイムの評価、厚さの測定及び固定電荷密度の測定を行った。更に実施例1と同様にして、太陽電池素子15及び太陽電池15を作製し、太陽電池特性を評価した。
<比較例4>
実施例5で調製したパッシベーション層形成用組成物Aを15.013g、ANTI−TERRA−205(ビックケミージャパン株式会社、ポリアミノアマイドのポリカルボン酸塩の溶液、溶剤:メトキシプロパノール/イソパラフィン系炭化水素=3/2、不揮発分:52%)を0.155g混合してパッシベーション層形成用組成物16を調製した。
その後は、実施例1と同様にして、パッシベーション層形成用組成物16のチキソ性の評価、保存安定性の評価、印刷性の評価、及びパッシベーション層16の実効ライフタイムの評価、厚さの測定及び固定電荷密度の測定を行った。更に実施例1と同様にして、太陽電池素子16及び太陽電池16を作製し、太陽電池特性を評価した。
<比較例5>
太陽電池素子の作製において、裏面にパッシベーション層を形成せず、太陽電池素子C2及び太陽電池C2を作製し、太陽電池特性を評価した。
具体的には、受光面及び裏面にテクスチャー構造を形成し、受光面にn型拡散層及び窒化ケイ素からなる反射防止膜をPECVDにより約90nmの厚さで形成した。次いで、受光面には市販の銀電極ペースト(PV−16A、デュポン株式会社)をスクリーン印刷法にて図4に示すパターンで印刷し、これを150℃の温度で5分間加熱し、液状媒体を蒸散させることで乾燥処理を行った。一方、裏面には、市販のアルミニウム電極ペースト(PVG−AD−02、PVG Solutions株式会社)及び市販の銀電極ペースト(PV−505、デュポン株式会社)をスクリーン印刷法にて図9のパターンで印刷した。各電極ペーストを印刷した後、150℃の温度で5分間加熱し、液状媒体を蒸散させることで乾燥処理を行った。ここで、各電極ペーストの寸法及び印刷条件は、実施例1と同じとした。
続いて、トンネル炉(1列搬送W/Bトンネル炉、株式会社ノリタケカンパニーリミテド)を用いて大気中雰囲気下、最高温度800℃、保持時間10秒の条件で熱処理(焼成)を行って、所望の電極が形成された太陽電池素子C2を作製した。
上記で得られた太陽電池素子C2についても実施例1と同様に、受光面出力取出し電極及び裏面出力取出し電極の上に配線部材を接続し、その後ガラス板、封止材及びバックシートを用いて重ね合わせ、ラミネータを用いて真空ラミネートし、太陽電池C2を作製した。
実施例1〜14及び比較例1〜5で実施したパッシベーション層形成用組成物の組成を表1に示し、せん断粘度、チキソ性、印刷性及び保存安定性の評価結果、ライフタイム及び膜厚の測定結果、並びに、太陽電池の太陽電池特性の評価結果を表2に示す。表2中の「−」は測定又は評価を行っていないことを表す。
実施例1〜14で作製したパッシベーション層用組成物は、いずれも保存安定性及び印刷性が良好であることが分かった。更に、レオロジーコントロール剤を含まないか、レオロジーコントロール剤としてウレア結合を有しない化合物を含む比較例2〜4で作製したパッシベーション層用組成物よりもチキソ性が大きく、印刷性がより良好であることが分かった。
また、実施例1〜14で評価した実効ライフタイム及び太陽電池の発電性能は、比較例1で測定したものとほぼ同等であった。これにより、本発明のパッシベーション層形成用組成物を用いることにより、ALD法により形成される酸化アルミニウム(Al)のパッシベーション層に匹敵する優れたパッシベーション効果を有するパッシベーション層が形成されていることが分かった。
更に、作製した太陽電池の発電性能は、パッシベーション層形成用組成物に一般式(I)で表される化合物と一般式(II)で表される化合物の両方を含むものを用いた場合において、相対的に高くなる傾向があった。これについては、パッシベーション層形成用組成物中に一般式(I)で表される化合物と一般式(II)で表される化合物の両方を含むことで、熱処理(焼成)により一般式(I)で表される化合物に由来する金属と、一般式(II)で表される化合物との複合酸化物が形成され、より緻密で大きな負の固定電荷を持つパッシベーション層が形成される等の作用により、パッシベーション効果がより向上したものと考えられる。
1 p型半導体基板
2 n型拡散層
3 PSG層
4 反射防止膜
5 パッシベーション層
6 裏面集電用アルミニウム電極
7 裏面出力取出し電極
8 受光面集電用電極
9 受光面出力取出し電極
10 p型拡散層
11 裏面集電用アルミニウム電極
12 太陽電池素子
13 配線材料
14 封止材
15 バックシート
16 ガラス板

Claims (11)

  1. 下記一般式(I)で表される化合物と、ウレア結合を有する化合物と、を含有するパッシベーション層形成用組成物。
    M(OR (I)
    [式中、MはNb、Ta、V、Y及びHfからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を含む。Rはそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数6〜14のアリール基を表す。mは1〜5の整数を表す。]
  2. 前記ウレア結合を有する化合物はレオロジーコントロール剤である、請求項1に記載のパッシベーション層形成用組成物。
  3. 更に、下記一般式(II)で表される化合物を含有する、請求項1又は請求項2に記載のパッシベーション層形成用組成物。

    [式中、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基を表す。nは0〜3の整数を表す。X及びXはそれぞれ独立して酸素原子又はメチレン基を表す。R、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。]
  4. 前記ウレア結合を有する化合物の含有率が、パッシベーション層形成用組成物中に0.01質量%〜10質量%である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のパッシベーション層形成用組成物。
  5. 前記一般式(II)において、Rがそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基である請求項3又は請求項4に記載のパッシベーション層形成用組成物。
  6. 前記一般式(II)において、nが1〜3の整数であり、Rがそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基である請求項3〜請求項5のいずれか1項に記載のパッシベーション層形成用組成物。
  7. 半導体基板と、
    前記半導体基板の少なくとも一方の面の少なくとも一部に設けられる、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のパッシベーション層形成用組成物の熱処理物であるパッシベーション層と、
    を有するパッシベーション層付半導体基板。
  8. 半導体基板の少なくとも一方の面の少なくとも一部に、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のパッシベーション層形成用組成物を付与して組成物層を形成する工程と、
    前記組成物層を熱処理してパッシベーション層を形成する工程と、
    を有するパッシベーション層付半導体基板の製造方法。
  9. p型層及びn型層がpn接合されてなるpn接合を有する半導体基板と、
    前記半導体基板の少なくとも一方の面の少なくとも一部に設けられる、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のパッシベーション層形成用組成物の熱処理物であるパッシベーション層と、
    前記p型層及び前記n型層からなる群より選択される少なくとも一方の上に配置される電極と、
    を有する太陽電池素子。
  10. p型層及びn型層が接合されてなるpn接合を有する半導体基板の前記p型層及び前記n型層からなる群より選択される少なくとも一方の上に電極を配置する工程と、
    前記半導体基板の少なくとも一方の面であって前記電極が配置される面の少なくとも一部に請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のパッシベーション層形成用組成物を付与して組成物層を形成する工程と、
    前記組成物層を熱処理してパッシベーション層を形成する工程と、を有する太陽電池素子の製造方法。
  11. 請求項9に記載の太陽電池素子と、
    前記太陽電池素子の前記電極上に配置される配線材料と、
    を有する太陽電池。
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