JP2014167961A - パッシベーション膜用組成物、パッシベーション膜付半導体基板及びその製造方法、並びに太陽電池素子及びその製造方法 - Google Patents

パッシベーション膜用組成物、パッシベーション膜付半導体基板及びその製造方法、並びに太陽電池素子及びその製造方法 Download PDF

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Shuichiro Adachi
修一郎 足立
Takeshi Hayasaka
剛 早坂
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Abstract

【課題】簡便な手法で所望の形状のパッシベーション膜を形成することができ、保存安定性、緻密性に優れたパッシベーション膜用組成物と、これを用いたパッシベーション膜付半導体基板とその製造方法、太陽電池素子とその製造方法を提供する。
【解決手段】下記一般式(I)で表される金属アルコキシド化合物と、水と、加水分解触媒とを含むパッシベーション膜用組成物。
Figure 2014167961

[一般式(I)中、MはNb、Ta、V、Y、Hfのいずれかを表す。Rはそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基を表す。mは0〜5の整数を表す。]
【選択図】図1

Description

本発明は、パッシベーション膜用組成物、パッシベーション膜付半導体基板及びその製造方法、並びに太陽電池素子及びその製造方法に関する。
従来のシリコン太陽電池素子の製造工程について説明する。
まず、光閉じ込め効果を促して高効率化を図るよう、テクスチャー構造を形成したp型シリコン基板を準備し、続いてオキシ塩化リン(POCl)、窒素、酸素の混合ガス雰囲気において800〜900℃で数十分の処理を行って一様にn型拡散層を形成する。
この従来の方法では、混合ガスを用いてリンの拡散を行うため、表面のみならず、側面、裏面にもn型拡散層が形成される。そのため、側面のn型拡散層を除去するためのサイドエッチングを行う必要がある。また、裏面のn型拡散層はp型拡散層へ変換する必要があり、裏面全体にアルミペーストを塗布し、これを焼成してアルミ電極を形成することで、n型拡散層をp型拡散層にするのと同時に、オーミックコンタクトを得ている。
しかしながら、アルミペーストから形成されるアルミ電極は導電率が低く、シート抵抗を下げるために、通常裏面全面に形成したアルミ電極は焼成後において10〜20μmほどの厚みを有していなければならない。さらに、シリコンとアルミニウムでは熱膨張率が大きく異なることから、焼成および冷却の過程で、シリコン基板中に大きな内部応力を発生させ、結晶粒界のダメージ、結晶欠陥増長及び反りの原因となる。
この問題を解決するために、アルミペーストの塗布量を減らし、裏面電極層を薄くする方法がある。しかしながら、アルミペーストの塗布量を減らすと、p型シリコン半導体基板の表面から内部に拡散するアルミニウムの量が不十分となる。その結果、所望のBSF(Back Surface Field)効果(p型拡散層の存在により生成キャリアの収集効率が向上する効果)を達成することができないため、太陽電池の特性が低下するという問題が生じる。
上記に関連して、アルミペーストをシリコン基板表面の一部に付与して部分的にp層とアルミ電極とを形成するポイントコンタンクトの手法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このような受光面とは反対側(以下、「裏面側」ともいう)にポイントコンタクト構造を有する太陽電池の場合、アルミ電極以外の部分の表面において、少数キャリアの再結合速度を抑制する必要がある。そのための裏面側用の半導体基板パッシベーション膜(以下、単に「パッシベーション膜」ともいう)として、SiO膜などが提案されている(例えば、特許文献2参照)。このような酸化膜を形成することによるパッシベーション効果としては、シリコン基板の裏面表層部シリコン原子の未結合手を終端させ、再結合の原因となる表面準位密度を低減させる効果がある。
また、少数キャリアの再結合を抑制する別の方法として、パッシベーション膜内の固定電荷が発生する電界によって少数キャリア密度を低減する方法がある。このようなパッシベーション効果は一般に電界効果と呼ばれ、負の固定電荷をもつ材料として酸化アルミニウム(Al)膜などが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
このようなパッシベーション膜は、一般的にはALD(Atomic Layer Deposition)法やCVD(Chemical Vapor Depositon)法等の方法で形成される(例えば、非特許文献1参照)。また半導体基板上に酸化アルミニウム膜を形成する簡便な手法として、ゾルゲル法による手法が提案されている(例えば非特許文献2〜4参照)。
特許第3107287号公報 特開2004−6565号公報 特許第4767110号公報
Journal of Applied Physics、104(2008)、113703. Thin Solid Films、517(2009)、6327−6330. Chinese Physics Letters、26(2009)、088102. Nippon Seramikkusu Kyokai Gakujitsu Ronbunshi、97(1989)369−399.
非特許文献1に記載の手法は、蒸着などの複雑な製造工程を含むため、生産性を向上させることが困難な場合があった。また非特許文献2及び3に記載の手法に用いるパッシベーション膜形成用組成物では、経時的にゲル化等の不具合が発生してしまい保存安定性が充分とは言い難かった。
本発明は、以上の従来の問題点に鑑みなされたものであり、簡便な手法で所望の形状のパッシベーション膜を形成することができ、保存安定性、緻密性に優れたパッシベーション膜用組成物を提供することを課題とする。また、本発明は、これを用いたパッシベーション膜付半導体基板とその製造方法、太陽電池素子とその製造方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
<1>下記一般式(I)で表される金属アルコキシド化合物と、水と、加水分解触媒と、を含むパッシベーション層用組成物。
Figure 2014167961
[一般式(I)中、MはNb、Ta、V、Y、Hfのいずれかを表す。Rはそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基を表す。mは0〜5の整数を表す。]
<2> さらに下記一般式(III)で表される有機アルミニウム化合物を含む、前記<1>に記載のパッシベーション膜用組成物。
Figure 2014167961
[一般式(III)中、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基を表す。nは0〜3の整数を表す。X及びXはそれぞれ独立して酸素原子又はメチレン基を表す。R、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す]
<3>前記一般式(I)においてMがNbであるニオブ化合物を含み、前記ニオブ化合物の総含有率がNb換算で0.1〜80質量%である、前記<1>または<2>に記載のパッシベーション膜用組成物。
<4>前記一般式(III)で表される有機アルミニウム化合物の含有率が0.1〜80質量%である、前記<2>又は<3>に記載のパッシベーション膜用組成物。
<5>前記パッシベーション膜用組成物が、さらに、分散媒を含む、前記<1>〜<4>のいずれか一項に記載のパッシベーション膜用組成物。
<6>前記加水分解触媒が、塩酸、硝酸、硫酸、ホウ酸、リン酸、フッ化水素酸からなる群から選ばれる少なくとも一つを含有する、前記<1>〜<5>のいずれか一項に記載のパッシベーション膜用組成物。
<7>前記加水分解触媒が、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、オレイン酸、リノール酸、サリチル酸、安息香酸、フタル酸、蓚酸、乳酸、コハク酸からなる群から選ばれる少なくとも一つの有機酸である前記<1>〜<5>のいずれか一項に記載のパッシベーション膜用組成物。
<8>前記加水分解触媒が、アンモニア、アミンからなる群から選ばれる少なくとも一つを含む、前記<1>〜<5>のいずれか一項に記載のパッシベーション膜用組成物。
<9>前記分散媒が、テルペン系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、及びアルコール系溶剤から選らばれる少なくとも一種を含む、前記<5>〜<8>のいずれか一項に記載のパッシベーション膜用組成物。
<10>半導体基板と、前記半導体基板上の全面又は一部に設けられる、前記<1>〜<9>のいずれか一項に記載のパッシベーション膜用組成物の焼成物層と、を有するパッシベーション膜付半導体基板。
<11>半導体基板上の全面又は一部に、前記<1>〜<9>のいずれか一項に記載のパッシベーション膜用組成物を用いて組成物層を形成する工程と、
前記組成物層を加熱処理して、パッシベーション膜を形成する工程と、
を有するパッシベーション膜付半導体基板の製造方法。
<12>p型層及びn型層がpn接合されてなる半導体基板と前記半導体基板上の全面又は一部に設けられた前記<1>〜<9>のいずれか一項に記載のパッシベーション膜用組成物の焼成物層と、
前記半導体基板の前記p型層及びn型層の少なくとも一方の層上に配置された電極と、を有する太陽電池素子。
<13>p型層及びn型層が接合されてなるpn接合を有し、前記p型層及びn型層の少なくとも一方の層上に電極を有する半導体基板の、前記電極を有する面の一方又は両方の面上に、前記<1>〜<9>のいずれか一項に記載のパッシベーション膜用組成物を用いて組成物層を形成する工程と、
前記組成物層を焼成処理して、パッシベーション膜を形成する工程と、
を有する太陽電池素子の製造方法。
本発明によれば、保存安定性に優れ、簡便な手法で所望の形状に半導体基板にパッシベーション膜を形成することができるパッシベーション膜用組成物を提供することができる。このパッシベーション膜用組成物を半導体基板に付与して所望の形状の組成物層を形成し、これを焼成処理することで緻密で、優れたパッシベーション効果を有するパッシベーション膜を所望の形状に形成することができる。本発明の手法は、蒸着装置等を必要としない簡便で生産性の高い方法であり、さらにマスク処理等の煩雑な工程を要することなく、所望の形状に緻密なパッシベーション膜を形成できる。また前記パッシベーション膜用組成物は、ゲル化等の不具合の発生が抑制されて経時的な保存安定性に優れる。また、本発明によればパッシベーション膜用組成物を用いて緻密なパッシベーション膜付半導体基板及びその製造方法、並びに太陽電池素子及びその製造方法を提供することができる。
本実施形態にかかるパッシベーション膜用組成物を用いてパッシベーション膜を有する太陽電池素子の製造方法の一例を模式的に示す工程図の断面図である。 本実施形態にかかるパッシベーション膜用組成物を用いてパッシベーション膜を有する太陽電池素子の製造方法の他の一例を模式的に示す工程図の断面図である。 本実施形態にかかるパッシベーション膜用組成物を用いてパッシベーション膜を有する太陽電池素子(裏面電極型太陽電池素子)の製造方法の他の一例を模式的に示す断面図である。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。また本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。さらに本明細書において組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
<パッシベーション膜用組成物>
本発明のパッシベーション膜用組成物は、下記一般式(I)で表される金属アルコキシド化合物と、水と、加水分解触媒と、を含む。
Figure 2014167961
[一般式(I)中、MはNb、Ta、V、Y、Hfのいずれかを表す。Rはそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基を表す。mは0〜5の整数を表す。]
そして、本発明は、さらに下記一般式(III)で表される有機アルミニウム化合物を含むと好ましい。
Figure 2014167961
[一般式(III)中、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基を表す。nは0〜3の整数を表す。X及びXはそれぞれ独立して酸素原子又はメチレン基を表す。R、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す]
ここでR〜R、X及びXのいずれかが複数存在する場合、複数存在する同一の記号で表される基は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
パッシベーション膜用組成物が特定化合物を含むパッシベーション膜用組成物を、半導体基板に付与して所望の形状の組成物層を形成し、これを焼成処理することで、優れたパッシベーション効果を有するパッシベーション膜を所望の形状に形成することができる。本発明の手法は、蒸着装置等を必要としない簡便で生産性の高い方法である。さらにマスク処理等の煩雑な工程を要することなく、所望の形状にパッシベーション膜を形成できる。また前記パッシベーション膜用組成物は特定化合物を含むことで、ゲル化等の不具合の発生が抑制されて経時的な保存安定性に優れる。
上記一般式(I)で表される金属アルコキシド化合物、または、上記一般式(I)と上記一般式(III)で表される有機アルミニウム化合物の特定化合物を含有することで、優れたパッシベーション効果を有するパッシベーション膜を形成できる理由について、発明者らは以下のように考えている。
特定の金属アルコキシド金属酸化物の前駆体である有機アルミニウム化合物を含有するパッシベーション膜形成用組成物を焼成処理することにより金属原子や酸素原子の欠陥等が生じて半導体基板との界面付近に大きな固定電荷が発生すると考えられる。この大きな固定電荷が半導体基板の界面近辺で電界を発生することで少数キャリアの濃度を低下させることができ、結果的に界面でのキャリア再結合速度が抑制されるため、優れたパッシベーション効果を有するパッシベーション膜を形成することができると考えられる。
本発明のパッシベーション膜用組成物は、焼成されて得られるパッシベーション膜中に少なくとも固定電荷を有する化合物を含むことが好ましい。このような固定電荷を有する化合物として、二酸化ハフニウム(HfO2)、三酸化二アルミニウム(Al23)、五酸化二タンタル(Ta25)、三酸化二ランタン(La23)、三酸化二イットリウム(Y23)、二酸化ジルコニウム(ZrO2)、三酸化二プラセオジム(Pr23)、三酸化二ネオジム(Nd23)、三酸化二プロメチウム(Pm23)、三酸化二サマリウム(Sm23)、三酸化二ユウロピウム(Eu23)、三酸化二ガドリニウム(Gd23)、三酸化二テルビウム(Tb23)、三酸化二ジスプロシウム(Dy23)、三酸化二ホルミウム(Ho23)、三酸化二エルビウム(Er23)、三酸化二ツリウム(Tm23)、三酸化二イッテルビウム(Yb23)、三酸化二ルテチウム(Lu23)、五酸化二二オブ(Nb)もしくは二酸化チタン(TiO2)が挙げられ、中でもAl、Ta、HfO、Y、Nb、Vからなる群から選ばれる少なくとも一つを用いることが好ましい。半導体基板表面に固定電荷を有すると、バンドベンディングが起きて、キャリアの再結合が抑制される。
本明細書において、半導体基板のパッシベーション効果は、半導体基板にパッシベーション膜を付与した半導体基板内の少数キャリアの実効ライフタイムの測定を、日本セミラボ株式会社製WT−2000PVN等の装置を用いて、反射マイクロ波導電減衰法によって測定することで評価することができる。
ここで、実効ライフタイムτは、半導体基板内部のバルクライフタイムτと、半導体基板表面の表面ライフタイムτとによって下記式(A)のように表される。半導体基板表面の表面準位密度が小さい場合にはτが大きくなる結果、実効ライフタイムτが大きくなる。また、半導体基板内部のダングリングボンド等の欠陥が少なくなっても、バルクライフタイムτが大きくなって実効ライフタイムτが大きくなる。すなわち、実効ライフタイムτの測定によってパッシベーション膜/半導体基板の界面特性、及び、ダングリングボンドなどの半導体基板の内部特性を評価することができる。
1/τ=1/τ+1/τ (A)
尚、実効ライフタイムが長いほど少数キャリアの再結合速度が遅いことを示す。また実効ライフタイムが長い半導体基板を用いて太陽電池素子を構成することで、変換効率が向上する。
前記パッシベーション膜用組成物は、前記一般式(I)で表される金属アルコキシド化合物(以下、「金属アルコキシド」ともいう)を含む。ORとしては独立した異なる基であっても、同一であってもよく、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基、ヘキシロキシ基、ヘプトキシ基、ペントキシ基、フェニル基などを例示することができ、直鎖状であっても、分岐状であってもどちらでもよい。また、ハロゲン化アルコキシ基であってもよい。中心金属としては、Nb、Ta、V、Y、Hfからなる群の少なくとも一つであることが好ましい。これらの金属アルコキシドを含むパッシベーション膜は、詳細な理由は不明であるが、高いパッシベーション効果を示す傾向にある。
金属アルコキシドにキレート試薬(キレート化剤)を添加してもよい。キレート試薬としては、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、ビピリジン、ヘム、ナフチリジン、ベンズイミダゾリルメチルアミン、β−ジケトン類、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、酒石酸、マレイン酸、フタル酸などのジカルボン酸類、β―ジケトン化合物、β―ケトエステル化合物、及びマロン酸ジエステルを例示することができる。具体的には、アセチルアセトン、3−メチル−2,4−ペンタンジオン、2,3−ペンタンジオン、3−エチル−2,4−ペンタンジオン、3−ブチル−2,4−ペンタンジオン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン、2,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオン、6−メチル−2,4−ヘプタンジオン等のβ―ジケトン化合物;アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸プロピル、アセト酢酸イソブチル、アセト酢酸ブチル、アセト酢酸tert−ブチル、アセト酢酸ペンチル、アセト酢酸イソペンチル、アセト酢酸ヘキシル、アセト酢酸n−オクチル、アセト酢酸ヘプチル、アセト酢酸3−ペンチル、2−アセチルヘプタン酸エチル、2−ブチルアセト酢酸エチル、4,4−ジメチル−3−オキソ吉草酸エチル、4−メチル−3−オキソ吉草酸エチル、2−エチルアセト酢酸エチル、ヘキシルアセト酢酸エチル、4−メチル−3−オキソ吉草酸メチル、アセト酢酸イソプロピル、3−オキソヘキサン酸エチル、3−オキソ吉草酸エチル、3−オキソ吉草酸メチル、3−オキソヘキサン酸メチル、2−メチルアセト酢酸エチル、3−オキソヘプタン酸エチル、3−オキソヘプタン酸メチル、4,4−ジメチル−3−オキソ吉草酸メチル等のβ−ケトエステル化合物;マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジプロピル、マロン酸ジイソプロピル、マロン酸ジブチル、マロン酸ジ−tert−ブチル、マロン酸ジヘキシル、マロン酸tert−ブチルエチル、メチルマロン酸ジエチル、エチルマロン酸ジエチル、イソプロピルマロン酸ジエチル、ブチルマロン酸ジエチル、sec−ブチルマロン酸ジエチル、イソブチルマロン酸ジエチル、1−メチルブチルマロン酸ジエチル等のマロン酸ジエステル、トリエタノールアミン、乳酸アンモニウム等のアミン類を例示することができる。
前記パッシベーション膜用組成物は、金属酸化物(以下、「特定の金属酸化物」ともいう)、Al、Y、HfO2、Nb、Ta、Vを含んでいても良い。これらの金属酸化物を含むパッシベーション膜は、詳細な理由は不明であるが、高いパッシベーション効果を示す傾向にある。これらの化合物は、焼成する工程後に金属酸化物になっていればよく、パッシベーション膜形成用組成物中には、その前駆体として含んでいてもよい。具体的には、二オブ酸、塩化二オブ、一酸化二オブ、炭化二オブ、水酸化二オブ、タンタル酸、塩化タンタル、五臭化タンタル、オキシ塩化バナジウム、三酸化二バナジウム、オキソビス(2,4−ペンタンジオナト)バナジウム、塩化イットリウム、硝酸イットリウム、シュウ酸イットリウム、ステアリン酸イットリウム、炭酸イットリウム、ナフテン酸イットリウム、プロピオン酸イットリウム、硝酸イットリウム、オクチル酸イットリウム、塩化ハフニウム、テトラキス(2,4−ペンタンジオナト)ハフニウムなどを例示することができる。
前記パッシベーション膜用組成物は、前記一般式(III)で表される有機アルミニウム化合物を含むと好ましい。前記有機アルミニウム化合物は、アルミニウムアルコキシド、アルミニウムキレートなどと呼ばれる化合物であり、アルミニウムアルコキシド構造に加えてアルミニウムキレート構造を有していることが好ましい。アルミニウムアルコキシド構造の状態でパッシベーション膜用組成物中に存在する場合には、キレート試薬(キレート化剤)を添加することが好ましい。
Nippon Seramikkusu Kyokai Gakujitsu Ronbunshi、97(1989)369−399にも記載されているように、前記有機アルミニウム化合物は焼成処理により酸化アルミニウム(Al)となる。
アルミニウムアルコキシドにキレート試薬を加える、またはキレート化したアルミニウム化合物を用いることで、アルミニウム化合物の熱的及び化学的安定性が向上し、熱処理した際の酸化アルミニウムへの転移が抑制され、結果として熱力学的に安定な結晶化酸化アルミニウムへの転移が抑制され、アモルファス酸化アルミニウムが形成され易くなると考えられる。
なお、形成された特定化合物の状態はX線回折スペクトル(XRD、X−ray diffraction)を測定することにより確認できる。例えば、XRDが特定の反射パターンを示さないことでアモルファス構造であることが確認できる。パッシベーション膜形成用組成物が前記一般式(III)で表される有機アルミニウム化合物を含む場合、焼成して得られるパッシベーション膜中の酸化アルミニウムはアモルファス構造であることが好ましい。酸化アルミニウムがアモルファス状態であると、アルミニウム欠損又は酸素欠損が生じやすく、パッシベーション膜中に固定電荷が発生しやすく、大きなパッシベーション効果が得られやすい。
また、特定化合物がもつ固定電荷は、CV法(Capacitance Voltage measurement)で評価することが可能である。ただし、本発明のパッシベーション膜用組成物から形成された特定化合物の焼成層について、CV法から得られるその表面準位密度は、ALDやCVD法で形成される酸化アルミニウム層の場合と比べ、大きな値となる場合がある。しかし本発明のパッシベーション膜用組成物から形成されたパッシベーション膜は、電界効果が大きく少数キャリアの濃度が低下して表面ライフタイムτが大きくなる。そのため、表面準位密度は相対的に問題にはならない。
一般式(III)において、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基を表す。Rで表されるアルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。Rで表されるアルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、エチルヘキシル基等を挙げることができる。中でもRで表されるアルキル基は、保存安定性とパッシベーション効果の観点から、炭素数1〜8の無置換のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜4の無置換のアルキル基であることがより好ましい。
一般式(III)において、nは0〜3の整数を表わす。nは保存安定性の観点から、1〜3の整数であることが好ましく、1又は3であることがより好ましい。またX及びXはそれぞれ独立して酸素原子又はメチレン基を表す。保存安定性の観点から、X及びXのすくなくとも一方は酸素原子であることが好ましい。
一般式(III)におけるR、R及びRは、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。R、R及びRで表されるアルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。R、R及びRで表されるアルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、エチルヘキシル基等を挙げることができる。
中でも保存安定性とパッシベーション効果の観点から、R、Rはそれぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜8の無置換のアルキル基であることが好ましく、水素原子又は炭素数1〜4の無置換のアルキル基であることがより好ましい。
またRは、保存安定性とパッシベーション効果の観点から、水素原子又は炭素数1〜8の無置換のアルキル基であることが好ましく、水素原子又は炭素数1〜4の無置換のアルキル基であることがより好ましい。
一般式(III)で表される有機アルミニウム化合物は、保存安定性とパッシベーション効果の観点から、nが0であり、Rがそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基である化合物、及びnが1〜3であり、Rがそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基であり、X及びXの少なくとも一方が酸素原子であり、R及びRがそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、Rが水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基である化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、nが0であり、Rが炭素数1〜4の無置換のアルキル基である化合物、及びnが1〜3であり、Rが炭素数1〜4の無置換のアルキル基であり、X及びXの少なくとも一方が酸素原子であり、前記酸素原子に結合するR又はRが炭素数1〜4のアルキル基であり、X又はXがメチレン基の場合、前記メチレン基に結合するR又はRが水素原子であり、Rが水素原子である化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
一般式(III)で表され、nが0の有機アルミニウム化合物であるアルミニウムトリアルコキシドとして具体的には、トリメトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、トリsec−ブトキシアルミニウム、モノsec-ブトキシ−ジイソプロポキシアルミニウム、トリtert−ブトキシアルミニウム、トリn−ブトキシアルミニウム等を挙げることができる。
また一般式(III)で表され、nが1〜3である有機アルミニウム化合物は、前記アルミニウムトリアルコキシドと、2つのカルボニル基を有する特定構造の化合物とを混合することで調製することができる。また市販されているアルミニウムキレート化合物を用いてもよい。前記アルミニウムトリアルコキシドと、キレート試薬とを混合すると、アルミニウムトリアルコキシドのアルコキシド基の少なくとも一部が特定構造の化合物と置換して、アルミニウムキレート構造を形成する。
このとき必要に応じて、分散媒が存在してもよく、また加熱処理や触媒の添加を行ってもよい。アルミニウムアルコキシド構造の少なくとも一部がアルミニウムキレート構造に置換されることで、有機アルミニウム化合物の加水分解や重合反応に対する安定性が向上し、これを含むパッシベーション膜用組成物の保存安定性がより向上する。
前記有機アルミニウム化合物がアルミニウムキレート構造を有する場合、アルミニウムキレート構造の数は1〜3であれば特に制限されない。中でも、保存安定性の観点から、1又は3であることが好ましく、1であることがより好ましい。アルミニウムキレート構造の数は、例えば前記アルミニウムトリアルコキシドと、アルミニウムとキレートを形成し得る化合物とを混合する比率を適宜調整することで制御することができる。また市販のアルミニウムキレート化合物から所望の構造を有する化合物を適宜選択してもよい。
前記特定化合物におけるアルコキシド構造及びキレート構造の存在は、通常用いられる分析方法で確認することができる。例えば、赤外分光スペクトル、核磁気共鳴スペクトル、融点等を用いて確認することができる。
前記パッシベーション膜用組成物に含まれる前記特定化合物(一般式(I)、(III))の含有量は、必要に応じて適宜選択することができる。例えば、保存安定性とパッシベーション効果の観点から、パッシベーション膜用組成物中に0.1〜100質量%とすることができ、1〜60質量%であることが好ましく、2〜40質量%であることがより好ましく、3〜30質量%であることがさらに好ましい。
前記特定化合物は、液状であっても固体であってもよく、特に制限はない。パッシベーション効果と保存安定性の観点から、常温での安定性や、溶解性又は分散性が良好な常温での安定性や、溶解性又は分散性が良好な化合物であることで、形成されるパッシベーション膜の均一性がより向上し、所望のパッシベーション効果を安定的に得ることができる。
前記パッシベーション膜用組成物中に、前記一般式(I)又は前記金属酸化物においてMがNbである二オブ化合物を含む場合には、含有量がNb換算で0.1〜80質量%であることが好ましく、30〜70質量%であることが更に好ましい。パッシベーション膜中の組成としては、例えば、Nb−Al、Nb−Ta、Nb−Y、Nb−V、Nb−HfOなどの二元系複合酸化物やNb−Al−Ta、Nb−Y−Ta、Nb−Al−V、Nb−HfO−Taなどの三元系複合酸化物が挙げられる。
前記パッシベーション膜用組成物が、前記一般式(III)で表される有機アルミニウム化合物を含む場合には、その含有率が0.1〜80質量%であることが好ましく、10〜70質量%であることが更に好ましい。パッシベーション膜中の組成としては、例えば、Nb−Al、Al−Ta、Al−Y、Al−V、Al−HfOなどの二元系複合酸化物やNb−Al−Ta、Al−Y−Ta、Nb−Al−V、Al−HfO−Taなどの三元系複合酸化物が挙げられる。
(水及び加水分解触媒)
本発明のパッシベーション膜用組成物は、水及び加水分解触媒を含む。もしくは、水及び加水分解触媒が存在する状態で反応を進行させ、加水分解重合させた後は、水、触媒を留去してもよい。加水分解触媒としては、塩酸、硝酸、硫酸、ホウ酸、リン酸、フッ化水素酸、クロロスルホン酸、パラ−トルエンスルホン酸、トリクロロ酢酸、ポリリン酸、ヨウ素酸、無水ヨウ素酸、及び過塩素酸、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、オレイン酸、リノール酸、サリチル酸、安息香酸、フタル酸、蓚酸、乳酸、コハク酸を例示することができる。また、塩基触媒として、アンモニア、アミン、苛性ソーダ、水酸化カリウム、n−ブチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、イミダゾール、及びアンモニウムパークロレートを例示することができる。水及び加水分解触媒を含むパッシベーション膜用組成物を用いて形成されたパッシベーション膜は、緻密な膜となりやすく、詳細な機構は不明であるが、パッシベーション効果が持続しやすい。
前記パッシベーション膜用組成物に含まれる加水分解触媒の含有量に特に制限はないが、0.01〜10質量%であることが好ましく、0.05〜5質量%であることがさらに好ましい。加水分解触媒が0.05質量%以上であると、触媒による反応促進の効果が顕著になり、緻密な膜となりやすい。また、5質量%以下であると、パッシベーション膜形成時における留去が容易となり、空隙及び孔が少ない膜となりやすい。また、前記パッシベーション膜用組成物に含まれる水の含有量に特に制限はないが、0.01〜30質量%であることが好ましく、0.5〜10質量%であることがさらに好ましい。水が0.01質量%以上であると反応促進の効果得られ、緻密な膜となりやすい。30質量%以下であると、基板へのパッシベーション膜用組成物の塗布時の液ダレが起き難い傾向にある。
(分散媒)
前記パッシベーション膜用組成物は分散媒を含むことが好ましい。パッシベーション膜用組成物が分散媒を含有することで、粘度の調整がより容易になり、付与性がより向上すると共により均一な焼成層を形成することができる。前記分散媒としては特に制限されず、必要に応じて適宜選択することができる。
分散媒として具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−i−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジ−i−ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン等のケトン系溶剤;ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、メチル−n−プロピルエーテル、ジ−i−プロピルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、テトラエチレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラプロピレングリコールジエチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチルエチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル等のエーテル系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸ジエチレングリコールメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸i−アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、エチレングリコールメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等のエステル系溶剤;アセトニトリル、N−メチルピロリジノン、N−エチルピロリジノン、N−プロピルピロリジノン、N−ブチルピロリジノン、N−ヘキシルピロリジノン、N−シクロヘキシルピロリジノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶剤;メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、i−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、t−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等のアルコール系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エトキシトリグリコール、テトラエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールモノエーテル系溶剤;α−テルピネン、α−テルピネオール、ミルセン、アロオシメン、リモネン、ジペンテン、α−ピネン、β−ピネン、ターピネオール、カルボン、オシメン、フェランドレン等のテルペン系溶剤、イソボルニルシクロヘキサノール;水などが挙げられる。これらは1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
中でも前記分散媒は、半導体基板への付与性及びパターン形成性の観点から、テルペン系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤及びアルコール系溶剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、テルペン系溶剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましい。
パッシベーション膜用組成物中の分散媒の含有量は、付与性、パターン形成性、保存安定性を考慮し決定される。例えば分散媒の含有量は、組成物の付与性とパターン形成性の観点から、パッシベーション膜用組成物中に5〜98質量%であることが好ましく、10〜95質量%であることがより好ましい。
(樹脂)
前記パッシベーション膜用組成物は、樹脂の少なくとも1種を含むことが好ましい。樹脂を含むことで、前記パッシベーション膜用組成物が半導体基板上に付与されて形成される組成物層の形状安定性がより向上し、パッシベーション膜を前記組成物層が形成された領域に、所望の形状で選択的に形成することができる。
前記樹脂の種類は特に制限されない。中でもパッシベーション膜用組成物を半導体基板上に付与する際に、良好なパターン形成ができる範囲に粘度調整が可能な樹脂であることが好ましい。前記樹脂として具体的には、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド類、ポリビニルアミド類、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド類、ポリスルホン酸、アクリルアミドアルキルスルホン酸、セルロース、セルロースエーテル類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体、ゼラチン及びゼラチン誘導体、澱粉及び澱粉誘導体、アルギン酸ナトリウム類、キサンタン及びキサンタン誘導体、グア及びグア誘導体、スクレログルカン及びスクレログルカン誘導体、トラガカント及びトラガカント誘導体、デキストリン及びデキストリン誘導体、(メタ)アクリル酸樹脂、(メタ)アクリル酸エステル樹脂(例えば、アルキル(メタ)アクリレート樹脂、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート樹脂等)、ブタジエン樹脂、スチレン樹脂、シロキサン樹脂及びこれらの共重合体などを挙げることができる。
これらの樹脂のなかでも、保存安定性とパターン形成性の観点から、酸性及び塩基性の官能基を有さない中性樹脂を用いることが好ましく、含有量が少量の場合においても容易に粘度及びチキソ性を調節できる観点から、セルロース誘導体を用いることがより好ましい。
またこれら樹脂の分子量は特に制限されず、組成物としての所望の粘度を鑑みて適宜調整することが好ましい。前記樹脂の重量平均分子量は、保存安定性とパターン形成性の観点から、100〜10,000,000であることが好ましく、1,000〜5,000,000であることがより好ましい。なお、樹脂の重量平均分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて測定される分子量分布から標準ポリスチレンの検量線を使用して換算して求められる。
これら樹脂は1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
前記樹脂のパッシベーション膜用組成物中の含有率は、必要に応じて適宜選択することができる。例えばパッシベーション膜用組成物中に0.1〜30質量%であることが好ましい。パターン形成をより容易にするようなチキソ性を発現させる観点から、前記含有率は1〜25質量%であることがより好ましく、1.5〜20質量%であることがより好ましく、1.5〜10質量%であることがさらに好ましい。
また前記パッシベーション膜用組成物における前記特定化合物と前記樹脂の含有比率は、必要に応じて適宜選択することができる。中でも、パターン形成性と保存安定性の観点から、特定化合物の総量に対する樹脂の含有比率(樹脂/特定化合物)は、0.001〜1000であることが好ましく、0.01〜100であることがより好ましく、0.1〜1であることがさらに好ましい。
前記パッシベーション膜用組成物は、必要に応じて、その他の成分として、増粘剤、湿潤剤、界面活性剤、無機粉末、ケイ素原子を含む樹脂、チキソ剤などの各種添加剤を含有してもよい。
無機粉末としてはシリカ(酸化ケイ素)、クレイ、炭化ケイ素、窒化ケイ素、モンモリロナイト、ベントナイト、カーボンブラックなどを例示することができるが、これらの中でもシリカを成分として含むフィラーを用いることが好ましい。ここで、クレイとは層状粘土鉱物を示し、具体的にはカオリナイト、イモゴライト、モンモリロナイト、スメクタイト、セリサイト、イライト、タルク、スチーブンサイト、ゼオライト等が挙げられる。無機粉末をパッシベーション膜用組成物へ添加することで、前記パッシベーション膜用組成物の印刷性が向上する傾向にある。
前記界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤などが挙げられる。中でも、半導体デバイスへの重金属等の不純物の持ち込みが少ないことからノニオン系界面活性剤又はカチオン系界面活性剤が好ましい。更にはノニオン系界面活性剤としてシリコン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、炭化水素系界面活性剤が例示される。前記パッシベーション膜用組成物の印刷物の膜均一性(膜厚、組成)が向上する傾向にある。
ケイ素原子を含む樹脂としては、両末端リジン変性シリコーン、ポリアミド・シリコーン交互共重合体、側鎖アルキル変性シリコーン、側鎖ポリエーテル変性シリコーン、両末端アルキル変性シリコーン、シリコーン変性プルラン、シリコーン変性アクリルを例示することができる。前記パッシベーション膜用組成物の印刷物の膜均一性(膜厚、組成)が向上する傾向にある。
チキソ剤としてはポリエーテル化合物、脂肪酸アミド、ヒュームドシリカ、水素添加ひまし油、尿素ウレタンアミド、ポリビニルピロリドン、オイル系ゲル化剤を例示することができる。前記パッシベーション膜用組成物の印刷物の細線形成性(印刷時及び乾燥時の線の肥大化抑制)が改善する傾向にある。ポリエーテル化合物としてはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(エチレン−プロピレン)グリコール共重合体を例示することができる。
前記パッシベーション膜用組成物の粘度は特に制限されず、半導体基板への付与方法等に応じて適宜選択するこができる。例えば、0.01〜10000Pa・sとすることができる。中でもパターン形成性の観点から、0.1〜1000Pa・sであることが好ましい。なお、前記粘度は回転式せん断粘度計を用いて、25℃、せん断速度1.0s−1で測定される。
また前記パッシベーション膜用組成物のせん断粘度は特に制限されない。中でもパターン形成性の観点から、せん断速度1.0s−1におけるせん断粘度ηをせん断速度10s−1におけるせん断粘度ηで除して算出されるチキソ比(η/η)が1.05〜100であることが好ましく、1.1〜50であることがより好ましい。
なお、せん断粘度は、コーンプレート(直径50mm、コーン角1°)を装着した回転式のせん断粘度計を用いて、温度25℃で測定される。
前記パッシベーション膜用組成物の製造方法には特に制限はない。例えば、特定化合物と樹脂と必要に応じて分散媒とを、通常用いられる混合方法で混合することで製造することができる。また樹脂を分散媒に溶解した後、これと特定化合物とを混合することで製造してもよい。
さらに前記有機アルミニウム化合物は、金属アルコキシドと、金属元素とキレートを形成可能な化合物とを混合して調製してもよい。その際、適宜分散媒を用いても、加熱処理を行ってもよい。このようにして調製した特定化合物と、樹脂又は樹脂を含む溶液とを混合してパッシベーション膜用組成物を製造してもよい。
なお、前記パッシベーション膜用組成物中に含まれる成分、及び各成分の含有量はTG/DTA等の熱分析、NMR、IR等のスペクトル分析、HPLC、GPC等のクロマトグラフ分析などを用いて確認することができる。
<パッシベーション膜付半導体基板と、その製造方法>
本発明のパッシベーション膜付半導体基板は、半導体基板と、前記半導体基板上の全面又は一部に設けられ、前記のパッシベーション膜用組成物の焼成物層と、を有するパッシベーション膜付半導体基板である。
本発明のパッシベーション膜付半導体基板の製造方法は、半導体基板上の全面又は一部に、前記パッシベーション膜用組成物を用いて、組成物層を形成する工程と、前記組成物層を加熱(焼成)処理してパッシベーション膜を形成する工程とを有する。前記製造方法は必要に応じてその他の工程を更に含んでいてもよい。
前記パッシベーション膜用組成物を用いることで、優れたパッシベーション効果を有するパッシベーション膜を所望の形状に、簡便な方法で形成することができる。
前記パッシベーション膜用組成物を付与する半導体基板としては特に制限されず、目的に応じて通常用いられるものから適宜選択することができる。前記半導体基板としては、シリコン、ゲルマニウム等にp型不純物又はn型不純物をドープしたものであれば特に制限されない。中でもシリコン基板であることが好ましい。また半導体基板は、p型半導体基板であっても、n型半導体基板であってもよい。中でもパッシベーション効果の観点から、パッシベーション膜が形成される面がp型層である半導体基板であることが好ましい。前記半導体基板上のp型層は、p型半導体基板に由来するp型層であっても、p型拡散層又はp型拡散層として、n型半導体基板又はp型半導体基板上に形成されたものであってもよい。
また前記半導体基板の厚みは特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば50〜1000μmとすることができ、75〜750μmであることが好ましい。
前記パッシベーション膜付き半導体基板の製造方法は、前記組成物層を形成する工程の前に、半導体基板アルカリ水溶液を付与する工程をさらに有することが好ましい。
すなわち、半導体基板上に前記パッシベーション膜用組成物を付与する前に、半導体基板の表面をアルカリ水溶液で洗浄することが好ましい。
アルカリ水溶液で洗浄することで、半導体基板表面に存在する有機物、パーティクル等を除去することができ、パッシベーション効果がより向上する。
アルカリ水溶液による洗浄の方法としては、一般的に知られているRCA洗浄などを例示することができる。例えばアンモニア水−過酸化水素水の混合溶液に半導体基板を浸し、60〜80℃で処理することで、有機物及びパーティクルを除去、洗浄することできる。
洗浄時間は、10秒〜10分間であることが好ましく、30秒〜5分間であることがさらに好ましい。
半導体基板上に、前記パッシベーション膜用組成物を用いて組成物層を形成する方法には特に制限はない。例えば、公知の塗布方法等を用いて、半導体基板上に前記パッシベーション膜用組成物を付与する方法を挙げることができる。
具体的には、浸漬法、印刷法、スピン法、刷毛塗り、スプレー法、ドクターブレード法、ロールコーター法、インクジェット法等を挙げることができる。これらの中でもパターン形成性の観点から、各種の印刷法、インクジェット法等が好ましい。
前記パッシベーション膜用組成物の付与量は、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、形成されるパッシベーション膜の膜厚が、後述する所望の膜厚となるように適宜調整することができる。
パッシベーション膜用組成物によって形成された組成物層を加熱(焼成)処理して、前記組成物層に由来する焼成物層を形成することで、半導体基板上に半導体基板パッシベーション膜を形成することができる。
組成物層の加熱(焼成)条件は、パッシベーション層として使用される際に、金属酸化物に変換される条件であれば特に制限はない。たとえば、組成物層に含まれる金属アルコキシドや有機アルミニウム化合物をその焼成物である金属酸化物や酸化アルミニウム(Al)に変換可能であれば特に制限されない。中でも結晶構造を持たないアモルファス状の金属酸化物層を形成可能な加熱(焼成)条件であることが好ましい。半導体基板パッシベーション膜がアモルファス状の金属酸化物層で構成されることで、半導体基板パッシベーション膜により効果的に負電荷を持たせることができ、より優れたパッシベーション効果を得ることができる。具体的に、加熱(焼成)温度は400〜900℃が好ましく、600〜800℃がより好ましい。また焼成時間は焼成温度等に応じて適宜選択できる。例えば、0.1〜10時間とすることができ、0.2〜5時間であることが好ましい。
前記パッシベーション膜付半導体基板の製造方法によって製造されるパッシベーション膜の膜厚は特に制限されず、目的に応じて適宜選択できる。例えば、5nm〜50μmであることが好ましく、10nm〜30μmであることが好ましく、15nm〜20μmであることが更に好ましい。
尚、形成されたパッシベーション膜の膜厚は、触針式段差・表面形状測定装置(例えば、Ambios社製)、干渉式膜厚測定計を用いて常法により測定される。干渉式膜厚測定計とは、薄膜の表面及び基板との界面からの反射光を分光解析することにより、薄膜の膜厚を測定する方法である。
前記パッシベーション膜付き半導体基板の製造方法は、パッシベーション膜用組成物を付与した後、加熱(焼成)処理によってパッシベーション膜を形成する工程の前に、パッシベーション膜用組成物からなる組成物層を乾燥処理する工程をさらに有していてもよい。組成物層を乾燥処理する工程を有することで、より均一なパッシベーション効果を有するパッシベーション膜を形成することができる。
組成物層を乾燥処理する工程は、パッシベーション膜用組成物に含まれることがある分散媒の少なくとも一部を除去することができれば、特に制限されない。乾燥処理は例えば30〜250℃で1〜60分間の加熱処理とすることができ、40〜220℃で3〜40分間の加熱処理であることが好ましい。また乾燥処理は、常圧下で行なっても減圧下で行なってもよい。
前記パッシベーション膜付半導体基板は、太陽電池素子、発光ダイオード素子等に適用することができる。例えば、太陽電池素子に適用することで変換効率に優れた太陽電池素子を得ることができる。
<太陽電池素子>
本発明の太陽電池素子は、p型層及びn型層がpn接合されてなる半導体基板と、前記半導体基板上の全面又は一部に設けられた前記パッシベーション膜用組成物の焼成物層である半導体基板パッシベーション膜と、前記半導体基板の前記p型層及びn型層の少なくとも一方の層上にそれぞれ配置された電極とを有する。前記太陽電池素子は、必要に応じてその他の構成要素を更に有していてもよい。
前記太陽電池素子は、前記パッシベーション膜用組成物から形成されたパッシベーション膜を有することで、変換効率に優れる。
前記パッシベーション膜が設けられる半導体基板の面は、p型層であっても、n型層であってもよい。中でも変換効率の観点からp型層であることが好ましい。前記半導体基板上のp型層は、p型半導体基板に由来するp型層であっても、p型拡散層又はp型拡散層として、n型半導体基板又はp型半導体基板上に形成されたものであってもよい。
前記半導体基板の厚みは特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば50〜1000μmとすることができ、75〜750μmであることが好ましい。
また前記半導体基板上に形成されたパッシベーション膜の厚みは特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、5nm〜50μmであることが好ましく、10nm〜30μmであることが好ましく、15nm〜20μmであることが更に好ましい。
前記太陽電池素子の形状や大きさに制限はない。例えば、一辺が125〜156mmの正方形であることが好ましい。
<太陽電池素子の製造方法>
本発明の太陽電池素子の製造方法は、p型層及びn型層が接合されてなるpn接合を有し、p型層及びn型層の少なくとも一方の層上に電極を有する半導体基板の、前記電極を有する面の一方又は両方の面上に、前記パッシベーション膜用組成物を用いて組成物層を形成する工程と、前記組成物層を加熱(焼成)処理して、パッシベーション膜を形成する工程とを有する。前記太陽電池素子の製造方法は、必要に応じてその他の工程を更に有していてもよい。
前記パッシベーション膜用組成物を用いることで、優れたパッシベーション効果を有する半導体基板パッシベーション膜を備え、変換効率に優れる太陽電池素子を簡便な方法で製造することができる。さらに電極が形成された半導体基板上に、所望の形状となるように半導体基板パッシベーション膜を形成することができ、太陽電池素子の生産性に優れる。
p型層及びn型層の少なくとも一方の層上に電極が配置されたpn接合を有する半導体基板は、通常用いられる方法で製造することができる。例えば半導体基板の所望の領域に、銀ペースト、アルミニウムペースト等の電極形成用ペーストを付与し、必要に応じて加熱(焼成)処理することで製造することができる。
前記半導体基板パッシベーション膜が設けられる半導体基板の面は、p型層であっても、n型層であってもよい。中でも変換効率の観点からp型層であることが好ましい。
前記パッシベーション膜用組成物を用いて半導体基板パッシベーション膜を形成する方法の詳細は、既述のパッシベーション膜付半導体基板の製造方法と同様であり、好ましい態様も同様である。
前記半導体基板上に形成される半導体基板パッシベーション膜の厚みは特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、5nm〜50μmであることが好ましく、10nm〜30μmであることが好ましく、15nm〜20μmであることが更に好ましい。
次に図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態にかかる半導体基板用パッシベーション膜を有する太陽電池素子の製造方法の一例を模式的に示す工程図を断面図として例示したものである。但し、この工程図は本発明の使用方法をなんら制限するものではない。
図1(a)に示すように、p型半導体基板1には、表面近傍にn型拡散層2が形成され、表面に反射防止膜3が形成されている。反射防止膜3としては、窒化ケイ素膜、酸化チタン膜などが知られている。反射防止膜3とp型半導体基板1との間に酸化ケイ素などの表面保護膜(図示せず)が存在していてもよい。また本発明のパッシベーション膜を表面保護膜として使用してもよい。その場合、図示していないが、パッシベーション膜の上にさらに反射防止膜を積層し、二層構造としてもよい。受光面に本発明のパッシベーション膜を形成する場合、後述するようなポイントコンタクト構造ではなく、裏面全面にアルミニウム電極を形成した一般的な構造の太陽電池セル(図示なし)でも、高い変換効率を実現することが可能となる。
次いで図1(b)に示すように、裏面の一部の領域にアルミ電極ペーストなどの裏面電極5を形成する材料を塗布した後に熱処理して、裏面電極5を形成すると共にアルミを拡散させてp+型拡散層4を形成する。
次いで図1(c)に示すように、受光面側に電極形成用ペーストを塗布した後に熱処理して表面電極7を形成する。電極形成用ペーストとしてファイヤースルー性を有するガラス粉末を含むものを用いることで、図1(c)に示すように反射防止膜3を貫通して、n型拡散層2の上に、表面電極7を形成してオーミックコンタクトを得ることができる。
最後に図1(d)に示すように、裏面電極5以外の裏面のp型層上に、パッシベーション膜用組成物を、スクリーン印刷等の塗布法により塗布、乾燥してパッシベーション膜6を形成する。p型層上に裏面パッシベーション膜6を形成することで、発電効率に優れた太陽電池素子を製造することができる。
図1に示す製造工程を含む製造方法で製造される太陽電池素子では、アルミなどからなる裏面電極をポイントコンタクト構造とすることができ、基板の反りなどを低減することができる。
また図1(d)では裏面部分にのみパッシベーション膜を形成する方法を示したが、半導体基板1の裏面側に加えて、側面にもパッシベーション膜用組成物を塗布、乾燥することで半導体基板1の側面(エッジ)にパッシベーション膜をさらに形成してもよい(図示せず)。これにより、発電効率により優れた太陽電池素子を製造することができる。
さらにまた、裏面部分にパッシベーション膜を形成せず、側面のみに本発明のパッシベーション膜用組成物を塗布、乾燥してパッシベーション膜を形成してもよい。本発明のパッシベーション膜用組成物は、側面のような結晶欠陥が多い場所に使用すると、その効果が特に大きい。
図1では電極形成後にパッシベーション膜を形成する態様について説明したが、パッシベーション膜形成後に、更にアルミなどの電極を蒸着などによって全面に形成してもよく、また、高温で焼成する必要のない電極を前面に形成してもよい。
図2は、本実施形態にかかる半導体基板用パッシベーション膜を有する太陽電池素子の製造方法の別の一例を模式的に示す工程図を断面図として例示したものである。具体的には、図2はアルミ電極ペースト又は熱拡散処理によりp型拡散層を形成可能なp型拡散層形成用組成物を用いてp型拡散層を形成後、アルミ電極ペーストの熱処理物又はp+型拡散層形成用組成物の熱処理物を除去する工程を含む工程図を断面図として説明するものである。
ここでp型拡散層形成用組成物は、例えば、アクセプタ元素含有物質とガラス成分とを含んで構成することができる。
図2(a)に示すように、p型半導体基板1には、表面近傍にn型拡散層2が形成され、表面に反射防止膜3が形成されている。反射防止膜3としては、窒化ケイ素膜、酸化チタン膜などが知られている。
次いで図2(b)に示すように、裏面の一部の領域にp型拡散層形成用組成物を塗布した後に熱処理して、p型拡散層4を形成する。p型拡散層4上にはp型拡散層形成用組成物の熱処理物8が形成されている。
ここでp型拡散層形成用組成物に代えて、アルミ電極ペーストを用いてもよい。アルミ電極ペーストを用いた場合には、p型拡散層4上にはアルミ電極8が形成される。
次いで図2(c)に示すように、p型拡散層4上に形成されたp型拡散層形成用組成物の熱処理物8又はアルミ電極8をエッチングなどの手法により除去する。
次いで図2(d)に示すように、受光面(表面)及び裏面の一部の領域に選択的に電極形成用ペーストを塗布した後に熱処理して、受光面(表面)に表面電極7を、裏面に裏面電極5をそれぞれ形成する。受光面側に塗布する電極形成用ペーストとしてファイヤースルー性を有するガラス粉末を含むものを用いることで、図2(d)に示すように反射防止膜3を貫通して、n型拡散層2の上に、表面電極7が形成されてオーミックコンタクトを得ることができる。
また裏面電極が形成される領域にはすでにp型拡散層4が形成されているため、裏面電極5を形成する電極形成用ペーストには、アルミ電極ペーストに限定されず、銀電極ペースト等のより低抵抗な電極を形成可能な電極用ペーストを用いることもできる。これにより、さらに発電効率を高めることも可能になる。
最後に図2(e)に示すように、裏面電極5以外の裏面のp型層上に、本発明のパッシベーション膜用組成物を塗布、乾燥してパッシベーション膜6を形成する。p型層上に裏面パッシベーション膜6を形成することで、発電効率に優れた太陽電池素子を製造することができる。
また図2(e)では裏面部分にのみパッシベーション膜を形成する方法を示したが、p型半導体基板1の裏面側に加えて、側面にもパッシベーション膜用組成物を塗布、乾燥することでp型半導体基板1の側面(エッジ)にパッシベーション膜をさらに形成してもよい(図示せず)。これにより、発電効率により優れた太陽電池素子を製造することができる。
さらにまた、裏面部分にパッシベーション膜を形成せず、側面のみに本発明のパッシベーション膜用組成物を塗布、乾燥してパッシベーション膜を形成してもよい。本発明のパッシベーション膜用組成物は、側面のような結晶欠陥が多い場所に使用すると、その効果が特に大きい。
図1では電極形成後にパッシベーション膜を形成する態様について説明したが、パッシベーション膜形成後に、更にアルミなどの電極を蒸着などによって全面に形成してもよく、また、高温で焼成する必要のない電極を前面に形成してもよい。
上述した実施形態では、受光面にn型拡散層が形成されたp型半導体基板を用いた場合について説明を行ったが、受光面にp型拡散層が形成されたn型半導体基板を用いた場合にも同様にして、太陽電池素子を製造することができる。尚、その場合は裏面側にn型拡散層を形成することになる。
さらにパッシベーション膜用組成物は、図3に示すような裏面側のみに電極を配した裏面電極型太陽電池素子の受光面側又は裏面側のパッシベーション膜6を形成することにも使用できる。
図3に概略断面図を示すように、p型半導体基板1の受光面側には、表面近傍にn+型拡散層2が形成され、その表面にパッシベーション膜6及び反射防止膜3が形成されている。反射防止膜3としては、窒化ケイ素膜、酸化チタン膜などが知られている。またパッシベーション膜6は、本発明のパッシベーション膜用組成物を塗布、乾燥して形成される。
p型半導体基板1の裏面側には、p型拡散層4及びn型拡散層2上にそれぞれ裏面電極5が設けられ、さらに裏面の電極が形成されていない領域にはパッシベーション膜6が設けられている。
型拡散層4は、上述のようにp型拡散層形成用組成物又はアルミ電極ペーストを所望の領域に塗布した後に熱処理することで形成することができる。またn+型拡散層2は、例えば熱拡散処理によりn型拡散層を形成可能なn型拡散層形成用組成物を所望の領域に塗布した後に熱処理することで形成することができる。
ここでn型拡散層形成用組成物は、例えば、ドナー元素含有物質とガラス成分とを含んで構成することができる。
型拡散層4及びn型拡散層2上にそれぞれ設けられる裏面電極5は、銀電極ペースト等の通常用いられる電極形成用ペーストを用いて形成することができる。
また、p型拡散層4上に設けられる裏面電極5は、アルミ電極ペーストを用いてp+型拡散層4と共に形成されるアルミ電極であってもよい。
裏面に設けられるパッシベーション膜6は、パッシベーション膜用組成物を裏面電極5が設けられていない領域に塗布し乾燥することで形成することができる。
またパッシベーション膜6は半導体基板1の裏面のみならず、さらに側面にも形成してよい(図示せず)。
図3に示すような裏面電極型太陽電池素子においては、受光面側に電極がないため発電効率に優れる。さらに裏面の電極が形成されていない領域にパッシベーション膜が形成されているため、さらに発電効率に優れる。
<太陽電池モジュール>
太陽電池モジュールは、前記太陽電池素子の少なくとも1つを含み、太陽電池素子の電極上にタブ線が配置されて構成される。太陽電池はさらに必要に応じて、タブ線を介して複数の太陽電池素子が連結され、さらに封止材で封止されて構成されていてもよい。
前記タブ線及び封止材としては特に制限されず、当業界で通常用いられているものから適宜選択することができる。
前記太陽電池モジュールの大きさに制限はない。0.5〜3mであることが好ましい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「%」は質量基準である。
<実施例1>
(パッシベーション膜用組成物1の調製)
エチルセルロース(日進化成株式会社製、ETHOCEL200cps)を4.0g、ブチルカルビトール(和光純薬工業株式会社製)を16.0g混合し、150℃で1時間攪拌して20質量%エチルセルロース/ブチルカルビトール溶液を調製した。
次に、一般式(III)で表される有機アルミニウム化合物としてアルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレート(川研ファインケミカル株式会社製、商品名:ALCH)を5.0gと、一般式(I)で表される金属アルコキシド化合物としてニオブエトキシド(和光純薬工業株式会社製)を15.0g、20質量%エチルセルロース/ブチルカルビトール溶液を30g、キシレン(和光純薬工業株式会製)を10.0g、アセチルアセトン(和光純薬工業株式会社製)を2.0g、水を5.0g、加水分解触媒として10質量%硝酸水溶液(和光純薬工業株式会社製)を1.0g、テルピネオール(日本テルペン化学株式会社製)を32.9g混合して、半導体基板パッシベーション膜形成用組成物1を調製した。組成物の配合を表1に示した。
(パッシベーション膜の形成)
半導体基板として、表面がミラー形状の単結晶型p型シリコン基板(株式会社SUMCO製、50mm角、厚さ:625μm)を用いた。シリコン基板をRCA洗浄液(関東化学株式会社製Frontier Cleaner−A01)を用いて70℃にて5分間、浸漬洗浄し、前処理を行った。
その後、上記で得られたパッシベーション膜用組成物1を前処理したシリコン基板上に、スピンコータ(ミカサ株式会社製スピンコータ「MS−100」)を用いて、4000回転/分(rpm)で30秒間の条件でスピンコートした。片面全面に付与し、150℃で3分間乾燥処理した。次いで700℃で10分間、空気中で焼成処理した後、室温(25℃)で放冷して評価用基板を作製した。
(実効ライフタイムの測定)
上記で得られた評価用基板の実効ライフタイム(μs)を、ライフタイム測定装置(日本セミラボ株式会社製WT−2000PVN)を用いて、室温で反射マイクロ波光電導減衰法により測定した。得られた評価用基板のパッシベーション膜用組成物を付与した領域の実効ライフタイムは、420μsであった。
(膜厚の測定)
干渉式膜厚計(フィルメトリクス株式会社製、F20 膜厚測定システム)を用いて、面内の5点について膜厚を測定し、平均値を膜厚として算出した。膜厚は102nmであった。
(密度の測定)
塗布、700℃焼成後のパッシベーション膜の質量及び膜厚から密度を算出した。密度は2.9g/cmであった。
(太陽電池素子の作製)
オキシ塩化リンを用いて両面にn型拡散層を形成し、片面(受光面側)にSiNx膜を形成した156mm角p型シリコン基板(株式会社アドバンテック製、n型拡散層シート抵抗:60Ω/□、両面テクスチャ処理済み、SiNx膜の膜厚:80nm)を用い、パッシベーション膜用組成物1を、受光面裏面側にインクジェット(株式会社マイクロジェット製インクジェット装置「MJP―1500V」、ヘッド:IJH−80、ノズルサイズ:50μm×70μm)で塗布した。その後、150℃で3分間乾燥処理した。次いで550℃で1時間焼成処理した後、室温まで放冷した。その後、125mm×125mmのベタパターンでアルミニウム電極(PVG solutions社製、PVG−AD−02)をスクリーン印刷し、150℃で3分間乾燥処理した。次いで、銀電極(デュポン社製、PV159A)を印刷マスクを用い、スクリーン印刷した。次いで、150℃で乾燥後、トンネル型焼成炉(株式会社ノリタケカンパニーリミテド製)を用いて700℃で焼成して太陽電池素子を作製した。作製後、1時間後の太陽電池素子ソーラシュミレータ(株式会社ワコム電創製、XS−155S−10)を用いて発電特性を評価した。発電性能は、Jsc(短絡電流密度)、Voc(開放電圧)、F.F.(曲線因子)、η(変換効率)について、それぞれJIS−C−8913及びJIS−C−8914に準拠して測定を行い得られたもので、表3に示した。また、50℃、80%RHの恒温恒湿層の中に太陽電池素子を入れ、1ヶ月保存後の太陽電池素子の発電特性を評価した。結果を表4に示した。保存後の変換効率の低下率は1.5%であった。
<実施例2>
(パッシベーション膜用組成物2の調製)
トリエタノールアミン(和光純薬工業株式会社製)をアセチルアセトンの替わりに用いた以外は実施例1と同様にしてパッシベーション膜用組成物を調製し、パッシベーション膜用組成物2とした。
上記で調製したパッシベーション膜用組成物2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、前処理したシリコン基板上にパッシベーション膜を形成し、同様にして評価した。実効ライフタイムは、380μsであった。パッシベーション膜の膜厚及び密度は123nm及び3.5g/cmであった。
パッシベーション膜用組成物1の替わりにパッシベーション膜用組成物2を用いた以外は実施例1と同様にして太陽電池素子を作製し評価した。
<実施例3>
(パッシベーション膜用組成物3の調製)
タンタルブトキシド(北興化学工業株式会社製)をニオブエトキシドの替わりに用いた以外は実施例1と同様にしてパッシベーション膜用組成物を調製し、パッシベーション膜用組成物3とした。
上記で調製したパッシベーション膜用組成物3を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、前処理したシリコン基板上にパッシベーション膜を形成し、同様にして評価した。実効ライフタイムは、370μsであった。パッシベーション膜の膜厚及び密度は133nm及び3.8g/cmであった。
パッシベーション膜用組成物1の替わりにパッシベーション膜用組成物3を用いた以外は実施例1と同様にして太陽電池素子を作製し評価した。
<実施例4>
(パッシベーション膜用組成物4の調製)
ハフニウム−tert−ブトキシド(北興化学工業株式会社製)をニオブエトキシドの替わりに用いた以外は実施例1と同様にしてパッシベーション膜用組成物を調製し、パッシベーション膜用組成物4とした。
上記で調製したパッシベーション膜用組成物4を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、前処理したシリコン基板上にパッシベーション膜を形成し、同様にして評価した。実効ライフタイムは、420μsであった。パッシベーション膜の膜厚及び密度は130nm及び3.7g/cmであった。
パッシベーション膜用組成物1の替わりにパッシベーション膜用組成物4を用いた以外は実施例1と同様にして太陽電池素子を作製し評価した。
<実施例5>
(パッシベーション膜用組成物5の調製)
実施例1のパッシベーション膜用組成物1のアルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレート5.0gを10.0gに、ニオブエトキシド15.0gを10.0gとした以外は同様にして表1に示した組成でパッシベーション膜用組成物を調製し、パッシベーション膜用組成物5とした。
上記で調製したパッシベーション膜用組成物5を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、前処理したシリコン基板上にパッシベーション膜を形成し、同様にして評価した。実効ライフタイムは、400μsであった。パッシベーション膜の膜厚及び密度は140nm及び3.2g/cmであった。
パッシベーション膜用組成物1の替わりにパッシベーション膜用組成物5を用いた以外は実施例1と同様にしして太陽電池素子を作製し評価した。
<比較例1>
実施例1において、パッシベーション膜用組成物1の塗布を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、評価用基板、太陽電池素子を作製した。評価用基板の実効ライフタイムを測定して評価した。実効ライフタイムは、20μsであった。
実施例1において、パッシベーション膜用組成物1の塗布を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、太陽電池素子を作製し評価した。
<比較例2>
Al粒子(株式会社高純度化学研究所製、平均粒子径1μm)を20.0g、20質量%エチルセルロース/ブチルカルビトール溶液を30g、テルピネオールを20.0g、キシレン30.0gを混合して無色透明の組成物C2を調製した。
上記で調製した組成物C2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして前処理したシリコン基板上にパッシベーション膜を形成し、同様にして評価した。実効ライフタイムは、22μsであった。パッシベーション膜は均一な層ではなかったため、膜厚及び密度は測定できなかった。
パッシベーション膜用組成物1の替わりに組成物C2を用いたこと以外は実施例1と同様にして、評価用基板、太陽電池素子を作製し評価した。
<比較例3>
テトラエトキシシランを20g、20質量%エチルセルロース/ブチルカルビトール溶液を30.0g、キシレン(和光純薬工業株式会社製)を10.0g、アセチルアセトン(和光純薬工業社製)を2.0g、水を5.1g、10質量%硝酸水溶液(和光純薬工業株式会社製)を1.0g、テルピネオール(日本テルペン化学株式会社製)を32.9g混合して、半導体基板パッシベーション膜形成用組成物を調製した。混合して無色透明の組成物C3を調製した。
上記で調製した組成物C3を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、評価用基板、太陽電池素子を作製した。実効ライフタイムは、22μsであった。パッシベーション膜の膜厚及び密度は80nm及び2.0g/cmであった。
Figure 2014167961
Figure 2014167961
Figure 2014167961
Figure 2014167961
パッシベーション膜を設けない比較例1、テトラエトキシシランを用いた比較例3では、実効ライフタイムが20〜22μsと短く、変換効率や、耐久性に劣る。一方、アルミナ粒子を用いた比較例2は、実効ライフタイムが長くなるが、変換効率や、耐久性、膜形成性に劣る。
本発明の金属アルコキシド化合物と、水と、加水分解触媒とを用いた実施例1〜5は、実効ライフタイムが、370〜420μsと長く、変換効率や、耐久性、緻密な膜形成性に優れる。
以上から、本発明のパッシベーション膜用組成物を用いることで優れた緻密で、パッシベーション効果を有する半導体基板パッシベーション膜を形成でき、それを用いて作製した太陽電池素子は高い変換効率を示す。さらに本発明のパッシベーション膜用組成物を用いることで、簡便な工程で所望の形状に半導体基板パッシベーション膜を形成できることがわかる。
1 p型半導体基板
2 n型拡散層
3 反射防止膜又はパッシベーション膜
4 p型拡散層
5 裏面電極
6 パッシベーション膜
7 表面電極
8 p型拡散層形成用組成物の熱処理物又はアルミ電極

Claims (13)

  1. 下記一般式(I)で表される金属アルコキシド化合物と、水と、加水分解触媒と、を含むパッシベーション膜用組成物。
    Figure 2014167961
    [一般式(I)中、MはNb、Ta、V、Y、Hfのいずれかを表す。Rはそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基を表す。mは0〜5の整数を表す。]
  2. さらに下記一般式(III)で表される有機アルミニウム化合物を含む、請求項1に記載のパッシベーション膜用組成物。
    Figure 2014167961
    [一般式(III)中、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基を表す。nは0〜3の整数を表す。X及びXはそれぞれ独立して酸素原子又はメチレン基を表す。R、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す]
  3. 前記一般式(I)においてMがNbであるニオブ化合物を含み、前記ニオブ化合物の総含有率がNb換算で0.1〜80質量%である、請求項1又は2に記載のパッシベーション膜用組成物。
  4. 前記一般式(III)で表される有機アルミニウム化合物の含有率が0.1〜80質量%である、請求項2又は3に記載のパッシベーション膜用組成物。
  5. 前記パッシベーション膜用組成物が、さらに、分散媒を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のパッシベーション膜用組成物。
  6. 前記加水分解触媒が、塩酸、硝酸、硫酸、ホウ酸、リン酸、フッ化水素酸からなる群から選ばれる少なくとも一つを含有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のパッシベーション膜用組成物。
  7. 前記加水分解触媒が、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、オレイン酸、リノール酸、サリチル酸、安息香酸、フタル酸、蓚酸、乳酸、コハク酸からなる群から選ばれる少なくとも一つの有機酸である請求項1〜5のいずれか一項に記載のパッシベーション膜用組成物。
  8. 前記加水分解触媒が、アンモニア、アミンからなる群から選ばれる少なくとも一つを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載のパッシベーション膜用組成物。
  9. 前記分散媒が、テルペン系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、及びアルコール系溶剤から選らばれる少なくとも一種を含む、請求項5〜8のいずれか一項に記載のパッシベーション膜用組成物。
  10. 半導体基板と、前記半導体基板上の全面又は一部に設けられる、請求項1〜9のいずれか一項に記載のパッシベーション膜用組成物の焼成物層と、を有するパッシベーション膜付半導体基板。
  11. 半導体基板上の全面又は一部に、請求項1〜9のいずれか一項に記載のパッシベーション膜用組成物を用いて組成物層を形成する工程と、
    前記組成物層を加熱処理して、パッシベーション膜を形成する工程と、
    を有するパッシベーション膜付半導体基板の製造方法。
  12. p型層及びn型層がpn接合されてなる半導体基板と前記半導体基板上の全面又は一部に設けられた請求項1〜9のいずれか一項に記載のパッシベーション膜用組成物の焼成物層と、
    前記半導体基板の前記p型層及びn型層の少なくとも一方の層上に配置された電極と、を有する太陽電池素子。
  13. p型層及びn型層が接合されてなるpn接合を有し、前記p型層及びn型層の少なくとも一方の層上に電極を有する半導体基板の、前記電極を有する面の一方又は両方の面上に、請求項1〜9のいずれか一項に記載のパッシベーション膜用組成物を用いて組成物層を形成する工程と、
    前記組成物層を焼成処理して、パッシベーション膜を形成する工程と、
    を有する太陽電池素子の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015106589A (ja) * 2013-11-28 2015-06-08 日立化成株式会社 パッシベーション層付半導体基板の製造方法、パッシベーション層付半導体基板、太陽電池素子の製造方法及び太陽電池素子
WO2017061617A1 (ja) * 2015-10-07 2017-04-13 日立化成株式会社 パッシベーション層形成用組成物、パッシベーション層付半導体基板及びその製造方法、太陽電池素子及びその製造方法、並びに太陽電池

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WO2017061617A1 (ja) * 2015-10-07 2017-04-13 日立化成株式会社 パッシベーション層形成用組成物、パッシベーション層付半導体基板及びその製造方法、太陽電池素子及びその製造方法、並びに太陽電池

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