JP2015106115A - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】記録材に拘らず無端ベルトに流れる電流、無端ベルトにかかる電圧の少なくとも一方を検知することで、記録材の画像不良や搬送不良の発生を低減できる定着装置及び画像形成装置を提供する。【解決手段】記録材上のトナー像をニップ部にて定着する少なくとも一方が無端ベルトとされる第1及び第2の回転体と、前記無端ベルトとされる少なくとも一方の回転体の長手方向端部側に設けられる第1の導電部と、前記第1の導電部においてバイアスが印加される第1の位置、および前記第1の導電部において前記第1の位置と異なる第2の位置を介して、前記無端ベルトに流れる電流、前記無端ベルトにかかる電圧の少なくとも一方を検知する検知回路と、を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、定着装置及び画像形成装置に関する。
従来、電子写真方式のプリンタや複写機などの画像形成装置に搭載される定着装置として、無端ベルトとして定着フィルムを用いる場合に、以下のような問題が生じていた。即ち、低湿環境においては、定着工程時にトナーが電気的に定着フィルムに付着して、定着フィルム1周後に記録材を汚してしまう「定着オフセット」と称する現象が発生する。この対策として、トナーと同極性のバイアスを定着フィルムに印加することにより、定着フィルムへの電気的なトナー付着を低減することが提案されている。
一方、高湿環境においては、ニップ部N内において加熱された記録材から発生する水蒸気により、トナー像が乱れる「定着尾引き」と称する現象が発生する。即ち、図16に示すように、ニップ部Nにおいて、急激な温度上昇と圧迫により、記録材P中の水分が一気に蒸発し、この水蒸気Mが記録材搬送方向の上流側に噴き出す。そして、図17に示すように、未定着のトナーTが画像後端側、即ち記録材搬送方向上流側に崩れて、横線の後端から水蒸気が抜け出し、トナーTが飛び散って画像を乱す。
この定着尾引きの問題は、通常のオフィス環境下でも発生し、特に記録材の含水分量が多い高湿環境で発生し易い。一方.記録材の含水分量が少ない低湿環境や1度定着装置を通過した直後の2面目プリント時等に発生し難い。
定着尾引きの対策として、特許文献1では、図18(a)(b)に示すように、トナーと同極性のバイアスを定着フィルムに印加し、かつニップ部下流側に配置される排紙ローラを導電化して接地する。そして、「定着フィルム→記録材→排紙ローラ」の電流経路を構成する。これにより、トナーを記録材に押し付けることにより、トナー像の乱れを低減する。
特許第4100822号公報
しかしながら、図18に示す従来の定着フィルム加熱方式の定着装置において、例えば耐久等により、定着フィルム103の長手方向端部がフランジ120・121との摺擦によって削れが発生し、破損する場合がある。また、記録材Pに付着したステイプルの針等の異物がニップ部Nに搬送されることで、定着フィルム103が破損する場合がある。
このような場合には、上述した定着オフセットや定着尾引きの対策としての、定着フィルム103端部の導電部である接点Sにバイアスを印加する構成において、接点Sの部分が削れて無くなってしまう。すると、定着フィルム103は、バイアス電源110からのバイアス供給が受けられなくなる。
また、接点Sと反対側の定着フィルム103端部が削れた場合には、定着フィルム103が接点Sと反対側に寄ってしまい、接点Sと導電ブラシ111が非接触となり、定着フィルム103は、バイアス電源110からのバイアス供給が受けられなくなる。
このような状態では、定着フィルムにバイアスを印加する効果が得られないため、定着オフセットや定着尾引きが増大するという問題が発生してしまう。
さらに、前述した定着フィルム103の削れが進行して、定着フィルム長が記録材Pの幅よりも短くなってしまう場合、記録材Pは、ニップ部Nで固定されたヒータ101と摺擦して、トナーTがヒータ101にかき取られ、著しく画像が乱れてしまう。そして、記録材P上への汚れの付着や、記録材Pの搬送不良が発生する場合がある。
そこで、従来、図19(a)(b)に示されるように、定着フィルムに流れる電流を検知することが知られている。即ち、定着フィルム103にバイアスを印加するバイアス電源110から接点Sの間に、電流検知手段としての電流計130を配置して、「バイアス電源110→中間層103b→記録材P→排紙下ローラ108→アース(接地)」に流れる電流を検知する。この構成では、高湿環境で記録材Pの含水分量が多く、記録材Pの抵抗値が非常に低下した場合においてのみ、電流計130で電流を検知することができる。
即ち、低湿環境、自動両面プリント時の2面目プリント時、記録材がOHT等の吸湿しない樹脂材料やコート紙、等の条件下及び記録材においては、記録材Pの抵抗値が高いために、電流がほぼ0(ゼロ)となり、電流計130で電流を検知することができなかった。そのため、定着フィルム103の破損やバイアス電源110の故障等が発生していない場合においても、前記破損や故障が発生したと誤判定してしまう場合が生じていた。
また、図19(a)(b)に示される構成では、ニップ部Nと排紙ローラ間に記録材が存在する場合のみ、即ちプリント時の定着工程中にのみ、電流値を検知できる。よって、異常を検知した場合には、定着オフセットや定着尾引きの画像不良が既に発生してしまっているという問題もあった。
本発明の目的は、記録材に拘らず無端ベルトに流れる電流、無端ベルトにかかる電圧の少なくとも一方を検知することで、記録材の画像不良や搬送不良の発生を低減できる定着装置及び画像形成装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明に係る定着装置は、記録材上のトナー像をニップ部にて定着する少なくとも一方が無端ベルトとされる第1及び第2の回転体と、前記無端ベルトとされる少なくとも一方の回転体の長手方向端部側に設けられる第1の導電部と、前記第1の導電部においてバイアスが印加される第1の位置、および前記第1の導電部において前記第1の位置と異なる第2の位置を介して、前記無端ベルトに流れる電流、前記無端ベルトにかかる電圧の少なくとも一方を検知する検知回路と、を有することを特徴とする。
また、本発明に係る別の定着装置は、記録材上のトナー像をニップ部にて定着する、無端ベルトとされる第1の回転体および前記第1の回転体に対向する対向体と、前記第1の回転体の長手方向端部側に設けられる第1の導電部と、前記第1の導電部においてバイアスが印加される第1の位置、および前記第1の導電部において前記第1の位置と異なる第2の位置を介して、前記無端ベルトに流れる電流、前記無端ベルトにかかる電圧の少なくとも一方を検知する検知回路と、を有することを特徴とする。
また、本発明に係る画像形成装置は、トナー像を形成する像形成部と、上記定着装置と、を有し、前記検知回路に設けられ、前記無端ベルトに流れる電流、前記無端ベルトにかかる電圧の少なくとも一方を検知する検知手段の出力が許容範囲を超える場合に、異常あるいは警告を表示する、または装置を停止することを特徴とする。
本発明によれば、記録材に拘らず無端ベルトに流れる電流、無端ベルトにかかる電圧の少なくとも一方を検知することで、記録材の画像不良や搬送不良の発生を低減できる定着装置及び画像形成装置を提供することができる。
本発明の第1の実施形態に係る定着装置の概略断面図である。 第1の実施形態に係る定着装置の概略構成図である。 フィルム加熱方式の定着装置に係るヒータの概略断面図である。 第1の実施形態に係る定着フィルムバイアスの電流検出に関するフローチャートである。 第1の実施形態に係る接点S側方向のフィルム寄りによる定着フィルム破損の様子を示す概略構成図である。 第1の実施形態に係る接点S側と逆方向のフィルム寄りによる定着フィルム破損の様子を示す概略構成図である。 第2の実施形態に係る定着装置の概略構成図である。 第3の実施形態に係る定着装置の概略構成図である。 第4の実施形態に係る定着装置の概略構成図である。 第5の実施形態に係る定着ベルトの概略構成図である。 第5の実施形態に係る他の定着ベルトの概略構成図である。 第6の実施形態に係る定着装置の概略構成図である。 本発明の実施形態に係る定着装置を搭載した画像形成装置の画像形成部の概略構成図である。 本発明の実施形態に係る定着フィルムの概略断面図である。 本発明の実施形態に係る定着フィルムの長手方向端部の概略構成図である。 従来のフィルム加熱方式の定着装置の概略断面図である。 定着尾引き現象の概略説明図である。 (a)は従来の定着フィルムバイアスを印加するフィルム加熱方式の定着装置の概略構成図、(b)は従来の定着フィルムバイアスを印加するフィルム加熱方式の定着装置の概略断面図である。 (a)は従来の定着フィルムバイアスの電流検知を行う定着装置の概略構成図、(b)は従来の定着フィルムバイアスの電流検知を行う定着装置の概略断面図である。
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
《第1の実施形態》
(画像形成装置)
図13は、電子写真プロセスを用いた画像形成装置の主要構成部を示す概略構成図である。像担持体としての感光ドラム1は、帯電装置としての帯電ローラ2により一様均一に帯電された後、形成する画像情報に応じて露光装置3のレーザー光により露光され、静電潜像が形成される。感光ドラム1上の静電潜像は、現像装置4の現像剤であるトナーTにより現像されて、感光ドラム1上にトナーT画像が形成される。感光ドラム1上のトナーT画像は、転写装置としての転写ローラ5により、記録材P上に転写される。
記録材P上のトナーTは、定着装置10により加熱・加圧されることにより、記録材P上に定着され、画像形成装置より排出されて画像が形成される。また、感光ドラム1上の転写残トナーは、クリーニング装置6によりクリーニングされ、再び画像形成が成される。
本画像形成装置には、ネットワークを介して、又は直接、パーソナルコンピュータ40が接続されている。例えば、プリンタ機として使用される場合には、パーソナルコンピュータ40からの画像形成信号を、画像形成装置が受け取ることにより、画像形成が開始され、画像がプリントされる。コピー機として使用される場合には、不図示のスキャナーで読み込んだ原稿画像の画像形成信号を、画像形成装置が受け取ることにより、画像形成が開始され、画像がコピーされる。
更に、ファックス機として使用される場合には、不図示の電話回線から送信された画像形成信号を、画像形成装置が受け取ることにより、画像形成が開始され、画像がプリントされる。画像形成装置の制御部(CPU)20は、画像形成部(帯電、露光、現像、転写、定着、クリーニング)に接続されている。制御部(CPU)20は、画像形成部の制御を行うとともに、画像形成部の異常あるいは警告を検知した場合には、画像形成装置の表示部30に、この異常あるいは警告を表示する。例えば、トナーが無くなった場合にはトナー補給又はトナーカートリッジ交換を表示し、画像形成部材の破損や寿命の場合には、破損した部材や寿命に到達した部材の交換、又はメーカーのサービスへの連絡を表示部30に表示する。これにより、ユーザーに画像形成装置の異常・警告に対する対応を促すようになっている。
更に、以下に示す定着装置の異常を検知した場合に、表示部30に表示してユーザーに促す。
(定着装置)
図1及び図2は、本実施形態のフィルム加熱方式の定着装置100(図13)の概略断面図及び概略構成図である。図1は、図18(b)で示した従来のフィルム加熱方式の定着装置と同部材は、同符号としてある。図1の定着装置は、ヒータ101と、ヒータ101と接触して移動する第1の回転体としての定着フィルム103と、定着フィルム103を介してヒータ101とニップ部Nを形成する加圧ローラ106を備える。
ここで、ヒータ101が定着フィルム103を介して加圧ローラ106(第1の回転体に対向する対向体としての第2の回転体)に圧接されてニップ部Nを形成する。そして、加圧ローラ106が不図示のモータによって回転駆動されることにより、定着フィルム103がヒータ101に摺動しながら従動回転する。
このニップ部Nに、記録材P上のトナー画像を進入させることにより、ヒータ101の熱を、定着フィルム103を介して記録材P及びトナー画像に付与することで、記録材P上のトナー画像は溶融・加圧されて、記録材P上に定着される。
このフィルム加熱方式の定着装置は、ヒータへの通電開始から定着可能温度まで上昇するのに要する時間が短いため、プリント指示を待つ待機中(スタンバイ中)の消費電力が少ない利点がある。
1)定着フィルム
図14は、定着フィルム103の層構成を示す概略断面図である。定着フィルム103の最内殻層は、例えばポリイミド等の耐熱性・耐摩耗性の優れた材料のベース層103aである。最外殻層は、PFAやPTFE等の離型性・耐熱性の優れた材料のトップ層103cであり、体積抵抗1E+10〜1E+15[Ωcm]程度の絶縁層である。中間層103bは、ベース層103aとトップ層103cを接着するためのプライマー層であり、この中間層103は、プライマーにカーボンブラック等の導電性粒子を分散させて導電化した導電層である。
具体的に、定着フィルム103は、例えば、内径φ24mm、長さ235mm、厚み60μmの耐熱性ポリイミド材のベース層103aの円筒状部材上に、中間層103bとして導電性プライマー層が厚み4μmで被覆される。更に、トップ層103cとして厚み15μmのPFAやPTFE等の耐熱性離型層が被覆され、支持部材104に外勘し、回転自在に配置されている。
また、図15は、定着フィルム103の長手方向端部の概略構成図である。図15の斜線部は第1の導電部としての接点Sであり、トップ層103cが存在せず、導電性の中間層103bの一部が露出している。この接点Sは、定着フィルム103にバイアスを印加するための領域である。具体的に、接点Sは、例えば約7mm幅である。
2)ヒータ
図3は、ヒータ101の概略断面図である。ヒータ101は、ヒータ基板101a、発熱体101b、保護層101cで構成される。セラミック等のヒータ基板101aは、例えばA4縦通紙機の場合、長さ250mm、幅8mm、厚み1mmである。通電して発熱する発熱体101bは、ヒータ基板101a上に、例えばスクリーン印刷で、長さ220mm、幅5mm、厚み20μに塗布した後、焼成して形成される。発熱体101b上には、保護層としてのガラス層101cがスクリーン印刷により塗布された後、焼成して約50μm程度の厚さに形成される。
ヒータ101の温度を検知する温度検知手段としてのサーミスタ102は、ヒータ基板101aに接触するように加圧配置される。制御部20(図13)は、サーミスタ102の検知温度に基づいて、ヒータ101を所望の定着温度(例えば200℃)となるように、発熱体101bに通電する電力を調整する。
ヒータ101は、図1に示す支持部材104に支持固定され、支持部材104上にU字形状の加圧ステー105が配置される。この加圧ステー105の長手方向の両端部を、不図示の加圧機構によって加圧して、ヒータ101が加圧ローラ106側に加圧されて、ニップ部Nが形成される。
3)加圧ローラ
加圧ローラ106は、例えばφ15mmのアルミニウムの芯金106a(図1)上に、弾性層106bとして3mm厚みの導電シリコンゴムの耐熱弾性層、表層106cとして50μmの耐熱離型層としてのPFAチューブを被覆して構成されている。
加圧ローラ106の弾性層106bの長手方向の長さは、定着フィルム103の長さよりも短く、ヒータ101の発熱体よりも長くするため、225mmとしてある。加圧ローラ106の弾性層106bは、加圧ローラ106の表面電位を安定させて定着オフセットを低減させるために、本実施形態では、約1E+6[Ωcm]程度の導電性の弾性層106bとされる。さらに、加圧ローラ106の芯金(第2の導電部)106aは、板バネ上にカーボンチップが配置された端子部材114を介して、アースに接続されている。なお、ニップ部Nの幅(回転方幅)は、約6mm程度である。
4)排紙ローラ対
ニップ部Nの紙搬送方向下流側には、排紙ローラ対107・108が配置され、排紙上ローラ107は絶縁性材料、排紙下ローラ108は導電性材料で構成され、排紙下ローラ108は、アース(接地)に接続されている。
(定着フィルムバイアス)
図1及び図2で示すように、バイアス電源110より、導電ブラシ111を介して、トナーTの帯電極性と同極性のバイアスを、定着フィルム103端部の露出した導電性の中間層103bである接点Sに印加する。これにより、定着フィルム103にバイアスが印加される。ここで、導電ブラシ111は、無端ベルトとされる定着フィルム(第1の回転体)103の長手方向端部側に設けられる第1の導電部である接点Sにおける第1の位置111aに設けられる。
本実施形態では、例えばトナーTがマイナス帯電であり、バイアス電源110より、−500[V]の電圧が印加されている。そして、定着フィルム103に、トナーTの帯電極性と同極性の−500[V]が印加されて、定着フィルム103の表面電位は、約−500[V]となる。
一方、加圧ローラ106の導電性弾性層106bは、芯金106aを介してアース(接地)に接続されているが、表層106cがPFAチューブのために、加圧ローラ106の表面電位は、約−100〜−200[V]である。このような定着フィルム103と加圧ローラ106の表面電位差により、マイナス帯電のトナーTが、定着フィルム103に付着することが防止されて、定着オフセットが低減される。
ここで、定着尾引きに対しては、以下のように低減される。即ち、定着フィルム103に、トナーTの帯電極性と同極性のバイアスが印加されることにより、「バイアス電源110→中間層103b→トップ層103c→記録材P→排紙下ローラ108→アース(接地)」の経路に、微小な電流が流れる。これにより、ニップ部Nにおいて、トナーTを記録材P方向へ押し付ける力が働く向きの電界が形成され、定着尾引きが低減される。
なお、図1及び図2において、バイアス電源110から導電ブラシ111の間には、製品規格を満たすための抵抗Rf=50[MΩ]が配置されている。このため、バイアス電源110から排紙下ローラ108に流れる電流は、非常に小さく、定着フィルム103の表面電位の低下がほとんど無いので、定着フィルム103の表面電位は約−500[V]である。
(定着フィルムバイアス電流検知)
本実施形態は、定着フィルム103に印加するバイアスを利用して、定着フィルム103に流れる電流を検知し、検知した電流値の絶対値が所定値よりも小さい場合には、定着フィルム103の破損やバイアス電源110の故障等が発生したと判断するものである。
即ち、本実施形態においては、図1及び図2で示すように、導電ブラシ112を定着フィルム103端部の接点Sに当接させ、定着フィルムバイアスの電流を検知する。ここで、導電ブラシ112は、定着フィルム(第1の回転体)103の長手方向端部側に設けられる第1の導電部である接点Sにおける第2の位置112a(第1の位置に設けられる導電ブラシ111と異なる位置)に設けられる。
本実施形態では、具体的には、検知回路として「バイアス電源110→導電ブラシ111→中間層103b→導電ブラシ112→電流計130→スイッチング手段131→アース(接地)」に流れる電流を、電流検知手段としての電流計130で検知する。そして、検知した電流値の絶対値が所定値よりも小さい場合には、定着フィルム103の破損やバイアス電源110の故障等が発生したと判定するものである。
本実施形態では、図1及び図2で示すように、導電ブラシ111を介した定着フィルムバイアスの給電経路(導電ブラシ111に向かう経路)と、導電ブラシ112を介した別の電流経路(導電ブラシ112から離れる側の経路)を配置する。これにより、従来例(図19)における定着フィルムバイアスの電流が測定不可能であった条件下及び記録材においても、測定が可能となり、誤判定を防止できる。
(定着フィルムバイアス電流検知のフローチャート)
図4は、本実施形態の定着フィルムバイアスの電流検出に関する動作のフローチャートである。図4を用いて、定着フィルムバイアスの電流検知に関わる動作について説明する。S1にて、例えば、パーソナルコンピュータ40からのプリント信号を、画像形成装置の制御部20が検知して、プリントが開始される。パーソナルコンピュータ40は、ネットワークを介して画像形成装置の制御部20に接続していても良いし、ネットワークを介さずに、直接、USB等で画像形成装置の制御部20に接続しても良い。
すると、S2にて、定着フィルム103のバイアス電源110がONされて、定着フィルム103に約−500Vが印加される。そして、S3にて、検知回路を電気的にオンまたはオフとするスイッチング手段131をON(Close)して、電流計130に電流を流す。電流計130に流れる電流値、バイアス電源110から印加されるバイアス値等に応じて、「導電ブラシ112→スイッチング手段131→アース(接地)」の経路に、不図示の抵抗Rを挿入して、電流計130に流れる電流値を調整しても良い。
ここで、S4にて、電流計130で検知した電流値Iの絶対値|I|と、所定の電流値Ioとを比較する。|I|>Ioの場合、制御部20は、定着フィルム103の破損やバイアス電源110の故障無し(正常である)と判定する(図4のS4のYes)。そして、S5にて、スイッチング手段131をOFF(Open)して、電流計130に流れる電流を遮断する。
電流計130に電流が流れると、定着フィルム130の表面電位が低下して、定着オフセットや定着尾引きを低減する効果が低下してしまう。そこで、ニップ部Nを記録材Pが通過する定着工程時(定着処理時)には、スイッチング手段131をOFF(Open)することが重要である。
そして、S6にて、電流検出を終了する。その後、S7にて、定着装置のヒータ101に通電して、ヒータ101を定着温度まで昇温させると同時に、加圧ローラ106が回転して、定着フィルム103が従動回転する定着前回転が開始される。そして、S8にて、画像形成部で作像が開始される。
そして、S9にて、感光ドラム上の画像とタイミングを合わせて、記録材Pが給紙され、記録材上にトナー像を形成して、定着装置100にて記録材Pにトナー像を定着させ、排紙ローラ対107・108により、記録材を搬送する。その後、S10にて、画像形成装置外に、記録材Pを排出したことを確認する。そして、S11にて、プリント動作を終了する。この時、ヒータ101への通電をOFFし、加圧ローラ106の回転を停止し、バイアス電源110からのバイアス印加をOFFして、画像形成が終了する。
次に、S4にて、|I|≦Ioの場合のフローを説明する。S4にて、|I|≦Ioの場合、制御部20は、定着フィルム103の破損やバイアス電源110の故障有り(異常である)と判定する(図4のS4のNo)。その後、S12にて、スイッチング手段131をOFF(Open)して、電流計130に流れる電流を遮断する。そして、S13にて、電流検出を終了する。また、S14にて、バイアス電源110からのバイアス印加をOFFする。
そして、S15にて、制御部20は、画像形成装置本体の表示部30に、「定着器交換」を表示する。又は、制御部20は、パーソナルコンピュータ40に「定着器交換」を表示する信号を送信する。以上、本実施形態の定着フィルムバイアス電流検知に関して、図4を用いて説明した。
図4においては、定着フィルムバイアス電流値測定後に、ヒータ101への通電を行う構成としてある。これは、ヒータ101への通電後に、定着フィルムバイアス電流値測定を行うと、ヒータ101に通電する交流バイアスによって、定着フィルムバイアスの電流値が前記交流バイアスの周波数の周期で若干変動するためである。よって、より正確に定着フィルムバイアス電流値を検知するために、定着フィルムバイアス電流値測定後に、ヒータ101への通電を行う。
ただし、定着装置によっては、画像形成装置がプリント信号を受け取ってから、画像形成を開始する時間を短くすることを重視する場合には、図4のS2にて、定着フィルムバイアスONと同時に、加圧ローラ106の回転をスタートさせる。そして、ヒータ101への通電を開始するという構成でも良い。この場合には、若干電流検知精度は低下してしまうが、電流値の検知は可能である。
本実施形態において、バイアス電源110から−500[V]出力された場合には、図4のS4で検知する正常時の電流値I=約−6〜−10[μA](電流値Iの絶対値|I|=6〜10[μA])である。電流値の絶対値|I|は、耐久による導電ブラシ111及び112の汚れ等により、若干小さ目に検知される。よって、例えばIo=3[μA]とすることで、定着フィルム103の破損やバイアス電源110の故障を、正確に検知することができる。
(定着フィルム破損)
次に、定着フィルム破損を検知する様子を説明する。図5は、定着フィルム103の接点S側に、定着フィルム103の寄り力が発生して、フランジ120と定着フィルム103の接点S側が摺擦して削れることによって、定着フィルム103が短くなる場合を示している。図5に示すように、接点S側が削れて、定着フィルム103の中間層103bの露出部(接点S)が無くなってしまうことにより、導電ブラシ111及び112が定着フィルム103の絶縁又は高抵抗のトップ層103cと接触する。これにより、定着フィルム103へのバイアス印加の接続が遮断されることで、定着オフセット及び定着尾引きが発生してしまう。
本実施形態では、この場合に、図4のフローチャートのS4にて、I=0μAで|I|≦Ioのため、S4にて「No」となり、定着フィルム103の破損を検知できる。
図6は、定着フィルム103の接点S側と反対側に、定着フィルム103の寄り力が発生して、フランジ121と定着フィルム103の端部が摺擦して削れることによって、定着フィルム103が短くなる場合を示している。図6に示すように、定着フィルム103のフランジ121側が削れて、定着フィルム103の中間層103bの露出部(接点S)がフランジ121側に移動して、導電ブラシ111及び112が定着フィルム103の接点Sと非接触になる。これにより、定着フィルム103へのバイアス印加の接続が遮断されることで、定着オフセット及び定着尾引きが発生してしまう。
本実施形態では、この場合にも、図4のフローチャートのS4にて、I=0μAで|I|≦Ioのため、S4にて「No」となり、定着フィルム103の破損を検知できる。
ここで、本実施形態では、定着フィルム103の接点Sの幅は7mm±0.5mm、導電ブラシ111及び112幅は5mm±0.5mmである。フランジ120及び121の位置と定着フィルム位置の公差(ガタ)は±1mmであり、公差を積み上げても接点Sと導電ブラシ111及び112は、接触状態が確保されるため、正常動作の場合には、常に|I|>Ioである。即ち、|I|≦Ioとなるのは、定着フィルム破損等の異常が発生した時のみとなるように設定されている。
(バイアス電源故障)
定着フィルム103の破損に関して前述したが、バイアス電源110の故障に関しても、例えば検出した電流値Iの絶対値|I|と、所定値下限=ILoと所定値上限=IHiとを比較して検知できる。そして、IHi>|I|>ILoの場合には、バイアス電源110が−500[V]の正常値が出力されていると判定して、通常の画像形成を開始する構成としても良い。一方、IHi≦|I|、及び|I|≦ILoの場合には、バイアス電源110が−500[V]よりも異常に高い電圧を印加、或いは異常に低い電圧を印加していると判定して、バイアス電源が故障していると判断する。
そして、IHi≦|I|の場合、制御部20は表示部30に「バイアス電源交換」を表示し、|I|≦ILoの場合には、「定着器交換、又はバイアス電源交換」を表示する。又は、IHi≦|I|の場合、制御部20はパーソナルコンピュータ40に「バイアス電源交換」を送信し、|I|≦ILoの場合には、「定着器交換、又はバイアス電源交換」を送信する。
例えば、バイアス電源110が−500[V]±15%の場合には、電流値I=−5〜−12[μA](電流値Iの絶対値|I|=5〜12[μA])である。電流値Iの絶対値|I|は、耐久による導電ブラシ111及び112の汚れ等により、若干小さ目に検知される。従って、例えば、ILo=3[μA]、IHi=13[μA]とすることにより、バイアス電源110の出力異常による故障も検知できる。従って、図4のS4にて、電流値判断|I|>Io?を、IHi>|I|>ILo?と置き換えることにより、バイアス電源110の出力異常による故障も検知できる。
以上、本実施形態につき、定着フィルムバイアスの電流を検出することにより、定着フィルム破損や定着フィルムバイアス電源の破損を検知する構成に関して説明した。なお、定着フィルムに印加するバイアス値、保護抵抗値Rf、所定の電流値Io等の諸数値は、一例を記載したので、定着装置構成に応じて、任意に設定して良い。また、本実施形態では、白黒(単色)画像形成装置で説明したが、複数の画像形成部、例えば4色(4個)の画像形成部を持つカラー画像形成装置でも良い。
(本実施形態の効果)
本実施形態では、定着フィルムにバイアスを印加するフィルム加熱方式の定着装置において、定着装置が記録材を加熱・加圧する定着工程中(定着処理時)において、定着オフセットや定着尾引きが低減するように、定着フィルムの表面電位を所定電位に維持する。そして、定着工程以外(非定着処理時)において、定着フィルムの削れや破損、又はフィルムバイアス電源の故障を正確に検知して、定着装置の交換を通知する。これにより、記録材の画像不良や搬送不良の発生しない定着装置、画像形成装置および定着装置用回転体を提供することができる。
即ち、本実施形態の定着フィルムバイアス電流検出により、定着フィルム103の破損やバイアス電源110の故障等を検知することができ、前記の破損や故障による記録材の定着オフセットや定着尾引きの画像不良、及び記録材の搬送不良を防止することができる。
《第2の実施形態》
第1の実施形態は、定着フィルムバイアスの給電経路とは別の電流検知経路に配置される電流計によって、無端ベルトに流れる電流の電流値を検知する構成であった。これに対し、本実施形態では、定着フィルムバイアスの給電経路とは別の電圧検知経路に配置される電圧計によって、無端ベルトにかかる電圧の電圧値を検知する点で異なる。図7は、本実施形態のフィルム加熱方式の定着装置の概略構成図である。図7においては、図2の電流計130の代わりに、検知抵抗Rmと、その両端の電圧を測定する電圧計132を配置してある。
本実施形態においては、例えばバイアス電源110から−500[V]が出力され、例えば、Rm=50[MΩ](Rfと同じ)の場合には、Rmに流れる正常時の電流値Iは−3〜−5[μA]である。これより、検知される電圧値Vは−150〜−250[V]、電圧値Vの絶対値|V|は150〜250[V]である。電圧値Vの絶対値|V|は、耐久による導電ブラシ111及び112の汚れ等により、若干小さ目に検知される。従って、検知した電圧値Vの絶対値|V|を、所定値Vo=75[V]と比較することにより、定着フィルム破損や定着フィルムバイアス電源の破損を検知することができる。
そして、図4における電流検知を電圧検知に置き換え、また図4のS4における電流値判断|I|>Io?を、電圧値判断|V|>Vo?に置き換えることにより、本実施形態においても図4のフローチャートをそのまま適用できる。
本実施形態は、定着フィルムバイアスの電流検知を電圧検知に置き換えた定着装置であり、電圧検知の値は電流検知の値と比較すると、大きな値を検知できるので、測定誤差が小さい利点を持つ。なお、本実施形態で、検知抵抗Rm=50[MΩ]とし、保護抵抗Rf=50[MΩ]と同じ抵抗値としたが、定着装置構成や定着フィルムバイアス値等に応じて、検知抵抗Rmの値を任意に設定しても良い。
《第3の実施形態》
第1の実施形態は、定着フィルムバイアスの給電経路とは別の電流検知経路に配置される電流計によって電流値を検知する構成であった。これに対し、本実施形態では、定着フィルムバイアスの給電経路とは別の電圧検知経路を配置して、給電経路に配置される電流計によって電流値を検知する点が異なる。
図8は、本実施形態のフィルム加熱方式の定着装置の概略構成図である。図8に示すように、本実施形態は、第1の実施形態の図2の電流計130を、定着フィルムバイアスの給電経路に移動したのみの変更であり、電流の測定値は、第1の実施形態と同一である。従って、図4のフローチャートをそのまま適用して、定着フィルム破損や定着フィルムバイアス電源の破損を検知することができる。
本実施形態でも、記録材を定着する定着工程時(定着処理時)において、スイッチング手段131をOFF(Open)とする。しかし、本実施形態では、記録材を定着する定着工程時(定着処理時)に、電流計が定着フィルムバイアスの給電経路にあり、かつ導電ブラシ111と端子部材114を介して閉回路が形成されるため、以下に説明する加圧ローラのピンホールリークを検知できる。
図8で、導電ブラシ111は、無端ベルトとされる定着フィルム(第1の回転体)103の長手方向端部側に設けられる第1の導電部である接点Sにおける第1の位置に設けられる。一方、端子部材114は、他方の回転体である加圧ローラ106(第2の回転体)の長手方向端部側に設けられる第2の導電部である芯金106aにおける第3の位置114aに設けられる。
ここで、ピンホールリークとは、加圧ローラ106のPFAチューブに穴(ピンホール)が空き、その穴から定着フィルムバイアスの電流が流れ込む現象をいう。ピンホールリークで、加圧ローラ106のPFAチューブに発生した穴から、定着フィルムバイアスの電流が、「バイアス電源110→中間層103b→トップ層103c→導電弾性層106b→芯金106a→端子部材114→アース(接地)」の経路で流れる。
加圧ローラ106のピンホールは、ニップ部Nへの異物の通過や、耐久による記録材端部によるトップ層106cの削れ等によって発生する。そして、加圧ローラ106に微小なピンホールが発生してしまうと、耐久によるピンホールへの定着フィルムバイアスの繰り返しの印加によって、ピンホールが大きく成長することが判明している。ピンホールが大きくなると、ピンホールリークによる電流値も大きくなり、定着フィルム103の表面電位の低下も大きくなる。
また、加圧ローラ106のピンホールが大きくなると、離型性の低い導電性の弾性層106b(図1)が露出し、トナーTが付着して、記録材の印字面の裏側にトナー汚れが発生する。更に、ピンホールリークの電流が大きくなると、定着フィルム103のトップ層103cの絶縁破壊が発生し、トップ層103cに穴(ピンホール)が発生して、離型性の低い中間層103bが露出し、トナーTが付着して、記録材の印字面にトナー汚れが発生する。このような場合には、加圧ローラ106の交換だけでなく、定着フィルム103の交換も必要になってしまう。従って、加圧ローラ106のピンホールは、ピンホールが小さい初期段階に発見する必要がある。
この加圧ローラ106のピンホールが、加圧ローラ106の非通紙領域に発生した場合、定着工程中に、定着フィルムバイアスの電流がピンホールに流れ込み、定着フィルム103の表面電位の絶対値が低下してしまう。よって、このピンホールリークによる定着フィルム103の表面電位が低下した領域において、定着オフセットや定着尾引きが発生してしまう。
例えば、バイアス電源110から−500[V]を印加した場合、ピンホールリークが無い場合には、定着フィルム103の表面電位は約−500[V]である。一方、ピンホールが発生した場合、そのピンホールリークが発生したニップ部の領域の約12mm幅の定着フィルム103の表面電位は、約−100[V]程度に低下してしまう。
スイッチング手段131をOFF(Open)、バイアス電源110のバイアスをON、定着フィルム回転ONの状態で、ニップ部Nに記録材が無い状態では、加圧ローラ103にピンホールが無い場合には、電流計130で検知する電流値I=約0[μA]である。一方、加圧ローラ103にピンホールが有る場合には、定着フィルムバイアスの電流が加圧ローラに流れ込むため、例えばピンホールの大きさにもよるが電流値I=約−3[μA](電流値Iの絶対値|I|=3[μA])となる。
ここで、上記ニップ部Nに記録材が無い状態とは、ニップ部Nに記録材が到達する前の定着前回転、記録材間、ニップ部Nを最終記録材の通過後で画像形成装置外に排出されるまでの定着後回転の最中である。
そして、スイッチング手段131をOFF(Open)、バイアス電源110のバイアスをON、定着フィルム回転ONの状態で、定着前回転中、紙間中、定着後回転中に、電流計130が検知する電流値Iの絶対値|I|、所定値Ipとする。もし、|I|≧Ipを検知した場合(本実施形態では、Ip=3[μA])、制御部20は画像形成装置本体の表示部30に「加圧ローラ交換」を表示する。又は、制御部20はパーソナルコンピュータ40に「加圧ローラ交換」を送信する。
本実施形態で、ピンホールリーク検知を定着工程中に行わないのは、高湿環境においては、定着フィルムバイアス電流が記録材を経由して、導電の排紙ローラに流れ込むためである。但し、この排紙ローラに流れ込む電流が所定値Ipと比較して、非常に小さい場合には、定着工程中においても、ピンホールリーク検知を行っても良い。
(本実施形態の効果)
本実施形態では、定着フィルムバイアス電流の電流計130を、給電経路に配置することにより、定着フィルム103の破損やバイアス電源110の故障を検知するとともに、加圧ローラ106のピンホールリークを検知できる。これにより、ピンホールリーク起因の定着オフセットや定着尾引き、トナー汚れ等の画像不良も低減することができる。
《第4の実施形態》
第1乃至第4の実施形態では、加圧ローラ106の弾性層106b(図1)が導電性材料の場合に関して説明したが、本実施形態においては、加圧ローラ106の弾性層106bが絶縁性材料の場合(ピンホールが発生しても電流が流れない)に関して説明する。
本実施形態では、加圧ローラ106の弾性層106bとして、絶縁性のシリコンゴムとすることにより、加圧ローラ106の表面電位は、−300[V]程度に、マイナス側に大きくなり、定着オフセットは若干増大してしまう。しかし、加圧ローラ106の表層106c(図1)のPFAチューブに穴(ピンホール)が発生しても、弾性層106bの絶縁性シリコンゴムによって、電流が流れないため、第3の実施形態で説明したピンホールリークが発生しない利点を持つ。
図9は、本実施形態のフィルム加熱方式の定着装置の概略構成図である。図9で示すように、定着フィルム103にバイアスを印加するバイアス電源110は、端子部材114に接続され、加圧ローラ106の芯金(第2の導電部)106x、導電ゴムリング113を経由して、接点Sに定着フィルムバイアスが印加される構成である。
即ち、本実施形態では、導電ブラシ111を削除してコストダウンを図った構成を採り、導電ブラシ111の替りに、導電ゴムリング113、端子部材114を用いて、定着フィルムの削れや破損、又はフィルムバイアス電源の故障を検知できる。なお、電流計130による定着フィルムバイアスの電流検知は、図4のフローチャートをそのまま適用して、定着フィルム破損や定着フィルムバイアス電源の破損を検知することができる。
《第5の実施形態》
第1乃至第4の実施形態においては、定着部材としての定着フィルム103は、ポリイミドのベース層103a、導電性のプライマーとしての中間層103b、離型層としてのトップ層103cの構成で説明した。これに対し、本実施形態(2つの形態)は、定着部材としての定着ベルトの構成が異なる。
先ず、第1の形態として、図10は、ベース層が金属の定着ベルト140の概略断面図である。図10の140aは、内径φ30mm、長さ235mm、厚み40μmの金属材、例えばSUS材のベース層140aの円筒状部材上に、プライマーとしての厚み4μmの中間層103bが被覆される。更に、PFAやPTFE等の離型層としての厚み15μmのトップ層140cが被覆されている。
第1の形態において、図10の定着部材を定着ベルトと称するのは、ベース層がポリイミドの定着フィルム103と比較して、ベース層が金属で構成されているため、剛性が大きいためである。定着ベルト140の端部の接点S(7mm幅)として、導電性のSUS材のベース層140aを露出させる場合には、中間層103bは導電性でも絶縁性でもどちらでも良く、トップ層140cとベース層140aの接着性を優先して選択することができる。そして、定着ベルト140への定着フィルムバイアスの印加は、導電のSUS材のベース層140aの露出部を接点Sとし、この接点Sに印加する。
なお、定着ベルト140は、第1乃至第4の実施形態における定着フィルム103を、定着ベルト140に置き換えるのみで、第1乃至第4の実施形態及び図4のフローチャートを、そのまま適用できる。
このような第1の形態では、定着ベルト140が、ベース層140aとして、ポリイミド等の樹脂材と比較して高熱伝導率の金属材でるため、ヒータ101からの熱伝導が良く、定着装置、画像形成装置を高速化できる利点を持つ。
次に、第2の形態として、他の定着ベルト(弾性層を備える)に関して説明する。図11は、第2の形態の定着ベルト141の概略断面図である。図11の141aは、ポリイミド等の耐熱性の樹脂材、又はSUS等の金属材のベース層141aである。ベース層141aは、画像形成装置が低速機の場合にはポリイミド、画像形成装置が高速機の場合にはSUSとして、使い分けると良い。
第2の形態では、内径φ24mm、長さ235mm、厚み60μmの耐熱性ポリイミド材のベース層141aの円筒状部材上に、プライマー層としての厚み4μmの中間層141bが被覆される。そして、中間層141b上に、厚み300μmの絶縁性シリコンゴム等の弾性層141cが被覆されている。更に、弾性層141cの上にプライマー層としての厚み4μmの中間層141dが被覆され、中間層141dの上に耐熱離型層としての厚み30μmのPFAチューブのトップ層141eが被覆されている。
第2の形態において、図11の定着部材を定着ベルトと称するのは、ベース層がポリイミドの定着フィルム103と比較して、弾性層141cを被覆する構成のため、剛性が大きいためである。
ここで、定着ベルト141の端部の接点S(7mm幅)として、中間層141bを露出させる場合には、中間層141bとして導電プライマーを使用する。一方、中間層141dを露出させる場合には、中間層141dとして導電プライマーを使用する。中間層141bと中間層141dのどちらを接点Sとして露出させるかは、定着装置に応じて任意に設定して良い。なお、高速機用に、ベース層141aとして、導電性のSUS材を使用する場合には、接点Sとして、ベース層141aを露出させるようにしても良い。
第2の形態では、中間層141bに導電プライマーを使用して、中間層141bの端部を露出させて接点Sとし、この接点Sに定着フィルムバイアスを印加する構成とした。中間層141dに導電プライマーを使用し、中間層141dの端部を露出させて接点Sとし、接点Sに定着フィルムバイアスを印加する構成とした場合、中間層141dに亀裂が入ってしまい、接点Sで部分的に導通が遮断される問題が発生したためである。
このメカニズムとしては、接点Sで、定着ベルト141を加熱した時、弾性層141cの熱膨張が大きく、トップ層141eのPFAチューブで規制されないため、この接点Sにおいて、中間層141dが弾性層141cの熱膨張に追従できずに亀裂が発生する。そして、接点Sの領域で部分的に導通が遮断してしまう。このため、接点Sとしては、中間層141bを露出させるのが良いと考えられた。
第2の形態では、定着ベルト141は弾性層141cを持つため、凹凸の大きいエンボス紙等の記録材表面に定着ベルト141表面が追従できるので、弾性層を持たない定着フィルム103や定着ベルト140と比較して、凹部の定着性が格段に向上する利点を持つ。又、同様に、定着ベルト141は、記録材P上のトナーT面に対しても定着ベルト141表面が追従できるので、下地である記録材の凹凸の影響を受けにくいため、トナー画像の光沢を均一にできる利点を持つ。弾性層141cを持つ定着ベルトは、主に、白黒の高速機、又はカラー画像形成装置に使用されている。
なお、本実施形態(第1の形態、第2の形態)では、定着部材として、第1乃至第4の実施形態における定着フィルム103を、定着ベルト141に置き換えるのみであるため、第1乃至第4の実施形態及び図4のフローチャートを、そのまま適用できる。
《第6の実施形態》
第1乃至第4の実施形態においては、スイッチング手段131は、定着フィルムバイアス電流の測定時にON(Close)、記録材の定着工程中にOFF(Open)とする必要があった。本実施形態においては、スイッチング手段131を削除して、定着フィルムバイアス印加中は常に、定着フィルムバイアス電流を測定可能とする構成とした点で異なる。図12は、本実施形態(2つの形態)のフィルム加熱方式の定着装置の概略構成図である。本実施形態では、第1の形態を示す図12(a)、第2の形態を示す図12(b)に示すように、スイッチング手段131を削除し、検知抵抗Rpを追加している。
この検知抵抗Rpを、適正な抵抗値とすることで、定着フィルム103の表面電位を維持して、定着オフセットと定着尾引きを低減するとともに、定着フィルムバイアス電流を測定することが可能である。本実施形態では、検知抵抗Rp=450[MΩ]とする。保護抵抗Rf=50[MΩ]、バイアス電源110が−500[V]印加であるから、保護抵抗Rf及び検知抵抗Rpに流れる電流、即ち電流計130が検知する電流値の絶対値は、|I|=約1[μA]である。
この時、定着フィルム103の接点Sに印加されるバイアスは−450[V]であり、定着フィルム103の表面電位は約−450[V]である。第1の実施形態と比較すると、定着フィルム103の表面電位は、約50[V]小さくなるため、若干定着オフセット及び定着尾引きが増大するが、問題無いレベルであり、十分、定着オフセット及び定着尾引きを低減することができる。
ここで、図12(a)に示す第1の形態では、電流計130が検知する電流値Iは、正常時にI=−0.6〜−1.0[μA]であり、Io=0.3[μA] と比較することにより、定着フィルム破損や定着フィルムバイアス電源の破損を検知することができる。即ち、第1の形態では、|I|≦0.3[μA]を検知すると、定着フィルム103の破損又はバイアス電源110の故障と判定することになる。従って、第1の実施形態と比較すると、電流値は約1/10となり、電流計130として、高い検知精度が要求されるため、比較的高価な電流計を使用する必要がある。
即ち、第1の形態では、スイッチング手段131を削除でき、定着フィルムバイアス印加中は常に、定着フィルムバイアス電流を測定可能である利点を持つが、高精度の電流計130を使用する必要がある。
一方、図12(b)に示す第2の形態は、第1の形態と第2の実施形態を組み合わせた構成である。即ち、図12(a)の電流計130を削除し、検知抵抗Rpの両端の電圧を測定するように、電圧計132を配置している。第2の形態において、正常時に電圧計132の検知する電圧値Vは−270〜−450[V]、電圧値Vの絶対値|V|は270〜450[V]である。従って、検知した電圧値Vの絶対値|V|を所定値Vo=135[V]と比較して、|V|≦135[V]を検知することにより、定着フィルム破損や定着フィルムバイアス電源の破損を検知することができる。
第2の形態では、スイッチング手段131を削除でき、定着フィルムバイアス印加中は常に、定着フィルムバイアス電流を電圧として測定可能である利点を持つとともに、電圧計132も汎用の電圧計を使用できるので、コストダウンできる利点がある。
なお、本実施形態(第1の形態、第2の形態)で、バイアス電源110のバイアス値を−550[V]にすれば、接点Sに印加されるバイアスは約−500[V]となり、定着フィルム103の表面電位を約−500[V]とすることができる。この場合、第1の実施形態と同等の定着オフセット及び定着尾引きを低減効果が得られる。よって、本実施形態では、バイアス電源110の出力値を大きくすると、より好適である。
(変形例)
上述した実施形態では、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明の範囲内で種々の変形が可能である。
(変形例1)
上述した実施形態では、無端ベルトが第1の回転体に設けられたが、無端ベルトが第2の回転体に設けられても良い。また、無端ベルトが第1の回転体、第2の回転体の双方に設けられても良い。
(変形例2)
上述した実施形態では、無端ベルトに流れる電流の値、または無端ベルトにかかる電圧の値を検知したが、無端ベルトに流れる電流の値および無端ベルトにかかる電圧の値を検知して無端ベルトの抵抗の値を検知しても良い。
(変形例3)
上述した実施形態では、回転体および加圧体としての加圧用回転体が定着回転体を加圧する場合を示した。しかしながら、本発明はこれに限定されず、加圧体としてでなく回転体として回転体が定着回転体としての定着ベルトから加圧される場合にも同様に適用できる。
(変形例4)
上述した実施形態では、無端ベルトに流れる電流、無端ベルトにかかる電圧の少なくとも一方を検知する検知手段の出力が許容範囲を超える場合に、異常あるいは警告を表示するものとしたが、装置を停止するようにしても良い。また、異常あるいは警告を表示すると共に、装置を停止するようにしても良い。
(変形例5)
上述した実施形態では、未定着トナー像をシートに定着する定着装置を例に説明したが、本発明は、これに限らず、画像の光沢を向上させるべく、シートに仮定着されたトナー像を加熱加圧する装置(この場合も定着装置と呼ぶ)にも同様に適用可能である。
103・・定着フィルム、106・・加圧ローラ、111、112・・導電ブラシ、130・・電流計、131・・スイッチング手段、132・・電圧計、N・・ニップ部、S・・接点

Claims (8)

  1. 記録材上のトナー像をニップ部にて定着する少なくとも一方が無端ベルトとされる第1及び第2の回転体と、
    前記無端ベルトとされる少なくとも一方の回転体の長手方向端部側に設けられる第1の導電部と、
    前記第1の導電部においてバイアスが印加される第1の位置、および前記第1の導電部において前記第1の位置と異なる第2の位置を介して、前記無端ベルトに流れる電流、前記無端ベルトにかかる電圧の少なくとも一方を検知する検知回路と、
    を有することを特徴とする定着装置。
  2. 記録材上のトナー像をニップ部にて定着する、無端ベルトとされる第1の回転体および前記第1の回転体に対向する対向体と、
    前記第1の回転体の長手方向端部側に設けられる第1の導電部と、
    前記第1の導電部においてバイアスが印加される第1の位置、および前記第1の導電部において前記第1の位置と異なる第2の位置を介して、前記無端ベルトに流れる電流、前記無端ベルトにかかる電圧の少なくとも一方を検知する検知回路と、
    を有することを特徴とする定着装置。
  3. 前記検知回路を電気的にオンまたはオフとするスイッチング手段を備え、定着処理時には前記スイッチング手段をオフとし、非定着処理時に前記スイッチング手段をオンとすることを特徴とする請求項1または2に記載の定着装置。
  4. 定着処理時に、前記第1の導電部における前記第1の位置、および他方の回転体の長手方向端部側に設けられる第2の導電部における第3の位置を介して、前記他方の回転体のピンホールリークを検知することを特徴とする請求項3に記載の定着装置。
  5. 前記無端ベルトの表面電位を定着処理時に必要な値とする抵抗を前記検知回路に設け、
    定着処理時、非定着処理時に拘らず、前記第1の位置、および前記第2の位置を介して前記無端ベルトに流れる電流、前記無端ベルトにかかる電圧の少なくとも一方を検知することを特徴とする請求項1または2に記載の定着装置。
  6. 前記第1、第2の位置に夫々導電ブラシが接続することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の定着装置。
  7. 前記検知回路に設けられ、前記無端ベルトに流れる電流、電圧の少なくとも一方を検知する検知手段が、前記第1の位置に向かう前記バイアスが印加される給電経路、または前記第2の位置から離れる側の経路に配置されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の定着装置。
  8. 前記トナー像を形成する像形成部と、
    前記トナー像を定着する定着部としての請求項1乃至7のいずれか1項に記載の定着装置と、を有し、
    前記検知回路に設けられ、前記無端ベルトに流れる電流、前記無端ベルトにかかる電圧の少なくとも一方を検知する検知手段の出力が許容範囲を超える場合に、異常あるいは警告を表示する、または装置を停止することを特徴とする画像形成装置。
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