JP2015105254A - 歯科用硬化性組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】細孔容積を有する有機無機複合フィラーを含有する歯科用硬化性組成物において、その硬化体の機械的強度をより高強度にできるものを開発することを目的とする。【解決手段】(A)窒素吸着法で測定した細孔容積(ここで、細孔とは孔径1〜500nmの範囲の孔をいう)が0.01〜0.30cm3/gの凝集間隙を有する有機無機複合フィラーの有機樹脂成分として水素結合性官能基を有する重合性単量体を少なくとも50質量%含んだ(a)重合性単量体成分を重合させて得たものであり、かつ(B)重合性単量体成分に水素結合性官能基を有する重合性単量体を少なくとも10質量%含んだ歯科用硬化性組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、有機無機複合フィラーを含有する歯科用硬化性組成物に関する。
歯科用硬化性組成物は、一般に、重合性単量体(モノマー)、フィラー、及び重合開始剤を主成分として構成される。歯科用硬化性組成物は、使用するフィラーの種類、形状、粒子径、及び充填量等が選定されて構成される。これらが適切に選定されることにより、ペースト状の歯科用硬化性組成物の操作性、及び硬化体の審美性、機械的強度等の諸性状が最適に調整されている。
例えば、歯科用硬化性組成物に、粒子径が大きな無機フィラーが配合されると、得られる歯科用硬化性組成物の硬化体は機械的強度が高くなる。このこと自体は歯科用硬化性組成物として有利なことである。しかし、一方で、硬化体の表面滑沢性や耐摩耗性が低下する。その結果、天然歯と同様の艶のある硬化体の仕上がり面が得難くなる。
更に、平均粒子径が1μm以下の微細な無機フィラーは、表面滑沢性や耐摩耗性に優れる硬化体を与える。しかし、微細な無機フィラーは、比表面積が大きいので、ペースト状の歯科用硬化性組成物を大きく増粘する。一方、歯牙の治療に際しては、歯科医が、歯科用硬化性組成物を口腔内で使用に適した粘稠度に調整する必要がある。粘稠度を低下させるためには、微細な無機フィラーの配合量を少なくする必要がある。この場合は、治療時の操作性の低下、歯科用硬化性組成物が硬化する際のモノマーの重合に伴う硬化体の収縮量の増加、さらには得られる機械的強度の低下等を招く。
このような状況において、有機無機複合フィラーの使用が提案されている。(たとえば、特許文献1および2参照)。これらの文献によれば、この有機無機複合フィラーを用いることにより、微細な無機フィラーを用いる場合の優れた表面滑沢性や耐摩耗性を維持しながら、優れた操作性のペースト状歯科用硬化性組成物を得ることができ、更に重合収縮率も少ない。
この有機無機複合フィラーは、微細な無機フィラーを有機樹脂中に含有する複合フィラーである。この有機無機複合フィラーは前記微細な無機フィラーと比較して、比表面積が小さい。したがって増粘作用を発現させることなく、この有機無機複合フィラーを十分量配合して、ペースト状の歯科用硬化性組成物を製造できる。
上記有機無機複合フィラーの製造方法としては、微細無機フィラーと重合性単量体とを予め混練した硬化性組成物を重合させて硬化体を得、次いで前記硬化体を粉砕する方法が一般的であり、この方法で製造した組成物はマトリックスと有機無機複合フィラーとの界面の結合が弱いため歯科用硬化性組成物としては強度が低いことが問題であった。
前記問題点を改善すべく、特許文献3では水銀圧入法で測定した細孔容積(ここで、細孔とは細孔径が1〜500nmの範囲の孔をいう)が0.01〜0.30 cm3/gの凝集間隙を有する有機無機複合フィラーの使用が提案されている。この文献によれば、凝集間隙を有する有機無機複合フィラーを用いることにより、硬化性組成物の重合性単量体が毛細管現象により進入して硬化することにより、アンカー効果が生じ、有機無機複合フィラーが、該硬化性組成物の硬化体中に高い嵌合力で保持され、機械的強度が向上する。
特開2000−80013号公報 特開2008−37952号公報 国際公開第2013/039169号パンフレット
特許文献3の方法で得られる凝集間隙を有する有機無機複合フィラーを配合する歯科用硬化性組成物の機械的強度は相当に高いが、例えば、高い咬合圧が負荷される臼歯部の修復にはさらなる機械的強度の向上が求められている。ここで、特許文献3において、有機無機複合フィラーの有機樹脂部分を構成するための原料重合性単量体としては、公知の如何なるものも使用可能とされ多数が並列的に例示されている。また、同様に、該有機無機複合フィラーを配合する硬化性組成物の重合性単量体成分についても、多数が並列的に例示されており、水素結合性官能基を有する重合性単量体の量と硬化体の機械的強度の関係については、記載も示唆もされていない。
そして、特許文献3の実施例では、前者の有機無機複合フィラーの有機樹脂部分を構成するための原料重合性単量体として2,2−ビス[4−(3−メタクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロポキシフェニル]プロパン(GMA)や1,6−ビス(メタクリルエチルオキシカルボニルアミノ)トリメチルヘキサン(UDMA)の水酸基やウレタン基を有するものが、他方、後者の有機無機複合フィラーを配合する硬化性組成物の重合性単量体として上記GMAが、それぞれ他の重合性単量体と混合した態様で使用されている。しかし、重合性単量体成分に占める、夫々の配合量は、後者(硬化性組成物の重合性単量体成分)のGMAの場合60質量%と比較的多目であるものの、前者(有機無機複合フィラーの原料重合性単量体)の場合、最大でもGMAを用いて36質量%である態様しか示されていない。そうして、このような組成では、得られる歯科用充填修復材の硬化体は、前記高い咬合圧が負荷される臼歯部用として、今一歩満足できる機械的強度に達していなかった。
以上の背景にあって、本発明は、凝集間隙を有する有機無機複合フィラーを配合し、有機無機複合フィラーの有機樹脂成分と有機マトリクスとの結合を強固にすることによって、更に高い機械的強度を有する歯科用硬化性組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、凝集間隙を有する有機無機複合フィラーを配合した歯科用硬化性組成物において、該有機無機複合フィラーの有機樹脂成分が水素結合性官能基を有する重合性単量体を一定量以上含む重合性単量体成分を重合させて得たものであり、且つ、有機マトリックスの重合性単量体成分として水素結合性官能基を有する重合性単量体を一定量以上配合したときに、機械的強度が更に高い歯科用硬化性組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は(A)窒素吸着法で測定した細孔容積(ここで、細孔とは細孔径が1〜500nmの範囲の孔をいう)が0.01〜0.30 cm3/gの凝集間隙を有する有機無機複合フィラー、(B)重合性単量体成分、(C)重合開始剤とを含んでなる歯科用硬化性組成物において、(A)有機無機複合フィラーの有機樹脂成分が(a)重合性単量体成分を重合して得たものであり、且つ(B)重合性単量体成分は水素結合性官能基を有する重合性単量体を少なくとも10質量%含み、(a)重合性単量体成分は水素結合性官能基を有する重合性単量体を少なくとも50質量%含むことを特徴とする歯科用硬化性組成物である。
本発明の有機無機複合フィラーを含有する歯科用硬化性組成物の硬化体は優れた機械的強度を有する。この効果は、以下のような機構に基づき発現すると推察される。すなわち、凝集間隙を有する有機無機複合フィラーの凝集間隙からなる細孔に、硬化性組成物の重合性単量体が毛細管現象により浸入して硬化することにより、アンカー効果が生じ、有機無機複合フィラーは、該硬化性組成物の硬化体中に高い嵌合力で保持され、さらに、上記アンカー効果に加えて、有機無機複合フィラーの有機樹脂成分の水素結合性官能基と硬化性組成物の重合性単量体成分の水素結合性官能基との間で水素結合を形成することにより、高い機械的強度が得られると推察される。
有機無機複合フィラーの代表的態様を示す断面概略図である。
1;有機無機複合フィラー
2;無機一次粒子
3;有機樹脂成分
4;凝集間隙
本発明の歯科用硬化性組成物は、(A)窒素吸着法で測定した細孔容積(ここで、細孔とは細孔径が1〜500nmの範囲の孔をいう)が0.01〜0.30cm3/gの凝集間隙を有する有機無機複合フィラー、(B)重合性単量体成分、(C)重合開始剤とを含んでなる歯科用硬化性組成物において、(A)有機無機複合フィラーの有機樹脂成分が(a)重合性単量体成分を重合して得たものであり、且つ(B)重合性単量体成分は水素結合性官能基を有する重合性単量体を少なくとも10質量%含み、(a)重合性単量体成分は水素結合性官能基を有する重合性単量体を少なくとも50質量%含むことを特徴とする歯科用硬化性組成物である。以下、これらの成分について詳しく説明する。
[(A)有機無機複合フィラー]
本発明の歯科用硬化性組成物には、(A)有機無機複合フィラーが含まれる。有機無機複合フィラーの製法の詳細は後述するが、特定の条件下で無機粒子と重合性単量体との混合物を重合硬化させ得られるものである。本発明の(A)窒素吸着法で測定した細孔容積(ここで、細孔とは細孔径が1〜500nmの範囲の孔をいう)が0.01〜0.30cm3/gの凝集間隙を有する有機無機複合フィラーは、平均粒子径10〜1000nmの無機一次粒子が凝集されてなり、各無機一次粒子はその表面を覆う有機樹脂成分により結合されている。ただし、有機樹脂成分は、上記各無機一次粒子間の全空間を埋めるものではなく、細孔が形成されている(図1参照)。
すなわち、無機一次粒子の凝集間隙には、窒素吸着法で測定して孔径1〜500nmの範囲の細孔が0.01〜0.30cm/gの容積で形成されている。前記したようにこの凝集間隙に、硬化性組成物の重合性単量体が毛細管現象により浸入して硬化しアンカー効果を発揮することにより、硬化性組成物の硬化体は高い機械的強度を有するものになる。無機一次粒子の凝集程度が緩かったり、或いは中空状に凝集する等すれば、有機無機複合フィラーには孔径が500nm越える大きな孔が形成されることがあるが、このような大きな孔に対しては毛細管現象が強く働かず、硬化性組成物の重合性単量体が十分に浸入しなかったり、或いは、巨大孔すぎる場合には重合性単量体が充填されたとしてもアンカー効果が十分に働かなくなる。よって、このような大きな孔が存在すること自体は許容されるものではあるが、上記細孔容積を求める対象の孔には含めない。他方、孔径が1nmより小さい細孔は、有機樹脂の被覆による閉塞で孔として存在し難く、存在してもアンカー効果も十分に発揮されないため、本発明では上記細孔容積の対象の孔には含めない。
ここで、有機無機複合フィラーに形成される細孔容積が0.01cm/gより小さい場合、硬化性組成物に配合した際に、凝集間隙への重合性単量体の浸入量が少なくなり十分なアンカー効果が発揮されなくなる。他方、この細孔容積が0.30cm/gより大きい場合、有機無機複合フィラーが脆くなり、製造も難しくなる。これらの効果をより高度に発揮させる観点から、有機無機複合フィラーの細孔容積は、0.03〜0.20cm/gであるのが特に好ましい。なお、当該細孔容積は、窒素吸着によるBET法で測定した等温吸着曲線からBJH法により細孔径分布を計算することによって求めることができる。
有機無機複合フィラーに形成される凝集間隙の平均孔径は、特に制限されるものではないが、3〜300nmが好ましく、さらには10〜200nmが特に好ましい。なお、凝集間隙を形成する細孔の平均孔径は、窒素吸着法で測定した孔径1〜500nmの範囲の孔における細孔容積分布をもとに求めたメディアン細孔直径である。
有機無機複合フィラーの平均粒子径(粒度)は、小さすぎると歯科用硬化性組成物におけるフィラー充填率が低下し、機械的強度の低下やベタつきによる操作性の低下が起こり、大きすぎるとパサつきによる操作性の低下が起こる為、これらを考慮すると3〜100μmが好ましく、さらには5〜70μmが特に好ましい。なお、有機無機複合フィラーの平均粒子径は、レーザー回折−散乱法による粒度分布をもとに求めたメディアン径である。測定に供するサンプルは、0.1gの有機無機複合フィラーをエタノール10mlに分散させ均一に調製したものを用いる。
本発明において、有機無機複合フィラーの有機樹脂成分は、水素結合性官能基を有する重合性単量体を少なくとも50質量%以上含む重合性単量体成分(a)を重合させて得ることができる。ここで水素結合とは、電気陰性度の大きな原子(O、N、S等)に結合し電気的に陽性に分極した水素原子(アクセプター)と、孤立電子対を有する電気的に陰性な原子(ドナー)との間に形成される結合性の相互作用のことを示している。本発明における水素結合性官能基とは上記水素結合において、ドナー且つアクセプターとして機能することのできる置換基であり、具体的には、水酸基、アミノ基、チオール基、ウレタン基、アミド基などをいい、このような水素結合性官能基を有する重合性単量体としては、公知のものが特に制限なく使用できる。
本発明では後述する様に、硬化性組成物の(B)重合性単量体成分としても、有機無機複合フィラーの有機樹脂成分を形成する(a)重合性単量体成分と同様に水素結合性官能基を有する重合性単量体を一定量用いる。
本発明のように(A)有機無機複合フィラーの有機樹脂成分に水素結合部位が存在し、かつ(B)重合性単量体成分にも水素結合部位を有する重合性単量体が一定量存在する場合には、(B)重合性単量体成分と(A)有機無機複合フィラーとを混合して歯科用硬化性組成物を調製する際に、流動性の高い(B)重合性単量体成分に含まれる水素結合性官能基を有する重合性単量体と上記有機無機複合フィラーに含まれる水素結合性官能基を有する重合性単量体を硬化させて得ることのできる成分との間で水素結合を形成する。その結果、歯科用硬化性組成物を硬化して得られる硬化体中で有機無機複合フィラーが強固に固定され、硬化体の機械的強度が向上すると考えられる。
重合性単量体は流動性を有するので、混練の際に効率的に水素結合を形成すると考えられ、(B)重合性単量体成分が少なくとも10質量%の水素結合性官能基を有する重合性単量体を含有すれば、上記水素結合の効果は十分に得られ、10質量%から70質量%含有することがより好ましい。水素結合性官能基を有する重合性単量体を多く含有すると重合性単量体同士が水素結合を形成し、重合性単量体の粘度が上昇する。その結果、歯科用硬化性組成物の粘度が高くなり、歯牙治療の際の操作性が悪くなる。
一方、有機無機複合フィラーは、無機フィラーと有機樹脂成分を硬化させて得たものであり、硬化した有機樹脂成分の内部に取り込まれた水素結合性官能基は(B)重合性単量体の水素結合性官能基と水素結合を形成することが困難である。
このような状況にあって、歯科用硬化性組成物の硬化体の機械的強度を更に高めるほどの水素結合を形成するためには、上記の有機無機複合フィラーの有機樹脂部分を形成する(a)重合性単量体成分として水素結合性官能基を有する重合性単量体を少なくとも50質量%含むことが必要である。これらの効果をより高度に発揮させる観点から、有機無機複合フィラーの有機樹脂部分を形成する(a)重合性単量体成分として水素結合性官能基を有する重合性単量体を70〜100質量%含有することがより好ましい。
本発明において、(B)重合性単量体成分及び(a)重合性単量体成分中の水素結合性官能基を有する重合性単量体は同種のものを用いても異種のものをもちいてもよい。
上記水素結合性官能基を有する重合性単量体としては、エポキシ化合物、オキセタン化合物などのカチオン重合性単量体や、ラジカル重合性単量体などが挙げられる。重合収縮低減の観点からは、開環重合が可能なカチオン重合性単量体が好適に使用されるが、生体毒性の低さや重合活性の高さの観点からは、ラジカル重合性単量体が好適に使用される。ラジカル重合性単量体としては、例えば下記に示される各重合性単量体が挙げられる。
単官能性ビニルモノマー
単官能であるメタクリル酸あるいはアクリル酸、p−メタクリロイルオキシ安息香酸、N−2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピル−N−フェニルグリシン、4−メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸、6−メタクリロイルオキシヘキサメチレンマロン酸、10−メタクリロイルオキシデカメチレンマロン酸、2−メタクリロイルオキシエチルジハイドロジェンフォスフェート、10−メタクリロイルオキシデカメチレンジハイドロジェンフォスフェート等。
二官能性ビニルモノマー
2,2−ビス〔4−(3−メタクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロポキシフェニル〕プロパンおよび対応するアクリレート、1,2−ビス(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エチル、1,6−ビス(メタクリルエチルオキシカルボニルアミノ)トリメチルヘキサン等。
上記モノマー中でも、1分子中に複数の水素結合性官能基を有する場合、より強固な水素結合を形成し、得られる重合体の機械的強度が向上することから、少なくとも1分子中に2つ以上の水素結合性官能基を有する重合性単量体が好ましい。該2つ以上の水素結合性官能基は同種であっても、異種であってもよい。具体的には、2,2−ビス[4−(3−メタクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロポキシフェニル]プロパン(GMA)や1,6−ビス(メタクリルエチルオキシカルボニルアミノ)トリメチルヘキサン(UDMA)などが挙げられる。
なお、本発明では、これら重合性単量体は、単独で使用しても、異種を混合して用いてもよい。
上記水素結合性官能基を有する重合性単量体成分以外の重合性単量体成分としては公知の如何なる重合性単量体を使用できる。このような重合性単量体としては、例えば下記に示される各モノマーが挙げられる。
単官能性ビニルモノマー
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート等のメタクリレート、およびこれらのメタクリレートに対応するアクリレート。
二官能性ビニルモノマー
芳香族化合物系の二官能性ビニルモノマー
2,2−ビス(メタクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン)、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシテトラエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシジプロポキシフェニル)プロパン、2(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)−2(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)−2(4−メタクリロイルオキシジトリエトキシフェニル)プロパン、2(4−メタクリロイルオキシジプロポキシフェニル)−2−(4−メタクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシプロポキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシイソプロポキシフェニル)プロパンおよびこれらのメタクリレートに対応するアクリレート;2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のメタクリレートあるいはこれらのメタクリレートに対応するアクリレートのような−OH基を有するビニルモノマーと、ジイソシアネートメチルベンゼン、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネートのような芳香族基を有するジイソシアネート化合物との付加から得られるジアダクト等。
脂肪族化合物系の二官能性ビニルモノマー
エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレートおよびこれらのメタクリレートに対応するアクリレート;2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のメタクリレートあるいはこれらのメタクリレートに対応するアクリレートのような−OH基を有するビニルモノマーと、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、イソフォロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)のようなジイソシアネート化合物との付加から得られるジアダクト;無水アクリル酸、無水メタクリル酸、ジ(2−メタクリロイルオキシプロピル)フォスフェート等。
三官能性ビニルモノマー
トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、トリメチロールメタントリメタクリレート等のメタクリレートおよびこれらのメタクリレートに対応するアクリレート等。
四官能性ビニルモノマー
ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート及びジイソシアネートメチルベンゼン、ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、イソフォロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシアネートのようなジイソシアネート化合物とグリシドールジメタクリレートとの付加から得られるジアダクト等。
中でも、得られる重合体の機械的強度や生体安全性等が良好であることから、(メタ)アクリル系重合性単量体が好ましい。また、重合性の高さや硬化体の機械的物性が特に高くなる等の理由から、重合性官能基を二官能以上、より好適には二官能〜四官能の重合性単量体であるのが好ましい。
本発明の(A)窒素吸着法で測定した細孔容積(ここで、細孔とは細孔径が1〜500nmの範囲の孔をいう)が0.01〜0.30cm3/gの凝集間隙を有する有機無機複合フィラーにおいて、無機一次粒子の平均粒子径は10〜1000nmであることが必要である。無機一次粒子の平均粒子径が10nmより小さい場合、前記本発明が特徴とする細孔容積で凝集間隙を形成させるのが難しくなる。また、有機無機複合フィラーを製造するに際し、その開口部が有機樹脂相で閉孔され易くなり、フィラー中に空気泡が内包される問題が生じるようになる。有機無機複合フィラーに空気泡が内在すると、これを配合した硬化性組成物の硬化体の透明性が低下するようになる。他方、無機一次粒子の平均粒子径が1000nmより大きい場合、歯科用複合修復材料等に用いた時に、硬化体の研磨性が低下し、滑沢な表面を得にくくなる。これらの効果をより高度に発揮させる観点から、無機一次粒子の平均粒子径は40〜800nmがより好ましく、50〜600nmが特に好ましい。
また、無機一次粒子の形状は、特に限定されず、球形状、略球形状あるいは不定形粒子を用いることができる。耐摩耗性、表面滑沢性に優れ、かつ有機無機複合フィラーが均一な細孔を有し、その開口部が有機樹脂相で閉孔されて空気泡が内包され難い点から、球形状または略球形状が好適である。なお、略球形状とは、平均均斉度が0.6以上のものをいう。平均均斉度は0.7以上であることがより好ましく、0.8以上であることが更に好ましい。
なお、本発明において、無機粒子の一次粒子径は、走査型や透過型の電子顕微鏡の有機無機複合フィラー撮影像から、無機一次粒子の円相当径(対象粒子の面積と同じ面積を持つ円の直径)を画像解析により測定する。測定に用いる電子顕微鏡撮影像としては、明暗が明瞭で粒子の輪郭を判別できるものを使用し、画像解析の方法としては、少なくとも粒子の面積、粒子の最大長、最小幅の計測が可能な画像解析ソフトを用いて行う。そして、これら無機一次粒子の平均粒子径、平均均斉度は、無作為に選択した100個の無機一次粒子について上記の方法で一次粒子径(円相当径)、粒子の最大長、最小幅を計測し、下記式によって算出する。
Figure 2015105254
Figure 2015105254
上記式において、粒子の数(n)、i番目の粒子の最大長を長径(Li)、この長径に直交す方向の径を最小幅(Bi)である。
無機一次粒子の材質は、特に限定されず、従来の歯科用硬化性組成物にフィラーとして使用されている、非晶質シリカ、シリカ‐ジルコニア、シリカ‐チタニア、シリカ‐チタニア‐酸化バリウム、シリカ‐チタニア‐ジルコニア、石英、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ガラス等の無機酸化物が採用できる。また、これらの無機酸化物粒子は、緻密なものにするために高温で焼成することが好ましいが、その効果を向上させるために、ナトリウム等の少量の周期律表第I族金属の酸化物を含有させたものであっても良い。
これらの無機酸化物粒子の内、シリカ系複合酸化物粒子は、屈折率の調整が容易である他、表面にシラノール基を多量に有するため、シランカップリング剤等による表面改質が行い易いために特に好ましい。また、強いX線造影性を有していることから、シリカ‐ジルコニア、シリカ‐チタニア、シリカ‐チタニア‐酸化バリウムが好適である。更には、より耐摩耗性に優れた硬化体が得られることから、シリカ−ジルコニアが最も好適である。
これらの無機酸化物粒子は公知の如何なる方法により製造されたものであっても良い。例えば、湿式法、乾式法、ゾルゲル法などが挙げられる。中でも、形状が球状で、単分散性に優れる微細粒子を工業的に製造する上で有利であり、さらには屈折率の調整や、X線造影性を付与することが容易であることから、ゾルゲル法によって製造するのが好適である。
ゾルゲル法により球状複合酸化物無機粒子を製造する方法は、例えば特開昭58−110414号公報、特開昭58−151321号公報、特開昭58−156524号公報、特開昭58−156526号公報等により公知である。 即ち、加水分解可能な有機ケイ素化合物、あるいはこれに更に加水分解可能な他の金属の有機化合物を加えた混合溶液を、これらの有機化合物は溶解するが生成物である無機酸化物は実質的に溶解しないアルカリ性溶媒中に添加し、加水分解を行い無機酸化物を析出させ、該析出物を乾燥する方法が好適に採用される。
また、この様な方法で得られた無機酸化物粒子は、表面安定性を保持するため乾燥後500〜1000℃の温度で焼成しても良い。焼成に際しては、無機酸化物粒子の一部が凝集する場合もあるため、ジェットミル、振動ボールミル等を用いることにより凝集粒子を解きほぐし、粒度を調整してから使用するのが研磨性の観点から好ましい。
これら無機一次粒子は、平均粒子径、材質、形状が異なるものを複数種類を混合して使用してもよい。
次に、凝集間隙を有する有機無機複合フィラーの製造方法について説明する。このような有機無機複合フィラーは、その製造方法が特定の方法に限定されるものではないが、従来の有機無機複合フィラーの製造方法で得ることは通常困難である。具体的には、平均粒子径10〜1000nmの無機一次粒子が凝集された無機凝集粒子を、有機溶媒100質量部に対して重合性単量体3〜100質量部と有効量の重合開始剤を含有させた重合性単量体溶液に浸漬し、有機溶媒を除去した後、重合性単量体を重合硬化させる方法により製造することが可能である。
この製造方法では、まず、平均粒子径10〜1000nmの無機一次粒子が凝集した無機凝集粒子を得る。無機酸化物粒子は、例えば湿式法で製造した場合、激しい凝集粒子として得られ、乾式法でも緩やかな凝集粒子となる。また、ゾルゲル法で製造した場合も、乾燥工程や焼成工程で粒子は凝集するのが普通である。本発明では、このようにして得られた無機凝集粒子を、必要により粉砕して用いても良い。
特に、無機凝集粒子の粒径制御が比較的容易なことから、噴霧乾燥により造粒して得た無機凝集粒子を用いて、有機無機複合フィラーを製造するのが好ましい。噴霧乾燥による造粒は、前記有機無機複合フィラーの粒度として所望される3〜100μmの平均粒子径の凝集粒子を、粒度分布が狭い状態で得ることができる。しかも、これらの無機凝集粒子には、窒素吸着法で測定した細孔容積が0.015〜0.35cm/g、より好適には0.15〜0.30cm/gの状態で凝集間隙が形成されている。なお、無機凝集粒子の細孔容積の大きさは、一般に、粒度の幅の狭い無機一次粒子を用いた場合は大きく、粒度の幅の広い場合や平均粒子径が異なる無機一次粒子を複数種類用いた場合には小さくなる。さらに、平均粒子径が異なる無機一次粒子を複数種類用い、それを最適な割合で組み合わせ高い最密充填状態とすることで、細孔容積がより小さい状態で凝集間隙が形成される無機凝集粒子となる。この凝集状態の無機凝集粒子を用いて有機無機複合フィラーを製造すると、通常、その内部には、0.01〜0.30cm/g、より好適には0.03〜0.20cm/gの状態で細孔容積が形成され、該凝集間隙を有する有機無機複合フィラーが効率的に得られる。
ここで、噴霧乾燥は、無機粒子を水などの揮発性の液状媒体に分散させスラリー状にしたものを、例えば高速気流などにより微細な霧状に調製し、この霧状物を高温の気体と接触させることで液状媒体を揮発させ、液滴内に分散する無機粒子を実質的に一個の凝集粒子に集めて無機凝集粒子を作る方法をいう。この方法によれば、その噴霧形式や噴霧条件によって凝集粒子の粒径や粒度分布が自在に制御可能である。
好適に用いられる噴霧乾燥法を具体的に説明すれば、無機粒子を、水や、エタノール、イソプロピルアルコール、クロロホルム、塩化メチレン、ジメチルホルムアミド等の有機溶媒などの適当な溶媒に分散させてスラリーを調製し、このスラリーを高速の気流によって細かく噴霧する方法、またはスラリーを円盤状の回転体上に滴下し遠心力によって弾き飛ばして噴霧状にする方法が挙げられる。スラリーにおける無機粒子の濃度は、高速気流や円盤状回転体により噴霧化可能である限り制限はないが、一般的には5〜50質量%、好ましくは10〜45質量%である。また、円盤状回転体の回転速度は一般的に5000〜25000rpmである。液滴の径は、無機粒子の一次粒子径も勘案し、前記所望の平均粒子径の無機凝集粒子が得られるように調製すればよい。
噴霧状にされたスラリーを、高温の空気や不活性気体などによって直ちに乾燥すれば、粒度の揃った無機凝集粒子が得られる。乾燥に使用する気体の温度は、60〜300℃が一般的であり、より好ましくは80〜250℃である。
なお、上記噴霧乾燥により得られる無機凝集粒子には、僅かであるがスラリーを調製するために用いた溶媒が残留することがある。このため、噴霧乾燥の後に真空乾燥することが好ましい。真空乾燥の時間は一般には1〜48時間であり、温度は20〜150℃であり、減圧度は0.01〜100ヘクトパスカル以下が一般的である。
噴霧乾燥して得られる無機凝集粒子の形状は、通常、球状、ドーナツ状、またはディンプル状である。よって、該無機凝集粒子を使用して製造する有機無機複合フィラーも、このような形状になるのが一般的である。スラリーを熱風によって短時間で乾燥させれば、球状や略球状の無機凝集粒子とすることができる。他方、スラリー濃度を薄くすることによって、ドーナツ状やディンプル状の無機凝集粒子とすることができる。
一次粒子の平均粒子径が10〜1000nmである無機粒子を、斯様な噴霧乾燥により造粒することにより、細孔容積が0.015〜0.35cm/g、より好適には0.15〜0.30cm/gの状態で凝集間隙が形成された無機凝集粒子を製造できる。この無機凝集粒子において表面近傍で凝集している無機一次粒子は、通常、六方最密充填構造に近い配列をしている。このように平均粒子径10〜1000nmの無機一次粒子が六方最密充填構造に近い状態で配列していることにより、無機凝集粒子は、凝集間隙として開口する細孔の平均孔径が通常、5〜330nm、より一般的には20〜300nmの範囲になっている。
なお、無機凝集粒子に形成されている細孔の容積や平均孔径も、前述の有機無機複合フィラーと同様の測定方法により求めることができる。
有機無機複合フィラーの製造に使用する無機凝集粒子は、重合性単量体に対する濡れ性を向上させるために、疎水化剤により表面処理するのが好ましい。疎水化剤としては従来公知のものが何ら制限なく使用される。好適な疎水化剤を例示すれば、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニル−トリス(β―メトキシエトキシ)シラン、γ―メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、κ−メタクリロイルオキシドデシルトリメトキシシラン、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピル−トリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピル−トリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピル−トリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン等のシランカップリング剤やチタネート系カップリング剤などが挙げられる。
無機凝集粒子の疎水化に用いる疎水化剤の量に特に制限はなく、得られる有機無機複合フィラーの機械的物性等を予め実験で確認したうえで最適値を決定すれば良いが、好適な範囲を例示すれば、無機一次粒子100質量部に対して、上記疎水化剤1〜30質量部の範囲である。
また、かかる表面処理方法は特に限定されるものではなく、公知の方法が制限なく採用される。代表的な処理方法を例示すれば、無機粒子及び疎水化剤を、適当な溶媒中でボールミル等を用いて分散混合し、エバポレーターや風乾で乾燥した後、50〜150℃に加熱する方法;無機粒子及び疎水化剤をアルコール等の溶剤中で数時間程度加熱還留する方法;粒子表面に疎水化剤をグラフト重合させる方法等が挙げられる。こうした表面処理は、無機凝集粒子とする前に行っても良いし、無機凝集粒子とした後に行っても良い。前記噴霧乾燥により無機凝集粒子を製造するのであれば、この処理時に同時に行うのが効率的である。
このようにして得た無機凝集粒子は、有機溶媒100質量部に対して重合性単量体3〜70質量部と有効量の重合開始剤を含有させた重合性単量体溶液に浸漬する。その結果、無機凝集粒子の凝集間隙には、毛細管現象により、重合性単量体溶液が浸入する。ここで、重合性単量体が有機溶媒により希釈されていることにより、毛細管現象による液の浸入性は高まり、凝集間隙の深部まで重合性単量体溶液を充填させることができる。
また、重合性単量体溶液は、有機溶媒に対する重合性単量体の含有量が上記範囲であることにより、得られる有機無機複合フィラーの凝集間隙に形成される細孔容積を前記特定値とすることが可能になる。すなわち、無機凝集粒子の凝集間隙に浸入した重合性単量体溶液に含まれる有機溶媒は、重合性単量体の重合硬化前に除去され、この除去による体積減少分だけ無機一次粒子の凝集間隙には細孔が形成される。しかして、その細孔容積を前記値(0.01〜0.30cm/g)とするためには、重合性単量体溶液に含まれる重合性単量体の濃度は上記含有量であることが必要である。
ここで、重合性単量体の含有量が前記範囲でない場合には、細孔内に充填される重合性単量体量に過不足が生じるようになる。また、重合性単量体の含有量が高すぎる場合には、有機無機複合フィラー中に空気泡が形成されたり、余剰の重合性単量体が無機凝集粒子の外周に付着して無機凝集粒子同士が結合して塊状物が生成する不都合等も生じるようになる。これらを勘案すると、重合性単量体溶液における重合性単量体の含有量は、有機溶媒100質量部に対して10〜50質量部であることがより好ましい。
重合性単量体溶液に含有させる有機溶媒は、公知のものが制限なく使用できる。例えば、パークロロエチレン、トリクロロエチレン、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系有機溶媒や、ヘキサン、ヘプタン、ペンタン等の炭化水素化合物;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族化合物;メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール等のアルコール化合物;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、t−ブチルメチルエーテル等のエーテル化合物;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン化合物;ぎ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル等のエステル化合物;などの非ハロゲン系有機溶媒などがあげられる。中でも、溶媒除去工程の短時間化を可能とする高い揮発性を有していること、入手がしやすく安価なこと、製造の際に人体へ安全性が高いこと、などの観点から、メタノール、エタノール、アセトン、ジクロロメタンなどがより好ましい。
重合性単量体溶液に含有させる重合開始剤は、光重合開始剤、化学重合開始剤、熱重合開始剤のいずれであっても良い。光や熱などの外部からのエネルギーで重合のタイミングを任意に選択でき、製造操作が簡便になる点から光重合開始剤または熱重合開始剤が好ましい。更に、遮光下や赤色光下などの作業環境を選ばない点から熱重合開始剤がより好ましい。こうした熱重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物、トリブチルボラン、トリブチルボラン部分酸化物、テトラフェニルホウ酸ナトリウム、テトラキス(p−フロルオロフェニル)ホウ酸ナトリウム、テトラフェニルホウ酸トリエタノールアミン塩等のホウ素化合物、5−ブチルバルビツール酸、1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸等のバルビツール酸類、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、p−トルエンスルフィン酸ナトリウム等のスルフィン酸塩類等が挙げられる。前記した熱重合開始剤の中でも、操作上の安全性が高く、有機無機複合フィラーへの着色の影響が少ないアゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等が好適に使用される。
これら重合開始剤は単独で使用しても、2種以上を混合して使用してもよい。重合開始剤の配合量は、重合を十分に進行させるに有効量であれば良いが、一般には、重合性単量体100質量部に対して0.01〜30質量部の割合であり、より好ましくは0.1〜5質量部の割合である。
有機無機複合フィラーに種々の機能を付与するため、重合性単量体溶液には、紫外線吸収剤、顔料、染料、重合禁止剤等を配合させても一向に構わない。
こうした重合性単量体溶液の無機凝集粒子への浸漬は、重合性単量体溶液中に無機凝集粒子を混合すれば良く、この操作は、通常は常温常圧下で実施するのが好ましい。無機凝集粒子100質量部に対して、重合性単量体溶液30〜500質量部、より好ましくは50〜200質量部を混合するのが好ましい。混合後は、静置するのであれば30分以上放置するのが好ましく、さらには1時間以上放置するのがより好ましい。また、重合性単量体溶液の凝集間隙への浸入を促進するために、混合液を、振とう攪拌、遠心攪拌、加圧、減圧、加熱しても良い。
重合性単量体溶液に無機凝集粒子を浸漬したならば、重合性単量体を重合硬化させるに先立って、その凝集間隙に充填されている重合性単量体溶液から有機溶媒を除去する。有機溶媒の除去は、無機凝集粒子の凝集間隙に浸入した無機凝集粒子に含有されている有機溶媒の実質的全量(通常、95質量%以上)が除去されるまで施し、視覚的にはさらさらの粉体が得られるまで実施すれば良い。
有機溶媒の除去操作は、公知の如何なる乾燥方法により実施してもよい。例えば、対流伝熱乾燥、輻射伝熱乾燥、伝導伝熱乾燥、内部発熱乾燥などの加熱系乾燥や、真空乾燥、真空凍結乾燥、遠心乾燥、吸収剤による乾燥、吸引乾燥、加圧乾燥、超音波乾燥、などの非加熱系乾燥などが挙げられる。このうち加熱系乾燥や真空乾燥、真空凍結乾燥等が好ましい。
真空乾燥を実施する場合、減圧度は、有機溶媒の沸点や揮発性にあわせて適宜選択すればよいが、一般的には100ヘクトパスカル以下、好ましくは0.01〜50ヘクトパスカル、最も好ましくは0.1〜10ヘクトパスカルである。
加熱系乾燥を実施する場合、加熱温度は、有機溶媒の沸点にあわせて適宜選択すれば良いが、有機溶液に熱重合開始剤を用いている場合に限り、その重合開始温度以下に設定する必要がある。
乾燥方法は、上記した方法を組み合わせて行なってもよい。乾燥時間を短縮する為に、真空乾燥と伝導伝熱乾燥などの加熱系乾燥を組み合わせることが特に好ましい。有機溶媒の除去操作は、有機無機複合フィラーの特徴を損なわない範囲で、攪拌下に行っても良い。
このようにして有機溶媒を除去したならば、続いて、重合性単量体の重合硬化を行う。重合硬化方法は、用いた重合性単量体や重合開始剤の種類によって異なるため、最適な方法を選択すればよいが、熱重合開始剤を用いた場合には加熱によって重合を行い、光重合開始剤を用いた場合は対応する光を照射することによって重合を行なえば良い。
熱重合の場合、重合温度は用いる重合開始剤によって異なるため適宜最適な温度を選択すればよいが、一般的には30〜170℃、好ましくは50〜150℃である。光重合の場合、光源は用いる重合開始剤の種類によって異なるため適宜最適な光源を選択すればよいが、一般的にはハロゲンランプ、LED、キセノンランプ、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等を挙げることができる。
以上の方法により、内部に細孔を有する有機無機複合フィラーを効率的に製造することができる。なお、これらの操作は、重合性単量体溶液の濃度等に応じて複数回繰りして実施し、無機一次粒子の表面を覆う有機樹脂の量を増量して、細孔容積の形成量を調整しても良い。
また、得られた有機無機複合フィラーは、製造に供する無機凝集粒子が、噴霧乾燥により造粒したものを用いる等して適当な粒度のものを用いたものであれば、そのまま使用すれば良い。無論、粒度が大きすぎる場合には必要に応じて適度に粉砕しても一向に構わない。粉砕は、振動ボールミル、ビーズミル、ジェットミル等を用いて行ない、更に必要に応じて、フルイ、エアー分級機、あるいは水ひ分級等により分級すれば良い。なお、このような粉砕処理は、無機凝集粒子に対して重合性単量体溶液を含浸させ、有機溶媒を除去した後の、重合性単量体の重合工程前に実施しても良い。
さらに、有機無機複合フィラーには、これを配合した歯科用硬化性組成物がより高い機械的強度を有するように、表面処理を施しても良い。表面処理剤や表面処理方法は、前述の無機一次粒子の表面処理の場合と同様に行なえば良い。
[(B)重合性単量体成分]
既に説明した通り、本発明における(B)重合性単量体成分としては、水素結合性官能基を有する重合性単量体を少なくとも10質量%以上含有すれば、有機無機複合フィラーの樹脂部分として含まれる水素結合性官能基を有する重合性単量体を硬化させて得ることのできる成分との間で十分に強固な水素結合を形成し、硬化性組成物の硬化体の強度が向上する。10質量%未満の場合は上記水素結合の効果が十分でなく硬化性組成物の硬化体の強度が低下する。
(B)重合性単量体成分の水素結合性官能基を有する重合性単量体としてはエポキシ化合物、オキセタン化合物などのカチオン重合性単量体や、ラジカル重合性単量体などが挙げられる。重合収縮低減の観点からは、開環重合が可能なカチオン重合性単量体が好適に使用されるが、生体毒性の低さや重合活性の高さの観点からは、ラジカル重合性単量体が好適に使用される。ラジカル重合性単量体としては、例えば下記に示される各重合性単量体が挙げられる。
単官能性ビニルモノマー
単官能のメタクリル酸あるいはアクリル酸、p−メタクリロイルオキシ安息香酸、N−2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピル−N−フェニルグリシン、4−メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸、6−メタクリロイルオキシヘキサメチレンマロン酸、10−メタクリロイルオキシデカメチレンマロン酸、2−メタクリロイルオキシエチルジハイドロジェンフォスフェート、10−メタクリロイルオキシデカメチレンジハイドロジェンフォスフェート等。
二官能性ビニルモノマー
2,2−ビス〔4−(3−メタクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロポキシフェニル〕プロパンおよび対応するアクリレート、1,2−ビス(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エチル、1,6−ビス(メタクリルエチルオキシカルボニルアミノ)トリメチルヘキサン等。
上記モノマー中でも、1分子中に複数の水素結合性官能基を有する場合、より強固な水素結合を形成し、得られる重合体の機械的強度が向上することから、少なくとも1分子中に2つ以上の水素結合性官能基を有する重合性単量体が好ましい。具体的には、2,2−ビス[4−(3−メタクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロポキシフェニル]プロパン(GMA)や1,6−ビス(メタクリルエチルオキシカルボニルアミノ)トリメチルヘキサン(UDMA)などが挙げられる。なお、(a)重合性単量体成分中の水素結合性官能基を有する重合性単量体及び(B)重合性単量体成分中の水素結合性官能基を有する重合性単量体の双方が2つ以上の水素結合性官能基を有する場合がより好ましい。
(B)重合性単量体成分の水素結合性官能基を有する重合性単量体以外の成分としては、該用途に使用される公知のものが制限無く使用できる。このような重合性単量体としては、例えば下記に示される各モノマーが挙げられる。
単官能性ビニルモノマー
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート等のメタクリレート、およびこれらのメタクリレートに対応するアクリレート。
二官能性ビニルモノマー
芳香族化合物系のもの
2,2−ビス(メタクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン)、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシテトラエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシジプロポキシフェニル)プロパン、2(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)−2(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)−2(4−メタクリロイルオキシジトリエトキシフェニル)プロパン、2(4−メタクリロイルオキシジプロポキシフェニル)−2−(4−メタクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシプロポキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシイソプロポキシフェニル)プロパンおよびこれらのメタクリレートに対応するアクリレート;2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のメタクリレートあるいはこれらのメタクリレートに対応するアクリレートのような−OH基を有するビニルモノマーと、ジイソシアネートメチルベンゼン、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネートのような芳香族基を有するジイソシアネート化合物との付加から得られるジアダクト等。
脂肪族化合物系のもの
エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレートおよびこれらのメタクリレートに対応するアクリレート;2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のメタクリレートあるいはこれらのメタクリレートに対応するアクリレートのような−OH基を有するビニルモノマーと、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、イソフォロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)のようなジイソシアネート化合物との付加から得られるジアダクト;無水アクリル酸、無水メタクリル酸、ジ(2−メタクリロイルオキシプロピル)フォスフェート等。
三官能性ビニルモノマー
トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、トリメチロールメタントリメタクリレート等のメタクリレートおよびこれらのメタクリレートに対応するアクリレート等。
四官能性ビニルモノマー
ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート及びジイソシアネートメチルベンゼン、ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、イソフォロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシアネートのようなジイソシアネート化合物とグリシドールジメタクリレートとの付加から得られるジアダクト等。
通常は例示した重合性単量体と同じ範疇から採択すれば良い。得られる重合体の機械的強度や生体安全性等が良好であることから、(メタ)アクリル系重合性単量体が好ましい。また、重合性の高さや硬化体の機械的物性が特に高くなる等の理由から、重合性官能基を二官能以上、より好適には二官能〜四官能の重合性単量体であるのが好ましい。
(B)重合性単量体成分に対する有機無機複合フィラーの含有量は、少なすぎると、前記操作性の改善効果が得られにくく、多すぎるとパサつきによる操作性の低下が起こる耐為、これらを考慮すると重合性単量体100質量部に対して50〜600質量部で、より好適には70〜300質量部である。
[(C)重合開始剤]
(C)重合開始剤は、該用途に使用される公知のものが制限なく使用でき、例えば、前記した有機無機複合フィラーを重合硬化せしめるために例示した熱重合開始剤等が使用できる。また、一般に、歯科用硬化性組成物においては、使用時の操作の簡便さの理由から、硬化(重合)手段として光重合が採用されることが多く、本発明の歯科用硬化性組成物においても重合開始剤としては光重合開始剤を用いるのが好適である。こうした光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインアルキルエーテル類、ベンジルケタール類、ベンゾフェノン類、α-ジケトン類、チオキサンソン化合物、ビスアシルホスフィンオキサイド類等が挙げられる。なお、光重合開始剤には、しばしば還元剤が添加されるが、その例としては、芳香族アミン、脂肪族アミン、アルデヒド類、含イオウ化合物などを挙げることができる。さらに、必要に応じてトリハロメチルトリアジン化合物、アリールヨードニウム塩等を添加することも出来る。該重合開始剤は、上記重合性単量体100質量部に対して0.01〜10質量部の範囲で配合させるのが一般的である。
[(D)無機フィラー]
本発明の歯科用硬化性組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で(D)無機フィラーを配合することができる。(D)無機フィラーとしては、歯科用修復材料の充填材として公知の無機フィラーが何ら制限なく用いられるが、代表的な無機フィラーを例示すれば、石英、シリカ、アルミナ、シリカチタニア、シリカジルコニア、ランタンガラス、バリウムガラス、ストロンチウムガラス等の金属酸化物類が挙げられる。また必要に応じて、ケイ酸塩ガラス、フルオロアルミノシリケートガラス等の歯科用の無機充填材として公知のカチオン溶出性の無機充填材を配合しても良い。これらは一種または二種以上を混合して用いても何ら差し支えない。
これら充填材の粒径は特に限定されず、一般的に歯科用材料として使用されている0.01μm〜100μm(特に好ましくは0.01〜5μm)の平均粒径の充填材が目的に応じて適宜使用できる。また、該充填材の屈折率も特に制限されず、一般的な歯科用の無機フィラーが有する1.4〜1.7の範囲のものが制限なく使用でき、目的に合わせて適宜設定すればよい。粒径範囲や平均粒径、屈折率、材質の異なる複数の無機フィラーを併用しても良い。
さらに、上記フィラーの中でもとりわけ球状の無機フィラーを用いると、得られる硬化体の表面滑沢性が増し、優れた歯科用修復材料となり得る。
上記無機フィラーは、シランカップリング剤に代表される表面処理剤で処理することが、重合性単量体とのなじみを良くし、機械的強度や耐水性を向上させる上で望ましい。表面処理の方法は公知の方法で行えばよく、シランカップリング剤としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等が好適に用いられる。
(A)有機無機複合フィラーと(D)無機フィラーの充填割合は、重合性単量体と混合したときの粘度や硬化体の機械的強度を考慮して、適宜決定すればよいが、多すぎると上記パサつきのために操作性が低下するので、(A)有機無機複合フィラーと(D)無機フィラーとの配合量の合計が、(B)重合性単量体成分100質量部に対して600質量部を超えない範囲であることが好ましい。
さらに、本発明の歯科用硬化性組成物においては、その効果を著しく阻害しない範囲で、公知の添加剤を配合することができる。かかる添加剤としては、重合禁止剤、顔料、紫外線吸収剤等が挙げられる。
本発明の歯科用硬化性組成物は、一般に、前記各必須成分及び必要に応じて添加する各任意成分を所定量とって十分に混練し、さらにこのペーストを減圧下脱泡して気泡を除去することによって得ることができる。歯科用硬化性組成物の用途は特に限定されないが、好適なのは、歯科用充填修復材料や歯科用間接修復材料などの歯科用修復材料であり、特に好適には、高い咬合圧が負荷される臼歯部の治療に用いる歯科用充填修復材料である。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例
に制限されるものではない。以下の実施例及び比較例に用いた化合物の略称を以下に示す。
(1)略称・略号
(イ)重合性単量体
(イ―1)水素結合性官能基を有さない重合性単量体
・3G:トリエチレングリコールジメタクリレート
・HD:1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート
・D2.6E:2,2−ビス(4−(メタクリロイルオキシエトキシ)フェニル)プロパン
(イ―2)水素結合性官能基を有する重合性単量体
・GMA:2,2−ビス[(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)フェニル]プロパン
・UDMA:1,6−ビス(メタクリルエチルオキシカルボニルアミノ)トリメチルヘキサン
(ロ)無機フィラー
・F−1:一次粒子の平均粒子径200nmの、ゾルゲル法で製造した球状(平均均斉度(0.95)のシリカ−ジルコニア
・F−2:F−1のγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン表面処理物
(ハ)重合開始剤
・AIBN:アゾビスイソブチロニトリル
・CQ:カンファーキノン
・DMBE:N,N−ジメチル−p−安息香酸エチル
また、有機無機複合フィラーおよび歯科用修復材料の調製方法、および硬化体の機械的強度の測定は以下の方法を用いた。
(1)有機無機複合フィラーの調製方法
無機粒子F−1を水に入れ、循環型粉砕機SCミルを用いて無機粒子を分散させた分散液を得た。次いで、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランと酢酸を水に加え撹拌し、pH4の均一な溶液を得た。この溶液を上記無機粒子分散液に添加し、均一に混合した。その後、上記分散液をノズル先端で粒子化エアと衝突させることで微粒子とする噴霧乾燥機(スプレードライヤー「NL−5」、大川原化工機株式会社製)を用いて、噴霧圧力を0.1MPa、乾燥温度を230℃とし、噴霧乾燥法により乾燥した。その後、噴霧乾燥した無機粉体を120℃、15時間真空乾燥して無機凝集粒子を得た。
次いで、所定の量比で混合した重合性単量体と、重合開始剤としてAIBN、さらに有機溶媒としてメタノールを混合した重合性単量体溶液に、重合性単量体100質量部に対して、無機凝集粒子430質量部となる比率で無機凝集粒子と上記重合性単量体溶液とを混合し、この混合物がスラリー状の性状となったことを確認してから1時間静置した。
上記の混合物をロータリーエバポレーターで攪拌しながら、減圧度10ヘクトパスカル、加熱条件40℃(温水バスを使用)の条件で1時間乾燥し、有機溶媒の除去を行った。有機溶媒の除去により、さらさらな粉体が得られた。
上記の粉体をロータリーエバポレーターで攪拌しながら、減圧度10ヘクトパスカル、加熱条件100℃(オイルバスを使用)の条件で、1時間の加熱を行い、上記粉体中の重合性単量体を重合硬化させ、有機無機複合フィラーを得た。
有機無機複合フィラーを構成する樹脂成分の組成比および有機無機複合フィラーの略称を以下に示す。
・A−1:GMA(100質量%)
・A−2:GMA(70質量%)、HD(30質量%)
・A−3:GMA(50質量%)、HD(50質量%)
・A−4:UDMA(100質量%)
・A−5:UDMA(70質量%)、HD(30質量%)
・A−6:UDMA(50質量%)、HD(50質量%)
・A−7:GMA(40質量%)、HD(60質量%)
・A−8:UDMA(40質量%)、HD(60質量%)
・A−9:D2.6E(50質量%)、HD(50質量%)
(2)細孔容積の測定方法
試料セルに有機無機複合フィラーを1.0gいれ、前処理装置(「バッキュプレップ061」株式会社島津製作所製)を用いて、120℃で3時間、真空排気により前処理を行った。その後、吸着ガスとして窒素、冷媒として液体窒素を用いて、ガス吸着法細孔分布測定装置(「トライスターII3020」株式会社島津製作所製)により、細孔径1〜500nmの範囲の孔の細孔容積を求めた。
(3)歯科用硬化性組成物の調製方法
所定の量比で重合性単量体を混合しておき、赤色光下で、これに対して所定量の光重合開始剤及び充填材を加え、均一のペースト状になるまでメノウ製乳鉢中でよく混合、攪拌した。さらにこれを真空脱泡して所定の組成を有する歯科用硬化性組成物のペーストを得た。
(4)曲げ強さ及び曲げ弾性率の測定方法
歯科用硬化性組成物のペーストについて、充填器を用いてステンレス製型枠に充填し、ポリプロピレンで圧接した状態で、可視光線照射器パワーライト(トクヤマ社製)を用いて一方の面から30秒×3回、全体に光が当たるように場所を変えてポリプロピレンに密着させて光照射を行なった。次いで、反対の面からも同様にポリプロピレンに密着させて30秒×3回光照射を行い硬化体を得た。#1500の耐水研磨紙にて、硬化体を2×2×25mmの角柱状に整え、この試料片を試験機(島津製作所製、オートグラフAG5000D)に装着し、支点間距離20mm、クロスヘッドスピード1mm/分で3点曲げ破壊強度を測定した。試験片5個について評価し、その平均値を曲げ強さとした。荷重−たわみ曲線を得る。
以下に示した式により、曲げ強度を求めた。
Figure 2015105254
σ:曲げ強度(Pa),P:試験片破折時の荷重(N),
S:支点間距離(m),W:試験片の幅(m),B:試験片の厚さ(m)。
また下式により、曲げ弾性率を求めた。
Figure 2015105254

B:曲げ弾性率(Pa),
F/Y:荷重−たわみ曲線の直線部分の勾配(N/m)。

試験は5個の試験片について行い、平均と標準偏差を求めた。
実施例1〜6
D2.6E(35質量%)、3G(40質量%)、GMA(25質量%)からなる重合性単量体100質量部に対して、有機無機複合フィラーA−1〜A−6を160質量部、無機フィラーF−2を100質量部、重合開始剤としてCQを0.20質量部およびDMBEを0.35質量部を配合して歯科用硬化性組成物を調製した。測定結果を表1に示す。
実施例7〜12
D2.6E(55質量%)、3G(35質量%)、UDMA(10質量%)からなる重合性単量体100質量部に対して、有機無機複合フィラーA−1〜A−6を160質量部、無機フィラーF−2を100質量部、重合開始剤としてCQを0.20質量部およびDMBEを0.35質量部を配合して歯科用硬化性組成物を調製した。測定結果を表1に示す。
実施例13〜15
3G(30質量%)、UDMA(70質量%)からなる重合性単量体100質量部に対して、有機無機複合フィラーA−1またはA−4を160質量部、無機フィラーF−2を100質量部、重合開始剤としてCQを0.20質量部およびDMBEを0.35質量部を配合して歯科用硬化性組成物を調製した。測定結果を表1に示す。
比較例1〜3
D2.6E(35質量%)、3G(40質量%)、GMA(25質量%)からなる重合性単量体100質量部に対して、有機無機複合フィラーA−7〜A−9を160質量部、無機フィラーF−2を100質量部、重合開始剤としてCQを0.20質量部およびDMBEを0.35質量部を配合して歯科用修復材料を調製した。測定結果を表2に示す。
比較例4〜6
D2.6E(55質量%)、3G(35質量%)、UDMA(10質量%)からなる重合性単量体100質量部に対して、有機無機複合フィラーA−7〜A−9を160質量部、無機フィラーF−2を100質量部、重合開始剤としてCQを0.20質量部およびDMBEを0.35質量部を配合して歯科用修復材料を調製した。測定結果を表2に示す。
比較例7〜12
D2.6E(60質量%)、3G(40質量%)からなる重合性単量体100質量部に対して、有機無機複合フィラーA−1〜A−6を160質量部、無機フィラーF−2を100質量部、重合開始剤としてCQを0.20質量部およびDMBEを0.35質量部を配合して歯科用修復材料を調製した。測定結果を表2に示す。
Figure 2015105254
Figure 2015105254

Claims (5)

  1. (A)窒素吸着法で測定した細孔容積(ここで、細孔とは細孔径が1〜500nmの範囲の孔をいう)が0.01〜0.30cm3/gの凝集間隙を有する有機無機複合フィラー、(B)重合性単量体成分、(C)重合開始剤とを含んでなる歯科用硬化性組成物において、(A)有機無機複合フィラーの有機樹脂成分が(a)重合性単量体成分を重合して得たものであり、且つ(B)重合性単量体成分は水素結合性官能基を有する重合性単量体を少なくとも10質量%含み、(a)重合性単量体成分は水素結合性官能基を有する重合性単量体を少なくとも50質量%含むことを特徴とする歯科用硬化性組成物。
  2. 前記(B)重合性単量体成分中の水素結合性官能基を有する重合性単量体の水素結合性官能基及び/又は(a)重合性単量体成分中の水素結合性官能基を有する重合性単量体の水素結合性官能基が、水酸基、ウレタン基、アミド基のいずれかであること特徴とする請求項1に記載の歯科用硬化性組成物。
  3. 前記(B)重合性単量体成分中の水素結合性官能基を有する重合性単量体及び/又は(a)重合性単量体成分中の水素結合性官能基を有する重合性単量体が1分子中に少なくとも2つ以上の水素結合性官能基を有する重合性単量体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の歯科用硬化性組成物。
  4. (B)重合性単量体成分100質量部に対して、(A)有機無機複合フィラーを50〜600質量部含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の歯科用硬化性組成物。
  5. さらに(D)無機フィラーを含み、該(D)無機フィラーを、(A)有機無機複合フィラーとの合計量として、(B)重合性単量体成分100質量部に対して100〜600質量部含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の歯科用硬化性組成物
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