JP7195549B2 - 臼歯治療用歯科用充填修復材料 - Google Patents
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Description
前記有機無機複合フィラー(A)の前記有機樹脂成分は、水素結合性官能基を有する重合性単量体を少なくとも50質量%含む重合性単量体成分(a)を重合して得た有機樹脂成分であり、
前記重合性単量体成分(B)は、水素結合性官能基を有する重合性単量体を10~70質量%含有し、
前記光酸発生剤(c3)は、ジフェニルヨードニウム、ビス(p-クロロフェニル)ヨードニウム、ジトリルヨードニウム、ビス(p-メトキシフェニル)ヨードニウム、ビス(p-tert-ブチルフェニル)ヨードニウム、p-イソプロピルフェニル-p-メチルフェニルヨードニウム、ビス(m-ニトロフェニル)ヨードニウム、p-tert-ブチルフェニルフェニルヨードニウム、p-メトキシフェニルフェニルヨードニウム、p-オクチルオキシフェニルフェニルヨードニウム又はp-フェノキシフェニルフェニルヨードニウムからなるカチオンを有するアリールヨードニウム塩化合物からなり、
前記重合性単量体成分(B)の総質量100質量部に対する、前記有機無機複合フィラー(A)、前記光増感用化合物(c1)、前記還元剤(c2)及び前記アリールヨードニウム塩化合物からなる光酸発生剤(c3)の配合量が、夫々、(A):100~300質量部、(c1):0.01~10質量部、(c2):0.01~10質量部、及び(c3):0.1~5質量部である、
ことを特徴とする前記臼歯治療用歯科用充填修復材料である。
有機無機複合フィラーとは、無機成分(通常は、微細な無機フィラー)と有機性成分である有機樹脂とが複合化したフィラーを意味する。本発明の歯科用硬化性組成物で使用する有機無機複合フィラー(A)は、上記したように、水素結合性DCCにおける(A)有機複合フィラーに相当するものであり、水素結合性官能基を有する重合性単量体を少なくとも50質量%含む重合性単量体成分(a)を重合して得た有機樹脂成分と、無機成分と、を含み、窒素吸着法で測定した細孔容積(ここで、細孔とは細孔径が1~500nmの範囲の孔をいう)が0.01~0.30cm3/gである、多孔性の有機無機複合フィラーである。
本発明の歯科用硬化性組成物においては、水素結合性DCCの有機無機複合フィラーと同様に、有機無機複合フィラー(A)をその他の成分と混合して歯科用硬化性組成物を調製する際に、後述する重合性単量体成分(B)に含まれる水素結合性モノマーとの間で水素結合を形成し、歯科用硬化性組成物の硬化体においてもその水素結合によって機械的強度を更に向上させる。そのため、前記有機無機複合フィラー(A)における有機樹脂成分は、水素結合性モノマーを少なくとも50質量%{当該質量%は、重合性単量体成分(a)の総質量を基準とする。}以上含む重合性単量体成分(a)を重合させて得られものである必要がある。
水素結合性モノマーが有する「水素結合性官能基」とは、水素結合、すなわち、電気陰性度の大きな原子(O、N、S等)に結合することによって電気的に陽性に分極した水素原子(アクセプター)と、孤立電子対を有する電気的に陰性な原子(ドナー)との間に形成される結合性の相互作用を起こす官能基を意味する。上記水素結合において、ドナーとして機能する部分とアクセプターとして機能する部分を有する置換基が、水素結合性官能基であり、具体的には、水酸基(-OH)、アミノ基(-NH2)、チオール基(-SH)、ウレタン基{ウレタン結合:-NHC(=O)O-}、アミド基{カルバモイル基:-C(=O)NH2}などが、これに該当する。
非水素結合性モノマーとしては、重合性基を有する化合物、すなわち、カチオン重合性又はラジカル重合性を有する化合物であって、前記水素結合性官能基を有しないものであれば、歯科用硬化性組成物で使用される重合性単量体が特に制限なく使用できる。得られる重合体の機械的強度や生体安全性等が良好であることから、(メタ)アクリル系重合性単量体が好ましい。また、重合性の高さや硬化体の機械的物性が特に高くなる等の理由から、分子内に重合性官能基を複数有する(二官能以上の)重合性単量体、特に二官能~四官能の重合性単量体を使用することが好ましい。
無機フィラーとしては、平均粒子径が10~1000nmである複数の無機一次粒子を含むもの、特このような無機一次粒子が凝集した凝集フィラーを使用することが好ましい。無機一次粒子としては、非晶質シリカ、シリカ‐ジルコニア、シリカ-チタニア、シリカ-チタニア-酸化バリウム、シリカ-チタニア-ジルコニア、石英、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ガラス等の無機酸化物からなるものが使用でき、中でもシリカ系複合酸化物粒子、特にシリカ-ジルコニア粒子であることが好ましい。また、耐摩耗性、表面滑沢性に優れ、かつ有機無機複合フィラーが均一な細孔を有し、その開口部が有機樹脂相で閉孔されて空気泡が内包され難い点から、平均均斉度が0.6以上のも球形状または略球形状ものを使用することが好ましい。無機一次粒子の平均粒子径は、10~1000nmであればよいが、40~800nmであることが好ましく、50~600nmであることが特に好ましい。
前記無機一次粒子又はその凝集粒子を必要に応じてシランカップリング剤により表面処理した後に噴霧乾燥して得た無機凝集粒子を、重合性単量体成分(a)及び重合開始剤を有機溶媒に溶解させた重合性単量体溶液に浸漬した後に有機溶媒を除去してから重合硬化することにより、好適に製造することができる。
重合性単量体成分(B)は、水素結合性DCCの重合性単量体と同様に、歯科用硬化性組成物を調製する際に、前記有機無機複合フィラー(A)の有機樹脂成分に含まれる水素結合性基との間で水素結合を形成し、歯科用硬化性組成物の硬化体においてもその水素結合によって機械的強度を更に向上させるために、水素結合性モノマーを10質量%{当該質量%は、重合性単量体(B)の総質量を基準とする。}以上含有する必要がある。水素結合性モノマーの含有量が多くなると、本発明の歯科用硬化性組成物の粘度が上昇する傾向があり、歯牙治療の際の操作がし易い粘度とするという理由から、重合性単量体(B)における水素結合性モノマーの含有量は、10~70質量%とする。このとき、水素結合性モノマー以外の重合性単量体は、非水素結合性モノマーが占めることになる。
本発明の歯科用硬化性組成物では、重合開始剤(C)として、光増感用化合物(c1)、還元剤(c2)およびアリールヨードニウム塩化合物からなる光酸発生剤(c3)を含む光重合開始剤を使用し、且つ前記光酸発生剤がアリールヨードニウム塩化合物の配合量を前記重合性単量体成分(B)の総質量100質量部に対して0.1~5質量部とする必要がある。
以下に、前記光重合開始剤を構成する各成分について説明する。
光増感化合物(c1)としては、最大吸収波長を350~700nmに有し、重合に有効な活性種を生成させる機能を有する化合物が特に制限なく使用できる。ここで、活性種とは、活性の高い中性のラジカル種を意味し、通常、光吸収し励起した光増感化合物と重合性単量体若しくは他の化合物との間でエネルギー移動または電子移動する結果として生じる。
還元剤(或いは電子供与体)は、前記光増感化合物と組み合わせて使用されることで重合促進機能を有する。還元剤としては公知のものが何ら制限なく使用できるが、高い重合性が得られるという理由から第3級アミン化合物を使用することが好ましい。第3級アミン化合物としては、分子中に芳香族環を有していない脂肪族第3級アミン化合物又は分子中に芳香族環を有する芳香族第3級アミン化合物が使用でき、芳香族第3級アミン化合物を使用することが好ましい。高い重合活性を示し、照射光による短時間での重合硬化性を維持し、尚且つ高い硬化体物性を発現させ、さらには、硬化体を太陽光等の紫外光に暴露したときの着色を低減することができるという理由から、芳香族第3級アミン化合物と脂肪族第3級アミン化合物とを併用することが特に好ましい。
光酸発生剤(c3)として使用するアリールヨードニウム塩化合物としては、ジフェニルヨードニウム、ビス(p-クロロフェニル)ヨードニウム、ジトリルヨードニウム、ビス(p-メトキシフェニル)ヨードニウム、ビス(p-tert-ブチルフェニル)ヨードニウム、p-イソプロピルフェニル-p-メチルフェニルヨードニウム、ビス(m-ニトロフェニル)ヨードニウム、p-tert-ブチルフェニルフェニルヨードニウム、p-メトキシフェニルフェニルヨードニウム、p-オクチルオキシフェニルフェニルヨードニウム、p-フェノキシフェニルフェニルヨードニウム等のカチオンとアニオンとからなる塩を使用する。好適に使用できるアリールヨードニウム塩を例示すれば、後述する実施例で使用されている4-イソプロピル-4’-メチルジフェニルヨードニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニルヨードニウム-2-カルボキシレートモノハイドレート、ビス(4-ターシャリブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェートを挙げることができる。
4-1.無機フィラー(D)
本発明の歯科用硬化性組成物には、前記有機無機複合フィラーと組み合わせて配合することで硬化性組成物中のフィラー含有量が向上し、高い強度が得られるという理由から、無機フィラー(D)を配合することが好ましい。無機フィラー(D)としては、歯科用修復材料の充填材として公知の無機フィラーが何ら制限なく用いられるが、代表的な無機フィラーを例示すれば、石英、シリカ、アルミナ、シリカチタニア、シリカジルコニア、ランタンガラス、バリウムガラス、ストロンチウムガラス等の金属酸化物類が挙げられる。また必要に応じて、ケイ酸塩ガラス、フルオロアルミノシリケートガラス等の歯科用の無機充填材として公知のカチオン溶出性の無機充填材を配合しても良い。これらは一種または二種以上を混合して用いても何ら差し支えない。
さらに、本発明の歯科用硬化性組成物においては、その効果を著しく阻害しない範囲で、公知の添加剤を配合することができる。かかる添加剤としては、重合禁止剤、顔料、紫外線吸収剤等を挙げることができる。
本発明の歯科用硬化性組成物は、一般に、前記各必須成分及び必要に応じて添加する各任意成分を所定量とって、前記有機無機複合フィラー(A)及び必要に応じて配合される前記無機フィラー(D)が前記重合性単量体成分(B)中に均一に分散するように十分に混練し、さらにこのペーストを減圧下脱泡して気泡を除去することによって得ることができる。
(1)重合性単量体
<水素結合性モノマー>
・GMA:2,2-ビス[(3-メタクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ)フェニル]プロパン
・UDMA:1,6-ビス(メタクリルエチルオキシカルボニルアミノ)トリメチルヘキサン。
・3G:トリエチレングリコールジメタクリレート
・HD:1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート
・D2.6E:2,2-ビス(4-(メタクリロイルオキシエトキシ)フェニル)プロパン。
・F-1:一次粒子の平均粒子径200nmの、ゾルゲル法で製造した球状(平均均斉度0.95)のシリカ-ジルコニア。
<熱重合開始剤>
・AIBN:アゾビスイソブチロニトリル
〔光増感化合物〕:
・CQ:カンファーキノン
〔還元剤(第3級アミン化合物)〕
・DMBE:N,N-ジメチル-p-安息香酸エチル
・MDEOA:N-メチルジエタノールアミン
〔光酸発生剤(アリールヨードニウム塩化合物)〕:
・DPIB:4-イソプロピル-4’-メチルジフェニルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート
・DPICH:ジフェニルヨードニウム-2-カルボキシレートモノハイドレート
・DPIFP:ビス(4-ターシャリブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート
〔光酸発生剤(アリールヨードニウム塩化合物以外)〕:
・TCT:2,4,6-トリス(トリクロロメチル)-s-トリアジン。
下記製造例1~5に従い、有機無機複合フィラーの調製を調製し、評価を行った。まず、使用した無機フィラー及び得られた有機無機複合フィラーの評価方法について説明する。
走査型電子顕微鏡(フィリップス社製、「XL-30S」)で粉体の写真を5000~100000倍の倍率で撮り、画像解析ソフト(「IP-1000PC」、商品名;旭化成エンジニアリング社製)を用いて、撮影した画像の処理を行い、その写真の単位視野内に観察される粒子の数(30個以上)および一次粒子径(最大径)を測定し、測定値に基づき下記式により数平均粒子径:Xを算出した。また、単位視野内に観察される粒子について、その数(n:30以上)、粒子の最大径を長径(Li)、該長径に直交する方向の径を短径(Bi)を求め、下記式により無機フィラーの平均均斉度を算出した。
0.1gの有機無機複合フィラーをエタノール10mlに分散させ、超音波を20分間照射した。レーザー回折-散乱法による粒度分布計(「LS230」、ベックマンコールター製)を用い、光学モデル「フラウンフォーファー」(Fraunhofer)を適用して、体積統計のメディアン径を求めた。
試料セルに有機無機複合フィラーを1.0g入れ、前処理装置(「バッキュプレップ061」株式会社島津製作所製)を用いて、120℃で3時間、真空排気により前処理を行った。その後、吸着ガスとして窒素、冷媒として液体窒素を用いて、ガス吸着法細孔分布測定装置(「トライスターII3020」株式会社島津製作所製)により、細孔径1~500nmの範囲の孔の総細孔容積を求めた。
無機フィラーを水に入れ、循環型粉砕機SCミルを用いて無機フィラーを分散させた分散液を得た。次いで、γ-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランと酢酸を水に加え撹拌し、pH4の均一な溶液を得た。この溶液を上記無機粒子分散液に添加し、均一に混合した。その後、上記分散液をノズル先端で粒子化エアと衝突させることで微粒子とする噴霧乾燥機(スプレードライヤー「NL-5」、大川原化工機株式会社製)を用いて、噴霧圧力を0.08MPa、乾燥温度を230℃とし、噴霧乾燥法により乾燥した。その後、噴霧乾燥した無機粉体を120℃、15時間真空乾燥して無機凝集粒子を得た。
製造例1と同じ無機凝集粒子100gと、重合性単量体としてGMAを12.5g、HDを12.5g、重合開始剤としてAIBNをそれぞれ乳鉢に投入し、混合してペースト状の混合物を調製した。このペースト状の混合物を減圧下で脱泡した後、100℃で30分間重合硬化させた。硬化物を振動ボールミル(ジルコニアボール粒径:5mm)で粉砕し、不定形の非孔性有機無機複合フィラーを得た。得られた有機無機複合フィラーの平均粒子径、細孔容積を測定した。結果を表1に示す。
後述する実施例1~14及び比較例1~6に従って、歯科用硬化性組成物の調製し、その評価を行った。まず、歯科用硬化性組成物の評価方法について説明する。
硬化前の歯科用硬化性組成物のペースト性状について、操作性の観点から以下の基準に基づいて評価を行った。ベタツキが少ないものには○、特に少ないものには◎、ベタツキが強く操作しにくいペースト性状のものは×とした。さらに、バサツキが少ないものには○、特に少ないものには◎、バサツキが強く操作しにくいペースト性状のものは×の判定とした。評価は歯科用硬化性組成物を調製した直後および37℃で6カ月間保管した後に実施した。
硬化前の歯科用硬化性組成物のペーストの形態保持性は以下の方法にて評価を行った。右下6番の咬合面中央部にI級窩洞(直径4mm、深さ2mm)を再現した硬質レジン歯に硬化性組成物を充填し、充填されたペーストに咬合面形態を付与した。その後前記歯科用硬化性組成物を充填した硬質レジン歯を50℃のインキュベータ内に20分間静置し、付与した形態が保持されているか評価した。付与した形態に僅かに変化が確認されたものは○、全く変化しないものは◎、形態を保持できていないものは×と判定した。評価は歯科用硬化性組成物を調製した直後および37℃で6カ月間保管した後に実施した。
歯科用硬化性組成物のペーストについて、充填器を用いてステンレス製型枠に充填し、ポリプロピレンで圧接した状態で、可視光線照射器パワーライト(トクヤマ社製)を用いて一方の面から30秒×3回、全体に光が当たるように場所を変えてポリプロピレンに密着させて光照射を行なった。次いで、反対の面からも同様にポリプロピレンに密着させて30秒×3回光照射を行い硬化体を得た。#1500の耐水研磨紙にて、硬化体を2×2×25mmの角柱状に整え、この試料片を試験機(島津製作所製、オートグラフAG5000D)に装着し、支点間距離20mm、クロスヘッドスピード1mm/分で3点曲げ破壊強度を測定した。試験片5個について評価し、その平均値を曲げ強さとした。荷重-たわみ曲線を得m下記式に基づき曲げ強度:σB(Pa)を求めた。なお、式中において、Pは試験片破折時の荷重(N)を、Sは支点間距離(m)を、Wは試験片の幅(m)を、Bは試験片の厚さ(m)を夫々表す。
次に示す方法で硬化体の硬度を測定した。歯科用硬化性組成物のペーストについて、6mmΦ×1.0mmの孔を有するポリテトラフルオロエチレン製のモールドに充填し、ポリプロピレンで圧接した状態で、可視光線照射器パワーライト(トクヤマ社製)を用いて一方の面から20秒間照射し、硬化体を得た。得られた硬化体を微小硬度計(松沢精機製MHT-1型)にてヴィッカース圧子を用いて、荷重100gf、荷重保持時間30秒で試験片にできた窪みの対角線長さにより求めた。
(実施例1)
GMA:60質量部及び3G:40質量部からなる重合性単量体成分(B)に重合開始剤として、光増感化合物(c1)であるCQ:0.20質量部、還元剤(c2)であるDMBE:0.35質量部、及びアリールヨードニウム塩化合物からなる光酸発生剤(c3)であるDIPB:0.3質量部を完全に溶解させた。その後、乳鉢内で、得られた溶液と無機フィラーF-1:200質量部、及び製造例1で得た曲面形状有機無機複合フィラーCF-1:200質量部とを手動で均一になるまで混合し、その後20分間混練後に脱泡することで歯科用硬化性組成物を調製した。得られた歯科用硬化性組成物について上記の方法に基づいて各物性を評価した。結果を表2に示す。
表2に示す組成(質量部)にしたがって、実施例1と同様に実施例2~14、比較例1~6の歯科用硬化性組成物を調製した。なお、表2の脚注に示すように、HM率は、原料となる重合性単量体成分(a)中に占める水素結合性官能基を有する重合性単量体の含有率(質量%)又は重合性単量体(B)中に占める水素結合性官能基を有する重合性単量体の含有率(質量%)を示し、「↑」は、同上を意味する。
得られた各歯科用硬化性組成物について各物性を評価した結果を合わせて表3に示す。
Claims (3)
- 有機樹脂成分と、無機成分と、を含み、窒素吸着法で測定した細孔容積(ここで、細孔とは細孔径が1~500nmの範囲の孔をいう)が0.01~0.30cm3/gである、多孔性の有機無機複合フィラー(A);重合性単量体成分(B);並びに光増感用化合物(c1)、還元剤(c2)および光酸発生剤(c3)を含有する光重合開始剤を含む重合開始剤(C);を含んでなる硬化性組成物からなる臼歯治療用歯科用充填修復材料であって、
前記有機無機複合フィラー(A)の前記有機樹脂成分は、水素結合性官能基を有する重合性単量体を少なくとも50質量%含む重合性単量体成分(a)を重合して得た有機樹脂成分であり、
前記重合性単量体成分(B)は、水素結合性官能基を有する重合性単量体を10~70質量%含有し、
前記光酸発生剤(c3)は、ジフェニルヨードニウム、ビス(p-クロロフェニル)ヨードニウム、ジトリルヨードニウム、ビス(p-メトキシフェニル)ヨードニウム、ビス(p-tert-ブチルフェニル)ヨードニウム、p-イソプロピルフェニル-p-メチルフェニルヨードニウム、ビス(m-ニトロフェニル)ヨードニウム、p-tert-ブチルフェニルフェニルヨードニウム、p-メトキシフェニルフェニルヨードニウム、p-オクチルオキシフェニルフェニルヨードニウム又はp-フェノキシフェニルフェニルヨードニウムからなるカチオンを有するアリールヨードニウム塩化合物からなり、
前記重合性単量体成分(B)の総質量100質量部に対する、前記有機無機複合フィラー(A)、前記光増感用化合物(c1)、前記還元剤(c2)及び前記アリールヨードニウム塩化合物からなる光酸発生剤(c3)の配合量が、夫々、(A):100~300質量部、(c1):0.01~10質量部、(c2):0.01~10質量部、及び(c3):0.1~5質量部である、
ことを特徴とする前記臼歯治療用歯科用充填修復材料。 - 有機無機複合フィラー(A)が、
前記有機樹脂成分として、前記重合性単量成分(a)の硬化体からなる樹脂層と、
前記無機成分として、平均粒子径が10~1000nmである複数の無機一次粒子と、
を有し、
前記複数の無機一次粒子どうしが前記樹脂層を介して空隙を形成するように結合した凝集構造を含む微多孔性有機無機複合凝集粒子からなる、請求項1に記載の臼歯治療用歯科用充填修復材料。 - 前記硬化性組成物が平均粒子径10~1000nmである無機フィラー(D)を更に含有し、前記重合性単量体(B)総質量100質量部に対する、前記無機フィラー(D)及び前記無機フィラー(D)の含有量が、夫々(A):100~300質量部及び(D):100~300質量部であり、且つ前記(A)及び(D)の合計の含有量が250~550質量部である、請求項1又は2に記載の臼歯治療用歯科用充填修復材料。
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