JP7066150B2 - 歯科切削加工用レジン材料の製造方法 - Google Patents

歯科切削加工用レジン材料の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、切削加工によって歯科用補綴物を作製するための歯科切削加工用レジン材料の製造方法に関する。
歯科切削加工用レジン材料の原料である硬化性組成物は、一般に、重合性単量体(モノマー)、フィラー、及び重合開始剤を主成分として構成され、コンポジットレジン、硬質レジン、人工歯、セメント、切削加工用レジン材料等として応用されている。硬化性組成物を工業的に硬化させたものは歯科切削加工用レジン材料と呼ばれ、近年の歯科でのデジタル化の進歩に伴ってCAD/CAMでの加工用途として広く使用されている。一方で、歯科切削加工用レジン材料は、金属やセラミック等の他の材料と比較すると、過酷な口腔内の環境、特に長期湿潤環境下において機能するための、機械的強度の点からは未だ十分なものとは言い難く、審美性や操作性等の他の物性との両立の観点からも、依然改良が必要とされている。特に、湿潤化での強度低下後に所望の物性を担保している事が非常に重要である。
上記の背景から、より口腔内環境に近い状態である水中浸漬後の曲げ強さは、実使用時の強度を再現しており、該強度を向上させる事が本質的に重要であると言える。しかしながらこれまで、初期物性の向上の検討が盛んに行われる一方で、口腔内を模した吸水後の曲げ強さを課題とした検討はこれまでほとんどされてこなかった。
一般的に硬化性組成物の強度を向上させるためには、無機充填率を上げる方法、無機充填材として粉砕フィラー等の不定形形状のフィラーを用いるといった組成を改良する方法や、重合工程で1MPa以上の高圧処理を行う方法、加熱状態でプレス機によるプレスを行う方法、等が考案されている。(特許文献1~特許文献3)
強度を向上させるための充填率向上や、充填材形状が不定形のものを使用した場合は、ペースト性状が大きく影響を受け、製造工程でのハンドリング性低下等の問題が顕著となるため好ましくない。さらに、高圧処理は専用の装置を必要とするため、このような処理の実施は容易ではない。また、上記したような異なる製造方法で作成された材料を水中に浸漬した後に、強度がどの程度低下するかや、どのようにすれば低下を抑制できるかについては示されておらず、その解決方法についても全く見当がつかない状況であった。
非特許文献1では、歯科用のCAD/CAM用コンポジットレジンブロックはセラミック材料と同等の曲げ強さを示す事が記載されている。一方で、水中浸漬7日後三点曲げ強さは、セラミック材料が水中浸漬による影響を受けにくいのに対し、既存の歯科用のCAD/CAM用コンポジットレジンブロックは初期に対して約80%程度の強度にまで減少することが示されている。
特開平10-323353 特開2015-97854 特開2016-13997
Dental Marerials Journal 2014,33(5): 705-710
本発明が解決しようとする課題は、水中浸漬後の強度低下が抑制された歯科切削加工用レジン材料を簡便に製造する方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、特定の温度で加熱処理を行うことによって、得られる歯科切削加工用レジン材料の水中浸漬後の強度低下が抑制されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、(A)(メタ)アクリル酸エステル系重合性単量体:100質量部、(B)重合触媒:0.01~5質量部及び(C)無機粒子:400~700質量部を含んでなる硬化性組成物の硬化体からなる歯科切削加工用レジン材料の製造方法であって、
前記硬化性組成物は、該硬化性組成物を0.4MPa窒素加圧下で90℃15時間加熱して重合硬化させて得られる硬化体について動的粘弾性試験を行うことによって確認される損失正接ピーク温度が115~200℃の間となる、ペーストであり、
前記製造方法は、
前記硬化性組成物を60~100℃の重合温度に加熱して重合硬化させて硬化体を得る硬化工程;並びに
(1)100℃以上の温度であるという条件、(2)前記硬化工程における重合温度よりも20℃以上高い温度であるという条件、及び(3)前記損失正接ピーク温度よりも30℃低い温度~前記損失正接ピーク温度よりも50℃高い温度の間の温度であるという条件をすべて満足する熱処理温度で、前記硬化工程で得られた前記硬化体を1.5~100時間加熱処理を行う加熱処理工程;を含む、
ことを特徴とする前記歯科切削加工用レジン材料の製造方法である。

本発明の製造方法は、加熱処理が不活性ガス下において、大気圧~0.9MPaで行われることが好ましい。
本発明の製造方法は、加熱処理後の冷却速度が20℃/min以下であることが好ましい。
本発明の製造方法によって得られる歯科切削加工用レジン材料は、特定の温度で加熱処理されているので、水中浸漬後の強度低下が少ない。また、本発明の製造方法によれば、強度の高い歯科切削加工用レジン材料をより簡便に製造することができる。
本発明の製造方法によって歯科切削加工用レジン材料の水中浸漬後の強度低下が抑制される理由は明らかではないが、歯科切削加工用レジン材料に含まれる樹脂とフィラーの界面に残存する歪が低減され、吸水劣化の原因となる脆弱部位が減少するためと推察される。また、加熱処理によるヤケや変色等による色調変化も少ない。
本発明の歯科切削加工用レジン材料の製造方法は、後述する(A)重合性単量体、(B)重合触媒、(C)無機粒子を含んでなる硬化性組成物を、重合させた硬化体の状態となったものに対して、特定の加熱処理を行う事を特徴とするものである。
加熱処理を行う対象である硬化体を得るための硬化性組成物は、(A)重合性単量体、(B)重合触媒、(C)無機粒子を含んでなる。
<(A)重合性単量体>
本発明における硬化性組成物に用いる(A)重合性単量体としてはラジカル重合性単量体が好適に用いられる。ラジカル重合性単量体としては、重合する性質を有する官能基である重合性官能基として(メタ)アクリル酸エステル基、(メタ)アクリルアミド基、ビニルエステル基、ビニルエーテル基、スチリル基、エポキシ基、オキセタン基等を有するラジカル重合性単量体が挙げられる。重合性官能基を一分子中に複数有する場合、それぞれの重合性官能基は、一分子内で同一であっても異なっていてもよい。本発明では、生体安全性の観点及び重合性の良さの観点から(メタ)アクリル酸エステル系重合性単量体を使用する。なお、本発明において、「(メタ)アクリル」との表記は、メタクリルとアクリルの両者を包含する意味で用いられる。

<(B)重合触媒>
本発明における硬化性組成物に用いる(B)重合触媒は、(A)重合性単量体を重合硬化させるためのものである。重合方法には、紫外線、可視光線等の光エネルギーによる反応(以下、光重合という)、過酸化物と促進剤との化学反応によるもの、熱エネルギーによるもの(以下、熱重合という)等があり、いずれの方法であっても良いが、歯科切削加工用レジン材料として用いる場合、厚みが厚く、調色された硬化体を得る必要があるため、硬化性組成物の内部まで光を透過させることが困難な場合があることから、熱重合触媒を使用する。採用する重合方法に応じて下記に示す各種重合触媒を適宜選択して使用すればよい。

例えば、光重合開始剤としては、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾインアルキルエーテル類、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタールなどのベンジルケタール類、ベンゾフェノン、4,4’-ジメチルベンゾフェノン、4-メタクリロキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類、ジアセチル、2,3-ペンタジオンベンジル、カンファーキノン、9,10-フェナントラキノン、9,10-アントラキノンなどのα-ジケトン類、2,4-ジエトキシチオキサンソン、2-クロロチオキサンソン、メチルチオキサンソン等のチオキサンソン化合物、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-2,5-ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-4-プロピルフェニルホスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-1-ナフチルホスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)―フェニルホスフィンオキサイドなどのアシルホスフィンオキサイド類等を使用することができる。
なお、光重合開始剤には、しばしば還元剤が添加されるが、その例としては、2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、N-メチルジエタノールアミンなどの第3級アミン類、ラウリルアルデヒド、ジメチルアミノベンズアルデヒド、テレフタルアルデヒドなどのアルデヒド類、2-メルカプトベンゾオキサゾール、1-デカンチオール、チオサルチル酸、チオ安息香酸などの含イオウ化合物などを挙げることができる。
また、熱重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、p-クロロベンゾイルパーオキサイド、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、tert-ブチルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、トリブチルボラン、トリブチルボラン部分酸化物、テトラフェニルホウ酸ナトリウム、テトラキス(p-フロルオロフェニル)ホウ酸ナトリウム、テトラフェニルホウ酸トリエタノールアミン塩等のホウ素化合物、5-ブチルバルビツール酸、1-ベンジル-5-フェニルバルビツール酸等のバルビツール酸類、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、p-トルエンスルフィン酸ナトリウム等のスルフィン酸塩類等が挙げられる。高い強度の硬化体が得られることから、ベンゾイルパーオキサイド等の過酸化物を用いるのが好ましい。
これら重合開始剤は、単独で用いても、2種以上を混合して使用してもよい。重合開始剤の配合量は、(A)重合性単量体100質量部に対して0.01~5質量部であることが好ましい。
<(C)無機粒子>
本発明における硬化性組成物に用いる(C)無機粒子は、歯科切削加工用レジン材料の強度を高めたり、弾性率を高めて撓みを少なくしたり、耐摩耗性を高めたり、重合収縮を抑制したりするために添加される充填材である。(C)無機粒子のほかに、充填材として、有機粒子、有機無機複合粒子を含んでもよい。
(C)無機粒子の配合量は、歯科切削加工用レジン材料の強度や硬化性組成物ペーストの性状に影響するため歯科切削加工用レジン材料を使用する口腔内の部位(臼歯、前歯等)や、求められる性能(流れやすさ等)に応じて選択すればよいが、一般的には(A)重合性単量体100質量部に対して通常100~2000質量部の割合で使用される。歯科切削加工用レジン材料は、一般的に高度に重合されているため接着性に乏しいことから、シランカップリング剤が作用しやすいよう、無機粒子の配合量は高いほうが好ましい。本発明における(C)無機粒子の配合量は、400~700質量部であり、最も好ましくは500~600質量部の割合で使用される。

本発明における硬化性組成物に使用する(C)無機粒子には制限がなく、公知の硬化性組成物にフィラーとして使用されている無機粒子であれば、いずれも用いることができる。具体的には、周期律第I、II、III、IV族、遷移金属から選ばれる金属の単体;これらの金属の酸化物や複合酸化物;これらの金属を含むガラス;フッ化物、炭酸塩、硫酸塩、珪酸塩、水酸化物、塩化物、亜硫酸塩、燐酸塩等からなる金属塩;これらの金属塩の複合物等が挙げられる。好適には、非晶質シリカ、石英、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化バリウム、酸化イットリウム、酸化ランタン、酸化イッテルビウム等の金属酸化物;シリカ-ジルコニア、シリカ-チタニア、シリカ-チタニア-酸化バリウム、シリカ-チタニア-ジルコニア等のシリカ系複合酸化物;ホウ珪酸ガラス、アルミノシリケートガラス、フルオロアルミノシリケートガラス等のガラス;フッ化バリウム、フッ化ストロンチウム、フッ化イットリウム、フッ化ランタン、フッ化イッテルビウム等の金属フッ化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム等の無機炭酸塩;硫酸マグネシウム、硫酸バリウム等の金属硫酸塩等が採用される。(C)無機粒子としては、これら異なる材質のものの混合物であっても良い。
これらのうち、金属酸化物及びシリカ系複合酸化物は、緻密な材質にするために、また水中浸漬後の強度低下を抑制するために、高温で焼成されたものが好ましい。また、その効果を向上させるために、ナトリウム等の少量の周期律表第I族金属の酸化物を含有させることが好ましい。
上記材質の無機粒子の内、シリカ系複合酸化物粒子は、屈折率の調整が容易である。更に、粒子表面にシラノール基を多量に有するため、シランカップリング剤等を用いて表面改質が行い易いため、特に好ましい。
上記例示した、シリカ-ジルコニア、シリカ-チタニア、シリカ-チタニア-酸化バリウム、シリカ-チタニア-ジルコニア等の粒子は、高いX線造影性を有しているので好適である。更には、より耐摩耗性に優れた硬化体が得られるので、シリカ-チタニア粒子、シリカ-ジルコニア粒子が最も好ましい。
(C)無機粒子の形状としては公知のものが制限なく使用できる。球状、略球状、不定形状、半球状、レンズ状、凹形状、マッシュルーム形状、凝集状、クラスター状、ディンプル状、板状、繊維状など種々の形状のものが使用可能である。本発明の硬化性組成物の硬化体の強度が高いことから、(C)無機粒子として不定形状のものを含むものが好ましく、不定形状と球状の組み合わせであることがより好ましい。不定形状粒子と球状粒子の好ましい割合は、球形状粒子100質量部に対して、不定形粒子50~250質量部であり、より好ましくは100~150質量部である。
(C)無機粒子の粒子径、粒度分布は特に制限されない。好適な無機粒子の粒子径としては、0.001~50μmの範囲である。粒度分布は、細密充填によって無機粒子充填率を高くすることができることから、(C-1)平均粒子径1~50μmの無機粒子(以下、ミクロンオーダーの無機粒子ともいう)、(C-2)平均粒子径0.1~1μm未満の無機粒子(以下、サブミクロンオーダーの無機粒子ともいう)、及び(C-3)平均粒子径0.001~0.1μm未満の無機粒子(以下、ナノオーダーの無機粒子ともいう)を含んでなるものであることが好ましい。また、頻度のピークが単一である単峰型の粒度分布であるよりも、各粒子径オーダーにそれぞれ頻度ピークを持つ複峰型の粒度分布であることが、充填率を高くすることができることから好ましい。また、粗大粒子が少ないことが、強度が高いことから、また研磨性が良好であることから好ましく、累積粒度分布90体積%の粒径が10μm未満であることが好ましく、累積粒度分布90体積%の粒径が7μm未満であることがより好ましい。
(C-1)ミクロンオーダーの無機粒子としては、高い強度を得るために、不定形状粒子、板状、(C-2)サブミクロンオーダーの無機粒子や(C-3)ナノオーダーの無機粒子を凝集せしめ、必要に応じて熱処理や凝結処理を行って製造した凝集状、クラスター状粒子が好適に使用される。高い強度が得られる理由は、上記の形状の無機粒子を使用することで、破壊時のクラックの進展を止める効果があるためと推察される。好ましい平均粒子径は1~9μmであり、特に平均粒径が2~5μmであることが好ましい。(C-1)の平均粒子径が大きすぎると、硬化性組成物の硬化体の研磨性が低下する虞がある。粒子径10μm以上の粒子は(C-1)ミクロンオーダーの無機粒子中において3質量%以下、好ましくは1質量%以下であることが好ましい。10μm以上の粗大粒子が多く含まれる場合、破壊の起点となりやすく強度が低くなる恐れがある。
なお、本発明における無機粒子の平均粒子径とは、走査型や透過型の電子顕微鏡の撮影像から、一次粒子径の円相当径(対象粒子の面積と同じ面積を持つ円の直径)を画像解析により測定したものをいう。測定に用いる電子顕微鏡撮影像としては、明暗が明瞭で粒子の輪郭を判別できるものを使用し、画像解析の方法としては、少なくとも粒子の面積、粒子の最大長、最小幅の計測が可能な画像解析ソフトを用いて行う。また、これら一次粒子の平均粒子径、平均均斉度は、上記によって計測した一次粒子径より、下記式によって算出する。
Figure 0007066150000001
Figure 0007066150000002
ここで、粒子の数(n)、粒子の最大長は長径(Li)、この長径に直交す方向の径は最小幅(Bi)である。これらの値を算出する場合、測定精度を保つためには少なくとも40個以上の粒子を測定する必要があり、100個以上の粒子について測定することが望ましい。
(C-2)サブミクロンオーダーの無機粒子としては、球形状、略球形状であるのが、高い充填率を得るために好適である。なお、ここでいう略球形状とは、前記走査型や透過型の電子顕微鏡の撮影像の画像解析において求められる平均均斉度が0.6以上であることを意味する。平均均斉度は0.7以上であることがより好ましく、0.8以上であることが更に好ましい。好ましい平均粒子径は0.1~0.6μmであり、特に0.3~0.5μmであることがより好ましい。
(C-3)ナノオーダーの無機粒子としては、球形状、略球形状であるのが、高い充填率を得るために好適である。なお、ここでいう略球形状とは、前記走査型や透過型の電子顕微鏡の撮影像の画像解析において求められる平均均斉度が0.6以上であることを意味する。平均均斉度は0.7以上であることがより好ましく、0.8以上であることが更に好ましい。好ましい平均粒子径は0.01~0.09μmであり、特に0.05~0.08μmであることがより好ましい。
(C-1)、(C-2)、(C-3)の配合比は特に制限なく任意の割合で使用してよいが、好ましい範囲は、(C)無機粒子全体の量を100質量%とした場合、(C-1)が30~80質量%、より好ましくは40~70質量%、(C-2)が10~50質量%、より好ましくは20~40質量%、(C-3)が0~30質量%、より好ましくは10~20質量%である。
(C)無機粒子としては、(C-1)、(C-2)、(C-3)以外の無機粒子を本発明の効果を阻害しない範囲で含んでいてもよい。
これらの(C)無機粒子は、公知の如何なる方法により製造される無機粒子であって良い。例えば、無機酸化物や複合酸化物などであれば、湿式法、乾式法、溶融法、ゾルゲル法のいずれの方法で製造されたものであっても良く、それらをさらに粉砕、解砕、乾燥、凝集化、加熱、焼成、冷却等の処理工程を経て製造されたものでもよい。凝集状、クラスター状粒子とする場合に凝集化、クラスター化を行うに当たっては、少量のバインダー樹脂やシランカップリング剤を用いて凝集粒を成形したのちに、熱エネルギーなどの作用によってバインダー樹脂やシランカップリング剤を硬化、重合させることによって強く凝集せしめてもよく、またこれらを用いず、100℃以上の温度に加熱することで一次粒子同士を強く凝集せしめることもできる。この様な方法で得られる無機粒子は、表面安定性を付与する為に、500~1000℃の温度で焼成されても良い。焼成は、無機粒子表面のシラノール基などの活性基を減ずる効果があることから、水中浸漬後の強度低下を抑制することができる。焼成に際しては、無機粒子の一部が凝集する場合がある。この場合は、ジェットミル、振動ボールミル等を用いて凝集粒子を一次粒子に解きほぐし、更に粒度を所定範囲に調整してから、使用することができる。この様に処理することにより、歯科用組成物として用いた場合の組成物の研磨性等が向上する。
(C)無機粒子は、(A)重合性単量体に対する濡れ性を向上させ、重合性単量体との共有結合を生じさせ、高強度化と水中浸漬後の強度低下を抑制するために、表面処理剤により表面処理することが好ましい。
表面処理剤としては従来公知のものが何ら制限なく使用される。好適な表面処理剤を例示すれば、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニル-トリス(β-メトキシエトキシ)シラン、γ-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、κ-メタクリロイルオキシドデシルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)-エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピル-トリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピル-トリメトキシシラン、γ-ウレイドプロピル-トリエトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン等のシランカップリング剤等が挙げられる。特に、耐水性が高いことから、芳香族環を有するシランカップリング剤、フルオロアルキル基を有するシランカップリング剤を用いることが好適である。このようなシランカップリング剤を具体的に例示すると、3-(4-メタクリロイルオキシフェニル)プロピルトリメトキシシラン、ポリフルオロアルキルトリメトキシシラン等が挙げられる。また、使用する無機粒子によっては、アルミネート系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、ジルコネート系カップリング剤のほうが好ましい場合があるが、これらは物性を評価しながら最適な表面処理剤を適宜選択することができる。
(C)無機粒子の表面処理に用いる表面処理剤の使用量に特に制限はなく、いくつかの予備実験の結果から最適な使用量を選択すればよい。多すぎても少なすぎても、水中浸漬後の強度が低下する虞がある。好適な表面処理剤の使用量を例示すれば、(C)無機粒子100質量部に対して、上記表面処理剤1~30質量部である。
表面処理方法は特に限定されるものではなく、公知の方法が制限なく採用される。代表的な処理方法を例示すれば、(C)無機粒子と表面処理剤とを、適当な溶媒中でボールミル等を用いて分散混合し、エバポレーターや風乾で乾燥した後、50~150℃に加熱する方法がある。更に、(C)無機粒子及び表面処理剤をアルコール等の溶媒中で数時間程度加熱還流する方法がある。更に、粒子表面に表面処理剤をグラフト重合させる方法やインテグラルブレンドする方法等がある。
上記表面処理は、(C)無機粒子として無機粒子を凝集せしめ、必要に応じて熱処理や凝結処理を行って製造した凝集状、クラスター状粒子を使用する場合、一次粒子に行っても良いし、凝集させた粒子に行っても良い。例えば、噴霧乾燥により凝集粒子を製造する場合は、この処理時に、同時に表面処理を行うことが効率がよい。
<その他の任意成分>
本発明における硬化性組成物には、(A)重合性単量体、(B)重合触媒、(C)無機粒子のほかに、任意の成分を含有する事ができる。例えば、重合禁止剤、連鎖移動剤、蛍光剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料、抗菌剤、X線造影剤などが挙げられる。これらの任意の成分としては、歯科用硬化性組成物に用いられる公知のものが使用できる。
<硬化性組成物の調製方法及び硬化体の製造方法>
本発明における硬化性組成物の調整方法としては公知の方法を使用することができる。一般に前記各必須成分及び必要に応じて添加する各任意成分を所定量とって十分に混練し、得られたペーストを脱泡して気泡を除去することによって得る事が出来る。例えば、(A)重合性単量体に(B)重合触媒、(C)無機粒子、その他の任意成分を配合、撹拌、混練によって、溶解、分散させ、計量、金型充填、脱泡、付形等の操作を行う。
得られた硬化性組成物を、必要に応じて加熱や光による仮重合を行い、ついで(B)重合触媒の開始機構に応じた外的エネルギー付与等の操作、例えば熱重合開始剤を用いた場合、60℃~100℃で、加熱や、必要に応じて窒素、アルゴンや炭酸ガス等の不活性ガスによる加圧加熱を行うことによって重合硬化し、硬化体を製造することができる。また、得られた硬化体の研磨、面だし、印字などの後処理を行うこともできる。上記のように本発明の製造方法により、硬化性組成物を重合硬化させて硬化体を得た後、後述する加熱処理を行う事で所望の歯科切削加工用レジン材料を得る事ができる。
<加熱処理方法>
本発明の歯科切削加工用レジン材料の製造方法によれば、前記した硬化性組成物の硬化体に対して特定の温度で加熱処理を行う事で所望の物性を付与する事が可能となる。
加熱処理の温度は、硬化性組成物の硬化体の損失正接ピークの温度よりも30℃低い温度~前記損失正接ピーク温度よりも50℃高い温度の間の温度、すなわち上記損失正接ピークの温度-30℃から+50℃の間の温度で行われる「損失正接ピークの温度-50℃」より低い場合は加熱処理の効果が低減し、「損失正接ピークの温度+100℃」より高い場合には樹脂の劣化が促進されることで樹脂のヤケや変色等の劣化が顕著になり、水中浸漬後の曲げ強度低下率も高くなる傾向があるため好ましくない。さらに、加熱処理を行う温度は、硬化性組成物の硬化体を重合した温度よりも20℃以上高温とし、30℃以上高温である事がさらに好ましい。加熱処理温度が重合温度よりも高い事により、加熱処理の効果を得やすくなる。加えて、加えて、加熱処理の温度が100℃以上である場合に、加熱処理の効果がより得やすくなる加熱時間は、1.5時間以上であるなお、過度に長時間の加熱は樹脂の熱劣化を促進するので樹脂のヤケや変色等を抑制するため、100時間以内とする。加熱時の雰囲気に制限は無いが、酸化劣化による色調変化を防ぐために窒素等の不活性ガス雰囲気下で加熱処理する事が好ましい。処理に用いる装置は、硬化体を所望の温度に加熱する事ができる装置で有れば制限は無いが、一般的に自然対流式よりも強制対流式オーブンの方が内温の均一性が高く好ましい。また、不活性ガス雰囲気下とするための方法にも制限は無いが、例えば、別途硬化体を収容するための密閉容器を用いても良く、オーブン自体に密閉構造を持たせて内部雰囲気を置換しても良い。オーブンが密閉構造でない場合でも、雰囲気ガスを連続的に流す方法を用いることもできる。硬化性組成物の硬化体の損失正接ピーク温度は、動的粘弾性試験によって得られ、JISK7244-7に記載された「プラスチックー動的機械特性の試験方法―第7部」に記載の方法によって測定する事が可能である。

本発明の製造方法における加熱処理工程は硬化性組成物が硬化体の状態にあるときに行われる事で前述の効果を発揮するが、硬化性組成物に対して、本発明の加熱処理条件を満足する条件で加熱重合に引き続き加熱処理を行うことで、重合硬化と、本発明の製造方法における加熱処理を一括で行うことも可能である。その場合、所望の加熱処理温度に達してからの時間を加熱処理時間として処理を行えばよい。重合硬化と加熱処理とが一括で行えるため効率の観点から優れているものの、樹脂の内部応力を開放する観点からは、重合・冷却の後、重合に用いたモールドから取り出した状態とし、重合工程とは別の工程として加熱処理工程を実施することが好ましい。本発明の製造方法における加熱処理を重合とは別工程とする事で、より効果的に内部の応力を開放し、安定した曲げ強さを得る事ができる。
前述したどちらの場合においても、加熱処理の「昇温過程」、「降温過程」の温度プロファイルは任意に決定する事ができる。昇温過程について、特に硬化前の硬化性組成物に対して加熱処理を行う際は、本特許の温度条件以下の温度で一定時間保持することでまずは重合処理を行い、その後、本発明の加熱処理条件まで昇温させるような昇温の温度プロファイルをとる事が可能である。降温過程については、なるべくゆっくりとした速度で降温させる事で降温時の収縮に起因した内部歪の発生を抑える事ができる。そのような形態としては20℃/min以下の速度が好ましく、10℃/min以下である事がさらに好ましい。
<歯科切削加工用レジン材料>
本発明の製造方法によって得られる「歯科切削加工用レジン材料」は、高い初期の強度を有し水中浸漬後の強度の低下が抑制されていることから、特に高い強度が要求されるような歯科材料の用途に使用され、切削加工用レジン材料として好適である。切削加工法は、高い強度や硬度の材料であっても、機械的に切削することで加工ができることが特徴である。本発明の製造方法によって得られる歯科切削加工用レジン材料は、具体的には、義歯、義歯床、人工歯、インプラントフィクスチャー、アバットメント、上部構造体、インレー、アンレー、クラウン、ブリッジ、支台築造材等に好適に使用でき、特に初期に高強度で水中浸漬後も高い強度が得られることから、クラウン・ブリッジ用材料として好適である。
本発明の製造方法によって得られる歯科切削加工用レジン材料の、37℃水中浸漬7日後の曲げ強さは、240MPa以上が好ましく、250MPa以上であることがさらに好ましい。さらに、水中浸漬後の強度残存率は85%以上が好ましく90%以上がさらに好ましい。なお、曲げ強さの測定方法及び測定条件は、後記する実施例に記載のとおりである。
本発明の製造方法によって得られる歯科切削加工用レジン材料のサイズは、市販の歯科用CAD/CAMシステムにセットできるような適当な大きさであることが望ましい。望ましいサイズの例としては、例えば、一歯欠損ブリッジの作成に適当な40mmX20mmX15mmの角柱状;インレー、オンレーの作製に適当な17mmX10mmX10mmの角柱状;フルクラウンの作製に適当な、14mmX18mmX20mm、10mmX12mmX15mm若しくは14.5mmX14.5mmX18mmの角柱状;ロングスパンブリッジ、義歯床の作成に適当な、直径90~100mm、厚みが10~28mmの円盤状等が挙げられる。本発明の製造方法によって得られる「歯科切削加工用レジン材料」は強度が高いため、より大きな加工物の作製に適しているが、これらのサイズに限定されるものではなく、目的や装置への取り付けの制約等によって適宜決定すればよい。
本発明の「歯科切削加工用レジン材料」には、切削加工機に固定するための固定具や、固定のために必要な形状が付与されていてもよい。固定具は、切削加工機に接続できるような形状のものであれば特に制限はない。固定具の材質は、ステンレス、真鍮、アルミニウムなどが使用される。固定具の歯科切削加工用レジン材料への固定方法は、接着、はめ込み、ネジ止め等の既知の方法でよく、上記接着方法についても特に制限はなく、イソシアネート系、エポキシ系、ウレタン系、シリコーン系、アクリル系等の各種市販の接着材を使用することが出来る。
本発明の歯科切削加工用レジン材料を用いて切削加工物を作製する方法を以下に説明する。
先ず、歯科医師により、患者の口腔内に支台が形成される。例えば、歯を削って支台が形成される。次に、歯科医師により、支台、隣接歯、対合歯等の印象が採得される。印象の採得は、アルジネート系印象材やシリコーン系印象材、デジタル印象装置等を用いて行われる。その後、歯科技工士又は歯科医師により、採得された印象から石膏模型が作製され、スキャニングマシーン等を用いて石膏模型の形状がデジタル化される。又は、デジタル印象で採得されたデータからデジタル模型が作製される。
次いで、石膏模型の計測データを基に設計用ソフトウェアを用い、補綴物のデジタルデータが作製される。補綴物のデジタルデータに基づき、切削加工機で切削するためのデジタルデータが作製される。この際、好ましくは本発明の製造方法によって得られる歯科切削加工用ブロックの被切削部が、作製する補綴物に対して十分なサイズを有していることがソフトウウェア上で確認される。
その後、本発明の製造方法によって得られる歯科切削加工用ブロックを切削加工機に設置し、切削加工が行われる。市販されている歯科用切削加工機を用いるのが好ましい。切削加工を行うには、切削具(バー)と切削加工(CAM)ソフトウェアが必要である。CAMソフトウェアは、切削具の動きと固定具を介して固定しているブロックの動きを制御するものであり、代表的なパラメーターとしては、各位置情報、送り速度、回転数が挙げられる。切削具は、一般的な歯科用切削バーを用いるのが好ましい。摩耗対策に、ダイヤモンドコート等のコーティングが施されていることが好ましい。一般に、切削バーは粗切削用、中切削用、微細切削用等、切削の段階に応じて、複数の切削バーが組み合わせて用いられる。簡便には、粗切削用(例えば2mm径)を用いて大まかな歯冠形態を形成し、その後微細切削用(例えば0.8mm径)を用いて表面性状を滑らかにしたり、咬合面等の微細な構造の表現を行ったりする。切削加工機による切削加工が終了したら、歯科切削加工用ブロックに残存しているスプルー部分が切り離される。形態修正及び研磨が行われた後、必要に応じて補綴物の内面の前処理(サンドブラスト等による粗ぞう化)が行われる。このようにして作製された補綴物は、必要に応じて内面の前処理(プライマー塗布等)が行われた後、患者の口腔内の支台に接着される。
以下、実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。なお、後述する実施例8、11、12、16、17、20及び23は、参考例である。実施例および比較例において用いられる材料、試験方法等を以下に示す。

<(A)重合性単量体>
(A-1)HD: 1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート
(A-2)NPG: ネオペンチルグリコールジメタクリレート
(A-3)DCP: トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート
(A-4)ND: 1,9-ノナンジオールジメタクリレート
(A-5)TEGGMA: トリエチレングリコールジメタアクリレート
(A-6)UDMA: 1,6-ビス(メタクリルエチルオキシカルボニルアミノ)トリメチルヘキサン
(A-7)D-2.6E: 2,2-ビス((4-(メタ)アクリロイロキシエトキシ)フェニル)プロパン(エチレンオキサイド2.6mol)

<(B)重合触媒>
BPO: ベンゾイルパーオキサイド

<(C)無機粒子>
(C-1) 平均粒径3.0μm不定形シリカジルコニアのγ-メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン処理物。
(C-2) 平均粒径0.4μm球状シリカジルコニアのγ-メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン処理物
(C-3) 平均粒径0.08μm球状シリカチタニアのγ-メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン処理物

(損失正接ピークの温度の測定)
JISK7244-7に記載された「プラスチックー動的機械特性の試験方法―第7部」に記載の方法により、TA・Instruments社製動的粘弾性測定システムARESによって25℃から200℃の測定温度にて、3℃/minの昇温速度、周波数10Hz、クランプ距離10mm、動的歪み0.01%の条件で動的粘弾性試験を行った。試験片としては25mm×5mm×1mmのサイズの金型に硬化性組成物を充填し、0.4MPa窒素加圧下で90℃15時間加熱することで重合硬化して作成したものを用いた。損失正接tanδを出力し、グラフの変曲点から損失正接ピークの温度を求めた。
(曲げ試験)
歯科用切削加工用レジン材料又は硬化性組成物の硬化体から、1.2mm×4.0mm×18mmの試験片を切り出し、試験片の各面をP2000の耐水研磨紙で仕上げた。作製した試験片を精製水中に浸漬し、37℃の恒温器中で7日間保存した。万能試験機オートグラフ(島津製作所製)を用いて、室温大気中、支点間距離12.0mmクロスヘッドスピード1.0mm/minの条件で、4.0mm×18mmの面に対して三点曲げ試験を行った。水中浸漬前後の試験片各10個について、曲げ強さ[MPa]を下記式より算出し、平均値として求めた。
曲げ強さ[MPa]=3FS/(2bh
ここで、F:試験片に加えられた最大荷重[N]、S:支点間距離[mm]、b:試験直前に測定した試験片の幅[mm]、h:試験直前に測定した試験片の厚さ[mm]である。
(色調変化)
加熱処理前後のサンプルを目視で評価し、その前後での色調差を、◎(非常に良い)、○(良い)、△(許容)、×(悪い)、の四段階で評価した。
(実施例1)
(A-1)HD15質量部、(A-6)UDMA15質量部、(A-7)D-2,6E70質量部、BPO1.0質量部を混合して、硬化性重合性単量体組成物を調製した。また、(C-1)60質量部、(C-2)28質量部、(C-3)12質量部を混合して、無機粒子組成物を調製した。上記無機粒子組成物84質量%に対し、上記硬化性重合性単量体組成物16質量%を添加し、プラネタリーミキサーを用いて均一になるまで混合することでペースト化し、真空脱泡して硬化性組成物を調製した。この硬化性組成物を、14.5mm×14.5mm×18mmの金型に充填し、加圧容器内で0.4MPaの窒素加圧を行い、90℃の加熱装置内に静置した。この状態で15時間加熱することで重合硬化し、冷却速度20℃/minで室温まで冷却を行った後に金型から硬化体を取り出した。得られた硬化体を、再び加圧容器内で0.4MPa窒素加圧とし、160℃の加熱装置内に静置し、48時間加熱処理を行った後、冷却速度20℃/minで室温まで冷却を行うことで歯科切削加工用レジン材料を得、曲げ試験を行った。曲げ試験の結果を表1に示す。
(実施例2~19)
硬化性組成物と加熱処理の条件を、表1に示したものに変更した以外は、実施例1と同様に調製を行い、曲げ試験を行った。
(実施例20)
硬化性組成物を、表1に示したものに変更し、14.5mm×14.5mm×18mmの金型に充填し、加圧容器内で0.4MPa窒素加圧とし、加熱装置内で170℃の温度で重合と加熱処理を一括で行った以外は、実施例1と同様に調製を行い、曲げ試験を行った。
(実施例21~23)
硬化性組成物と加熱処理の条件を、表1に示したものに変更した以外は、実施例1と同様に調製を行い、曲げ試験を行った。
(比較例1~5)
硬化性組成物と加熱処理の条件を、表1に示したものに変更した以外は、実施例1と同様に調製を行い、曲げ試験を行った。
Figure 0007066150000003

Claims (4)

  1. (A)(メタ)アクリル酸エステル系重合性単量体:100質量部、(B)重合触媒:0.01~5質量部及び(C)無機粒子:400~700質量部を含んでなる硬化性組成物の硬化体からなる歯科切削加工用レジン材料の製造方法であって、
    前記硬化性組成物は、該硬化性組成物を0.4MPa窒素加圧下で90℃15時間加熱して重合硬化させて得られる硬化体について動的粘弾性試験を行うことによって確認される損失正接ピーク温度が115~200℃の間となる、ペーストであり、
    前記製造方法は、
    前記硬化性組成物を60~100℃の重合温度に加熱して重合硬化させて硬化体を得る硬化工程;並びに
    (1)前記損失正接ピーク温度よりも30℃低い温度~前記損失正接ピーク温度よりも50℃高い温度の間の温度であるという条件、(2)前記硬化工程における重合温度よりも20℃以上高い温度であるという条件、及び(3)100℃以上の温度であるという条件、をすべて満足する熱処理温度で、前記硬化工程で得られた前記硬化体を1.5~100時間加熱処理を行う加熱処理工程;を含む、
    ことを特徴とする前記歯科切削加工用レジン材料の製造方法。
  2. 前記硬化は、前記硬化性組成物をモールド内に充填した後に行われ、前記加熱処理は、前記硬化体を前記モールドから取り出した状態で行われる、請求項1に記載の歯科切削加工用レジン材料の製造方法。
  3. 前記加熱処理が不活性ガス雰囲気下において、大気圧~0.9MPaで行われることを特徴とする請求項1又は2に記載の歯科切削加工用レジン材料の製造方法。
  4. 前記加熱処理後の冷却速度が20℃/min以下であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の歯科切削加工用レジン材料の製造方法。
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