JP2015103480A - 導電性透明基材、その導電性透明基材を有する回路モジュール、発光パネル、タッチパネル、及びソーラパネル、並びに透明配線板の製造方法 - Google Patents

導電性透明基材、その導電性透明基材を有する回路モジュール、発光パネル、タッチパネル、及びソーラパネル、並びに透明配線板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】可撓性及び耐熱性がありかつ透明性が高い導電性透明基材、その導電性透明基材を有する回路モジュール、発光パネル、タッチパネル、及びソーラパネル、並びに透明配線板の製造方法を提供する。【解決手段】導電性透明基材1は、厚さ50μmにおける波長600nmの光透過率が85%以上でありフッ素樹脂を主成分とするフッ素樹脂基材2と、このフッ素樹脂基材2の表面の少なくとも一部の領域に形成されている改質層3とを有する。改質層3は、シロキサン結合及びシロキサン以外の官能基を含み、かつ改質層3表面と純水との接触角が90?以下であり、改質層3の表面の少なくとも一部に網目構造の導電体層4Aを有する。【選択図】図1

Description

本発明は、表面改質された導電性透明基材、その導電性透明基材を有する回路モジュール、発光パネル、タッチパネル、及びソーラパネル、並びに、透明配線板の製造方法に関する。
光を利用する電気機器は、回路や透明電極が形成されたガラス基板を有する。
例えば、液晶パネルでは、ガラス基板で挟む一方のガラス基板には透明電極が、他方のガラス基板には透明電極や薄膜トランジスタ(以下、「TFT」という。)が形成されている。
また、有機ELパネルでは、有機発光層の一方の面にガラス基板が配置され、このガラス基板に透明電極が形成されている。
また、ソーラパネルでは、太陽光が入光する側にガラス基板が配置され、このガラス基板に透明電極が形成されている。また、タッチパネルでは、ガラス製の2枚の透明電極基板が用いられている。
ところで、近年、光を利用する電気機器のウェラアラブル化等の要求から、これらの機器の可撓性が求められている。ガラス基板は曲げやねじれに対して限界があることから、ガラス基板に代わる基材として、樹脂製の導電性透明基材が開発されている。導電性透明基材の基材はPET(Polyethylene terephthalate)やポリイミドなどにより形成される(特許文献1、特許文献2参照。)。これらの樹脂は、透明であり、その表面に比較的高い剥離強度の導電体層を形成することができるためである。
特開2011−97007号公報 特開2004−133765号公報
導電体層を構成する材料としては、ITO、すなわち酸化インジウムスズ(スズドープ酸化インジウム)(Indium Tin Oxide)などの透明導電膜が使われてきたが、近年、インジウムなどの希少金属を使わない基材として、PETや透明ポリイミドなどの透明樹脂シート上に銅で正方形の格子構造が形成された導電性透明基材が開発されている。
しかし、PET製の導電性透明基材では耐熱性が低いため、従来工程では高温を要するリフローなどの電子部品の実装工程に流すことが難しい。一方、ポリイミド製の導電性透明基材は耐熱性を有するものの透明性に欠けるといった問題がある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、耐候性が高く、可撓性及び耐熱性がありかつ透明性が高い導電性透明基材、その導電性透明基材を有する回路モジュール、発光パネル、タッチパネル、及びソーラパネル、並びに透明配線板の製造方法を提供することにある。
本発明に係る導電性透明基材は、厚さ50μmにおける波長600nmの光透過率が85%以上でありフッ素樹脂を主成分とするフッ素樹脂基材と、このフッ素樹脂基材の表面の少なくとも一部の領域に形成されている改質層とを有し、前記改質層は、シロキサン結合及びシロキサン以外の官能基を含み、かつ前記改質層の表面と純水との接触角が90°以下であり、前記改質層の表面の少なくとも一部に網目構造の導電体層を有する。
上記導電性透明基材は、耐候性が高く、透明であり、導電体層の剥離強度が高く、可撓性を有し、かつリフローに対する耐熱性を有する。
導電性透明基材の断面図である。 導電性透明基材の平面図である。 図2のA部の拡大図である。 図3のB−B線に沿う断面図である。 格子構造の導電体層を示す模式図である。 六方最密充填構造の導電体層の一例を示す模式図である。 六方最密充填構造の導電体層の他の例を示す模式図である。 格子構造の導電体層において未エッチング部を示す模式図である。 六方最密充填構造の導電体層において未エッチング部を示す模式図である。 回路モジュール用の導電性透明基材の模式図である。 回路モジュール用の透明配線板の模式図である。 回路モジュールの模式図である。 発光パネルの構造を示す模式図である。 タッチパネルの構造を示す模式図である。 ソーラパネルの構造を示す模式図である。 透明配線板の製造方法を示す模式図であり、図13(A)は担持体にプライマ材料を付着した状態を示す図であり、図13(B)はプレス状態を示す図であり、図13(C)は第1のエッチング工程後の状態を示す図であり、図13(D)は第2のエッチング工程後の状態を示す図である。
[本願発明の実施形態の説明]
最初に本願発明の実施形態の内容を列記して説明する。
本願発明に係る導電性透明基材は、(1)厚さ50μmにおける波長600nmの光透過率が85%以上でありフッ素樹脂を主成分とするフッ素樹脂基材と、このフッ素樹脂基材の表面の少なくとも一部の領域に形成されている改質層とを有し、前記改質層は、シロキサン結合及びシロキサン以外の官能基を含み、かつ前記改質層の表面と純水との接触角が90°以下であり、前記改質層の表面の少なくとも一部に網目構造の導電体層を有する。
改質層は、その表面と純水との接触角が90°以下の親水性を有するため、導電性透明基材は反応性に富む。ここで、「反応性に富む」には、接着性などの物理的作用が大きいことを含む。このため、この導電性透明基材は表面活性である。表面活性とは、元の導電性透明基材に比べて、極性溶媒に対して表面の接触角が小さくなっていること、化学物質との反応性が高くなっていること、または樹脂との接着性(剥離強度)が高くなっていることの少なくとも1つを満たすことを意味する。この改質層のため、従来の導電性透明基材に形成された導電体層に比べて、導電体層の剥離強度が高い。
従来のポリイミドシートでは、厚さ50μmにおける波長600nmの光の透過率が70%以下であり、透過率が低い。これに対して、上記構成では、また、厚さ50μmにおける波長600nmの光透過率が85%以上であるフッ素樹脂基材を有する。シロキサン結合は可視光を殆ど吸収しない。このため、このフッ素樹脂基材は、従来のポリイミドシートに比べて、光透過率が高い。
また、導電体層は網目構造を有するため、導電体層自体が光を透過する。このため、導電体層が視認されにくくなる。このようなことから、導電性透明基材について、目視での透明性が高くなる。
また、ガラス基板では僅かの変形により割れることがあるが、フッ素樹脂基材は変形しやすく、かつ変形により割れたり、亀裂が生じたりすることもない。また、シロキサン結合はフッ素樹脂基材の可撓性を阻害するものでもない。このため、この導電性透明基材は、ガラス基板に比べて高い可撓性を有する。
導電性透明基材は、フッ素樹脂基材を絶縁層として有する。このため、他の透明性樹脂(例えば、PET)を絶縁層とする導電性透明基材に比べて高い耐熱性と高い耐候性を有する。導電性透明基材は実装部品搭載のためのリフローにも耐え、長期間にわたって高い透明性を維持できる。
以上より、導電性透明基材は、ポリイミドシートに比べて透明性が高く、かつガラスに比べて可撓性があり、かつ耐熱性と高い耐候性を有する。また、導電性透明基材は改質層の上に導電体層を有するため、従来のフッ素樹脂基材(改質層3のないもの)の上に形成された導電体層に比べて、導電体層の剥離強度が高く、フッ素樹脂表面の改質層は各種材料との密着性がよく、またエッチング耐性が高いため、液晶パネル、発光パネル、タッチパネル、ソーラパネル等の製造に適しており、特に、これらのガラス基板に代えて用いることができる。
また、従来のフッ素樹脂は表面が疎水性で密着性が低いため、表面粗さを大きくすることでアンカー効果を大きくして導電体層など他材料との密着性を向上していた。このため、導電体を除去したあとの表面は表面粗さが大きく透明性が低かったが、この導電性透明基材は、導電体を除去した後のフッ素樹脂表面は親水性で改質層の厚みが小さく表面粗さが小さいため、従来のフッ素樹脂材料に比べて透明性が高い。
(2)上記導電性透明基材において、前記網目構造の導電体層の平均シート抵抗は200Ω/□以下である。
この導電性透明基材によれば、導電体層の平均シート抵抗が200Ω/□よりも高い導電性透明基材を用いて透明配線板を形成する場合に比べて、導電配線が低抵抗である透明配線板を形成することができる。
平均シート抵抗は、複数の導電性透明基材の個々のシート抵抗について、これらシート抵抗を平均した値を示す。シート抵抗は、矩形の導電性透明基材において一方の辺の長さをLとし、他方の辺の長さをWとし、長さLの辺に沿う方向に電流を流して測定された抵抗値をRとする場合に、R×W/Lとして定義される。
(3)上記導電性透明基材において、エポキシ樹脂接着剤を介して前記改質層表面に接着されるポリイミドシートの剥離強度が1.0N/cm以上であることが好ましい。この構成により、導電性透明基材からポリイミドシートを剥がれにくくすることができる。なお、剥離強度の値は、JIS K 6854−2:1999「接着剤−はく離接着強さ試験方法−2部:180度はく離」に準じた方法により測定される値を示す。
(4)上記導電性透明基材において前記改質層は次の構成を有することが好ましい。
塩化鉄を含み、比重が1.31g/cm以上1.33g/cm以下、遊離塩酸濃度が0.1mol/L以上0.2mol/L以下、温度が45℃以下のエッチング液に1分以上2分以下で浸漬するエッチング処理に対し、前記改質層はエッチング耐性を有することが好ましい。
この構成により、導電性透明基材に対してエッチング処理を行ったとしても、導電性透明基材の表面改質状態(表面活性)を維持することができる。このため、エッチング処理後に導電性透明基材に対して各種の処理を行ったとき、その処理後の状態を良好なものとすることができる。
(5)上記導電性透明基材において、前記改質層表面の平均表面粗さがRa4μm以下である領域を有することが好ましい。
この構成によれば、当該領域における光の散乱を低減することができるため導電性透明基材の光透過率を更に高くすることができる。
(6)上記導電性透明基材において、前記改質層の平均厚さが400nm以下であることが好ましい。
この構成により、改質層の平均厚さを400nmよりも大きくする場合に比べて、当該領域における光の散乱と吸収を低減することができるため導電性透明基材の光透過率を更に高くすることができる。
(7)上記導電性透明基材において、前記網目構造の導電体層が形成されている領域の少なくとも一部の領域における光透過率が波長600nmで50%以上であることが好ましい。この構成では、所定領域において、光透過率を波長600nmで50%未満とする場合に比べて、所定領域における導電性透明基材の光透過率を高くすることができる。
(8)上記導電性透明基材において、前記網目構造の導電体層の導体線の領域面積をSAとして、前記導電体層の開口部の領域面積をSBとするとき、SA/(SA+SB)の平均値が0.3以下であることが好ましい。
この構成によれば、SA/(SA+SB)の平均値を0.3よりも大きい値に設定する場合に比べて、導電体層における光透過率を高くすることができる。
(9)上記導電性透明基材において、前記網目構造の導電体層を構成する導体線幅が平均20μm以下であることが好ましい。
導体線が細くするほど、導体線が視認しにくくなる。よって、この構成によれば、導体線幅を20μmよりも大きい値に設定する場合に比べて、導体線を見えにくくし、光の透過率を向上することができる。
(10)上記導電性透明基材において、前記網目構造は1辺1mm以下の矩形を単位要素とする格子構造であることが好ましい。
この構成によれば、網目構造が規則性を有するため、導体線が不規則に配線されている場合に比べて、導電体層における光透過率の斑を小さくすることができ、また、1辺1mmよりも大きい矩形を単位要素とする格子構造を有するものに比べて、シート抵抗を低下することができる。
(11)上記導電性透明基材において、前記網目構造は1辺0.6mm以下の六角形を単位要素とする最密充填構造であることが好ましい。
この構成によれば、網目構造が規則性を有するため、導体線が不規則に配線されている場合に比べて、導電体層における光透過率の斑を小さくすることができ、また、1辺0.6mmよりも大きい六角形を単位要素とする最密充填構造を有するものに比べて、シート抵抗を低下することができる。また、六角形の一辺を構成する導体線が集束する部分のなす角θのうちの少なくとも2つは90°以上となるため、この網目構造をエッチングにより形成する場合には、六角形の各頂点を構成する角部におけるエッチング残りを小さくすることができる。
(12)上記導電性透明基材の前記導電体層の少なくとも一部が金属であることが好ましい。
金属は、導電性の金属酸化物や導電性有機材料に比べて、抵抗率が小さい。このため、上記構成によれば、導電体層の金属製の部分において、この部分を導電性の金属酸化物や導電性有機材料で導電体層を形成する場合に比べて、その部分の抵抗値を小さくすることができる。
(13)上記導電性透明基材において、前記改質層の表面に、前記網目構造の導電体層とは別に緻密構造の導電体層を設けてもよい。
この構成によれば、緻密構造の導電体層において、回路用の導電配線を形成することができる。
(14)本発明に係る回路モジュールは、上記導電性透明基材と実装部品とを有する。
この回路モジュールは、導電性透明基材を含む。導電性透明基材は、実装部品搭載のためのリフローに対する耐熱性を有することから導電性透明基材はリフロー投入が可能である。このため、従来の透明樹脂を基材とする回路モジュールに比べて、製造性に優れる。
(15)本発明に係る発光パネルは上記導電性透明基材を有する。
導電性透明基材は、ポリイミドシートを絶縁層とする導電性透明基材に比べて透明性が高く、かつガラスに比べて可撓性が高く、かつリフローに対する耐熱性を有する。また、従来のフッ素樹脂基材(改質層のないもの)に形成された導電体層に比べて、導電体層の剥離強度が高い。このため、この発光パネルは、構成要素である導電性透明基材の透明性が高いことから高い光利用率を有し(すなわち省電力であり)、可撓性があり、かつ導電体層の剥離に起因する劣化が少ない。また、導電性透明基材がリフロー耐熱性を有することから、実装部品搭載のためにリフローに投入することが可能であり、製造性に優れる。
(16)本発明に係るタッチパネルは上記導電性透明基材を有する。
導電性透明基材は、ポリイミドシートを絶縁層とする導電性透明基材に比べて透明性が高く、かつガラスに比べて可撓性が高く、かつリフローに対する耐熱性を有する。また、従来のフッ素樹脂基材(改質層のないもの)に形成された導電体層に比べて、導電体層の剥離強度が高い。このため、このタッチパネルは、構成要素である導電性透明基材の透明性が高いことから視認性に優れ、可撓性があり、かつ導電体層の剥離に起因する劣化が少ない。また、導電性透明基材がリフロー耐熱性を有することから、実装部品搭載のためにリフローに投入することが可能であり、製造性に優れる。
(17)本発明に係るソーラパネルは上記導電性透明基材を有する。
導電性透明基材は、ポリイミドシートを絶縁層とする導電性透明基材に比べて透明性が高く、かつガラスに比べて可撓性が高く、かつリフローに対する耐熱性を有する。また、従来のフッ素樹脂基材(改質層のないもの)に形成された導電体層に比べて、導電体層の剥離強度が高い。このため、このソーラパネルは、構成要素である導電性透明基材の透明性が高いことから発電効率が高く、可撓性があり、かつ導電体層の剥離に起因する故障が少ない。また、導電性透明基材がリフロー耐熱性を有することから、実装部品搭載のためにリフローに投入することが可能であるため、製造性に優れる。
(18)本発明に係る透明配線板の製造方法は、厚さ50μmにおける波長600nmの光透過率が85%以上であるフッ素樹脂材と導電体とを、シロキサン結合を有する改質層を介在させて密着させる工程と、前記導電体の少なくとも一部をエッチングして網目構造の導電体層を形成する工程と、前記導電体層をエッチングして網目構造の導電配線を形成する工程とを含む。
この製法では、網目構造の導電配線を形成する。この際、網目構造の導電配線を2段階で形成する。具体的には、第1段階で、フッ素樹脂基材の所定領域に導体をエッチングして網目構造の導電体層を形成し、第2段階で、この導電体層の所定部分をエッチングする。これによって、網目構造の導電配線を形成する。
この製法は、少なくとも2回のエッチング工程を含むため、各工程は独立してそのパターンを変更することが可能である。例えば、導電配線において網目構造のみを変更する場合は、この網目構造に対応するレジストパターンを変更する。また、網目構造を変更せずに、回路パターンを構成する導電配線(「回路用の導電配線」という。)のみを変更する場合は、この回路用の導電配線に対応するレジストパターンを変更する。このような製法によれば、多種多様な網目構造の導電配線を形成する場合において、用意すべきレジストパターンを少なくすることができるというメリットがある。
[本願発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態に係る導電性透明基材、その導電性透明基材を有する回路モジュール、発光パネル、タッチパネル、及びソーラパネル、並びに透明配線板の製造方法について、その具体例を、図面を参照しつつ以下に説明する。なお、本発明は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及びこの特許請求の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
[導電性透明基材]
図1〜図5を参照して、導電性透明基材1について説明する。
図1に、導電性透明基材1の断面図を、図2に、導電性透明基材1の平面図を示す。
導電性透明基材1は、透明なフッ素樹脂基材2と、このフッ素樹脂基材2の表面の少なくとも一部の領域に形成されている改質層3と、改質層3の表面の少なくとも一部の領域に形成される網目構造の導電体層4Aとを有する。なお、網目構造の導電体層4Aと、網目構造を有しない緻密構造の導電体層4B(図8B参照)とを総称する場合は、単に、導電体層4というものとする。
フッ素樹脂基材2の表面とは、フッ素樹脂基材2における一面とこの反対側の他面とを含むフッ素樹脂基材2の全周面をいう。図1では、片面の全体に改質層3が形成されているが、これは一例であって、改質層3の形成される領域は、片面の一部であってもよいし、また、両面の全体または両面それぞれの一部分であってもよい。
以下、導電性透明基材1の構成要素について説明する。
フッ素樹脂基材2は、以下に例示するフッ素樹脂を主成分とするものであって、高純度のフッ素樹脂により構成されるものであってもよいが、帯電防止剤、耐候剤などが添加されていてもよい。ここで、「主成分」とは、マトリックス層を構成する成分のうち最も含有量が多い成分であり、例えば含有量が80質量%以上の成分をいう。
フッ素樹脂基材2を構成するフッ素樹脂としては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(ポリテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、四フッ化エチレン・六フッ化エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、ポリクロロトリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン・エチレン共重合体、ポリフッ化ビニル、THV(テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ビニリデンフロライドの3種類のモノマーからなる熱可塑性フッ素樹脂)、フロオロエラストマー、等が挙げられる。また、これら化合物を含む混合物やコポリマーが、フッ素樹脂基材2を構成する材料として用いられる。
フッ素樹脂基材2は、次の光学特性を有する。
厚さ50μmにおける波長600nmの光透過率が85%以上であることが好ましく、更に、同条件で光透過率が90%以上であることがより好ましい。表示パネル、表示装置、タッチパネル、ソーラパネル等、光を利用する装置は、透明シートを介して光を放射(出光)し、または入光する。このため、これらの装置において、上記構成のフッ素樹脂基材2を有する導電性透明基材1を用いることにより、光の利用効率を高めることができる。
更に、このフッ素樹脂基材2は、厚さ50μmにおける波長456nmの光透過率が90%以上であることが、より好ましい。これにより、光を利用する装置に、この導電性透明基材1を用いることにより光の利用効率を更に高めることができる。
改質層3は、フッ素樹脂基材2の材質と異なる領域の層であって、例えば、フッ素樹脂基材2とは異なるミクロ構造を有したフッ素樹脂の領域、フッ素樹脂基材2の表面に密着したフッ素樹脂とは異なる分子からなる領域、あるいはこれらの混合した領域などと考えられる層である。例えば、改質層3とフッ素樹脂基材2との境界には、各層を構成する分子間の化学結合が存在するが、これらの化学結合は、共有結合だけで構成される場合、または、共有結合及び水素結合の両者を含む場合のいずれかの構成であると考えられる。改質層3を構成する分子は、少なくとも、シロキサン結合と、シロキサン以外の官能基とを有するものである。
改質層3を構成する分子とフッ素樹脂基材2を構成する分子との共有結合について説明する。
シロキサン結合を構成するSi原子(以下、この原子を「シロキサン結合のSi原子」という。)は、N原子、C原子、O原子、及びS原子のいずれか少なくとも1つの原子を介してフッ素樹脂基材2のC原子と共有結合する。例えば、シロキサン結合のSi原子は、次の原子団を介してフッ素樹脂基材2のC原子と結合する。原子団としては、−O−、−S−、−S−S−、−(CH)n−、−NH−、−(CH)n−NH−、−(CH)n−O−(CH)m−(n,mは1以上の整数である。)等が挙げられる。特に、改質層3が、N原子及びS原子のうちの少なくとも一方の原子を含む官能基由来の結合構造でフッ素樹脂に結合することが好ましい。これらの原子によれば、改質層3とフッ素樹脂基材2との結合が生じやすいためである。
また、この改質層3は、次のエッチング耐性を有することが好ましい。
すなわち、塩化鉄を含み、比重が1.31g/cm以上1.33g/cm以下、遊離塩酸濃度が0.1mol/L以上0.2mol/L以下、温度が45℃以下のエッチング液に1分以上2分以下で浸漬するエッチング処理に対して、改質層3が除去されないことが好ましい。ここで、改質層3が除去されないとは、親水性が失われないことを示し、改質層3が設けられた部分の表面と純水との接触角が90°を超えないことを示す。なお、エッチング処理により、改質層3が形成されている領域において疎水性を示す微小部分が斑状に生じる場合もあるが、この領域全体としては親水性を有する場合は、このような状態は親水性が維持されているものとする。
また、改質層3は、塩化銅含有のエッチング液に対するエッチング耐性を有することが好ましい。なお、改質層3が、塩化鉄含有のエッチング液に対して上記エッチング耐性を有する場合は、この改質層3は、塩化銅含有のエッチング液に対して上記エッチング耐性を有することが確認されている。
改質層3が形成されている部分は、その表面と純水に対する接触角が90°以下となっていることが好ましい。接触角が90°よりも大きいとき、接着物の接着強度(すなわち剥離強度)が低くなるためである。より好ましくは、改質層3が形成されている部分の接触角は80°以下である。ここで、接触角は、接触角測定器(ERMA製、G-I-1000)により測定される値である。なお、接着物としては、例えば、導電性接着剤、異方導電性接着剤、カバーレイフィルムの接着剤、基板同士を接着するためのプリプレグ樹脂、コーティング樹脂、半田レジスト、電磁波シールド材、熱伝導材、強化剤、接着剤、タック付与剤、インク、導電性ペースト、導電配線、部品を固定及び補強するための接着剤、カバーレイフィルム等が挙げられる。
更に、改質層3が形成されている部分において、改質層3の表面と純水との接着エネルギは50dyne/cm以上であることが好ましい。この値は、従来のPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)よりも高い。すなわち、このような特性によれば、従来のフッ素樹脂に比べて接着性が高くなる。
改質層3の平均厚さは400nm以下であることが好ましく、更に好ましくは平均200nm以下である。なお、改質層3の厚さは光干渉式膜厚測定機、XPS(X-ray Photoelectron Spectroscopy)、電子顕微鏡で測定される距離である。このように改質層3の厚さを規定することにより、改質層3を設けることに起因する光透過率の低下を抑制することができる。
導電性透明基材1において高い透明性が要求される領域は、改質層3表面の表面粗さを規定することが好ましい。例えば、この領域の平均表面粗さはRa4μm以下に設定される。また、より好ましくは、この領域の平均表面粗さはRa2μm以下に設定される。ここで、平均表面粗さとは算術平均粗さ(JIS B 0601(2001年))を示す。このように改質層3表面の表面粗さを規定することにより、この領域の光透過率を向上させることができる。例えば、改質層3の厚さが400nm以下である場合、平均表面粗さを4μm以下にすることによって、改質層3における光透過率の低下幅を5%以下に抑えることができる。
改質層3を構成する分子は、親水性の官能基を有する。この官能基は、シロキサン結合を構成するSi原子に結合している。
改質層3を構成する分子が親水性の官能基を有することにより、導電性透明基材1が親水性になり、その表面の濡れ性が向上する。このため、導電性透明基材1を極性溶媒中で表面処理する場合において、その処理速度や表面処理の均一性(処理の斑がないこと)を向上させることができる。
官能基は、導電性透明基材1に付けられる接着剤、被覆樹脂、被覆部材、及びインクに対して活性であるものが好ましい。
導電性透明基材1に付けられる接着剤としては、例えば、導電性接着剤、異方導電性接着剤、カバーレイフィルムの接着剤、基板同士を接着するためのプリプレグ樹脂が挙げられる。接着剤を構成する樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ブタジエン樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂、PEEK(polyetheretherketone)、PAI(Polyamide imide)、PES(poly ether sulfone)、SPS(syndiotactic polystyrene)またはこれらの1または2以上を含む樹脂が挙げられる。また、これらの樹脂について電子線やラジカル反応等により架橋し、こうして得られた樹脂を接着剤の材料として用いてもよい。
官能基の選択により、エポキシ樹脂接着剤を有するポリイミドシート(カバーレイフィルムとして用いられるシート)の剥離強度を所定値以上に設定することができる。なお、この種の導電性透明基材1が用いられる回路モジュールにおいて要求される信頼性の観点から、エポキシ樹脂接着剤を有するポリイミドシート(カバーレイフィルムとして用いられるシート)の剥離強度は1.0N/cm以上であることが好ましい。更に好ましくは、この剥離強度は5.0N/cm以上である。
官能基として、例えば、水酸基、カルボキシ基、カルボニル基、アミノ基、アミド基、スルフィド基、スルホニル基、スルホ基、スルホニルジオキシ基、エポキシ基、ビニル基、メタクリル基、及びメルカプト基が挙げられる。なお、改質層3は、これら官能基の群から選択される少なくとも1種を有する。すなわち、改質層3には、2種以上の官能基が含まれる場合もある。改質層3に異なる性質の官能基を付与することにより、導電性透明基材1の反応性を多様なものとすることができる。これにより、導電性透明基材1において、多種多様な接着物についてその接着性を向上させることができる。これら官能基は、シロキサン結合の構成要素であるSi原子に直接または1個または複数個のC原子(例えば、メチレン基やフェニレン基)を介して結合している。
導電体層4は、例えば銅、銀、金、SUS(ステンレス)、鉄、アルミニウム、ニッケル等の金属、またはこれらの合金、またはメッキ等によるこれら金属や合金の積層体で形成されることが好ましい。
導電体層4は、より好ましくは銅または銀により形成される。
導電体層4は、後述のように網目構造を有し、少なくとも一部において細線化されるものであるため、その抵抗を小さくするためには、抵抗率1×10−6Ωm以下の金属であることが好ましく、抵抗率1×10−7Ωm以下の金属であることがより好ましい。希少性等の市場流通性の支障もないこと及び抵抗率が低いことから、銅または銀がより好ましいものとして選択される。例えば、大面積の透明電極シート、またはTFT回路シートの基材として導電性透明基材1を使用する場合には、導電体層4を銅または銀により形成することが好ましい。
なお、導電体層4の少なくとも一部の領域を金属により形成し、他の領域を金属以外の導電物質により構成してもよい。例えば、導電体層4において網目構造を有する部分を銅等の金属で形成し、網目構造を有しない部分の一部(または全部)を導電性接着剤等を用いて形成することも可能である。
金属により構成される導電体層4としては、銅箔のエッチングにより形成される層、金属粒子の焼結により形成される層、無電解めっき及び電気めっきにより形成される層が挙げられる。金属粒子の焼結によれば、金属粒子の表面に有機物質が存在するため、焼結によっても導電体層4の内部に僅かに有機物質が残存する場合もあるが、このように形成された層も、金属により構成されているものとする。
導電体層4の少なくとも一部分は、網目構造に構成される。
すなわち、図1に示すように導電体層4の全部が網目構造に構成される場合と、導電体層4の一部が網目構造に構成され、他の部分が緻密構造に構成される場合とがある(図8A参照)。
網目構造とは、直線または曲線の導体線5a,5b,5cが規則的にまたはランダムに配置されて、多数の開口部6が構成されるものを示す。網目構造の例としては、例えば、格子構造、六方最密充填構造等が挙げられる。
緻密構造とは、開口部6のない構造を示す。緻密構造の導電体層4B(図8A参照。)からは、回路用の導電配線11B(図8B参照)が形成される。回路用の導電配線11Bには、配線、端子、電極、ランド、グランドパターン、補強層、ダミー層等が含まれる。緻密構造の導電体層4Bは、導電性透明基材1において、透明性が要求されない部分に設けられる。
図3〜図5に、網目構造の導電体層4Aの一例を示す。
図3に、図2のA部の拡大図を示す。図4に、図3のB−B線に沿う断面図を示す。図5は、導電体層4Aの構造を示す拡大図である。
導電体層4Aは、図3に示すように、一方向に直線状に延びる第1導体線5aと、第1導体線5aに対して所定の角度で交差するように延びる第2導体線5bとを有する。第1導体線5aは等間隔に配置され、また、第2導体線5bも等間隔に配置されている。図3では、第1導体線5a同士の間隔距離と第2導体線5b同士の間隔距離とが互いに等しいが、これを異なるように構成してもよい。
第1導体線5aと第2導体線5bとの間のなす角θ(狭い方の角度)は1°以上90°以下である。
隣り合った2本の第1導体線5aと、隣り合った2本の第2導体線5bとにより構成される格子形状(すなわち開口部6の形状)は、矩形または平行四辺形である。図3及び図5には、矩形の格子構造を有する導電体層4Aが示されている。
単位要素Eを矩形とする場合は、1辺の長さLを1mm以下とすることが好ましく、0.5mm以下にすることがさらに好ましい。
矩形の1辺を1mmよりも大きい値に設定する場合、この網目構造の導電体層4Aに基づいて幅2〜3mm以下の細い導電配線11A(図8B参照)を形成すると導電配線11Aが途中で途切れる可能性が高くなり、導電信頼性が低下する。また、1辺の長さLを1mm以下にすることで、シート抵抗を低下させることができ、1辺の長さLを0.5mm以下にすることでさらにシート抵抗を低下させることができる。
また、網目構造の導電体層4Aのシート抵抗は、単位要素を正方形にすれば、導電体層表面上において等方性であるが、単位要素を正方形ではない矩形にすることによって、導電体層表面上において異方性を有するため、単位要素の形状を制御することによって、異方性を有したシート抵抗の導電性透明基材を実現することができる。
導電体層4Aの全領域において導体線5a,5bが占める面積の比率(以下、「導電体面積比」という。)は、平均値で0.3以下であることが好ましい。更に好ましくは、導電体面積比は平均値で0.2以下であり、更に好ましくは、平均値で0.1以下である。これにより、導電体層4Aにおける光透過率を高めることができる。
この導電体面積比は、単位要素Eにおいて導電体層4Aの導体線5a,5bが占める領域面積をSAとし、導電体層4Aの開口部6が占める領域面積をSBとするときに(図5参照)、SA/(SA+SB)として定義される値である。
導電体層4Aを構成する導体線幅W(図5参照)は、平均20μm以下であることが好ましい。より好ましくは、平均10μm以下である。更に好ましくは、平均5μm以下である。導体線5a,5bを太くすると目視で視認されるようになり、導体線5a,5bを細くすると目視で視認しにくくなり、光透過率が向上する。このため、導体線幅Wは上記のように設定される。
導電体層4Aを構成する導体線厚t(図4参照)は、導体線幅Wと導体線厚tのアスペクト比(導体線厚t/導体線幅W)で0.1以上5以下となるように構成することが好ましい。アスペクト比が5よりも大きい場合は、製造上の困難であるからである。また、アスペクト比が0.1よりも小さい場合は、導体線幅Wが細くなる場合において導電体層4Aが薄くなり過ぎて導体線5a,5bに亀裂が生じるおそれがあるからである。また、アスペクト比が0.1以上の方が、アスペクト比が0.1よりも小さい場合に比べて、シート抵抗を小さくすることができる。
導電体層4Aが形成されている領域の光透過率は、少なくとも一部の領域で、波長600nmの光で50%以上であることが好ましい。
ここで光透過率は、導電性透明基材1の所定領域に入射する光強度をIAとし、当該領域から出射する光強度をIBとするとき、IB/IAによって定義される。なお、光透過率は、例えば、フッ素樹脂基材2の材質、導電体層4Aにおける導電体面積比等の調整によって設定される。
このような構造の導電体層4Aは、その平均シート抵抗が200Ω/□以下であることが好ましく、50Ω/□以下がより好ましい。更には、2Ω/□以下がより好ましい。更に好ましくは、1Ω/□以下である。平均シート抵抗は、例えば、導体線5a,5bの導体線幅W、導体線5a,5bの導体線厚t、導電体面積比に基づいて設定される。特に、2Ω/□以下とする場合の導電体層4Aの材質としては、抵抗率1×10−6Ωm以下の金属が好適に用いられる。
例えば、導電体層4Aの光透過率を高くし、かつ平均シート抵抗を低くする場合は、導電体面積比を小さくし、かつ導体線5a,5bの導体線厚tを大きくする。導体線5a,5bの導体線厚tを一定値にして導電体面積比だけを小さくすると、光透過率が高くなる一方で平均シート抵抗が高くなるためである。
図6A及び図6Bを参照して、六方最密充填構造の導電体層4Aを説明する。
この導電体層4は、互いに対向する辺が平行である六角形を単位要素Eとする。導電体層4の開口部6は六角形である。
導体線5cが集束する部分において、導体線5c同士の間の3つのなす角θは、全てが90°以上であることが好ましい。この例を、図6A及び図6Bに示す。
また、この3つのなす角θは、120°または実質的に120°であることが好ましい。この場合、単位要素Eは正六角形になる(図6A参照)。
なお、導電体層4Aの全領域における導電体面積比、導体線幅W、導体線厚t、導体線5cのアスペクト比(導体線厚t/導体線幅W)、導電体層4が形成されている領域の光透過率、導電体層4Aの平均シート抵抗については、上記格子構造の導電体層4Aと同様の構成を有することが好ましい。
単位要素Eを正六角形とする場合は、1辺の長さLを0.6mm以下とすることが好ましく、0.3mm以下にすることがさらに好ましい。
1辺を0.6mmよりも大きい値に設定する場合、この網目構造の導電体層4Aに基づいて幅2〜3mm以下の細い導電配線11A(図8B参照)を形成すると導電配線11Aが途中で途切れる可能性が高くなり、導電信頼性が低下する。また、1辺の長さLを0.6mm以下にすることで、シート抵抗を低下させることができ、1辺の長さLを0.3mm以下にすることでさらにシート抵抗を低下させることができる。
また、網目構造の導電体層4Aのシート抵抗は、単位要素を正六角形にすれば、導電体層表面上において等方性であるが、単位要素を正六角形ではない六角形にすることによって、導電体層表面上において異方性を有するため、単位要素の形状を制御することによって、異方性を有したシート抵抗の導電性透明基材を実現することができる。
図7A及び図7Bを参照して、六方最密充填構造の導電体層4Aの特徴を説明する。
図7Aに、格子構造の導電体層4Aにおける導体線5aと導体線5bの交差部を示す。
格子構造の導電体層4Aにおいて、矩形を単位要素Eとするものは、図7Aに示すように、導体線5aと導体線5bとのなす角θは90°である。格子構造の導電体層4Aにおいて、平行四辺形を単位要素Eとするものは、導体線5aと導体線5bとのなす角θの少なくとも一方の角度は90°よりも小さい。
ところで、このような角度で交差する導体線5a及び導体線5bを含む格子構造の導電体層4Aをエッチング法で形成する場合、導体線5a及び導体線5bの間の交差部に未エッチング部Nが生じる。このような未エッチング部Nは光を遮光するため、設計上の導電体層4Aのパターンに基づいて未エッチング部Nが生じないことを前提として見積もった光透過率よりも実際の光透過率が低下することになる。また、未エッチング部Nの大きさは場所やエッチング条件によっても異なるため、導電体層4Aにおいて未エッチング部Nの比率を推定することは難しい。このようなことから、未エッチング部Nの発生に起因して、設計上の透過率と実際の光透過率との誤差が生じるといったことが生じる。これは、導電体層4Aの実際の光透過率を設計値に合わせる上での支障となる。
図7Bに六方最密充填構造を有する導電体層4Aにおける導体線5cの交差部を示す。
六方最密充填構造の導電体層4Aにおいて、正六角形を単位要素Eとするものは、図7Bに示すように、導体線5c同士のなす角θは120°である。六方最密充填構造の導電体層4Aにおいて、変形した六角形を単位要素Eとするものであって3つのなす角θが90°以上であるもの(図6B参照。)は、当然に、導体線5c同士のなす角θは90°以上である。
このような構成の六方最密充填構造の導電体層4Aをエッチング法で形成する場合、導体線5cの交差部に未エッチング部Nが生じるが、その角度が90°未満であるものに比べてその面積が小さくなる。このため、設計上の導電体層4Aのパターンに基づいて未エッチング部Nが生じないことを前提として見積もった光透過率と、実際の光透過率との間の誤差が小さくなる。これによって、設計によって見積もった光透過率に近い値の導電体層4Aを形成することができる。このため、導電体層4Aの光透過率を設計値に合わせるための手間が少なくなる。
導電体層4Aの例として2つをあげたが、導電体層4Aの網目構造はこれらの構造に限定されない。
例えば、開口部6の構造として、円形、楕円、三角形、台形、その他様々な形状が挙げられる。また、導電体層4において、形状の異なる複数種の開口部6を有する網目構造を採用することもできる。例えば、開口部6の構造として、三角形と平行四辺形の組み合わせや、六角形と円形との組み合わせが挙げられる。
ただし、導電体層4に採用される網目構造としては、開口部6が規則的に配置されていることが好ましい。これは、導電性透明基材1の表面の各部分において、光透過率を等しくするためである。
次に、導電性透明基材1の構成を説明する。
導電性透明基材1は、その用途により、適度な可撓性を有することが好ましい。ここで、可撓性を、R1m(曲率半径1m)で折り曲げたとき、折り曲げた部分に亀裂が発生せずに元の形状に戻ることができる特性であると定義する。フッ素樹脂基材2の厚さを1mm以下、導電体層4Aの厚さを100μm以下にすることによって、導電性透明基材1の柔軟な可撓性が得られる。特に、導電体層4Aを延伸性のある銅などの金属にすることで、折れ曲がり時の断線を防止することができる。この導電性透明基材1は、可撓性を有する液晶パネル、有機発光パネル、タッチパネル等に用いることができる。また、導電性透明基材1は、その用途により、適度な弾性を備えることが好ましい。フッ素樹脂の結晶度を高くすることにより、その弾性を調整することが可能である。
導電性透明基材1は、温度25℃相対湿度90%で25μm厚における水蒸気透過率が0.1g/m・24h以下であることが好ましい。このような構成によれば、導電性透明基材1によって水蒸気を遮断することができる。このため、この導電性透明基材1は、水蒸気の侵入で性能が劣化する装置に採用される。例えば、有機発光材料は水蒸気により劣化するため、有機ELパネルでは、水蒸気透過率の低い保護シートが必要とされる。このような用途に、上記構成の導電性透明基材1が好適に採用される。
導電性透明基材1は、吸水率が0.01質量%以下であることが好ましい。
この特性により、導電性透明基材1の吸水による体積膨張、または吸水した水の凍結による導電性透明基材1の劣化を抑制することができる。また、導電性透明基材1が被覆材として用いられる場合には、被覆対象物が水分によって変質することまたは劣化することを抑制することができる。
更に、導電性透明基材1は難燃性であることが好ましい。例えば、導電性透明基材1は、アメリカ保険業者安全試験所(Underwriters Laboratories Inc.)が策定するUL規格の一種であるUL−94またはV−0を満たすことが好ましい。これにより、導電性透明基材1の安全性が高くなるため、その用途が拡大する。
本実施形態の導電性透明基材1の効果を説明する。
(1)導電性透明基材1は、厚さ50μmにおける波長600nmの光透過率が85%以上でありフッ素樹脂基材2を主成分とするフッ素樹脂基材2と、このフッ素樹脂基材2の表面の少なくとも一部の領域に形成されている改質層3と、改質層3の表面の少なくとも一部の領域に設けられた網目構造の導電体層4とを有する。改質層3は、シロキサン結合及びシロキサン以外の官能基を含み、かつ改質層3の表面と純水との接触角が90°である。
導電性透明基材1は、従来のポリイミドシートに比べて透明性が高く、水蒸気透過率と吸水率が小さく、かつガラスを絶縁層とするものに比べて可撓性がある。また、従来のPETを絶縁層とするものに比べて、耐熱性と耐候性が高い。ここで、耐候性が高いとは、透明性などの特性の経年変化が小さいということを意味している。
また、従来のフッ素樹脂は表面が疎水性で密着性が低いため、表面粗さを大きくすることでアンカー効果を大きくして導電体層4など他材料との密着性を向上していた。このため、導電体を除去した部分の表面は表面粗さが大きく透明性が低かったが、この導電性透明基材1は、導電体を除去した後のフッ素樹脂表面は親水性で改質層の厚みが小さく表面粗さが小さいため、従来のフッ素樹脂材料に比べて透明性が高い。
また、導電体層4Aは網目構造を有するため、導電体層4A自体が光を透過する。このため、導電体層4Aが視認されにくくなる。このようなことから、導電性透明基材1について、目視での透明性が高くなるといった効果がある。
また、導電性透明基材1は改質層3の上に導電体層4を有するため、従来のフッ素樹脂基材(改質層3のないもの)の上に形成された導電体層に比べて、導電体層4の剥離強度が高い。このため、このような導電性透明基材1は、液晶パネル、発光パネル、タッチパネル、ソーラパネル等に用いられているガラス基板に代えて用いることができる。
(2)上記導電性透明基材1において、網目構造の導電体層4Aの平均シート抵抗は200Ω/□以下であることが好ましい。
この導電性透明基材1によれば、導電体層4Aの平均シート抵抗が200Ω/□よりも高い導電性透明基材を用いて透明配線板を形成する場合に比べて、導電配線11Aが低抵抗である透明配線板10を形成することができる。
(3)上記導電性透明基材1において、エポキシ樹脂接着剤を介して改質層3表面に接着されるポリイミドシートの剥離強度が1.0N/cm以上であることが好ましい。この構成により、導電性透明基材1からポリイミドシートを剥がれにくくすることができる。
(4)上記導電性透明基材1において改質層3は次の構成を有することが好ましい。
塩化鉄を含み、比重が1.31g/cm以上1.33g/cm以下、遊離塩酸濃度が0.1mol/L以上0.2mol/L以下、温度が45℃以下のエッチング液に1分以上2分以下で浸漬するエッチング処理に対して、改質層3はエッチング耐性を有することが好ましい。
この構成により、導電性透明基材1に対してエッチング処理を行ったとしても、導電性透明基材1の表面改質状態(表面活性)を維持することができる。このため、エッチング処理後に導電性透明基材1に対して各種の処理を行ったとき、その処理後の状態を良好なものとすることができる。
(5)上記導電性透明基材1において、改質層3表面の平均表面粗さがRa4μm以下である領域を有することが好ましい。
この構成によれば、当該領域における光の散乱を低減することができるため導電性透明基材1の光透過率を更に高くすることができる。
(6)上記導電性透明基材1において、改質層3の平均厚さが400nm以下であることが好ましい。
この構成により、改質層3の平均厚さを400nmよりも大きくする場合に比べて、当該領域における光の散乱と吸収を低減することができるため導電性透明基材1の光透過率を更に高くすることができる。
(7)上記導電性透明基材1において、網目構造の導電体層4Aが形成されている領域の少なくとも一部の領域における光透過率は波長600nmで50%以上であることが好ましい。
この構成によれば、所定領域において、光透過率を波長600nmで50%未満とする場合に比べて、当該所定領域における導電性透明基材1の光透過率を高くすることができる。
(8)上記導電性透明基材1において、網目構造の導電体層4Aの導体線5a,5b,5cの領域面積をSAとして、導電体層4Aの開口部6の領域面積をSBとするとき、SA/(SA+SB)の平均値が0.3以下であることが好ましい。この構成によれば、SA/(SA+SB)の平均値を0.3よりも大きい値に設定する場合に比べて、導電体層4Aにおける光透過率を高くすることができる。
(9)上記導電性透明基材1において、網目構造の導電体層4Aを構成する導体線幅Wが平均20μm以下であることが好ましい。
導体線5a,5b,5cが細くするほど、導体線5a,5b,5cが視認しにくくなる。よって、この構成によれば、導体線幅Wを20μmよりも大きい値に設定する場合に比べて、導体線5a,5b,5cを見えにくくし、光の透過率を向上することができる。
(10)上記導電性透明基材1において、網目構造は1辺1mm以下の矩形を単位要素Eとする格子構造であることが好ましく、0.5mm以下にすることがさらに好ましい。
この構成によれば、網目構造が規則性を有するため、導体線5a,5bが不規則に配線されている場合に比べ、導電体層4Aにおける光透過率の斑を小さくすることができる。また、1辺1mm以下である矩形を単位要素Eとする場合は、1辺1mmよりも大きい矩形を単位要素Eとする格子構造を有するものに比べて、シート抵抗を低下することができる。また、1辺0.5mm以下の矩形を単位要素Eとする場合は、シート抵抗をさらに低下することができる。
(11)上記導電性透明基材1において、網目構造が1辺0.6mm以下の六角形を単位要素Eとする六方最密構造であることが好ましく、0.3mm以下にすることがさらに好ましい。
この構成によれば、網目構造が規則性を有するため、導体線5cが不規則に配線されている場合に比べて、導電体層4Aにおける光透過率の斑を小さくすることができる。また、六角形の一辺を構成する導体線5cが集束する部分のなす角θのうちの少なくとも2つは90°以上となるため、この網目構造をエッチングにより形成する場合には、六角形の各頂点を構成する角部におけるエッチング残りを小さくすることができる。また、1辺0.6mm以下の六角形を単位要素Eとする場合は、1辺0.6mmよりも大きい六角形を単位要素Eとする最密充填構造を有するものに比べて、シート抵抗を低下することができる。また、1辺0.3mm以下の六角形を単位要素Eとする場合は、シート抵抗をさらに低下することができる。
(12)上記導電性透明基材1の導電体層4Aの少なくとも一部が金属であることが好ましい。
金属は、導電性の金属酸化物や導電性有機材料に比べて、抵抗率が小さい。このため、上記構成によれば、導電体層4Aの金属製の部分において、この部分を導電性の金属酸化物や導電性有機材料で導電体層4Aを形成する場合に比べて、その部分の抵抗値を小さくすることができる。また、金属製の導電体層4Aは、ITO等の導電性酸化物に比べて容易に形成することができるというメリットもある。
(13)上記導電性透明基材1において、改質層3の表面に、網目構造の導電体層4Aとは別に緻密構造の導電体層4Bを設けてもよい。
この構成によれば、緻密構造の導電体層4Bにおいて、回路用の導電配線11B(図8B参照)を形成することができる。導電体層4Bが金属で構成される場合、導電配線11Aは金属の網目構造からなる導電性透明領域となり、導電配線11Bは金属配線領域となる。このような構造の場合、1回のエッチング工程で導電性透明領域と金属配線領域を同時に形成することができるため、導電体層4から導電性透明領域と金属配線領域とを形成する際に要する費用が低コストになる。
[回路モジュール]
図8A、図8B、図9を参照して、回路モジュール20について説明する。
図8Aに、回路モジュール20を形成するための導電性透明基材1Xの平面図を示す。
導電性透明基材1Xは、網目構造の導電体層4Aと、緻密構造の導電体層4Bとを有する。網目構造の導電体層4Aにおいて、視認することができにくい網目構造の導電配線11A(図8B参照)が形成される。緻密構造の導電体層4Bにおいて、回路用の導電配線11B(図8B参照)が形成される。
フッ素樹脂基材2の表面は密着性のよい改質層3を有しているため、網目構造の導電体層4Aや緻密構造の導電体層4Bの形成後、必要に応じて、銀ナノワイヤ、金属粒子やカーボン等の導電性物質を含んだ導電性樹脂やITO(Indium Tin Oxide)やPEDOT(poly(3,4-thylenedioxythiophene))により導電性回路を表面に形成したり、ソルダーレジスト塗布、カバーレイ接着、ニッケルや金メッキなどの加工を実施することができる。
図8Bに、導電性透明基材1Xを用いて形成された透明配線板10の一例を示す。なお、透明配線板10は、構成上、導電性透明基材1の一形態である。
図8Bには、タッチパネル用の透明配線板10が示されている。透明配線板10は、網目構造の導電体層4Aから形成された網目構造の導電配線11Aと、緻密構造の導電体層4Bから形成された緻密構造の導電配線11Bとを有する。網目構造の導電配線11Aは透明電極として機能する。緻密構造の導電配線11Bは回路用の配線パターン(ランド、配線等を含む。)を構成する。
図9に、回路モジュール20の平面図を示す。
回路モジュール20は、透明配線板10と、この透明配線板10に実装される実装部品21とを有する。
実装部品21に接続する導電配線11Bは、半田レジストやカバーレイフィルム等の被覆材で被覆されることが好ましい。この被覆材は改質層3を介して接着されていることが好ましい。
実装部品21としては、例えば、コネクタ、抵抗素子、コンデンサ、コイル、コネクタ、スイッチ、IC(Integrated Circuit)、発光素子、受光素子、レーザ素子、加速度センサ、音響デバイス(圧電素子、シリコンマイクロフォン等)、磁気センサ、温度センサ、同軸ケーブル等が挙げられる。これら実装部品21は、半田、ACF(異方性導電フィルム)、導電性接着剤によって導電配線11Bに接続される。
この回路モジュール20は以下の効果を奏する。
この回路モジュール20は導電性透明基材1を含む。導電性透明基材1は、実装部品搭載のためのリフローに対する耐熱性を有することから導電性透明基材1はリフロー投入が可能である。このため、従来の透明樹脂を基材とする回路モジュールに比べて、製造性に優れる。
[有機ELパネル]
図10を参照して、発光パネルの一例として有機ELパネル30について説明する。
有機ELパネル30は、封止フィルム31と、バリア層32と、透明電極33と、発光層34と、透明シート36とを備えている。透明シート36は、透明絶縁層35Bと、この透明絶縁層35Bに設けられて発光層34を制御するTFT回路35Aとを有する。
封止フィルム31及び透明シート36は発光層34を封止する。バリア層32は、水蒸気の侵入を防止する層であり、アルミニウム等により形成される。透明電極33はバリア層32に形成される。
発光層34は、有機発光材料により形成されている。
透明シート36として上記導電性透明基材1が用いられている。透明絶縁層35Bがフッ素樹脂基材2に対応する。改質層3は図示されていないが、改質層3は透明絶縁層35BとTFT回路35Aとの間に設けられている。
ここで、透明シート36としては、温度25℃相対湿度90%で25μm厚における水蒸気透過率が0.1g/m・24h以下である導電性透明基材1を採用することが好ましい。なお、導電性透明基材1の厚さは25μmに限定されるものではなく、有機ELパネル30の仕様によって設定される。
導電性透明基材1にはTFT回路35Aが形成されている。TFT回路35Aの構成要素である導電配線11Aは網目構造に形成されている。網目構造の導電配線11Aは改質層3の上に形成されている。
なお、封止フィルム31を、改質層3を有するフッ素樹脂シートにより構成してもよい。この場合において、温度25℃相対湿度90%で25μm厚における水蒸気透過率が0.1g/m・24h以下であるフッ素樹脂シートを採用することが好ましい。これによって、外気からの水分の透過を抑制することができるため、有機発光材料の水分による劣化を低減することができる。このため、水分透過を抑制するためのバリア層32を省略し、またはバリア層32を薄膜化することも可能である。また、この場合、フッ素樹脂シートで構成された封止フィルム31の改質層3は、バリア層32または透明電極33との界面に形成されているため、バリア層32または透明電極33との密着性がよくなり、品質の高いパネル製品を製造することができる。
本実施形態の有機ELパネル30によれば次の効果を有する。
有機ELパネル30は導電性透明基材1を有する。
導電性透明基材1は、ポリイミドシートを絶縁層とする導電性透明基材に比べて透明性が高く、かつガラスに比べて可撓性が高く、かつリフローに対する耐熱性を有する。また、従来のフッ素樹脂基材(改質層3のないもの)に形成された導電体層に比べて、導電体層4(例えば、TFT回路35Aの構成要素である導電配線11A)の剥離強度が高い。
このため、この有機ELパネル30は、構成要素である導電性透明基材1の透明性が高いことから高い光利用率を有する(すなわち省電力であり)。
また、上記導電性透明基材1の改質層3はエッチング耐性が高いため、エッチング処理工程を含む製造方法を用いて導電性透明基材1に、網目構造の導電配線11A(例えば、銅配線)を形成しても、導電性透明基材1の接着性は維持される。このため、導電配線11Aが形成された導電性透明基材1を有する有機ELパネル30は、改質層3のないフッ素樹脂基材2を有するものに比べて、網目構造の導電配線11Aの剥離が抑制されるためその信頼性が高くなる。
特に、導電性透明基材1が耐熱性に優れることから、リフローを行っても導電性透明基材1の劣化(変形及び変色等が生じること)が小さい。このように導電性透明基材1はリフローに対する耐熱性を十分に備えていることから、導電性透明基材1に実装部品21を配置したものをリフロー炉に投入することができる。従来の透明シート(例えば、PET)は耐熱性が低くリフロー炉に投入することが困難であったが、本実施形態の導電性透明基材1の採用によりこれが可能になるため、従来の透明シートを有する有機ELパネルに比べて、製造工程を簡単にすることができるメリットがある。すなわち、有機ELパネル30は製造性に優れている。
また、本実施形態の有機ELパネル30において、透明シート36及び封止フィルム31を上記導電性透明基材1により構成する場合、有機ELパネル30に可撓性を持たせることができ、また、湾曲した有機ELパネル30を構成することができる。
また、この有機ELパネル30を有するテレビやモニタ等の表示装置は、上記導電性透明基材1を有するため、輝度が高く、耐候性に優れる。また、改質層3を有するフッ素樹脂シートにより封止フィルム31を構成し、外側の面には改質層3を形成しないことによって疎水性を持たせてもよい。このような構成によれば、フッ素樹脂の撥水性により、この表示装置は防水性に優れ、汚れにくくすることができる。
[タッチパネル]
図11を参照して、タッチパネル40について説明する。
タッチパネル40は、静電容量方式のタッチパネル40である。例えば、図11に示すように、タッチパネル40は、第1の透明電極42A及び透明絶縁層42Bを有する第1の透明シート41と、絶縁層43(または空気層)と、第2の透明電極44A及び透明絶縁層44Bを有する第2の透明シート45とを備えている。
ここで、第1の透明シート41及び第2の透明シート45として、上記導電性透明基材1が用いられている。透明絶縁層42B,44Bがフッ素樹脂基材2に対応する。第1の透明電極42A及び第2の透明電極44Aは、網目構造の導電配線11Aにより構成されている。これら網目構造の透明電極42A,44Aについては銅または銀で形成することが好ましい。なお、改質層3は図示されていないが、改質層3は透明電極42A,44Aと透明絶縁層42B,44Bとの間に設けられている。
本実施形態のタッチパネル40によれば次の効果を奏する。
タッチパネル40は導電性透明基材1を有する。導電性透明基材1は、ポリイミドシートを絶縁層とする導電性透明基材に比べて透明性が高く、かつガラスに比べて可撓性が高く、かつリフローに対する耐熱性を有する。また、従来のフッ素樹脂基材(改質層3のないもの)に形成された透明電極に比べて、透明電極42A,44A(導電配線11A)の剥離強度が高い。
このため、このタッチパネル40は、構成要素である導電性透明基材1の透明性が高いことから視認性に優れる。また、タッチパネル40は可撓性がある。また、透明電極42A,44A(導電配線11A)が改質層3の上に形成されていることから透明電極42A,44Aの剥離に起因する劣化が少ない。また、導電性透明基材1がリフロー耐熱性を有することから、実装部品搭載のためにリフローに投入することが可能である。このため、このタッチパネル40は製造性に優れる。
また、上記導電性透明基材1の改質層3はエッチング耐性が高いため、エッチング処理工程を含む製造方法を用いて網目構造の透明電極42A,44Aを形成しても、導電性透明基材1の接着性は維持される。このため、この導電性透明基材1を有するタッチパネル40は、改質層3のないフッ素樹脂基材2を有するものに比べて、透明電極42A,44A(導電配線11A)の剥離が抑制されるため、その信頼性が高くなる。
[ソーラパネル]
図12を参照して、ソーラパネル50について説明する。
ソーラパネル50は、透明電極53A及び透明絶縁層53Bを有する透明な保護シート51と、太陽電池52と、電極54とを備えている。電極54は、太陽電池52において透明電極53Aが配置された面とは反対側の面に設けられている。
保護シート51として上記導電性透明基材1が用いられている。透明絶縁層53Bがフッ素樹脂基材2に対応する。なお、改質層3は図示されていないが、改質層3は透明電極53Aと透明絶縁層53Bとの間に設けられている。すなわち、改質層3上に透明電極53Aが形成されている。このため、透明電極53Aの剥離が生じにくい。
ここで、フッ素樹脂基材2が、厚さ50μmにおける波長600nmの光透過率が85%以上であることが好ましく、更には、同条件で光透過率が90%以上であることがより好ましい。また、更に、厚さ50μmにおける波長456nmの光透過率が90%以上の特性を有することが好ましい。これにより、このソーラパネル50は、光透過率がこれよりも低い透明樹脂シートを用いる場合に比べて、発光効率が高くなる。
また、フッ素樹脂は、他の樹脂に比べても耐候性が高い。
このため、保護シート51として他の樹脂を用いる場合に比べて、ソーラパネル50の寿命を長くすることができる。
また、導電性透明基材1において、外側面に撥水性を保持させることが好ましい。すなわち、導電性透明基材1の一方の面に改質層3を形成し、他方の面はフッ素樹脂特有の撥水性を保持させる。これにより、雨水による汚れ付着を抑制することができる。
本実施形態のソーラパネル50によれば次の効果を奏する。
ソーラパネル50は導電性透明基材1を有する。導電性透明基材1は、ポリイミドシートを絶縁層とする導電性透明基材に比べて透明性が高く、かつガラスに比べて可撓性が高く、かつリフローに対する耐熱性を有する。また、改質層3を有することから、従来のフッ素樹脂基材(改質層3のないもの)に形成された透明電極53A(導電体層4)に比べて、透明電極53Aの剥離強度が高い。
このため、このソーラパネル50は、構成要素である導電性透明基材1の透明性が高いことから発電効率が高い。また、ソーラパネル50は可撓性がある。透明電極53A(導電体層4)が改質層3に形成されていることから透明電極53Aの剥離に起因する故障が少ない。また、導電性透明基材1がリフロー耐熱性を有することから、実装部品搭載のためにリフローに投入することが可能である。このため、このソーラパネル50は製造性に優れる。
更に、保護シート51として配置された導電性透明基材1において、外側面が撥水性を有するように構成した場合は、雨水による汚れの付着が抑制されることから、ソーラパネル50では清掃頻度を低くすることができる。
[透明配線板の製造方法]
図13を参照して、透明配線板10の製造方法を説明する。
図13(A)は担持体100にプライマ材料101を付着した状態を示し、図13(B)はプレス状態を示す図であり、図13(C)は第1のエッチング工程後の状態を示す図であり、図13(D)は第2のエッチング工程後の状態を示す図である。
透明配線板10の製造工程は、次の4つの工程を有する。
・第1工程では、担持体100にプライマ材料101を付着する(図13(A)参照)。
プライマ材料101は、改質層3の材料である。後述するように、プライマ材料101に含まれる物質の反応により改質層3が形成される。
担持体100は導電体層4の母材である。図13(A)〜図13(D)に示す例では、担持体100全部が網目構造の導電体層4Aを形成するための部材であり、エッチング等により担持体100の一部が除去されることにより、導電体層4Aが形成される。なお、後述するように、転写溶解法では、担持体100の導電性膜(すなわち転写される部分)が導電体層4の母材である。転写溶解法に関しては図示を省略する。
・第2工程では、担持体100とフッ素樹脂材102とを圧着して改質層3を形成する。
フッ素樹脂材102はフッ素樹脂基材2の母材である。この工程において、フッ素樹脂材102(フッ素樹脂基材2)の表面に改質層3が形成される。フッ素樹脂材102の表面以外の部分においては、実質的な変質は生じない。
・第3工程では、担持体100のエッチングにより網目構造の導電体層4Aを形成する。
・第4工程では、網目構造の導電体層4Aのエッチングにより、導電配線11Aを形成する。
以下、各工程について説明する。
第1工程では、担持体100に、シランカップリング剤と、アルコールと、水を含むプライマ材料101を付着させる(図13(A)参照。)。担持体100にプライマ材料101を付着させる方法は、限定されない。例えば、浸漬法、スプレー法、塗布法など、いずれの方法でも採用される。そして、乾燥により、プライマ材料101のアルコールを除去する。アルコールの除去は、自然乾燥、加熱による乾燥、または減圧による乾燥のいずれの方法でも採用される。なお、この乾燥は、第2工程の熱圧着を行うプレス機900において、連続して行ってもよい。乾燥後、加熱(例えば、120℃15分)し、担持体100にシランカップリング剤を反応させる。
シランカップリング剤の下限濃度は、プライマ材料101全体の質量に対して0.1質量%以上に設定され、好ましくは、0.5質量%以上に設定される。シランカップリング剤の濃度が低すぎるときには、実質的な改質効果が生じないためである。
シランカップリング剤の上限濃度は、プライマ材料101全体の質量に対して5.0質量%以下に設定され、好ましくは、3.0質量%以下に設定され、更に好ましくは、1.5質量%以下に設定される。シランカップリング剤の濃度が高くなりすぎるときには、シランカップリング剤の凝集が生じ、担持体100の表面において、均一な厚さのプライマ材料101の膜が形成されにくくなるためである。
水は微量で足りるが、シランカップリング剤の縮合の際の必須物質である。
水の割合は、例えば、アルコールの全体量に対して0.01質量%以上0.1質量%以下に設定される。
シランカップリング剤としては、少なくとも2個以上の加水分解性の官能基と、有機物質に反応しやすい官能基とを含むケイ素化合物が用いられる。
加水分解性の官能基とは、具体的には、アルコキシ基である。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基などが挙げられる。
有機物質に反応しやすい官能基としては、水酸基、カルボキシ基、カルボニル基、アミノ基、アミド基、スルフィド基、スルホニル基、スルホ基、スルホニルジオキシ基、エポキシ基、ビニル基、メタクリル基、及びメルカプト基が挙げられる。シランカップリング剤は、これらの官能基の群の少なくとも1種を含む。なお、プライマ材料101には、官能基が異なる2種以上のシランカップリング剤を含めることもできる。
なお、この中でも、N原子またはS原子を含むシランカップリング剤が好適に用いられる。N原子またはS原子を含むシランカップリング剤によれば、導電配線11A,11Bとフッ素樹脂基材2との間の接着強度(すなわち剥離強度)を高めることができるためである。
N原子を含むシランカップリング剤としては、アミノアルコキシシラン、ウレイドアルコキシシラン、またはこれらの誘導体が挙げられる。また、これらにフェニル基等の変性基を導入したシランカップリング剤も用いることができる。
アミノアルコキシシランとしては、次の化合物が挙げられる。
・3−アミノプロピルトリメトキシシラン
・3−アミノプロピルトリエトキシシラン
・3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルメチルジメトキシシラン
・3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン
・3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン
・3−(フェニルアミノ)プロピルトリメトキシシラン
ウレイドアルコキシシランとしては、次の化合物が挙げられる。
・3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン
・3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン
・γ−(2−ウレイドエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン
S原子を含むシランカップリング剤としては、メルカプトアルコキシシラン、スルフィドアルコキシシラン、これらの誘導体が挙げられる。また、これらにフェニル基等の変性基を導入したシランカップリング剤も用いることができる。
メルカプトアルコキシシランとしては、次の化合物が挙げられる。
・3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン
・3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン
・3−メルカプトオルガニルアルコシキシラン(オルガニルとは、メチレン基、フェニレン基で構成される基である。)
スルフィドアルコキシシランとしては、次の化合物が挙げられる。
・ビス−(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド
・ビス−(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド
プライマ材料101に含まれるアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール、tertブタノール、イソプロピルアルコールが挙げられる。または、これらのアルコール群から選択される2種以上を含む溶液がプライマ材料101の溶媒として用いられる。
担持体100としては導電性物質(導電体)を含むものが用いられる。例えば、担持体100は、銅、銀、金、SUS(ステンレス)、鉄、アルミニウム、ニッケル等の金属、またはこれらの合金、またはこれら金属及び合金の積層体により構成される。
担持体100として、剥離時において溶解法(後述参照。)を採用するときは、エッチング液により溶解するものが採用される。例えば、銅、鉄、アルミニウム等の金属シートが、プライマ材料101の担持体100として用いられる。
担持体100の形状は、特に限定されるものではないが、改質層3が形成される対象物の形状に合致するように構成される。
例えば、板状またはシート状のフッ素樹脂材102に改質層3を形成する場合は、板状の担持体100が用いられる。また、曲面を有するフッ素樹脂材102に改質層3を形成する場合には、この曲面に沿う形状の担持体100が用いられる。
担持体100においてプライマ材料101が付着する部分(以下、「付着面」という。)の平均表面粗さを所定値以下にすることが好ましい。例えば、表面粗さはRa4μm以下、より好ましくは1μm以下が望ましい。これにより、改質層3表面の平均表面粗さを小さくすることができる。また、プライマ材料101を付着させる担持体100の表面は、液体のプライマ材料101が均一に塗布されるような表面に調整することが望ましい。特に、濡れ性については良好な方がよく、水との接触角は100°以下となるようにすることが望ましい。
なお、担持体100の付着面において、全体の所定領域の平均表面粗さを所定値以下とし、この所定領域の周囲の部分の平均表面粗さを所定値よりも大きくしてもよい。この場合、所定領域に対応する部分の改質層3表面の表面粗さを、この周囲の部分の表面粗さよりも小さくすることができる。
第2工程では、プライマ材料101を挟むように担持体100とフッ素樹脂材102とを積層し、この積層体をプレス機900で熱圧着する(図13(B)参照。)。なお、上記に示したように、フッ素樹脂材102は、フッ素樹脂基材2を構成する部材である。
担持体100とフッ素樹脂材102との間に気泡や空隙が形成されないようにするために、この熱圧着は減圧下で行うことが好ましい。また、担持体100の酸化を抑制するため、低酸素条件下で行うことが好ましい。例えば、窒素雰囲気中で熱圧着が行われる。
熱圧着条件は、次の条件で行うことが好ましい。
フッ素樹脂材102の融点以上(更に好ましくは、分解開始温度以上)、かつフッ素樹脂材102の分解温度以下の温度で熱圧着を行うことが好ましい。ここで、分解開始温度とは、フッ素樹脂材102が熱分解し始める温度をいい、分解温度とは、フッ素樹脂材102が熱分解によってその質量が10%減少する温度をいう。
フッ素樹脂材102の融点以上の温度で熱圧着を行う理由は、このような温度未満では、フッ素樹脂材102が活性化しないためである。また、フッ素樹脂材102の分解開始温度以上とすることにより、フッ素樹脂材102の一部がラジカル化するためフッ素樹脂材102が、更に活性化するためである。すなわち、融点以上とすることにより、好ましくは分解開始温度以上とすることにより、フッ素樹脂の一部がラジカルになり、シランカップリング剤の官能基と反応すると考えられる。
例えば、フッ素樹脂材102の融点よりも30℃以上の温度、より好ましくは、フッ素樹脂材102の融点よりも50℃以上の温度がよい。FEPの場合は、融点が約270℃であるため、温度を300℃以上、好ましくは320℃以上に設定して熱圧着を行うことが好ましい。熱圧着の上限温度は600℃、より好ましくは500℃である。これにより、フッ素樹脂材102の分解を抑制することができる。
圧力は、0.01MPa以上100.0MPa以下に設定される。加圧時間は、0.01分以上1000分以下である。圧力及び加圧時間は制限されるものではなく、シランカップリング剤の反応性等を考慮して設定される。
このような熱圧着により、プライマ材料101がフッ素樹脂材102の表面に膜状に固定されて、改質層3になる。すなわち、担持体100とフッ素樹脂材102とがシロキサン結合を有する改質層3を介在して密着するようになる。
また、この熱圧着により、シランカップリング剤が有する官能基の一部が担持体100に結合し、他の官能基の一部がフッ素樹脂材102のフッ素樹脂を構成する分子に結合する。
これらの結合は、後述する剥離強度の大きさや改質層3がエッチング耐性を有することから、共有結合、または、水素結合及び共有結合の両者を含むものであると推察される。共有結合によれば、化学的作用(エッチング処理等の作用)により改質層3が除去されにくいためである。なお、この結合が水素結合である可能性を否定しない理由は、改質層3が膜状に広がった高分子であり、この高分子とフッ素樹脂との間において多数の水素結合が形成され、両者が強く結合している可能性があり、これらの結合(水素結合と共有結合)が混在しているとも推定されるためである。
第3工程では、網目構造の導電体層4Aを形成する(図13(C)参照)。
網目構造の導電体層4Aの形成は、担持体100の構造によって異なる方法が採用される。具体的には、溶解法と、転写及び溶解とを行う転写溶解法とがある。
担持体100が金属シートである場合は、溶解法が適用される。
この溶解法では、フッ素樹脂材102に積層された担持体100の少なくとも一部を網目構造となるようにエッチングする。例えば、図2に記載のように担持体100の全面を網目構造にエッチングすることもできるし、図8Aに記載のように、一部を網目構造とし、他の部分はエッチングせずに、導電面として保持することもできる。網目構造に形成される部分は、透明性かつ導電性が要求される部分であり、この部分から第4工程において網目構造の導電配線11Aが形成される。図8Aの導電面として保持された部分については、透明性が要求されない部分であり、この部分から第4工程において回路用の導電配線11B(図8B参照)が形成される。
担持体100として銅材を用いるときは、エッチング液により積層体の担持体100(銅)を溶解する。エッチング液としては、塩化鉄を含み、比重が1.31g/cm以上1.33g/cm以下であって、遊離塩酸濃度が0.1mol/L以上0.2mol/L以下であるものが好適に用いられる。エッチング液が用いられる場合において、エッチング液条件として、30℃以上45℃以下で、浸漬時間としては30秒以上2分以下とすることが好ましい。このような条件によれば、銅箔を除去し、かつフッ素樹脂材102から改質層3が除去されることを抑制することができる。
なお、担持体100の溶解による除去により、改質層3には次の変化が生じると考えられる。担持体100とフッ素樹脂材102との熱圧着によりシランカップリング剤の官能基の一部は、担持体100に化学結合している。この化学結合部分が、担持体100の溶解によりエッチング液に晒されるようになるため、加水分解により元の官能基に戻るか、または水酸基等を有する他の官能基に変化すると考えられる。
次に、転写溶解法について説明する。
転写溶解法は、導電性膜を有した担持体100を用いた場合に採用される。導電性膜は、導電体層4の母材である。
この方法では、まず、熱圧着により形成された、フッ素樹脂材102と担持体100との積層体において、担持体100の基板だけを剥離し、導電性膜をフッ素樹脂材102に転写する。次に、導電性膜を、溶解法と同様の方法により、フッ素樹脂材102に積層された導電性膜の少なくとも一部を網目構造となるようにエッチングする。エッチングの方法は、溶解法と同様である。
第4工程について説明する。
図13(D)に示すように、第3工程で形成した網目構造の導電体層4Aから網目構造の導電配線11Aを形成する。導電面を構成する導電体層4Bからは回路用の導電配線11Bを形成する。この工程では、従来のエッチング方法と同様の方法によって、導電配線11A,11Bが形成される。
この製法は、導電体層4とフッ素樹脂基材2との間に改質層3を介在させる点に特徴がある。この改質層3の形成方法について、従来の課題とともに説明する。
フッ素樹脂は濡れ性が低く、フッ素樹脂材102の表面に液体の反応材料を直接塗布する方法では、反応材料の分布に斑が発生するため、フッ素樹脂材102の表面を構成する分子に均一に官能基を導入することが困難である。このため、従来では、フッ素樹脂材102を改質するためプラズマ法が用いられている。プラズマによればフッ素樹脂材102の表面にラジカル種を容易に形成することができ、フッ素樹脂材102の表面を構成する分子に親水基を容易に導入することができる。しかし、プラズマによって処理されたフッ素樹脂材102の表面状態は不安定であるため、その表面の分子が徐々に元の安定な状態(表面不活性な状態)に戻る。このようにプラズマ処理では、フッ素樹脂材102の表面改質状態を長期にわたって維持することができないといった問題がある。
このような課題を解決するために、本技術では、まず、担持体100に、シランカップリング剤、アルコール及び水を含むプライマ材料101を付着させる。ここで、担持体100の表面は濡れ性が良いため、液体状態のプライマ材料101は斑なく均一に担持体100の表面に塗布される。
次に、プライマ材料101に含まれるシランカップリング剤は官能基を有するため、担持体100に膜状態に広がる。この過程において、自己集積化によってシランカップリング剤は規則的に配列すると考えられる。すなわち、所定の官能基(例えば、アルコキシ基)が、担持体100に向くようにシランカップリング剤が配列する。このような配列状態は、アルコールを除去した後においても維持されると考えられる。そして、この状態で、この担持体100を120℃前後の温度で加熱することにより、シランカップリング剤が互いに結合しシロキサン結合が生成される。このとき、シロキサン結合が平面に網目状に配列する高分子膜になると考えられる。
更に、この状態で、プライマ材料101が担持体100とフッ素樹脂材102との間に挟まれるようにして、担持体100とフッ素樹脂材102とを積層する。そして、両者をフッ素樹脂材102の融点以上の温度で熱圧着する。
このような方法によれば、次の作用が生ずる。
プライマ材料101は、担持体100に膜状に広がっているため、プライマ材料101がフッ素樹脂材102に接触しても、フッ素樹脂の撥水性によってプライマ材料101が斑状にならない。これは、プライマ材料101が膜状であることの他にも、プライマ材料101の乾燥及び加熱時に、プライマ材料101を構成する分子間でシロキサン結合が形成されていることにも起因すると考えられる。このため、フッ素樹脂材102に略均一の厚さ(斑が少ない状態)でプライマ材料101が押し付けられる。そして、フッ素樹脂材102と担持体100とをフッ素樹脂材102の融点以上の温度で熱圧着するため、シランカップリング剤の官能基の一部がフッ素樹脂を構成する分子に結合し、かつシランカップリング剤の官能基の他の一部が担持体100を構成する分子または原子に結合すると考えられる。
少量生産で設計変更の頻度が多い製品の場合の製造方法としては、まず、図8Aのような網目構造の導電体層4Aと緻密構造の導電体層4Bに対応するレジストパターンを使った1回目の露光工程を経て1回目のエッチングを行い、その後、図8Bのような導電配線11Aと回路用の導電配線11Bに対応するレジストパターンを使った2回目の露光工程を経て2回目のエッチングを行う方法が好ましい。この方法によれば、配線構造の設計変更が発生した場合、1回目の露光工程とエッチングは同じで、2回目の露光工程のレジストパターンを変更するだけで、容易に配線構造の設計変更ができるため、コストダウンと設計変更時間を短縮することができる。
大量生産で設計変更の頻度が少ない製品の場合の製造方法としては、導電体層全体を均一にエッチング加工することが可能な材料、たとえば、銅のような金属で構成し、図8Bのような網目構造まで含んだ導電配線11Aと回路用の導電配線11Bに対応するレジストパターンを使った露光工程とエッチング処理を行うことが好ましい。この方法によれば、露光工程とエッチング工程を1回だけにできるので、コストダウンと製造時間の短縮を図ることができる。
なお、上記では、図8A及び図8Bを使って製品の製造方法を説明したが、図2のように全面が網目構造の場合は、上記の導電体層4A及び導電配線11Aの部分と同様な方法で製造すればよい。
次に、実施例1及び実施例2を説明する。
実施例1及び実施例2においては、試験内容及び試験結果を踏まえて、上記導電性透明基材1の特性について説明する。
[実施例1]
実施例1は、本実施形態に係る導電性透明基材1の改質層3の効果を確認するための試験である。
この試験では、改質層3の効果の確認のため、フッ素樹脂基材2と改質層3を有する透明フッ素樹脂基材(すなわち、導電性透明基材1から導電体層4を除去したもの)について、試験を行った。本実施形態に係る透明フッ素樹脂基材及び比較に係るフッ素樹脂基材について、剥離強度の試験結果を表1に示す。
この試験に使用した試料(試料1と2)は次のように形成した。
フッ素樹脂基材2を構成するフッ素樹脂シート(上記フッ素樹脂材102に対応するもの)として、厚さ0.05mm、寸法幅10mm×長さ500mmのFEP(ダイキン工業株式会社製、FEP−NE−2)を用いた。
改質層3は次のように形成した。
プライマ材料101のシランカップリング剤としては、アミノシランを用いた。
プライマ材料101のアルコールとしては、エタノールを用いた。水は、添加していない。すなわち、空気中に存在する水、及びアルコールに含まれる不純物としての水を用いた。シランカップリング剤の濃度は、プライマ材料101全体の質量に対して1質量%とした。担持体100として銅箔(厚さ18μm、表面粗度0.6μm)を用いた。浸漬法により、担持体100としての銅箔にプライマ材料101を付着し、乾燥し、120℃で加熱した。これにより、銅箔にプライマ材料101の層を形成した。そして、この銅箔を上記フッ素樹脂シートに熱圧着した。この後、銅箔の全てをエッチング液で除去した。これによって形成された改質層3の厚さは、電子顕微鏡による測定で30nmであった。
エッチング処理では、塩化鉄含有のエッチング液を、比重が1.31g/cm以上1.33g/cm以下、遊離塩酸濃度が0.1mol/L以上0.2mol/L以下となるように制御し、温度45℃、浸漬時間2分の条件でエッチングを行った。
そして、試料1は、エッチング処理後、水で洗浄し、乾燥した直後に、厚さ25μmエポキシ樹脂接着剤層と厚さ13μmのポリイミド層とを有するポリイミドシート(以下、「試験用ポリイミドシート」という。)で、透明フッ素樹脂基材を被覆した。その後、24時間経過後に、試験用ポリイミドシートの剥離強度を測定した。剥離強度の測定は、JIS K 6854 −2:1999「接着剤−はく離接着強さ試験方法−2部:180度はく離」に準じた方法で行った。
また、試料2は、エッチング処理後、水で洗浄し、乾燥した後に、1週間にわたって空気雰囲気で放置した。その後、試験用ポリイミドシートで透明フッ素樹脂基材を被覆した。その後、24時間経過後に、試験用ポリイミドシートの剥離強度を測定した。
一方、比較に係るフッ素樹脂基材(試料3と4)については、上記フッ素樹脂シート(厚さ0.05mm、寸法幅10mm×長さ500mmのFEP(FEP−NE−2))をプラズマ処理した。キャリアガスとしてNを用いた。反応ガスとしては、CF、Oを用いた。キャリアガスと反応ガスとの体積比は、1650/1000(キャリアガス/反応ガス)とした。ガス圧力は27Pa、流量1650sccm、電力5000Wで、容量結合型のプラズマ装置を用いて、30分間のプラズマ処理を行った。
そして、試料3は、プラズマ処理の直後に、試験用ポリイミドシートでフッ素樹脂基材(プラズマ処理品)を被覆した。その後、24時間経過後に、試験用ポリイミドシートの剥離強度を測定した。
また、試料4は、1週間にわたって空気雰囲気で放置した。その後、試験用ポリイミドシートでフッ素樹脂基材(プラズマ処理品)を被覆した。その後、24時間経過後に、試験用ポリイミドシートの剥離強度を測定した。
剥離強度の測定は、JIS K 6854 −2:1999「接着剤−はく離接着強さ試験方法−2部:180度はく離」に準じた方法で行った。剥離強度の測定結果を表1に示す。
[結果]
(1)表1に示されるように、処理直後においては、プラズマ処理したフッ素樹脂シートに対するポリイミドシートの剥離強度よりも、本実施形態に係る透明フッ素樹脂基材に対するポリイミドシートの剥離強度が大きい。
(2)また、プラズマ処理したフッ素樹脂シートでは、1週間の放置により、ポリイミドシートの剥離強度が大幅に低下している。これに対して、本実施形態に係る透明フッ素樹脂基材では、1週間にわたって放置した後において剥離強度に若干の低下があるものの、その大きさはある程度維持されている。これは、フッ素樹脂基材2に形成された改質層3が安定であることを示す。
なお、表1に示す変化率は、(PB−PA)/PA×100により計算される値である。この式において、「PA」及び「PB」は次の内容を示す。「PA」は、試験に係るフッ素樹脂シートに改質層3を形成して洗浄及び乾燥した直後に試験用ポリイミドシートを接着し、24時間の経過後に剥離強度の測定を行ったときの試験用ポリイミドシートの剥離強度を示す。「PB」は、試験に係るフッ素樹脂シートに改質層3を形成して洗浄及び乾燥し、1週間にわたって空気雰囲気で放置後に試験用ポリイミドシートを接着し、24時間の経過後に剥離強度の測定を行ったときの試験用ポリイミドシートの剥離強度を示す。
この試験では、エポキシ樹脂接着剤を介して接着したポリイミドシートの剥離強度を比較しているが、接着剤の種類に関わらず、結果(2)の傾向がある。すなわち、接着剤の種類にかかわらず、プラズマ処理したフッ素樹脂シートは、1週間の放置により表面活性が殆ど消失する傾向にある。一方、本実施形態の透明フッ素樹脂基材は、エポキシ樹脂接着剤のみならず、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等を主成分とする接着剤に対しても接着性を有し、1週間経過後においてもその接着性は略維持されている。すなわち、本実施形態の透明フッ素樹脂基材は1週間の放置によっても表面活性の低下が小さい。
[実施例2]
本実施形態に係る透明配線板10について、緻密構造の導電配線11Bの剥離強度について、その試験結果を表2に示す。以下、実施例の条件を説明する。
信頼性試験に使用した試料は次のように形成した。
フッ素樹脂基材2を構成するフッ素樹脂シート(上記フッ素樹脂材102に対応するもの)として、厚さ0.05mm、寸法幅10mm×長さ500mmのFEP(ダイキン工業株式会社製、NF−0050)を下記の試料No1,2,5,6に使用した。また、PFA(ダイキン工業株式会社製、AF―0050)を下記の試料No3,4,7,8に使用した。
改質層3は次のように形成した。
プライマ材料101のシランカップリング剤としては、アミノシランを用いた。
プライマ材料101のアルコールとしては、エタノールを用いた。水は、添加していない。すなわち、空気中に存在する水、及びアルコールに含まれる不純物としての水を用いた。シランカップリング剤の濃度は、プライマ材料101全体の質量に対して1質量%とした。担持体100として銅箔(厚さ18μm、表面粗さ0.6μm)を用いた。浸漬法により、担持体100としての銅箔にプライマ材料101を付着し、乾燥し、120℃で加熱した。これにより、銅箔にプライマ材料101の層を形成した。このプライマ層の厚さは30nmであった。そして、この銅箔を上記フッ素樹脂シートに熱圧着した。
次に、エッチング法で、厚さ18μm、幅100μm、ピッチ100μmで25本の銅配線(導電配線11Bに対応する配線)を形成した。エッチング処理では、塩化鉄含有のエッチング液を、比重が1.31g/cm以上1.33g/cm以下、遊離塩酸濃度が0.1mol/L以上0.2mol/L以下となるように制御し、温度45℃、浸漬時間2分の条件でエッチングを行った。
厚さ25μmエポキシ樹脂接着剤層と厚さ13μmのポリイミド層とを有するポリイミドシートで、銅配線を被覆した。
信頼性試験では、相対湿度85%、温度85度の条件下で上記透明配線板10を100時間放置した。
銅配線及びポリイミドシートについて剥離強度を測定した。
剥離強度の測定は、信頼性試験の前後で行った。剥離強度の測定に係るものは、信頼性試験の前後において互いに隣接するものを用いた。剥離強度の測定は、JIS K 6854−2:1999「接着剤−はく離接着強さ試験方法−2部:180度はく離」に準じた方法で行った。
[結果]
(1)表2に示されるように、試料No1〜No8について、信頼性試験前の剥離強度は、判定基準である1.0N/cm以上である。なお、比較例として、改質層3の形成を行わずプラズマ照射後に上記実施例と同様の方法で銅配線を形成した試料については、信頼性試験前の剥離強度は、判定基準である1.0N/cmよりも小さい値であった。
(2)また、試料No1〜No8について、信頼性試験の前後において剥離強度の変化率は小さい。すなわち、剥離強度の変化率((P2−P1)/P1×100)は、判定基準である±10%の範囲内である。このように本実施形態の透明配線板10においては導電配線11B及びポリイミドシート(被覆部材)の剥離強度が高く、かつ信頼性試験の前後において剥離強度の変化率が小さい。
(3)また、表1及び表2には示していないが、次の試験を行った。
実施例2の試料No1〜No8と同一条件で作成した試料(No11〜No18)について、エッチング耐性の試験を行った。なお、試料は、エッチングで全ての担持体100(銅箔)を除去し、銅配線(導電体層4に相当するもの)を形成していない。すなわち、フッ素樹脂基材2の表面に改質層3のみを形成した。そして、改質層3のエッチング耐性を確認するために、温度45℃、比重が1.31g/cm以上1.33g/cm以下、遊離塩酸濃度が0.1mol/L以上0.2mol/L以下となるように制御されたエッチング液に、この試料を2分間にわたって浸漬した。また、このエッチング試験の前後において、試験用ポリイミドシートについての剥離強度を比較した。この結果、剥離強度は、いずれの試料についてもその変化率は±10%以内であった。ここで、変化率は、(エッチング試験後の剥離強度−エッチング試験前の剥離強度)/(エッチング試験前の剥離強度)×100の式で示される値を示す。すなわち、この結果によれば、エッチングレートが低温化により低下することを考慮すると、改質層3は、少なくとも、比重が1.31g/cm以上1.33g/cm以下、遊離塩酸濃度が0.1mol/L以上0.2mol/L以下、温度が45℃以下のエッチング液に2分以下で浸漬するエッチング処理に対して、改質層3はエッチング耐性を有することが分かる。
このことは次のことを意味する。
銅の導電体層4を有する導電性透明基材1において、比重が1.31g/cm以上1.33g/cm以下、遊離塩酸濃度が0.1mol/L以上0.2mol/L以下、温度が45℃以下のエッチング液に2分以下で浸漬するエッチング処理であれば、露出した改質層3がエッチング液に晒される時間は2分よりも短い時間となる。このため、導電性透明基材1をこのようなエッチング条件でエッチングした場合、改質層3の劣化は更に小さくなっていると考えられる。
(4)また、表1及び表2には示していないが、上記試料No1〜No8と同一条件で作成した試料(No21〜No28)について、純水に対する接触角(以下、「対水接触角」という。)について試験を行った。以下に、その試験結果を説明する。
また、純水に対する接触角(以下、「対水接触角」という。)は、改質層形成処理前のPFAでは平均115°であり、また、改質層形成処理前のFEPでは平均114°であった。
これに対して、プライマ材料101を介して銅箔をPFA(またはFEP)に接着した後にこの銅箔をエッチング除去したPFA(またはFEP)の対水接触角は、いずれも60°〜80°に低下した。すなわち、改質層形成処理(フッ素樹脂に対してプライマ材料101を介して銅箔を接着してからこの銅箔を除去する処理)により親水化していることが確認された。このため、改質層形成処理によれば、エッチング除去面に対するエポキシ接着剤等による接着強度を、未処理のフッ素樹脂に比べて、高くすることができる。
[その他の実施形態]
本技術は、上記実施形態に限定されるものではない。
以下、その他の実施形態について説明する。
・本実施形態の導電性透明基材1は、上記に示した装置以外にも様々なものに採用されうる。すなわち、安定な改質層3の存在により接着性が改善されているため、他の部材との接着が容易である。このため、従来において透明樹脂が採用されている部分において代替が可能である。そして、フッ素樹脂特有の優れた効果を発揮させる。
・本実施形態の導電性透明基材1の改質層3を更に変質させてもよい。例えば、改質層3に表面に存在する官能基と他の化合物とを反応(重合、置換、加水分解等)させることにより、導電性透明基材1の更に別の機能を生じさせることが可能である。
・上記実施形態では、導電性透明基材1に導電配線11A,11Bを形成することを示した。更に、導電性透明基材1に、スルーホールやバイアホールを形成することもできる。ガラス基板では、スルーホールやバイアホールの形成が困難であり、その配線に制約があった。この点、導電性透明基材1またはこれらの積層板である多層プリント配線板を、ガラス基板に替えて採用することにより、従来に比べて更に多用な機能を表示装置等に付与することが可能となる。
・上記導電性透明基材1は一層の絶縁層(フッ素樹脂基材2)を有する基板であるが、従来の多層プリント配線板の製造方法と同様の方法により、上記導電性透明基材1と改質層3を有するフッ素樹脂基材2を積層して多層プリント配線板を形成することができる。上記導電性透明基材1及び透明配線板10は改質層3を有するため、これら基材は接着剤を介して互いに強く接着させることができる。このように形成された、この多層導電性透明基材は、耐熱性、透明性、可撓性を有する。
1,1X…導電性透明基材
2…フッ素樹脂基材
3…改質層
4,4A,4B…導電体層
5a,5b,5c…導体線
6…開口部
10…透明配線板
11A,11B…導電配線
20…回路モジュール
21…実装部品
30…有機ELパネル
31…封止フィルム
32…バリア層
33…透明電極
34…発光層
35A…TFT回路
35B…透明絶縁層
36…透明シート
40…タッチパネル
41…第1の透明シート
42A…第1の透明電極
42B…透明絶縁層
43…絶縁層
44A…第2の透明電極
44B…透明絶縁層
45…第2の透明シート
50…ソーラパネル
51…保護シート
52…太陽電池
53A…透明電極
53B…透明絶縁層
54…電極
100…担持体
101…プライマ材料
102…フッ素樹脂材
900…プレス機

Claims (18)

  1. 厚さ50μmにおける波長600nmの光透過率が85%以上でありフッ素樹脂を主成分とするフッ素樹脂基材と、このフッ素樹脂基材の表面の少なくとも一部の領域に形成されている改質層とを有し、
    前記改質層は、シロキサン結合及びシロキサン以外の官能基を含み、かつ前記改質層の表面と純水との接触角が90°以下であり、
    前記改質層の表面の少なくとも一部に網目構造の導電体層を有する
    導電性透明基材。
  2. 前記網目構造の導電体層の平均シート抵抗は200Ω/□以下である
    請求項1に記載の導電性透明基材。
  3. エポキシ樹脂接着剤を介して前記改質層表面に接着されるポリイミドシートの剥離強度が1.0N/cm以上である
    請求項1または請求項2に記載の導電性透明基材。
  4. 塩化鉄を含み、比重が1.31g/cm以上1.33g/cm以下、遊離塩酸濃度が0.1mol/L以上0.2mol/L以下、温度が45℃以下のエッチング液に1分以上2分以下で浸漬するエッチング処理に対して、前記改質層はエッチング耐性を有する
    請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の導電性透明基材。
  5. 前記改質層表面の平均表面粗さがRa4μm以下である領域を有する
    請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の導電性透明基材。
  6. 前記改質層の平均厚さが400nm以下である
    請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の導電性透明基材。
  7. 前記網目構造の導電体層が形成されている領域の少なくとも一部の領域における光透過率が波長600nmで50%以上である
    請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の導電性透明基材。
  8. 前記網目構造の導電体層の導体線の領域面積をSAとして、前記導電体層の開口部の領域面積をSBとするとき、SA/(SA+SB)の平均値が0.3以下である
    請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の導電性透明基材。
  9. 前記網目構造の導電体層を構成する導体線幅が平均20μm以下である
    請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の導電性透明基材。
  10. 前記網目構造は、1辺1mm以下の矩形を単位要素とする格子構造である
    請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の導電性透明基材。
  11. 前記網目構造は、1辺0.6mm以下の六角形を単位要素とする最密充填構造である
    請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の導電性透明基材。
  12. 前記導電体層の少なくとも一部が金属である
    請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の導電性透明基材。
  13. 前記改質層の表面に、前記網目構造の導電体層とは別に緻密構造の導電体層が設けられている
    請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の導電性透明基材。
  14. 請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の導電性透明基材と実装部品とを有する回路モジュール。
  15. 請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の導電性透明基材を有する発光パネル。
  16. 請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の導電性透明基材を有するタッチパネル。
  17. 請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の導電性透明基材を有するソーラパネル。
  18. 厚さ50μmにおける波長600nmの光透過率が85%以上であるフッ素樹脂材と導電体とを、シロキサン結合を有する改質層を介在させて密着させる工程と、
    前記導電体の少なくとも一部をエッチングして網目構造の導電体層を形成する工程と、
    前記導電体層をエッチングして網目構造の導電配線を形成する工程とを含む
    透明配線板の製造方法。
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