つぎにこの発明に係る振動低減装置の一例を具体的に説明する。図1はトルク増幅作用のある流体継手機構(以下、トルクコンバータ1と記す。)の内部に振動低減装置を設けた例を示しており、ここに示すトルクコンバータ1は従来車両に広く搭載されているトルクコンバータと同様の構成を備えている。すなわち、入力側の部材であるポンプインペラ2は、環状に配列されたポンプブレード3をポンプシェル4の内面に取り付けて構成されており、そのポンプインペラ2に対向してタービンランナ5が配置されている。このタービンランナ5は、ポンプインペラ2とほぼ対称となる形状を有するものであって、環状(もしくは半ドーナツ状)をなすシェルの内面に、環状に配列した多数のタービンブレード6を固定して構成されている。したがって、これらポンプインペラ2とタービンランナ5とは同一軸線上で対向して配置されている。
ポンプシェル4の外周端には、タービンランナ5の外周側を囲うフロントカバー7が一体に接合されている。このフロントカバー7は、図1に示すように、ポンプシェル4の内面と対向するフロント壁面を有するいわゆる有底円筒状の部材であり、その内部には、オイルが封入されている。したがって、タービンランナ5に動力が伝達されて回転することにより、フロントカバー7に封入された流体流が発生して、その流体流によってタービンランナ5が回転して動力が伝達される。なお、フロントカバー7の中心部には、外表面側に突出した円筒部材8が一体に形成されており、その円筒部材8の中空部に図示しないエンジンの出力軸が挿入されている。また、フロントカバー7の外周側の外表面には、エンジンの出力軸と一体に回転する図示しないドライブプレートと連結するためのナット9が円周方向に複数設けられており、そのドライブプレートからフロントカバー7に動力が伝達されるように構成されている。
さらに、ポンプシェル4の内周端部には、円筒軸10が一体に設けられており、その円筒軸10は、ポンプシェル4の背面側(エンジン側とは反対側)に延びており、図示しないオイルポンプに連結されている。その円筒軸10の内部には、その円筒軸10の内径より小さい外径の固定軸11が挿入されており、その先端部は、ポンプシェル4とフロントカバー7とで囲われたトルクコンバータ1の内部にまで延びている。
固定軸11の先端部は、前述したタービンランナ5の内周側もしくはポンプインペラ2とタービンランナ5との間の部分の内周側に位置しており、この固定軸11の先端部に一方向クラッチ12のインナーレースがスプライン嵌合させられている。また、その一方向クラッチ12のアウターレースには、前述したポンプインペラ2の内周部とこれに対向するタービンランナ5の内周部との間に配置されたステータ13が取り付けられている。すなわち、ポンプインペラ2とタービンランナ5との速度比が小さい状態では、タービンランナ5から流出したオイルがステータ13に作用してもステータ13の回転を一方向クラッチ12によって阻止し、その結果、オイルの流動方向を変化させてポンプインペラ2にオイルを送り込み、また速度比が大きくなってステータ13のいわゆる背面に向けてオイルが当たる状態では、ステータ13を回転させてオイルの流れを乱さないように構成されている。
上記の固定軸11の内周側には、出力軸(図示しない変速機の入力軸)14が回転自在に挿入されており、その先端部は固定軸11の先端部から突き出て(越えて)フロントカバー7の内面近くまで延びており、その固定軸11から突き出ている先端外周部にはハブ軸15がスプライン嵌合されている。そして、このハブ軸15における変速機側、すなわち図1に示すタービンランナ5側には、外周側に突出したフランジ状のタービンハブ16が形成されており、そのタービンハブ16に前述したタービンランナ5が連結されている。したがって、エンジンの出力トルクは、ポンプインペラ2およびタービンランナ5を介してハブ軸15に伝達され、そのハブ軸15に伝達されたトルクが出力軸14に伝達されるように構成されている。
一方、上記のようにポンプインペラ2とタービンランナ5との速度比が小さい状態では、流体流を介さずに直接エンジンの出力トルクを出力軸14に伝達することができるように構成されている。具体的には、従来知られているロックアップクラッチを係合させることによりエンジンの出力トルクを出力軸14に伝達するように構成されている。ここで、図1に示すロックアップクラッチ17の構成を簡単に説明する。図1に示すロックアップクラッチ17は、表裏両面に作用する油圧差に応じて軸線方向に移動することができるようにハブ軸15の先端部に嵌合し、フロントカバー7に対向して配置された環状のロックアップピストン18を備えている。そして、そのロックアップピストン18の外周部に、フロントカバー7側とは反対側に突出した円筒部19が一体に設けられている。この円筒部19は、後述するトーショナルダンパ20の入力側プレート21と一体に回転するように構成されていて、その円筒部19には、入力側プレート21が挿入される貫通孔22が形成されている。なお、ロックアップピストン18は上述したように軸線方向に移動するように構成されているので、貫通孔22は、入力側プレート21と軸線方向において相対的に移動することができるように形成されている。また、ロックアップピストン18の外周側には、フロントカバー7と接触する摩擦材23が一体に設けられている。すなわち、ロックアップピストン18がフロントカバー7側に移動したときに、摩擦材23がフロントカバー7の内面と接触してトルクが伝達されるように構成されている。
ロックアップピストン18を介して伝達されたエンジンの出力トルクは、トーショナルダンパ20を介してハブ軸14に伝達されるように構成されている。このトーショナルダンパ20は、従来知られているトーショナルダンパと同様に構成されていて、上記入力側プレート21の両面に環状に形成された第1出力側プレート24と第2出力側プレート25とを備えている。具体的には、入力側プレート21と相対回転可能にかつ入力側プレート21におけるエンジン側の側面と対向して第1出力側プレート24が設けられ、入力側プレート21と相対回転可能にかつ入力側プレート21における変速機側の側面に対向して第2出力側プレート25が設けられている。なお、各出力側プレート24,25は、図示しないリベットなどにより一体に回転するように構成されている。そして、入力側プレート21に伝達されたトルクが、円周方向に伸縮するコイルスプリング26を介して各出力側プレート24,25に伝達されるように構成されている。すなわち、入力側プレート21から出力側プレート24,25にトルクを伝達する際に、その伝達されるトルクの変動をコイルスプリング26により低減することができるように構成されている。
ついで、ロックアップピストン18からトーショナルダンパ20を介して伝達されたトルクが、第2出力側プレート25と一体化されたダンパハブ27を介してハブ軸15に伝達されるように構成されている。具体的には、第2出力側プレート25に溶接あるいは接着もしくはリベットなどによりダンパハブ27が連結される。このダンパハブ27は、ハブ軸15と一体に回転するようにスプラインなどにより連結されている。なお、ダンパハブ27とハブ軸15とは、一体に回転することができればよく、したがって、スプラインに限らず圧入されていてもよい。
上記のようにロックアップクラッチ18を介して伝達されるエンジンの出力トルクは、まず、トーショナルダンパ20によってエンジンの出力トルクの変動を低減させてダンパハブ27およびハブ軸15を介して出力軸14に伝達される。
上述したようにタービンランナ5やロックアップクラッチ17を介して伝達されたトルクの変動あるいは回転軸の捩り振動を低減するためのダイナミックダンパ28が設けられている。このダイナミックダンパ28は、回転軸のトルクが変化したことに伴って転動体が揺動することにより振動を低減するように構成されたものであり、図1に示す例では、ハブ軸15に設けられている。具体的には、まず、環状に形成されたプレート部材29が、スプラインなどによりハブ軸15に連結されている。また、プレート部材29は、タービンハブ16とダンパハブ27とに挟まれている。すなわち、ハブ軸15にプレート部材29を挿入し、その後にダンパハブ27を挿入するように構成されている。したがって、図1に示す例では、タービンハブ16には、プレート部材29の内周部に接触するようにハブ軸15よりも外径が大きくエンジン側に突出した位置決め部16aが形成され、ダンパハブ27には、その位置決め部16aとほぼ同一の外径に形成されかつプレート部材29の内周部をタービンハブ16側に押圧するように変速機側に突出した第1押圧部27aとが形成されている。なお、図1に示す例では、ダンパハブ27のエンジン側の端部にナット30が設けられている。したがって、そのナット30を締め付けることによりタービンハブ16とプレート部材29とダンパハブ27とが軸線方向において一体化されている。なお、ハブ軸15がこの発明における回転部材に相当する。
このプレート部材29は、この発明における保持部材に相当するものであり、転動体31を揺動可能に保持するためのものである。そのプレート部材29には、外周側に転動体31が挿入される貫通孔32が形成されている。すなわち、貫通孔32の外周側の内壁面に沿って転動体31が揺動するように、貫通孔32は円周方向に所定の長さに形成されている。また、プレート部材29は、上記のように転動体31を揺動可能に保持するものであり、遠心力により転動体31から比較的大きな荷重を受ける場合がある。そのため、プレート部材29は、比較的強度の高い材料によって形成されている。なお、ダイナミックダンパ28は、対象とする振動の次数に基づいて、転動体31が揺動する軌跡の曲率半径と転動体31が揺動する円弧の中心からハブ軸15または出力軸14の中心までの距離との関係が定められる。
そして、転動体31は、貫通孔32の幅よりも外径が小さく形成された中央部33と、貫通孔32の幅よりも外径が大きく形成されかつ中央部33の両端側に設けられた第1大径部34および第2大径部35とを有している。そのように形成された転動体31における中央部33の外周面と貫通孔32の外周側の内壁面とが接触しながら転動体31が揺動するように設けられている。なお、各大径部34,35は、転動体31が軸線方向に移動することを規制するものである。
上記のようにトルクコンバータ1の内部に転動体31を設けていることにより、トルクコンバータ1に封入されたオイルの粘性抵抗が転動体31に作用してダイナミックダンパ28の振動減衰効果が低減することを抑制するために、図1に示す例では、その転動体31が揺動する領域を覆い気密状態にするカバー部材36が設けられている。
図1に示すカバー部材36は、プレート部材29のエンジン側の側面と対向して配置された環状の第1カバー部37と、プレート部材29の変速機側の側面と対向して配置された環状の第2カバー部38とによって構成されている。具体的には、その第1カバー部37は、第1押圧部27aの外径よりも内径が大きく形成され、また第2カバー部38は、位置決め部16aの外径よりも内径が大きく形成されている。すなわち、第1カバー部37は、第1押圧部27aと同一軸線上に配置され、第2カバー部38は、位置決め部16aと同一軸線上に配置されている。言い換えると、カバー部材36は、タービンハブ16とダンパハブ27との間に配置されている。なお、第1カバー部37がこの発明における第1フランジ部に相当し、第2カバー部38がこの発明における第2フランジ部に相当する。
また、第2カバー部38の外周部には、プレート部材29の外周面と所定の間隔を空けエンジン側に突出した円筒部38aが形成され、第1カバー部37の外周面と円筒部38aとが溶接などにより一体化されている。なお、カバー部材36は、転動体31が揺動する領域にオイルが浸入することを抑制するものであって、そのカバー部材36に作用する荷重(油圧)は、上記プレート部材29に作用する荷重よりも小さく、そのため、カバー部材36は、プレート部材29よりも強度の小さい材料によって形成されている。そして、第1カバー部37と第2カバー部38とは同一の材料によって形成されていることにより、溶接などにより一体に形成することができる。
さらに、第1カバー部37には、転動体31が揺動する箇所を囲うようにエンジン側に突出した第1凸部37aが形成され、第2カバー部38には、転動体31が揺動する箇所を囲うように変速機側に突出した第2凸部38bが形成されている。すなわち、転動体31が揺動したときにあるいは転動体31が軸線方向に移動したときに、その転動体31と接触しないように第1凸部37aと第2凸部38bとが形成されている。
そして、第1カバー部37とプレート部材29との間から転動体31が設けられている領域にオイルが浸入することを抑制するために、第1カバー部37の内周部とプレート部材29との間にOリングなどの第1シール部材39が押圧されて設けられている。また、同様に第2カバー部38とプレート部材29との間から転動体31が設けられている領域にオイルが浸入することを抑制するために、第2カバー部38の内周部とプレート部材29との間にOリングなどの第2シール部材40が設けられている。なお、第1シール部材39および第2シール部材40は、Oリングに限らずガスケットなどであってもよい。
上記の各シール部材39,40は、軸線方向に押圧される荷重が大きくなるほどシール性が向上する。そのため、図1に示す例では、ダンパハブ27によって第1カバー部37をプレート部材29側に押圧するように構成されている。具体的には、ダンパハブ27には、タービンハブ16とほぼ同一の外径に形成されかつ第1カバー部37のエンジン側の側面を押圧するフランジ状の第2押圧部27bが形成されている。この第2押圧部27bは、ダンパハブ27をハブ軸15に組み付けることにより第1カバー部37を押圧するように構成されている。すなわち、ナット30を締め付けることにより第1カバー部37を押圧する。なお、第2押圧部27bは、第1シール部材39が圧縮されるように第1カバー部37を押圧することができればよい。したがって、第2押圧部27bは、半径方向において第1シール部材39が設けられている位置よりも内周側から外周側に亘って第1カバー部37と接触するように構成されていてもよく、あるいは内周側もしくは外周側のみを押圧するように構成されていてもよい。または、第1カバー部37における第1シール部材39が設けられている位置を軸線方向に突出させて、その突出した部分を押圧するように構成されていてもよい。特に、第1シール部材39が設けられている位置を押圧することにより、第1シール部材39にかかる荷重を大きくすることができるので、第1シール部材39が設けられている位置を含むように第2押圧部27bによって第1カバー部37を押圧することが好ましい。また、タービンハブ16と第2カバー部38とを一体化させていてもよく、ダンパハブ27と第1カバー部37とを一体化させていてもよい。なお、タービンハブ16およびダンパハブ27が、この発明における第1押圧部材および第2押圧部材に相当する。
上述した装置は、まず、出力軸14にポンプインペラ2やタービンランナ5あるいはステータ12が組み付けられる。その際に、タービンランナ5と一体化されたタービンハブ16およびハブ軸15が出力軸14に組み付けられる。また、第1カバー部37と第2カバー部38との間に転動体31を組み付けたプレート部材29を配置した状態で、第1カバー部37と第2カバー部38とが溶接などにより一体化させられる。なお、第1カバー部37と第2カバー部38とを連結する際には、各シール部材39,40が各カバー部37,38とプレート部材29との間に配置される。したがって、各シール部材39,40の位置を決めるように各カバー部37,38の内壁面に環状のスリットを設けていることが好ましい。
このように第1カバー部37と第2カバー部38とを連結して構成されたユニット、すなわちダイナミックダンパ28として構成されたユニットを、上記出力軸14に組み付けられたハブ軸15の端部からタービンハブ16に向けて組み付ける。ついで、トーショナルダンパ20と一体化された後、あるいはトーショナルダンパ20と一体化する以前のダンパハブ27をハブ軸15の先端からタービンハブ16側に組み付けて、そのダンパハブ27の端部側からナット30によって締め付ける。
このようにダイナミックダンパ28を組み付けることにより、ナット30の締め付け力がダンパハブ27を介して第1カバー部37に作用する。そのため、第1カバー部37がタービンハブ16側に押圧される。その結果、第1カバー部37が第1シール部材39を押圧するとともに、第2シール部材40がプレート部材29により第2カバー部38側に押圧される。なお、第2カバー部38は、タービンハブ16に接触している。すなわち、ユニット化されたカバー部材36における各シール部材39,40が設けられている位置の軸線方向の幅が、ナット30を締め付けた際のタービンハブ16と第2押圧部27bとの距離よりも大きく形成されている。そのため、ナット30を締め付けることにより、第1カバー部37と第2カバー部38とがプレート部材29側に撓み変形して各シール部材39,40が押圧される。その結果、各シール部材39,40が充分に圧縮されるので、転動体31が設けられている領域にオイルが浸入することを抑制することができる。言い換えると、カバー部材36のシール性を向上させることができる。
また、プレート部材29は、タービンハブ16およびダンパハブ27により軸線方向の位置が定められ、同様に各カバー部37,38はタービンハブ16およびダンパハブ27により軸線方向の位置が定められる。すなわち、プレート部材29と各カバー部37,38とは軸線方向に一体化されている。そのため、プレート部材29や各カバー部37,38に軸線方向の荷重が作用した場合であっても、プレート部材29と各カバー部37,38とが一体化されていることにより、プレート部材29と各カバー部37,38との隙間が変化してしまうことを抑制することができる。すなわち、プレート部材29と各カバー部37,38との隙間が増加することによりシール性が低下してしまうことを抑制することができる。言い換えると、各シール部材39,40を押圧する荷重が低下してシール性が低下してしまうことを抑制することができる。さらに、各カバー部37,38を軸線方向に固定された部材により挟み付けることにより、各カバー部材37,38が面振れすることを抑制することができる。
なお、上述した例では、ダンパハブ27をナット30により押圧するように構成された例を挙げて説明したが、要は軸線方向においてハブ軸15と一体化される部材によって各カバー部37,38を挟むように構成されていればよい。したがって、ダンパハブ27が軸線方向におけるエンジン側に移動しないようにダンパハブ27の端部をカシメてハブ軸15に固定するように構成されていてもよく、タービンハブ16とダンパハブ27をリベットにより一体化させていてもよい。また、第1カバー部37の外周部とプレート部材29の外周部との間にシール部材を配置し、また第2カバー部材38の外周部とプレート部材29の外周部との間に他のシール部材を配置して、転動体31が設けられている領域にオイルが浸入するように構成されていてもよい。このように各カバー部37,38の外周部とプレート部材29の外周部との間にシール部材を設けて構成した場合であっても、上述したようにプレート部材29と各カバー部37,38とが軸線方向において一体化されているので、プレート部材29と各カバー部材37,38とが軸線方向に相対移動してシール性が低下することを抑制することができる。
さらに、図2に示すようにダンパハブ27を半径方向に貫通する貫通孔41を形成し、その貫通孔41にピン42を挿入することによりダンパハブ27の位置を定めるように構成されていてもよい。具体的には、ダイナミックダンパ28を組み付けたときにダンパハブ27に形成された貫通孔41の位置と軸線方向において同一の位置に、ピン42と一体化させられる凹部43をハブ軸15の外周面に形成し、ダンパハブ27をハブ軸15に組み付けた後に、ピン42を挿入して凹部43と一体化させるように構成されていてもよい。なお、ピン42と凹部43とは、ねじによって連結されていてもよく、圧入によって連結されていてもよい。
また、上述した例では、ハブ軸15とタービンハブ16とが一体化され、そのハブ軸15にダイナミックダンパ28とダンパハブ27とを組み付けるように構成された例を挙げて説明したが、ダンパハブ27とハブ軸15とを一体化させ、そのハブ軸15にダイナミックダンパ28とタービンハブ16とを組み付けるように構成されていてもよい。そのように構成されている場合には、タービンハブ16における変速機側の端部からナットを締め付け、あるいはカシメればよい。
さらに、図1または図2では、トルクコンバータ1の内部にダイナミックダンパ28を備えた例を挙げて説明したが、トルクコンバータ1の内部以外に設けた場合であっても、転動体31が設けられている領域にオイルが浸入しまたは異物が混入する可能性があるので、例えば、エンジンとトルクコンバータ1との間やトルクコンバータ1と変速機の間、あるいは変速機の出力軸に設けていてもよい。そのようにトルクコンバータ1の内部以外にダイナミックダンパ28を設けた例を図3に示している。図3には、ハイブリッド車両などトルクコンバータ1を備えていない車両にダイナミックダンパ28を設けた例を示している。なお、図1と同様の構成については同一の参照符号を付してその説明を省略する。図3に示す例では、まず、エンジンの出力軸であるクランクシャフト44に環状に形成されたフライホイール45が一体に連結されている。このフライホイール45はいわゆるマスダンパとして機能するものである。そのフライホイール45にトーショナルダンパ20が一体化されている。すなわち、フライホイール45の外周側にトーショナルダンパ20の入力側プレート21が連結されている。
そして、トーショナルダンパ20の第2出力側プレート25とダンパハブ27とが一体化されていて、そのダンパハブ27が変速機の入力軸46に一体化されている。また、入力軸46には、ダンパハブ27と対向するようにフランジ部47が形成されていて、そのフランジ部47とダンパハブ27とによりダイナミックダンパ28が挟み付けられて設けられている。すなわち、フランジ部47には、軸線方向におけるエンジン側に突出した突出部47aが形成され、その突出部47aとダンパハブ27の第1押圧部27aとによりプレート部材29を挟み付けられるように構成されている。また、フランジ部47の側面とダンパハブ27の第2押圧部27bとにより各カバー部材37,38を押圧するように構成されている。したがって、図3におけるフランジ部47は、図1におけるタービンハブ16と同様に機能するように構成されている。
このように構成することにより、転動体31が設けられている領域にオイルが浸入しまたは異物が混入することを抑制することができる。すなわち、カバー部材36のシール性を向上させることができるとともに、各カバー部材37,38が面振れすることを抑制することができる。