JP2015101537A - 金属と金属酸化物との性質を兼備するセラミックス粒子の製造と製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、二酸化珪素の粒子は、有機ゴム、シリコーンゴム、合成樹脂の補強充填剤として、塗料の艶消し剤として、インクジェット紙のフィラーとして、化粧品や薬品及び香料を担持させる担体として用いられている。また、二酸化チタンのルチル型結晶の粒子は、化粧品や塗料、トナーの外添剤、ゴムの充填剤に、二酸化チタンのアナタース型結晶の粒子は、光触媒や工業用触媒の担体として用いられている。さらに、アルミナ粒子は、耐火材、碍子、研削・研磨材、耐熱・耐薬品磁器などの用途に用いられている。また、酸化亜鉛粒子は、白色顔料、ゴムの添加剤、塗料、ガラス、UVカット繊維、化粧品、医薬品、電子材料(フェライト、バリスタ、蛍光体)などの用途に用いられている。さらに、二酸化スズは異なる元素をドーピングすることで導体性を持たせ、帯電防止樹脂の製造、磁気フィルムの製造、帯電防止塗料の製造、帯電防止服や帯電防止カーテンの製造、コピー機の感光ドラムの製造、外添剤としてのトナーの製造などに用いられている。
最近、RoHS(電子、電気機器における特定有害物質の使用制限に関するEUの指令)によるグリーンプロダクツの購入促進が叫ばれる中で、アンチモン等のドーパント成分の毒性及び環境負荷が懸念されている。そこで、ニオブ又はタンタルをドーパントとした導電性酸化スズ粉末(例えば、特許文献2を参照)や、リンをドーパントとした導電性酸化スズ粉末(例えば、特許文献3を参照)などの技術開発がなされている。しかし、ドーパントとしてアンチモンの替わりに、ニオブ、タンタル、リンを用いても、導電性を発揮させるためにドーパントを用いることは避けられず、また、導電性が金属に比べれば著しく低いという問題が残る。さらに、リンの含有量によっては、環境負荷性及び人体への毒性の問題から忌避される物質になることが懸念される。
あるいは、特許文献5には、金属酸化物粒子と尿素化合物とを加熱することにより、金属酸化物粒子の導電性を向上させる技術が開示されている。しかしながら、加熱温度が600℃以上と高く、雰囲気が不活性ガス雰囲気に限定され、さらに、熱処理時間が5時間以上と長く、また、原料の尿素化合物がトリアジン環を有する化合物であるシアヌル酸やメラミンなどの特殊な化合物であるため、金属酸化物粒子の導電性を向上させる処理費用が高価になる問題点を持つ。さらに、こうした高価な加熱処理にもかかわらず、得られた金属酸化物の粉体の抵抗値が、依然として10Ωcmと高い値を持つという問題点がある。
なお、第一の有機金属化合物の吸着した厚みを、第二の有機金属化合物の吸着した厚みより相対的に厚くすれば、金属微粒子の厚みが金属酸化物の厚みより厚くなり、金属の性質が金属酸化物の性質より優勢になる。また、金属酸化物が導電性を有する物質で構成すれば、セラミックス粒子はさらに金属に近い導電性を持つ。なお、導電性を有する金属酸化物として、例えば、マグネタイトFe3O4(酸化鉄の一種で四酸化三鉄ともいう)、酸化ニッケルNiO、酸化亜鉛ZnO、酸化クロム(IV)CrO2、酸化スズSnO2、酸化銅CuOなどの物質がある。このように、金属微粒子の材質と金属酸化物の微粒子の材質とに応じて、セラミックス粒子は様々な性質を新たに兼備することになる。
すなわち、第一の有機金属化合物がアルコールに分散された分散液に、セラミックス粒子の集まりを投入して懸濁液を作成し、この懸濁液を昇温してアルコールを気化させれば、セラミックス粒子の材質や形状や大きさに係わらず、セラミックス粒子は第一の有機金属化合物で均一に覆われる。なぜならば、有機金属化合物の粉体をアルコールに分子状態で分散し、この分散液を昇温してアルコールを気化すれば、有機金属化合物は元の粉体に戻るからである。身近な事例を挙げれば、砂糖の粉を水に分子状態に分散し、この砂糖水を昇温して水を気化すれば、砂糖は元の粉に戻る。このため、第一の有機金属化合物がアルコールに分散された分散液に、セラミックス粒子の集まりを投入すれば、全てのセラミックス粒子の表面はアルコール分散液と接触する。この後、アルコールを気化すれば、全てのセラミックス粒子は第一の有機金属化合物で均一に覆われる。同様に、第二の有機金属化合物がアルコールに分散された分散液に、第一の有機金属化合物で覆われたセラミックス粒子の集まりを投入し、この懸濁液を昇温してアルコールを気化させれば、第一の有機金属化合物で覆われたセラミックス粒子は第二の有機金属化合物で覆われる。この結果、セラミックス粒子は、2種類の有機金属化合物からなる2重構造で覆われる。
つまり、有機金属化合物がアルコールに分散できる分散濃度は、重量割合で10%程度までである。このため、第二の有機金属化合物のアルコール分散液に、第一の有機金属化合物で覆われたセラミックス粒子の集まりを投入しても、第一の有機金属化合物がアルコールに再度分散することはない。従って、第一の有機金属化合物で覆われたセラミックス粒子の集まりを、第二の有機金属化合物がアルコールに分散した分散液に投入し、この後、アルコールを気化すれば、セラミックス粒子の材質や形状や大きさに係わらず、セラミックス粒子は2種類の有機金属化合物からなる2重構造で覆われる。
このセラミックス粒子の集まりを、大気雰囲気での熱処理を2段階に分けて連続して行う。最初の熱処理で第一の有機金属化合物を熱分解させ、次の熱処理で第二の有機金属化合物を熱分解させる。つまり、第一の有機金属化合物の熱分解がセラミックス粒子の表面で始まると、有機酸と金属(分子クラスターの状態にある)とに分離し、比重が大きい金属はセラミックス粒子の表面に留まり、比重が小さい有機酸は金属の上に移動する。従って、有機酸の上に第二の有機金属化合物が存在する。さらに温度が上がると、気化熱を奪って有機酸が気化し、第二の有機金属化合物の被膜を貫通して蒸発する。有機酸の気化が完了すると、金属は熱エネルギーを得て粒状の微粒子を形成して安定化し、熱分解を終える。さらに温度が上がると、第二の有機金属化合物の熱分解が始まり、有機酸と金属酸化物とに分離し、有機酸が気化熱を奪って気化し、有機酸の気化が完了すると、金属酸化物は熱エネルギーを得て金属微粒子の集まりの上に、粒状の微粒子を形成して安定化し、熱分解を終える。こうして、セラミックス粒子は、金属微粒子の集まりと金属酸化物の微粒子の集まりからなる微粒子の2重構造で覆われ、金属と金属酸化物との性質を兼備する。
なお、第一の有機金属化合物の熱分解で析出する粒状の金属微粒子は、不純物を持たない活性状態にあるため、粒状の微粒子同士が互いに接触する部位で金属結合し、金属微粒子からなる多層構造を形成してセラミックス粒子の表面を覆う。いっぽう、粒状の金属酸化物の微粒子の集まりで、金属微粒子の多層構造の表面を覆わなければ、セラミックス粒子同士が金属微粒子を介して結合される。つまり、金属酸化物の微粒子同士は金属結合ないしは共有結合しないため、金属酸化物の微粒子で覆われたセラミックス粒子同士は結合しない。このため、セラミックス粒子の表面を金属微粒子と金属酸化物の微粒子とからなる微粒子の2重構造で覆い、セラミックス粒子同士の結合を回避した。
セラミックス粒子を覆った微粒子の2重構造は、金属微粒子と金属酸化物との界面において、金属微粒子と金属酸化物との間で、合金ないしは金属間化合物を形成しないため、金属微粒子と金属酸化物の微粒子とは金属結合ないしは共有結合しない。また、金属酸化物は安定な物質であり、金属酸化物の微粒子同士が、互いに金属結合ないしは共有結合しない。いっぽう、粒状の金属微粒子は互いに接触する部位で金属結合し、この金属微粒子の集まりがセラミックス粒子を覆う。このため、金属微粒子の集まりはセラミックス粒子の表面から脱落しにくい。いっぽう、金属酸化物の微粒子同士は金属結合ないしは共有結合しないため、セラミックス粒子に応力を加えると、金属酸化物の微粒子の集まりは、セラミックス粒子から容易に脱落する。これによって、金属微粒子の集まりで覆われたセラミックス粒子の集まりが容易に得られる。この金属微粒子の集まりで覆われたセラミックス粒子を原料として用いて様々な成形体を加工すると、この成形体は金属の性質を兼備する。つまり、セラミックスの欠点を金属の性質で補う成形体を製造することが可能になる。
以上に説明したように、本特徴手段に依れば、セラミックス粒子の全般について、粒子の材質や大きさや形状に係わらず、金属と金属酸化物との性質を兼備するセラミックス粒子が製造できる。また、安価な材料である有機金属化合物を大気中で熱処理するだけの極めて簡単な処理であり、製造費用は安価で済む。さらに、このセラミックス粒子は、金属微粒子を構成する金属の耐熱性を有し、金属酸化物の微粒子を構成する金属酸化物の耐酸化性と耐食性とを有する。このように、セラミックス粒子は金属と金属酸化物との性質を兼備するとともに、セラミックスの長所を損なうことがない。この結果、本特徴手段に依れば、6段落で説明した4つの要件を満たすセラミックス粒子が実現できる。さらに、金属酸化物の微粒子をセラミックス粒子の表層から脱落させ、このセラミックス粒子を原料として用いて加工した成形体は金属の性質を兼備する。これによって、従来考えられない画期的な新たな製品の製造が可能になる。
すなわち、カルボン酸金属化合物を構成するイオンの中で、金属イオンが最も大きい。従って、カルボキシル基を構成する酸素イオンが金属イオンと共有結合するカルボン酸金属化合物においては、カルボキシル基を構成する酸素イオンと金属イオンとの距離が、他のイオン同士の距離より長い。こうした分子構造上の特徴を持つカルボン酸金属化合物を大気雰囲気で熱処理すると、カルボン酸の沸点を超えると、カルボキシル基を構成する酸素イオンと金属イオンとの結合部が最初に分断されて、カルボン酸と金属とに分離する。さらに、カルボン酸が飽和脂肪酸から構成される場合は、炭素原子が水素原子に対して過剰となる不飽和構造を持たないため、カルボン酸が気化熱を奪って気化し、カルボン酸の沸点に応じた290℃〜400℃の極めて低い温度で全てのカルボン酸が気化して金属が析出する。こうしたカルボン酸金属化合物として、オクチル酸金属化合物、ラウリン酸金属化合物、ステアリン酸金属化合物などの飽和脂肪酸からなるカルボン酸金属化合物がある。
なお、不飽和脂肪酸からなるカルボン酸金属化合物は、飽和脂肪酸からなるカルボン酸金属化合物に比べて、炭素原子が水素原子に対して過剰になるため、熱分解によって金属酸化物が析出する。例えばオレイン酸銅は、酸化銅(I)Cu2Oと酸化銅(II)CuOとが同時に析出し、銅に還元するための処理費用を要する。中でも酸化銅(I)Cu2Oは、大気雰囲気より酸素ガスがリッチな雰囲気で一度酸化銅(II)CuOに酸化させた後に、再度、還元雰囲気で銅に還元させる必要があるため、還元処理の費用がかさむ。
さらに、前記したカルボン酸金属化合物は、容易に合成できる安価な工業用薬品である。すなわち、汎用的なカルボン酸を強アルカリと反応させるとカルボン酸アルカリ金属化合物が生成される。この後、カルボン酸アルカリ金属化合物を無機金属化合物と反応させると、様々な金属からなるカルボン酸金属化合物が合成される。また、原料となるカルボン酸は、有機酸の沸点の中で相対的に低い沸点を有する有機酸であり、カルボン酸の沸点に応じた290℃〜400℃の極めて低い温度で金属が析出する。
以上に説明したように、本特徴手段に依れば、安価な工業用薬品であるカルボン酸金属化合物を用いて、大気雰囲気の290℃〜400℃の極めて低い温度の熱処理で、セラミックス粒子の材質や大きさや形状に係わらず、その表面を様々な金属からなる金属微粒子の集まりで覆うことができる。この結果、安価な製造費用でセラミックス粒子を金属微粒子の集まりで覆うことができ、セラミックス粒子は新たに金属の性質を持つ。
すなわち、カルボキシル基を構成する酸素イオンが配位子になって、金属イオンに近づいて配位結合するカルボン酸金属化合物は、最も大きいイオンである金属イオンに酸素イオンが近づいて配位結合するため、両者の距離は短くなる。これによって、金属イオンに配位結合する酸素イオンが、金属イオンの反対側で共有結合するイオンとの距離が最も長くなる。こうした分子構造上の特徴を持つカルボン酸金属化合物は、カルボン酸金属化合物を構成するカルボン酸の沸点を超えると、カルボキシル基を構成する酸素イオンが金属イオンの反対側で共有結合するイオンとの結合部が最初に分断され、金属イオンと酸素イオンとの化合物である金属酸化物とカルボン酸とに分解する。さらに昇温すると、カルボン酸が気化熱を奪って気化し、カルボン酸の気化が完了した後に金属酸化物が析出する。こうしたカルボン酸金属化合物として、酢酸金属化合物、カプリル酸金属化合物、安息香酸金属化合物、ナフテン酸金属化合物などがある。
さらに、前記したカルボン酸金属化合物は、いずれも容易に合成できる安価な工業用薬品である。すなわち、汎用的なカルボン酸を強アルカリと反応させるとカルボン酸アルカリ金属化合物が生成される。この後、カルボン酸アルカリ金属化合物を無機金属化合物と反応させることで、カルボン酸金属化合物が合成される。また、原料となるカルボン酸は、有機酸の沸点の中で相対的に低い沸点を有する有機酸であるため、大気雰囲気においては350℃程度の極めて低い熱処理で金属酸化物の微粒子が析出する。
以上に説明したように、本特徴手段に依れば、安価な製造費用で、8段落で説明した金属微粒子の集まりの表面を金属酸化物の微粒子の集まりで覆うことができ、セラミックス粒子は様々な金属の性質と様々な金属酸化物の性質とを新たに兼備することになる。
このような導電性と強磁性の性質を兼備する金属酸化物として、例えば、マグネタイトFe3O4(四酸化三鉄ともいう)がある。マグネタイトは、二価の鉄イオンFe2+からなる有機鉄化合物を大気雰囲気で熱分解して酸化鉄(II)FeOを析出させ、さらに昇温して酸化すると、酸化鉄(II)FeOを構成する鉄イオンFe2+の半数がFe3+に酸化されて、FeO・Fe2O3からなるマグネタイトFe3O4が生成される。このため、安価な工業用薬品である有機鉄化合物を、大気雰囲気で熱処理するだけで、マグネタイト微粒子の集まりが析出できる。
なお、マグネタイトは強磁性体であり、飽和磁化は60〜90emu/gの値を持ち、磁気キュリー点は585℃である。また、金属並みの導電性を持ち、電気伝導率は2.5×104/Ω・mの値を持つ。さらに、大気中の450℃以上の温度で酸化鉄(III)のα相であるヘマタイトα−Fe2O3に相転移するが、ヘマタイトは極めて極めて安定した酸化物、つまり、不動態であり、融点である1566℃に近い耐熱性を有する。
このような強磁性の金属として、鉄、ニッケルないしコバルトがある。また、導電性で強磁性の金属酸化物として前記したマグネタイトがある。従って、第一の有機金属化合物として、熱分解で鉄、ニッケルないしはコバルトを生成する有機金属化合物を用い、第二の有機金属化合物として、熱分解で酸化鉄FeOを生成する有機金属化合物を用いる。これらの有機金属化合物をセラミックス粒子の表面に2重構造で吸着させて熱処理し、強磁性の金属微粒子と酸化鉄FeOの微粒子とを析出させ、さらに、昇温して酸化鉄FeOをマグネタイトに酸化する。この結果、セラミックス粒子は、鉄、ニッケルないしはコバルトの強磁性金属微粒子の集まりとマグネタイトの微粒子の集まりの2重構造で覆われる。
従来、セラミックスのバルクからなる焼結体は、粉末冶金法といわれる方法で製作している。粉末冶金法は、原料となる粉体の集まりにバインダーを加えて金型に充填し、金型を焼成炉に入れて焼成する。最初に、昇温速度を抑えて昇温し、粉体に含まれる水分とバインダーを気化し、粉体を徐々に収縮させて粉体同士を近接させる第一の熱処理を行う。次に、粉体同士が化学反応を起こす1000℃を優に超す温度まで、第一の熱処理より速い速度で昇温させる第二の熱処理を行う。さらに、一定時間この温度に保持し、粉体同士の表面拡散を進め、さらに、界面拡散による結晶粒の成長を進める第三の熱処理を行う。この際、粉体同士の界面拡散によって、粉体同士の間隙の一部を吸収して粉体が収縮するが、結晶粒の成長によって間隙の一部を吸収する。最後に、室温まで徐冷してセラミックスのバルクからなる焼結体を得る。
粉末冶金法に依るセラミックスのバルクからなる焼結体の製作では、第三の熱処理で界面拡散の進行と結晶粒の成長が行われても空隙は残存する。この結果、焼結体の内部には必ず気孔が形成される。この気孔の存在によって、焼結体が昇温される際、あるいは冷却される際に、気孔つまり気体の熱膨張率が、セラミックスの熱膨張率より著しく大きいため、焼結体にクラックが入り焼結体が破壊される。セラミックスは金属より高い耐熱性と耐食性とを持つが、昇温及び冷却による温度変化には脆く、セラミックスが熱応力によって脆性破壊することはよく知られたセラミックス固有の性質である。
これに対し、セラミックス粒子は、粉末冶金法とは全く異なる製法で製造される。例えば、最も汎用的なセラミックス粒子の一種であるアルミナ粉体は、最も汎用的な製法としてバイヤー法がある。バイヤー法は、最初に鉱石であるボーキサイトを、水酸化ナトリウムの熱溶液を用いて250℃で洗浄する。これによって、ボーキサイトに含まれるアルミナのみが溶解して水酸化アルミニウムAl(OH)3の溶解液になり、ボーキサイトに含まれるシリカや酸化鉄や二酸化チタンは溶解しないため、ろ過によって除去される。次に、溶解液を冷却すると水酸化アルミニウムAl(OH)3が沈殿する。さらに、水酸化アルミニウムAl(OH)3を1050℃で加熱して脱水させるとアルミナAl2O3粉体が生成される。このアルミナ粉体は、高温の脱水反応によって粉体を製造するため、粉体の内部に気孔を持たない。なぜならば、脱水反応時に粉体内部に気孔が仮に存在するとすれば、脱水反応後の冷却時にさらに微細な粉体に分解されるため、精製されたアルミナ粉体の内部には気孔が存在しない。このように、セラミックス粒子は粒子であるため、内部に空孔を持たず、急激な温度変化に依る熱応力によって脆性破壊されることはない。
ここで、セラミックと金属との物性の違いの要因を説明する。セラミックスはイオン結合に基づく結合であるのに対し、金属は金属結合に基づく結合である。このため、原子間の結合エネルギーは、セラミックスは金属より著しく大きい。例えばアルミナの原子間結合エネルギーが15100J/molであるのに対し、銅の原子間結合エネルギーは僅かに339J/molである。従って、セラミックスにおける原子間距離の変化は、金属の変化より著しく小さいため、セラミックスが機械的応力を受けた際の弾性変形量はわずかで塑性変形しない。このため、セラミックスは僅かな歪で破壊する脆性を持つ。また、圧縮強度に比べ曲げ強度は著しく小さい。例えば、アルミナの圧縮強度は2450MPaであるのに対し、曲げ強度は330MPaに過ぎない。これに対し、金属では弾性変形の後にさらに塑性変形するため、曲げ強度と圧縮強度を持たない。また、セラミックスは金属より大きな弾性率を持つ。例えば、アルミナのヤング率が340GPaであるのに対し、銅は115GPaに過ぎない。いっぽう、全ての物質は温度変化によって原子の熱振動が起こって原子間距離が変化し、熱膨張が起る。セラミックスは原子間距離の変化が小さいため、熱膨張率は金属より一桁小さい。例えば、アルミナの熱膨張率が7×10−6/℃であるのに対し、銅は17×10−6/℃である。このように、セラミックスは金属に比べ機械的にも熱的にも変形しにくい材料である。
本特徴手段に依れば、焼結体は、連続した金属の被膜がセラミックス粒子同士の間隙に形成されるため、従来のセラミックスの焼結体では考えらえない次の5つの性質を持つ。
第一に、焼結体は、セラミックスの最大の欠点である脆性を持たない。つまり、焼結体に機械的応力ないしは熱的応力が加わった際に、応力は無数のセラミックス粒子に分散される。また、金属の弾性率がセラミックスの弾性率より小さいため、金属被膜が優先して弾性変形ないしは塑性変形する。さらに、金属被膜の弾性変形ないしは塑性変形によって、セラミックス粒子に圧縮応力が加わるが、過大な圧縮強度を持つセラミックス粒子は破壊されない。仮にセラミックス粒子にクラックが入ったとしても、セラミックス粒子は依然として金属皮膜で覆われ、セラミックス粒子は焼結体から脱落しない。つまり、セラミックス粒子が仮に脆性破壊されたとしても、連続した金属被膜によって焼結体は脆性破壊されず、焼結体は脆性を持たない。
第二に、焼結体に電流ないしは熱が加えられると、金属の被膜を介して焼結体の内部を電流なしは熱が伝導する。これによって、焼結体は、電気導電性と熱伝導性とを兼備する。
第三に、金属被膜を構成する金属が強磁性の金属であれば、金属被膜を介して焼結体の内部を磁気が伝達する。これによって、焼結体は強磁性の性質を持つ。
第四に、従来の粉末冶金法に依るセラミックスの焼結体の製作では、原料となる粉体に含まれる水分とバインダーの気化と、粉体の界面拡散に伴う粉体の収縮とによって、3次元的な複雑な形状や薄肉の形状からなる焼結体は、クラックが入るため製作が困難であった。本特徴手段に依れば、溶解した金属で覆われたセラミックス粒子が可塑性を持つため、様々な成形加工が可能になり、3次元的な複雑な形状や薄肉の形状の焼結体が製作できる。また、この焼結体は、前記した第一の性質である脆性を持たない。
第五に、この焼結体の機械的性質ないしは熱的性質は、金属皮膜を構成する金属の機械的性質ないしは熱的性質を持つ。従って、焼結体は金属被膜を構成する金属の融点に応じた耐熱性を持つ。また、金属被膜を構成する金属の酸化物が高温で酸化が進行しない金属であれば、焼結体は耐酸化性を持つ。このため、焼結体はセラミックスの長所である耐熱性と耐酸化性を損なわない。
以上に説明したように、本特徴手段に依れば、従来のセラミックスのバルクからなる焼結体では考えらえない様々な性質を持つ画期的な焼結体が製作できる。
この焼結体は18段落で説明した5つの性質を持つ。このように、セラミックスのバルクの焼結体では考えられない画期的な性質を持つ焼結体が金型の形状を反映して製造される。
本特徴手段では、金属微粒子で覆われたセラミックス粒子の集まりを、昇華点が低い有機化合物、例えば、パラフィンワックスの希薄溶解液に浸漬させ、金属微粒子の表面にパラフィンワックスの希薄溶解液を吸着させる。なお、パラフィンワックスを溶解する溶剤として、n−ヘキサン,n−ヘプタン,イソオクタン,シクロヘキサン,キシレン,トルエンなどの無極性の有機溶媒がある。これによって、セラミックス粒子は流動性を持ち、射出成型機のシリンダーに容易に充填される。こうした処理を行ったセラミックス粒子の集まりを原料として、射出成形工程、焼結工程の2つの工程で焼結体を製作する。
射出成形工程では、前記した原料を、パラフィンワックスの溶剤の沸点より高い温度に昇温された射出成形機のシリンダーに投入する。この際、溶剤が気化し、セラミックス粒子は固化したパラフィンワックスの被膜で覆われ、このパラフィンワックスの被膜でセラミックス粒子の流動性が保たれる。このため、シリンダーの内壁は摩耗しない。
焼結工程では、パラフィンワックスの被膜で覆われたセラミックス粒子の集まりを、射出成形機から金属微粒子が融解する温度に昇温された移動可能な1対の金型で形成される金型の間隙に射出する。さらに、真空装置につながる弁を開いて、金型の間隙を大気圧より低い気圧に減圧する。この際、金属微粒子が融解し、金属微粒子の集まりが形成していた多層構造が崩れ、多層構造内に存在した大気が気泡となって現れる。この気泡は、金属微粒子が融解される温度に昇温されて体積が膨張し、セラミックス粒子の集まりから湧き出す。この気泡はパラフィンワックスと共に、減圧装置で吸引される。この後、金型の昇温を停止させて金型を移動し、金型を開いて内部に存在する焼結体を徐冷する。これによって、金属の被膜で覆われたセラミックス粒子の集まりからなる焼結体が製造される。
本特徴手段では、金属微粒子で覆われたセラミックス粒子の集まりを原料として用い、押し出しと二次加工からなる2つの工程によって二次加工品を製作する。
押し出し工程では、金属微粒子の融点を超える温度に昇温された押出成形機のシリンダーに、金属微粒子で覆われたセラミックス粒子の集まりを投入する。この際、セラミックス粒子は融解した金属で覆われ流動性を持つ。このため、押出成形機の内壁はセラミックス粒子によって攻撃されない。また、金属微粒子が融解した際に、金属微粒子の集まりが形成していた多層構造が崩れ、多層構造内に存在した大気が気泡となって現れる。この気泡は、金属微粒子が融解される温度に昇温されて体積が膨張し、押出成形機のスクリューで混錬される際に、セラミックス粒子の集まりの内部から湧き出て、シリンダーから外部に発散する。こうして、融解した金属で覆われたセラミックスの集まりが、押出成形機のダイスから二次加工品の形状に応じた形状として押し出される。つまり、ダイスは二次加工品の形状に応じた構造を持つ。
二次加工の工程では、融解した金属で覆われたセラミックスの集まりを、二次加工機によって様々な形状に二次加工し、その後、二次加工品を徐冷すると、金属の被膜で覆われた接合されたセラミックス粒子の集まりからなる様々な形状の焼結体が製造される。
なお、二次加工機は、スリーブ成形機、チューブ成形機、ブロー成形機、シート成形機、サーモフォーミング成形機などの様々な二次加工機から構成され、これによって、スリーブ成形、チューブ成形、ブロー成形、シート成形、サーモフォーミング成形などの様々な二次加工が施され、スリーブ、チューブ、シート、あるいは容器などが製造される。
従来、粉末冶金法でセラミックスのバルクからなるシート状の焼結体を製作する場合は、18段落で説明したように、焼結体の内部に気孔が存在するため、焼結体は温度変化によって容易に脆性破壊される。さらに、18段落で説明したように、セラミックスの曲げ強度が小さいため、シート状の焼結体は、曲げ応力によって容易に脆性破壊される。このため、粉末冶金法で製作したセラミックスのバルクからなるシート状の焼結体は実用性が低い。
これに対し、本特徴手段で製造した圧延シートは、連続した金属被膜を介してセラミックス粒子同士が接合されているため、18段落で説明した5つの性質を持ち、曲げ応力が加えられた際に、金属被膜の弾性変形ないしは塑性変形によって脆性破壊されない。この結果、粉末冶金法では実用性が低かったシート状の焼結体が製造できる。
最初に、強磁性の金属微粒子同士の磁気吸着によって吸着したセラミックス粒子の集まりを、一対のロールが多段に構成された冷間圧延ロール機のロールの間隙に供給する。この際、セラミックス粒子に加わった圧縮応力で磁気吸着が解除され、セラミックス粒子の集まりが扁平に変形する。さらに、より大きな圧縮応力が加わり、金属微粒子の多層構造が塑性変形し、塑性変形した金属微粒子が互いに絡み合い、セラミックス粒子同士が接合して扁平な圧延体となる。さらに圧延体を、金属微粒子の融点を超える温度に昇温された一対のロールが多段に構成された熱間圧延機のロールの間隙に供給する。この際、融解した金属によって薄板シートが可塑性を持ち、薄板シートは熱間圧延機で連続して引き伸ばされて圧延シートになる。なお、金属微粒子が融解する際に気泡が現れる。この気泡は、金属微粒子が融解される温度に昇温されて体積が膨張し、膨張した気泡は多段のロールでつぶされて大気中に発散する。この後、圧延シートを一対のロールが多段に構成された冷間圧延機のロールの間隙に供給する。この際、融解した金属が固化し、さらに徐冷され、金属被膜で覆われたセラミックス粒子の集まりからなる圧延シートが製作される。
ここで、金属微粒子の原料となる金属化合物について、アルコールに分子状態で分散する金属化合物を検討する。ここでは金属をアルミニウムとし、アルミニウム化合物を例とする。塩化アルミニウムは水に溶け、水酸化アルミニウムと塩酸に加水分解する。また、水酸化アルミニウムはアルコールに分散しない。さらに、硫酸アルミニウムはアルコールに溶解し、アルミニウムイオンが溶出してしまい、多くのアルミニウムイオンがアルミニウムの析出に参加できない。また、酸化アルミニウムは、アルコールに分散しない。このため、無機アルミニウム化合物は、アルミニウム化合物として適切でない。
有機アルミニウム化合物は、セラミックス粒子の表面にアルミニウム微粒子の集まりを析出する性質を持つ必要がある。つまり、アルミニウム微粒子が生成される化学反応がセラミックス粒子の表面で起こる。有機アルミニウム化合物からアルミニウムが生成される化学反応の中で、最も簡単な処理による化学反応に熱分解反応がある。つまり、有機アルミニウム化合物を大気雰囲気で昇温するだけでアルミニウムが析出する。さらに、有機アルミニウム化合物の合成が容易でれば、有機アルミニウム化合物が安価に製造できる。こうした性質を兼備する有機アルミニウム化合物にカルボン酸アルミニウムがある。
つまり、カルボン酸アルミニウムを構成するイオンの中で、最も大きいイオンはアルミニウムイオンである。従って、カルボン酸アルミニウムにおけるカルボキシル基を構成する酸素イオンが、アルミニウムイオンに共有結合すれば、アルミニウムイオンとカルボキシル基を構成する酸素イオンとの距離が、イオン同士の距離の中で最も長い。こうした分子構造上の特徴を持つカルボン酸アルミニウムを大気雰囲気で昇温させると、カルボン酸の沸点を超えると、アルミニウムイオンとカルボキシル基を構成する酸素イオンとの結合部が最初に切断され、カルボン酸とアルミニウムとに分解する。さらに昇温すると、カルボン酸が飽和脂肪酸で構成されれば、カルボン酸が気化熱を奪って気化し、カルボン酸の気化が完了した後にアルミニウムが析出する。従って、カルボン酸の沸点が低いほど、カルボン酸アルミニウムの分解が始まる温度は低く、アルミニウムが析出する温度も低くなる。なお、還元雰囲気でのカルボン酸アルミニウムの熱分解は、大気雰囲気での熱分解より熱分解反応が遅い。このため、大気雰囲気での熱分解が望ましい。
なお、カルボン酸が不飽和脂肪酸であれば、炭素原子が水素原子に対して過剰になるため、カルボン酸アルミニウムが熱分解すると、アルミニウムの酸化物が析出する。
さらに、カルボン酸アルミニウムは合成が容易で、安価な有機アルミニウム化合物である。つまり、カルボン酸を水酸化ナトリウムなどの強アルカリ溶液中で反応させると、カルボン酸アルカリ金属が生成される。このカルボン酸アルカリ金属を、硫酸アルミニウムなどの無機アルミニウム化合物と反応させると、カルボン酸アルミニウムが生成される。以下に、アルミニウムを析出するカルボン酸アルミニウムの実施形態を説明する。
飽和脂肪酸からなるカルボン酸アルミニウムの組成式は、Al(RCOO)3で表わせられる。Rはアルカンで組成式はCmHnである(ここでmとnとは整数)。カルボン酸アルミニウムを構成する物質の中で、組成式の中央に位置するアルミニウムイオンAl3+が最も大きい。従って、アルミニウムイオンAl3+とカルボキシル基を構成する酸素イオンO−とが共有結合する場合は、アルミニウムイオンAl3+と酸素イオンO−との距離が最大になる。ちなみに、アルミニウムイオン原子の共有結合半径は121±4pmであり、酸素イオン原子の共有結合半径は66±2pmであり、炭素原子の共有結合半径は73pmである。このため、アルミニウムイオンとカルボキシル基を構成する酸素イオンとが共有結合するカルボン酸アルミニウムは、カルボン酸の沸点を超えると、結合距離が最も長いアルミニウムイオンとカルボキシル基を構成する酸素イオンとの結合部が最初に切断され、アルミニウムとカルボン酸とに分離する。さらに昇温すると、カルボン酸が飽和脂肪酸であれば、カルボン酸が気化熱を奪って気化し、カルボン酸の気化が完了した後にアルミニウムが析出する。こうしたカルボン酸アルミニウムとして、オクチル酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウムなどがある、
さらに、飽和脂肪酸で構成されるカルボン酸アルミニウムについて、飽和脂肪酸の沸点が低ければ、カルボン酸アルミニウムは相対的に低い温度で熱分解し、アルミニウムを析出させる熱処理費用が安価で済む。飽和脂肪酸を構成する炭化水素が長鎖構造である場合は、長鎖が長いほど、つまり、飽和脂肪酸の分子量が大きいほど、飽和脂肪酸の沸点が高くなる。ちなみに、分子量が200.3であるラウリン酸の大気圧での沸点は296℃であり、分子量が284.5であるステアリン酸の大気圧での沸点は361℃である。従って、長鎖構造の飽和脂肪酸の分子量が相対的に小さい飽和脂肪酸からなるカルボン酸アルミニウムは、熱分解温度が相対的に低くなるので、アルミニウムを析出する原料として望ましい。
また、飽和脂肪酸が分岐鎖構造を有する飽和脂肪酸である場合は、直鎖構造の飽和脂肪酸より鎖の長さが短く、沸点が相対的に低く、相対的に低い温度で熱分解する。さらに、分岐鎖構造を有する飽和脂肪酸は極性を持つため、分岐鎖構造を有する飽和脂肪酸からなるカルボン酸アルミニウムも極性を持ち、アルコールなどの極性を持つ有機溶剤に相対的に高い割合で分散する。このような分岐構造の飽和脂肪酸としてオクチル酸がある。すなわち、オクチル酸は構造式がCH3(CH2)3CH(C2H5)COOHで示され、CHでCH3(CH2)3とC2H5とのアルカンに分岐され、CHにカルボキシル基COOHが結合する。オクチル酸の大気圧での沸点は228℃であり、前記したラウリン酸より沸点が68℃低い。このため、より低い温度でアルミニウムを析出する原料として、オクチル酸アルミニウムが最も望ましい。ちなみに、オクチル酸アルミニウムは、大気雰囲気において290℃で熱分解が完了してアルミニウムが析出し、メタノールやn−ブタノールなどに10重量%まで分散する。
鉄の酸化物を析出する原料も、30段落で説明したアルミニウムの原料と同様に、アルコールに分散する有機鉄化合物が望ましい。
さらに、有機鉄化合物は、熱分解によって酸化鉄(II)FeOを析出する性質が必要になる。つまり、酸化鉄(II)FeOを大気中で昇温すると、酸化鉄(II)FeOを構成する2価の鉄イオンFe2+の一部が酸化して三価の鉄イオンFe3+になり、FeO・Fe2O3の組成式で表さられるマグネタイトFe3O4になる。このマグネタイトFe3O4は、強磁性で導電性の酸化物である。さらに大気中で昇温すると、2価の鉄イオンFe2+の全てが酸化されて三価の鉄イオンFe3+になり、酸化鉄(III)Fe2O3のγ相であるマグヘマイトγ−Fe2O3になる。このマグヘマイトγ−Fe2O3は、強磁性で絶縁性の酸化物である。有機鉄化合物を構成する物質の中で、最も大きい共有結合半径を持つ物質は鉄イオンFe2+である。いっぽう、鉄イオンFe2+とカルボキシル基を構成する酸素イオンO−とが共有結合するカルボン酸鉄は、鉄イオンと酸素イオンとの距離が最大になるため、30段落で説明したように熱分解によって鉄を析出する。従って、熱分解によって酸化鉄(II)FeOを析出する有機鉄化合物は、鉄イオンFe2+と結合する酸素イオンO−との距離が短く、酸素イオンO−が鉄イオンFe2+の反対側で結合するイオンと結合する距離が長い分子構造上の特徴を持つ必要がある。つまり、酸素イオンO−が鉄イオンFe2+の反対側で結合するイオンと結合する部位が最初に切れ、鉄イオンと結合した酸素イオン、つまり、酸化鉄(II)FeOと有機酸とに分解する。このような分子構造上の特徴を持つ有機鉄化合物として、カルボキシル基を構成する酸素イオンO−が配位子になって鉄イオンFe2+に近づいて配位結合するカルボン酸鉄化合物がある。
また、有機金属化合物の中でカルボン酸金属化合物は、30段落で説明したように合成が容易で、有機酸の沸点が低いため熱分解温度が相対的に低い。このため、カルボキシル基を構成する酸素イオンが、配位子となって金属イオンに近づいて配位結合するカルボン酸金属化合物は、安価な化学薬品であり、熱処理費用も安価で済む。こうしたカルボン酸金属化合物として、酢酸金属化合物、カプリル酸金属化合物、安息香酸金属化合物、ナフテン酸金属化合物などが挙げられる。なお、カルボン酸鉄においては、酢酸鉄とカプリル酸鉄と安息香酸鉄とは、酸素イオンが鉄イオンに近づいて配位結合して、複核錯塩を形成するが、熱分解の途上においては不安定な物質であるため取り扱いが難しい。従って、酸化鉄FeOを析出するカルボン酸鉄としては、ナフテン酸鉄が望ましい。さらに、ナフテン酸鉄はn−ブタノールに対して8重量%近くまで分散する。
アルミナ粒子として市販品のアルミナ粉末を用いた。本実施例では、昭和電工株式会社の製品であるA−12を用いた。この粉末は、中心粒径が60μmであり、純度が99.6%である。また、鉄微粒子の原料としてオクチル酸鉄(例えば、日本化学産業株式会社の製品)を用いた。さらに、マグネタイト微粒子の原料としてナフテン酸鉄(例えば、東栄化工株式会社の製品)を用いた。アルコールは、試薬1級のn−ブタノールを用いた。
図1に、鉄微粒子とマグネタイト微粒子とからなる微粒子の2重構造で覆われたアルミナ粉末を製造する製造工程を示す。オクチル酸鉄の2モルを12リットルのn−ブタノールに分散し、さらに、この分散液にアルミナ粉末1kgを投入して攪拌する(S10工程)。この分散液を容器に充填し、容器を120℃の熱処理炉に入れてn−ブタノールを気化させ、気化したn−ブタノールは回収装置で回収する(S11工程)。次に、ナフテン酸鉄の1モルを12リットルのn−ブタノールに分散し、さらに、この分散液にS11工程の処理を行ったアルミナ粉末の集まりを投入する(S12工程)。容器を120℃の熱処理炉に入れてn−ブタノールを気化させ、気化したn−ブタノールは回収装置で回収する(S13工程)。さらに、容器を大気雰囲気の290℃に昇温された熱処理炉に1分間放置する(S14工程)。これによってオクチル酸鉄が熱分解する。さらに容器を大気雰囲気の330℃に昇温された熱処理炉に10分間放置し、ナフテン酸鉄を熱分解する(S15工程)。この後、熱処理炉の温度を330℃から1℃/min.の昇温速度で360℃まで昇温し、360℃に容器を30分間放置する(S16工程)。この後、容器から熱処理したアルミナ粉体を取り出す。
次に、製作した試料について、電子顕微鏡で観察と分析を行なった。電子顕微鏡は、JFEテクノリサーチ株式会社の極低加速電圧SEMを用いた。この装置は100Vからの極低加速電圧による表面観察が可能で、さらに導電性の被膜を形成せずに直接試料の表面が観察できる特徴を有する。最初に反射電子線の900V〜1kVの間にある2次電子線を取り出して画像処理を行い、試料の表面を観察した。40nm〜60nmの大きさからなる粒状微粒子が、試料の表面全体に満遍なく形成していた。次に、特性X線のエネルギーとその強度を画像処理し、粒状微粒子を構成する元素の種類とその分布状態を分析した。鉄原子と酸素原子の双方が表面に均一に存在し、特段に偏在する箇所が見られなかったため、酸化鉄からなる粒状微粒子であることが分かった。さらに、極低加速電圧SEMの機能にEBSP解析機能を付加し、酸化鉄の結晶構造の解析を行なった。この結果から、粒状微粒子がマグネタイトFe3O4であることが確認できた。なおEBSP解析機能とは、試料に電子線を照射したとき、反射電子が試料中の原子面によって回折されることでバンド状のパターンを形成し、このバンドの対称性が結晶系に対応し、バンドの間隔が原子面間隔に対応するため、このパターンを解析することで、結晶方位や結晶系が解析できる。
次に、試料の集まりをバレル研磨機にかけ、30秒間と1分間と2分間との時間をかけてバレル研磨した3種類の試料を作成し、試料表面を電子顕微鏡で観察と分析を行なった。30秒間のバレル研磨では、試料表面はマグネタイトの微粒子で構成されていた。1分間のバレル研磨では、マグネタイトと鉄の双方の微粒子が観察された。2分間のバレル研磨では、40nm〜60nmの大きさからなる粒状の鉄微粒子で覆われていることが分かった。
これらの結果から、アルミナ粉体の表層の内側は鉄微粒子で、外側がマグネタイトの微粒子で覆われていることが確認できた。鉄微粒子の層の厚みとマグネタイト微粒子の層の厚みとは、使用したカルボン酸金属化合物のモル数から2対1の比率で形成されていると考える。また、マグネタイトは強磁性体であるため、マグネタイト微粒子は互いに磁気吸着し、さらに、鉄微粒子との間で磁気吸引力が作用する。この結果、マグネタイト微粒子をアルミナ粉末の表面から脱落させるには、2分近いバレル研磨が必要になった。
図2に、アルミニウム微粒子と酸化銅微粒子とからなる微粒子の2重構造で覆われたアルミナ粉末を製造する製造工程を示す。オクチル酸アルミニウムの2モルを12リットルのn−ブタノールに分散し、さらに、この分散液にアルミナ粉末1kgを投入して攪拌する(S20工程)。この分散液を容器に充填し、容器を120℃の熱処理炉に入れてn−ブタノールを気化させ、気化したn−ブタノールは回収装置で回収する(S21工程)。次に、ナフテン酸銅の1モルを12リットルのn−ブタノールに分散し、この分散液にS21工程で製作したオクチル酸アルミニウムで覆われたアルミナ粉末の集まりを投入する(S22工程)。容器を120℃の熱処理炉に入れてn−ブタノールを気化させ、気化したn−ブタノールは回収装置で回収する(S23工程)。次に、容器を大気雰囲気の290℃に昇温された熱処理炉に1分間放置する(S24工程)。この際、オクチル酸アルミニウムが熱分解される。さらに容器を大気雰囲気の330℃に昇温された熱処理炉に1分間放置する(S25工程)。これによって、ナフテン酸銅が熱分解される。この後、容器から熱処理したアルミナ粉体を取り出す。
次に、製作した試料について、実施例1と同様に電子顕微鏡で観察と分析を行なった。最初に、反射電子線の900V〜1kVの間にある2次電子線を取り出して画像処理を行い、試料の表面を観察した。40nm〜60nmの大きさからなる粒状の微粒子が、試料の表面全体に満遍なく形成されていることが確認できた。次に、特性X線のエネルギーとその強度を画像処理し、粒状微粒子を構成する元素の種類とその分布状態を分析した。銅原子と酸素原子の双方が均一に存在し、特段に偏在する箇所が見られなかったため、酸化銅からなる粒状微粒子が形成されていることが確認できた。
次に、試料をバレル研磨機にかけ、30秒をかけてバレル研磨した試料の表面を、前記と同様に電子顕微鏡で観察と分析を行なった。30秒間のバレル研磨によって、表面が40nm〜60nmの大きさからなる粒状のアルミニウム微粒子で覆われていることが分かった。
これらの結果から、作成した試料は、アルミナ粉体の表層の内側はアルミニウム微粒子で、外側が酸化銅の微粒子で覆われていることが確認できた。アルミニウム微粒子の層の厚みと酸化銅微粒子の層の厚みとは、使用したカルボン酸金属化合物のモル数から2対1の比率で形成されていると考える。また、酸化銅はマグネタイトのように強磁性体ではないため、酸化銅微粒子は互いに磁気吸着しない。また、酸化銅微粒子とアルミニウム微粒子との間で、磁気吸引力は作用しない。このため、実施例1におけるマグネタイト微粒子に比べ酸化銅微粒子は、短時間のバレル研磨によってアルミナ粉体の表面から脱落した。
ニッケル微粒子と酸化銅微粒子とからなる微粒子の2重構造で覆われたアルミナ粉末を製造する製造工程は、実施例2に準ずる。オクチル酸ニッケルの2モルを12リットルのn−ブタノールに分散し、さらに、この分散液にアルミナ粉末1kgを投入して攪拌する。この分散液を容器に充填し、容器を120℃の熱処理炉に入れてn−ブタノールを気化させ、気化したn−ブタノールは回収装置で回収する。次に、ナフテン酸銅の1モルを12リットルのn−ブタノールに分散し、さらに、この分散液にオクチル酸ニッケルで覆われたアルミナ粉末の集まりを投入する。容器を120℃の熱処理炉に入れてn−ブタノールを気化させ、気化したn−ブタノールは回収装置で回収する。次に、容器を大気雰囲気の290℃に昇温された熱処理炉に1分間放置する。さらに容器を大気雰囲気の330℃に昇温された熱処理炉に1分間放置する。この後、容器から熱処理したアルミナ粉体を取り出す。
次に、製作した試料について、実施例1と同様に電子顕微鏡で観察と分析を行なった。最初に、反射電子線の900V〜1kVの間にある2次電子線を取り出して画像処理を行い、試料の表面を観察した。40nm〜60nmの大きさからなる粒状の微粒子が、試料の表面全体に満遍なく形成されていることが確認できた。次に、特性X線のエネルギーとその強度を画像処理し、粒状微粒子を構成する元素の種類とその分布状態を分析した。銅原子と酸素原子の双方が均一に存在し、特段に偏在する箇所が見られなかったため、酸化銅からなる粒状微粒子が形成されていることが確認できた。
次に、試料をバレル研磨機にかけ、30秒をかけてバレル研磨した試料の表面を、前記と同様に、電子顕微鏡で観察と分析を行なった。30秒間のバレル研磨によって、表面が40nm〜60nmの大きさからなる粒状のニッケル微粒子で覆われていることが分かった。
これらの結果から、作成した試料は、アルミナ粉体の表層の内側はニッケル微粒子で、外側が酸化銅の微粒子で覆われていることが確認できた。ニッケル微粒子の層の厚みと酸化銅微粒子の層の厚みとは、使用したカルボン酸金属化合物のモル数から2対1の比率で形成されていると考える。また、酸化銅は互いに磁気吸着せず、また、酸化銅微粒子とニッケル微粒子との間で、磁気吸引力は作用しない。このため、実施例2と同様に、酸化銅微粒子が短時間のバレル研磨によってアルミナ粉体の表面から脱落した。
図3に、円筒形の焼結体を製造する製造工程を示す。最初に、加振機を稼働させ、アルミナ粉体の原料を金型の間隙に充填した(S30工程)。次に、金型を閉じて、真空ポンプにつながる弁を開き、金型の間隙を0.5気圧に減圧した(S31工程)。さらに、間隙を0.5気圧に保った状態で10分間放置した(S32工程)。その後、下金型の昇温を停止して、上金型を取り出し焼結体を徐冷し、焼結体を金型から取り出した(S33工程)。
次に、焼結体を1mの高さからコンクリートの床に落としたが、焼結体は破壊されなかった。さらに、2mの高さから床に落としたが、打痕が確認されたが焼結体は破壊されなかった。この結果から、焼結体はセラミックス固有の脆性を持たないことが分かった。
さらに、焼結体を切断し、切断面を実施例1と同様に電子顕微鏡で観察した。この結果、アルミナ粉体の大きさに係わらず、2μmに近い厚みのアルミニウムの被膜がアルミナ粉体を覆っていることが確認できた。このため、焼結体はアルミニウムに近い導電性と熱伝導性を持つことになる。
本実施例では、射出成型機に投入した原料を金型に射出する。この金型は、移動可能な1対の金型で構成され、1対の金型が近づくと、製作する焼結体の形状からなる間隙が形成される。また、金型の側壁にヒーターが内蔵され、金型が700℃に昇温される。さらに、金型の間隙は真空ポンプとパラフィンワックスの回収機とにつながる構造を持ち、真空ポンプの稼働によって金型の間隙は0.5気圧に減圧される。なお、アルミナ粉体の表面を覆うアルミニウム微粒子が融解した際に気泡が現れる。気泡は700℃近くに昇温されて体積が膨張し、膨張した気泡は焼結体の内部から湧き出し、真空ポンプによって吸引される。
図4に、三角フラスコの形状の焼結体を製造する製造工程を示す。最初に、原料を射出成形機のシリンダーに投入する(S40工程)。原料は、スクリューの回転で25mm/sの速度を持ってシリンダー内を移動する。この際、溶剤のn−ヘプタンが気化し、気化したn−ヘプタンは、シリンダーにつながった回収機で回収する(S41工程)。シリンダーの先端に達したアルミナ粉体の集まりは、射出圧60kg/cm2によって、シリンダーから金型の間隙に射出される(S42工程)。次に、真空ポンプにつながる弁を開き、金型の間隙を0.5気圧に減圧する(S43工程)。この際、パラフィンワックスが昇華し、昇華したパラフィンワックスは、間隙につながった回収機で回収する(S44工程)。この後、金型を移動させ、さらに、金型を開き、焼結体を徐冷した(S45工程)。その後、焼結体を金型から取り出し、不要なランナーを切断し、三角フラスコからなる焼結体を得た。
次に、焼結体を1mの高さからコンクリートの床に落としたが、破壊されなかった。さらに、2mの高さから床に落としたが、打痕が確認されたが、破壊されなかった。これらの結果から、焼結体はセラミックス固有の脆性を持たないことが分かった。
図5に、チューブ形状の焼結体を製造する製造工程を示す。原料を、押出成形機のシリンダーに投入する(S50工程)。この際、アルミニウムの微粒子が溶解し、溶解したアルミニウムで覆われたアルミナ粉体の集まりは、スクリューの100rpmの回転速度で混錬され、押出成形機の出口であるダイスの方向に移動する。ダイスに達したアルミナ粉体の集まりは、円筒形状としてダイスから押し出される(S51工程)。押し出された円筒は、引き取り機に供給される。この際、溶解したアルミニウムが固化し、アルミニウムで覆われたアルミナ粉体の集まりからなる円筒が引き取られて徐冷される(S52工程)。最後に、定尺カッターで10cmの長さに切断され、チューブが製造される(S53工程)。
次に、製作したチューブを、1mの高さからコンクリートの床に落としたが、破壊されなかった。さらに、2mの高さから床に落としたが、打痕が確認されたが、破壊されなかった。これらの結果から、チューブはセラミックス固有の脆性を持たないことが分かった。
なお、チューブの肉厚と外径とは、シリンダーとダイスとの間隙で決まる。また、チューブを長い長さとして切断すれば、パイプないしはホースが製造される。さらに、ダイスから押し出される成形物が、円筒でなく扁平な長方形である場合はシートが製造される。
図6に、円錐台形状の焼結体を製造する製造工程を示す。原料を、押出成形機のシリンダーに投入する(S60工程)。この際、アルミニウムの微粒子が溶解し、溶解したアルミニウムで覆われたアルミナ粉体の集まりは、スクリューで混錬され、押出成形機の出口であるダイスの方向に移動する。ダイスに達したアルミナ粉体の集まりは、シートとしてダイスから押し出される(S61工程)。押し出されたシートは金型に供給され、シートを上金型と下金型の間に挟む(S62工程)。次に、真空ポンプにつながる弁を開き、金型を減圧するとともに、上金型を下金型に下ろして、上金型に圧縮応力を加え、熱間でシートに絞り化工を施す(S63工程)。この後、真空ポンプにつながる弁を閉じる。さらに、金型を開放して焼結体を徐冷し、金型から焼結体を取り出す(S64工程)。
次に、焼結体を、1mの高さからコンクリートの床に落としたが、破壊されなかった。さらに、2mの高さから床に落としたが、打痕が確認されたが、破壊されなかった。これらの結果から、焼結体はセラミックス固有の脆性を持たないことが分かった。なお、本実施例では、円錐台の形状を有する容器を製作したが、絞り加工を行う金型の形状に応じて様々な形状の焼結体が製作できる。
圧延シートの製作は、冷間圧延成形、熱間圧延成形、冷間圧延成形の3つの工程からなる。最初に、磁気吸着した原料の集まりを、互いに反対方向に回転する一対のローラーが等間隔に5つ配置された室温の冷間圧延ロール機に投入する(S70工程)。ローラーの間隙は、初段のローラーの間隙が10mmで、後段になるほど間隙が狭くなり、5段目のローラーの間隙が5mmである。ローラーの間隙を通過する際に、ニッケル微粒子の磁気吸着が解除され、さらに、ニッケル微粒子が塑性変形して、隣接するアルミナ粉末のニッケル微粒子と絡み合い、これによって、アルミナ粉末同士が接合される。冷間圧延ロール機を通過すると、厚みが5mmで幅が10cmの圧延体が作成される。次に圧延体は、1500℃に昇温された互いに反対方向に回転する一対のローラーが、等間隔に5つ配置された熱間圧延ロール機に供給する(S71工程)。ローラーの間隙は、初段のローラーの間隙が5mmで、後段になるほど間隙が狭くなり、5段目のローラーの間隙が1mmである。このローラーの間隙を圧延体が通過する際に、ニッケル微粒子が融解し、融解したニッケルによって圧延体が可塑性を持ち、圧延体はローラーによって引き伸ばされる。この熱間圧延ロール機を通過すると、厚みが1mmで幅が10cmの圧延シートになる。なお、熱間圧延ロール機を通過する際にニッケル微粒子が融解し、この際に無数の気泡が現れる。気泡は1500℃近くに昇温されて体積が膨張し、膨張した気泡は表面に湧き出し、ローラーで押しつぶされ、大気中に発散する。さらに、圧延シートは、互いに反対方向に回転する一対のローラーが、等間隔に10個配置された室温の冷間圧延ロール機に供給され、室温まで徐冷される(S72工程)。最後に、巻き取り機で圧延シートを巻き取る(S73工程)。
次に、製作した圧延シートを10cmの長さで切断し、この試料を、1mの高さからコンクリートの床に落としたが、破壊されなかった。さらに、2mの高さから床に落としたが、打痕が確認されたが、破壊されなかった。これらの結果から、圧延シートはセラミックス固有の脆性を持たないことが分かった。
実施例4〜8に焼結体を製作する事例を説明したが、焼結体の形状は実施例の形状に限定されない。アルミナ粉体が粒子であり、溶解した金属でアルミナ粉体が覆われるため、金型の形状に応じて自在の形状の焼結体が製造できる。また、原料となるセラミックス粒子は、アルミナ粉体に限定されない。セラミックス粒子は、金属の融点より高い耐熱性を持つため、様々なセラミックス粒子が原料に用いられる。さらに、金属被膜の材質は、アルミニウムないしはニッケルに限定されない。様々なオクチル酸金属化合物を用いることで、様々な金属の被膜で覆われたセラミックス粒子の集まりからなる焼結体が製作できる。
Claims (11)
- 金属と金属酸化物との性質を兼備するセラミックス粒子を製造することにおいて、
大気雰囲気での熱処理で金属を析出する第一の有機金属化合物をアルコールに分散してアルコール分散液を作成し、該アルコール分散液にセラミックス粒子の集まりを投入して第一の懸濁液を作成し、該第一の懸濁液を昇温して前記アルコールを気化させ、前記セラミックス粒子が前記第一の有機金属化合物で覆われた第一の処理粒子を作成する、さらに、大気雰囲気での熱処理で金属酸化物を析出する第二の有機金属化合物をアルコールに分散してアルコール分散液を作成し、該アルコール分散液に前記第一の処理粒子の集まりを投入して第二の懸濁液を作成し、該第二の懸濁液を昇温して前記アルコールを気化させ、前記第一の処理粒子が前記第二の有機金属化合物で覆われた第二の処理粒子を作成する、さらに、該第二の処理粒子の集まりを大気雰囲気で、前記第一の有機金属化合物が熱分解する熱処理と、前記第二の有機金属化合物が熱分解する熱処理とからなる2つの熱処理を連続して行う、これによって、前記セラミックス粒子が、金属微粒子の集まりと金属酸化物の微粒子の集まりとからなる微粒子の2重構造によって覆われ、金属と金属酸化物との性質を兼備するセラミックス粒子が製造されることを特徴とする、金属と金属酸化物との性質を兼備するセラミックス粒子の製造。 - 請求項1における第一の有機金属化合物が、カルボキシル基を構成する酸素イオンが金属イオンに共有結合する第一の特徴と、カルボン酸が飽和脂肪酸で構成される第二の特徴とを兼備するカルボン酸金属化合物であることを特徴とする、請求項1における第一の有機金属化合物。
- 請求項1における第二の有機金属化合物は、カルボキシル基を構成する酸素イオンが配位子となって金属イオンに配位結合したカルボン酸金属化合物であることを特徴とする、請求項1における第二の有機金属化合物。
- 請求項1における金属酸化物の微粒子は、導電性と強磁性を兼備する金属酸化物の微粒子であることを特徴とする、請求項1における金属酸化物の微粒子。
- 請求項1における金属微粒子は強磁性の金属微粒子であり、かつ、請求項1における金属酸化物の微粒子は導電性と強磁性を兼備する金属酸化物の微粒子であることを特徴とする、請求項1における金属微粒子および金属酸化物の微粒子。
- 請求項1における金属と金属酸化物との性質を兼備するセラミックス粒子ついて、該粒子の表層を形成する金属酸化物の微粒子を脱落させ、該粒子の表層が金属微粒子で覆われた粒子とし、該粒子の集まりを原料として用い、該粒子の集まりに前記金属微粒子の融点を超える熱処理を伴う成形加工を施して焼結体を作成する、これによって、前記セラミックス粒子同士が金属の被膜を介して接合されたセラミックス粒子の集まりからなる焼結体が製造されることを特徴とする、請求項1における金属と金属酸化物との性質を兼備するセラミックス粒子を原料として用いた焼結体の製造。
- 請求項6におけるセラミックス粒子同士が金属の被膜を介して接合されたセラミックス粒子の集まりからなる焼結体の製造は、金属微粒子で覆われたセラミックス粒子の集まりを原料として用い、該粒子の集まりを前記金属微粒子の融点を超える温度に昇温された一対の金型で形成される間隙に充填する、さらに、該金型の間隙を大気圧より低い圧力に減圧する、さらに、該金型を取り出して該金型の一方の金型を取り外し、該金型内に存在する焼結体を徐冷する、これによって、前記セラミックス粒子同士が金属の被膜を介して接合されたセラミックス粒子の集まりからなる焼結体が製造されることを特徴とする、請求項6におけるセラミックス粒子同士が金属の被膜を介して接合されたセラミックス粒子の集まりからなる焼結体の製造。
- 請求項6におけるセラミックス粒子同士が金属の被膜を介して接合されたセラミックス粒子の集まりからなる焼結体の製造は、金属微粒子で覆われたセラミックス粒子の集まりを有機化合物の希薄溶解液に投入し、該粒子に前記有機化合物の希薄溶解液を吸着させる、該希薄溶解液が吸着した粒子の集まりを原料として用い、該粒子の集まりを前記希薄溶解液の溶剤の沸点を超える温度に昇温された射出成形機に投入する、さらに、該射出成型機に投入された粒子の集まりを、該射出成形機から前記金属微粒子の融点を超える温度に昇温された移動可能な1対の金型で形成される間隙に射出する、さらに、該金型の間隙を大気圧より低い圧力に減圧する、さらに、該金型を移動させて該金型を開き、該金型内に存在する焼結体を徐冷する、これによって、前記セラミックス粒子同士が金属の被膜を介して接合されたセラミックス粒子の集まりからなる焼結体が製造されることを特徴とする、請求項6におけるセラミックス粒子同士が金属の被膜を介して接合されたセラミックス粒子の集まりからなる焼結体の製造。
- 請求項6におけるセラミックス粒子同士が金属の被膜を介して接合されたセラミックス粒子の集まりからなる焼結体の製造は、金属微粒子で覆われたセラミックス粒子の集まりを原料として用い、該粒子の集まりを前記金属微粒子の融点を超える温度に昇温された押出成形機に投入して該粒子の集まりを混錬する、さらに、該粒子の集まりを前記押出成形機のダイスから二次加工機に押し出し、該押し出された粒子の集まりに二次加工を加えて該二次加工品を徐冷する、これによって、前記セラミックス粒子同士が金属の被膜を介して接合されたセラミックス粒子の集まりからなる二次加工品が製造されることを特徴とする、請求項6におけるセラミックス粒子同士が金属の被膜を介して接合されたセラミックス粒子の集まりからなる焼結体の製造。
- 請求項6におけるセラミックス粒子同士が金属の被膜を介して接合されたセラミックス粒子の集まりからなる焼結体の製造は、セラミックス粒子が強磁性の金属微粒子で覆われた粒子とし、該粒子の集まりを原料として用い、該粒子の集まりを冷間圧延ロール機に投入して圧延体を作成する、さらに、該圧延体を前記強磁性の金属微粒子の融点を超える温度に昇温された熱間圧延ロール機に供給して圧延シートを作成する、さらに、該圧延シートを冷間圧延ロール機に供給して該圧延シートを徐冷する、これによって、前記セラミックス粒子同士が強磁性の金属の被膜を介して接合されたセラミックス粒子の集まりからなる圧延シートが製造されることを特徴とする、請求項6におけるセラミックス粒子同士が金属の被膜を介して接合されたセラミックス粒子の集まりからなる焼結体の製造。
- 金属と金属酸化物との性質を兼備するセラミックス粒子の製造方法は、大気雰囲気での熱処理で金属を析出する第一の有機金属化合物をアルコールに分散してアルコール分散液を作成する第一の工程と、該アルコール分散液にセラミックス粒子の集まりを投入して第一の懸濁液を作成する第二の工程と、該第一の懸濁液を昇温して前記アルコールを気化させ、前記セラミックス粒子が前記第一の有機金属化合物で覆われた第一の処理粒子を作成する第三の工程と、大気雰囲気での熱処理で金属酸化物を析出する第二の有機金属化合物をアルコールに分散してアルコール分散液を作成する第四の工程と、該アルコール分散液に前記第一の処理粒子の集まりを投入して第二の懸濁液を作成する第五の工程と、該第二の懸濁液を昇温して前記アルコールを気化させ、前記第一の処理粒子が前記第二の有機金属化合物で覆われた第二の処理粒子を作成する第六の工程と、該第二の処理粒子の集まりを大気雰囲気で、前記第一の有機金属化合物が熱分解する熱処理と、前記第二の有機金属化合物が熱分解する熱処理とからなる2つの熱処理を連続して行う第七の工程とからなり、これら七つの工程を連続して実施することで、金属と金属酸化物との性質を兼備するセラミックス粒子が製造されることを特徴とする、金属と金属酸化物の性質を兼備するセラミックス粒子の製造方法。
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