JP2016160531A - 有機化合物に分散された微粒子の集まりの製造と製造方法 - Google Patents
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Abstract
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例えば、特許文献1には、銅イオン、及び炭素原子数4〜12のラクタム系化合物が溶解している還元反応水溶液において、銅イオンの電解還元反応により、ラクタム系有機化合物で被覆された銅微粒子を析出させる技術が開示されている。これによって、析出する銅微粒子がデンドライト状に凝集するのが抑制されるとの記載がある。しかし、還元反応水溶液における全ての異物を排除することは困難であるため、本技術によって析出する銅微粒子の純度は低い。さらに、製造できる金属微粒子が銅に限定される。
本発明における解決すべき課題は、微粒子の集まりの製造において、前記した5つの条件を満たして微粒子の集まりを製造する全く新たな製造方法を見出すことにある。
いっぽう、本特徴手段における原料は、熱分解で金属ないしは金属酸化物を析出する金属化合物と、アルコールと高沸点の有機化合物とからなり、いずれも汎用的な工業薬品である。また、本特徴手段における処理は、金属化合物をアルコールに分散する処理と、アルコール分散液に有機化合物を混合する処理と、最高でも430℃程度の温度で金属化合物を熱分解するだけの極めて簡単な処理であり、特殊な装置による特殊な条件下での化学物質の処理や、特殊な環境下での化学物質の反応が一切ない。さらに、熱処理する混合液における金属化合物の量に応じて、莫大な量の微粒子が有機化合物に分散して析出する。
例えば、有機化合物に直径50nmの球状の銅微粒子が析出したとする。この銅微粒子1個の重さは5.85×10−16gである。いっぽう、銅の原子量は63.55g/molであるから、1モルの銅は1.1×1017個の銅微粒子に相当する。従って、わずか1モルの銅化合物を原料として用いると、1.1×1017個からなる銅微粒子の集まりが有機化合物に析出する。この有機化合物を気化させると、1.1×1017個の不純物を含まない銅微粒子の集まりが得られる。
以上に説明したように、本特徴手段に依れば、6段落で説明した5つの課題を根本的に解決して、有機化合物に分散した金属ないしは金属酸化物の微粒子の集まりが製造できる。
本特徴手段において、使用する金属化合物の量と有機化合物の量との比率に応じて、有機化合物に析出する微粒子の量は異なる。つまり、使用する金属化合物の量を減らし、使用する有機化合物の量を増やせば、有機化合物に析出する微粒子の量は微量であり、反対に、使用する金属化合物の量を増やし、使用する有機化合物の量を減らせば、有機化合物に析出する微粒子の量は増大する。また、金属化合物が熱分解して金属を析出する際は、金属は不純物のない活性状態にあり、隣接する金属微粒子は接触部で互いに金属結合し、金属結合した金属微粒子となって熱分解反応が完了するため、金属結合した金属微粒子は、安定した状態にあり凝集しない。従って、使用する金属化合物の量と有機化合物の量との比率が小さければ、有機化合物に分散された金属化合物のモル濃度が低いため、金属結合したごくわずかな金属微粒子が、有機化合物に分散して析出する。比率が大きくなると、有機化合物に分散された金属化合物のモル濃度が高くなるため、金属結合する金属微粒子の数が増える。さらに比率が大きくなると、金属結合した金属微粒子が、有機化合物の全体にわたって析出する。従って、使用する金属微粒子の用途に応じて、使用する原料の比率を変えればよい。いっぽう、析出した金属酸化物微粒子は、金属酸化物同士が金属結合や共有結合によって結合しないため、有機化合物を気化させて金属酸化物微粒子を取り出すと、一個一個の微粒子に分かれて析出する。
なお、アルコールの沸点と、金属化合物が熱分解する際に気化する無機物ないしは有機物の沸点と、有機化合物の沸点とは、各々に温度差があり、気化したアルコールと、気化した無機物ないしは有機物と、気化した有機化合物とは個別に回収する。
ここで、本特徴手段における作用効果を詳しく説明する。熱分解で金属ないしは金属酸化物を析出する金属化合物をアルコールに分散すると、金属化合物はアルコール中に分子状態で均一に分散する。なお、金属化合物を分散させる溶媒は、最も汎用的な有機溶剤であるアルコールが望ましい。また、アルコール分散液を昇温し、アルコールを気化させると、金属化合物の結晶が微細な粉体として析出する。この現象は、砂糖水の水を気化させると、砂糖の微細粉が析出する現象に類似している。従って、アルコール分散液に有機化合物を混合すると、有機化合物がアルコールに溶解ないしは混和する性質を持つため、混合液中に金属化合物と有機化合物とが分子状態で均一に分散される。
この混合液を容器に充填して容器を昇温する。最初にアルコールが気化する。これによって、混合液は、融解した有機化合物に、金属化合物の微細結晶が均一に分散された状態になる。つまり、融解した有機化合物に金属化合物の微細結晶を均一に分散させるため、金属化合物をアルコール中に分子状態で均一に分散させ、さらに、この分散液に有機化合物を分子状態で均一に分散させた。さらに昇温すると、金属化合物の熱分解が融解した有機化合物中で起こり、40nm〜60nmの大きさの粒状の金属ないしは金属酸化物からなる微粒子が、融解した有機化合物中に均一に分散して析出し、金属化合物は熱分解反応を終える。この後、冷却させると、固化ないしは融解した有機化合物中に、安定した金属ないしは金属酸化物の微粒子の集まりが均一に分散された有機化合物が製造される。
例えば、前記した第一特徴手段と同様に、有機化合物に直径50nmの球状の合金微粒子が析出したとする。僅か1モルを構成する複数種類の金属化合物を原料として用いると、1.1×1017個の合金微粒子の集まりが有機化合物に析出する。この有機化合物を気化させると、1.1×1017個の不純物を含まない合金微粒子の集まりが得られる。
以上に説明したように、第一特徴手段における金属化合物として熱分解で複数の金属を同時に析出する複数種類の金属化合物を用いることで、6段落で説明した5つの課題を根本的に解決して、有機化合物に分散された合金微粒子の集まりが製造できる。
なお、本特徴手段において、複数種類の金属化合物における金属の組み合わせを変える、また、複数種類の金属化合物のモル数の比率を変えると、様々な組成からなる合金微粒子の集まりが得られる。このように、本特徴手段に依れば、有機化合物に分散された微粒子の材質が、様々な組成からなる合金に拡大される。
また、第一特徴手段の金属微粒子と同様に、合金は不純物のない活性状態にあるため、隣接する合金微粒子は接触部で互いに金属結合し、金属結合した合金微粒子となって熱分解反応が完了するため、金属結合した合金微粒子は、安定した状態にあり凝集しない。従って、第一特徴手段の金属微粒子と同様に、使用する複数種類の金属化合物の量と有機化合物の量との比率が小さければ、ごくわずかな合金微粒子が金属結合し、この金属結合した合金微粒子が有機化合物中に均一に析出する。比率が大きくなると、金属結合した合金微粒子の数が増え、この金属結合した合金微粒子が有機化合物中に均一に析出する。さらに比率が大きくなると、金属結合した合金微粒子が、有機化合物の全体にわたって析出する。従って、使用する合金微粒子の用途に応じて、使用する原料の比率を変えればよい。
すなわち、無機物の分子ないしはイオンからなる配位子が、金属イオンに配位結合した金属錯イオンを有する無機金属化合物からなる錯体を、還元雰囲気で熱処理すると、配位結合部が最初に分断され、無機物と金属とに分解される。さらに昇温すると、無機物が気化熱を奪って気化し、すべての無機物の気化が完了した後に金属が析出する。つまり、錯体を構成するイオンの中で、分子の中央に位置する金属イオンが最も大きい。このため、金属イオンと配位子との距離が最も長い。従って、錯体を還元雰囲気で熱処理すると、金属イオンが配位子と結合する配位結合部が最初に分断され、金属と無機物とに分解する。さらに温度が上がると、無機物が気化熱を奪って気化し、気化が完了した後に、金属が析出する。この際、配位子が低分子量の無機物であるため、配位子の分子量に応じて、180℃〜220℃の低い温度で無機物の気化が完了する。このような錯体として、アンモニアNH3が配位子となって金属イオンに配位結合するアンミン金属錯イオンを有する錯体、塩素イオンCl−が、ないしは塩素イオンCl−とアンモニアNH3とが配位子となって金属イオンに配位結合するクロロ金属錯イオンを有する錯体、シアノ基CN−が配位子イオンとなって金属イオンに配位結合するシアノ金属錯イオンを有する錯体、臭素イオンBr−が配位子イオンとなって金属イオンに配位結合するブロモ金属錯イオンを有する錯体、沃素イオンI−が配位子イオンとなって金属イオンに配位結合するヨード金属錯イオンを有する錯体などが挙げられる。また、このような無機化合物からなる錯体は、配位子の分子量が小さいため、合成が容易で最も安価な金属錯イオンを有する錯体である。
なお、錯体の熱分解で析出した金属は、不純物のない活性状態にあるため、隣接する金属微粒子は接触部で互いに金属結合し、金属結合した金属微粒子となって熱分解反応が完了するため、金属結合した金属微粒子は、安定した状態にあり凝集しない。このため、第一特徴手段の金属微粒子と同様に、使用する金属化合物の量と有機化合物の量との比率が小さければ、ごくわずかな金属微粒子が金属結合して析出する。比率が大きくなると、金属微粒子の金属結合が増大する。さらに比率が大きくなると、金属結合した金属微粒子が、有機化合物の全体にわたって析出する。従って、使用する金属微粒子の用途に応じて、使用する錯体の量と有機化合物の量との比率を変えればよい。
以上に説明したように、本特徴手段に依れば、金属化合物として、安価な工業用薬品である無機金属化合物からなる錯体を用い、180℃〜220℃の低い熱処理温度で、有機化合物中に均一に分散された金属微粒子の集まりが製造できる。
複数種類の無機金属化合物からなる錯体の熱分解反応は、最初に、複数の金属と無機物とに分解する。次に、無機物が気化熱を奪って気化し、気化が完了した後に、複数の金属が合金微粒子を形成し、熱分解反応を完了する。このため、合金微粒子は安定した状態にあり、合金微粒子は凝集しない。また、無機物が気化した後に合金微粒子が形成されため、合金微粒子は不純物を含まない。このような有機物中に分散された微粒子の集まりは、取り扱いが容易であり、保管が可能になる。従って、合金微粒子が必要になった時に、必要な量の有機化合物を沸点以上に昇温すれば、経時変化せず、不純物を含まない合金微粒子の集まりが、凝集することなく、必要な量として得られる。
すなわち、複数種類の錯体は、無機物の分子ないしはイオンからなる同一の配位子が、異なる金属イオンに配位結合する異なる金属錯イオンからなる無機金属化合物の錯体であるため、還元雰囲気で熱処理すると、複数種類の錯体の配位結合部が同時に分断され、無機物と複数の金属とに分解され、無機物の配位子の分子量に応じて、無機物の気化が180℃〜220℃の温度で完了し、錯体のモル濃度に応じて複数種類の金属が同時に析出し、これら金属は不純物を持たない活性状態にあるため、錯体のモル濃度比率に応じた組成割合からなる合金が生成される。
なお、析出した合金は不純物のない活性状態にあるため、隣接する合金微粒子は接触部で金属結合し、金属結合した合金微粒子となって熱分解反応が完了するため、金属結合した合金微粒子は、安定した状態にあり凝集しない。従って、第一特徴手段の金属微粒子と同様に、使用する複数種類の錯体の量と有機化合物の量との比率が小さければ、ごくわずかな合金微粒子が金属結合する。比率が大きくなると、合金微粒子の金属結合が増える。さらに比率が大きくなると、金属結合した合金微粒子が、有機化合物の全体にわたって析出する。従って、使用する合金微粒子の用途に応じて、使用する複数種類の錯体の量と有機化合物の量との比率を変えればよい。
本特徴手段において、複数種類の錯体における金属の組み合わせを変える、あるいは、複数種類の錯体のモル数の比率を変えると、様々な組成からなる合金微粒子の集まりが得られる。このように、本特徴手段に依れば、金属化合物として、安価な工業用薬品である複数種類の無機金属化合物からなる錯体を用いることで、180℃〜220℃の低い熱処理温度で、有機化合物に分散された様々な組成からなる合金微粒子の集まりが製造される。
従って、無機金属化合物からなる錯体、ないしは、複数種類の無機金属化合物からなる錯体のアルコール分散液に、本特徴手段におけるいずれかの有機化合物を混合すると、錯体と有機化合物とが混合液中に分子状態で均一に分散される。この混合液を180℃〜220℃の還元雰囲気で熱処理すると、有機化合物中で錯体が熱分解し、ないしは、複数種類の錯体が同時に熱分解し、40nm〜60nmの大きさの粒状の金属ないしは合金の微粒子が融解した有機化合物中に均一に分散して析出する。この後、冷却すると、固化ないしは融解した有機化合物に分散された金属ないしは合金の微粒子の集まりが製造される。
従って、本特徴手段における有機化合物は、金属微粒子ないしは合金微粒子の集まりが均一に分散された有機化合物を構成する。
すなわち、カルボン酸金属化合物を構成するイオンの中で、金属イオンが最も大きい。従って、カルボン酸のカルボキシル基を構成する酸素イオンが金属イオンに共有結合するカルボン酸金属化合物においては、カルボキシル基を構成する酸素イオンと金属イオンとの距離が、他のイオン同士の距離より長い。こうした分子構造の特徴を持つカルボン酸金属化合物を大気雰囲気で熱処理すると、カルボン酸の沸点を超えると、カルボキシル基を構成する酸素イオンと金属イオンとの結合部が最初に分断され、カルボン酸と金属とに分離する。さらに、カルボン酸が飽和脂肪酸から構成される場合は、炭素原子が水素原子に対して過剰となる不飽和構造を持たないため、カルボン酸が気化熱を奪って気化し、カルボン酸の分子量と数とに応じて、カルボン酸の気化が進み、気化が完了すると金属が析出する。こうしたカルボン酸金属化合物として、オクチル酸金属化合物、ラウリン酸金属化合物、ステアリン酸金属化合物などが挙げられる。なお、オクチル酸の沸点は228℃であり、ラウリン酸の沸点は296℃であり、ステアリン酸の沸点は361℃である。従って、これらのカルボン酸金属化合物は、金属イオンと結合するカルボン酸の分子量とカルボン酸の数とに応じて気化熱を奪うため、290℃〜430℃の大気雰囲気で熱分解が完了する。
なお、不飽和脂肪酸からなるカルボン酸金属化合物は、飽和脂肪酸からなるカルボン酸金属化合物に比べて、炭素原子が水素原子に対して過剰になるため、熱分解によって金属酸化物、例えば、オレイン酸銅の場合は、酸化銅(I)Cu2Oと酸化銅(II)CuOとが同時に析出し、酸化銅(I)Cu2Oと酸化銅(II)CuOとを銅に還元する処理費用を要する。特に、酸化銅(I)Cu2Oは、大気雰囲気より酸素がリッチな雰囲気で一度酸化銅(II)CuOに酸化させ、さらに、還元雰囲気で銅に還元させる必要があるため、処理費用がかさむ。
さらに、前記したカルボン酸金属化合物は、容易に合成できる安価な工業用薬品である。すなわち、カルボン酸を強アルカリと反応させるとカルボン酸アルカリ金属化合物が生成される。この後、カルボン酸アルカリ金属化合物を無機金属化合物と反応させると、様々な金属からなるカルボン酸金属化合物が合成される。従って、有機金属化合物の中で最も安価な有機金属化合物である。このため、12段落で説明した無機金属化合物からなる錯体より熱処理温度が高くはなるが、錯体より安価な金属化合物である。
なお、カルボン酸金属化合物の熱分解で析出した金属は、不純物のない活性状態にあるため、隣接する金属微粒子は接触部で互いに金属結合し、金属結合した金属微粒子となって熱分解反応が完了する。このため、金属結合した金属微粒子は、安定した状態にあり凝集しない。従って、第一特徴手段の金属微粒子と同様に、使用するカルボン酸金属化合物の量と有機化合物の量との比率が小さければ、ごくわずかな金属微粒子が互いに金属結合する。比率が大きくなると、金属微粒子の金属結合が増える。さらに比率が大きくなると、金属結合した金属微粒子が、有機化合物の全体にわたって析出する。従って、使用する金属微粒子の用途に応じて、使用するカルボン酸金属化合物の量と有機化合物の量との比率を変えればよい。
以上に説明したように、本特徴手段に依れば、金属化合物として、無機金属化合物からなる錯体より安価な工業用薬品であるカルボン酸金属化合物を用い、290℃〜430℃の熱処理温度で、有機化合物中に均一に分散された金属微粒子の集まりが安価に製造できる。
複数種類のカルボン酸金属化合物の熱分解反応は、複数種類のカルボン酸金属化合物がカルボン酸の沸点を超えると、複数の金属とカルボン酸とに分解する。さらに、カルボン酸が気化熱を奪って気化し、金属イオンに結合するカルボン酸の分子量とカルボン酸の数とに応じて気化が完了し、複数の金属が合金微粒子を形成して、熱分解反応を完了する。このため、合金微粒子は安定した状態にあり凝集しない。また、カルボン酸の気化が完了した後に、合金微粒子が形成されるため、合金微粒子は不純物を含まない。従って、合金微粒子が必要になった時に、必要な量の有機化合物を沸点以上に昇温すれば、経時変化せず、不純物を含まない合金微粒子の集まりが、凝集することなく、必要な量が得られる。
すなわち、同一の飽和脂肪酸におけるカルボキシル基を構成する酸素イオンが、異なる金属イオンに共有結合する複数種類のカルボン酸金属化合物を大気雰囲気で熱処理すると飽和脂肪酸の沸点を超えると、複数種類のカルボン酸金属化合物が同時に飽和脂肪酸と金属とに分解され、さらに、飽和脂肪酸の分子量と数とに応じて飽和脂肪酸の気化が進み、気化が完了した後に、複数種類の金属が同時に析出し、これらの金属はいずれも不純物を持たない活性状態にあるため、合金が生成される。このため14段落で説明した複数種類の無機金属化合物からなる錯体より熱処理温度が高いが、錯体より安価なカルボン酸金属化合物を用いて様々な合金が生成される。
なお、析出した合金は不純物のない活性状態にあるため、隣接する合金微粒子は接触部で互いに金属結合し、金属結合した合金微粒子となって熱分解反応が完了する。このため、金属結合した合金微粒子は、安定した状態にあり凝集しない。従って、第一特徴手段の金属微粒子と同様に、使用する複数種類のカルボン酸金属化合物の量と有機化合物の量との比率が小さければ、ごくわずかな合金微粒子が互いに金属結合する。比率が大きくなると、合金微粒子の金属結合が増える。さらに比率が大きくなると、金属結合した合金微粒子が、有機化合物の全体にわたって析出する。従って、使用する合金微粒子の用途に応じて、使用する複数種類のカルボン酸金属化合物の量と有機化合物の量との比率を変えればよい。
本特徴手段において、複数種類のカルボン酸金属化合物における金属の組み合わせを変える、あるいは、複数種類のカルボン酸金属化合物のモル数の比率を変えると、様々な組成からなる合金微粒子の集まりが得られる。このように、本特徴手段に依れば、無機金属化合物からなる錯体より安価な工業用薬品であるカルボン酸金属化合物を用い、290℃〜430℃の熱処理温度で、有機化合物に分散された様々な組成からなる合金微粒子の集まりが製造される。
従って、カルボン酸金属化合物ないしは複数種類のカルボン酸金属化合物のアルコール分散液に、本特徴手段における有機化合物を混合すると、カルボン酸金属化合物ないしは複数種類のカルボン酸金属化合物と有機化合物とが混合液中に分子状態で均一に分散される。この混合液を290℃〜430℃の大気雰囲気で熱処理すると、有機化合物中でカルボン酸金属化合物が熱分解し、ないしは、複数種類のカルボン酸金属化合物が同時に熱分解し、40nm〜60nmの大きさの粒状の金属微粒子がないしは合金微粒子が、融解した有機化合物中に均一に分散して析出する。この後、冷却すると、固化ないしは融解した有機化合物に分散された金属微粒子ないしは合金微粒子の集まりが製造される。
従って、本特徴手段における有機化合物は、金属微粒子ないしは合金微粒子が均一に分散された有機化合物を構成する。
カルボン酸金属化合物からなる錯体の熱分解反応は、カルボン酸の沸点を超えると、カルボン酸と金属酸化物とに分解する。次に、カルボン酸が気化熱を奪って気化し、金属イオンに配位結合するカルボン酸の分子量とカルボン酸の数とに応じて気化が進み、気化が完了した後に、金属酸化物が微粒子を形成して、熱分解反応を完了する。このため、金属酸化物微粒子は安定した状態にある。また、カルボン酸の気化が完了した後に、金属酸化物微粒子が形成されるため、金属酸化物微粒子は不純物を含まない。このような有機物中に分散された微粒子の集まりは、取り扱いが容易であり、保管が可能になる。従って、金属酸化物微粒子が必要になった時に、必要な量の有機化合物を沸点以上に昇温すれば、経時変化せず、不純物を含まない金属酸化物微粒子の集まりが、必要な量として得られる。
すなわち、カルボン酸のカルボキシル基を構成する酸素イオンが配位子になって、金属イオンに近づいて配位結合するカルボン酸金属化合物からなる錯体は、最も大きいイオンである金属イオンに酸素イオンが近づいて配位結合するため、両者の距離は短くなる。これによって、金属イオンに配位結合する酸素イオンが、金属イオンの反対側で共有結合するイオンとの距離が最も長くなる。こうした分子構造上の特徴を持つカルボン酸金属化合物は、カルボン酸の沸点を超えると、カルボキシル基を構成する酸素イオンが金属イオンの反対側で共有結合するイオンとの結合部が最初に分断され、金属イオンと酸素イオンとの化合物である金属酸化物とカルボン酸とに分解する。さらに昇温すると、カルボン酸が気化熱を奪って気化し、配位結合するカルボン酸の分子量と、配位結合するカルボン酸の数とに応じて、カルボン酸の気化が進み、気化が完了すると、金属酸化物が析出して熱分解を終える。こうしたカルボン酸金属化合物として、酢酸金属化合物、カプリル酸金属化合物、安息香酸金属化合物、ナフテン酸金属化合物などがある。なお、酢酸の沸点は118℃で、カプリル酸の沸点は237℃で、安息香酸の沸点は249℃である。また、ナフテン酸は5員環をもつ飽和脂肪酸の混合物で、一般式ではCnH2n−1COOHで示され、主成分は沸点が268℃で、分子量が170のC9H17COOHからなる。従って、これらカルボン酸金属化合物からなる錯体は、配位結合するカルボン酸の分子量と、配位結合するカルボン酸の数とに応じて、180℃〜340℃の大気雰囲気で熱分解が完了する。
さらに、前記したカルボン酸金属化合物は、容易に合成できる安価な工業用薬品である。すなわち、カルボン酸を強アルカリと反応させるとカルボン酸アルカリ金属化合物が生成される。この後、カルボン酸アルカリ金属化合物を無機金属化合物と反応させると、様々な金属からなるカルボン酸金属化合物が合成される。従って、有機金属化合物の中で最も安価な有機金属化合物である。また、原料となるカルボン酸は、有機酸の沸点の中で相対的に低い沸点を有し、分子量が小さい有機酸であるため、大気雰囲気においては180℃〜340℃程度の熱処理で金属酸化物が析出する。
なお、使用するカルボン酸金属化合物の量と有機化合物の量との比率に応じて、有機化合物に析出する微粒子の量は異なる。つまり、使用するカルボン酸金属化合物の量を減らし、使用する有機化合物の量を増やせば、有機化合物に析出する金属酸化物微粒子の量は微量であり、反対に、使用するカルボン酸金属化合物の量を増やし、使用する有機化合物の量を減らせば、有機化合物に析出する金属酸化物微粒子の量は増大する。また、析出した金属酸化物微粒子は、金属酸化物同士が金属結合や共有結合によって結合せず、有機化合物を気化させて金属酸化物微粒子を取り出すと、個々の微粒子に分かれる。
以上に説明したように、本特徴手段に依れば、金属化合物として、安価な工業用薬品であるカルボン酸金属化合物からなる錯体を用い、180℃〜340℃の低い熱処理温度で、有機化合物中に均一に分散された金属酸化物微粒子の集まりが製造できる。これによって、有機化合物に分散された微粒子の材質が、様々な材質からなる金属酸化物に拡大される。
従って、カルボン酸金属化合物のアルコール分散液に、本特徴手段におけるいずれかの有機化合物を混合すると、カルボン酸金属化合物と有機化合物とが混合液中に分子状態で均一に分散される。この混合液を180℃〜340℃の大気雰囲気で熱処理すると、有機化合物中でカルボン酸金属化合物が熱分解し、40nm〜60nmの大きさの粒状の金属酸化物微粒子が、融解した有機化合物中に均一に分散して析出する。この後、冷却すると、固化ないしは融解した有機化合物に分散された金属酸化物微粒子の集まりが製造される。
従って、本特徴手段における有機化合物は、金属酸化物微粒子が均一に分散された有機化合物を構成する。
第一の工程は、金属化合物をアルコールに分散するだけの処理である。第二の工程は、アルコール分散液に有機化合物を混合して撹拌するだけの処理である。第三の工程は、混合液を熱処理するだけの処理である。いずれも極めて簡単な処理であるため、有機化合物に分散された金属ないしは金属酸化物の微粒子の集まりは安価な製造費用で製造できる。
これによって、金属ないしは金属酸化物の微粒子は外界から遮断され、経時変化を起こさない。また、金属化合物の熱分解反応は、最初に、金属化合物が、金属ないしは金属酸化物と無機物ないしは有機物とに分解する。次に、無機物ないしは有機物が気化熱を奪って気化し、気化が完了した後に、金属ないしは金属酸化物が、微粒子を形成して熱分解反応が完了する。このため、微粒子は不純物を含まない。
なお、ナノサイズの大きさの微粒子は、重量が極微小で比表面積が大きいため、取り扱いが困難である。これに対し、本製造方法で製造した有機物中に分散された金属ないしは金属酸化物の微粒子の集まりは、取り扱いが容易であり、また、保管が可能になる。従って、金属ないしは金属酸化物の微粒子が必要になった時に、必要な量の有機化合物を沸点以上に昇温すれば、経時変化せず、不純物を含まない金属ないしは金属酸化物の微粒子の集まりが、必要な量として得られる。
第一の工程は、複数種類の金属化合物をアルコールに分散するだけの処理である。第二の工程は、アルコール分散液に有機化合物を混合して撹拌するだけの処理である。第三の工程は、混合液を熱処理するだけの処理である。いずれも極めて簡単な処理であるため、有機化合物に分散された合金微粒子の集まりは安価な製造費用で製造できる。
これによって、合金微粒子は外界から遮断され、経時変化を起こさない。また、複数種類の金属化合物の熱分解反応は、最初に、複数種類の金属化合物が同時に熱分解し、複数の金属と無機物ないしは有機物とに分解する。次に、無機物ないしは有機物が気化熱を奪って気化し、気化が完了した後に、複数の金属が、合金微粒子を形成して熱分解反応が完了する。このため、合金微粒子は不純物を含まない。
なお、ナノサイズの大きさの微粒子は、重量が極微小で比表面積が大きいため、取り扱いが困難である。これに対し、本製造方法で製造した有機物中に分散された合金微粒子の集まりは、取り扱いが容易であり、また、保管が可能になる。従って、合金微粒子が必要になった時に、必要な量の有機化合物を沸点以上に昇温すれば、経時変化せず、不純物を含まない合金微粒子の集まりが、必要な量として得られる。
第一の工程は、錯体をアルコールに分散するだけの処理である。第二の工程は、アルコール分散液に有機化合物を混合して撹拌するだけの処理である。第三の工程は、混合液を熱処理するだけの処理である。いずれも極めて簡単な処理であるため、有機化合物に分散された金属微粒子の集まりは安価な製造費用で製造できる。
これによって、安価な工業用薬品である錯体を用い、180℃〜220℃の低い熱処理温度で、有機化合物中に均一に分散された金属微粒子の集まりが製造できる。この結果、金属微粒子は外界から遮断され、経時変化を起こさない。また、錯体の熱分解反応は、最初に、錯体が、金属と無機物とに分解する。次に、無機物が気化熱を奪って気化し、気化が完了した後に、金属が微粒子を形成して熱分解反応が完了する。このため、金属微粒子は不純物を含まない。
なお、ナノサイズの大きさの微粒子は、重量が極微小で比表面積が大きいため、取り扱いが困難である。これに対し、本製造方法で製造した有機物中に分散された金属微粒子の集まりは、取り扱いが容易であり、また、保管が可能になる。従って、金属微粒子が必要になった時に、必要な量の有機化合物を沸点以上に昇温すれば、経時変化せず、不純物を含まない金属微粒子の集まりが、必要な量として得られる。
第一の工程は、複数種類の錯体をアルコールに分散するだけの処理である。第二の工程は、アルコール分散液に有機化合物を混合して撹拌するだけの処理である。第三の工程は、混合液を熱処理するだけの処理である。いずれも極めて簡単な処理であるため、有機化合物に分散された合金微粒子の集まりは安価な製造費用で製造できる。
これによって、安価な工業用薬品である錯体を用い、180℃〜220℃の低い熱処理温度で、有機化合物中に均一に分散された合金微粒子の集まりが製造できる。この結果、合金微粒子は外界から遮断され、経時変化を起こさない。また、複数種類の錯体の熱分解反応は、最初に、複数種類の錯体が、複数の金属と無機物とに分解する。次に、無機物が気化熱を奪って気化し、気化が完了した後に、複数の金属が合金微粒子を形成して熱分解反応が完了する。このため、合金微粒子は不純物を含まない。
なお、ナノサイズの大きさの微粒子は、重量が極微小で比表面積が大きいため、取り扱いが困難である。これに対し、本製造方法で製造した有機物中に分散された合金微粒子の集まりは、取り扱いが容易であり、また、保管が可能になる。従って、合金微粒子が必要になった時に、必要な量の有機化合物を沸点以上に昇温すれば、経時変化せず、不純物を含まない合金微粒子の集まりが、必要な量として得られる。
第一の工程は、カルボン酸金属化合物をアルコールに分散するだけの処理である。第二の工程は、アルコール分散液に有機化合物を混合して撹拌するだけの処理である。第三の工程は、混合液を熱処理するだけの処理である。いずれも極めて簡単な処理であるため、有機化合物に分散された金属微粒子の集まりは安価な製造費用で製造できる。
これによって、無機金属化合物からなる錯体より安価な工業用薬品であるカルボン酸金属化合物を用い、290℃〜430℃の熱処理温度で、有機化合物中に均一に分散された金属微粒子の集まりが製造できる。この結果、金属微粒子は外界から遮断され、経時変化を起こさない。また、カルボン酸金属化合物の熱分解反応は、最初に、カルボン酸金属化合物が、金属とカルボン酸とに分解する。次に、カルボン酸が気化熱を奪って気化し、気化が完了した後に、金属が微粒子を形成して熱分解反応が完了する。このため、金属微粒子は不純物を含まない。
なお、ナノサイズの大きさの微粒子は、重量が極微小で比表面積が大きいため、取り扱いが困難である。これに対し、本製造方法で製造した有機物中に分散された金属微粒子の集まりは、取り扱いが容易であり、また、保管が可能になる。従って、金属微粒子が必要になった時に、必要な量の有機化合物を沸点以上に昇温すれば、経時変化せず、不純物を含まない金属微粒子の集まりが、必要な量として得られる。
第一の工程は、複数種類のカルボン酸金属化合物をアルコールに分散するだけの処理である。第二の工程は、アルコール分散液に有機化合物を混合して撹拌するだけの処理である。第三の工程は、混合液を熱処理するだけの処理である。いずれも極めて簡単な処理であるため、有機化合物に分散された合金微粒子の集まりは安価な製造費用で製造できる。
これによって、無機金属化合物からなる錯体より安価な工業用薬品である複数種類のカルボン酸金属化合物を用い、290℃〜430℃の熱処理温度で、有機化合物中に均一に分散された合金微粒子の集まりが製造できる。この結果、合金微粒子は外界から遮断され、経時変化を起こさない。また、複数種類のカルボン酸金属化合物の熱分解反応は、最初に、複数種類のカルボン酸金属化合物が、複数の金属とカルボン酸とに分解する。次に、カルボン酸が気化熱を奪って気化し、気化が完了した後に、複数の金属が微粒子を形成して熱分解反応が完了する。このため、合金微粒子は不純物を含まない。
なお、ナノサイズの大きさの微粒子は、重量が極微小で比表面積が大きいため、取り扱いが困難である。これに対し、本製造方法で製造した有機物中に分散された合金微粒子の集まりは、取り扱いが容易であり、また、保管が可能になる。従って、合金微粒子が必要になった時に、必要な量の有機化合物を沸点以上に昇温すれば、経時変化せず、不純物を含まない合金微粒子の集まりが、必要な量として得られる。
第一の工程は、錯体をアルコールに分散するだけの処理である。第二の工程は、アルコール分散液に有機化合物を混合して撹拌するだけの処理である。第三の工程は、混合液を熱処理するだけの処理である。いずれも極めて簡単な処理であるため、有機化合物に分散された金属酸化物微粒子の集まりは安価な製造費用で製造できる。
これによって、安価な工業用薬品であるカルボン酸金属化合物を用い、180℃〜340℃の熱処理温度で、有機化合物中に均一に分散された金属酸化物微粒子の集まりが製造できる。この結果、金属酸化物微粒子は外界から遮断され、経時変化を起こさない。また、カルボン酸金属化合物の熱分解反応は、最初に、金属酸化物とカルボン酸とに分解する。次に、カルボン酸が気化熱を奪って気化し、気化が完了した後に、金属酸化物が微粒子を形成して熱分解反応が完了する。このため、金属酸化物微粒子は不純物を含まない。
なお、ナノサイズの大きさの微粒子は、重量が極微小で比表面積が大きいため、取り扱いが困難である。これに対し、本製造方法で製造した有機物中に分散された金属酸化物微粒子の集まりは、取り扱いが容易であり、また、保管が可能になる。従って、金属酸化物微粒子が必要になった時に、必要な量の有機化合物を沸点以上に昇温すれば、経時変化せず、不純物を含まない金属酸化物微粒子の集まりが、必要な量として得られる。
最初に、アルコールに分散する金化合物を説明する。塩化金はアルコールに溶解し、金イオンが溶出し、多くの金イオンが金微粒子の析出に参加できない。従って、金化合物は溶剤に溶解せず、溶剤に分散する性質を持つことが必要になる。また、酸化金、水酸化金などの無機金化合物はアルコール類に分散しない。このため、前記した無機金化合物は、金化合物として適切でない。
いっぽう、金化合物は金を析出する性質を持つ。金化合物から金が生成される化学反応の中で、最も簡単な化学反応に熱分解反応がある。さらに、金化合物の熱分解温度が低ければ、熱処理温度が低くなり、有機化合物に分散された金微粒子の集まりが安価に製造できる。いっぽう、無機物からなる分子ないしはイオンが配位子となって、金イオンに配位結合する金錯イオンを有する無機金化合物からなる金錯体は、無機物の分子量が小さければ、還元雰囲気での熱分解温度は低い。また、他の金錯イオンを有する錯体より合成が容易で安価な工業用薬品である。
すなわち、金錯体を構成する分子の中で、金イオンが最も大きい。ちなみに、金原子の3重結合の共有結合半径は123pmであり、窒素原子の単結合の共有結合半径の71pmであり、酸素原子の単結合の共有結合半径は63pmである。このため、配位子が金イオンに配位結合する配位結合部の距離が最も長い。従って、還元雰囲気の熱処理では、最初に配位結合部が分断され、金と無機物とに分解し、無機物の気化が完了した後に金が析出する。
このような無機金化合物からなる金錯体として、塩素イオンCl−が配位子となって金イオンに配位結合するテトラクロロ金イオン[AuCl4]−を有する金錯体と、シアン化物イオンCN−が配位子となって金イオンに配位結合するジシアノ金イオン[Au(CN)2]−を有する金錯体は、配位子が最も低分子量で、配位子の数が少ないため、他の金錯イオンを有する金錯体に比べて合成が容易であり、最も安価に製造できる。こうした金錯体は、アンモニアガスや水素ガスなどの還元性雰囲気で熱処理すると、配位結合部位が最初に分断され、200℃程度の低い温度で無機物の気化が完了して金が析出する。また、メタノールやn−ブタノールなどのアルコールに10重量%近くの分散濃度まで分散する。このような金錯体として、例えば、テトラクロロ金(III)酸水素(四水和物)H[AuCl4]・4H2Oがある。
また、熱分解で銅を析出する無機銅化合物からなる銅錯体として、アンモニアNH3が配位子となって銅イオンに配位結合するテトラアンミン銅イオン[Cu(NH3)4]2+やヘキサアンミン銅イオン[Cu(NH3)6]2+を有する銅錯体や、塩素イオンCl−が配位子になって銅イオンに配位結合するテトラクロロ銅イオン[CuCl4]2−を有する銅錯体は、配位子が最も低分子量で、配位子の数が少ないため、他の銅錯イオンを有する錯体に比べて合成が容易であり、安価な製造費用で製造できる。また、こうした銅錯体は、アンモニアガスや水素ガスなどの還元性雰囲気で熱処理すると、配位結合部位が最初に分断され、200℃程度の比較的低い温度で熱分解が完了する。さらに、メタノールやn−ブタノールなどのアルコールに10重量%近くの分散濃度まで分散する。このような銅錯体として、例えば、テトラアンミン銅(II)硝酸塩[Cu(NH3)4](NO3)2やヘキサアンミン銅(II)硫酸塩[Cu(NH3)6]SO4がある。
さらに、熱分解でニッケルを析出する無機ニッケル化合物からなるニッケル錯体として、アンモニアNH3が配位子となってニッケルイオンに配位結合するヘキサアンミンニッケルイオン[Ni(NH3)6]2+からなるニッケル錯体は、配位子が低分子量で、配位子の数が少ないため、他のニッケル錯イオンを有する錯体に比べて合成が容易であり、最も安価に製造できる。こうした分子量が小さい配位子からなるニッケル錯体は、アンモニアガスや水素ガスなどの還元性雰囲気で熱処理すると、配位結合部位が最初に分断され、200℃程度の低い温度で熱分解が完了する。また、メタノールやn−ブタノールなどのアルコールに10重量%近くの分散濃度まで分散する。このようなニッケル錯錯体として、例えば、ヘキサアンミンニッケル(II)塩化物[Ni(NH3)6]Cl2がある。
以上に説明したように、無機物のイオンないしは分子が配位子になって、金属イオンに配位結合する金属錯イオンを有する無機金属化合物からなる錯体は、無機物が低分子量で、配位子の数が少ないため、熱分解温度が最も低く、合成が容易で最も安価な金属錯イオンを有する錯体である。また有機化合物に分散された合金微粒子の集まりを製造する場合は、同一の配位子が異なる金属イオンに配位結合する異なる金属錯イオンを有する複数種類の錯体を用いる。つまり、複数種類の錯体が同一の配位子から構成されるため、複数種類の錯体が同時に無機物と複数種類の金属とに熱分解し、無機物が気化した後に、錯体のモル濃度に応じて複数種類の金属が析出する。複数種類の金属は不純物を持たない活性状態にあるため、複数種類の金属からなる合金が生成される。
最初に、アルコールに分散するアルミニウム化合物を説明する。塩化アルミニウムは水に溶け、水酸化アルミニウムと塩酸に加水分解する。また、水酸化アルミニウムはアルコールに分散しない。さらに、硫酸アルミニウムはアルコールに溶解し、アルミニウムイオンが溶出し、多くのアルミニウムイオンがアルミニウムの析出に参加できない。また、酸化アルミニウムはアルコールに分散しない。このため、このような無機アルミニウム化合物は、アルコールに分散する性質を持たない。
いっぽう、42段落で説明した分子量が小さい無機物の分子ないしはイオンが、アルミニウムイオンに配位結合するアルミニウム錯イオンを有する錯体として、水H2Oが配位子となってアルミニウムイオンに配位結合するアクアアルミニウム錯イオンからなる錯体があるが、熱分解で酸化アルミニウムを析出するため、有機アルミニウム化合物が望ましい。
有機アルミニウム化合物は、アルミニウムを析出する。有機アルミニウム化合物からアルミニウムが生成される化学反応の中で、最も簡単な化学反応に熱分解反応がある。さらに、合成が容易でれば、有機アルミニウム化合物が安価に製造できる。こうした性質を兼備する有機アルミニウム化合物に、カルボン酸のカルボキシル基を構成する酸素イオンがアルミニウムイオンに共有結合するカルボン酸アルミニウム化合物がある。
つまり、カルボン酸アルミニウム化合物を構成するイオンの中で、最も大きいイオンはアルミニウムイオンである。従って、カルボン酸のカルボキシル基を構成する酸素イオンが、アルミニウムイオンに共有結合すれば、アルミニウムイオンとカルボキシル基を構成する酸素イオンとの距離が、イオン同士の距離の中で最も長い。こうしたカルボン酸アルミニウム化合物を大気雰囲気で昇温させると、カルボン酸アルミニウム化合物を構成するカルボン酸の沸点を超えると、カルボン酸とアルミニウムとに分解する。さらに昇温すると、カルボン酸が飽和脂肪酸で構成されれば、カルボン酸が気化熱を伴って気化し、カルボン酸の気化した後にアルミニウムが析出する。なお、還元雰囲気でのカルボン酸アルミニウム化合物の熱分解は、大気雰囲気での熱分解より高温側で進むため、大気雰囲気での熱分解のほうが熱処理費用は安価で済む。また、カルボン酸が不飽和脂肪酸であれば、炭素原子が水素原子に対して過剰になるため、不飽和脂肪酸からなるカルボン酸アルミニウム化合物が熱分解すると、酸化アルミニウムが析出する。
いっぽう、カルボン酸アルミニウム化合物の中で、カルボン酸のカルボキシル基を構成する酸素イオンが配位子となってアルミニウムイオンに近づいて配位結合するカルボン酸アルミニウムは、アルミニウムイオンと酸素イオンとの距離が短くなり、反対に、酸素イオンがアルミニウムイオンと反対側で結合するイオンとの距離が最も長くなる。このような分子構造の特徴を持つカルボン酸アルミニウム化合物の熱分解反応は、酸素イオンがアルミニウムイオンと反対側で結合するイオンとの結合部が最初に分断され、この結果、酸化アルミニウムが析出する。
さらに、カルボン酸アルミニウム化合物は合成が容易で、最も安価な有機アルミニウム化合物である。つまり、カルボン酸を水酸化ナトリウムなどの強アルカリ溶液中で反応させると、カルボン酸アルカリ金属化合物が生成される。このカルボン酸アルカリ金属化合物を、硫酸アルミニウムなどの無機アルミニウム化合物と反応させると、カルボン酸アルミニウム化合物が生成される。このため、有機アルミニウム化合物の中で最も安価である。
カルボン酸アルミニウム化合物の組成式はAl(COOR)3で表わせられる。Rは炭化水素で、この組成式はCmHnである(ここでmとnとは整数)。カルボン酸アルミニウム化合物を構成する物質の中で、組成式の中央に位置するアルミニウムイオンAl3+が最も大きい。従って、アルミニウムイオンAl3+とカルボキシル基を構成する酸素イオンO−とが共有結合する場合は、アルミニウムイオンAl3+と酸素イオンO−との距離が最大になる。この理由は、アルミニウム原子の3重結合における共有結合半径は111pmであり、酸素原子の2重結合における共有結合半径は57pmであり、炭素原子の2重結合における共有結合半径は67pmであることによる。このため、このような分子構造の特徴を持つカルボン酸アルミニウム化合物は、カルボン酸の沸点を超えると、結合距離が最も長いアルミニウムイオンとカルボキシル基を構成する酸素イオンとの結合部が最初に分断され、アルミニウムとカルボン酸とに分離する。さらに昇温すると、カルボン酸が飽和脂肪酸であれば、カルボン酸が気化熱を伴って気化し、カルボン酸の気化が完了した後にアルミニウムが析出する。こうしたカルボン酸アルミニウム化合物として、オクチル酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウムなどがある。このようなカルボン酸アルミニウム化合物の多くは、金属石鹸として市販されている安価な工業用薬品である。
さらに、飽和脂肪酸で構成されるカルボン酸アルミニウム化合物について、飽和脂肪酸の沸点が低ければ、カルボン酸アルミニウム化合物は低い温度で熱分解し、アルミニウムを析出させる熱処理費用が安価で済む。飽和脂肪酸を構成する炭化水素が長鎖構造である場合は、長鎖が長いほど、つまり、飽和脂肪酸の分子量が大きいほど、飽和脂肪酸の沸点が高くなり、飽和脂肪酸の気化熱が大きいため、熱分解温度が高くなる。ちなみに、分子量が200.3であるラウリン酸の大気圧での沸点は296℃であり、分子量が284.5であるステアリン酸の大気圧での沸点は361℃である。
また、飽和脂肪酸が分岐鎖構造を有する飽和脂肪酸である場合は、直鎖構造の飽和脂肪酸より鎖の長さが短く、沸点がさらに低くなり、気化熱も小さい。これによって、分岐鎖構造を有する飽和脂肪酸からなるカルボン酸アルミニウム化合物は、さらに低い温度で熱分解温度する。また、分岐鎖構造を有する飽和脂肪酸は極性を持つため、分岐鎖構造を有する飽和脂肪酸からなるカルボン酸アルミニウム化合物も極性を持ち、アルコールなどの極性を持つ有機溶剤に相対的に高い割合で分散する。このような分岐構造の飽和脂肪酸としてオクチル酸がある。オクチル酸は構造式がCH3(CH2)3CH(C2H5)COOHで示され、CHでCH3(CH2)3とC2H5とのアルカンに分岐され、CHにカルボキシル基COOHが結合する。オクチル酸の大気圧での沸点は228℃であり、ラウリン酸より沸点が68℃低い。このため、アルミニウムを析出する原料として、オクチル酸アルミニウムAl(C7H15COO)3が望ましい。オクチル酸アルミニウムは、大気雰囲気において290℃で熱分解が完了してアルミニウムが析出し、メタノールやn−ブタノールなどに10重量%近く分散する。
また、同様に、銅を析出する原料としてオクチル酸銅Cu(C7H15COO)2が、鉄を析出する原料としてオクチル酸鉄Fe(C7H15COO)3が、ニッケルを析出する原料としてオクチル酸ニッケルNi(C7H15COO)2が、最も望ましい。
いっぽう、合金を生成する原料として、複数種類のオクチル酸金属化合物が望ましい。つまり、複数種類のオクチル酸金属化合物は、オクチル酸の沸点を超えると、複数種類のオクチル酸金属化合物が同時に熱分解し、オクチル酸の気化が完了した後に、オクチル酸金属化合物のモル濃度に応じて複数種類の金属が析出する。複数種類の金属は不純物を持たない活性状態にあるため、複数種類の金属からなる合金が生成される。
最初に、アルコールに分散する鉄化合物を説明する。塩化鉄(II)、酢酸鉄(II)、硝酸鉄(II)および硫酸鉄(II)はアルコールに溶け、鉄イオンが溶出し、多くの鉄イオンが鉄の析出に参加できない。水酸化鉄(II)はアルコールに分散しない。このため、これら無機鉄化合物は、アルコールに分散する性質を持たない。
いっぽう、42段落で説明した分子量が小さい無機物の分子ないしはイオンが、鉄イオンに配位結合する鉄錯イオンを有する錯体として、テトラクロリド鉄錯イオ音[FeCl4]−やヘキサシアニド鉄錯イオン[Fe(CN)6]4−、[Fe(CN)6]3−などがあるが、42段落で説明した錯体と同様に、還元雰囲気で熱分解すると鉄が析出する。このため、有機鉄化合物が望ましい。
さらに、有機鉄化合物は、熱分解によって酸化鉄(II)FeOを析出する性質を持つことが必要になる。つまり、酸化鉄(II)FeOを大気中で昇温すると、酸化鉄(II)FeOを構成する2価の鉄イオンFe2+の一部が酸化して三価の鉄イオンFe3+になり、FeO・Fe2O3の組成式で表さられるマグネタイトFe3O4になる。このマグネタイトFe3O4は、強磁性で導電性の酸化物であり、フェライトの原料としてよく知られている。さらに大気中で昇温すると、2価の鉄イオンFe2+の全てが酸化されて三価の鉄イオンFe3+になり、酸化鉄(III)Fe2O3のγ相であるマグヘマイトγ‐Fe2O3になる。このマグヘマイトγ‐Fe2O3は、強磁性で絶縁性の酸化物であり、磁気記録媒体の原料としてよく知られている。
有機鉄化合物を構成する物質の中で、最も大きい共有結合半径を持つ物質は鉄イオンFe2+である。いっぽう、鉄イオンFe2+とカルボキシル基を構成する酸素イオンO−とが共有結合するカルボン酸鉄化合物、例えば、オクチル酸鉄は、鉄イオンと酸素イオンとの距離が最大になるため、43段落で説明したように熱分解によって鉄を析出する。従って、熱分解によって酸化鉄(II)FeOを析出する有機鉄化合物は、鉄イオンFe2+と結合する酸素イオンO−との距離が短く、酸素イオンO−が鉄イオンFe2+の反対側で結合するイオンと結合する距離が長い分子構造上の特徴を持つ必要がある。つまり、有機鉄化合物の熱分解が始まると、酸素イオンO−が鉄イオンFe2+の反対側で結合するイオンと結合する部位が最初に切れ、鉄イオンFe2+と結合した酸素イオンO−、つまり、酸化鉄(II)FeOと有機酸とに分解する。このような分子構造の特徴を持つ有機鉄化合物として、カルボキシル基を構成する酸素イオンO−が配位子になって鉄イオンFe2+に近づいて配位結合するカルボン酸鉄化合物からなる錯体がある。
また、有機金属化合物の中でカルボン酸金属化合物は、43段落で説明したように合成が容易で、有機酸の沸点が低いため熱分解温度が比較的低い。このため、カルボキシル基を構成する酸素イオンが、配位子となって金属イオンに近づいて配位結合するカルボン酸金属化合物からなる錯体は、安価な工業用薬品であり、熱処理費用も安価で済む。こうしたカルボン酸金属化合物として、酢酸金属化合物、カプリル酸金属化合物、安息香酸金属化合物、ナフテン酸金属化合物などが挙げられる。このようなカルボン酸金属化合物は、カルボン酸の分子量と、配位結合するカルボン酸の数とに応じて熱分解反応が進む。なお、酢酸の沸点は118℃で、カプリル酸の沸点は237℃で、安息香酸の沸点は249℃である。また、ナフテン酸は5員環をもつ飽和脂肪酸の混合物で,一般式ではCnH2n−1COOHで示され、主成分は沸点が268℃で、分子量が170のC9H17COOHからなる。いっぽう、カルボン酸鉄化合物においては、酢酸鉄とカプリル酸鉄と安息香酸鉄とは、酸素イオンが鉄イオンに近づいて配位結合して、複核錯塩を形成するが、熱分解の途上においては不安定な物質であるため取り扱いが難しい。従って、酸化鉄FeOを析出するカルボン酸鉄としては、ナフテン酸鉄が望ましい。さらに、ナフテン酸鉄はn‐ブタノールに対して10重量%近くまで分散する。
なお、カルボン酸のカルボキシル基を構成する酸素イオンが配位子になって、金属イオンに配位結合するカルボン酸金属化合物は有機金属化合物からなる錯体である。一方、42段落で説明した錯体は、無機物の分子ないしはイオンが配位子となって、金属イオンに配位結合する金属錯イオンを有する無機金属化合物からなる錯体である。また、無機物の分子ないしはイオンからなる配位子が、カルボン酸に比べて分子量が小さいため、無機金属化合物からなる錯体の熱分解温度は、カルボン酸金属化合物の熱分解温度より低い。
第一のエステル類である飽和カルボン酸からなるエステル類の中では、メタノールに溶解し、融点がメタノールの沸点より低く、沸点が220℃より高いカルボン酸エステルは、カプロン酸ブチルより分子量が大きいカルボン酸エステルである。ちなみに、カプロン酸ブチルの沸点は207℃であり、カプロン酸プロピルの沸点は253℃である。従って、金属錯イオンを有する錯体と金属酸化物を析出する一部のカルボン酸金属化合物とが微粒子の原料となって、カプロン酸ブチルより分子量が大きいカルボン酸エステルに、微粒子の集まりが分散できる。
また、飽和カルボン酸からなるエステル類の中で、メタノールに溶解し、融点がメタノールの沸点より低く、沸点が290℃より高い性質を持つカルボン酸エステルは、ミリスチン酸エチル以上の分子量が大きいカルボン酸エステルである。ちなみに、ミリスチン酸エチルの沸点は295℃である。従って、金属ないしは金属酸化物を析出する一部のカルボン酸金属化合物が、さらに微粒子の原料として加わり、ミリスチン酸エチル以上の分子量が大きいカルボン酸エステルに、微粒子の集まりが分散できる。
さらに、飽和カルボン酸からなるエステル類の中で、メタノールに溶解ないしは混和し、融点がメタノールの沸点より低く、沸点が430℃より高い性質を持つカルボン酸エステルは、ステアリン酸オクチル以上の分子量が大きいカルボン酸エステルである。ちなみに、ステアリン酸オクチルの沸点は432℃である。従って、全てのカルボン酸金属化合物が、さらに微粒子の原料として加わり、ステアリン酸オクチルより分子量が大きいカルボン酸エステルに、微粒子の集まりが分散できる。
第二のエステル類である不飽和カルボン酸からなるエステル類の中で、メタノールに溶解し、融点がメタノールの沸点より低く、沸点が220℃より高い性質を持つカルボン酸エステルは、メタクリル酸プロピルより分子量が大きいカルボン酸エステルである。ちなみに、メタクリル酸プロピルの沸点は141℃で、メタクリル酸オクチルの沸点は235℃である。従って、金属錯イオンを有する錯体と金属酸化物を析出する一部のカルボン酸金属化合物とが微粒子の原料となって、メタクリル酸プロピルより分子量が大きいカルボン酸エステルに、微粒子の集まりが分散できる。
また、不飽和カルボン酸からなるエステル類の中で、メタノールに溶解し、融点がメタノールの沸点より低く、沸点が290℃より高い性質を持つカルボン酸エステルは、メタクリル酸フェニルより分子量が大きいカルボン酸エステルである。ちなみに、メタクリル酸フェニルの沸点は249℃で、オレイン酸メチルの沸点は351℃である。従って、金属ないしは金属酸化物を析出する一部のカルボン酸金属化合物が、さらに微粒子の原料として加わり、メタクリル酸フェニルより分子量が大きいカルボン酸エステルに、微粒子の集まりが分散できる。
さらに、不飽和カルボン酸からなるエステル類の中で、メタノールに溶解ないしは混和し、融点がメタノールの沸点より低く、沸点が430℃より高い性質を持つカルボン酸エステルは、オレイン酸プロピルより分子量が大きいカルボン酸エステルである。ちなみに、オレイン酸プロピルの沸点は401℃で、オレイン酸オクチルの沸点は469℃である。従って、全てのカルボン酸金属化合物が、さらに微粒子の原料として加わり、オレイン酸プロピルより分子量が大きいカルボン酸エステルに、微粒子の集まりが分散できる。
第三のエステル類である芳香族カルボン酸からなるエステル類の中で、メタノールに溶解し、融点がメタノールの沸点より低く、沸点が220℃より高い性質を持つカルボン酸エステルは、安息香酸エチルより分子量が大きいカルボン酸エステルである。ちなみに、安息香酸エチルの沸点は212℃で、安息香酸プロピルの沸点は230℃である。従って、金属錯イオンを有する錯体と金属酸化物を析出する一部のカルボン酸金属化合物とが微粒子の原料となって、安息香酸エチルより分子量が大きいカルボン酸エステルに、微粒子の集まりが分散できる。
また、芳香族カルボン酸からなるエステル類の中で、メタノールに溶解ないしは混和し、融点がメタノールの沸点より低く、沸点が290℃より高い性質を持つカルボン酸エステルは、フタル酸ジエチルより分子量が大きいカルボン酸エステルである。ちなみに、フタル酸ジエチルの沸点は295℃で、フタル酸ジブチルの沸点は340℃である。従って、金属ないしは金属酸化物を析出する一部のカルボン酸金属化合物が、さらに微粒子の原料として加わり、フタル酸ジエチルより分子量が大きいカルボン酸エステルに、微粒子の集まりが分散できる。
さらに、芳香族カルボン酸からなるエステル類の中で、メタノールに溶解ないしは混和し、融点がメタノールの沸点より低く、沸点が430℃より高い性質を持つカルボン酸エステルはなく、フタル酸ジイソデシルの沸点が420℃で最も高い。
以上に説明したように、多くのカルボン酸エステル類が、45段落で説明した3つの性質を兼備し、微粒子の集まりを分散することができる。
エチレングリコールは、メタノール溶解し、メタノールの沸点より融点が低く、沸点が197℃の液状モノマーである。さらに、ジエチレングリコールは、メタノールに溶解し、メタノールの沸点より融点が低く、沸点が244℃の液状モノマーである。さらに、プロピレングリコールは、メタノールと混和し、メタノールの沸点より融点が低く、沸点が188℃の液状モノマーである。さらに、ジプロピレングリコールは、メタノールと混和し、メタノールの沸点より融点が低く、沸点が232℃の液状モノマーである。また、トリプロピレングリコールは、メタノールと混和し、メタノールの沸点より融点が低く、沸点が265℃の液状モノマーである。従って、金属錯イオンを有する錯体と金属酸化物を析出する一部のカルボン酸金属化合物とが微粒子の原料となって、ジエチレングリコールとジフロピレングリコールとトリプロピレングリコールとに、微粒子の集まりが分散できる。
以上に説明したように、グリコール類の中に、45段落で説明した3つの性質を兼備するグリコールがあり、これらグリコールに微粒子の集まりを分散することができる。
最初に、エチレングリコール系エーテルの中で、メタノールに溶解し、融点がメタノールの沸点より低く、沸点が220℃より高い性質を持つものは、沸点が229℃の2エチルヘキシルグリコールと、沸点が231℃の部ジルジグリコールと、沸点が245℃のフェニルグリコールと、沸点が249℃のメチルトリグリコールと、沸点が256℃のベンジルグリコールと、沸点が259℃のヘキシルジグリコールと、沸点が271℃のブチルトリグリコールと、沸点が272℃の2エチルヘキシルグリコールと、沸点が283℃のフェニルジグリコールと、沸点が295℃のメチルポリグリコールとがある。従って、金属錯イオンを有する錯体と金属酸化物を析出する一部のカルボン酸金属化合物とが微粒子の原料となり、これらのエチレングリコール系エーテルに微粒子の集まりが分散できる。
また、エチレングリコール系エーテルの中で、メタノールに溶解し、融点がメタノールの沸点より低く、沸点が290℃より高い性質を持つものに、沸点が302℃のベンジルジグリコールがある。従って、金属ないしは金属酸化物を析出する一部のカルボン酸金属化合物が、さらに微粒子の原料として加わり、ベンジルジグリコールに微粒子の集まりが分散できる。
次に、プロピレングリコール系エーテルの中で、メタノールに溶解し、融点がメタノールの沸点より低く、沸点が220℃より高い性質を持つものは、沸点が231℃のブチルプロピレンジグリコールと、沸点が242℃のメチルプロピレンジグリコールと、沸点が243℃のフェニルプロピレングリコールと、沸点が最も高い274℃のブチルプロピレントリグリコールとがある。従って、金属錯イオンを有する錯体と金属酸化物を析出する一部のカルボン酸金属化合物とが微粒子の原料となり、これらのプロピレングリコール系エーテルに微粒子の集まりが分散できる。
さらに、ジアルキルグリコールエーテルの中で、メタノールに溶解し、融点がメタノールの沸点より低く、沸点が220℃より高い性質を持つものは、沸点が255℃のジブチルジグリコールのみがある。従って、金属錯イオンを有する錯体と金属酸化物を析出する一部のカルボン酸金属化合物とが微粒子の原料となって、ジブチルジグリコールに微粒子の集まりを分散する。
以上に説明したように、グリコールエーテル類の中に、45段落で説明した3つの性質を兼備するグリコールエーテルがあり、これらグリコールエーテルに微粒子の集まりを分散することができる。
最初に、オクチル酸鉄の48.6g(0.1モルに相当する)を0.5リットルのメタノールに分散する。この分散液に、フタル酸ジブチル83.5g(0.3モルに相当する)を投入して攪拌する。この混合液の一部を容器に充填し、容器を75℃に昇温してメタノールを気化させた。さらに、容器を大気雰囲気の290℃に昇温された熱処理炉に1分間入れ、オクチル酸鉄を熱分解した。この後、作成した試料を取り出し、350℃の窒素雰囲気に5分間放置して、フタル酸ジブチルを気化させ、微粒子の集まりを析出させた。
次に、析出した微粒子の集まりについて、電子顕微鏡で観察と分析とを行なった。電子顕微鏡は、JFEテクノリサーチ株式会社の極低加速電圧SEMを用いた。この装置は、100Vからの極低加速電圧による表面観察が可能で、試料に導電性の被膜を形成せずに直接試料の表面が観察できる特徴を持つ。電子顕微鏡による観察は次の3つの手法によった。
最初に、析出した微粒子の集まりについて、反射電子線の900V〜1kVの間にある2次電子線を取り出して画像処理を行なった。粉体は、40nm〜60nmの大きさからなる粒状の微粒子が、数個程度結合し、この結合した微粒子の集まりで構成されていた。
次に、析出した微粒子の集まりについて、反射電子線の900V〜1kVの間にあるエネルギーを抽出して画像処理を行い、画像の濃淡によって微粒子の材質を観察した。濃淡が認められないため、粒状微粒子の集まりは同一の元素から形成されていることが分かった。
さらに、析出した微粒子の集まりについて、特性X線のエネルギーとその強度を画像処理し、粒状微粒子を構成する元素を分析した。鉄原子のみが存在することが確認できた。
これらの結果から次のことが分かった。フタル酸ジブチルに、オクチル酸鉄の微細結晶を分散させて熱処理すると、40nm〜60nmの大きさからなる鉄微粒子が析出し、鉄微粒子は不純物を含まないため、隣接する鉄微粒子が接触部で数個程度金属結合し、結合した鉄微粒子の集まりが、フタル酸ジブチルに分散して析出する。さらに、フタル酸ジブチルを気化させると、数個程度金属結合した鉄微粒子の集まりが析出する。図1に、この結果を模式的に図示する。図1は、フタル酸ジブチル1に、金属結合した鉄微粒子2が分散して析出した状態を拡大して図示した図である。
最初に、オクチル酸鉄の0.1モルを0.5リットルのメタノールに分散し、この分散液に0.1モルのフタル酸ジブチルを混合して撹拌した。この混合液の一部を容器に充填し、容器を75℃に昇温してメタノールを気化させ、さらに、容器を大気雰囲気の290℃に昇温された熱処理炉に1分間入れ、オクチル酸鉄を熱分解した。この後、作成した試料を取り出し、350℃の窒素雰囲気に1分間放置し、フタル酸ジブチルを気化させ微粒子の集まりを析出させた。
実施例1と同様に、析出した微粒子の集まりを、電子顕微鏡で観察と分析とを行なった。析出した微粒子の集まりは、実施例1と同様に40nm〜60nmの大きさからなる鉄微粒子であり、鉄微粒子は十数個程度が結合し、この結合した微粒子の集まりで構成されていた。
実施例2は実施例1に比べると、フタル酸ジブチルのモル数に対してオクチル酸鉄のモル数を3倍とした。このため、混合液のメタノールを気化させると、フタル酸ジブチルに均一に分散したオクチル酸鉄の微細結晶の濃度は3倍増える。この後、オクチル酸鉄を熱分解すると、鉄微粒子の析出頻度が高まり、隣接する鉄微粒子が接触部で金属結合する鉄微粒子の数が増え、結果として、実施例1では、数個程度の鉄微粒子が結合したのに対し、実施例2では十数個の鉄微粒子が金属結合した。図2に、この結果を模式的に図示する。図2は、フタル酸ジブチル3に、十数個程度が金属結合した鉄微粒子4が分散して析出した状態を拡大して模式的に図示した図である。
さらに、実施例2より、フタル酸ジブチルのモル数に対するオクチル酸鉄のモル数を増やせば、結合する鉄微粒子の数が増える。反対に、実施例1より、オクチル酸鉄のモル数を減らせば、結合しない鉄微粒子の集まりを析出させることができる。つまり、金属微粒子の原料である金属化合物のモル数と有機化合物のモル数の比率を変えることで、析出する金属微粒子の形態が様々に変わる。従って、金属微粒子の用途に応じて、モル数の比率を変え、金属微粒子の集まりを析出させる。
以上に説明したように、実施例1と実施例2では、オクチル酸鉄を熱分解して鉄微粒子の集まりを製造した。製造できる金属微粒子は、鉄微粒子に限定されない。つまり、43段落で説明したように、カルボン酸のカルボキシル基を構成する酸素イオンが金属イオンに共有結合するカルボン酸金属化合物は、金属微粒子の原料になり、様々な金属元素からなる金属微粒子の集まりが製造できる。
最初に、テトラクロロ金(III)酸水素・水和物の41.2g(0.1モルに相当する)を0.5リットルのn−ブタノールに分散する。この分散液にフタル酸ジエチル66.7g(0.3モルに相当する)を投入して攪拌する。この混合液の一部を容器に充填し、容器を120℃に昇温してn−ブタノールを気化させた。さらに、容器をアンモニアガス雰囲気の200℃に昇温された熱処理炉に5分間入れ、テトラクロロ金(III)酸水素・水和物を熱分解した。この後、作成した試料を取り出し、310℃の窒素雰囲気に5分間放置して、フタル酸ジエチルを気化させ、微粒子の集まりを析出させた。
実施例1と同様に、析出した微粒子の集まりを電子顕微鏡で観察と分析とを行なった。析出した微粒子の集まりは、40nm〜60nmの大きさからなる粒状の金微粒子であり、金微粒子は数個程度が結合し、この結合した微粒子の集まりで構成されていた。
これらの結果から次のことが分かった。フタル酸ジエチルに、テトラクロロ金(III)酸水素・水和物の微細結晶を分散させて熱処理すると、40nm〜60nmの大きさからなる金微粒子が析出し、金微粒子は不純物を含まないため、隣接する金微粒子が接触部で金属結合し、数個程度結合した金微粒子の集まりが、フタル酸ジエチルに無数に分散されて析出する。さらに、フタル酸ジエチルを気化させると、結合した金微粒子の集まりが析出する。
最初に、テトラクロロ金(III)酸水素・水和物の0.1モルを0.5リットルのn−ブタノールに分散し、この分散液に0.1モルのフタル酸ジエチルを混合して撹拌した。この混合液の一部を容器に充填し、容器を120℃に昇温してn−ブタノールを気化させ、さらに、容器をアンモニア雰囲気の200℃に昇温された熱処理炉に5分間入れ、テトラクロロ金(III)酸水素・水和物を熱分解した。この後、作成した試料を取り出し、310℃の窒素雰囲気に1分間放置し、フタル酸ジエチルを気化させ微粒子の集まりを析出させた。
実施例1と同様に、析出した微粒子の集まりを電子顕微鏡で観察と分析とを行なった。析出した微粒子の集まりは、40nm〜60nmの大きさからなる粒状の金微粒子であり、金微粒子は十数個程度が結合し、この結合した微粒子の集まりで構成されていた。
実施例4は実施例3に比べると、フタル酸ジエチルのモル数に対してテトラクロロ金(III)酸水素・水和物のモル数を3倍に増やした。このため、混合液のn−ブタノールを気化させると、フタル酸ジエチルに均一に分散したテトラクロロ金(III)酸水素・水和物の微細結晶の濃度は3倍増える。この後、テトラクロロ金(III)酸水素・水和物を熱分解すると、金微粒子の析出頻度が高まり、隣接する金微粒子が接触部で結合する金微粒子の数が増え、実施例3では、数個程度の金微粒子が結合したのに対し、実施例4では十数個の金微粒子が結合した。この結果は、実施例1および実施例2の結果と同様である。
以上に説明したように、実施例3と実施例4では、テトラクロロ金(III)酸水素・水和物を熱分解して金微粒子の集まりを製造した。製造できる金属微粒子は、金微粒子に限定されない。つまり、42段落で説明したように、無機物からなる分子ないしはイオンが配位子となって、金属イオンに配位結合して金属錯イオンを有する無機金化合物からなる錯体は、金属微粒子の原料になり、様々な金属元素からなる金属微粒子が製造できる。
最初に、ナフテン酸鉄の39.8g(0.1モルに相当する)を0.5リットルのメタノールに分散する。この分散液に、オレイン酸オクチル39.5g(0.1モルに相当する)を投入して攪拌する。この混合液の一部を容器に充填し、容器を75℃に昇温してメタノールを気化させた。さらに、容器を大気雰囲気の340℃に昇温された熱処理炉に1分間入れ、ナフテン酸鉄を熱分解した。この後、熱処理炉の温度を340℃から1℃/min.の昇温速度で390℃まで昇温し390℃に容器を30分間放置する。この際、ナフテン酸鉄(II)の熱分解で生成された酸化鉄(II)FeOを構成する鉄イオンFe2+がFe3+に酸化され、マグヘマイトγ−Fe2O3が生成される。この後、作成した試料を取り出し、470℃の窒素雰囲気に5分間放置して、オレイン酸オクチルを気化させ、微粒子の集まりを析出させた。
実施例1と同様に、析出した微粒子の集まりを、電子顕微鏡で観察と分析とを行なった。最初に反射電子線の900V〜1kVの間にある2次電子線を取り出して画像処理を行った。粉体は、40nm〜60nmの大きさからなる粒状の微粒子で構成されていた。次に、反射電子線の900V〜1kVの間にあるエネルギーを抽出して画像処理を行い、画像の濃淡によって微粒子を構成する元素の違いを観察した。濃淡が認められたため、さらに、特性X線のエネルギーとその強度を画像処理し、粒状の微粒子を構成する元素を分析した。鉄原子と酸素原子との双方が均一に存在し、偏在する箇所が見られなかったため、酸化鉄からなる粒状の微粒子であることが分かった。さらにSEMの機能にEBSP解析機能を付加し、結晶構造の解析を行なった。この結果、粒状の微粒子がマグヘマイトγ−Fe2O3であることが確認できた。
最初に、テトラ酢酸チタンの28.4g(0.1モルに相当する)を0.5リットルのメタノールに分散する。この分散液にフタル酸ジエチル22.2g(0.1モルに相当する)を投入して攪拌する。この混合液の一部を容器に充填し、容器を75℃に昇温してメタノールを気化させた。さらに、容器を大気雰囲気の240℃に昇温された熱処理炉に1分間入れ、テトラ酢酸チタンを熱分解した。この後、作成した試料を取り出し、310℃の窒素雰囲気に5分間放置して、フタル酸ジエチルを気化させ、微粒子の集まりを析出させた。
実施例1と同様に、析出した微粒子の集まりを、電子顕微鏡で観察と分析とを行なった。最初に反射電子線の900V〜1kVの間にある2次電子線を取り出して画像処理を行った。粉体は、40nm〜60nmの大きさからなる粒状の微粒子で構成されていた。次に、反射電子線の900V〜1kVの間にあるエネルギーを抽出して画像処理を行い、画像の濃淡によって微粒子を構成する元素の違いを観察した。濃淡が認められたため、さらに、特性X線のエネルギーとその強度を画像処理し、粒状の微粒子を構成する元素を分析した。チタン原子と酸素原子との双方が均一に存在し、偏在する箇所が見られなかったため、酸化チタンからなる粒状の微粒子であることが分かった。さらにSEMの機能にEBSP解析機能を付加し、結晶構造の解析を行なった。この結果、粒状の微粒子が、正方晶のアナターゼ型の酸化チタン(IV)TiO2であることが確認できた。
以上に説明したように、実施例5と実施例6では、カルボン酸のカルボキシル基を構成する酸素イオンが、金属イオンに配位結合するカルボン酸金属化合物からなる錯体を、金属酸化物の原料として用い、酸化鉄(II)と酸化チタン(IV)との微粒子の集まりを、有機化合物に析出させた。金属酸化物微粒子は、酸化鉄(II)と酸化チタン(IV)との微粒子に限定されない。つまり、44段落で説明したように、カルボン酸金属化合物からなる錯体は、金属酸化物微粒子の原料になり、様々な金属酸化物微粒子の集まりが製造できる。
鉄−ニッケル合金は、合金の組成割合によって様々な性質を持つ。例えば、本実施例における鉄とニッケルが1対1の組成割合からなる合金は、パーマロイと呼ばれる極めて大きな透磁率を有する軟磁性材料である。また、ニッケルが42%の組成割合からなる合金は42アロイと呼ばれる低膨張率の合金で、ICリードフレームなどに用いられている。さらに、ニッケルが36%の組成割合からなる合金は、インバーと呼ばれる高強度の低膨張率の合金である。なお、2種類のオクチル酸金属化合物は同時に熱分解し、2種類の金属が析出し、2種類の金属からなる合金が生成される。このため、2種類のオクチル酸金属化合物の使用するモル数の比率に応じて、合金の組成割合が変わる。従って、必要となる鉄とニッケルとの組成割合に応じて、オクチル酸鉄とオクチル酸ニッケルとの使用するモル数を設定すれば、必要となる組成割合からなる鉄−ニッケル合金が製造できる。従って、本実施例に限らず、様々な組成割合からなる鉄−ニッケル合金の微粒子が製造できる。
最初に、オクチル酸鉄の48.6g(0.1モルに相当する)と、オクチル酸ニッケル34.5g(0.1モルに相当する)とを0.5リットルのメタノールに分散し、この分散液にフタル酸ジブチルを83.5g(0.3モルに相当する)を混合して撹拌した。この混合液の一部を容器に充填し、容器を75℃に昇温してメタノールを気化させ、さらに、容器を大気雰囲気の290℃に昇温された熱処理炉に1分間入れ、オクチル酸鉄とオクチル酸ニッケルとを熱分解した。この後、作成した試料を取り出し、350℃の窒素雰囲気に1分間放置し、フタル酸ジブチルを気化させ微粒子の集まりを析出させた。
実施例1と同様に、析出した微粒子の集まりを、電子顕微鏡で観察と分析とを行なった。最初に反射電子線の900V〜1kVの間にある2次電子線を取り出して画像処理を行った。粉体は、40nm〜60nmの大きさからなる粒状の微粒子が数個程度結合していた。次に、反射電子線の900V〜1kVの間にあるエネルギーを抽出して画像処理を行い、画像の濃淡によって微粒子を構成する元素の違いを観察した。濃淡が認められたため、さらに、特性X線のエネルギーとその強度を画像処理し、粒状の微粒子を構成する元素を分析した。鉄原子とニッケル原子との双方が均一に存在し、偏在する箇所が見られなかったため、鉄−ニッケル合金からなる粒状の微粒子であることが分かった。
最初に、ラウリン酸鉄の65.7g(0.1モルに相当する)と、ラウリン酸コバルト46.0g(0.1モルに相当する)とを0.5リットルのメタノールに分散し、この分散液にオレイン酸イソブチルを101.6g(0.3モルに相当する)を混合して撹拌した。この混合液の一部を容器に充填し、容器を75℃に昇温してメタノールを気化させ、さらに、容器を大気雰囲気の360℃に昇温された熱処理炉に1分間入れ、ラウリン酸鉄(III)とラウリン酸コバルトとを熱分解した。この後、作成した試料を取り出し、420℃の窒素雰囲気に1分間放置し、オレイン酸イソブチルを気化させ微粒子の集まりを析出させた。
実施例1と同様に、析出した微粒子の集まりを、電子顕微鏡で観察と分析とを行なった。最初に反射電子線の900V〜1kVの間にある2次電子線を取り出して画像処理を行った。粉体は、40nm〜60nmの大きさからなる粒状の微粒子が数個程度結合していた。次に、反射電子線の900V〜1kVの間にあるエネルギーを抽出して画像処理を行い、画像の濃淡によって微粒子を構成する元素の違いを観察した。濃淡が認められたため、さらに、特性X線のエネルギーとその強度を画像処理し、粒状の微粒子を構成する元素を分析した。鉄原子とコバルト原子との双方が均一に存在し、偏在する箇所が見られなかったため、鉄−コバルト合金からなる粒状の微粒子であることが分かった。
以上に説明したように、実施例7では、2種類のオクチル酸金属化合物を用い、鉄−ニッケル合金の微粒子の集まりを、実施例8では、2種類のラウリン酸金属化合物を用い、鉄−コバルト合金の微粒子の集まりを、有機化合物に析出させた。合金微粒子は、鉄−ニッケル合金と鉄−コバルト合金に限定されない。また、2成分からなる合金に限定されない。つまり、43段落で説明したように、同一の飽和脂肪酸のカルボキシル基を構成する酸素イオンが、異なる金属に共有結合する複数種類のカルボン酸金属化合物は、同時に複数種類の金属を析出し合金を形成するため、複数種類のカルボン酸金属化合物を構成する金属と、カルボン酸金属化合物のモル数の比率に応じて、様々な組成と様々な組成割合からなる合金微粒子の集まりが製造できる。
なお、本実施例では、白金とコバルトとが1対1の組成割合からなる白金−コバルト合金の微粒子を製造するため、白金錯体とコバルト錯体とを等しいモル数で用いたが、白金−コバルト合金の組成割合は、白金錯体とコバルト錯体とのモル数の比率で決まるため、様々な組成割合からなる白金−コバルト合金の微粒子が製造できる。なお、白金−コバルト合金の微粒子は、燃料電池用のカソード触媒や温度センサの感温素子の材料として用いられている。
最初に、テトラアンミン白金(II)塩化物の35.2g(0.1モルに相当する)と、ヘキサアンミンコバルト(III)塩化物の26.7g(0.1モルに相当する)とを、0.5リットルのn−ブタノールに分散する。この分散液にフタル酸ジエチル66.7g(0.3モルに相当する)を投入して攪拌する。この混合液の一部を容器に充填し、容器を120℃に昇温してn−ブタノールを気化させた。さらに、容器を水素ガス雰囲気の210℃に昇温された熱処理炉に5分間入れ、テトラアンミン白金(II)塩化物とヘキサアンミンコバルト(III)塩化物とを熱分解した。この後、作成した試料を取り出し、310℃の窒素雰囲気に5分間放置して、フタル酸ジエチルを気化させ、微粒子の集まりを析出させた。
実施例1と同様に、析出した微粒子の集まりを、電子顕微鏡で観察と分析とを行なった。最初に反射電子線の900V〜1kVの間にある2次電子線を取り出して画像処理を行った。粉体は、40nm〜60nmの大きさからなる粒状の微粒子が数個程度結合していた。次に、反射電子線の900V〜1kVの間にあるエネルギーを抽出して画像処理を行い、画像の濃淡によって微粒子を構成する元素の違いを観察した。濃淡が認められたため、さらに、特性X線のエネルギーとその強度を画像処理し、粒状の微粒子を構成する元素を分析した。白金原子とコバルト原子との双方が均一に存在し、偏在する箇所が見られなかったため、白金−コバルト合金からなる粒状の微粒子であることが分かった。
なお、本実施例では、白金とパラジウムとが1対1の組成割合からなる白金−パラジウム合金の微粒子を製造するため、白金錯体とパラジウム錯体とを等しいモル数で用いたが、白金−パラジウム合金の組成割合は、白金錯体とパラジウム錯体とのモル数の比率で決まるため、様々な組成割合からなる白金−パラジウム合金の微粒子が製造できる。なお、白金−パラジウム合金の微粒子は、燃料電池用のカソード触媒や、導電性ペーストやで導電性インクの原料や、マイクロモータなどの摺動接点の原料として、また、超純水における過酸化水素を分解する触媒などの分野に用いられている。
最初に、テトラアンミン白金(II)塩化物の35.2g(0.1モルに相当する)と、テトラアンミンパラジウム(II)塩化物の24.5g(0.1モルに相当する)とを、0.5リットルのn−ブタノールに分散する。この分散液にフタル酸ジエチル66.7g(0.3モルに相当する)を投入して攪拌する。この混合液の一部を容器に充填し、容器を120℃に昇温してn−ブタノールを気化させた。さらに、容器をアンモニアガス雰囲気の200℃に昇温された熱処理炉に5分間入れ、テトラアンミン白金(II)塩化物とテトラアンミンパラジウム(II)塩化物とを熱分解した。この後、作成した試料を取り出し、310℃の窒素雰囲気に5分間放置して、フタル酸ジエチルを気化させ、微粒子の集まりを析出させた。
実施例1と同様に、析出した微粒子の集まりを、電子顕微鏡で観察と分析とを行なった。最初に反射電子線の900V〜1kVの間にある2次電子線を取り出して画像処理を行った。粉体は、40nm〜60nmの大きさからなる粒状の微粒子が数個程度結合していた。次に、反射電子線の900V〜1kVの間にあるエネルギーを抽出して画像処理を行い、画像の濃淡によって微粒子を構成する元素の違いを観察した。濃淡が認められたため、さらに、特性X線のエネルギーとその強度を画像処理し、粒状の微粒子を構成する元素を分析した。白金原子とパラジウム原子との双方が均一に存在し、偏在する箇所が見られなかったため、白金−パラジウム合金からなる粒状の微粒子であることが分かった。
以上に説明したように、実施例9と実施例10では、アンモニアからなる配位子が異なる金属イオンに配位結合する2種類のアンミン金属錯体を用い、白金−コバルト合金を白金−パラジウム合金の微粒子の集まりを、有機化合物に析出させた。合金微粒子は、白金−コバルト合金と白金−パラジウム合金に限定されない。また、合金微粒子は、2成分からなる合金に限定されない。つまり、42段落で説明したように、無機物の分子ないしはイオンからなる同一の配位子が、異なる金属イオンに配位結合する異なる金属錯イオンからなる複数種類の無機金属化合物からなる錯体は、同時に複数種類の金属を析出し合金を形成するため、複数種類の無機金属化合物からなる錯体を構成する金属と、錯体のモル数の比率に応じて、様々な組成と様々な組成割合からなる合金微粒子の集まりが製造できる。
Claims (17)
- 有機化合物に分散された微粒子の集まりの第一の製造は、
熱分解で金属ないしは金属酸化物を析出する金属化合物をアルコールに分散してアルコール分散液を作成し、前記アルコールに溶解ないしは混和する第一の性質と、前記アルコールの沸点より融点が低い第二の性質と、前記金属化合物が熱分解する温度より沸点が高い第三の性質とからなる、これら3つの性質を兼備する有機化合物を、前記アルコール分散液に混合して混合液を作成し、該混合液を熱処理して前記金属化合物を熱分解する、これによって、前記有機化合物に金属ないしは金属酸化物からなる微粒子が析出し、該有機化合物に分散された金属ないしは金属酸化物の微粒子の集まりが製造されることを特徴とする、有機化合物に分散された微粒子の集まりの第一の製造。 - 有機化合物に分散された微粒子の集まりの第二の製造は、
請求項1における金属化合物として、熱分解で複数の金属を同時に析出する複数種類の金属化合物を用い、請求項1に準じて、有機化合物に分散された微粒子の集まりを製造する、これによって、有機化合物に分散された合金微粒子の集まりが製造されることを特徴とする、有機化合物に分散された微粒子の集まりの第二の製造。 - 有機化合物に分散された微粒子の集まりの第三の製造は、
請求項1における金属化合物として、無機物の分子ないしはイオンからなる配位子が、金属イオンに配位結合した金属錯イオンを有する無機金属化合物からなる錯体を用い、請求項1における有機化合物として、前記錯体が熱分解する温度より沸点が高い性質を持つ有機化合物を用い、請求項1に準じて、有機化合物に分散された微粒子の集まりを製造する、これによって、有機化合物に分散された金属微粒子の集まりが製造されることを特徴とする、有機化合物に分散された微粒子の集まりの第三の製造。 - 有機化合物に分散された微粒子の集まりの第四の製造は、
請求項3における無機金属化合物からなる錯体として、無機物の分子ないしはイオンからなる同一の配位子が、異なる金属イオンに配位結合した異なる金属錯イオンからなる複数種類の無機金属化合物からなる錯体を用い、請求項3に準じて、有機化合物に分散された微粒子の集まりを製造する、これによって、有機化合物に分散された合金微粒子の集まりが製造されることを特徴とする、有機化合物に分散された微粒子の集まりの第四の製造。 - 請求項3における有機化合物が、カルボン酸エステル類ないしはグリコール類ないしはグリコールエーテル類からなるいずれかの有機化合物であることを特徴とする、請求項3に記載した有機化合物。
- 有機化合物に分散された微粒子の集まりの第五の製造は、
請求項1における金属化合物として、カルボン酸のカルボキシル基を構成する酸素イオンが金属イオンに共有結合する第一の特徴と、前記カルボン酸が飽和脂肪酸からなる第二の特徴とからなる、これら2つの特徴を兼備するカルボン酸金属化合物を用い、請求項1における有機化合物として、前記カルボン酸金属化合物が熱分解する温度より沸点が高い性質を持つ有機化合物を用い、請求項1に準じて、有機化合物に分散された微粒子の集まりを製造する、これによって、有機化合物に分散された金属微粒子の集まりが製造されることを特徴とする、有機化合物に分散された微粒子の集まりの第五の製造。 - 有機化合物に分散された微粒子の集まりの第六の製造は、
請求項6におけるカルボン酸金属化合物として、同一の飽和脂肪酸におけるカルボキシル基を構成する酸素イオンが、異なる金属イオンに共有結合した複数種類のカルボン酸金属化合物を用い、請求項6に準じて、有機化合物に分散された微粒子の集まりを製造する、これによって、有機化合物に分散された合金微粒子の集まりが製造されることを特徴とする、有機化合物に分散された微粒子の集まりの第六の製造。 - 請求項6における有機化合物が、カルボン酸エステル類からなる有機化合物であることを特徴とする、請求項6に記載した有機化合物。
- 有機化合物に分散された微粒子の集まりの第七の製造は、
請求項1における金属化合物として、カルボン酸のカルボキシル基を構成する酸素イオンが、金属イオンに配位結合したカルボン酸金属化合物からなる錯体を用い、請求項1における有機化合物として、前記錯体が熱分解する温度より沸点が高い性質を持つ有機化合物を用い、請求項1に準じて、有機化合物に分散された微粒子の集まりを製造する、これによって、有機化合物に分散された金属酸化物微粒子の集まりが製造されることを特徴とする、有機化合物に分散された微粒子の集まりの第七の製造。 - 請求項9における有機化合物が、カルボン酸エステル類ないしはグリコール類ないしはグリコールエーテル類からなるいずれかの有機化合物であることを特徴とする、請求項9に記載した有機化合物。
- 有機化合物に分散された微粒子の集まりを製造する第一の製造方法は、
熱分解で金属ないしは金属酸化物を析出する金属化合物をアルコールに分散してアルコール分散液を作成する第一の工程と、前記アルコールに溶解ないしは混和する第一の性質と、前記アルコールの沸点より融点が低い第二の性質と、前記金属化合物が熱分解する温度より沸点が高い第三の性質とからなる、これら3つの性質を兼備する有機化合物を、前記第一の工程で作成したアルコール分散液に混合して混合液を作成する第二の工程と、該混合液を熱処理して前記金属化合物を熱分解する第三の工程とからなり、これら3つの工程を連続して実施する製造方法が、有機化合物に分散された金属ないしは金属酸化物の微粒子の集まりを製造する製造方法であることを特徴とする、有機化合物に分散された微粒子の集まりを製造する第一の製造方法。 - 有機化合物に分散された微粒子の集まりを製造する第二の製造方法は、有機化合物に分散された合金微粒子の集まりを製造する製造方法であって、該製造方法は、
請求項11における金属化合物として、熱分解で複数の金属を同時に析出する複数種類の金属化合物を用い、請求項11の製造方法に準じて、有機化合物に分散された合金微粒子の集まりを製造する製造方法であることを特徴とする、有機化合物に分散された微粒子の集まりを製造する第二の製造方法。 - 有機化合物に分散された微粒子の集まりを製造する第三の製造方法は、有機化合物に分散された金属微粒子の集まりを製造する第二の製造方法であって、該製造方法は、
請求項11における金属化合物として、無機物の分子ないしはイオンからなる配位子が、金属イオンに配位結合した金属錯イオンを有する無機金属化合物からなる錯体を用い、請求項11の製造方法に準じて、有機化合物に分散された金属微粒子の集まりを製造する第二の製造方法であることを特徴とする、有機化合物に分散された微粒子の集まりを製造する第三の製造方法。 - 有機化合物に分散された微粒子の集まりを製造する第四の製造方法は、有機化合物に分散された合金微粒子の集まりを製造する第二の製造方法であって、該製造方法は、
請求項13における無機金属化合物からなる錯体として、無機物の分子ないしはイオンからなる同一の配位子が、異なる金属イオンに配位結合した異なる金属錯イオンからなる複数種類の無機金属化合物からなる錯体を用い、請求項13の製造方法に準じて、有機化合物に分散された合金微粒子の集まりを製造する第二の製造方法であることを特徴とする、有機化合物に分散された微粒子の集まりを製造する第四の製造方法。 - 有機化合物に分散された微粒子の集まりを製造する第五の製造方法は、有機化合物に分散された金属微粒子の集まりを製造する第三の製造方法であって、該製造方法は、
請求項11における金属化合物として、カルボン酸のカルボキシル基を構成する酸素イオンが金属イオンに共有結合する第一の特徴と、前記カルボン酸が飽和脂肪酸からなる第二の特徴とからなる、これら2つの特徴を兼備するカルボン酸金属化合物を用い、請求項11の製造方法に準じて、有機化合物に分散された金属微粒子の集まりを製造する第三の製造方法であることを特徴とする、有機化合物に分散された微粒子の集まりを製造する第五の製造方法。 - 有機化合物に分散された微粒子の集まりを製造する第六の製造方法は、有機化合物に分散された合金微粒子の集まりを製造する第三の製造方法であって、該製造方法は、
請求項15におけるカルボン酸金属化合物として、同一の飽和脂肪酸におけるカルボキシル基を構成する酸素イオンが、異なる金属イオンに共有結合した複数種類のカルボン酸金属化合物を用い、請求項15の製造方法に準じて、有機化合物に分散された合金微粒子の集まりを製造する第三の製造方法であることを特徴とする、有機化合物に分散された微粒子の集まりを製造する第六の製造方法。 - 有機化合物に分散された微粒子の集まりを製造する第七の製造方法は、有機化合物に分散された金属酸化物微粒子の集まりを製造する製造方法であって、該製造方法は、
請求項11における金属化合物として、カルボン酸のカルボキシル基を構成する酸素イオンが、金属イオンに配位結合したカルボン酸金属化合物からなる錯体を用い、請求項11の製造方法に準じて、有機化合物に分散された金属酸化物微粒子の集まりを製造する製造方法であることを特徴とする、有機化合物に分散された微粒子の集まりを製造する第七の製造方法。
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