JP2015098680A - 木造建物の構造及びそれを用いた木造家屋 - Google Patents

木造建物の構造及びそれを用いた木造家屋 Download PDF

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Abstract

【課題】 室内に柱や構造壁が存在しない状態で、二階建て相当の大きな内部空間を形成でき、二階部分の構成や配置を変更できる、木造建物の構造を提供する。【解決手段】 小屋トラス17を使用する外箱10の内部において、土台23に符合する第1の切欠40aを下部に有し、かつ妻側胴差38の下部まで至らない二階支持柱40を複数の付加柱36の一つに接合して上面上に起立させ、妻側胴差38の下部に符合する第2の切欠42aを両端部上方に有する合せ梁42、43を複数の付加柱36の一つ、妻側胴差し38及び二階支持柱40の上端部に係合させて架け渡することにより、内箱20の軸組を形成する。【選択図】 図8

Description

本発明は、構造上、建物の内部に柱や壁等を設ける必要がなく大空間が得られ、しかもその空間を変更しやすい木造建物の構造及びその関連技術に関するものである。
木造住宅等の木造建物の代表的工法として、木造軸組工法及びツーバイフォー工法が知られている。以下、本明細書において、木造家屋の垂直面のうち、棟木に直交する箇所を「妻」とし、「妻」側に直交する箇所を「平」側といい、関連する部材はこれに準拠して表現するものとする。
木造軸組工法は、我が国の伝統的な工法として広く知られ在来工法とも呼ばれる。木造軸組工法は、柱、床梁、小屋梁及び桁材等の軸組部材を構成する木材を建込み、筋交等の補強材や、壁材等を軸組部材に固定して木造建物を建設する工法である。
ツーバイフォー工法は、例えば、2インチ×4インチの木材断面を有する建築材(構造壁)を基本とした北米の伝統的工法であり、枠組壁工法とも呼ばれる。ツーバイフォー工法は、構造壁に合板等の面材を組合せた壁体を建込むことにより木造建物を建設する一種の壁式工法である。
上記軸組工法及びツーバイフォー工法を応用した軸組壁工法が、特許文献1(特開昭55−32827号公報)に開示されている。この軸組壁工法では、柱及び梁は夫々、フィラープレートを介して一体的に接合した一対の木質系角材からなる。
ガセットプレートが木質系角材の間に固定され、柱及び梁は、ガセットプレートを介して互いに接続される。梁に作用する荷重(固定荷重、積載荷重、地震荷重、風荷重等)は、ガセットプレートを介して柱に応力伝達する。つまり、仕口が鋼接合となっている。
さらに、特許文献2(特開2007−85061号公報)は、次のような木質系合成材からなる柱及び梁を接合した構造を開示する。
即ち、柱の合成材は、木製角材及び木製腹板をボルト・ナット組立体の締付けトルク下に一体的に連結され、梁の合成材は、木製角材及び木製斜材をボルト・ナット組立体の締付けトルク下に一体的に連結される。
そして、角材、腹材及び斜材は、同一の板厚を有し、梁の角材は、柱の中空領域に挿入され、ボルト・ナット組立体によって柱の角材に一体的に連結されるものである。
特開昭55−32827号公報 特開2007−85061号公報
しかしながら、従来技術では、次のような問題点がある。
第1の点として、室内に柱や構造壁が存在しない状態で、二階建て相当の大きな内部空間を形成することができない。
これは、木造軸組工法では、柱に構造が依存しており、ツーバイフォー工法では構造壁に構造が依存しているため、重要な柱や構造壁が内部空間内に必然的に現れてしまうためである。
第2の点として、改築時に、建物の外郭をなす部分に影響なく、建物の一階室内と二階の床を構成する部分の構成や配置を自由に変更することができない。
これは、木造軸組工法では重要な柱を改築時に除去したり移動することができず、ツーバイフォー工法では重要な構造壁を同様に除去したり移動することができないためである。言うまでもないが、これら重要な柱あるいは構造壁(以下、「柱等」という。)を除去等すると構造体が維持できず危険である。
さらに、特許文献1、2に記載の技術も、上記第1、第2の点に関しては、木造軸組工法やツーバイフォー工法と大差なく、これらの問題点を解決することはできない。
そこで本発明は、室内に柱や構造壁が存在しない状態で、二階建て相当の大きな内部空間を形成でき、かつ、改築時に、建物の外郭をなす部分に影響せずに、建物の一階室内と二階の床を構成する部分の構成や配置を変更できる、木造建物の構造を提供することを目的とする。
第1の発明に係る木造家屋の構造は、外箱の構造と、内箱の構造とを組み合わせてなる。
外箱の平側の軸組は、土台の角部でない位置において、土台の外側及び内側から土台を挟んで上面上に内外一対の柱を立て、内外一対の柱のうち、土台の外側の柱を通し柱で構成し、かつ、内外一対の柱のうち、土台の内側の柱をダボで継ぎ手した管柱で構成し、一階と二階との境界レベルにおいて水平な平側胴差を内外一対の柱に挟み込んで固定し、二階の天井レベルにおいて水平な軒桁を内外一対の柱に挟み込んで固定し、土台の角部において、内外一対の柱と同長の通し柱を外縁部に有すると共に通し柱に連結される筋交いを有する第1の耐力壁と、第1の耐力壁と同形の第2の耐力壁とで、土台、平側胴差及び軒桁のそれぞれの端部を挟むように固定して構成される。
外箱の妻側の軸組は、内外一対の柱とは異なる位置において、土台の外側上に妻側胴差に接合される付加柱を立てて構成される。
外箱の屋根の軸組は、内外一対の柱の頂部を挟む小屋トラスを軒桁上に固定し、小屋トラスと同形の小屋組を耐力壁の通し柱の端部上に固定して構成される。
内箱の軸組は、土台に符合する第1の切欠を下部に有し、かつ妻側胴差の下部まで至らない二階支持柱を付加柱に接合して上面上に起立させ、妻側胴差の下部に符合する第2の切欠を両端部上方に有する合せ梁を付加柱、妻側胴差し及び二階支持柱の上端部に係合させて架け渡して二階床の構造を構成する。
この構成において、外箱に配置される耐力壁により水平荷重に対して十分な強度を担保できるため、設計の自由度の向上し、設計の負担が軽減される。
より具体的には、本発明を理解する建築家のアドバイスと設計図書があれば、一般の工務店であっても、高い技術力・開発力を有するハウスメーカーの製品に対しても競争力ある木造家屋を構築できる。
また、小屋トラスを上述のように2本の柱で挟んで支える構造としたため、小屋トラスを下支えする柱等の部材を内箱内に設ける必要が無く、外箱内の広々とした開放感が得られる。
また、内箱の構成は、外箱にほとんど影響なく変更できるため、内箱内の一階部分及びその上の二階部分のレイアウトを従来技術よりも容易に変更できる。従来の木造家屋は間取り変更が困難なため、世代交代や持ち主の変更などを起因して間取り変更が必要となると取り壊されることが多かった。しかしながら、本発明によれば、間取りを変更しながら、長期間取り壊さずに木造家屋を使用し続けることができる。その結果、年を重ねるにつれ風合い・美観の移ろいを家人は楽しむことができる。
第2の発明に係る木造家屋の構造は、第1の発明に加え、外箱内の空間において内箱が存在しない空間は吹き抜けとなっている。
この構成により、内箱の外は広々とした開放感あふれる吹抜空間が得られ、内箱の中からもこの空間を見通せるので、快適性を向上できる。
第3の発明に係る木造家屋の構造は、第1の発明に加え、内箱の軸組は、両端上部に逆L字状の第1の切欠部が形成され、第1の切欠部が妻側胴差の下端面に接して妻側胴差の下部に嵌め込まれる第1、第2の合せ梁を、これらの合せ梁の間に金属プレートを挟み込んで接合し、さらに、二階床をこれらの合せ梁に直交する上下一対の挟み梁で挟み込んで構成される。
この構成において、二階床を支持する構造は、金属プレートを間に挟む強固な合せ梁と、これを挟む上下一対の挟み梁との結合体を有し、木造構造でありながら、二階床に振動が発生しても速やかに減衰させることができる。したがって、二階下に柱等を設ける必要がないし、例えば、5〜7mのようにスパンを広くとることができる。
第1の発明に係る木造家屋の構造は、第1の発明に加え、小屋トラス及び小屋組は、二等辺三角形をなす。
この構成により、三角の勾配屋根を葺くことができる。
本発明によれば、室内に柱等が存在しない二階建て相当の広々とした内部空間を形成できる。また、改築時に、内箱のみを変更することにより、建物の一階室内と二階床を構成する部分の構成や配置を変更できる。しかも、木造工法でありながら、強度が高く、振動を速やかに減衰でき、一階に柱で支持されない二階床が得られる。
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係る木造家屋の構造の外観斜視図である。
図1に示すように、この木造家屋は、外箱10と、内箱20とからなる。
外箱10は、木造建物の外部空間と内部空間とを区画し、それ単独で自立する構造体である。
内箱20は、外箱10に依拠して外箱10内に設けられる。内箱20は、外箱10の内部空間を、内箱20内部の一階部分と内箱20の上部と外箱10により挟まれる二階部分とに区画する。内箱20のみの内容を、外箱10とは切り離して変更することができる。
図が複雑になりすぎるのを避けるため、図1では、主要な部材のみが示されている。
外箱10の底部には、一階床11が敷設される。一階床11は、上方から見ると略矩形であり、外箱10は、屋根と平行な平12側と、平12と直交する妻13側とを有する。
外箱10の平12側四隅には、一階床11から垂直に二階の上端部まで延びる二重の耐力壁14、15が配置される。
また、妻13側の四隅には、二重の耐力壁14、15に直交する耐力壁15bが配置される。耐力壁15bも、一階床11から垂直に二階の上端部まで延びる。
したがって、外箱10に作用する水平荷重は、主としてこれらの耐力壁14、15、15bにより支持される。
これにより、本発明による家屋を設計するには、難しいことを考えずとも、耐力壁14、15、15bを配置するだけで十分な強度を担保できるから、柱や梁を従来技術よりも自由に配置することができ(自由度の向上)、設計者の労力を軽減できるし高い設計力を要しない(設計負担軽減)。より具体的には、本発明を理解する建築家のアドバイスと設計図書があれば、一般の工務店であっても、高い技術力・開発力を有するハウスメーカーの製品に対しても競争力ある木造家屋を構築できる。
外箱10の妻13側には、二重の耐力壁14、15の端部及び耐力壁15bが存在するが、これらの上端部に小屋組16の両端部を連結する。また、中間の位置には、小屋組16と断面同形の小屋トラス17を配置する。小屋トラス17の支持構造については、後に詳述する。なお、小屋組16は、その下方が外箱10の構造体に連結されるため、必ずしも図1に示すようなトラス構造によらなくても良い。
このような構造を採用したので、外箱10は、工場の建屋のように箱の境界面を除き、その内部には一切柱を立てなくても、十分な強度が得られる。典型的には、小屋トラス17の途中(両端部を除く部分)を支持する柱は不要である。
言い換えれば、一階及び二階に柱等が存在しない広々とした空間となる。さらには、内装を工夫し、室内において柱等を一切見せない意匠とすることも可能である。
このような点は、RC工法や鉄骨工法などを使用すれば簡単に得られる利点であるが、例えば5mを超すスパンを従来の木造工法で得ることは極めて困難である。
外箱10の構造が完成したら、矢印Nにより示されるように、外箱10の内部に内箱20の構造を作る。
なお、本例では、平12側にやや内に入る玄関を設けることとしているため、内箱20には玄関用オフセット21が形成される。
しかしながら、これはあくまで例示に過ぎず、玄関を平12と面一に構成しても良いし、さらには、外側に張り出すように作ることもでき、そのようにしても本発明に包含される。
図2は、本発明の一実施の形態における基礎を示す斜視図である。上述したように、外箱10の水平断面が矩形であるために、基礎22も同様に矩形となる。勿論、必要に応じて、矩形内にリブ状の付加部(図示せず)を追加的に形成しても良い。
平側12には、平行な平辺22a、22bがあるが、玄関用オフセット21にあわせて平辺22bの中央部はオフセット部22eとなっている。
妻側13には、平行な妻辺22c、22dがある。ここで、本例では、平辺22a、22bの方が、妻辺22c、22dよりも短くなっているが、これは例示に過ぎず、長短関係を反対にしても良いし、同長としても良い。
同長とすれば、外箱の水平断面は正方形となり、同長としなければ、外箱の水平断面は長方形となる。いずれの場合であっても、本発明に包含される点は変わらない。
基礎22としては、べた基礎であってもなくても良い。但し、同一レベルの平辺22a、22b、妻辺22c、22dを設けておく。
そして、基礎22の平辺22a、22b、妻辺22c、22dの上面の中心線に沿って上面より幅が狭い土台23を一巡するように配置する。
本例では、寸法の取り扱いを容易にするため、土台23の幅を平辺22a、22b、妻辺22c、22dの上面の幅(いずれも同じ)の3分の1としている。
このため、平辺22a、22b、妻辺22c、22dの上面のうち、土台23が配置されない箇所は、外部に露出する。特に、平辺22a、22bには、土台23の内側の露出上面22fと、土台23の外側の露出上面22gとが、それぞれあらわれることになる。
後に詳述するように、平12側の軸組を構成するために、内側の露出上面22fと外側の露出上面22gとのそれぞれの上に、内外一対の柱を立てるのであるが、寸法の取り扱いを容易にするため、これらの柱の幅は、土台23の幅と等しくしている。
しかしながら、これも例示に過ぎず、土台23の幅を狭く、あるいは広くするなど、種々変更しても差し支えない。
次に、図3〜図5を参照しながら、平12側における外箱10の構造を説明する。
ここで、図3、図4は、本発明の一実施の形態における平側組立工程を示す斜視図、図5(a)は、本発明の一実施の形態における平側組立工程を示す立面図、図5(b)は、図5(a)の一部上面図である。
図3に示すように、土台23の角部(上述したように耐力壁14、15が配置される)でない位置において、土台23を挟み、土台23の外側の露出上面22g上に通し柱24を立て、内側の露出上面22f上に管柱25を立て、通し柱24と管柱25とを内外一対の柱とする。
ここで、施工を容易にするために、片方の柱(管柱25)として、下側管柱25aと、上側管柱25bと、これらの柱を接合するダボ25cとからなる管柱25を用いたが、管柱25を通し柱とするなど、種々変更しても差し支えない。
なお、本例では、二等辺三角形をなす小屋トラス17を用いているため、管柱25の方が通し柱24よりもやや長く、しかもこれらの柱24、25の先端部は、小屋トラス17の傾斜にあわせて斜めにカットされている。
そして、次の二つの水平部材(平12側に延びる)をこれらの柱24、25の間に挟み込んで固定する。
まず、一階と二階との境界レベルにおいて水平な平側胴差26を内外一対の柱24、25の中央部に挟み込んでボルト及びナット28で固定する。本例では、外側の柱23は通し柱であり、内側の柱25は中間をダボで継いだ管柱であり、これらの柱24、25で胴差26を挟み込む。
また、二階の天井レベルにおいて水平な軒桁27を内外一対の柱24、25の上部に挟み込んでボルト及びナット28で固定する。
さらに、内外一対の柱24、25の上端部24a、25dを挟む小屋トラス17を軒桁27上にのせかけて安定的に固定する。
小屋トラス17は、一対の三角形枠組みと、これらの枠組みの間に挟み込まれる、垂直材17cと斜交材17dとからなる。更に、各三角形枠組みは、陸梁17aと、逆V字状をなす登り梁17bとを有する。
ここで、図1に示すように、小屋トラス17の陸梁17aは、軸組工法にいう小屋梁の機能を有し、また、小屋組16の陸梁16aは、軸組工法にいう妻梁の機能を有する。したがって、本例の木造家屋では、小屋トラス17、小屋組16の他に、特別な小屋梁、妻梁等を追加する必要はない。
図3に示すように、小屋トラス17を固定する際には、各柱24、25の上端部24a、25dだけでなく、管柱25よりも内側に台形状をなす接合材29を挟み込んで、ボルト及びナット28で一体化して連結するのが好ましい(図5(a)、(b)も参照。)。但し、接合材29は必須ではなく、省略することもできる。
一方、平12側の角部では次のように外箱10の構造を作る。即ち、図4に示すように、既に水平な平側胴差26と軒桁27が内外一対の柱24、25に挟み込まれて支持されている。
この角部において、平側胴差26及び軒桁27の両側を、一対の耐力壁14、15で挟み込む。耐力壁14は、露出上面22f、22gから軒桁27よりも上まで至る垂直な通し柱30と、通し柱30と等長で間隔をあけて平行に立てられる管柱31と通し柱30と管柱31との間に配置される筋交い32と、外側から通し柱30と管柱31とに重ねて接合される補強板33とを有する。耐力壁15は、耐力壁15と同形であるが、通し柱30に対応するものが長柱30’となっている点だけが相違する。
なお、図4では、部材の重なりにより関係が不明瞭にならないように、耐力壁14、15の補強板33、33は、ほぼ一階分の高さだけ示されているが、実際には、一階だけでなく二階まで達する高さとする。
このような構造としたため、水平力の大半を、一階と二階とを貫いて起立する一対の耐力壁14、15で支持し、基礎22へ伝達できるようになっている。
平12側については、以上のような構造となっており、次に妻13側の構造を説明する。
図6は、本発明の一実施の形態における一階床伏図であり、図7は、本発明の一実施の形態における二階床伏図である。ここで、図6、図7には、外箱10の要素と内箱20の要素が混在している点に注意されたい。
なお、図6、図7において、散点を付した領域は、二階を構成する内箱20の位置を示し、この領域には、二階の床が作られる。逆に言えば、散点が付されていない領域は、二階がなく吹抜Aとなる。
図1を参照しながら上述したように、妻13側の角部には、耐力壁14、15と同様の耐力壁15bが配置され、妻側の水平力を支持する。
このほかに、土台23の外側の露出上面22g上に垂直な複数の付加柱36を立てる。複数の付加柱36は、一階と二階との境界部分で妻側胴差38(図8参照。)に接合され、さらに二階の上部(屋根付近)まで延びる。
図10は、本発明の一実施の形態における木造家屋を平側の縦断面図である。図10に示すように、小屋組16の陸梁16aは、妻12側の角部において耐力壁14の通し柱30の上端部に固定される。
以上のように構成することにより、外箱10の構造が形成される。
次に、外箱10の内側に形成される内箱20の構造を説明する。ここで、図8は、本発明の一実施の形態における内箱の一部拡大斜視図であり、図9(a)は図8の一部拡大図、図9(b)、(c)は、本発明の一実施の形態における合せ梁の組立工程図である。
内箱20は、図10に示すように、外箱10を支持する基礎22と同一の基礎22から一階と二階との境界部分までの高さまで形成される。よって、屋根、小屋組16、小屋トラス17等は外箱10の要素であって、内箱20の構造には直接関係しない。
上述したように、外箱10の要素である複数の付加柱36が既に起立している状態にあるが、複数の付加柱36の室内側において基礎22の妻辺22dの上には、土台23が設けられているのみであり、妻辺22d上の空間は空いている。
そこで、図8に示すように、二階支持柱40を土台23及び内側の露出上面22f上に立て、付加柱36の側面に密着させる。
二階支持柱40の下部には、土台23に符合する第1の切欠40aが形成されており、第1の切欠40aが土台23に接することにより、二階支持柱40は、土台23を跨いで基礎22上に起立することになる。
また、二階支持柱40の高さは比較的低く形成され、妻側胴差38の下部まで至らない。つまり、妻側胴差38の下面と二階支持柱40の頂部との間には、隙間がある。
この隙間に合う合せ梁を図9(b)〜(c)のように形成して、隙間に装着する。即ち、第1の合せ梁42と第2の合せ梁43をほぼ同形に形成する。
より詳しくは、第1、第2の合せ梁42、43の下端面を二階支持柱40の上端面に載せたとき、妻側胴差38の下縁部を包囲するように、L字状の第2の切欠42aを、第1、第2の合せ梁42、43のいずれにも同様に形成する。
しかも、図9(b)、(c)に示すように、合せ梁42、43の一方(本例では第2の合せ梁43)に凹部43aを形成し、凹部43aに金属プレート44を挟み込み、これらの合せ梁42、43をボルト及びナット28により、結合させる。
このような結合物を、上記隙間に挿入し、さらに、結合物の側面から止め柱41を二階支持柱40に向けて接合する。なお、止め柱41は、二階支持柱40と第1の合せ柱42の先端部とをあわせた形状としてある。
金属プレート44を挟んで第1、第2の合せ梁42、43を結合させてなる結合物(合成合せ梁)は、二階床のたわみや荷重に対する剛性が極めて高い。
さらに、合成合せ梁の上下を、直交するように、上下一対の挟み梁45、46で挟んで、二階床の構造体とする。
図7に示すように、このような構造体が二階の床全面を支持するように、格子状に配置されるから、本形態の構造によれば、二階で家人が歩くなどしても、不快な振動が長く続くことはなく極めて静粛で安心できる二階床を構築できる。
このような点は、RC工法や鉄骨工法などを使用すれば簡単に得られる利点であるが、従来の木造工法で得ることは極めて困難である。
なお、妻側胴差38は外箱10を構成するものであるが、施工手順としては、内箱20と外箱10とを峻別する必要はなく、二階支持柱40等を立ててから妻側胴差38を固定しても良いし、あるいはその逆の手順により構築することもできる。
図6に示すように、内箱20の角部には、火打土台37が斜めに設けられ、一層強度を向上させるようになっている。
また、図10に示すように、以上のように構成される内箱20の構造を利用し、二階床の下方には、一階天井板47が貼られるが、一階天井板47と合せ梁42、43の間の空間は、二階の設備(例えばトイレ等の水回り)用の配管スペースSとして利用される。したがって、配管が露出せず、良好な美観を維持しながら、二階に十分な設備を設けることができる。
図11は、本発明の一実施の形態における木造家屋の妻側の縦断面図である。図11に示すように、二階床の端部には、二階床の構造体よりも幅が広い化粧梁48を設け、二階の構造体を隠すと共に、強度を向上させるのが望ましい。
以上のように、外箱10及び内箱20を構成すると、内箱20がない吹抜Aと二階床上の二階スペースBを構成できる。
さらに、レイアウトを変更しようとするならば、内箱20を広げて吹抜Aを小さくしたり、内箱20を狭めて吹抜Aを大きくすることができる。図示した例に加えて、付加柱36及び合せ梁42、43を等ピッチで多数設けるようにすれば、このピッチ毎に自由にレイアウトを変更できる。
次に、木造家屋の仕上げ例を説明する。勿論、この仕上げ例は単なる例示であって、本発明の保護範囲は、仕上げ例に限定されない。
図12は、本発明の一実施の形態における木造家屋の外観を示す斜視図である。この仕上げ例では、小屋組16、小屋トラス17に支持される屋根49が葺かれており、一階、二階を貫通する通し窓50が設けられるなど、印象的な外観が呈される。
また、平12側の南向き一階側面には、突出枠51が設けられ、その中央部にサッシュ52が配置されている。これにより、良好な日当たりが期待される。突出枠51は、耐力壁14、15の外側に設けられており、外箱10のさらに外側に所望の部分を追加できることを示す好例である。なお、図12にしめすように、小屋トラス17、17は、水平トラス70、71によって外箱10の構造体に連結されており、小屋トラス17、17の強度が高められている。
図13は、本発明の一実施の形態における木造家屋の一階レイアウト図、図14は、本発明の一実施の形態における木造家屋の二階レイアウト図である。
図13に示すように、一階には、平12の北向き側面にオフセットされた玄関53、それに続くホール54の他、浴室55、洗面・脱衣室56、トイレ57、階段58、台所59、居間60、洋室61、和室62等が配置される。
図14に示すように、二階には、二つの洋室63、64の他、トイレ65等が配置される。トイレ65に給排水する配管は、図10に示した配管スペースS内に収納される。
図13、図14において、居間60及び台所59は、二階まで貫通する広々とした吹抜Aとなっており、突出枠51による演出を含め、家人にはくつろぎとゆとりを与え、購入を検討している人には住んでみたいというあこがれを提供できる。さらに、熱や空気の流動を促進する作用もある。
上述したように、内箱20の構成を変更すれば、外箱19にほとんど影響なく、内箱20内の一階部分及びその上の二階部分のレイアウトを変更できる。
図15(a)〜(c)は、本発明の他の実施の形態におけるトラスの例示図である。これまでの説明では、小屋組16及び小屋トラス17は、二等辺三角形としていたが、本発明は、他のトラス形状による場合を包含する。
例えば、図15(a)に示すように、平行弦トラスとすることができる。このようにすると、屋根は陸屋根となるから、屋根上のスペースをより有効(例えば、植物を置くなど)に活用できる。
また、図15(b)に示すように、シザーズトラスとしてもよい。シザーズトラスの下端部70は、登り梁ならば通し柱30に連結し、挟み梁ならば内外一対の柱24、25に挟み込むように支持すればよい。
さらに、図16(c)に示すように、片トラスとしてもよい。このようにすれば、大屋根の印象的な外観を呈することができる。
なお、図15(a)、(c)のトラスとするときは、図1〜図14までと同様に支持すれば足りる。
いずれにしても、以上の形態は、RC工法や鉄骨工法によらず、ほぼ純粋な木造工法により実現できる点は、以上の説明から容易に理解されよう。しかも、従来の木造工法では、仕口や継手が複雑で手間がかかっていたが、本発明の工法によれば、仕口や継手が簡略化されて手間がかからないし、断面欠損も生じにくいという利点がある。
本発明の一実施の形態に係る構造の外観斜視図 本発明の一実施の形態における基礎を示す斜視図 本発明の一実施の形態における平側組立工程を示す斜視図 本発明の一実施の形態における平側組立工程を示す斜視図 (a)本発明の一実施の形態における平側組立工程を示す立面図 (b)図5(a)の一部上面図 本発明の一実施の形態における一階床伏図 本発明の一実施の形態における二階床伏図 本発明の一実施の形態における内箱の一部拡大斜視図 (a)図8の一部拡大図 (b)本発明の一実施の形態における合せ梁の組立工程図 (c)本発明の一実施の形態における合せ梁の組立工程図 本発明の一実施の形態における木造家屋を平側の縦断面図 本発明の一実施の形態における木造家屋の妻側の縦断面図 本発明の一実施の形態における木造家屋の外観を示す斜視図 本発明の一実施の形態における木造家屋の一階レイアウト図 本発明の一実施の形態における木造家屋の二階レイアウト図 (a)本発明の他の実施の形態におけるトラスの例示図 (b)本発明の他の実施の形態におけるトラスの例示図 (c)本発明の他の実施の形態におけるトラスの例示図
10 外箱
11 一階床
12 平
13 妻
14、15、15b 耐力壁
16 小屋組
16a、17a 陸梁
17 小屋トラス
17b 登り梁
17c 垂直材
17d 斜交材
20 内箱
21 玄関用オフセット
22 基礎
22a、22b 平辺
22c、22d 妻辺
22f、22g 露出上面
22e オフセット部
23 土台
24 通し柱
25 管柱
24a 下端部
25a 下側管柱
25b 上側管柱
25c ダボ
25d 上端部
26 平側胴差
27 軒桁
28 ボルト及びナット
29 接合材
30 通し柱
30’ 長柱
31 管柱
32 筋交い
33 補強板
34 棟木
36 付加柱
37 火打土台
38 妻側胴差
40 二階支持柱
40a 第1の切欠
41 止め柱
42 第1の合せ梁
43 第2の合せ梁
44 金属プレート
45、46 挟み梁
47 一階天井板
49 屋根
51 突出枠
52 サッシュ
53 玄関
54 ホール
55 浴室
56 洗面・脱衣室
57、65 トイレ
58 階段
59 台所
60 居間
61、63、64 洋室
62 和室
70、71 水平トラス
A 吹抜
B 二階スペース
S 配管スペース

Claims (5)

  1. 基礎の上面の中心線に沿って前記上面より幅が狭い土台を配置し、前記土台上に外箱を形成し、前記外箱内に内箱を形成する木造建物の構造であって、
    前記外箱の平側の軸組を、
    前記土台の角部でない位置において、前記土台の外側及び内側から前記土台を挟んで前記上面上に内外一対の柱を立て、前記内外一対の柱のうち、前記土台の外側の柱を通し柱で構成し、かつ、前記内外一対の柱のうち、前記土台の内側の柱をダボで継ぎ手した管柱で構成し、
    一階と二階との境界レベルにおいて水平な平側胴差を前記内外一対の柱に挟み込んで固定し、
    二階の天井レベルにおいて水平な軒桁を前記内外一対の柱に挟み込んで固定し、
    前記土台の角部において、前記内外一対の柱と同長の通し柱を外縁部に有すると共に前記通し柱に連結される筋交いを有する第1の耐力壁と、前記第1の耐力壁と同形の第2の耐力壁とで、前記土台、前記平側胴差及び前記軒桁のそれぞれの端部を挟むように固定して構成し、
    前記外箱の妻側の軸組を、
    前記内外一対の柱とは異なる位置において、前記土台の外側上に妻側胴差に接合される付加柱を立てて構成し、
    前記外箱の屋根の軸組を、
    前記内外一対の柱の頂部を挟む小屋トラスを前記軒桁上に固定し、
    前記小屋トラスと同形の小屋組を前記耐力壁の前記通し柱の端部上に固定して構成し、
    前記内箱の軸組を、
    前記土台に符合する第1の切欠を下部に有し、かつ前記妻側胴差の下部まで至らない二階支持柱を前記付加柱に接合して前記上面上に起立させ、
    前記妻側胴差の下部に符合する第2の切欠を両端部上方に有する合せ梁を前記付加柱、前記妻側胴差し及び前記二階支持柱の上端部に係合させて架け渡して二階床の構造を構成することを特徴とする木造建物の構造。
  2. 前記外箱内の空間において前記内箱が存在しない空間は吹き抜けとなっている請求項1記載の木造建物の構造。
  3. 前記内箱の軸組は、
    両端上部に逆L字状の第1の切欠部が形成され、前記第1の切欠部が前記妻側胴差の下端面に接して前記妻側胴差の下部に嵌め込まれる第1、第2の合せ梁を、これらの合せ梁の間に金属プレートを挟み込んで接合し、
    さらに、二階床をこれらの合せ梁に直交する上下一対の挟み梁で挟み込んで構成される請求項1又は2記載の木造建物の構造。
  4. 前記小屋トラス及び前記小屋組は、二等辺三角形をなす請求項1から3のいずれか記載の木造建物の構造。
  5. 請求項1から4のいずれか記載の木造建物の構造を用いた木造家屋。
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