JP3217718U - 木製構造体 - Google Patents
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Abstract
【課題】建築物の構造計算にも影響するような強度の高い木製構造体を提供する。
【解決手段】建築物の構造を支えて構造計算で考慮される構造材として使用することが可能なコの字状の木製構造体1であって、一対の脚部1a,1bと、一対の脚部1a,1b間を引きボルトで繋ぐ繋ぎ部1cとを備え、一対の脚部1a,1bと繋ぎ部1cのそれぞれは、集成材で構成されている。
【選択図】図2
【解決手段】建築物の構造を支えて構造計算で考慮される構造材として使用することが可能なコの字状の木製構造体1であって、一対の脚部1a,1bと、一対の脚部1a,1b間を引きボルトで繋ぐ繋ぎ部1cとを備え、一対の脚部1a,1bと繋ぎ部1cのそれぞれは、集成材で構成されている。
【選択図】図2
Description
本考案は、木製構造体に関し、特に、建築物の構造を支えることが可能なコの字状の木製構造体に関する。
建築物において、一般に、強度が要求されると、木造等の木よりも鉄筋等の鉄を構造に使うことになる。一般的には、木造で強度を出すためには、構造的には筋交等を用いることになるが、門型フレーム(一方向ラーメン)や純ラーメン(二方向ラーメン)などの取組みの歴史は古く、実例も豊富にある。しかしながら、剛接合とピン構造を上手く組み合わせて、より経済的な設計をする提案と技術力が求められている。
一方で、木材の個体差による強度の問題を解決する考え方から生まれた集成材というものもある。集成材は、断面寸法の小さい木材(板材)を接着剤で再構成して作られる木質材料であり、構造用と造作用に分類され、主に床、壁、階段等の建材やテーブルの天板などの家具素材として用いられる(特許文献1参照)。
しかしながら、鉄を用いる場合には、現場において運ぶことや現場での加工などを含め、木に比べれば、使い勝手が悪いという面がある。さらに、木に温かみ等を望むユーザの希望があることに加え、鉄を用いた場合には結露発生が生じやすいという問題もある。
一方で、鉄を用いる場合に比べて木を用いる場合には、上記したように構造上の問題が発生しやすく、柱や筋交いなどを多数使うことになれば大きな空間の確保が難しくなり、空間を確保しようとして木製の門型フレームを用いるとすれば、接合部や柱脚部に大きな金物を使う必要があることでコスト増となるという問題があった。
なお、一般的に、施行のしやすさから集成材の柱・梁の断面の中央に縦にスリットを切って接合鋼板挿入し、側面から複数のドリフトピンを集成材と鋼板の穴に打ち込むことで二面せん断接合耐力を得る方式が多い。しかしながら、建築物に使用する場合には、個別の実験結果が必要となるために実験費用による金物コスト増や使用条件が限られる等の問題があった。また、集成材で構成されるコの字状は、室内側に出てくるために空間が狭くなる問題があった。
そこで、すでに実験結果をオープンにした既存の隠ぺい式引きボルトを用いることで、実験をすることなく、比較的簡単に構造計算できることで、多くの建築関係者に利用できること、また、コの字状を工夫し、壁方向に形成できる構造体を提案することで空間を最大限活用できるシステム構築することを目的とする。
本考案の観点は、建築物の構造を支えて構造計算で考慮される構造材として使用することが可能なコの字状の木製構造体であって、一対の脚部と、前記一対の脚部間を実験結果が既に得られている引きボルトで繋ぐ繋ぎ部とを備え、前記一対の脚部と前記繋ぎ部のそれぞれは、集成材で構成されることを特徴とするものである。
本考案の第2の観点は、第1の観点において、壁方向に形成できるものである。
このような構成にすることにより、従来の門型木製フレームのような大型なものではなくても、構造計算に影響するような高い強度を確保しつつ、コの字状の木製構造体で脚部が建築物における柱の役割を果たし、繋ぎ部が建築物における梁又は桁の役割を果たせる。
本考案の観点によれば、すでに実験結果をオープンにした既存の隠ぺい式引きボルトを用いることで、実験をすることなく、比較的簡単に構造計算できることで、多くの建築関係者に利用できること、また、コの字状を工夫し、壁方向に形成できる構造体を提案することで空間を最大限活用できる。また、集成材を用いて建築物の構造計算にも影響できるレベルでの軽量で強度の高いコの字状の木製構造体が得られることになり、構造に鉄を用いた場合の問題を解決できることに加え、木製のメリットを活かすものとできる。特に、集成材の捉え方を既存の枠組みを超えて新しい発想で捉え直したことで、従来の木製門型フレームのようなオーダーメードではなく、基準も設けて量産化が可能であり、新築の建築物に対して適用するだけでなく、既存の木造建築物に対して耐震等のための強度補強にも適用でき、住宅等の業界への影響への貢献は大きいものとなる。
以下、図面を参照して、本考案の実施例について述べる。なお、本考案の実施の形態は、以下の実施例に限定されるものではない。
図1は、WOOD.ALCの木製集成板の写真を示す図である。
WOOD.ALC((一社)日本WOOD.ALC協会の登録商標)は、木材は光合成によって空気中のCO2(二酸化炭素)を体内に吸収し閉じ込めることから「低炭素社会を実現しよう!(Attain Low Carbon Society)」という意味がこめられたひき板(ラミナ)を接着剤で接着した厚板パネルである。サイズとしては、図1に示すように、厚さ30mm×幅120mmのひき材(ラミナ)を接着した厚さ120mm、幅450mm、長さ3000〜6000mmの木製集成板である。
図2は本考案の木製構造体を示す図であり、図3は図2に示した木製構造体の詳細を説明するための図である。図3(A)は図2(A)に対応し、図3(B)は図2(B)に対応している。
図3も参照しながら、図2(A)(B)に示すように、木製構造体は2種類用意されている。図2(A)に示す木製構造体1は、脚部1a,1bと、脚部1aと脚部1bとを繋ぐ繋ぎ部1cとで構成される。脚部1a,1bと繋ぎ部1cとは、それぞれWOOD.ALCの木製集成板が用いられており、厚さ120mm同士で繋がっていて、全体としては120mmという幅の薄い形になっている。一方、図2(B)に示す木製構造体3は、脚部3a,3bと、脚部3aと脚部3bとを繋ぐ繋ぎ部3cとで構成される。脚部3a,3bと繋ぎ部3cとは、それぞれWOOD.ALCの木製集成板が用いられており、厚さ120mm同士で繋がっていて、全体としては450mmという幅の厚い形になっている。図2(B)に示されたものが、壁方向に形成できる木製構造体である。
図4は木製構造体(フレーム)接合に用いられる引きボルトの一例の写真を示す図である。このような引きボルトが用いられて、図2に示す木製構造体(フレーム)同士の接合を可能にし、複数の木製構造体が繋がって大きな構造体にもできるようにしている。
図5は図1の木製集成板を加工した一例の写真を示す図である。図5に示すように、構造耐力を担わない部分では、厚さが120mmあるため、開口を自由に設けたり、模様をつけたりすることができ、例えばコンセントボックスを目立たないように埋め込むことも可能としている。
図6は図2に示す木製構造体を用いた場合の店舗模型の写真を示す図であり、図7は図6に示す模型をベースにしてイメージした店舗の平面図であり、図8は図7のVIII方向から見た立面図であり、図9は図6の断面をイメージした図である。
このような構造体を用いることにより、図6〜図9に示すように、従来の柱や梁と同様に構造材として用いることが可能になっていて、6000mmまでの長スパンを可能にしており、リビングや店舗などの広い空間を構成することも可能になっている。なお、図7において、例えば、A1とA2の位置に、図2(A)の木製構造体1の脚部1a,1bが配置され(B,C,D,G,Hも同様)、例えばE1とE2の位置に、図2(B)の木製構造体3の脚部3a,3bが配置されている(Fも同様)。そして、納期などの面から使用が難しい大径材も、集成材を用いることにより、6mを超えるスパンにも容易に対応可能であり、大スパンの場合に課題になる長期荷重によるクリープ(たわみ)も、鋼材と組み合わせることにより調整が可能になっている。
図10、図11、図12は、図2に示した木製構造体を用いた場合の住宅のイメージを示す第1、第2、第3の図である。
図2に示した木製構造体は、既存の建物の耐震補強として活用することも可能であり、仕上げをしなくても、壁や床、天井の内装材にもなり、木口面が見えて、ストライプを強調したシックな木質空間を演出することも可能なものとなっている。図10〜図12には、そのように、補強される場合の状況をイメージで示す。
図2に示した木製構造体の利点をまとめる。柱や梁・桁の役割を果たし、部材の寸法の統一化により、量産に適したものとできる。さらに、120mm×30mmのようなものも用い、それを間柱、筋違、根太、母屋などの代わりに使用することもでき、寸法の統一化によって全体としてもさらに量産に適したものとすることができる。さらに、木材の重量は、鉄筋コンクリートの6分の1、ALCの2分の1程度なので、一人で運んで施工することが可能であり、建築物の自重を軽くして、基礎や地盤改良のためのコスト削減も可能になる。
1、3・・・木製構造体、1a,1b,3a,3b・・・脚部、1c,3c・・・繋ぎ部
Claims (2)
- 建築物の構造を支えて構造計算で考慮される構造材として使用することが可能なコの字状の木製構造体であって、
一対の脚部と、
前記一対の脚部間を実験結果が既に得られている引きボルトで繋ぐ繋ぎ部とを備え、
前記一対の脚部と前記繋ぎ部のそれぞれは、集成材で構成されていることを特徴とする、木製構造体。 - 壁方向に形成できるものである、請求項1記載の木製構造体。
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2018
- 2018-06-07 JP JP2018002120U patent/JP3217718U/ja active Active
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