JP2020176447A - 木造建物の構造 - Google Patents

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【課題】 従来の木造軸組構造よりも施工が容易で、木造枠組壁構造よりも制約が少ない新しい木造建物の構造を提供する。【解決手段】 第1方向に延びる長板が並んで構成される第1平板部と、第1方向に直交する第2方向に延びる長板が並んで構成される第2平板部とが交互に積層された板材と、複数の柱材と、を備え、前記板材の上面又は下面と、前記柱材の端部とが接合されていて、前記板材の第1平板部又は第2平板部が梁として機能する、木造建物の構造。【選択図】 図1

Description

本発明は、新しい木造建物の構造に関する。
従来の木造建物の構造は、柱、梁及び土台を軸として構成される木造軸組構造、又は、複数の平板を組み合わせてこれらを面として組み合わせて構成される木造枠組壁構造(2×4構造)が一般的である。
木造軸組構造は日本で最も多くの木造建物に用いられている伝統的なものであり、タテ木として種々の柱、ヨコ木として土台や梁などを組み上げた構造で、柱や梁などの縦横の軸が上からの荷重を支える。そして、これらの軸組の上に床材などを敷き詰めて床を形成する。このように、木造軸組構造は、線状の木材で組み上げられるため、構造的な制約が少なく、間取りやデザインの自由度が高い。
一方、木造枠組壁構造は、米国などで多く用いられているもので、規定の木材を用いて枠組を作り、そこに合板を貼った木製パネルで箱を作るようにして建てられる構造である。上記の木造軸組構造が「軸」なのに対して、「面」で構成されていて、柱の代わりに壁、梁の代わりに床や天井で支えられる。また、木造軸組構造に比べて、施工が比較的容易で職人の技量に左右されず工期も短い。
上記した通り、従来の木造軸組構造は、構造的な制約が少なく間取りやデザインの自由度が高い反面、施工が難しく職人の技量によって左右されるという課題がある。また、工期も比較的長い。一方、木造枠組壁構造は、施工が比較的容易で職人の技量に左右されず工期も短い反面、制約があり自由度が低いという課題がある。また、木造枠組壁構造は、職人の技量に左右されにくいが、我が国においては木造軸組構造が主流である。
本発明の目的は、従来の木造軸組構造よりも施工が容易で工期が短く、木造枠組壁構造のような制約がなく自由度が非常に高い新しい木造建物の構造を提供することにある。
本発明に係る一の態様の木造建物の構造は、第1方向に延びる長板が並んで構成される第1平板部と、第1方向に直交する第2方向に延びる長板が並んで構成される第2平板部とが交互に積層された板材と、複数の柱材と、を備え、前記板材の上面又は下面と、前記柱材の端部とが接合されていて、前記板材の第1平板部又は第2平板部が梁として機能することを特徴とする。
この構成によれば、従来の木造軸組構造におけるタテ木はそのまま柱を用い、梁などのヨコ木として板材の第1方向に延びる長板で構成される第1平板部又は第2方向に延びる長板で構成される第2平板部が担うことで、従来の木造軸組構造の枠組みに収まるものでありながら、横架材が不要になることで施工の容易性や工期の短縮を図ることが可能となる。また、同様に根太が不要になることでも施工の容易性や工期の短縮が図られる。
また、この構造は従来の木造軸組構造の枠組みに収まるものであるため、我が国の職人の対応も比較的容易である。さらには、ヨコ木を板材に置きかえることで、床の遮音性能の向上や、面内せん断剛性の向上なども期待できる。
また、従来の木造軸組構造の場合、柱及び壁の直下率を計算して設計する必要があった。柱の直下率とは、2階の柱の下に1階の柱がどれだけあるかを示す値である。壁の直下率とは、2階の耐力壁の下に1階の耐力壁がどれだけあるかを示す値である。具体的には、柱の直下率=(1階と2階の柱位置が同じ柱本数/上階の柱本数)×100(%)、壁の直下率=(1階と2階の耐力壁位置が同じ壁の長さ/上階の壁の長さ)×100(%)を直下率という。
図11に示すように、直下率が高ければ高いほど地震等による被害が小さくなっており、直下率50〜60%を境に被害が大きく減少していることがわかる。したがって、現在では、直下率60%以上にすることが勧められていて、従来の木造軸組構造の場合はこれを設計に取り入れることが推奨されている。
一方、上記した本発明の構造であれば、直下率100%と同等かそれ以上の耐震性を備えることが可能となる(図12、図13参照)。これらの図は、構造に負荷をかけた場合の変形量や変形比を示すグラフである。このグラフに示す通り、上記した本発明の構造は強固な耐震性を備えると同時に、直下率をそれほど考慮することなく、設計することが可能となる。すなわち、強固な耐震性を具備しつつ、様々な構造の木造建物をつくることができる。
また、この木造建物の構造は、前記板材が上面又は下面に複数の穴を有する。この構成によれば、この穴に柱材の端部を嵌合することで、板材と柱材を強固に接合できる。なお、板材の穴は柱材の端部がそのまま嵌合する形状としてもよく、柱材の端部に突部を有する構成の場合、その突部が嵌合する形状としてもよい。
また、この木造建物の構造は、木造建物の下方に配される基礎をさらに備え、前記基礎の上に前記板材を配する、又は、前記基礎の上に土台を介して前記板材を配する。この構成によれば、従来の木造軸組構造における土台が必須の構成でなくなり、土台がなくなることでさらに施工が容易となり、工期も短縮できる。さらに、前記板材を床として用いることで、この板材の非常に高い面剛性により、基礎を規格化することも可能となる。そして、規格化された基礎の上に板材を敷き詰めるのみのため、非常に工期を短縮でき、コスト減にも大きくつながる。また、土台を介する構成であれば、従来の木造軸組構造に近い構造となり、従来の職人の対応も比較的容易となる。
また、従来は、図14に示す破線部のような張り出し部分にも基礎が必要であったが、板材を用いることで、板材の高い面外剛性から片持ちで負荷に耐えることができ、その部分の基礎が不要となる。そのため、上記のように矩形の基礎とすることができ工期及びコストを抑えられるし、基礎の規格化も可能となる。また、例えばバルコニーを設置する場合、従来の構造ではそれを支える柱が必須であったところ、この板材を用いることで、バルコニー部分を片持ちで支えることが可能となり、従来必須であった柱を不要とすることができる。発明者らの実験によれば、3mの張り出しを片持ちで支持可能であった。
また、この木造建物の構造は、前記柱材の上端又は下端と前記板材との接合部に、接合部材が配されている。この構成によれば、板材に穴がない場合にも、接合部材により柱材と板材とを接合することができる。また、板材に穴がある場合においても、接合部材により強固に接合することができる。
また、この木造建物の構造は、2本の前記柱材と、該2本の柱材と接合される上方又は下方の板材とを構成要素として形成される面に筋交いが設けられている。ここで、筋交いには、長板状の板材からなる両筋交いや片筋交い、K型の筋交い、頬杖型の筋交い、その他の鉄筋やアングルなど型鋼からなるブレースダンパーなどが含まれる。この構成によれば、木造建物の強度や耐震性が向上する。
また、この木造建物の構造は、2本の前記柱材と、該2本の柱材と接合される上方又は下方の板材とを構成要素として形成される面に面材が設けられてもよい。
また、この木造建物の構造は、前記複数の柱材のうち所定数の柱材が前記第1方向に沿って配され、前記該所定数の柱材からなる柱材列が前記第1方向と平行に前記第2方向に沿って列状に配されていて、前記板材の前記第1平板部又は前記第2平板部が梁又は根太として機能する。複数の柱材をこのように配することで、板材の第1平板部の第1方向に延びる長板又は第2平板部の第2方向に延びる長板が横架材としての機能を効果的に発揮する。
また、この木造建物の構造は、前記板材が、前記第1平板部と前記第2平板部とが交互に積層され、該板材の上面及び下面には前記第1平板部が露出するように積層されている、または、前記第1平板部と前記第2平板部とが交互に積層され、最上面及び最下面には前記第1平板部が配されていて、これらを挟み込むように、最上面の上及び最下面の下に、さらに前記第1平板部がそれぞれ配されている。
この構成によれば、板材の上面及び下面に第1平板部が配され、これに挟み込まれるように、第2平板部が挟まれ(3層の場合)、又は、第1平板部、第2平板部、第1平板部が交互に積層される(5層以上の場合)。
また、この木造建物の構造は、前記板材が前記第1平板部と前記第2平板部とが交互に積層され、前記板材の上面及び下面のいずれか一方に前記第1平板部が露出し、該板材の上面及び下面のいずれか他方に前記第2平板部が露出するように積層されている。この構成によれば、板材の第1平板部と第2平板部との数が一致し、縦横の強度が略均等になる。
また、この木造建物の構造は、前記板材を複数備え、前記複数の柱材のうち所定数の柱材で構成される第1の柱群の上方に第1の板材が配され、該第1の柱群の上端部と該第1の板材の下面とが接合されていて、前記第1の柱群の下方に第2の板材が配され、該第1の柱群の下端部と該第2の板材の上面とが接合されていて、前記複数の柱材のうち所定数の柱材で構成される第2の柱群の上方に第2の板材が配され、該第2の柱群の上端部と該第2の板材の下面とが接合されている。
また、この木造建物の構造は、前記第2の柱群の下端部と前記土台の上面とが接合されている。また、前記第2の柱群の下方に第3の板材が配され、該第2の柱群の下端部と該第3の板材の上面とが接合される構成としてもよい。
また、この木造建物の構造は、前記板材を複数備え、第1の板材は、前記複数の穴が上面及び下面に設けられ、第2の板材は、前記複数の穴が少なくとも下面に設けられ、前記複数の柱のうち第1の柱群の上方に第1の板材が、該第1の柱群の一方の突部を該第1の板材の下面の穴に嵌合して取り付けられ、前記第1の柱群の下方に前記土台が、該第1の柱群の他方の突部を該土台の穴に嵌合して取り付けられ、前記複数の柱のうち第2の柱群の上方に第2の板材が、該第2の柱群の一方の突部を該第2の板材の下面の穴に嵌合して取り付けられ、前記第2の柱群の下方に第1の板材が、該第2の柱群の他方の突部を該第1の板材の上面の穴に嵌合して取り付けられてもよい。
また、この木造建物の構造は、第1方向に延びる長板が並んで構成される第1平板部と、第1方向に直交する第2方向に延びる長板が並んで構成される第2平板部とが交互に積層された板材と、複数の柱材と、を備え、前記板材は、前記複数の柱材の端部がそれぞれ嵌合する複数の穴を有し、前記複数の柱材の上方に前記板材が配され、該複数の柱材が、該板材の穴にそれぞれ嵌合して取り付けられ、前記板材の第1平板部が梁として機能し、第2平板部が根太として機能する構成としてもよい。
本発明に係る一の態様の木造建物の構造は、第1方向に延びる長板が並んで構成される第1平板部と、第1方向に直交する第2方向に延びる長板が並んで構成される第2平板部とが交互に積層された板材と、複数の柱材と、を備え、前記複数の柱材の上方に前記板材が配され、該複数の柱材と該板材が接合され、前記板材の第1平板部が梁として機能し、第2平板部が根太として機能する構成としてもよい。
本発明によれば、従来の木造軸組構造よりも施工が容易で工期が短く、木造枠組壁構造よりも制約が少なく自由度が高い。
本発明の一実施形態に係る木造建物の構造を示す模式図である。 柱材と土台との接合部を示す説明図である。 柱材と板材との接合部を示す説明図である。 柱材と板材を示す説明図である。 板材と従来の木造軸組構造の構成部材との対応を示す説明図である。 筋交いを取り付けた木造建物の構造を示す模式図である。 柱材と土台との接合部を示す説明図である。 木造建物の構造の変形例を示す模式図である。 木造建物の構造の変形例を示す模式図である。 木造建物の構造の変形例の柱材と板材との接合部を示す説明図である。 木造建物の構造の変形例の柱材と板材との接合部を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る木造建物の構造を示す模式図である。 従来の木造軸組構造における直下率と事故物件割合を示すグラフである。 従来の木造軸組構造及び本発明の木造建物構造における直下率に対する地震時の変形量を示すグラフである。 従来の木造軸組構造と本発明の木造建物構造における直下率に対する地震時の変形比を示すグラフである。 基礎と土台についての説明図である。 従来の木造軸組構造の床と本発明の木造建物構造の床における耐力を示すグラフである。
以下、本発明に係る一実施形態を図面に基づき説明するが、本発明は下記実施形態に限定されるものではない。本実施形態においては、一例として2階建ての木造建物の構造について説明するが、本発明は1階建てや3階建て以上の木造建物にも適用可能である。また、本実施形態においては、一例として板材に2つの第1平板部で1つの第2平板部を挟み込んだ3層構造の板材を用いて説明するが、本発明に用いる板材は5層や7層など、3層以上の板材も適用可能である。また、本実施形態においては、一例として端部に突部を有する柱材と、上面又は下面に穴を有する板材を用いた例を説明するが、端部に突部のない柱材や穴のない板材も適用可能である。
<第1実施形態>
(木造建物の構造)
図1は本発明の一実施形態に係る木造建物の構造を示す模式図である。図2は柱材と土台との接合部を示す説明図である。図3は柱材と板材との接合部を示す説明図である。図4は柱材と板材を示す説明図である。図5は板材と従来の木造軸組構造の構成部材との対応を示す説明図である。
図1に示すように、木造建物10は、2階建ての構造であって、下方の基礎4と、基礎の上に土台3と、複数の柱材2と、2つの板材1と、を主要な構成として備える。なお、図1では屋根部がない構成としているが、従来の木造軸組構造と同様の屋根部の構造を用いてもよい。
基礎4は、従来の木造軸組構造と同様、鉄筋とコンクリートで形成され、地面に敷設されている。土台3は、例えば檜などを使用した木製のヨコ材であり、基礎4とアンカーボルトで固定されている。また、土台3の上面には、複数の穴31が設けられていて、柱材2の突部21と嵌合する(図2参照)。
柱材2は、例えば杉などを使用した木製のタテ材であり、下端に突部21と、上端に突部22が設けられている(図4参照)。また、柱材2の突部21と土台3の穴31とが嵌合した接合部には、柱材2と土台3に渡るようにネジ止めされた金物5を補強材として用いる(図2参照)。
図3、図4、図5に示すように、板材1は、第1方向Xに延びる木製の長板が複数並んで接着された第1平板部11と、第1方向に直交する第2方向Yに延びる木製の長板が複数並んで接着された第2平板部12が交互に積層され、これらが接着されてなる板材である。具体的には、本実施形態の板材1は、対向する2枚の第1平板部11の間に、1枚の第2平板部12が介在するように積層された3層構造である。
なお、板材1の3層構造は、本実施形態の一例であり、第1平板部11が3枚と、これらの各間に第2平板部12が2枚介在した5層構造や、第1平板部11が4枚と第2平板部12が3枚の7層構造、また下方から順に2枚の第1平板部11、1枚の第2平板部12、1枚の第1平板部11、1枚の第2平板部12、2枚の第1平板部11とする7層構造などを用いてもよい。また、各長板は同寸の幅のものを用いてもよいが、幅が異なる寸法の長板を用いて平板部を構成することも可能である。
また、木造建物10において板材1は2つ用いられていて、1つは木造建物10の1階の天井と2階の床となる下方の板材1(下方の板材を「1A」と称する)であり、もう1つは2階の天井となる上方の板材1(上方の板材を「1B」と称する)である。下方の板材1Aは、下面に1階の柱となる複数の柱材2に対応する位置に、柱材2の上端の突部22が嵌合する穴13が複数形成されている。また、同下方の板材1Aは、上面に2階の柱となる複数の柱材2に対応する位置に、下端の突部21が嵌合する穴13が複数形成されている(図4参照)。
そして、この板材1Aの下面の穴13と、1階部分の柱材2の突部22とが嵌合したそれぞれの接合部には、板材1Aと柱材2に渡るようにネジ止めされた金物が補強材として用いられているまた、この板材1Aの上面の穴13と、2階部分の柱材2の突部21とが嵌合したそれぞれの接合部には、同様に板材1Aと柱材2に渡るようにネジ止めされた金物が補強材として用いられている(図3の符号6参照)。
一方、木造建物10の2階の天井となる上方の板材1Bは、下面に2階の柱となる複数の柱材2に対応する位置に、柱材2の上端の突部22が嵌合する穴13が複数形成されている。そして、この板材1Bの下面の穴13と、1階部分の柱材2の突部22とが嵌合したそれぞれの接合部には、板材1Bと柱材2に渡るようにネジ止めされた金物が補強材として用いられている。
図5に示すように、この板材1は、第1平板部11の第1方向Xに延びる複数の長板が、従来の木造軸組構造における梁や桁などの横架材に相当する。これにより、そして、第2平板部12の第2方向Yに延びる長板が、従来の木造軸組構造における床板を支えるための床下に渡す横木、すなわち根太に相当する。
(本実施形態の効果)
この構成により、柱と横架材に相当する第1平板部11の長板とで、従来の木造軸組構造と同様の構造を有することとなる。さらに、第2平板部12の長板が根太に相当するため、従来の軸組構造における横架材及び根太、すなわち在来の木造軸組構造の水平構面を、第1平板部11及び第2平板部12が積層された板材1に置き換えることができる。これにより、従来の軸組構造における横架材や軸組に敷き詰める床材が不要になることで、施工が容易となり、工期の短縮が可能となる。
また、本願の発明者らは、本実施形態の効果を検証すべく試験を行った。1つ目の試験は、従来の軸組構造(種々の直下率)と、本実施形態の構造とにおける耐震性を比較したもので、それぞれの構造に負荷をかけた場合の変形量や変形比を測定するものである。変形量や変形比が小さいほど耐震性が高いこととなる。図12、13にその結果を示す。
図12、13に示す通り、本実施形態の構造の場合、直下率100%と同等かそれ以上の耐震性を備えることがわかった。このように、本実施形態の構造によれば、強固な耐震性を備えると同時に、直下率をそれほど考慮することなく、フレキシブルに設計することが可能となる。すなわち、強固な耐震性を具備しつつ、様々な構造の木造建物をつくることができる。
2つ目の試験は、床の剛性についての試験である。本願の発明者らが本実施形態の構造における床の剛性について試験を行い、これを従来の軸組構造の床の結果と比較した。なお、従来構造の床とは、一般的に用いられる合板の床材を軸組に釘打ちして固定したものである。
そして、それぞれの床の側面、すなわち床面と水平方向に厚み方向の端面から荷重をかけ、その時の床の変形量から床の耐力を測定する試験である。一般的に水平せん断試験と言われるものである。なお、従来の軸組構造の床の試験結果については、公知文献の試験結果を用い、これと本実施形態の試験結果とを比較した。
図15は、試験結果を示すグラフであって、(a)が本実施形態の床であって、せん断加力試験より得られたせん断応力と変形角との関係を示すグラフであり、(b)が従来の軸組構造の床であって、釘打ちした合板床のせん断加力試験より得られたせん断耐力と変形角との関係を示すグラフである。図15に示すように、1/150rad(0.0067rad)時の従来の軸組構造の床(標準)の耐力が約11.8kN/mであるところ、本実施形態の床の耐力は、グラフより約2.5N/mm、これに厚さ150mmと幅1000mmを乗じると約375kN/mとなる。そして、それぞれの耐力を1.96kN(壁倍率1.0)で割ると、従来の軸組構造の床が6倍、本実施形態の床が191倍となる。この結果から、本実施形態の床の剛性は従来に比べて大幅に向上することがわかった。
(変形例1)
図6は筋交いを取り付けた木造建物の構造を示す模式図である。図7は柱材と土台との接合部を示す説明図である。図6、図7に示すように、本実施形態の木造建物は、柱材2と土台3の接合部と、柱材2と板材1の接合部を対角線上に結ぶ筋交いが設けられていてもよい。また、柱材2と板材1の接合部同士を対角線上に結ぶ筋交いが設けられていてもよい。
具体的には、図7に示すように、柱材2と土台3の接合部から、図示しない隣の柱材2と板材1の下面の接合部に向けて筋交い7を取り付ける。また、筋交い7は、一例として柱材2に金物8によって固定されている。なお、金物8の形状は一例であり、別の構造の金物を用いてもよい。また、本実施形態は片筋交いを取り付けた一例であり、両筋交いを取り付けることも可能である。
このように、本実施形態の木造建物の構造は、従来の木造軸組構造と同様に筋交いを取り付けることが可能であり、各接合部同士を対角線上に結ぶ筋交いを設けることで、強度や耐震性を向上することが可能となる。
(変形例2)
図8Aは木造建物の構造の別の変形例を示す図であり、面材を取り付けた構造を示す模式図である。図8Aに示すように、本実施形態の木造建物は、2つの柱材2と土台3と板材1で囲われる面と、2つの柱材2と2つの板材1で囲われる面とに、面材9が設けられていてもよい。
(変形例3)
図8Bは木造建物の構造の別の変形例を示す図であり、上記の実施形態では、従来の木造軸組工法と同様に複数の柱材を縦横に整列した例であるが、本発明の構造を用いることで、図8Bに示すように、柱材を縦横に整列させず、まばらに配することも可能である。従来の木造軸組工法では、このようなまばらな配列にすると十分な強度を得られなかったが、本発明を用いることでまばらな配列にした場合にも十分な強度を得ることができる。
(変形例4)
図9Aは木造建物の構造の別の変形例を示す図であり、柱材の端部に突部21を設けない場合の例であり、板材の穴に柱材の端部をそのまま嵌合する木造建物の構造を示す板材と柱材との接合部を示す図である。図9Aに示すように、本実施形態の木造建物は、柱材の端部に突部21がなく、柱材2の端部を板材1の穴にそのまま嵌合する構造である。また、図9Bに示すように、板材に穴を設けず、板材と柱材とを金具等によって固定する構造としてもよい。
<第2実施形態>
次に、上記の第1実施形態と構造の異なる第2実施形態について説明する。図10は、第2実施形態の木造建物の構造を示す模式図である。上記した第1実施形態との主な相違点は、土台3をなくして、基礎4の上に板材1を配した点である。以下、相違点を中心に説明する。なお、第1実施形態と同じ構造のものについては同じ符号を用いる。
図10に示すように、木造建物20は、2階建ての構造であって、下方の基礎4と、複数の柱材2と、3つの板材1と、を主要な構成として備える。なお、図10では屋根部がない構成としているが、従来の木造軸組構造と同様の屋根部の構造を用いてもよい。また、木造建物20において板材1は3つ用いられていて、1つは木造建物20の1階の床となる下方の板材1(下方の板材を「1X」と称する)であり、1つは木造建物20の1階の天井と2階の床となる下方の板材1(中央の板材を「1Y」と称する)であり、もう1つは2階の天井となる上方の板材1(上方の板材を「1Z」と称する)である。
基礎4は、従来の木造軸組構造と同様、鉄筋とコンクリートで形成され、地面に敷設されている。そして、基礎4の上面に板材1Xが敷き詰められていて、板材1Xと基礎4とは、例えばアンカーボルトにより緊結されている。また、この板材1Xの上面には、複数の穴13が設けられていて、柱材2の突部21と嵌合する。なお、柱材2は、例えば杉などを使用した木製のタテ材であり、下端に突部21と、上端に突部22が設けられている。
中央の板材1Yは、下面に1階の柱となる複数の柱材2に対応する位置に、柱材2の上端の突部22が嵌合する穴13が複数形成されている。また、同中央の板材1Yは、上面に2階の柱となる複数の柱材2に対応する位置に、下端の突部21が嵌合する穴13が複数形成されている(図4参照)。
そして、この板材1Yの下面の穴13と、1階部分の柱材2の突部22とが嵌合したそれぞれの接合部には、板材1Yと柱材2に渡るようにネジ止めされた金物が補強材として用いられている。また、この板材1Yの上面の穴13と、2階部分の柱材2の突部21とが嵌合したそれぞれの接合部には、同様に板材1Yと柱材2に渡るようにネジ止めされた金物が補強材として用いられている(図3の符号6参照)。
一方、木造建物20の2階の天井となる上方の板材1Zは、下面に2階の柱となる複数の柱材2に対応する位置に、柱材2の上端の突部22が嵌合する穴13が複数形成されている。そして、この板材1Zの下面の穴13と、1階部分の柱材2の突部22とが嵌合したそれぞれの接合部には、板材1Zと柱材2に渡るようにネジ止めされた金物が補強材として用いられている。
この構成により、上記した第1実施形態の効果に加え、基礎4の上に土台3を組むこと及び別途床材を敷き詰める必要がなく、板材1と基礎4とを固定することで足りるので、さらに施工が容易となり、非常に工期を短縮でき、コスト減にも大きくつながる。また、基礎を規格化することも可能となる。
以上のとおり、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能である。例えば、上記の実施形態は第1平板部が第2平板部よりも積層数の多い構造の板材の例であるが、これに限られず、第1平板部と第2平板部が交互に同数積層された板材を用いることも可能である。
1 板材
11 第1平板部
12 第2平板部
13 穴
2 柱材
21 突部
22 突部
3 土台
31 穴
4 基礎
5 金物
6 金物
7 筋交い
8 金物
9 面材
10 木造建物
20 木造建物

Claims (12)

  1. 第1方向に延びる長板が並んで構成される第1平板部と、第1方向に直交する第2方向に延びる長板が並んで構成される第2平板部とが交互に積層された板材と、
    複数の柱材と、を備え、
    前記板材の上面又は下面と、前記柱材の端部とが接合されていて、
    前記板材の第1平板部又は第2平板部が梁として機能する、
    木造建物の構造。
  2. 前記板材は、上面又は下面に複数の穴を有する、
    請求項1に記載の木造建物の構造。
  3. 前記柱材は、端部に前記板材の穴に嵌合する突部を有する、
    請求項2に記載の木造建物の構造。
  4. 木造建物の下方に配される基礎をさらに備え、
    前記基礎の上に前記板材を配する、
    又は、前記基礎の上に土台を介して前記板材を配する、
    請求項1乃至3のいずれか1項に記載の木造建物の構造。
  5. 前記柱材の上端又は下端と前記板材との接合部に、接合部材が配されている、
    請求項1乃至4のいずれか1項に記載の木造建物の構造。
  6. 2本の前記柱材と、該2本の柱材と接合される上方又は下方の板材とを構成要素として形成される面に筋交いが設けられている、
    請求項1乃至5のいずれか1項に記載の木造建物の構造。
  7. 2本の前記柱材と、該2本の柱材と接合される上方又は下方の板材とを構成要素として形成される面に面材が設けられている、
    請求項1乃至5のいずれか1項に記載の木造建物の構造。
  8. 前記複数の柱材は、所定数の柱材が前記第1方向に沿って配され、
    前記該所定数の柱材からなる柱材列が、前記第1方向と平行に前記第2方向に沿って列状に配されていて、
    前記板材の前記第1平板部又は前記第2平板部が梁又は根太として機能する、
    請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の木造建物の構造。
  9. 前記板材は、
    前記第1平板部と前記第2平板部とが交互に積層され、該板材の上面及び下面には前記第1平板部が露出するように積層されている、
    または、前記第1平板部と前記第2平板部とが交互に積層され、最上面及び最下面には前記第1平板部が配されていて、これらを挟み込むように、最上面の上及び最下面の下に、さらに前記第1平板部がそれぞれ配されている、
    請求項1乃至8に記載の木造建物の構造。
  10. 前記板材は、
    前記第1平板部と前記第2平板部とが交互に積層され、
    前記板材の上面及び下面のいずれか一方に前記第1平板部が露出し、該板材の上面及び下面のいずれか他方に前記第2平板部が露出するように積層されている、
    請求項1乃至8に記載の木造建物の構造。
  11. 前記板材を複数備え、
    前記複数の柱材のうち所定数の柱材で構成される第1の柱群の上方に第1の板材が配され、該第1の柱群の上端部と該第1の板材の下面とが接合されていて、
    前記第1の柱群の下方に第2の板材が配され、該第1の柱群の下端部と該第2の板材の上面とが接合されていて、
    前記複数の柱材のうち所定数の柱材で構成される第2の柱群の上方に第2の板材が配され、該第2の柱群の上端部と該第2の板材の下面とが接合されている、
    請求項1乃至10に記載の木造建物の構造。
  12. 前記第2の柱群の下方に第3の板材が配され、該第2の柱群の下端部と該第3の板材の上面とが接合されている、
    請求項11に記載の木造建物の構造。
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