JP2015098426A - 印刷層付き化学強化ガラス及びその用途 - Google Patents

印刷層付き化学強化ガラス及びその用途 Download PDF

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玄一 大木
Genichi Oki
玄一 大木
明男 伊原
Akio Ihara
明男 伊原
弘高 今西
Hirotaka Imanishi
弘高 今西
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Abstract

【課題】印刷層を有するガラスの化学強化を円滑に行うことができるとともに、印刷層の劣化を抑え、耐久性を向上させることができる印刷層付き化学強化ガラス及びその用途を提供する。【解決手段】印刷層付き化学強化ガラス10は、化学強化前のガラスの表面に塗布された印刷用材料が焼付けられて印刷層12が形成され、その状態で化学強化が施されて化学強化ガラス11が形成されている。前記印刷用材料は、ホウケイ酸ガラスを主成分とし、無機のフィラー及び無機の顔料を含有する。印刷用材料の焼付け温度は、600〜670℃である。化学強化ガラス11は、ソーダガラスを化学強化して形成されている。合せガラス13は、印刷層付き化学強化ガラス10の印刷層12側と、印刷層12を有しない化学強化ガラス11とが、中間膜を介して接合されている。【選択図】図1

Description

本発明は、例えば駅のホームに設置される防護用のガラス板として使用される印刷層付き化学強化ガラス及びその用途に関する。
鉄道車両、建築物、建設機械等の窓やドアには、ポリカーボネート板等の透明樹脂ガラス板や風冷強化ガラス板、風冷強化合せガラス板が用いられている。しかしながら、透明樹脂板は表面に傷が付きやすく、経時的な劣化も大きく、さらに耐光性にも劣るという欠点がある。一方、風冷強化ガラス板は、耐衝撃性は高いが、破損した場合には破片が飛散することから、それを防ぐために風冷強化合せガラス板が用いられるが、2枚の風冷強化ガラス板を重ね合せることから、重量が2倍以上になるという欠点がある。
この種の合せガラスとして、例えば特許文献1には透光性防音パネルに用いられる合せガラスが開示されている。この合せガラスは、第1の化学強化ガラスと、第2の化学強化ガラスとを、中間膜を介して貼り合せて構成され、第1の化学強化ガラスの厚みが1.5〜4mm、第2の化学強化ガラスの厚みが1.5mm以上、中間膜の厚みが6mm以下に設定されている。そして、この合せガラスを金属枠に嵌め込むことにより、透光性防音パネルが構成される。
特開2013−23912号公報
しかしながら、前記特許文献1に記載されている従来構成の合せガラスを用いた透光性防音パネルでは、金属枠の内方へ突出した突出部に対して合せガラスの周縁を挿入し、その外側から押縁部材を挿入してタッピングネジで押縁部材を金属枠に固定するようになっている。そして、合せガラスの周縁と金属枠及び押縁部材との隙間にシール材を充填することにより、合せガラスを金属枠に装着するように構成されている。すなわち、合せガラスの周縁は金属枠の突出部と押縁部材とに挟持されていることから、合せガラスの前面は金属枠の前面に対して段差状に形成されている。
このため、透光性防音パネルは見栄えが悪くなるとともに、合せガラスの前面側に可動部材がある場合にはその可動部材と合せガラスとの間に隙間が形成され、取扱上好ましくない。このような段差を解消するためには、金属枠の幅を広くして金属枠自体に段差を設けたり、段差部分を覆うようにさらにガラス板を設けたりしなければならず、構成が複雑になったり、製作が面倒になったりして好ましくない。金属枠の前面と合せガラスの前面とを面一にする簡易な構成は、金属枠の突出部の突出高さを合せガラスの厚さに設定するとともに、押縁部材を省略し、合せガラスの周縁を金属枠の突出部に対して接着剤や両面テープで固着するものである。
しかしながら、そのような透光性防音パネルにおいては、合せガラスの周縁と金属枠の突出部との固着部が前面から透視でき、固着部における固着むらや気泡が視認されて、外観が損なわれるという問題がある。このため、化学強化ガラスの表面に印刷層を形成して不透視帯とし、その不透視帯により前記固着部を隠蔽することが考えられるが、印刷層を形成したガラスを化学強化することは困難であった。つまり、化学強化を行うための硝酸カリウム溶液中に、印刷材料の溶剤や不純物が入り込むと、化学強化を正常に行うことが難しくなるという問題があった。
そこで、本発明の目的とするところは、印刷層を有するガラスの化学強化を円滑に行うことができるとともに、印刷層の劣化を抑え、耐久性を向上させることができる印刷層付き化学強化ガラス及びその用途を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明の印刷層付き化学強化ガラスは、化学強化ガラスの表面に印刷層が設けられた印刷層付き化学強化ガラスであって、化学強化前のガラスの表面に塗布された印刷用材料が焼付けられて印刷層が形成され、その状態で化学強化が施されて化学強化ガラスが形成されていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明の印刷層付き化学強化ガラスは、請求項1に係る発明において、前記印刷用材料は、ホウケイ酸ガラスを主成分とし、無機のフィラー及び無機の顔料を含有することを特徴とする。
請求項3に記載の発明の印刷層付き化学強化ガラスは、請求項1又は請求項2に係る発明において、前記印刷用材料の焼付け温度は、600〜670℃であることを特徴とする。
請求項4に記載の発明の印刷層付き化学強化ガラスは、請求項1から請求項3のいずれか一項に係る発明において、前記化学強化ガラスは、ソーダガラスを化学強化して形成されていることを特徴とする。
請求項5に記載の発明の合せガラスは、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の印刷層付き化学強化ガラスと、印刷層を有しない化学強化ガラスとが、中間膜を介して接合されていることを特徴とする。
請求項6に記載の発明の合せガラスは、請求項5に係る発明において、前記印刷層付き化学強化ガラスの印刷層側と、印刷層を有しない化学強化ガラスとが、中間膜を介して接合されていることを特徴とする。
請求項7に記載の発明の枠付きガラスは、枠体の前面内周部に内周側が窪む段差部を設け、その段差部に請求項5又は請求項6に記載の合せガラスを接着層で接合し、合せガラスの前面と枠体の前面とが面一となるように構成されていることを特徴とする。
本発明の印刷層付き化学強化ガラスによれば、印刷層を有するガラスの化学強化を円滑に行うことができるとともに、印刷層の劣化を抑え、耐久性を向上させることができるという効果を奏する。
実施形態における印刷層付き化学強化ガラスと印刷層を有しない化学強化ガラスとを接合した合せガラスが枠体内に納められた枠付きガラスを示す正面図。 化学強化ガラスの背面の周囲に印刷層を形成した状態の断面図。 図2の状態の化学強化ガラスの背面に中間膜を載せた状態を示す断面図。 図3の状態から、中間膜上に印刷層を有しない化学強化ガラスを重ね合せて加熱し、接合した状態を示す断面図。 合せガラスを枠体の内周部に嵌め込んで接着層で接合した状態を示す断面図。 合せガラスの外周部と枠体の内周部との間の隙間をシール材でシールした状態を示す断面図。
以下、本発明を具体化した実施形態を図1〜図6に基づいて詳細に説明する。
図1及び図2に示すように、印刷層付き化学強化ガラス10は、化学強化ガラス11の片面(背面)の外周部に一定幅で印刷層12が形成されて構成されている。この印刷層12は、化学強化が施されていないガラスの表面に塗布された印刷用材料が焼付けられ、その状態で化学強化が施されて形成されている。
図1及び図4に示すように、合せガラス13は、前記印刷層付き化学強化ガラス10の印刷層12側と化学強化されていない化学強化ガラス11とが中間膜14を介して接合されて構成されている。
図5及び図6に示すように、枠付きガラス15は、枠体16の前面側の内周部に内周側が窪むように設けられた段差部16aに合せガラス13が接着剤による接着層17で接合されるとともに、合せガラス13の外周部と枠体16の内周部との間の隙間19に充填されたシール材によるシール層18が形成されて構成されている。枠体16の段差部16aの高さは合せガラス13の厚さに相当するように設定され、枠付きガラス15における化学強化ガラス11の前面と枠体16の前面とが面一になるように構成されている。
前記化学強化ガラス11は、ソーダガラス、アルミナガラス、ホウケイ酸ガラス等のガラス基材に所定条件で化学強化を施して得られるガラスである。ガラス基材としては、最も多く使用されて入手が容易で、大きさの制約が少なく、安価である点からソーダガラスが好ましい。
化学強化ガラス11は、イオン交換法等の方法によってガラス表面の小さなイオン半径を有するナトリウムイオン又はリチウムイオンが大きなイオン半径を有するカリウムイオンに置き換えられることにより、ガラスの表面部に圧縮応力が付与されて圧縮層が形成されたガラスである。得られた化学強化ガラス11は、風冷強化ガラス等と比較して強度が高められて割れ難くなるとともに、割れた場合にはガラスの破片が小さくなる。
この化学強化は具体的には、ガラス基材をカリウム塩の溶融液に所定時間浸漬してイオン交換を行った後、徐冷することにより行われる。化学強化に用いられるカリウム塩としては、硝酸カリウム、硫酸カリウム、炭酸カリウム、塩化カリウム等が挙げられる。カリウム塩の溶融温度は、例えばカリウム塩が硝酸カリウムの場合には350〜450℃程度である。この溶融温度が350℃より低いときには、ガラスの表面から内部へ十分に深く化学強化を行うことが難しく、できるだけ深く化学強化を行おうとすると化学強化に長時間を要して好ましくない。その一方、溶融温度が450℃より高いときには、化学強化を温度に見合うだけ速くすることが難しく、また副反応によりガスを発生するおそれもあって好ましくない。
ガラスの浸漬時間は、ガラスの厚さ、ガラス表面の求める圧縮応力等によって変化するが、通常4〜6時間程度の範囲内で適宜設定される。浸漬時間が4時間より短い場合、化学強化が不足する傾向を示す。一方、浸漬時間が6時間より長い場合、化学強化を促進することが難しく、副反応が生じてガスの発生を招くおそれがある。
なお、化学強化を行うガラスは、カリウム塩の溶融液に浸漬する前に予熱をしておくことが、化学強化を効率良く行うことができる点から好ましい。予熱温度は、例えば200〜300℃である。
得られる化学強化ガラス11の表面圧縮応力は、450MPa以上、例えば450〜500MPaであることが好ましく、イオン交換が行われた応力深さは25μm以上、例えば25〜30μmであることが好ましい。このような化学強化ガラス11は、表面圧縮強度に加えて衝撃強度に優れている。
この化学強化ガラス11の厚さは薄い方が軽量化でき、取扱性が良いため好ましいが、所要の強度を確保するために、好ましくは0.5〜3mm、より好ましくは1.8〜2.5mmである。化学強化ガラス11の厚さを0.5〜3mmに設定することにより、厚さ5〜6mmの風冷強化ガラスと同等又はそれ以上の強度を発揮することができる。化学強化ガラス11の厚さが0.5mmより薄い場合、化学強化ガラス11の圧縮強度や衝撃強度が低下して好ましくない。一方、化学強化ガラス11の厚さが3mmより厚い場合、化学強化ガラス11が重くなって取扱性が悪くなるとともに、化学強化ガラス11を用いる意義が薄れて好ましくない。
次に、前記印刷層12について説明する。
印刷層12を形成する印刷用材料は、ホウケイ酸ガラスを主成分とし、無機のフィラー及び無機の顔料等の無機成分のほか、必要により有機成分を含有する。ホウケイ酸ガラスは、ソーダガラス等にホウ酸を加えて溶融し、軟化温度や硬度を高めて、熱膨張率が低く、熱衝撃を向上させたガラスである。
無機のフィラーとしては、リトポン〔硫酸バリウム(BaSO)と硫化亜鉛(ZnS)との混合物〕、炭化カルシウム(CaC)等が用いられる。
無機の顔料としては、黒色無機顔料である銅・クロム・マンガン複合酸化物〔Cu(Cr、Mn)〕、黄色無機顔料であるチタン・アンチモン・ニッケル複合酸化物〔(Ti、Sb、Ni)O〕、青色無機顔料であるコバルト・アルミニウム複合酸化物〔CoAl〕等が用いられる。
前記有機成分としては、パインオイル、ジブチルジグリコール、プロピレングリコールフェニルエーテル、セルロース系樹脂、ロジン系樹脂等が用いられる。
印刷用材料の組成は、例えばホウケイ酸ガラスが60〜65質量%、無機のフィラーが1〜5質量%、無機の顔料が15〜20質量%、有機成分が15〜20質量%である。
この印刷用材料は、化学強化ガラス11の片面の外周部に一定幅で、スクリーン印刷法等の常法に従って塗布された後、乾燥される。乾燥条件としては、例えば乾燥温度が70〜150℃で、乾燥時間が10〜70分の条件が採用される。
その後、印刷用材料は焼付け処理されて印刷層12が形成される。印刷用材料の焼付け温度は、600〜670℃であることが好ましい。この焼付け温度が600℃を下回る場合には、焼付けが不十分になるおそれがあり、印刷用材料中の有機成分が残存したり、無機化が不足したりして好ましくない。その一方、焼付け温度が670℃を上回る場合には、化学強化ガラス11が変形したり、損傷を受けたりして好ましくない。
また、焼付け時間は、2〜10分であることが好ましい。焼付け時間が2分より短い場合、印刷用材料の焼付けが不十分となりやすく、焼付けむらができたりして好ましくない。一方、焼付け時間が10分より長い場合、印刷層12に変色を生じたり、焼付けに要するエネルギーが無駄になったりして好ましくない。
なお、化学強化ガラス11は、その背面の外周部に印刷用材料が塗布されて焼付けられて印刷層12が形成され、その印刷層12の部分の熱膨張が中央の化学強化ガラス11のみの部分に比べて抑えられることから、化学強化ガラス11の印刷層12側が凹んで、化学強化ガラス11全体が凹状に形成される傾向を示す。
印刷層12の厚さは、30〜100μmに設定されることが好ましい。印刷層12の厚さが30μmより薄い場合には、印刷層12が薄くなり過ぎて、耐久性が乏しくなったり、印刷層12が透けたりして好ましくない。その一方、印刷層12の厚さが100μmより厚い場合には、印刷層付き化学強化ガラス10の使用時における取扱性が悪くなったり、印刷用材料を焼付ける条件が厳しくなったりして好ましくない。
前記印刷層12はホウケイ酸ガラスを主成分であることから、化学強化を行う際に印刷層12にも化学強化が施されるものと考えられる。ちなみに、印刷層12を有しない化学強化ガラス11に印刷用材料を塗布して焼付け処理を行うと、印刷用材料中のホウケイ酸ガラスが化学強化ガラス11のカリウムで置換された圧縮層を通り抜けて焼付くことから、化学強化ガラス11の強度が著しく低下する。
前記中間膜14は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等が用いられるが、具体的には例えばポリビニルブチラール樹脂等が挙げられる。この中間膜14の厚さは、通常0.3〜1.5mm程度に設定される。そして、印刷層付き化学強化ガラス10の印刷層12側と、印刷層を有しない化学強化ガラス11とを、中間膜14を介し接合して合せガラス13を製作する場合には、常法に従って加熱及び加圧される。例えば、加熱温度は130〜140℃、圧力は1〜1.3MPa、加熱時間は30分〜1時間である。
上記のように構成された印刷層付き化学強化ガラス10及びそれを用いた合せガラス13及び枠付きガラス15について作用を説明する。
さて、図2に示すように、印刷層付き化学強化ガラス10を製作する場合には、化学強化ガラス11の片面の外周部に印刷用材料を塗布した後、乾燥する。次いで、所定の焼付け条件で印刷用材料の焼付けを行い、化学強化ガラス11の外周部に印刷層12を形成する。このようにして、印刷層付き化学強化ガラス10を得ることができる。
このとき、印刷用材料はホウケイ酸ガラス、無機フィラー、無機顔料等の無機成分を主成分とし、有機成分も含まれるが、焼付け条件として焼付け温度が600〜670℃という高温で焼付けを行うことから、有機成分を揮散させたり、無機化させたりしながら、印刷層12を化学強化ガラス11に強固に密着させることができる。さらに、焼付け時間が2〜10分という短時間で焼付けを完了できることから、焼付け処理を迅速に行うことができる。
次に、印刷層付き化学強化ガラス10を用いた合せガラス13を製造する場合には、図3に示すように、前記印刷層付き化学強化ガラス10の印刷層12側に、化学強化ガラス11と同じ大きさの中間膜14を重ね合せる。続いて、図4に示すように、印刷層付き化学強化ガラス10の中間膜14の上に、印刷層12が設けられていない化学強化ガラス11を重ね合せ、加熱、加圧して接合することにより、合せガラス13を製造することができる。
この場合、中間膜14はポリビニルブチラール樹脂等で形成されていることから、加熱されて溶融し、加圧されて両化学強化ガラス11間で一定の厚さに形成されるとともに、両化学強化ガラス11間が強固に接合される。このとき、印刷層12は印刷用材料が焼付け処理されて形成された後化学強化が施されていることから、中間膜14に対する加熱、加圧時に変形したり、損傷を受けたりするおそれがなく、その形状が保持される。従って、合せガラス13の外周部には一定幅の印刷層12が形成され、合せガラス13の前面からその印刷層12を視認することができる。
続いて、枠付きガラス15を製作する場合には、図5に示すように、四角枠状に形成された枠体16の内周部に設けられた段差部16aに前記合せガラス13を嵌め込んで接着剤による接着層17で接合する。その後、図6に示すように、合せガラス13の外周縁と枠体16の段差部16aの外周縁との間の隙間19にシール材を充填してシール層18を形成することにより、枠付きガラス15を速やかに得ることができる。
このとき、合せガラス13の厚さは枠体16の段差部16aの高さに相当するように設定されていることから、合せガラス13の前面と枠体16の前面とは面一に形成される。そして、合せガラス13の外周部に形成された印刷層12により、合せガラス13を枠体16に接合する接着層17を隠蔽することができる。従って、この枠付きガラス15を、例えば駅のホームに設置される防護用のガラス板等として好適に使用することができる。
以上詳述した実施形態により発揮される効果を以下にまとめて説明する。
(1)本実施形態の印刷層付き化学強化ガラス10は、化学強化前のガラスの表面に塗布された印刷用材料が焼付けられて印刷層12が形成され、その状態で化学強化が施されて化学強化ガラス11が形成されている。このため、印刷層12が形成されたガラスに対して、通常の条件で化学強化を施すことができ、手間を要することなく化学強化を遂行することができる。そして、そのような印刷層付き化学強化ガラス10の印刷層12は、無機成分が焼付けられて形成されていることから、紫外線による劣化、変色、退色を抑えることができるとともに、耐洗浄性等の強度にも優れ、10年以上の長期に亘って良好な状態を維持することができる。
従って、本実施形態の印刷層付き化学強化ガラス10によれば、印刷層12を有するガラスの化学強化を円滑に行うことができるとともに、印刷層12の劣化を抑え、耐久性を向上させることができるという効果を奏する。
(2)前記印刷用材料は、ホウケイ酸ガラスを主成分とし、無機のフィラー及び無機の顔料を含有する。このように、印刷用材料として無機成分を使用して焼付けることにより、印刷層12を無機成分で構成することができ、化学強化を通常の条件で迅速に進めることができる。
(3)前記印刷用材料の焼付け温度は、600〜670℃に設定される。このため、ガラスの変形や損傷を抑えて、印刷用材料の焼付けを良好に行うことができる。
(4)前記化学強化ガラス11は、ソーダガラスを化学強化して形成されている。このソーダガラスは汎用されており、入手が容易で、大きさの制約が少なく、化学強化ガラス11を安価なものにすることができる。
(5)合せガラス13は、前記印刷層付き化学強化ガラス10の印刷層12側と、印刷層12を有しない化学強化ガラス11とが、中間膜14を介して接合されている。このため、合せガラス13は、2枚の化学強化ガラス11の間に所望の印刷層12が容易に形成され、印刷層12の耐久性を向上させることができる。
(6)枠付きガラス15は、枠体16の前面内周部に内周側が窪む段差部16aを設け、その段差部16aに前記合せガラス13を接着層17で接合し、合せガラス13の前面と枠体16の前面とが面一となるように構成されている。従って、枠付きガラス15を容易に作製することができるとともに、合せガラス13の前面と枠体16の前面を面一にして取扱性や外観を良好にすることができる。加えて、接着層17を印刷層12で隠蔽することができ、外観を一層向上させることができる。
以下に、実施例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。
(実施例1)
(化学強化ガラス11の製作)
ガラスとして、厚さ2.5mmのソーダガラスを、縦857mm、横755mmに切断したものを使用した。印刷用材料として、ホウケイ酸ガラス60〜65質量%、無機フィラーのリトピン及び炭化カルシウム1〜5質量%、無機顔料の銅クロム顔料15〜20質量%、パインオイル10〜15質量%、ジブチルジグリコール5〜10質量%、プロピレングリコールフェニルエーテル1〜5質量%、セルロース系樹脂1〜5質量%及びロジン系樹脂0.1〜1質量%の黒色無機インクを用意した。
この印刷用材料をソーダガラスの外周部に幅20mmの一定幅でスクリーン印刷をして厚さ50μmの印刷層12を形成した。次いで、この印刷層12を80℃で1時間加熱し、乾燥した。続いて、印刷層12を650℃で3分間加熱し、焼付けを行った。
その後、印刷層12が形成されたガラスに対して化学強化を施した。化学強化は、ガラスを250℃で予熱した後、カリウム塩を含む化学強化液に400℃で5時間浸漬することにより行った。このようにして、印刷層付き化学強化ガラス10を製作した。
(合せガラス13の製作)
中間膜14として、厚さ0.38mmのポリビニルブチラール樹脂の膜を2枚用意した。そして、前記印刷層付き化学強化ガラス10の印刷層12側と、印刷層12を有しない化学強化ガラス11とを、中間膜14を挟んで重ね合せた。その状態で、130〜140℃に加熱するとともに、1〜1.3MPaに30分間加圧して接合し、合せガラス13を製作した。この合せガラス13について、耐衝撃性試験及びショットバッグ試験を下記に示す方法で行った。
(耐衝撃性試験)
JIS R3206(強化ガラス)に準拠して実施した。すなわち、合せガラス13の上方1mの位置から1040gの剛球を落下させ、割れないことを確認する。
また、JIS R3205(合せガラス)に準拠して実施した。すなわち、合せガラス13の上方に位置する1040gの剛球の高さを上げて、合せガラス13が破損したときの合せガラス13の破損状態を確認する。
(ショットバッグ試験)
JIS R3205(合せガラス)に準拠して実施した。すなわち、合せガラス13に対し、45kgの鉛散弾入り袋を振子式に自由落下させ、破損状態を確認する。
実施例1の合せガラス13について、耐衝撃性試験で剛球が4mの高さまで合せガラス13は破損せず、さらに剛球の高さを上げて合せガラス13が破損したとき、印刷層12の部分は破片が飛散することなく、接着された部分と、化学強化ガラス11間の破損と同様の破砕状態の部分とが見られた。従って、実施例1の合せガラス13の耐衝撃性は良好であった。
また、実施例1の合せガラス13について、ショットバッグ試験の結果、鉛散弾入り袋が合せガラス13を貫通したり、中間膜14が切れたりすることなく、破損状態は良好であった。
なお、前記実施形態を次のように変更して実施することも可能である。
・前記印刷層12は、化学強化ガラスの左右両端部のみに形成したり、上下両端部のみに形成したり、その幅を不均一に形成したりしてもよい。また、印刷層12を化学強化ガラスの任意の位置に任意の大きさや形状で形成してもよい。
・前記印刷層付き化学強化ガラス10を、その表面に破損時におけるガラスの破片が飛散しないように飛散防止膜を貼り付けた状態で使用してもよい。
・前記合せガラス13として、印刷層付き化学強化ガラス10の印刷層12が設けられていない面に印刷層12を有しない化学強化ガラス11を、中間膜14を介して接合するように構成してもよい。
10…印刷層付き化学強化ガラス、11…化学強化ガラス、12…印刷層、13…合せガラス、14…中間膜、15…枠付きガラス、16…枠体、16a…段差部、17…接着層。

Claims (7)

  1. 化学強化ガラスの表面に印刷層が設けられた印刷層付き化学強化ガラスであって、
    化学強化前のガラスの表面に塗布された印刷用材料が焼付けられて印刷層が形成され、その状態で化学強化が施されて化学強化ガラスが形成されていることを特徴とする印刷層付き化学強化ガラス。
  2. 前記印刷用材料は、ホウケイ酸ガラスを主成分とし、無機のフィラー及び無機の顔料を含有することを特徴とする請求項1に記載の印刷層付き化学強化ガラス。
  3. 前記印刷用材料の焼付け温度は、600〜670℃であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の印刷層付き化学強化ガラス。
  4. 前記化学強化ガラスは、ソーダガラスを化学強化して形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の印刷層付き化学強化ガラス。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の印刷層付き化学強化ガラスと、印刷層を有しない化学強化ガラスとが、中間膜を介して接合されていることを特徴とする合せガラス。
  6. 前記印刷層付き化学強化ガラスの印刷層側と、印刷層を有しない化学強化ガラスとが、中間膜を介して接合されていることを特徴とする請求項5に記載の合せガラス。
  7. 枠体の前面内周部に内周側が窪む段差部を設け、その段差部に請求項5又は請求項6に記載の合せガラスを接着層で接合し、合せガラスの前面と枠体の前面とが面一となるように構成されていることを特徴とする枠付きガラス。
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