JP2015098146A - 抗菌フィルムおよび包装体 - Google Patents
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Abstract
Description
たとえば、特開平05−000074号公報(特許文献1)には、少なくとも内容物に接する内面の一部あるいは全てに、キトサンを付与して成る容器に食品を充填、密封することを特徴とする食品の保存方法が記載されている。この容器は、共押出し法により、複数の熱可塑性樹脂を共押出しして、少なくともキトサンを含む層が端側になるように積層した積層体を用いて、該積層体のキトサンを含む層が内側になるように、真空成形,圧空成形,真空圧空成形又は熱シールにより製造する方法、および、押出しコ−ティング法又は押出し法により熱溶融した樹脂をTダイより押出し、冷却ロールで冷却されるまでの間に、押出された樹脂上に又は冷却ロール上にキトサン散布手段によりキトサンを散布し、冷却ロールで冷却後樹脂表面にキトサンを保持した樹脂フィルム,樹脂シート又は積層樹脂フィルム,積層樹脂シートを用いて、前記樹脂フィルム,樹脂シート又は積層樹脂フィルム,積層樹脂シートのキトサンを有する面が内側になるように、真空成形,圧空成形,真空圧空成形又は熱シールにより製造する方法、のいずれかで製造される。
一局面に従う抗菌フィルムは、少なくとも、シーラント層と、シーラント層に接触して積層された支持層とを含む。シーラント層には、抗菌粒子が埋め込まれている。抗菌粒子の表面の一部は、シーラント層の、支持層と反対側の面から露出している。抗菌粒子の露出の程度としては、抗菌粒子が埋め込まれていない場合のシーラント層の当該反対側の面の面積に対する、露出した抗菌粒子の表面の一部の面積およびシーラント層の当該反対側の面の面積の和(露出した抗菌粒子の表面の一部の面積およびシーラント層の当該反対側の面の面積の和/抗菌粒子が埋め込まれていない場合のシーラント層の当該反対側の面の面積)が、1.005以上である。
本発明においては、支持層を構成する樹脂およびシーラント層を構成する樹脂が、ポリオレフィン系樹脂であってよい。
なお、支持層を構成する樹脂とシーラント層を構成する樹脂とは、上述の樹脂であれば、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
本発明においては、ポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂およびポリエチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂との混合樹脂のいずれかであってよい。
本発明においては、抗菌粒子が無機系抗菌剤であってよい。
本発明においては、抗菌粒子が、2μm以上10μm以下の平均粒子径を有するものであってよい。
本発明においては、シーラント層が、抗菌粒子の平均粒子径の50%以上300%以下の層厚を有するものであってよい。
なお、シーラント層の厚みとは、シーラント層を構成する樹脂の部分だけではなく、シーラント層を構成する樹脂からはみ出た抗菌粒子のはみ出し部分も考慮した、平均厚みを意味する。
本発明においては、支持層に、さらに耐ピンホール性樹脂層、酸素バリア性樹脂層、光沢性樹脂層、水蒸気バリア性樹脂層、および耐レトルト性樹脂層の少なくともいずれかの機能性層が積層されていてよい。
他の局面に従う包装体は、(1)から(7)のいずれかに記載の抗菌フィルムを含む。
図1は、第1実施形態にかかる抗菌フィルムの一例を示す模式的断面図である。図2は、図1の一部拡大図である。なお、以下において、説明の便宜上、図1および図2の上側への方向を上、下側への方向を下と記載する場合があるが、それらの方向が、製造時および使用時における絶対的方向を指すものでははい。
図1に示すように、抗菌フィルム100は、シーラント層210と、支持層220と、抗菌粒子230と、中間層300と、外層400と、接着層510,520を含む。
支持層220は、シーラント層210上に接触して設けられる。中間層300は、支持層220上に、接着層510を介して設けられる。さらに外層400は、中間層300上に、接着層520を介して設けられる。
なお、平均粒子径とは、レーザー回折散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径を意味する。
厚みT1が、抗菌粒子230の平均粒子径の50%以上であることにより、透明性が良好となり、300%以下であることにより、抗菌粒子230が露出しやすくなり、抗菌性が担保されやすい。
シーラント層210を構成する樹脂は、熱可塑性透明樹脂であることが多い。好ましくは、ポリオレフィン系樹脂である。ポリオレフィン系樹脂としては、たとえば炭素数2以上12以下、好ましくは2以上6以下のα−オレフィンの単独重合体または共重合体が挙げられる。
より具体的には、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、及びポリ4−メチル−1−ペンテン、ポリブテン−1などが挙げられる。これらの樹脂は、単独で、または複数種の組み合わせで用いることができる。
抗菌粒子230は、抗菌性物質と、抗菌性物質を担持する担体とを含む。
本発明における抗菌粒子230は、抗菌性物質を有する不溶性の粒子である。好ましくは、抗菌性物質が無機系抗菌物質の無機系抗菌剤である。無機系抗菌剤には、抗菌粒子自体の移行が抑制されるため安全性の高いものが多く、特に、抗菌フィルム100を食品包装に適用する場合に有用である。
支持層220は、実質的に抗菌粒子230を含まない層である。実質的に抗菌粒子230を含まないとは、図2で説明したように、シーラント層210の面212からはみ出した抗菌粒子230の他の表面の一部232が嵌入している部分を除いて、抗菌粒子230を含んでいないことをいう。
中間層300および外層400は、隣接層の物性、抗菌フィルム100の用途、製法、および/または包装体700(後述)製造時の処理(高温加熱処理等のレトルト処理、低温ボイル処理等)を考慮し、所望する機能に応じて当業者が適宜決定することができる。これらの層に担わせる機能としては、機械的物性(たとえば剛性、耐衝撃性、耐屈曲性および耐ピンホール性など)、耐レトルト性、耐水性、帯電防止性、耐薬品性、保香性、非吸着性、酸素バリア性、水蒸気バリア性、光沢性、ラベル適性(すなわち、ラベルが曲面に追従して貼り付け可能であり、かつ、貼り付け時から長時間経過しても剥がれ落ちにくい特性)等が挙げられる。
高密度ポリエチレン(HDPE)は、エチレンモノマーが実質的に直鎖状に結合した、密度0.942以上の結晶性ポチエチレンである。
ポリプロピレン系樹脂としては、例えば結晶性ポリプロピレン系樹脂などが挙げられる。具体的には、結晶性ポリプロピレン系樹脂として、結晶性プロピレン単独重合体、結晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体、結晶性プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、エチレンおよびα−オレフィンの少なくとも一方とプロピレンとの結晶性ブロック共重合体などが挙げられる。上記のα−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン等の炭素数4以上10以下のα−オレフィンが挙げられる。なお、これらα−オレフィンは、任意の比率で共重合されてよい。
接着層510,520を構成する樹脂は、支持層220、中間層300および外層400それぞれを構成する樹脂の特性(具体的には、層間の接着強度、層を構成する樹脂の腰の強さ、耐ピンホール性、柔軟性または成形性など)に応じて、当業者が適宜選択することができる。接着層510,520を構成する樹脂は、透明樹脂であり、公知の接着性樹脂、例えば、接着性ポリオレフィン系樹脂などが用いられる。より具体的には、不飽和カルボン酸又は酸誘導体で変性された変性ポリオレフィン系樹脂、ならびに当該変性ポリオレフィン系樹脂とポリオレフィン系樹脂との重合体および混合物が挙げられる。さらに具体的には、エチレン−メタクリレート−グリシジルアクリレート三元共重合体、および、ポリプロピレン等の各種ポリオレフィンに一塩基性不飽和脂肪酸、二塩基性不飽和脂肪酸、もしくはこれらの無水物をグラフトさせたものなどが用いられる。一塩基性不飽和脂肪酸として、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。二塩基性不飽和脂肪酸として、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などが挙げられる。したがって、接着性樹脂としては、たとえば、マレイン酸グラフト化エチレン−酢酸ビニル共重合体、マレイン酸グラフト化エチレン−α−オレフィン共重合体などが挙げられる。
抗菌フィルム100は、たとえば、抗菌粒子230を分散させたシーラント層210製膜用樹脂組成物と、支持層220製膜用樹脂組成物と、中間層300製膜用樹脂組成物と、外層400製膜用樹脂組成物と、接着層510,520製膜用樹脂組成物を、空冷式または水冷式共押出インフレーション法、もしくは共押出Tダイ法を用いて製膜することができる。共押出Tダイ法を用いる場合、適切なフィードブロックとダイを使用することで製膜することができる。共押出Tダイ法は、抗菌フィルム100の厚さの制御および透明性の点から好ましい。
本発明においては、上記の第1実施形態に限らず、所望の抗菌性および外観性を損なわない限り、任意の変更が加えられてよい。図3から図6は、第1実施形態にかかる抗菌フィルムの他の例を示す模式的断面図である。
図7は、第2実施形態にかかる包装体の一例を示す模式的断面図である。
図7に示される包装体700は、底材710と蓋材720とから構成される。底材710には抗菌フィルム100が用いられ、抗菌フィルム100のシーラント層210側が凹となるように成形された凹部と、凹部を取り囲む、当該成形がなされていない辺縁部とから構成される。凹部は、たとえば深絞り成形によって形成される。凹部には、食品、飲料、医薬品等などの内容物(図示せず)が収容される。
上記の第2実施形態では、底材710と蓋材720とのいずれにも抗菌フィルム100が用いられている例を挙げたが、この態様に限定されるものではない。本発明においては、底材710および蓋材720の少なくともいずれかに抗菌フィルム100が用いられればよい。したがって、底材710および蓋材720のいずれか一方には、抗菌フィルム100以外のフィルムが用いられてもよい。
蓋材720としては、たとえば、2軸延伸したポリプロピレンフィルム(OPPフィルム)、金属酸化物を蒸着した2軸延伸したポリエチレンテレフタレートフィルム(VM−PETフィルム)およびポリエチレン樹脂を積層したフィルム等が用いられてもよい。
まず、層構成として、酸素バリア性を有する外層/接着層/支持層/抗菌粒子含有シーラント層を有する抗菌フィルムを作成した。
また、得られた抗菌フィルムの外観(目視)は透明であり、JISK7136に準拠して測定した曇度は、6%であった。なお、曇度は、抗菌フィルムの両面にパイロンクリスタルテープ(株式会社共和製)を貼ったサンプルを作成し、ヘイズメータ(日本電色工業株式会社製、NDH2000)を用いて内部ヘイズを測定し、抗菌フィルムの光散乱のみを抽出したものである。
得られた抗菌フィルムについて、光干渉方式を利用した非接触表面測定装置VertScan(菱化システム社製)を用い、シーラント層表面の観察を行った。具体的には、抗菌粒子が埋め込まれていない場合のシーラント層の表面積に対する、抗菌粒子が埋め込まれた実際のシーラント層の、露出した抗菌粒子の表面を含む表面積の比(以下において、表面積比と記載する。)を導出した。
別途、菌液を2種類用意した。一方の菌液には、好気性菌であるシュードモナスを含ませた。他方の菌液には、通性嫌気性菌である乳酸菌を含ませた。上記2菌を選定した理由は、下記記載の保存試験で使用する肉について、腐敗の原因となる菌が上記2菌であることが特定できたためである。
得られた抗菌フィルムを用いて、豚ロース肉薄切り1枚を三方シール包装した。三方シール包装においては、脱気シールによって真空包装となるようにした。
包装された肉を5℃の冷蔵ショーケースで保管し、外観をモニターした。なお、外観は目視で判断し、判断指標としては、ポークカラースタンダード(PCS)を使用した。
抗菌粒子として、銀イオン系抗菌粒子(平均粒子径2.5μm、シナネンゼオミック社製、商品名:ゼオミックPE系MB)を用いたことを除いて、実施例1と同様にして抗菌フィルムを作成し、表面観察、抗菌試験、および肉の保存試験を行った。
抗菌粒子として、銀イオン系抗菌粒子(平均粒子径2μm)を用いたことを除いて、実施例1と同様にして抗菌フィルムを作成し、表面観察、抗菌試験、および肉の保存試験を行った。
抗菌粒子として、銀イオン系抗菌粒子(平均粒子径10μm、富士ケミカル社製、商品名:バクテキラーPE5−30AH1)を用いたことを除いて、実施例1と同様にして抗菌フィルムを作成し、表面観察、抗菌試験、および肉の保存試験を行った。
抗菌粒子として、銀イオン系抗菌粒子(平均粒子径5μm、富士ケミカル社製、商品名:バクテキラーOM−AJ−203)を1重量%用いたことを除いて、実施例1と同様にして抗菌フィルムを作成し、表面観察、抗菌試験、および肉の保存試験を行った。
抗菌粒子として、銀イオン系抗菌粒子(平均粒子径0.9μm、東亞合成株式会社製、商品名:ノバロン)を使用したことを除いて、実施例1と同様に、シーラント層の表面観察、抗菌試験、および肉の保存試験を行った。
抗菌粒子を用いなかったことを除いて、実施例1と同様に、シーラント層の表面観察および抗菌試験、および肉の保存試験を行った。
実施例1から実施例5、比較例1および比較例2による表面観察の結果を表1に示す。表1に示すように、実施例1から5の抗菌フィルムは、抗菌粒子による表面拡大率が大きく、かつ、外観性が良好であった。
実施例1から実施例5、比較例1および比較例2による抗菌試験の結果を表2に示す。表2に示すように、実施例1から実施例5の抗菌フィルムは、すでに6時間培養後の時点で優れた抗菌効果(抗菌即効性)を発揮したことが分かった。
実施例1、比較例1および比較例2による肉の保存試験の結果を、それぞれ、図8、図9および図10に示す。縦軸は、ポークカラースタンダード(PCS)を示す。PCSは、数値が小さいほど肉の劣化が進むことを意味する。横軸は、保存日数(d)を示す。
図8から図10に示すように、抗菌粒子による表面拡大率が最も大きい実施例1によって、肉の劣化を最も遅らせることができるという結果が得られた。実施例2から5についても実施例1と同様に、肉の劣化を遅らせることができるという結果が得られた。
以上のように、抗菌フィルム100,100a,〜,100dは、抗菌粒子230の一部露出によってシーラント層210の表面を0.5%以上拡大するため、即効抗菌性に優れる。さらに、抗菌粒子230の一部が露出する面211とは反対側の面212に支持層220が直接積層されているため、外観性に優れる。
本発明においては、抗菌フィルム100,100a,〜,100dが「抗菌フィルム」に相当し、シーラント層210が「シーラント層」に相当し、支持層220が「支持層」に相当し、抗菌粒子230が「抗菌粒子」に相当し、表面の一部231が「抗菌粒子の表面の一部」に相当し、面211が「支持層と反対側の面」に相当し、仮想面211Vが「抗菌粒子が埋め込まれていない場合のシーラント層の反対側の面」に相当し、中間層300,300c,300d、機能性層310c,310d,320c,320d、外層400、接着層510,520が「透明樹脂層」に相当し、包装体700が「包装体」に相当する。
210 シーラント層
211 (シーラント層の支持層と反対側の)面
211V (抗菌粒子が埋め込まれていない場合のシーラント層の)仮想面
220 支持層
230 抗菌粒子
231 (抗菌粒子の)表面の一部
300,300c,300d 中間層
310c,310d,320c,320d 機能性層
400 外層
510,520 接着層
700 包装体
Claims (8)
- 少なくとも、シーラント層と、前記シーラント層に接触して積層された支持層とを含み、
前記シーラント層には、抗菌粒子が埋め込まれ、かつ、前記抗菌粒子の表面の一部が、前記シーラント層の、前記支持層と反対側の面から露出しており、
前記抗菌粒子が埋め込まれていない場合の前記シーラント層の前記反対側の面の面積に対する、露出した前記抗菌粒子の表面の一部の面積および前記シーラント層の前記反対側の面の面積の和が、1.005以上である、抗菌フィルム。 - 前記支持層を構成する樹脂および前記シーラント層を構成する樹脂が、ポリオレフィン系樹脂である、請求項1に記載の抗菌フィルム。
- 前記ポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂およびポリエチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂との混合樹脂のいずれかである、請求項2に記載の抗菌フィルム。
- 前記抗菌粒子が、無機系抗菌剤である、請求項1から3のいずれか1項に記載の抗菌フィルム。
- 抗菌粒子が、2μm以上10μm以下の平均粒子径を有する、請求項1から4のいずれか1項に記載の抗菌フィルム。
- 前記シーラント層が、前記抗菌粒子の平均粒子径の50%以上300%以下の層厚を有する、請求項1から5のいずれか1項に記載の抗菌フィルム。
- 前記支持層に、さらに耐ピンホール性樹脂層、酸素バリア性樹脂層、光沢性樹脂層、水蒸気バリア性樹脂層、および耐レトルト性樹脂層の少なくともいずれかの機能性層が積層されている、請求項1から6のいずれか1項に記載の抗菌フィルム。
- 請求項1から7のいずれか1項に記載の抗菌フィルムを含む包装体。
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