JP2015096635A - 部品の製造方法及び表面処理方法 - Google Patents

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Yasuo Naganuma
靖雄 長沼
木村 浩一
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Abstract

【課題】マグネシウムリチウム合金の表面に良質な化成皮膜を形成すること。【解決手段】フッ素を含み、かつ、マグネシウムリチウム合金が溶解した酸13に、マグネシウムリチウム合金の母材10の表面10aを曝す工程と、酸13に表面10aを曝した後、表面1aをフッ化して化成皮膜10xを形成する工程とを有する部品の製造方法による。【選択図】図7

Description

本発明は、部品の製造方法及び表面処理方法に関する。
携帯電話やノートPC(Personal Computer)等のモバイル端末においては、軽量化のために樹脂やアルミニウム合金を材料とする筐体が使用されている。アルミニウム合金は、樹脂よりも強度が高いというメリットはあるものの、樹脂よりも重いという欠点がある。
そこで、アルミニウム合金よりも軽量な合金としてマグネシウムリチウム合金が注目されつつある。マグネシウムリチウム合金は、主成分であるマグネシウムに少量のリチウムを添加してなり、高強度かつ軽量という特徴がある。
但し、反応性が高いマグネシウムを含むマグネシウムリチウム合金は、アルミニウム合金と比較して大気中で容易に酸化してしまうため、取扱いが難しい。酸化を防止するために、マグネシウムリチウム合金の表面に化成皮膜を形成することも考えられるが、耐腐食性や塗料の密着性等と両立し得る良質な化成皮膜を形成するのは難しい。
特開2011−58075号公報
部品の製造方法及び表面処理方法において、マグネシウムリチウム合金の表面に良質な化成皮膜を形成することを目的とする。
以下の開示の一観点によれば、フッ素を含み、かつ、マグネシウムリチウム合金が溶解した酸に、マグネシウムリチウム合金の母材の表面を曝す工程と、前記酸に前記表面を曝した後、前記表面をフッ化して化成皮膜を形成する工程とを有する部品の製造方法が提供される。
以下の開示によれば、マグネシウムリチウム合金の部品の表面を清浄化するフッ素を含む酸として、マグネシウムリチウム合金を溶解させてフッ化能力を弱めた酸を用いるため、部品の表面の遊離リチウムが過剰にフッ化して粉になるのを防止できる。
図1は、本願発明者が検討したマグネシウムリチウム合金に対する表面処理方法のフローチャートである。 図2は、試験片の表面を観察して得られた図(その1)である。 図3は、試験片の表面を観察して得られた図(その2)である。 図4は、試験片の表面を観察して得られた図(その3)である。 図5は、本実施形態で製造する部品の一例を示す斜視図である。 図6は、本実施形態に係る部品の製造方法のフローチャートである。 図7(a)、(b)は、本実施形態の工程S2について説明するための模式断面図(その1)である。 図8は、本実施形態の工程S2について説明するための模式断面図(その2)である。 図9は、本実施形態の工程S3について説明するための模式断面図である。 図10は、本実施形態の工程S4について説明するための模式断面図である。 図11(a)、(b)は、本実施形態において、部品に対して行う加工の一例を示す模式断面図である。 図12は、本願発明者が行った調査の結果について示す図である。
本実施形態の説明に先立ち、本願発明者が検討した事項について説明する。
マグネシウムリチウム合金の表面に化成皮膜を形成する方法としては、例えば、当該表面をフッ化する方法がある。この方法について、図1を参照しながら説明する。
図1は、本願発明者が検討したマグネシウムリチウム合金に対する表面処理方法のフローチャートである。
まず、最初の工程S1において、温度が75℃の強アルカリ水溶液(ミリオン化学株式会社製GF MG-15SX)にマグネシウムリチウム合金の試験片を5分間浸漬することにより、その試験片の表面を脱脂した。なお、この例では、試験片として短辺の長さが25mmで長辺の長さが50mmの矩形状のLZ91の板を用いた。LZ91は、リチウムが9%、亜鉛が1%、マグネシウムが90%のマグネシウムリチウム合金である。また、強アルカリ水溶液には添加剤としてミリオン化学株式会社製のGF F21を添加した。
次に、工程S2に移り、温度が40℃の酸に上記の試験片を1分間浸漬することにより、試験片の表面に形成されたマグネシウムやリチウムの自然酸化膜をエッチングして除去し、試験片の表面を清浄化した。このように表面を清浄化する工程は活性化とも呼ばれる。
この例では、フッ酸を含有するミリオン化学株式会社製のGF MG-109を上記の酸として使用した。このようにフッ素を含む酸を使用することで、試験片中のマグネシウムがフッ化され、活性化の後の試験片の表面にはマグネシウムのフッ化物が形成されることになる。
続いて、工程S3に移り、上記の活性化で試験片の表面に発生した残渣を除去するために、温度が60℃の強アルカリ水溶液(ミリオン化学株式会社製GF MG-15SX)に試験片を2分間浸漬した。この工程で除去される残渣はスマットと呼ばれる黒色物質であり、この工程はデスマット処理とも呼ばれる。
そして、工程S4に移り、フッ素を含む化成処理液に上記の試験片を浸漬した。この例では、化成処理液としてミリオン化学株式会社製のGR MC-1600を使用すると共に、その化成処理液の温度を60℃に維持しつつ、化成処理液に試験片を2.5分間浸漬した。
この化成処理により、試験片の材料であるマグネシウムがフッ化して、試験片の表面にフッ素を含む化成皮膜が形成される。この例では工程S2で試験片の表面から自然酸化膜を除去したことで、当該表面がフッ化するのが自然酸化膜で妨げられず、十分な厚さの化成皮膜を形成することができる。
更に、工程S2では自然酸化膜を除去するためにフッ素を含む酸を用いたため、化成皮膜を形成する前には試験片の表面に予めマグネシウムのフッ化物が生成された状態となり、このフッ化物によって化成皮膜の成長を促すことができる。
この後は、工程S5に移り、高温槽において温度を80℃、加熱時間を10分とする条件で試験片の表面の水分を蒸散させ、試験片を乾燥させた。
以上により、試験片に対する表面処理を終了する。
本願発明者は、上記の化成皮膜の表面を観察した。その結果、化成皮膜の表面に多量の粉が析出していることを確認した。マグネシウムリチウム合金の筐体に化成皮膜を形成する場合に粉が析出すると、粉が原因でアース用の導電性テープを筐体の表面に貼付できなかったり、経年劣化によって筐体から導電テープが剥がれる等の不都合が生じるので、なるべく粉を析出させないようにするのが好ましい。
本願発明者は、粉の発生原因を特定するため、上記の活性化(工程S2)、デスマット処理(工程S3)、及び化成皮膜の形成(工程S4)の各々を終了した時点で試験片の表面を観察した。
その結果を図2に示す。
図2において、「外観」は試験片の外観を示す。また、粉の発生状況を確認するために、試験片の表面に透明な接着テープを貼付して粉を採取した後、黒色の台紙に接着テープを貼付した状態で接着テープをスキャナーで読み取った。そして、これにより取得した画像ファイルの輝度値をフォトレタッチソフトで取得した。
図2における「輝度値」は、このようにフォトレタッチソフトで取得した値を示し、「輝度値」が80以上の場合に「粉の発生」があると判断した。これは、外観から判断して粉の存在が明らかなときの輝度値が80以上であるためである。
また、図2の「基準値」は、工程S1〜工程S5を行っていない未処理の試験片の「輝度値」を示す。
更に、図2においける「テープ」は、上記のようにスキャナーで読み取った接着テープの画像を示す。
図2に示すように、粉は、活性化(工程S2)と化成皮膜の形成(工程S4)で発生している。その原因について本願発明者は以下のように考察する。
マグネシウムリチウム合金では、全てのリチウムがマグネシウムの格子点に存在しているとは限らず、格子点から離れて遊離した遊離リチウムが存在する。その遊離リチウムが活性化(工程S2)のときにフッ素を含む酸に曝されるとフッ化リチウムや酸化リチウムが生成され、これらが粉として析出すると考えられる。
その粉は、デスマット処理(工程S3)によって除去されたかのように見える。
但し、デスマット処理においては、活性化(工程S2)のときに析出した粉のうち、試験片の表面近傍の粉のみが除去され、当該表面から深い部位にある粉は除去されないと考えられる。
そして、化成皮膜の形成(工程S4)において、デスマット処理で除去しきれなかった粉が再び析出したものと考えられる。
このような粉を低減するため、本願発明者は、上記の化成皮膜の形成(工程S4)の後に超音波洗浄で試験片を洗浄した。
図3は、超音波洗浄後の試験片の表面を観察して得られた図である。なお、図3では、図2で説明した各試験片の画像も併記してある。
図3に示すように、超音波洗浄により輝度値が低下し、粉が除去されることが確認できる。
その一方で、超音波洗浄により化成皮膜の色彩がまだらとなってしまっている。これは、超音波洗浄によるダメージで化成皮膜の一部が剥離したためである。このように化成皮膜が剥離すると、化成皮膜でマグネシウムリチウム合金を保護することができず、マグネシウムリチウム合金の耐腐食性が低下してしまう。
よって、超音波洗浄は化成皮膜の洗浄には不向きである。
次に、本願発明者は、粉が最初に発生する活性化の工程S2に着目した。工程S2においては前述のようにフッ素を含む酸を用いており、そのフッ素が遊離リチウムと反応して形成されたフッ化リチウムが粉の発生要因の一つであると考えられる。
そこで、本願発明者は、フッ素を含む酸に代えて、硝酸系の酸を用いて工程S2の活性化を行った。硝酸系の酸として、この例ではオリオン化学株式会社製のGF MG-109を用いた。この酸にはフッ素は含まれていない。
そして、活性化(工程S2)、デスマット処理(工程S3)、及び化成皮膜の形成(工程S4)の各々を終了した時点で試験片の表面を観察した。
図4は、このようにして各工程を行った後の試験片の表面を観察して得られた図である。
図4に示すように、活性化の工程S2において硝酸系の酸を用いることで、当該工程S2で粉が発生するのを抑制できる。これは、硝酸系の酸にはフッ素が含まれていないため、遊離リチウムとフッ素が反応して粉の原因であるフッ化リチウムが生成されないためであると考えられる。
但し、このようにフッ素を含まない酸を用いると、活性化の工程S2において試験片のマグネシウムがフッ化されず、活性化後の試験片の表面にマグネシウムのフッ化物が形成されない。マグネシウムのフッ化物は前述のように化成皮膜の成長を促す役割を担うため、このようにマグネシウムのフッ化物が存在しないと化成皮膜の成長が不十分となり、化成皮膜の膜厚が薄くなってしまう。よって、この場合も化成皮膜でマグネシウムリチウム合金を保護することができず、マグネシウムリチウム合金の耐腐食性が低下してしまう。
以下に、化成皮膜の剥離や薄膜化を伴わずに粉の発生を抑制することができる本実施形態について説明する。
(本実施形態)
本実施形態では、以下のようにしてマグネシウムリチウム合金を材料とする部品を製造する。
図5は、本実施形態で製造する部品の一例を示す斜視図である。
この部品10は、LZ91等のマグネシウムリチウム合金を材料とする母材の一例であって、例えば電子機器の筐体である。部品10が組み付けられる電子機器は特に限定されない。例えば、ノート型PC、タブレットPC、携帯電話、及びスマートフォン等のモバイル端末に部品10を組み付け得る。
その部品10の表面を保護したり、表面と塗料との密着性を向上させたりするために、本実施形態では以下のようにして部品10に対して表面処理を行うことで、当該表面に化成皮膜を形成する。
図6は、本実施形態に係る部品の製造方法のフローチャートである。なお、図6においては、図1と同一のステップには図1におけるのと同じ符号を付してある。
まず、最初の工程S1において、温度が75℃の強アルカリ水溶液(ミリオン化学株式会社製GF MG-15SX)に上記の部品10を5分間浸漬することにより、部品10の表面を脱脂する。なお、強アルカリ水溶液に添加剤としてミリオン化学株式会社製GF F21を添加してもよい。
次に、工程S2を行うことにより、以下のようにして部品10の表面10aの活性化を行う。図7〜図8は、工程S2について説明するための模式断面図である。
まず、図7(a)に示すように、フッ素と酸性成分とを含む酸13を液槽11に溜める。この時点では酸13は製造業者から購入した直後の新液の状態である。
酸13としては、例えばミリオン化学株式会社製GF MG-109を使用し得る。GF MG-109は、酸性成分としてフッ酸を含んでおり、そのフッ酸に由来するフッ素を含む。
新液の状態にある酸13は、部品10をフッ化する能力が過剰であり、これが原因で部品10の遊離リチウムがフッ化して前述のように粉が発生すると考えられる。
そこで、本実施形態では、新液の状態にある酸13に対して所定量のマグネシウムリチウム合金13aを予め溶解させておくことで酸13のフッ化能力を弱め、本工程において部品10の表面に発生する粉の量を低減する。
溶解させるマグネシウムリチウム合金13aの量は特に限定されないが、1リットルの酸13に対して0.23g以上のマグネシウムリチウム合金13aを溶解させることで、粉の発生が抑制される。
粉の発生を更に効果的に抑制するには、1リットルの酸13に対して0.45g以上のマグネシウムリチウム合金13aを溶解させるのが好ましい。この量は、温度が30℃で体積が200mリットルのGF MG-109に、長辺の長さが125mmで短辺の長さが50mmのマグネシウムリチウム合金シートを30秒間浸漬したときにマグネシウムリチウム合金が溶解する量に相当する。
次に、図7(b)に示すように、所定個数の部品10を処理単位Uとして、その処理単位Uに含まれる部品10を一括して酸13に浸漬する。処理単位Uは、液槽11において一度に処理可能な部品10の単位であって、1バッチとも呼ばれる。1バッチに含まれる部品10の個数は、例えば5個〜10個である。
なお、このように複数の部品10を一括して処理するのに代えて、一つの部品10のみを酸13に浸漬してもよい。これについては後述の各工程でも同様である。
また、このときの酸13の温度は例えば40℃であり、酸13に各部品10を浸漬する時間は例えば1分である。
これにより、各部品10の表面10aに形成されている自然酸化膜が、酸13の酸性成分であるフッ酸によりエッチングされ、表面10aが清浄化される。
ここで、図7(a)に示したように、本実施形態では酸13のフッ化能力を予め弱めてある。そのため、表面10aのマグネシウムや遊離リチウムが酸13によってフッ化され難く、マグネシウムやリチウムのフッ化物が過剰に生成されるのを防止できる。
次に、図8に示すように、酸13にその酸性成分13bであるフッ酸を注ぎ足す。これにより、各部品10を浸漬したことで弱められた酸13の酸化能力が復活し、次に受け入れる各部品10を酸13の酸化能力で清浄化することができる。
なお、本工程で注ぎ足すフッ酸の量は特に限定されないが、酸13のpHに規定値P0を設け、pHがその規定値P0以下となるような量のフッ酸を注ぎ足すのが好ましい。規定値P0は、部品10の自然酸化膜を除去して部品10を清浄化し得るpHの目安であって、例えば2.8程度である。
また、このように一つの処理単位Uに対して活性化が終了するたびに酸13に酸性成分13bを注ぎ足すことにより、酸化能力が復活した酸13で次の処理単位Uを処理することができる。
また、リチウムのフッ化物が過剰に生成されない程度のフッ化物を酸性成分13bに添加してもよい。そのようなフッ化物としては、例えば、フッ化ナトリウム等がある。これにより部品10の表面10aに生成されるマグネシウムのフッ化物の量が増え、後で形成される化成皮膜の成長をそのフッ化物で促すことができる。
次に、図6の工程S3に移る。図9は、工程S3について説明するための模式断面図である。
本工程では、図9に示すように、強アルカリ水溶液14に各部品10を浸漬することにより、各部品10に対してデスマット処理を行う。強アルカリ水溶液14としては、例えば、ミリオン化学株式会社製GF MG-15SXがある。
デスマット処理の条件は特に限定されない。この例では、強アルカリ水溶液14の温度を60℃にすると共に、その強アルカリ水溶液14に部品10を2分間浸漬する。
このデスマット処理により、上記の工程S2で発生したスマットが除去される。
また、前述のように工程S2で発生する粉の量が低減されているため、その粉の大部分をこのデスマット処理で除去することができ、デスマット処理後に表面10aに取り残される粉の量は僅かとなる。
次に、図6の工程S4に移る。図10は、工程S4について説明するための模式断面図である。
本工程では、図10に示すように、液槽11に溜められたフッ素を含む化成処理液15に各部品10を浸漬することにより表面10aのマグネシウムをフッ化して、当該表面10aにフッ素を含む化成皮膜10xを形成する。
フッ素を含む化成処理液15は特に限定されない。例えば、フッ酸、フッ化ナトリウム、フッ化水素酸、酸性フッ化ナトリウム、酸性フッ化カリウム、酸性フッ化アンモニウム、ケイフッ化水素酸とその塩、及びフッ化水素酸とその塩のいずれかを含む溶液を化成処理液15として使用し得る。本実施形態では化成処理液15としてミリオン化学株式会社製のGR MC-1600を使用する。
その化成処理液15の温度は例えば60℃であり、化成処理液15に各部品10を浸漬する時間は例えば2.5分である。
ここで、上記のように工程S2において表面10aから自然酸化膜を予め除去してあるので、その自然酸化膜によって化成皮膜10xの成長が阻害されず、十分な厚さの化成皮膜10xを形成することができる。
しかも、工程S2で表面10aに予め形成したマグネシウムのフッ化物によって化成皮膜10xの成長が促されるため、厚く耐腐食性に優れた化成皮膜10xを得ることができる。
更に、前述のように工程S2において粉の発生が抑制されているので、化成皮膜10xの形成後にもその粉が現れ難くなる。
なお、本工程で形成される化成皮膜10xの厚さは、最大でも1μm程度である。
次に、図6の工程S5に移り、高温槽において温度を80℃、加熱時間を10分とする条件で各部品10の表面10aの水分を蒸散させ、表面10aを乾燥させる。
以上により、本実施形態に係る部品10の製造方法の基本工程を終了する。
この後は、必要に応じて部品10に対して様々な加工を行う。図11(a)、(b)は、部品10に対して行う加工の一例を示す模式断面図である。
この例では、図11(a)に示すように、レーザの照射等により絶縁性の化成皮膜10xの一部Rを除去し、部品10の表面10aを露出させる。
そして、図11(b)に示すように、露出した表面10aにアース用の導電テープ21を貼付する。
導電テープ21は、例えば銅テープであって、回路基板等の電子部品22を導電性の部品10に電気的に接続することで、部品10を接地する役割を担う。
その導電テープ21と部品10とは不図示の導電性接着剤で互いに接着されるが、本実施形態では上記のように化成皮膜10xの上に粉が殆ど発ししていないので、導電テープ21の接着面にその粉が周り込み難い。よって、部品10と導電テープ21との接着力が粉で弱まるのが防止され、部品10と導電テープ21とを強固に接着することが可能となる。
次に、本願発明者が行った調査について、図12を参照しながら説明する。
図12は、本願発明者が行った調査の結果について示す図である。
この調査では、本実施形態において粉の発生がどの程度抑制されるのかが調べられた。調査に際しては、図6のフローチャートに従い、マグネシウムリチウム合金の試験片の表面に化成皮膜を形成した。その試験片として、短辺の長さが25mmで長辺の長さが50mmの矩形状の板を使用した。また、試験片の材料はLZ91である。
工程S2で使用する酸13としては、体積が200mリットルのGF MG-109に0.09gのマグネシウムリチウム合金を溶解した液を用いた。なお、工程S2で1つの処理単位Uの処理が終了した後に、フッ化水素酸が1モル濃度のフッ酸を酸13に注ぎ足した。
図12における「外観」、「テープ」、「輝度値」、「粉の発生」の各項目の意味は図2におけるのと同様である。
図12に示すように、本実施形態では工程S2の活性化を行っても輝度値が52.9となっており、活性化を行った直後の試験片には粉が発生していない。これは、前述のように酸13にマグネシウムリチウム合金を溶解させたことで、粉の原因となるフッ化リチウムが過剰に発生するのを抑制できたためと考えられる。その結果、工程S4において化成皮膜10xを形成した後においても輝度値が54.5と低い値に抑えられ、化成皮膜10xの上にも粉が発生していない。
これにより、本実施形態のように予め酸13にマグネシウムリチウム合金を溶解させることが、部品10の表面に現れる粉を低減するのに有効であることが確認できた。
以上説明した本実施形態によれば、酸13にマグネシウムリチウム合金を溶解させてその酸13のフッ化能力を弱めるので、部品10の表面にフッ化リチウムが過剰に生成されず、フッ化リチウムに起因した粉の発生を抑制できる。
更に、上記の酸13に曝された部品10の表面10aにはマグネシウムのフッ化物が形成される。このフッ化物によって工程S4において化成皮膜10xの成長が促され、膜厚が厚く耐腐食性に優れた化成皮膜10xを形成することができる。このように厚い化成皮膜10xは機械的に強固であり、その上に塗布される塗料との密着性も良好となる。
以上説明した各実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1) フッ素を含み、かつ、マグネシウムリチウム合金が溶解した酸に、マグネシウムリチウム合金の母材の表面を曝す工程と、
前記酸に前記表面を曝した後、前記表面をフッ化して化成皮膜を形成する工程と、
を有することを特徴とする部品の製造方法。
(付記2) 前記酸に前記表面を曝した後、前記酸に酸性成分を注ぎ足すことにより、前記酸のpHを規定値以下にすることを特徴とする付記1に記載の部品の製造方法。
(付記3) 前記酸に前記表面を曝す工程は、所定個数の前記部品からなる処理単位に対して一括して行われ、
一つの前記処理単位に対して前記酸に前記表面を曝す工程が終了するたびに、前記酸に前記酸性成分を注ぎ足すことを特徴とする付記2に記載の部品の製造方法。
(付記4) 前記酸性成分はフッ酸であることを特徴とする付記2又は付記3に記載の部品の製造方法。
(付記5) 前記化成皮膜を形成した後、前記化成皮膜の一部を除去して前記表面を露出させる工程と、
前記露出した表面に、アース用の導電テープを貼付する工程とを更に有することを特徴とする付記1乃至付記4のいずれかに記載の部品の製造方法。
(付記6) 前記母材は、電子機器の筐体であることを特徴とする付記1乃至付記5のいずれかに記載の部品の製造方法。
(付記7) 前記酸に前記表面を曝した後であって、前記化成皮膜を形成する前に、前記表面に対してデスマット処理を行う工程を更に有することを特徴とする付記1乃至付記6のいずれかに記載の部品の製造方法。
(付記8) フッ素を含み、かつ、マグネシウムリチウム合金が溶解した酸に、マグネシウムリチウム合金の母材の表面を曝す工程と、
前記酸に前記表面を曝した後、前記表面をフッ化して化成皮膜を形成する工程と、
を有することを特徴とする表面処理方法。
10…部品、10a…表面、10x…化成皮膜、11…液槽、13…酸、13a…マグネシウムリチウム合金、13b…酸性成分、14…強アルカリ水溶液、15…化成処理液、21…導電テープ、22…電子部品。

Claims (5)

  1. フッ素を含み、かつ、マグネシウムリチウム合金が溶解した酸に、マグネシウムリチウム合金の母材の表面を曝す工程と、
    前記酸に前記表面を曝した後、前記表面をフッ化して化成皮膜を形成する工程と、
    を有することを特徴とする部品の製造方法。
  2. 前記酸に前記表面を曝した後、前記酸に酸性成分を注ぎ足すことにより、前記酸のpHを規定値以下にすることを特徴とする請求項1に記載の部品の製造方法。
  3. 前記化成皮膜を形成した後、前記化成皮膜の一部を除去して前記表面を露出させる工程と、
    前記露出した表面に、アース用の導電テープを貼付する工程とを更に有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の部品の製造方法。
  4. 前記母材は、電子機器の筐体であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の部品の製造方法。
  5. フッ素を含み、かつ、マグネシウムリチウム合金が溶解した酸に、マグネシウムリチウム合金の母材の表面を曝す工程と、
    前記酸に前記表面を曝した後、前記表面をフッ化して化成皮膜を形成する工程と、
    を有することを特徴とする表面処理方法。
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