JP2015095585A - 半導体デバイスの製造方法 - Google Patents

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Yukitsune Sumida
行常 住田
豊 錦織
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豊 錦織
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Abstract

【課題】本発明は、半導体デバイスの品質悪化を抑制しつつ、製造工程の負担を軽減できる技術を提供することを課題とする。
【解決手段】上記課題を解決するため、GaN基板の上にGaN系半導体層を成長させ、GaN基板の上に縦長の複数の島状GaN系半導体層がストライプ状に並んだ積層体を形成する準備工程S1と、準備工程S1の後、GaN系半導体層の上面に半導体デバイスを形成するデバイス形成工程S2と、を有する半導体デバイスの製造方法を提供する。
【選択図】図17

Description

本発明は、半導体デバイスの製造方法に関する。
特許文献1及び2には、異種基板上にストライプ状のGaN系半導体を成長させたのち、このGaN系半導体の上に半導体デバイスを製造する半導体デバイスの製造方法が開示されている。この技術の場合、互いに分離したストライプ状の半導体デバイスを得ることができるので、チップ化工程の負担を軽減できる。
特開2011−66390号公報 特開2012−114263号公報
特許文献1及び2の場合、ヘテロ成長でGaN系半導体を得ている。ヘテロ成長の場合、熱膨張係数の相違、格子定数の不一致により、成長したGaN系半導体に転位が生じやすい。この転位は、GaN系半導体の上に製造した半導体デバイスの品質に悪影響を及ぼす。
本発明は、半導体デバイスの品質悪化を抑制しつつ、製造工程の負担を軽減できる技術を提供することを課題とする。
本発明によれば、
GaN基板の上にGaN系半導体層を成長させ、前記GaN基板の上に縦長の複数の島状GaN系半導体層がストライプ状に並んだ積層体を形成する準備工程と、
前記準備工程の後、前記島状のGaN系半導体層の上面に半導体デバイスを形成するデバイス形成工程と、
を有する半導体デバイスの製造方法が提供される。
本発明によれば、半導体デバイスの品質悪化を抑制しつつ、製造工程の負担を軽減できる技術が実現される。
本実施形態の半導体デバイスの製造方法の処理の流れの一例を示すフローチャートである。 本実施形態の半導体デバイスの製造方法の処理の流れを示す図である。 本実施形態のGaN系半導体の成長過程の一例を示す模式図である。 本実施形態の作用効果を説明するための図である。 本実施形態の作用効果を説明するための図である。 本実施形態の作用効果を説明するための図である。 本実施形態の作用効果を説明するための図である。 本実施形態の作用効果を説明するための図である。 本実施形態の作用効果を説明するための図である。 本実施形態の作用効果を説明するための図である。 本実施形態の作用効果を説明するための図である。 本実施形態の作用効果を説明するための図である。 本実施形態の作用効果を説明するための図である。 本実施形態の作用効果を説明するための図である。 本実施形態の作用効果を説明するための図である。 本実施形態の作用効果を説明するための図である。 本実施形態の半導体デバイスの製造方法の処理の流れの一例を示すフローチャートである。 本実施形態の半導体デバイスの製造方法の処理の流れを示す図である。
以下、本発明の半導体デバイスの製造方法の実施形態について図面を用いて説明する。なお、図はあくまで発明の構成を説明するための概略図であり、各部材の大きさ、形状、数、異なる部材の大きさの比率などは図示するものに限定されない。
本実施形態の半導体デバイスの製造方法は、図17に示すように、準備工程S1と、デバイス形成工程S2とを有する。準備工程S1では、GaN基板の上にGaN系半導体層を成長させ、GaN基板の上に縦長の複数の島状のGaN系半導体層がストライプ状に並んだ積層体を形成する。準備工程S1の後に行われるデバイス形成工程S2では、島状のGaN系半導体層の上面に半導体デバイスを形成する。
まず、図1及び図2を用いて本実施形態の準備工程S1の製造方法の処理の流れの一例を説明する。なお、他の方法で同様の積層体を形成してもよい。図1は、本実施形態の準備工程S1の処理の流れの一例を示すフローチャートである。図示するように、本実施形態の準備工程S1は、マスク形成工程S10と、成長工程S20とを有する。
マスク形成工程S10では、図2(A)に示すように、GaN基板10の(0001)面上に、少なくとも一部が一方向に沿って互いに平行に延在した複数の開口21を備える成長マスク20を形成する。以下、複数の開口21が互いに平行に延在する一方向を、第1の方向という。
成長マスク20は、例えば、SiO膜、SiN膜、SiO膜とSiN膜の積層膜等の絶縁膜とすることができる。開口21の幅Ww(第1の方向と垂直な方向の幅)は、2μm以上20μm以下、好ましくは5μm以上15μm以下である。隣接する開口部21間の距離、すなわち、2つの開口部21に挟まれるマスク20の第1の方向と垂直な方向の幅Wmは、100μm以上1000μm以下、好ましくは250μm以上400μm以下である。成長マスク20の厚さは、例えば10nm以上600nm以下である。開口21の第1の方向の長さ(マスク20で両サイドを挟まれた部分の長さ)は、GaN基板10の口径以下の範囲で調整することができる。大型(長手方向の長さが長い)な島状のGaN系半導体層を得るためには、第1の方向の長さを長くするのが好ましい。例えば、複数の開口21の中には、第1の方向の長さが1000μm以上、好ましくは2200μm以上、さらに好ましくは2500μm以上、さらに好ましくは3000μm以上のものを含めることができる。マスク20の長さの上限は、GaN基板10の大きさ次第(すなわち、GaN基板10の径以下)であり、口径2インチのGaN基板10の場合、上限は約50000μm、口径4インチのGaN基板10の場合、上限は約100000μm、口径6インチのGaN基板10の場合、上限は約150000μmとなる。開口部21の数は設計的事項である。このような成長マスク20は、フォトリソグラフィ等の従来技術を利用して形成することができる。
成長工程S20では、図2(C)に示すように、複数の開口21各々の底面に露出するGaN基板10から、<1−100>方向が第1の方向に平行に延在するようにGaN系半導体を成長させる。そして、複数の開口21各々から成長した複数のGaN系半導体各々が、自らの成長の起点になった開口21に隣接する他の開口21から成長したGaN系半導体と接触する前に成長を止めることで、各々個別に半導体デバイスを形成するための下地基板となる複数の縦長の島状のGaN系半導体層30を形成する。
GaN系半導体の成長は、例えば、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)装置またはHVPE(Hydride Vapor. Phase Epitaxy)装置を用いたエピタキシャル成長とすることができる。
ここで、成長工程S20の具体例として、第1の例及び第2の例を説明する。
<第1の例>
当該例では、まず、図2(B)に示すように、<11−2β>面(βは1以上の整数)を露出面に有するGaN系半導体31を成長させる。その後、当該GaN系半導体31を第1の方向に垂直な<11−20>方向に横方向成長させて、複数の島状のGaN系半導体層30を形成する。そして、複数の開口21各々から成長した複数のGaN系半導体31各々が、自らの成長の起点になった開口21に隣接する他の開口21から成長したGaN系半導体31と接触する前に成長を止めることで、図2(C)に示すように、各々個別に半導体デバイスを形成するための下地基板となる複数の島状のGaN系半導体層30を形成する。図3は、図2(B)に示すGaN系半導体31を横方向成長させて、図2(C)に示すGaN系半導体層30が得られるまでの断面形状の遷移を示す概念図である。
本実施形態では、GaN系半導体の成長条件、すなわち、成長温度、成長圧力、成長速度、TMGaガス流量、NHガス流量、V/III比、及び、Hガス流量の中の少なくとも一つをコントロールすることで、図3に示すようなGaN系半導体の遷移(成長)を実現する。
まず、−c面が成長し難く、−c面よりも+c面の成長が優位であって、横方向成長が遅い成長条件でGaN系半導体を成長させることで、<11−2β>面(βは1以上の整数)を露出面に有するGaN系半導体を得る(図3の丸1)。その後、横方向(<11−20>方向)への成長速度が高くなる成長条件に変更し、当該成長条件でGaN系半導体の成長を進めることで、図3の丸2乃至丸5に示すように、GaN系半導体の断面形状が台形から矩形に遷移していく。
<11−2β>面(βは1以上の整数)を露出面に有するGaN系半導体(図3の丸1)を得るための成長条件の具体例としては、例えば、成長温度を、GaN系半導体を横方向に成長させる工程(図3の丸2→丸5)における成長温度に比べて低め、例えば、1050℃以上1230℃以下、好ましくは1075℃以上1200℃以下とする。また、成長圧力を、GaN系半導体を横方向に成長させる工程(図3の丸2→丸5)における成長圧力に比べて高め、例えば200torr以上700torr以下、好ましくは350torr以上650torr以下とする。
次に、横方向(<11−20>方向)への成長速度を高くする成長条件の具体例としては、例えば、成長温度を、図3の丸1の状態を得る工程における成長温度に比べて高め、例えば、1150℃以上1250℃以下、好ましくは1160℃以上1230℃以下とする。また、成長圧力を、図3の丸1の状態を得る工程における成長圧力に比べて低め、例えば50torr以上300torr以下、好ましくは100torr以上250torr以下とする。
以下で詳述するが、本発明者は、このように成長条件をコントロールすることで、図3に示すようなGaN系半導体の遷移(成長)を実現することを確認している。
なお、横方向(<11−20>方向)への成長を進めている過程(図3の丸2→丸5)において、成長がある程度進むと、成長マスク20間の開口21の上部付近は、Gaが蒸発(離脱)モードになるので、ヒロックが発生してしまう。そこで、成長が進むにつれて、段階的にTMGa供給量を増やし、成長速度を大きくして蒸発(離脱)モードを成長モードに移行させてもよい。
横方向(<11−20>方向)への成長を止めるタイミングは、互いに隣接する開口21から成長したGaN系半導体同士が接する前であればよく、その詳細は設計的事項である。しかし、可能な限り遅くすることで、大口径のGaN系半導体層30を得ることができる。
<第2の例>
当該例では、図2(A)に示すようにGaN基板10の(0001)面上に成長マスク20を形成後、開口21から露出するGaN基板10に対してエッチングを行い、表面(露出面)に凹凸を形成する。その後、開口21から、<11−2β>面(βは1以上の整数)を露出面に有するGaN系半導体31を成長させる。次いで、当該GaN系半導体31を第1の方向に垂直な<11−20>方向に横方向成長させて、図2(C)に示すように、複数の島状のGaN系半導体層30を形成する。なお、GaN基板10に対してエッチングを行い、表面に凹凸を形成後、その上から成長マスク20を形成してもよい。以下、詳細に説明する。
GaN基板10の表面に凹凸を形成するためのエッチングは、例えば熱分解処理とすることができる。具体的には、NHガス雰囲気で、温度を、図3の丸1の状態を得る工程における成長温度に比べて高め、且つ、GaN系半導体を横方向に成長させる工程(図3の丸2→丸5)における成長温度に比べて低め、例えば、1120℃以上1230℃以下、好ましくは1150℃以上1200℃以下で行う。凹凸の形状は結晶性が悪化しない程度が好ましく、高低差は10nm〜100nmで+C面とその他の面、例えば、(n0−nm)面(n及びmは整数)と(nn−2nm)面(n及びmは整数)が露出すればよい。
次に、開口21から、<11−2β>面(βは1以上の整数)を露出面に有するGaN系半導体31を成長させる処理について説明する。当該例では、図13(A)に示すような、成長マスク20上に露出面として<11−2β>面(βは1以上の整数)を有し、且つ、成長マスク20間の開口21上に(n0−nm)面(n及びmは整数)を内面に有する逆角錐形状又は逆角錐台形状のピットをランダム形成したGaN系半導体を成長させる。成長条件の具体例としては、例えば、成長温度を、1140℃以上1250℃以下、好ましくは1160℃以上1220℃以下とする。また、成長圧力を、GaN系半導体を横方向に成長させる工程(図3の丸2→丸5)における成長圧力に比べて高め、例えば200torr以上700torr以下、好ましくは350torr以上650torr以下とする。
図13(A)の状態が得られた後、GaN系半導体を成長させることで、逆角錐形状又は逆角錐台形状のピットを埋めこみ、平坦化して、<11−2β>面(βは1以上の整数)を露出面に有するGaN系半導体を得る(図13(B)、及び、図3の丸1の状態)。図13(B)には、大部分が平坦化されるとともに、<11−2β>面を内面に有するピットが残存した状態が示されている。当該状態を得るための成長条件の具体例としては、成長温度は逆角錐形状又は逆角錐台形状のピットを形成した温度と同等、例えば、成長温度を、1190℃以上1250℃以下、好ましくは1200℃以上1240℃以下とする。また、成長圧力を、GaN系半導体を横方向に成長させる工程(図3の丸2→丸5)における成長圧力と同等、例えば50torr以上300torr以下、好ましくは100torr以上250torr以下とする。
その後、第1の例と同様にして、<11−2β>面(βは1以上の整数)を露出面に有するGaN系半導体31を横方向成長させて、図2(C)に示すように、複数の島状のGaN系半導体層30を形成する。
以上説明した本実施形態の積層体の製造方法によれば、図2(C)に示すように、GaN基板10と、成長マスク20と、複数の島状のGaN系半導体層30とを有する積層体が得られる。
成長マスク20は、GaN基板10の(0001)面上に形成され、少なくとも一部が第1の方向に沿って互いに平行に延在した複数の開口21を備える。第1の方向は、GaN系半導体層30の<1−100>方向に平行な方向である。
複数の島状のGaN系半導体層30各々は、複数の開口21各々の底面に位置するGaN基板10から成長し、成長マスク20上に延在している。なお、複数の島状のGaN系半導体層30各々は、自らの成長の起点になった開口21に隣接する他の開口21から成長した他の島状のGaN系半導体層30とは接触しない。そして、複数の島状のGaN系半導体層30は、各々個別に、半導体デバイスを形成するための下地基板となる。
なお、本発明者は、本実施形態の積層体の製造方法によれば、島状のGaN系半導体層30各々の第1の方向に垂直な<11−20>方向の最大長さL(図2(C)参照)が、L≧100μm以上、好ましくはL≧350μm満たすほど大口径である積層体が得られることを確認している。また、本発明者は、本実施形態の積層体の製造方法によれば、島状のGaN系半導体層30の第1の方向の長さを、GaN基板10の口径以下の範囲で所望の値に調整できることを確認している。このような本実施形態によれば、第1の方向の長さ(長手方向の長さ)が1000μm以上、好ましくは2200μm以上、さらに好ましくは2500μm以上、さらに好ましくは3000μm以上である島状のGaN系半導体層30が得られる。また、本実施形態によれば、第1の方向の長さ(長手方向の長さ)がGaN基板10の口径と同等程度(口径2インチの場合は約50000μm、口径4インチの場合は約100000μm、口径6インチの場合は約150000μm)である島状のGaN系半導体層30が得られる。
また、本発明者は、本実施形態の積層体の製造方法によれば、島状のGaN系半導体層30各々の第1の方向に垂直な<11−20>方向の最大長さをL、GaN基板10に垂直な方向のGaN基板10表面からの最大高さをHmax(図2(C)に、GaN基板10に垂直な方向のGaN基板10表面からの高さHを示す)とすると、70μm≦Hmax/L≦380μmを満たす積層体が得られることを確認している。
さらに、本発明者は、本実施形態の積層体の製造方法によれば、L≧350μm及びHmax≦120μmの少なくとも一方を満たしつつ、70μm≦Hmax/L≦380μmを満たす積層体が得られることを確認している。
すなわち、本実施形態の積層体の製造方法によれば、厚さが厚くなり過ぎることなく、また、薄くなり過ぎることもなく、大口径であり、かつ、長いGaN系半導体層30を有する積層体が得られる。厚さが厚くなり過ぎると実反りが大きくなり、光学的リソグラフィーにおいて、ウエハ中心とエッジの露光焦点が合わず歩留まりが低下する。また、そもそも露光機にウエハが挿入できなくなるなど、その後のデバイス化プロセスを困難にする。また、原料を多く使用することでコスト増となる等の不都合が発生する。逆に、厚さが薄くなり過ぎると、強度が低くなり、作業性が悪くなるなどの不都合が発生する。
また、本発明者は、本実施形態の積層体の製造方法によれば、島状のGaN系半導体層30各々のGaN基板10に垂直な方向のGaN基板10表面からの最大高さをHmax、GaN基板10表面からの最小高さをHminとすると、(Hmax−Hmin)≦7.5μmを満たす積層体が得られる。なお、本実施形態の積層体の製造方法によれば、L≧350μm、70μm≦Hmax/L≦380μm、Hmax≦120μm、及び、Hmin≧70μmの中の少なくとも1つを満たしつつ、(Hmax−Hmin)≦7.5μmを満たす積層体が得られることを確認している。
すなわち、本実施形態の積層体の製造方法によれば、大口径かつ長いが、表面の平坦性が維持されている島状のGaN系半導体層30が得られる。後で詳述するが、横方向成長速度と、表面モホロジーはトレードオフの関係にある。このため、横方向成長を進め、大口径化すると、表面状態が悪くなってしまう。本実施形態は、従来品に比べ大口径であるが、表面の平坦性が維持されている島状のGaN系半導体層30が得られる。
なお、成長マスク20は、第1の方向と垂直な方向に隣接する開口間の距離(マスク幅Wm)が、100μm以上1000μm以下であってもよい。GaN系半導体層30各々は、露出面の中に<11−2α>面(αは整数)を含むこととなる。
次に、図17に示すデバイス形成工程S2について説明する。デバイス形成工程S2では、準備工程S1(マスク形成工程S10及び成長工程S20)を経て、図2(C)に示す状態となった積層体のGaN系半導体層30の上面に、半導体デバイス50を形成する(図18参照)。半導体デバイス50は、例えば、ショットキーダイオード、発光ダイオード、半導体レーザ、フォトダイオード、トランジスタなどであるが、これらに限定されない。半導体デバイス50の製造方法は特段制限されず、例えば特許文献1及び2に開示された方法など、あらゆる技術を採用することができる。
本実施形態によれば、幅が100μm以上、好ましくは350μm以上であり、かつ、長さがGaN基板10の口径以下の範囲で所望の値に調整された半導体デバイス50を製造することができる。このような本実施形態によれば、長さ(長手方向の長さ)が1000μm以上、好ましくは2200μm以上、さらに好ましくは2500μm以上、さらに好ましくは3000μm以上である半導体デバイス50が得られる。また、本実施形態によれば、長さ(長手方向の長さ)がGaN基板10の口径と同等程度(口径2インチの場合は約50000μm、口径4インチの場合は約100000μm、口径6インチの場合は約150000μm)である半導体デバイス50が得られる。
島状のGaN系半導体層30は互いに分離しているので、各々の上に製造された複数の半導体デバイス50も互いに分離している。このため、ダイシング等によりこれらを互いに分離する工程を不要とすることができる。
なお、得られた半導体デバイスが所望の長さよりも長い場合、デバイス形成工程S2の後、半導体デバイス50が形成された島状のGaN系半導体層30を、所望の長さに分断する分断工程を実施してもよい。本実施形態の場合、劈開面でGaN系半導体層30を分断できるので、分断面において良好な平行性及び平滑性が得られる。
その後、半導体デバイス50が製造された島状のGaN系半導体層30を、GaN基板10から分離し、所定の基板上に載置(搭載)する。当該工程の詳細は特段制限されず、例えば特許文献1及び2に開示された方法など、あらゆる技術を採用することができる。
本実施形態では、GaN基板10上に、熱膨張係数と格子定数が一致したGaN系半導体層30を成長(ホモ成長)している。このため、GaN基板10の湾曲を大幅に抑制できる。よって、半導体デバイス50が製造された島状のGaN系半導体層30から分離されたGaN基板10は、その後、再利用可能である。
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
1.<11−2β>面(βは1以上の整数)を露出面に有するGaN系半導体を成長させる実現性
上述した第1の例により、<11−2β>面(βは1以上の整数)を露出面に有するGaN系半導体を成長できることを確認した。
まず、口径2インチのGaN基板上に、成長マスク20として、SiN(厚さ:10nm)/SiO(厚さ:290nm)の積層膜を形成した。開口21の幅Wwは5μm、2つの開口部21に挟まれるマスク20の第1の方向と垂直な方向の幅Wmは165μm、開口21の第1の方向の長さは基板いっぱいとした。複数の開口21の中には、第1の方向の長さが1000μm以上2200μm以下のもの、2200μm以上2500μm以下のもの、2500μm以上3000μm以下のもの、3000μm以上50000μm以下のもの、約50000μmのものが存在した。その上に、以下の成長条件で、GaN系半導体を成長させた。
成長温度:1170℃、成長圧力:600torr、成長速度:1.0μm/h、TMGa流量:185ccm、NH流量:16slm、V/III比:1389、H流量:12slm
ここで、図4及び5に、上記成長条件でGaN基板上に成長したGaN系半導体のSEM像を示す。図示するように、上記成長条件で成長したGaN系半導体は、<11−22>面を露出面に有し、断面形状が台形となった。
図4及び5に示す状態が得られた後、横方向(<11−20>方向)への成長速度が高くなる成長条件に変更し、当該成長条件でGaN系半導体の成長を進めた。成長条件は以下の通りである。
成長温度:1220℃、成長圧力:200torr、成長速度:6.5μm/h、TMGa流量:300ccm、NH流量:16slm、V/III比:857、H流量:11slm
その後、成長条件を以下の通り変更した。さらに横方向(<11−20>方向)への成長速度が高くなるように成長温度を高くして、且つ、TMGa供給量を増やし、成長速度を大きくして蒸発(離脱)モードを成長モードに移行させた。
成長温度:1230℃、成長圧力:200torr、成長速度:6.5μm/h、TMGa流量:450ccm、NH流量:16slm、V/III比:571、H流量:11slm
このように、<11−2β>面(βは1以上の整数)を露出面に有するGaN系半導体を成長させた後(図4及び5)、当該GaN系半導体を横方向成長させた場合、図6に示すように、貫通転位を<11−2β>面(βは1以上の整数)を境に横方向に方向転換させることができた。このため、このようにして得られるGaN系半導体層30は、基板と平行な表面(図2(C)の上側の表面)における転位密度を減少させることができる。
得られた縦長の島状のGaN系半導体の第1の方向に垂直な<11−20>方向の長さLは100μm以上170μm以下であり、第1の方向の長さは1000μm以上2200μm以下のもの、2200μm以上2500μm以下のもの、2500μm以上3000μm以下のもの、3000μm以上50000μm以下のもの、約50000μmのものが存在した。
このように、本実施例によれば、GaN基板の口径と同等程度の長さを有する島状のGaN系半導体を製造できることが確認された。また、本実施例によれば、互いに第1の方向の長さが異なる複数の島状のGaN系半導体を製造できることが確認された。また、本実施例によれば、開口21の第1の方向の長さと同等程度の第1の方向の長さを有する島状のGaN系半導体を製造できることが確認された。なお、ここでは示さないが、本発明者は、より大きい口径のGaN基板を利用することで、より長い島状のGaN系半導体を製造できることを確認した。また、開口21の幅Ww、及び、2つの開口部21に挟まれるマスク20の第1の方向と垂直な方向の幅Wmを調整することで、島状のGaN系半導体の幅を100μm以上950μm以下、好ましくは350μm以上750μm以下の範囲で調整できることを確認した。
2.GaN基板上にGaN系半導体層を形成する技術と、異種基板(サファイア基板)上にGaN系半導体層を形成する技術との対比
GaN基板上に互いに分離した島状のGaN系半導体層を形成する技術と、異種基板(サファイア基板)上に互いに分離した島状のGaN系半導体層を形成する技術との優劣を調べた。
<実施例1>
まず、上述した第2の例により、<11−2β>面(βは1以上の整数)を露出面に有するGaN系半導体を成長させた。
具体的には、図2(A)に示すようにGaN基板10の(0001)面上に成長マスク20を形成後、開口21から露出するGaN基板10に対してエッチングを行い、表面(露出面)に凹凸を形成した。エッチングは、熱分解処理とした。具体的には、NHガス雰囲気で、温度:1150℃で行った。高低差は10nm〜100nmで+C面とその他の面、例えば、(n0−nm)面(n及びmは整数)と(nn−2nm)面(n及びmは整数)が露出していた。
その後、開口21から、<11−2β>面(βは1以上の整数)を露出面に有するGaN系半導体31を成長させた。具体的には、以下の成長条件で、GaN系半導体を成長させた。
成長温度:1190℃、成長圧力:500torr、成長速度:1.0μm/h、TMGa流量:200ccm、NH流量:16slm、V/III比:1285、H流量:11slm
<11−2β>面(βは1以上の整数)を露出面に有するGaN系半導体31を得られた後、横方向(<11−20>方向)への成長速度が高くなる成長条件に変更し、当該成長条件でGaN系半導体の成長を進めた。成長条件は以下の通りである。
成長温度:1220℃、成長圧力:200torr、成長速度:5.5μm/h、TMGa流量:300ccm、NH流量:16slm、V/III比:857、H流量:11slm
次に、TMGa供給量を増やし、成長速度を大きくして蒸発(離脱)モードを成長モードに移行させた。具体的には、以下の成長条件で、GaN系半導体を成長させた。
成長温度:1220℃、成長圧力:200torr、成長速度:6.0μm/h、TMGa流量:400ccm、NH流量:16slm、V/III比:642、H流量:11slm
<比較例1>
まず、サファイア基板上に、実施例1と同様、互いに平行に延在する複数の開口を有する成長マスクとして、SiN(厚さ:10nm)/SiO(厚さ:290nm)の積層膜を形成した。開口の幅Wwは5μm、2つの開口に挟まれるマスクの幅Wm(開口が延在する方向に垂直な方向の幅)は165μmとした。その上に、以下の成長条件で、GaN系半導体を成長させた。
まず、サファイア基板に対し、温度:1170℃、時間:600sec、キャリアガス:H流量:12.5slmの条件でサーマルクリーニングを行った。
その後、当該サファイア基板上に、成長温度:550℃、TMG流量:30sccm、NH流量:12slm、V/III比:6462、H流量:8.5slmの成長条件で、厚さ30〜60nmの低温GaNバッファ層を成長させた
次いで、温度:1170℃、時間:180sec、キャリアガス−H(96%)流量:12.5slmの条件でGaN層に対しアニール処理を行った。
その後、低温GaNバッファ層の上に、開口から、<11−2β>面(βは1以上の整数)を露出面に有するGaN系半導体を成長させた。具体的には、以下の成長条件で、GaN系半導体を成長させた。
成長温度:1170℃、TMG流量:500sccm、NH流量:16slm、V/III比:1285、成長速度:1.3μm/h、H流量:11slm
次に、<11−2β>面(βは1以上の整数)を露出面に有するGaN系半導体を得られた後、横方向(<11−20>方向)への成長速度が高くなる成長条件に変更し、当該成長条件でGaN系半導体の成長を進めた。成長条件は以下の通りである。
成長温度:1210℃、成長圧力:200torr、成長速度:5.5μm/h、TMGa流量:300ccm、NH流量:16slm、V/III比:857、H流量:11slm
次に、さらに横方向(<11−20>方向)への成長速度が高くなるように成長温度を高くして、且つ、TMGa供給量を増やし、成長速度を大きくして蒸発(離脱)モードを成長モードに移行させた。具体的には、成長条件を以下の通り変更した。
成長温度:1230℃、成長圧力:200torr、成長速度:6.0μm/h、TMGa流量:400ccm、NH流量:16slm、V/III比:642、H流量:11slm
<実施例1と比較例1の対比>
[a.内部歪みの改善]
比較例1のようなヘテロ成長は、熱膨張係数の相違、格子定数の不一致によって、結晶内部に大きな歪み(ストレス)が生じてしまう。内部歪みは、GaN系半導体層上に形成されるデバイスの信頼性と性能を損なう原因になる。実施例1は、熱膨張係数と格子定数が一致したホモ成長としているので、比較例1に記載の技術に比べ、著しく、内部歪みを改善している。すなわち、基板の湾曲を十分に抑制している。
図7は、実施例2のGaN系半導体層の表面状態を示すSEM像とCL像である。図8は、比較例1のGaN系半導体層の表面状態を示すSEM像とCL像である。比較例1には、内部歪みに起因した転位を示す黒線が多数存在するが、実施例2には、このような黒線が確認されない。すなわち、実施例2は、比較例1に比べ、著しく、内部歪みを改善し、転位を減少させている。
[b.CL測定における暗点密度(転位密度)の減少]
CL測定における暗点(暗転密度)は転位(転位密度)を示し、転位が、GaN系半導体層上に形成されるデバイスの性能を大きく損なうことは周知の事実である。
図9及び10は実施例1のGaN系半導体層の表面状態を示すSEM像とCL像である。図9は、成長マスクの開口部上における表面状態、図10は、成長マスク上における表面状態を示す。
図11及び12は比較例1のGaN系半導体層の表面状態を示すSEM像とCL像である。図11は、成長マスクの開口部上における表面状態、図12は、成長マスク上における表面状態を示す。
図9−暗点個数:0個、暗点密度<9E+5cm−2
図10−暗点個数:0個、暗点密度<9E+5cm−2
図11−暗点個数:600個、暗点密度<9E+7cm−2
図12−暗点個数:100個、暗点密度<1E+7cm−2
比較例1の場合、CL測定で検出・確認された転位の密度は、開口部上(図11)で約5E+7cm−2、成長マスク上で約8E+6cm−2であった。一方、実施例1の場合、CL測定で転位が検出・確認できない(不能な)レベルまで結晶性が向上しており、転位が確認できた箇所も、下地基板の転位密度以下(<7E+6cm−2)であることが確認できた。選択成長において、成長マスク上の転位密度は、一般的に下地基板と同等になるが、実施例1では、成長工程S20として上記第2の例を用いることで、大幅に転位を削減できたと考えられる。
3.横方向成長の優位性
横方向成長速度を大きくできると、効率的に大口径のGaN系半導体層を形成することが可能となる。すなわち、生産効率が向上する。
また、厚さ方向(c軸方向)の成長速度に比べて、横方向成長速度を十分に大きくできると、厚さを抑制しつつ、大口径のGaN系半導体層を得ることができる。かかる場合、GaN系半導体層の厚さをスリム化でき、原料の使用量の減少などに起因して、製造コストの削減を実現することができる。また、得られるGaN系半導体層を軽くすることができ、持ち運びなどが容易になる。
しかし、図14に示すように、横方向成長速度と、表面モホロジーはトレードオフの関係にある。図示するように、成長温度を高くし、NH流量を多くし、成長圧力を低くし、H流量を少なくするほど、左側のグラフに示すように、横方向成長速度は速くなるが、右側のグラフに示すように、得られるGaN系半導体層の表面モホロジーは悪くなる。表面ホモロジーの悪化は、GaN系半導体層の上に形成されるデバイスの特性を損ない、デバイスプロセスを困難にする。このため、表面ホモロジーの良好な状態を維持できる範囲で、可能な限り、横方向成長速度を速くするのが好ましい。
図15及び16は、厚さ方向(c軸方向)の成長速度に対する横方向成長速度を大きくして得られたGaN系半導体層の表面状態を示す微分干渉像である。図15はGaN基板上に成長させたGaN系半導体層(以下、「実施例2」)を示し、図16はサファイア基板上に低温バッファ層を介して成長させたGaN系半導体層(以下、「比較例2」)を示す。いずれも、成長条件は同じである。なお、実施例2の成膜時間は230min、比較例2の成膜時間は300minである。実施例2及び比較例2いずれも、GaN系半導体層のアスペクト比は5.0となっている。
なお、実施例2及び比較例2各々の、横方向成長速度は以下の通りである。
実施例2:119μm×60/230=31μm/h
比較例2:105μm×60/300=21μm/h
このように、実施例2及び比較例2は同じ成長条件を採用しているが、横方向成長速度は異なる。すなわち、GaN基板上にGaN系半導体層を成長させた方が、サファイア基板上にGaN系半導体層を成長させるよりも、横方向成長速度が速い。これは、基板間の熱伝導率の差(GaN基板:0.13W/mmK、サファイア基板:0.042W/mmK)が影響していると考えられる。
次に、図16より、比較例2のGaN系半導体層の表面には、多数のヒロックやバンチングが発生していることがわかる。すなわち、比較例2の場合、GaN系半導体層の良好な表面状態を得るためには、上述のような横方向成長速度を実現できる当該成長条件は採用できず、より、横方向成長速度が遅くなる方向に設定変更する必要がある。これに対し、図15に示すように、実施例2のGaN系半導体層の表面には、ヒロックやバンチングがほとんど発生していないことがわかる。すなわち、実施例2の場合、上述のような横方向成長速度を実現できる当該成長条件は採用することができるとともに、さらに速い成長条件を採用することもできると期待される。
以上、本実施形態によれば、結晶性に優れるGaN系半導体層を形成するとともに、当該GaN系半導体層の成長に用いた基板(GaN基板)の湾曲を十分に抑制することができる。
10 GaN基板
20 成長マスク
21 開口
30 GaN系半導体層
31 GaN系半導体
50 半導体デバイス

Claims (6)

  1. GaN基板の上にGaN系半導体層を成長させ、前記GaN基板の上に縦長の複数の島状のGaN系半導体層がストライプ状に並んだ積層体を形成する準備工程と、
    前記準備工程の後、前記島状のGaN系半導体層の上面に半導体デバイスを形成するデバイス形成工程と、
    を有する半導体デバイスの製造方法。
  2. 請求項1に記載の半導体デバイスの製造方法において、
    前記複数の島状のGaN系半導体層の中には、長手方向の長さが1000μm以上のものが含まれる半導体デバイスの製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の半導体デバイスの製造方法において、
    前記デバイス形成工程の後、前記半導体デバイスが形成された前記島状のGaN系半導体層を、所望の長さに分断する分断工程をさらに有する半導体デバイスの製造方法。
  4. 請求項3に記載の半導体デバイスの製造方法において、
    前記分断工程では、劈開面で前記島状のGaN系半導体層を分断する半導体デバイスの製造方法。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の半導体デバイスの製造方法において、
    前記準備工程は、
    前記GaN基板の(0001)面上に、少なくとも一部が第1の方向に沿って互いに平行に延在した複数の開口を備える成長マスクを形成するマスク形成工程と、
    前記複数の開口各々の底面に露出する前記GaN基板から、<1−100>方向が前記第1の方向に平行に延在するようにGaN系半導体を成長させるとともに、当該GaN系半導体が、自らの成長の起点になった前記開口に隣接する他の前記開口から成長したGaN系半導体と接触する前に成長を止めることで、各々個別に半導体素子を形成するための下地基板となる複数の島状のGaN系半導体層を形成する成長工程と、
    を有する半導体デバイスの製造方法。
  6. 請求項5に記載の半導体デバイスの製造方法において、
    前記成長工程では、<11−2β>面(βは1以上の整数)を露出面に有するGaN系半導体を成長させた後、当該GaN系半導体を前記第1の方向に垂直な<11−20>方向に成長させる半導体デバイスの製造方法。
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