JP2015094645A - 慣性力センサ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】回路基板上に実装された慣性力検出センサの振動印加による出力変動を抑制した信頼性の高い慣性力検出センサのモジュール実装構造を提供すること。【解決手段】加速度および角速度を検出する慣性力検出センサと、前記慣性力検出センサおよび電子部品を実装する回路基板と、前記回路基板を固定するハウジングと、を有し、前記回路基板は、前記ハウジングの底部と前記回路基板との空間に樹脂を充填することで前記ハウジングに接着固定され、前記回路基板の端部は、前記ハウジングに設けられた固定部と接合剤によって固定され、前記ハウジングは、開口部が設けられており、前記開口部を覆うようにカバーが接着により固定される。【選択図】 図1
Description
本発明は、加速度および角速度を検出する慣性力検出センサ装置に関する。
近年、自動車や農業機械および建設機械などでは走行安定性制御や安全性、作業性を向上するため種々の物理量を検出するセンサ装置が用いられている。自動車においては、特に、加速度センサや角速度センサが横滑り防止や乗員の安全性を向上するための機器(例えばエアバック)制御用として適用が拡大している。また、センサ装置の自動車への適用では、エンジンルームへの搭載も想定されるため、温度変化や機械的振動などの過酷な環境下に耐えることが必要となっている。農業機械では車体の姿勢制御や、種々の耕作用途に用いる付属機の水平制御用いられており、自動車同様過酷な環境で使用される。
センサ装置に搭載される加速度センサや角速度センサでは、小型化や多機能化・複合化、および量産性向上などを目的に、シリコン(Si)の微細加工技術(MEMS:Micro Electro Mechanical Systems)を用いた検出手段が主流となってきている。微細加工技術によってシリコンの微細なくし歯状構造体を形成し、このくし歯状構造体の微小変位を、電気信号に変換することで加速度や角速度などの物理量を検出している。
センサ装置は、他の電子部品とともに実装基板に搭載された状態で使用される。また実装基板に搭載したセンサ装置を外部との電気的信号の入出力を行うコネクタとともにハウジングなどでモジュール化した状態で使用される。
上記したセンサ装置は、微小な変位を検出手段としているため、センサ装置の外部から振動や衝撃が印加されると、微細なくし歯構造体に変位が生じ、慣性力が作用していない状態でも出力が発生する。このセンサ出力は、検出誤差となり、センサ装置の信頼性を低下させる要因となる。
したがって、シリコンの微細加工技術を用いた検出装置は、各物理量検出部、または、各物理量検出素子へ振動などの外力が印加しない実装構造とすることが必要不可欠である。また、このような検出装置を自動車に搭載する場合、エンジンルームなどの過酷な環境への搭載も可能とするため、高信頼性を有した実装構造とすることが必要不可欠である。
この検出装置をはじめ、半導体素子を用いたセンサ装置の実装構造として、例えば、特許文献1や特許文献2および、特許文献3などに記載されているセンサ装置のような構造が知られている。
筐体内に取り付けられた電子部品を実装した回路基板の振動を抑制する手段として、特許文献1には、筐体底部に回路基板を支える為の直立したボスと、筐体内部の側面に回路基板の周辺を支える為に段差部を設ける構造が開示されている。前記ボスに回路基板がネジで固定され、固定されたボス位置を振動の節として回路基板が上下にたわむように振動する場合でも、前記段差が下支えすることにより回路基板の下方向への振動を抑制できることが示されている。
また、回路基板の振動を抑制する手段として特許文献2には、少なくとも一方の面に電子装置が搭載された回路基板と、回路基板を固定するベース部材を備えており、回路基板の片面に1つ以上の突起物を設置し、回路基板の周辺固定部をベース部材に固定する際、突起物の一部をベース部材に接触させ、さらに、突起物の高さを回路基板の周辺固定部高さより高くすることで、回路基板を凸状に反らせた構造とすることが記載されている。このように、回路基板を反らせることで、強固でベース部材に固定でき、耐振動性を向上でき、また、回路基板を周辺と突起部で固定するので、回路基板の共振周波数を高周波数側に移動でき、外部振動によって導かれる回路基板の共振時の振動振幅を小さく抑えることができるとある。
また、半導体加速度センサを実装した回路基板を保持する接続端子の長さを振動を吸収する長さに設定し、さらに中間部に吸振構造を形成する実装構造例が、特許文献3に記載されている。上記した構造によって、外部から衝撃が印加された場合でも、接続端子自体の変形で衝撃を吸振緩衝し、半導体加速度センサの衝撃振動による破損を防止することが示されている。
しかしながら、慣性力検出センサを回路基板上に搭載し、ケーシングした実装モジュールでは、外部から振動が印加されると、回路基板に面外変形が生じる場合がある。この回路基板の変形は、基板上に搭載されている慣性力検出センサにも伝達し、センサ出力をも変動させる。振動によるセンサ出力変動は、本来慣性力を検出して出力される出力に重畳されることで検出誤差となり、慣性力検出センサの信頼性を低下させる要因(課題)となる。
特許文献1において、回路基板周辺を筐体側壁内面に設けた段差部により下支えすることによって、下方向への回路基板振動は抑えることができる。しかしながら、回路基板周囲と段差部とが固定されていないため、外部から印加される振動の加速度が大きい場合、上方に変形した回路基板と段差部とが繰り返し衝突するようになり、この衝突による振動が回路基板上に搭載された慣性力検出センサに影響を及ぼす可能性がある。また、回路基板を支えるボスどうしの間隔が広い場合には、ボスどうしの間の回路基板部分に局所的な変形が生じるようになり、十分な振動抑制効果が得られないことも考えられる。
特許文献2では、回路基板の片面に設けた突起部がベース部材に接触しているだけなので、特許文献1と同様に、印加される振動加速度が大きい場合には、突起部とベース部材とが離れてしまう。これによって、突起部とベース部材が繰り返し衝突することによる振動が回路基板上に搭載した慣性力センサの出力を変動させる要因となる。また、突起部を周辺固定部より高くして回路基板を反らすによって回路基板をベース基板に強固に固定する効果は得ることができる。しかしながら、回路基板を反らせることで、実装されている種々の部品にも反り変形が生じることになり、はんだ接続部に過大な応力が生じ、破断する課題がある。また、加速度を検知するセンサ部品を実装する場合、回路基板の反りによる傾斜によって出力が変動し、検出誤差の要因となる場合がある。
さらに、特許文献3に開示された技術では、単発の衝撃的外力に対しては接続端子の吸振作用が機能するが、振動のような連続的な外力に対しては、接続端子自体も振動してしまうため、回路基板の振動を抑制することが困難になる。
本発明の目的は、回路基板上に実装された慣性力検出センサの振動印加による出力変動を抑制した信頼性の高い慣性力検出センサのモジュール実装構造を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明の慣性力センサ装置は、例えは、加速度および角速度を検出する慣性力検出センサと、前記慣性力検出センサおよび電子部品を実装する回路基板と、前記回路基板を固定するハウジングと、を有し、前記回路基板は、前記ハウジングの底部と前記回路基板との空間に樹脂を充填することで前記ハウジングに接着固定され、前記回路基板の端部は、前記ハウジングに設けられた固定部と接合剤によって固定され、前記ハウジングは、開口部が設けられており、前記開口部を覆うようにカバーが接着により固定される。
本発明によれば、回路基板に実装した状態でケーシングした慣性力検出センサのモジュール実装構造において、振動印加時による回路基板の変形を抑制し、回路基板に実装する慣性力検出センサの出力変動を抑えることができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明をする。
本発明の第1実施例をなす慣性力検出センサのモジュール実装構造について、図1〜図2を用いて説明する。
図1に示すように、本発明の第一実施例をなす慣性力検出センサのモジュール実装構造は、外部制御装置と信号伝達する為のコネクタ8と外部機器と接続する為に設けられたブラケット11と一体形成したケース型のハウジング3に加速度・角速度を検出する慣性力検出センサ2を収納している。慣性力検出センサ2及びこれらセンサを制御する種々の電子部品4を実装する回路基板1は、ハウジング3内部の基板搭載部に接着剤9で接続し、回路基板1とコネクタ端子8はアルミワイヤ9で電気的に接続し信号伝達機能を備えている。ハウジング3には開口部が設けられており、開口部にはカバー10が接着剤9より接着されてモジュール構造体化している。また、回路基板1とハウジング3の底面部との隙間には樹脂5が充填されており、回路基板1を拘束している。これによって、外部振動が印加された場合でも、回路基板1がハウジング3に拘束されることで回路基板1の変形を低減でき、ハウジング3から回路基板1経由で慣性力検出センサ2(ゲージセンサ)に伝播する振動を抑制することができる。これによって、慣性力センサ装置の出力変動を抑制することが可能となる。
ハウジング3の材料には例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)を用い、回路基板1はFR−4やFR−5相当のガラスエポキシ基板などを用いる。なお、回路基板1にアルミワイヤ9が接続されている側の面上には、アルミワイヤ9全体を覆うようにゲル(シリコーンゲル)を設けても良い。
図3は、第1実施形態と同等のモデルにより回路基板の剛性変化を、固有値解析より示したグラフである。横軸は基板と樹脂を合わせた厚さ(mm)であり、縦軸は固有振動数(Hz)である。基板に樹脂を接着したことで剛性が高くなり、固有振動数が上昇する。これにより、外部から負荷される振動の周波数と固有振動数が一致したことに起因して発生する出力変動を抑えられる周波数域を広げることができ、耐振動性が向上する。
また、樹脂5において、温度変化時の内部応力による基板の歪みを低減する為に、回路基板1やハウジング3の線膨張係数と同等の材料を選定することが好ましい。また、回路基板1を強固に固定するため、弾性率の高いフィラー(例えば溶融シリカやアルミナフィラー)を充填したエポキシ接着剤などを用いることが好ましい。なお、樹脂の線膨張係数は充填するフィラーの量によって調整することができる。これによって、回路基板1、ハウジング3と充填樹脂との線膨張係数差に起因して発生する熱応力を低減することができ、界面はく離や樹脂割れの発生を抑制することができる。また、回路基板1とハウジング3、カバー10とハウジング3を固定する接着剤も熱応力による変形を抑制する為に前述のエポキシ接着剤で固定することが好ましい。これより回路基板1の剛性が向上し変形を抑制することでセンサ出力誤差を低減可能とする。
また、樹脂5において、温度変化時の内部応力による基板の歪みを低減する為に、回路基板1やハウジング3の線膨張係数と同等の材料を選定することが好ましい。また、回路基板1を強固に固定するため、弾性率の高いフィラー(例えば溶融シリカやアルミナフィラー)を充填したエポキシ接着剤などを用いることが好ましい。なお、樹脂の線膨張係数は充填するフィラーの量によって調整することができる。これによって、回路基板1、ハウジング3と充填樹脂との線膨張係数差に起因して発生する熱応力を低減することができ、界面はく離や樹脂割れの発生を抑制することができる。また、回路基板1とハウジング3、カバー10とハウジング3を固定する接着剤も熱応力による変形を抑制する為に前述のエポキシ接着剤で固定することが好ましい。これより回路基板1の剛性が向上し変形を抑制することでセンサ出力誤差を低減可能とする。
次に、第2実施形態をなす慣性力検出センサのモジュール実装構造について図4、図5を用いて説明する。図4は第2実施形態のモジュール実装構造のコネクタを正面から見たブラケット間の断面図であり、図5は第2実施形態をなすモジュール実装構造体の上部のカバーを取り除いた平面図である。
図4に示すように、種々の電子部品4とともに搭載された慣性力検出センサ2の投影面積と実質的に同じサイズの基板搭載部12をハウジング底面に設け、回路基板1の慣性力検出センサ2非搭載面と基板搭載部を接着剤9で接続し、回路基板の周辺部をハウジングに設けた固定部に接合剤9で接続し、回路基板上の電極とハウジング3と一体に形成されたコネクタ6の電極との電気的接続手段を備え、ハウジング上部にカバー10を接着してケーシングしたことを特徴とする。本実施形態によれば、回路基板1の慣性力検出センサ搭載部とハウジングの基板搭載部12とを接着することにより、回路基板1のセンサ搭載部剛性を向上させ基板変形を抑え、センサの出力誤差を抑制することが可能となる。
次に、第3実施例をなす慣性力検出センサのモジュール実装構造について図6、図7を用いて説明する。図6は第2実施形態のモジュール実装構造のコネクタを正面から見てリブ−リブ間の断面図であり、図7は第2実施形態をなすモジュール実装構造の上部のカバーを取り除いた平面図である。
図6に示すように、回路基板1の表面に、種々の電子部品4とともに搭載された慣性力検出センサ2の上面および側面を囲み、一面が開口したケース13で慣性力検出センサ2を覆い、ケース13の開口端部を回路基板表面に接合剤で接続し、回路基板1の周辺部をハウジング3に設けた固定部に接合剤で接続し、回路基板1上の電極とハウジング3と一体に形成されたコネクタ6の電極との電気的接続手段を備え、ハウジング上部にカバー10を接着してケーシングした。さらに、ケース13の一面とハウジング3に接着するカバー10の表面とを接合剤で接続する。さらにケース13は金属材料で形成することが好ましい。なお、金属のケース13の開口部は、回路基板1の表面に設けた図示していないパッドなどにはんだ材や接着剤で固定する。このような構成により、回路基板1のセンサ搭載部の剛性を部分的に高くすることができ、外部から印加された振動に起因して発生するこの部分の基板変形を抑え、センサの出力誤差を抑制することが可能となる。また、金属のケース13で慣性力検出センサ2の周囲を覆うことによって、電磁ノイズに対する耐性も向上することができる。
1…回路基板
2…慣性力検出センサ
3…ハウジング
4…電子部品
5…樹脂
6…コネクタ
7…コネクタ端子
8…アルミワイヤ
9…接着剤
10…カバー
11…ブラケット
12…基板搭載部
13…ケース
14…はんだ
2…慣性力検出センサ
3…ハウジング
4…電子部品
5…樹脂
6…コネクタ
7…コネクタ端子
8…アルミワイヤ
9…接着剤
10…カバー
11…ブラケット
12…基板搭載部
13…ケース
14…はんだ
Claims (5)
- 加速度および角速度を検出する慣性力検出センサと、
前記慣性力検出センサおよび電子部品を実装する回路基板と、
前記回路基板を固定するハウジングと、を有し、
前記回路基板は、前記ハウジングの底部と前記回路基板との空間に樹脂を充填することで前記ハウジングに接着固定され、
前記回路基板の端部は、前記ハウジングに設けられた固定部と接合剤によって固定され、
前記ハウジングは、開口部が設けられており、前記開口部を覆うようにカバーが接着により固定されることを特徴とする慣性力センサ装置。 - 前記樹脂は、前記回路基板および前記ハウジングを形成する材質の線膨張係数と同等であり、フィラーが充填されたエポキシ接着剤であることを特徴とする請求項1に記載の慣性力センサ装置。
- 前記接着剤は、前記回路基板および前記ウジングを形成する材質の線膨張係数と同等であり、フィラーを充填されたエポキシ接着剤であることを特徴とする請求項1に記載の慣性力センサ装置。
- 前記ハウジングの底面には、前記慣性力検出センサの投影面積とほぼ同サイズの基板搭載部が設けられ、
前記回路基板のうち前記慣性力検出センサの非搭載面と前記基板搭載部を接合材で接続したことを特徴とする請求項1に記載の慣性力センサ装置。 - 前記回路基板の表面に前記慣性力検出センサの上面および側面を囲み一面が開口したケースが備えられ、
前記ケースの開口の端部を前記回路基板の表面に接合剤で接続し、
前記回路基板の周辺部をハウジングに設けた固定部に接合剤で接続することを特徴とする請求項1に記載の慣性力センサ装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013233615A JP2015094645A (ja) | 2013-11-12 | 2013-11-12 | 慣性力センサ装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2013233615A JP2015094645A (ja) | 2013-11-12 | 2013-11-12 | 慣性力センサ装置 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017049122A (ja) * | 2015-09-02 | 2017-03-09 | セイコーエプソン株式会社 | センサーユニット、電子機器、および移動体 |
JP2019103328A (ja) * | 2017-12-06 | 2019-06-24 | 日本電産トーソク株式会社 | 電動アクチュエータ |
JP2021009045A (ja) * | 2019-06-28 | 2021-01-28 | 株式会社東芝 | 振動検出装置 |
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2013
- 2013-11-12 JP JP2013233615A patent/JP2015094645A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2017049122A (ja) * | 2015-09-02 | 2017-03-09 | セイコーエプソン株式会社 | センサーユニット、電子機器、および移動体 |
CN113340290A (zh) * | 2015-09-02 | 2021-09-03 | 精工爱普生株式会社 | 传感器单元、电子设备以及移动体 |
CN113340290B (zh) * | 2015-09-02 | 2024-01-05 | 精工爱普生株式会社 | 传感器单元、电子设备以及移动体 |
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