JP2015092189A - 回転角度測定装置及び回転角度測定方法 - Google Patents

回転角度測定装置及び回転角度測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】回転移動軸の回転角度の割り出し精度を向上させるとともに、回転移動軸に対する取り付け作業を簡単に行うことを可能とする回転角度測定装置及び回転角度測定方法を提供する。
【解決手段】回転を一定範囲内としたエンコーダ本体26と、エンコーダ本体26に対し全周回転自在に軸支された駆動するエンコーダ軸22との相対的な回転角度を検出するロータリエンコーダ12(相対角度検出手段)と、エンコーダ軸22及びエンコーダ本体26から切り離された位置からエンコーダ本体26の回転軸に対して垂直方向にレーザ光を照射することによりエンコーダ本体26の位置を確認するレーザ干渉ユニット40(レーザ干渉式位置確認手段)とを備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、回転角度測定装置及び回転角度測定方法に係り、特に、工作機械の回転移動軸の回転角度の割り出し精度を向上させることが可能な回転角度測定装置及び回転角度測定方法に関する。
従来より、工作機械の回転移動軸の回転角度を測定する方法として、例えば、旋盤の主軸やマシニングセンタの回転テーブルなどの回転移動軸に多面鏡を固定し、回転移動軸を多面鏡の分割角度に相当する角度ずつ割り出して、ある一定の方向を向いた反射鏡からの反射光の振れを、例えばオートコリメータなどで計測する方法(以下、「多面鏡を用いる方法」という。)が知られている。
多面鏡を用いる方法では、測定できる角度が多面鏡の分割角度によって決定される。例えば6面鏡であれば60度毎、8面鏡であれば45度毎に測定することになる。より細かく設定する場合は面数を増す必要があるが、多面鏡が高価になるという問題があり、実施は難しい。このように多面鏡を用いる方法では測定は比較的容易であるが、細かく設定するには問題がある。
かかる問題に対して、ハースカップリングを用いる方法が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。この方法では、ハースカップリングが取り付けられた工作機械の回転移動軸を所定の単位角度で回転し、ハースカップリングの結合を外した後に単位角度の分だけハースカップリングを逆回転し、レーザ干渉計で測定された回転角度の合計が回転移動軸の目標変位角度となるまでハースカップリングの正転及び逆転が繰り返される。
特表平6−502727号公報
しかしながら、ハースカップリングを用いる方法では、回転移動軸の目標変位角度となるまでハースカップリングの正転及び逆転を繰り返す首振り動作が必要であるため、全体の測定時間が長くなる問題がある。また、角度測定の精度がハースカップリングの歯の分解能に依存するとともに、正回転及び逆回転の繰り返し時にハースカップリングの歯で伝達誤差が発生するので、測定精度の向上には限界がある。
これに対して、工作機械の回転移動軸の回転角度を測定する手段としてロータリエンコーダを用いる方法が考えられる。ロータリエンコーダは、回転移動軸に取り付けられるエンコーダ軸に同軸状態で固定された目盛板を備える。目盛板の周囲には周方向に沿って等角度間隔で目盛が刻まれており、回転移動軸と共に回転する目盛板の目盛を光学的又は磁気的な手段で読み取り、その回転角度に応じた回転角度データを電気信号に変換して出力する。この方法によれば、目盛板の目盛の分解能を高めることにより、回転移動軸の回転角度を高精度に測定することが可能となる。また、ハースカップリングを用いる方法のような首振り動作が不要であり、全体の測定時間を短縮化することが可能となる。
しかしながら、ロータリエンコーダを用いる方法では、回転移動軸とエンコーダ軸との間に軸ずれ(軸偏心)がある状態で測定が行われると、エンコーダ軸と共に回転する目盛板は中心から偏心した位置を回転中心として回転することになる。このため、ロータリエンコーダから出力される回転角度データには、例えば図13に示すように、回転移動軸の1周分、すなわち、360度の範囲にわたってエンコーダ軸の軸偏心に起因した角度誤差(偏心誤差)が発生することになり、測定精度の低下を招く要因となる。
したがって、ロータリエンコーダを用いて回転移動軸の回転角度を高精度に測定するためには、軸偏心が生じないようにエンコーダ軸を回転移動軸に精密に取り付ける作業が必要となる。しかし、このような取り付け作業は作業者にとって大きな負担となり、作業効率の低下を招く要因となる。このため、実際にはある程度の偏心誤差が含まれた状態でエンコーダ軸を取り付けざるを得ないが、かかる場合には、上述のとおり、ロータリエンコーダから出力される回転角度データには偏心誤差が含まれることになってしまい、高精度な測定を妨げる要因となっている。
また、ロータリエンコーダから出力される回転角度データには、図13の下段に一部を拡大して示すように、回転移動軸の1周分の周期にわたって発生する偏心誤差だけでなく、それよりも短い周期で発生する内挿誤差が含まれている。このような内挿誤差が発生する要因としては、回転移動軸を回転させるための歯車の形状誤差がある。すなわち、回転移動軸には、モータから出力される回転駆動力を伝達するために歯車が設けられるが、製造上、歯車の各歯には少なからず形状誤差が存在する。このため、歯車の一歯あたりの回転角度(回転ピッチ)を周期とする内挿誤差が発生する要因となる。例えば、360歯からなる歯車の場合には、一歯あたりの回転角度(回転ピッチ)は1度となるが、この回転ピッチに相当する周期で内挿誤差が発生する。また、各種要因によって局所的な誤差が発生することもある。このような誤差は、回転移動軸の回転角度の割り出し精度の低下を招く要因となっている。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、回転移動軸の回転角度の割り出し精度を向上させるとともに、回転移動軸に対する取り付け作業を簡単に行うことができる回転角度測定装置及び回転角度測定方法を提供することを目的とする。
本発明に係る回転角度測定装置は、上記目的を達成するために、回転を一定範囲内とした支持基準体と、支持基準体に対し全周回転自在に軸支された駆動する回転体との相対的な回転角度を検出する相対角度検出手段と、回転体及び支持基準体から切り離された位置から支持基準体の回転軸に対して垂直方向にレーザ光を照射することにより支持基準体の位置を確認するレーザ干渉式位置確認手段と、を備える。
本発明によれば、相対角度検出手段によって支持基準体に対する回転体の相対的な回転角度が検出される際、回転体と共に支持基準体が回転してしまう場合でも、支持基準体の位置はレーザ干渉式位置確認手段によって確認することができるので、回転体の回転角度を正確に求めることが可能となる。したがって、回転移動軸の回転角度の割り出し精度が向上するとともに、回転移動軸に対する取り付け作業を簡単に行うことが可能となる。
本発明に係る回転角度測定装置では、相対角度検出手段が検出した回転角度を、レーザ干渉式位置確認手段で検出した支持基準体の位置に基づいて補正する補正手段を備えることが好ましい。
上記態様によれば、支持基準体の回転に伴って発生する誤差を補正することが可能となる。
本発明に係る回転角度測定装置では、相対角度検出手段は、回転体の回転に伴って周期的に発生する周期誤差の発生周期よりも小さな回転角度毎に回転体の相対的な回転角度を検出することが好ましい。
上記態様によれば、回転体の回転に伴って周期的に発生する周期誤差(例えば、内挿誤差)を補正することが可能となる。
本発明に係る回転角度測定装置では、レーザ干渉式位置確認手段は、相対角度検出手段による相対的な回転角度の検出と同時に支持基準体の位置を確認することが好ましい。
上記態様によれば、レーザ干渉式位置確認手段は、相対角度検出手段による相対的な回転角度の検出と同時に支持基準体の位置を確認するので、回転体の回転状態に左右されることなく、支持基準体の回転に伴って発生する誤差をより正確に補正することが可能となる。
本発明に係る回転角度測定装置では、相対角度検出手段は、ロータリエンコーダであることが好ましい。
上記態様によれば、支持基準体に対する回転体の相対的な回転角度を、回転体の回転可能な全範囲にわたって安定して求めることが可能となる。
本発明に係る回転角度測定方法は、上記目的を達成するために、回転を一定範囲内とした支持基準体に対し全周回転自在に軸支された回転体の相対的な回転角度を検出する相対角度検出ステップと、回転体及び支持基準体から切り離された位置から支持基準体の回転軸に対して垂直方向にレーザ光を照射することにより支持基準体の位置を確認するレーザ干渉式位置確認ステップと、を含む。
本発明によれば、支持基準体に対する回転体の相対的な回転角度が検出される際、回転体と共に支持基準体が回転してしまう場合でも、支持基準体の位置はレーザ干渉式位置確認ステップによって確認することができるので、回転体の回転角度を正確に求めることが可能となる。したがって、回転移動軸の回転角度の割り出し精度が向上するとともに、回転移動軸に対する取り付け作業を簡単に行うことが可能となる。
本発明に係る回転角度測定方法では、相対角度検出ステップで検出した回転角度を、レーザ干渉式位置確認ステップで検出した支持基準体の位置に基づいて補正する補正ステップを含むことが好ましい。
上記態様によれば、支持基準体の回転に伴って発生する誤差を補正することが可能となる。
本発明に係る回転角度測定方法では、相対角度検出ステップは、回転体の回転に伴って周期的に発生する周期誤差の発生周期よりも小さな回転角度毎に回転体の相対的な回転角度を検出することが好ましい。
上記態様によれば、回転体の回転に伴って周期的に発生する周期誤差(例えば、内挿誤差)を補正することが可能となる。
本発明に係る回転角度測定方法では、レーザ干渉式位置確認ステップは、相対角度検出ステップによる相対的な回転角度の検出と同時に支持基準体の位置を確認することが好ましい。
上記態様によれば、レーザ干渉式位置確認ステップは、相対角度検出手段による相対的な回転角度の検出と同時に支持基準体の位置を確認するので、回転体の回転状態に左右されることなく、支持基準体の回転に伴って発生する誤差をより正確に補正することが可能となる。
本発明によれば、回転移動軸の回転角度の割り出し精度が向上するとともに、回転移動軸に対する取り付け作業を簡単に行うことが可能となる。
図1は、第1発明の実施形態に係る回転角度測定装置の構成を示した全体構成図である。 図2は、ロータリエンコーダの構成を示した断面図である。 図3は、反射ユニットとレーザ干渉ユニットとの配置関係を示した概略図である。 図4は、エンコーダ本体が回転したときの様子を示した概略図である。 図5は、データ処理装置の構成を示した機能ブロック図である。 図6は、エンコーダ軸とエンコーダ本体との相対的な位置関係を示した概略図であり、(A)は初期位置、(B)から(E)は、それぞれ回転角度θが90度、180度、270度及び360度の場合を示す。 図7は、第1発明の実施形態に係る回転測定方法の手順の一例を示したフローチャート図である。 図8は、第2発明の実施形態に係る回転測定方法の手順の一例を示したフローチャート図である。 図9は、内挿誤差の測定処理を示したフローチャート図である。 図10は、各測定点で得られた内挿誤差から内挿誤差補正用の補正データが作成される様子を示した概略図である。 図11は、第3発明の実施形態に係るデータ処理装置の構成を示した機能ブロック図である。 図12は、第3発明の実施形態に係る回転測定方法の手順の一例を示したフローチャート図である。 図13は、ロータリエンコーダから出力される回転角度データに角度誤差が含まれる様子を示した図である。
<第1発明>
以下、添付図面に従って第1発明の好ましい実施の形態について説明する。
図1は、第1発明に係る回転角度測定装置の構成例を示した全体概略図である。また、図2は、ロータリエンコーダの内部構造を示した断面図である。
図1に示すように、回転角度測定装置10は、工作機械の回転移動軸(被検出移動回転軸)20の回転角度を測定するロータリエンコーダ12と、ロータリエンコーダ12上に配置される反射ユニット38と、ロータリエンコーダ12とは独立した部分に固定されるレーザ干渉ユニット40と、ロータリエンコーダ12及びレーザ干渉ユニット40が接続されるデータ処理装置18と、から主に構成される。なお、データ処理装置18は、回転移動軸20の回転制御を行う制御装置90との間で各種データの送受信が行われるようになっている。
図1及び図2に示すように、ロータリエンコーダ12は、回転移動軸20に連結されるエンコーダ軸22と、エンコーダ軸22を回転自在に軸支するエンコーダ本体26とから主に構成される。
エンコーダ軸22の一端(図2の左端)には、エンコーダ本体26の外部に配置された大径部23が設けられている。大径部23は、回転移動軸20をエンコーダ軸22に連結するための取付部であり、ねじなどの固定手段によって回転移動軸20が大径部23に固定される。
エンコーダ軸22は、エンコーダ本体26の内部に設けられる軸受24を介して回転自在に構成されている。すなわち、回転移動軸20にエンコーダ軸22が連結された状態で回転移動軸20が回転すると、エンコーダ軸22が回転移動軸と一体となって回転する。また、エンコーダ本体26は、エンコーダ軸22の周りで回転自在に構成されており、後述するように回転止治具16によって回転可能範囲が所定範囲に規制されている。
エンコーダ軸22には、図2に示すように、目盛板34が同軸状態で固定されている。目盛板34は、エンコーダ本体26の内部に配置されており、目盛板34の周囲には周方向に沿って所定の角度間隔で複数の目盛が刻まれている。また、目盛板34の外周部には、目盛板34を挟み込むように配置されたU字状の読み取りヘッド36が設けられている。読み取りヘッド36は、目盛板34の目盛を光学的又は磁気的に読み取る検出センサを備え、目盛板34の回転角度(回転変位量)を示す回転角度データをデータ処理装置18に対して出力する。なお、読み取りヘッド36は、エンコーダ本体26の内部に固定されており、エンコーダ本体26と一体となって回転する。
エンコーダ本体26の外周面には、径方向外側に向かって伸びる棒状のアーム部材28が設けられている。すなわち、アーム部材28は、エンコーダ本体26からエンコーダ軸22に対して垂直な方向に突設されている。なお、アーム部材28が設けられる方向は、エンコーダ軸22に対して垂直な方向な方向に限らず、所定角度斜めに傾いた方向であってもよい。アーム部材28は、回転止治具16の先端に所定の間隔をあけて並設される一対の回転規制部材38A、38Bの間に介挿されており、エンコーダ本体26の回転可能範囲は所定範囲に規制されている。なお、回転止治具16は、エンコーダ本体26とは異なる部分に固定されている。
図3は、反射ユニット38とレーザ干渉ユニット40との配置関係を示した概略図である。図3に示すように、エンコーダ本体26上に固定されている反射ユニット38には、2個のコーナーキューブ42A、42Bが並べて配設されている。各コーナーキューブ42A、42Bは、後述するレーザ干渉ユニット40の光ヘッド44から平行に照射された第1及び第2のレーザ光を逆方向に反射する反射部材である。反射ユニット38は、エンコーダ本体26と一体となって回転する。すなわち、エンコーダ本体26の回転角度は反射ユニット38の回転角度と等しく、例えば図4に示すように、エンコーダ本体26が反時計方向にα(但し、α>0とする。)度回転すると、反射ユニット38も反時計方向にα度だけ回転する。
図3に示すように、レーザ干渉ユニット40は、反射ユニット38に対向する位置に配置される光ヘッド(角度測定干渉ヘッド)44と、光ヘッド44に第1の光ファイバ48Aを介して接続されるレーザ光源50と、光ヘッド44に第2の光ファイバ48Bを介して接続される光検出器46と備えて構成される。
レーザ光源50としては、波長安定性に優れたHe−Neレーザ光源が好適であるが、波長安定化が行われなくても、測定精度に大きな影響は大きな影響を与えないことから、他のレーザ光源を用いることも可能である。
光ヘッド44には偏光ビームスプリッタ52及び直角プリズム54が隣接して配置されている。レーザ光源50から発光されたレーザ光は、第1の光ファイバ48Aを介して光ヘッド44に入射されると、まず始めに、偏光ビームスプリッタ52に入射され、偏光ビームスプリッタ52で2つのレーザ光に分割される。分割された一方のレーザ光(第1のレーザ光)は、第1のコーナーキューブ42Aに入射して逆方向に戻り、再び偏光ビームスプリッタ52に入射する。分割されたもう一方のレーザ光(第2のレーザ光)は、直角プリズム54で反射され、第1のレーザ光の光軸と平行な平行光となって第2のコーナーキューブ42Bに入射して逆方向に戻り、再び直角プリズム54及び偏光ビームスプリッタ52で反射されて、第1のコーナーキューブ42Aで反射された光と干渉し、干渉したレーザ光(干渉光)は第2の光ファイバ48Bを介して光検出器46に対して出力される。
光検出器46は、光ヘッド44から出力される干渉光に基づき、各コーナーキューブ42A、42Bで反射されて戻ってきた光(第1及び第2のレーザ光)の光路長差(位相差)を検出し、検出した光路長差を示す光路長差データをデータ処理装置18に対して出力する。なお、光路長差の検出原理は公知であるため、ここでは詳しい説明を省略するが、エンコーダ本体26の微小な回転運動に伴って反射ユニット38の回転角度が変化すると、第1のコーナーキューブ42Aで反射されて戻る経路と第2のコーナーキューブ42Bで反射されて戻る経路の光路長が変化する。このとき、干渉光の縞数が変化するので、この干渉光の縞数の変化をカウントすることにより、第1及び第2のレーザ光の光路長差を求めることができる。
また、光路長差の検出方式としては、例えば、マイケルソン干渉計によるフリンジカウント方式やヘテロダイン方式などを用いることが可能である。ヘテロダイン方式の場合、レーザ光源50は直交2周波の必要があり、例えば、ゼーマンレーザやAOM(音響光学素子)が使われる。
図5は、データ処理装置18の構成を示した機能ブロック図である。図5に示すように、データ処理装置18は、入出力IF56、メモリ58、制御部60、及びデータ処理部62を備えて構成される。
入出力IF56は、操作者による入力操作に用いられるキーボードやマウス、タッチパネルなどの入力装置72や各種情報の表示出力に用いられるモニタやプリンタなどの出力装置74との間でデータ入出力を行うためのインターフェースである。
メモリ58は、データ処理装置18の各部を動作させるためのプログラムや各種データが記憶される記憶部であり、ROMやRAMなどにより構成される。制御部60は、データ処理装置18の各部の制御を行う。
データ処理部62は、回転移動軸20の回転角度の補正データを生成するための処理部であり、エンコーダ軸回転角度算出部64、エンコーダ本体回転角度算出部66、回転角度補正部68、及び補正データ生成部70を備えて構成される。
エンコーダ軸回転角度算出部64は、ロータリエンコーダ12(読み取りヘッド36)から出力された回転角度データを取得し、取得した回転角度データに基づいてエンコーダ軸22の回転角度θ1を算出する。エンコーダ軸回転角度算出部64で算出された回転角度θ1は、回転角度補正部68に対して出力される。
エンコーダ本体回転角度算出部66は、レーザ干渉ユニット(光検出器46)から出力された光路長差データを取得し、取得した光路長差データに基づいてエンコーダ本体26の回転角度θ2を算出する。エンコーダ本体回転角度算出部66で算出された回転角度θ2は、回転角度補正部68に対して出力される。
回転角度補正部68は、エンコーダ本体回転角度算出部66で算出された回転角度θ2に基づいて、エンコーダ軸回転角度算出部64で算出された回転角度θ1を補正する。具体的には、回転角度θ1に回転角度θ2を加算することにより、回転角度θ1の補正を行う。回転角度補正部68で補正された補正後の回転角度(補正回転角度)θ1´は、補正データ生成部70に対して出力される。
補正データ生成部70は、回転角度補正部68から出力された補正回転角度θ1´に基づいて、回転移動軸20の回転角度(設定角度)と実際の回転角度(補正回転角度θ1´)との誤差が打ち消されるように補正データを生成する。補正データ生成部70で生成された補正データは、工作機械の制御装置90又は出力装置74に対して出力される。
なお、補正データ生成部70は、制御装置90から補正データを回転角度の補正量に変換するための換算係数を取得し、取得した換算係数に応じて補正データを生成する。例えば回転角度の補正量が1度である場合、補正データ生成部70は、制御装置90から取得した換算係数が0.1のときは補正データとして10を出力し、換算係数が1のときは補正データとして1を出力する。
ここで、本実施形態で行われる回転角度の補正原理について説明する。
図6は、エンコーダ軸22とエンコーダ本体26との相対的な位置関係を示した概略図である。ここでは、図6に示すように、エンコーダ軸22の中心Oから所定距離離れた位置に回転中心Cが配置されるものとする。なお、回転中心Cは回転移動軸20の軸心と一致している。また、図6中の(A)の状態を初期位置とし、そのときの回転移動軸20の回転角度θを0度とする。回転角度θは、反時計周り方向を正方向、その反対側の時計周り方向を負方向とする。
まず、回転移動軸20が初期位置から90度回転したとき、図6中の(B)に示すように、エンコーダ軸22の中心Oは回転中心Cに対して上側に移動する。このとき、エンコーダ本体26は、アーム部材28の先端部分が回転止治具16の一対の回転規制部材38A、38Bによって(図6における上下方向の)動きが規制されているので、その先端部分を中心として振り子のように時計周り方向に微小角度回転する。これにより、エンコーダ本体26は中心Oの周りを−α度だけ回転した位置に移動する。このため、ロータリエンコーダ12(読み取りヘッド36)からは、エンコーダ軸22が実際に回転した回転角度よりもα度だけ多い回転角度、すなわち、(90+α)度を示す回転角度データが出力される。
次に、回転移動軸20が初期位置から180度回転したとき、図6中の(C)に示すように、エンコーダ軸22の中心Oは回転中心Cに対して左側に移動する。この移動に伴って、エンコーダ本体26は初期位置と同じ状態(図6中の(A)の状態)となる。したがって、ロータリエンコーダ12からは、エンコーダ軸22が実際に回転した回転角度、すなわち、180度を示す回転角度データが出力される。
次に、回転移動軸20が初期位置から270度回転したとき、図6中の(D)に示すように、エンコーダ軸22の中心Oは回転中心Cに対して下側に移動する。この移動に伴って、エンコーダ本体26は、アーム部材28の先端部分を中心として反時計周り方向に微小角度回転する。これにより、エンコーダ本体26は中心Oの周りをα度だけ回転した位置に移動する。このため、ロータリエンコーダ12からは、エンコーダ軸22が実際に回転した回転角度よりもα度だけ少ない回転角度、すなわち、(270−α)度を示す回転角度データが出力される。
次に、回転移動軸20が初期位置から360度回転したとき、図6中の(E)に示すように、エンコーダ本体26は初期位置と同じ状態(図6中の(A)の状態)となる。したがって、ロータリエンコーダ12からは、エンコーダ軸22が実際に回転した回転角度、すなわち、360度を示す回転角度データが出力される。
本実施形態では、回転移動軸20に対してエンコーダ軸22が軸ずれした状態で連結されたとき、ロータリエンコーダ12から出力される回転角度データに含まれる偏心誤差はエンコーダ本体26の回転角度から求めることが可能となる。したがって、エンコーダ本体26の回転角度に基づいてエンコーダ軸22の回転角度を補正することにより、エンコーダ軸22の軸偏心に起因する偏心誤差の影響をキャンセルすることができ、エンコーダ軸22の回転角度を精度良く検出することが可能となる。
次に、本実施形態の回転角度測定装置10を用いた回転角度測定方法について説明する。図7は、本実施形態の回転角度測定方法の手順の一例を示したフローチャート図である。
まず始めに、回転角度測定装置10を用いて測定を行うための準備作業を行う(ステップS10)。具体的には、回転移動軸20に対してエンコーダ軸22を連結する。また、エンコーダ本体26上に反射ユニット38を取り付け、これに対向する位置に光ヘッド44を固定する。光ヘッド44には、第1及び第2の光ファイバ48A、48Bを介してレーザ光源50及び光検出器46を接続する。そして、ロータリエンコーダ12及びレーザ干渉ユニット40を不図示のケーブルを介してデータ処理装置18に接続する。また、エンコーダ本体26の外周面から突設されるアーム部材28を回転止治具16の一対の回転規制部材38A、38Bの間に介挿する。
次に、データ処理装置18の電源をオンにして、回転角度測定用プログラムを起動する(ステップS12)。その際、データ処理装置18以外の各部の電源もオンにして、測定を開始できる状態にしておく。
次に、回転角度の測定条件の設定を行う(ステップS14)。具体的には、回転角度の測定条件として、計測開始位置、計測終了位置、計測間隔、データ取得方法などを設定する。例えば、計測開始位置を0度、計測終了位置を360度、計測間隔を45度として設定した場合、回転移動軸20の1周分、すなわち360度の範囲にわたって45度毎に9個の測定点が計測位置となる。また、計測間隔の代わりに測定点の個数を入力してもよいし、各測定点の位置を示す回転角度を直接入力できるようにしてもよい。データ取得方法としては、各測定点の測定回数や各測定点の移動シーケンス(測定開始位置から測定終了位置に向かう方向選択や繰り返し方法)などが含まれる。これらの測定条件は、データ処理装置18に接続される入力装置72から入力される。
次に、回転移動軸20を計測開始位置まで回転させる(ステップS16)。続いて、回転移動軸20が停止したか否か判断が行われ(ステップS18)、回転移動軸20が停止したと判断されるまで待機状態となる。回転移動軸20が停止したと判断された場合には、次のステップS20及びステップS24に進む。
回転移動軸20が停止した後、エンコーダ軸回転角度算出部64は、ロータリエンコーダ12から出力される回転角度データを取得し(ステップS20)、取得した回転角度データに基づいてエンコーダ軸22の回転角度θ1を算出する(ステップS22)。
また、ステップS20及びステップS22の各処理と並行して、エンコーダ本体回転角度算出部66は、光検出器46から出力される光路長差データを取得し(ステップS24)、取得した光路長差データに基づいてエンコーダ本体26の回転角度θ2を算出する(ステップS26)。
このとき、エンコーダ本体26の回転角度θ2の算出方法としては、図4に示すように、2個のコーナーキューブ42A、42Bの間隔(中心間距離)をLとし、レーザ干渉ユニット40(光検出器46)で検出された光路長差をxとしたとき、次式(1)によって求められる。
θ2=sin-1(x/2L) ・・・(1)
なお、光路長差xは2Lに比べて十分に小さいことから、次式(2)を用いてもよい。
θ2≒x/2L ・・・(2)
次に、回転角度補正部68は、ステップS26で算出されたエンコーダ本体26の回転角度θ2に基づき、ステップS22で算出されたエンコーダ軸22の回転角度θ1を補正する(ステップS30)。具体的には、エンコーダ軸22の回転角度θ1にエンコーダ本体26の回転角度θ2を加算することにより、エンコーダ軸22の軸偏心に起因する偏心誤差が取り除かれた補正後の回転角度θ1´を算出する。
次に、全ての測定点の測定が指定回数行われたか否かが判断される(ステップS32)。全ての測定点の測定が指定回数行われていない場合には、ステップS14で設定されたデータ取得条件に従って回転移動軸20を次の測定点まで回転させる(ステップS34)。そして、全ての測定点の測定が指定回数行われるまでステップS18以降の処理を繰り返す。ステップS32にて全ての測定点の測定が指定回数行われたと判断された場合には、次のステップS36に進む。
次に、補正データ生成部70は、各測定点の回転角度(設定角度)とステップS30で算出された補正回転角度θ1´との誤差を算出し、この誤差が打ち消されるように回転角度の補正量を示す補正データを生成し(ステップS36)、工作機械の制御装置90又は出力装置74に補正データを出力する(ステップS38)。
本実施形態によれば、エンコーダ軸22が軸ずれした状態で取り付けられた場合でも、エンコーダ本体26の回転角度を検出することにより、ロータリエンコーダ12によって検出された回転角度に含まれる偏心誤差を取り除くことが可能となる。
特に本実施形態では、レーザ干渉ユニット40を用いてエンコーダ本体26の回転角度が検出されるため、回転移動軸20に対するエンコーダ軸22の軸ずれが微量である場合でも、エンコーダ本体26の微小な回転角度を高精度に検出することができるので、偏心誤差を確実に取り除くことができる。その結果、回転移動軸20の回転角度の割り出し精度を向上させることができる。
また、本実施形態では、ロータリエンコーダ単独で測定が行われる場合に比べて、回転移動軸20に対するエンコーダ軸22の許容偏心量(最大偏心量)が大きくなるので、ロータリエンコーダ12の取り付け作業が簡単となり、作業者の負担が大幅に軽減し、作業効率が向上する。
また、本実施形態では、エンコーダ本体26の回転可能範囲は、レーザ干渉ユニット40によってエンコーダ本体26の回転角度を精度良く検出できる範囲(例えば±10度前後)に制限されることが好ましい。なお、エンコーダ本体26の回転可能範囲は、回転止治具16に設けられる一対の回転規制部材38A、38Bの間隔を調整することによって変化させることができる。これにより、エンコーダ本体26の回転角度を高精度に検出することができ、偏心誤差を確実に取り除くことが可能となる。
なお、本実施形態では、エンコーダ本体26の絶対的な回転角度を検出する手段として、レーザ干渉ユニット40を用いているが、これに限定されず、補正対象となる誤差の大きさ(オーダ)に応じて各種方式(例えば、水準器やオートコリメータなど)を適宜採用することができる。但し、本実施形態の如く、レーザ干渉ユニット40を用いてエンコーダ本体26の回転角度を検出する態様が好ましく、偏心誤差や初期オフセット誤差の影響を受けることなく、回転移動軸20の回転角度の割り出し精度を向上させることができる。
<第2発明>
次に、第2発明の実施形態について説明する。以下、上述した実施形態と共通する部分については説明を省略し、本実施形態の特徴的部分を中心に説明する。
図8は、第2発明の実施形態に係る回転角度測定方法の手順の一例を示したフローチャート図である。図8中、図7と共通する処理には同一の符号を付し、その説明を省略する。なお、図8に示したフローチャートは、第1発明の実施形態で示した回転角度測定装置10を用いて行われる。
図8に示すように、本実施形態では、ステップS26で算出されたエンコーダ本体26の回転角度θ2に基づいてステップS22で算出されたエンコーダ軸22の回転角度θ1を補正した後(ステップS30)、現在の測定点の周辺部を計測対象とした内挿誤差測定が行われる(ステップS40)。
ここで、ステップS40で行われる内挿誤差測定について説明する。図9は、内挿誤差測定で行われる処理内容を示したフローチャート図である。
まず始めに、内挿誤差の測定処理が開始されると、回転移動軸20を微小角度回転させる(ステップS42)。ここでは、回転移動軸20を回転させることが可能な最小単位角度だけ回転させる。なお、ステップS42で回転させる微小角度は、最小単位角度に限定されず、少なくとも内挿誤差の周期、すなわち、回転移動軸20に設けられている歯車の一歯あたりの回転角度(回転ピッチ)よりも小さい角度であればよく、内挿誤差の周期の4分の1以下の角度であることが好ましい。
ステップS44からステップS54までの処理については、図7及び図8に示したステップS18からステップS30までの処理と同様にして行われる。すなわち、回転移動軸20が停止した後、ロータリエンコーダ12及びレーザ干渉ユニット40から取得した回転角度データ及び光路長差データに基づいてエンコーダ軸22の回転角度θ1及びエンコーダ本体26の回転角度θ2を算出し、エンコーダ本体26の回転角度θ2に基づいてエンコーダ軸22の回転角度θ1の補正を行う(ステップS44〜S56)。
次に、内挿誤差測定が終了したか否かが判断される(ステップS58)。ここでは、内挿誤差測定が開始された位置(測定点)から現在の位置までの回転範囲が所定の閾値を超えているか否かを判断することにより、内挿誤差測定が終了したか否かを判断する。このとき、判断の基準となる閾値(角度範囲)は、検出対象とする内挿誤差の周期と等しいか、それよりも広い範囲とする。なお、閾値を大きく設定しすぎると内挿誤差の測定に要する時間が長くなることから、内挿誤差の周期に応じて適正な範囲に設定することが望ましい。
内挿誤差測定が終了していないと判断される場合には、ステップS42に戻って回転移動軸20を微小角度回転させた後、ステップS44以降の処理を繰り返す。一方、内挿誤差測定が終了したと判断される場合には、図8のステップS32に戻る。
図8のステップS32では、全ての測定点の測定が指定回数行われるまでステップS18からステップS40までの処理が繰り返される(ステップS32)。これにより、例えば図10の上段に示すように、各測定点毎に測定された内挿誤差が得られる。なお、図10では、45度毎に設定された複数の測定点(0度、45度、90度、135度)の周辺部で測定された内挿誤差を一例として示している。
次に、補正データ生成部70は、第1の実施形態と同様にして各測定点の回転角度(設定角度)とステップS30で算出された補正回転角度θ1´との誤差を算出し、この誤差が打ち消されるように回転角度の補正量を示す補正データを生成する(ステップS36)。
その際、補正データ生成部70は、各測定点で得られた内挿誤差に基づいて、内挿誤差がキャンセルされるように補正データを生成する。具体的には、例えば図10の下段に示すように、各測定点で得られた内挿誤差の平均値を内挿誤差補正値として内挿誤差の周期毎に補正データに反映させる。
そして最後に、工作機械の制御装置90又は出力装置74に補正データを出力する(ステップS38)。
以上のとおり、本実施形態によれば、回転移動軸20に対してエンコーダ軸22が軸ずれした状態で連結される場合でも、軸ずれに起因する偏心誤差の影響を受けることなく、回転移動軸20に設けられる歯車に起因する内挿誤差を精度良く測定することができる。これにより、内挿誤差を補正するための補正データを生成することが可能となり、この補正データを用いて回転移動軸20の回転角度を補正することにより、内挿誤差の影響を受けることなく、回転移動軸20の回転角度の割り出し精度を向上させることが可能となる。また、ロータリエンコーダ12の簡単な取り付けが可能となる。
なお、本実施形態では、ステップS14で設定された全ての測定点を対象にして内挿誤差の測定が行われているが、これに限らず、これらの測定点のうち一部の測定点を対象にして内挿誤差を測定するようにしてもよい。
<第3発明>
次に、第3発明の実施形態について説明する。以下、上述した各実施形態と共通する部分については説明を省略し、本実施形態の特徴的部分を中心に説明する。
第1及び第2発明の実施形態では、回転移動軸20の回転が停止してから回転角度を測定する静的測定(スタッティック測定)が行われるのに対し、第3発明の実施形態では、回転移動軸20を一定の回転速度で等速回転させながら所定の時間間隔毎に回転角度を検出する動的測定(ダイナミック測定)が行われる。
図11は、第3発明の実施形態に係るデータ処理装置18の構成を示した機能ブロック図である。図11中、図5と共通する構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図11に示すように、データ処理装置18は、同期信号を生成する同期信号を生成する同期信号生成部76を備えている。同期信号生成部76の同期信号の発生回数、発生間隔などは制御部60により制御される。同期信号生成部76で生成された同期信号は、ロータリエンコーダ12及びレーザ干渉ユニット40に対して出力される。
図12は、第3発明の実施形態に係る回転角度測定方法の手順の一例を示したフローチャート図である。図12中、図7又は図8と共通する処理には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図12に示すように、回転移動軸20を計測開始位置まで回転させた後(ステップS16)、回転移動軸20の回転を開始する(ステップS50)。このとき、回転移動軸20を一定の回転速度で等速回転させる。また、同期信号生成部76は、ロータリエンコーダ12及びレーザ干渉ユニット40に対して同期信号を出力する。なお、同期信号生成部76では、所定の時間間隔毎に検出タイミングを示す同期信号が生成される。
次に、ロータリエンコーダ12及びレーザ干渉ユニット40は、同期信号生成部76から出力された同期信号に基づいて、所定時間が経過するまで待機した後(ステップS52)、同一タイミングで回転角度及び光路長差の検出を行い、これらに対応する回転角度データ及び光路長差データを出力する。
ステップS20からステップS30までの処理については、上述した実施形態と同様であり、エンコーダ軸回転角度算出部64及びエンコーダ本体回転角度算出部66は、ロータリエンコーダ12及びレーザ干渉ユニット40から計測時間間隔毎に出力される回転角度データ及び光路長差データを取得すると、取得した回転角度データ及び光路長差データに基づいてエンコーダ軸22の回転角度θ1及びエンコーダ本体26の回転角度θ2を算出する。そして、回転角度補正部68は、エンコーダ本体26の回転角度θ2に基づいてエンコーダ軸22の回転角度θ1の補正を行う。
次に、全ての測定が終了したか否かが判断される(ステップS32)。ここでは、回転移動軸20が計測終了位置まで移動したか否かの判断が行われる。回転移動軸20が計測終了位置まで移動していない場合には、ステップS20からステップS28までの処理が繰り返される。回転移動軸20が計測終了位置まで移動した場合には、次のステップS36に進む。
ステップS36で行われる補正データの生成処理は上述した実施形態と同様であり、計測が行われた各位置における回転角度(設定角度)と割り出し角度との誤差を算出し、この誤差が打ち消されるように回転角度の補正量を示す補正データを生成する(ステップS36)。そして、ステップS36で生成した補正データを工作機械の制御装置90又は出力装置74に出力する(ステップS38)。
以上のとおり、本実施形態では、回転移動軸20を一定の回転速度で等速回転させながら、ロータリエンコーダ12及びレーザ干渉ユニット40は、同期信号生成部76から出力される同期信号に従って、所定の時間間隔毎に同一タイミングで回転角度及び光路長差を検出する動的測定(ダイナミック測定)が行われる。したがって、計測範囲にわたって連続的に回転角度の測定を行うことができるため、局所的に発生する角度誤差を確実に検出することが可能となる。これにより、回転移動軸20の回転角度の割り出し精度を向上させることができる。
なお、上述した各実施形態では、ロータリエンコーダ12の出力方式は特に限定されず、測定開始位置からの回転変位量(回転角度)に応じたパルス信号(相対角度信号)を出力するインクリメンタル方式でもよいし、基準点に対して絶対的な角度位置に対応したコード信号(絶対角度信号)を出力するアブソリュート方式でもよい。
また、ロータリエンコーダ12の検出方式は特に限定されず、光学式、磁気式、レーザ式、機械式、光ファイバ式、静電容量式などの各種方式のものを採用することができる。
また、ロータリエンコーダ12には、エンコーダ軸22と回転移動軸20を機械的に連結するカップリング部材が設けられていてもよい。カップリング部材としては、回転移動軸20と回転移動軸20との間の軸ずれを吸収可能なフレキシブルカップリングが好ましい。その際、フレキシブルカップリングの種類に応じて、吸収可能な偏心量が異なることから、測定精度に応じて使用するフレキシブルカップリングを選定する必要がある。
以上、本発明の回転角度測定装置及び回転角度測定方法について詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。
10…回転角度測定装置、12…ロータリエンコーダ、16…回転止治具、18…データ処理装置、20…回転移動軸、22…エンコーダ軸、23…大径部、24…軸受、26…エンコーダ本体、28…アーム部材、34…目盛板、36…読み取りヘッド、40…レーザ干渉ユニット、44…光ヘッド、46…光検出器、50…レーザ光源、52…偏光ビームスプリッタ、54…直角プリズム、56…入出力IF、58…メモリ、60…制御部、62…データ処理部、64…エンコーダ軸回転角度算出部、66…エンコーダ本体回転角度算出部、68…回転角度補正部、70…補正データ生成部、72…入力装置、74…出力装置、76…同期信号生成部
本発明に係る回転角度測定装置は、上記目的を達成するために、回転を一定範囲内とした支持基準体と、支持基準体に対し全周回転自在に軸支された駆動する回転体との相対的な回転角度を検出する相対角度検出手段と、回転体及び支持基準体に接触しない位置を基準として、支持基準体の回転軸に対して垂直方向に2つのレーザ光を照射し、2つのレーザ光の光路長差から、支持基準体の角度補正を判断するレーザ干渉式角度補正判断手段と、を備える。
本発明によれば、相対角度検出手段によって支持基準体に対する回転体の相対的な回転角度が検出される際、回転体と共に支持基準体が回転してしまう場合でも、支持基準体の角度補正はレーザ干渉式角度補正判断手段によって判断することができるので、回転体の回転角度を正確に求めることが可能となる。したがって、回転移動軸の回転角度の割り出し精度が向上するとともに、回転移動軸に対する取り付け作業を簡単に行うことが可能となる。
本発明に係る回転角度測定装置では、レーザ干渉式角度補正判断手段は、相対角度検出手段による相対的な回転角度の検出と同時に支持基準体の角度補正を判断することが好ましい。
上記態様によれば、レーザ干渉式角度補正判断手段は、相対角度検出手段による相対的な回転角度の検出と同時に支持基準体の角度補正を判断するので、回転体の回転状態に左右されることなく、支持基準体の回転に伴って発生する誤差をより正確に補正することが可能となる。
本発明に係る回転角度測定方法は、上記目的を達成するために、回転を一定範囲内とした支持基準体と、支持基準体に対し全周回転自在に軸支された回転体との相対的な回転角度を検出する相対角度検出ステップと、回転体及び支持基準体に接触しない位置を基準として、支持基準体の回転軸に対して垂直方向に2つのレーザ光を照射し、2つのレーザ光の光路長差から、支持基準体の角度補正を判断するレーザ干渉式角度補正判断ステップと、を含む。
本発明によれば、支持基準体に対する回転体の相対的な回転角度が検出される際、回転体と共に支持基準体が回転してしまう場合でも、支持基準体の位置はレーザ干渉式角度補正判断ステップによって確認することができるので、回転体の回転角度を正確に求めることが可能となる。したがって、回転移動軸の回転角度の割り出し精度が向上するとともに、回転移動軸に対する取り付け作業を簡単に行うことが可能となる。
本発明に係る回転角度測定方法では、レーザ干渉式角度補正判断ステップは、相対角度検出ステップによる相対的な回転角度の検出と同時に支持基準体の角度補正を判断することが好ましい。
上記態様によれば、レーザ干渉式角度補正判断ステップは、相対角度検出手段による相対的な回転角度の検出と同時に支持基準体の角度補正を判断するので、回転体の回転状態に左右されることなく、支持基準体の回転に伴って発生する誤差をより正確に補正することが可能となる。

Claims (9)

  1. 回転を一定範囲内とした支持基準体と、前記支持基準体に対し全周回転自在に軸支された駆動する回転体との相対的な回転角度を検出する相対角度検出手段と、
    前記回転体及び前記支持基準体から切り離された位置から前記支持基準体の回転軸に対して垂直方向にレーザ光を照射することにより前記支持基準体の位置を確認するレーザ干渉式位置確認手段と、
    を備える回転角度測定装置。
  2. 前記相対角度検出手段が検出した回転角度を、前記レーザ干渉式位置確認手段で確認した前記支持基準体の位置に基づいて補正する補正手段を
    さらに備える請求項1に記載の回転角度測定装置。
  3. 前記相対角度検出手段は、前記回転体の回転に伴って周期的に発生する周期誤差の発生周期よりも小さな回転角度毎に前記回転体の相対的な回転角度を検出する請求項1又は2に記載の回転角度測定装置。
  4. 前記レーザ干渉式位置確認手段は、前記相対角度検出手段による相対的な回転角度の検出と同時に前記支持基準体の位置を確認する請求項1〜3のいずれか1項に記載の回転角度測定装置。
  5. 前記相対角度検出手段は、ロータリエンコーダである請求項1〜4のいずれか1項に記載の回転角度測定装置。
  6. 回転を一定範囲内とした支持基準体に対し全周回転自在に軸支された回転体の相対的な回転角度を検出する相対角度検出ステップと、
    前記回転体及び前記支持基準体から切り離された位置から前記支持基準体の回転軸に対して垂直方向にレーザ光を照射することにより前記支持基準体の位置を確認するレーザ干渉式位置確認ステップと、
    を含む回転角度測定方法。
  7. 前記相対角度検出ステップで検出した回転角度を、前記レーザ干渉式位置確認ステップで確認した前記支持基準体の位置に基づいて補正する補正ステップを
    さらに含む請求項6に記載の回転角度測定方法。
  8. 前記相対角度検出ステップは、前記回転体の回転に伴って周期的に発生する周期誤差の発生周期よりも小さな回転角度毎に前記回転体の相対的な回転角度を検出する請求項6又は7に記載の回転角度測定方法。
  9. 前記レーザ干渉式位置確認ステップは、前記相対角度検出ステップによる相対的な回転角度の検出と同時に前記支持基準体の位置を確認する請求項6〜8のいずれか1項に記載の回転角度測定方法。

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