JP2015090851A - 固体高分子形燃料電池用電極触媒層を形成する触媒インクの製造方法、固体高分子形燃料電池の製造方法、固体高分子形燃料電池用電極触媒層が含む白金担持炭素粒子 - Google Patents
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Abstract
Description
そのため、固体高分子形燃料電池の製造技術には、従来から、出力電圧を高めるための各種の提案がなされている。
例えば、特許文献1に開示される技術では、膜電極接合体を構成する電極触媒層の形成に用いられる触媒インクの製造に際し、アイオノマーを含む溶液の比誘電率が製造の途中で所定の範囲に抑えられ、これにより、触媒物質担持炭素体に対するアイオノマーの被覆性が高められている。そして、触媒物質担持炭素体とアイオノマーとの均一性が電極触媒層にて高められる結果、膜電極接合体における触媒粒子の利用効率が高められ、ひいては固体高分子形燃料電池の出力電圧が高められている。
耐久性を向上させる方法としては、炭素粒子のグラファイト化の他に、白金担持炭素粒子を熱処理して白金粒子径を所定のサイズ以上に調整することにより、電位変動による白金粒子の溶解・再析出を抑制する方法がある。
本発明は、このような問題点を解決しようとするものであり、触媒インク化時の分散性の低下を抑制するとともに、固体高分子形燃料電池の耐久性を向上させることが可能な、固体高分子形燃料電池用電極触媒層を形成する触媒インクの製造方法、固体高分子形燃料電池の製造方法、固体高分子形燃料電池用電極触媒層が含む白金担持炭素粒子を提供することを目的とする。
前記触媒インク中には、白金担持炭素粒子と、高分子電解質と、溶媒と、を含み、
前記白金担持炭素粒子に水蒸気を吸着させる工程と、
水蒸気を吸着させた前記白金担持炭素粒子と前記高分子電解質を溶媒に分散させて触媒インクを生成する工程と、を有することを特徴とする固体高分子形燃料電池用電極触媒層を形成する触媒インクの製造方法である。
また、本発明の一態様は、前記白金担持炭素粒子の白金担持密度が、10質量%以上50質量%以下の範囲内であることを特徴とする固体高分子形燃料電池用電極触媒層を形成する触媒インクの製造方法である。
前記膜電極接合体を形成する工程は、白金担持炭素粒子に水蒸気を吸着させる工程と、水蒸気を吸着させた前記白金担持炭素粒子と前記高分子電解質を溶媒に分散させて触媒インクを生成する工程と、前記触媒インクを基材に塗布して前記基材に前記電極触媒層を形成する工程と、を有することを特徴とする固体高分子形燃料電池の製造方法である。
前記白金の平均粒子径が3.0nm以上10.0nm以下の範囲内であり、
前記炭素粒子の比表面積が40m2/g以上150m2/g以下の範囲内であり、 表面官能基量が0.7mmol/g以下であることを特徴とする固体高分子形燃料電池用電極触媒層が含む白金担持炭素粒子である。
また、本発明の一態様は、白金担持密度が10質量%以上50質量%以下の範囲内であることを特徴とする固体高分子形燃料電池用電極触媒層が含む白金担持炭素粒子である。
(第一実施形態)
以下、本発明の第一実施形態(以下、本実施形態と記載する)について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態の固体高分子形燃料電池の内部構造を示す分解斜視図である。
図1中に示すように、固体高分子形燃料電池50を構成する高分子電解質膜51には、その両面に、高分子電解質膜51を挟んで互いに向い合う一対の電極触媒層52A,52Fが配置されている。
一対の電極触媒層52A,52Fには、それぞれ、高分子電解質膜51と対向する面と反対側の面に、高分子電解質膜51及び一対の電極触媒層52A,52Fを挟んで互いに向い合う一対のガス拡散層53A,53Fが配置されている。
そして、高分子電解質膜51、一対の電極触媒層52A,52F、及び一対のガス拡散層53A,53Fから構成される膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly:MEA)56が、互いに向い合う一対のセパレーター57A,57Fによって挟持されている。
また、固体高分子形燃料電池50では、一対の冷却水通路59A,59Fの各々に冷却水が流され、且つ、空気極(カソード)54側のガス流路58Aに、例えば、酸素ガスが流され、燃料極(アノード)55側のガス流路58Fに、例えば、水素ガスが流される。そして、触媒の存在下で酸素ガスと水素ガスとが電極反応を進めることによって、一対のガス拡散層53A,53Fの間に起電力が生成される。
次に、本実施形態の固体高分子形燃料電池50用の電極触媒層52(固体高分子形燃料電池用電極触媒層)を形成する触媒インクの製造方法について説明する。なお、本実施形態は、以下に記載する実施の形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づく設計の変更等の変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も本実施形態の範囲に含まれるものである。
・白金担持炭素粒子の熱処理(白金担持炭素粒子の熱処理を行う工程)
まず、白金担持炭素粒子を熱処理することにより、白金粒子の平均粒子径を、3.0nm以上10.0nm以下の範囲内に調整する。これは、白金粒子の平均粒子径が3.0nm以下であると、固体高分子形燃料電池50の運転時における、白金粒子の溶解・再析出による白金粒子径の増大を抑制することが可能となるためである。また、白金粒子径を所定のサイズにすることで、CO吸着法にて測定した炭素粒子の比表面積が、40m2/g以上150m2/g以下の範囲内となるためである。また、白金担持炭素粒子を熱処理することで、白金担持炭素粒子の表面官能基量が0.7mmol/g以下に低下するためである。なお、白金担持炭素粒子の表面官能基量の下限値は、白金担持炭素粒子を熱処理することで得られる最低の表面官能基量であり、特に限定されない。現実的には、白金担持炭素粒子の表面官能基量の下限値は、0.3mmol/g程度である。
ここで、白金粒子の平均粒子径とは、レーザ回折・散乱法による粒度分布測定によって得られる粒子径のことをいう。
白金粒子の平均粒子径が3.0nmより小さい場合、白金粒子の触媒活性が低下する。一方、白金粒子の平均粒子径が10.0nmより大きい場合、白金粒子の触媒活性の安定性が低下する。
また、白金担持炭素粒子の白金担持密度とは、白金担持炭素粒子全体の質量に対する触媒粒子の質量のことをいい、白金担持密度が10質量%より小さい場合、固体高分子形燃料電池50の所望の出力電圧を得るためには、電極触媒層52の厚みを大きくする必要があり、その結果、ガスの拡散が十分にされなくなる。一方、白金担持密度が50質量%より大きい場合、平均粒子径が3.0nm以上10.0nm以下の範囲内の白金粒子を凝集させずに担持させることが困難となる。
白金担持炭素粒子の表面官能基量は、白金担持炭素粒子全体における表面官能基量のことをいい、炭素粒子の表面に導入された官能基と白金粒子の表面に導入された官能基とを合わせた量である。なお、表面官能基は、炭素粒子の表面のみに導入されていても、白金粒子の表面のみに導入されていても、その両方の表面に導入されていてもよい。
・触媒インク化前処理工程(白金担持炭素粒子に水蒸気を吸着させる工程)
触媒インク化前処理工程では、まず、熱処理を実施した白金担持炭素粒子に、水蒸気を吸着させる。このとき、水蒸気を吸着させる雰囲気であれば、特に限定されないが、例えば、所定の相対湿度、温度及び圧力に管理された加湿雰囲気を有する恒温槽内へ、白金担持炭素粒子P3が搬入され、該白金担持炭素粒子P3が、所定の時間だけ、加湿雰囲気に曝される。これにより、白金担持炭素粒子P3の表面及び内部に、水蒸気が吸着される。
次いで、分散工程では、水蒸気を吸着させた白金担持炭素粒子P3と高分子電解質PEとを溶媒に分散させて触媒インクを生成する。この際、白金担持炭素粒子P3と高分子電解質PEとが混合される前に、白金担持炭素粒子P3が加湿雰囲気に曝されるため、水蒸気を吸着していない白金担持炭素粒子P3と比べて、白金担持炭素粒子P3の表面と高分子電解質PEとの親和性が高められる。それゆえに、白金担持炭素粒子P3と高分子電解質PEとが分散した触媒インクにて、白金担持炭素粒子P3と高分子電解質PEとの均一性が向上する。
上記の分散処理としては、例えば、ボールミルやロールミルを用いた処理、せん断ミルを用いた処理、湿式ミルを用いた処理、超音波分散機を用いた処理、遠心力で攪拌を行うホモジナイザー等を用いた処理等が挙げられる。
フッ素系高分子電解質としては、例えば、デュポン社製NAFION(登録商標)、旭硝子(株)製FLEMION(登録商標)、旭化成(株)製ACIPLEX(登録商標)、ゴア社製GORE−SELECT(登録商標)を用いることが可能である。特に、固体高分子形燃料電池の出力電圧を高めるうえでは、デュポン社製NAFION(登録商標)が好適に用いられる。
触媒インク溶媒としては、白金担持炭素粒子P3及び高分子電解質PEを浸食しない溶媒であって、且つ、流動性を有した状態で高分子電解質PEを溶解する、または、微細ゲルとして高分子電解質PEを分散する溶媒が用いられる。
触媒インク溶媒に含まれる有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノ―ル、2−プロパノ―ル、1−ブタノ−ル、2−ブタノ−ル、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、ペンタノ−ル等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、ペンタノン、メチルイソブチルケトン、へプタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、アセトニルアセトン、ジイソブチルケトン等のケトン系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アニソール、メトキシトルエン、ジブチルエーテル等のエーテル系溶剤、その他ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジアセトンアルコール、1−メトキシ−2−プロパノール等の極性溶剤や、上述した溶剤のうち二種以上が混合された溶媒を用いることが可能である。
そのため、固形分における炭素粒子の濃度は、10質量%以上80質量%以下の範囲内が好ましい。
また、触媒物質担持炭素体P3に対する高分子電解質PEの重量比率は、0.04以上3.00以下の範囲内であることが好ましい。これは、このような範囲の重量比率であれば、上述した点を満たすことが容易であるうえ、こうした重量比率の差異により上記加湿工程による効果がばらつくことを、所定の範囲に抑制することが可能となるためである。
次に、成膜工程では、上記の触媒インクが基材上に塗布され、該触媒インクの乾燥工程を経て、図1中に示す電極触媒層52A,52Fが形成される。
この際、先に行われた加湿工程と分散工程とにより、触媒物質担持炭素体P3と高分子電解質PEとの均一性が高められているため、電極触媒層52A,52Fでも同じく、触媒物質担持炭素体P3と高分子電解質PEとの均一性が向上することとなる。
なお、基材としては、例えば、高分子電解質膜51、ガス拡散層53A,53F、及び転写シートの少なくとも一つを用いることが可能である。
高分子電解質膜51の材料としては、例えば、フッ素系高分子電解質や炭化水素系高分子電解質を用いることが可能である。
フッ素系高分子電解質としては、例えば、デュポン社製NAFION(登録商標)、旭硝子(株)製FLEMION(登録商標)、旭化成(株)製ACIPLEX(登録商標)、ゴア社製GORE−SELECT(登録商標)を用いることが可能である。特に、固体高分子形燃料電池の出力電圧を高めるうえでは、デュポン社製NAFION(登録商標)を用いることが好適である。
なお、電極触媒層52A,52Fと高分子電解質膜51との密着性を確保するうえでは、電極触媒層52A,52Fと高分子電解質膜51とが同一の電解質から形成されていることが好ましい。
ガス拡散層53A,53Fが基材として用いられる場合には、触媒インクが塗布される塗布面に、予め、目処め層が形成されていることが好ましい。
触媒インクが基材に塗布される塗布方法としては、例えば、ドクターブレード法、ディッピング法、スクリーン印刷法、ロールコーティング法、スプレー法等を用いることが可能である。これらの方法のうち、加圧スプレー法、超音波スプレー法、静電噴霧法等のスプレー法が好ましい。これは、スプレー法によれば、塗工された触媒インクが乾燥する際に、触媒インクの凝集が起こり難いため、空孔率の高い、均質な電極触媒層52A,52Fを得ることが可能となるためである。
次に、接合工程では、高分子電解質膜51に、電極触媒層52A,52Fが接合されて、膜電極接合体56が形成される。
まず、高分子電解質膜51の両面に、2つの電極触媒層52A,52Fが互いに向い合うように、高分子電解質膜51と2つの電極触媒層52A,52Fを配置する。ここで、例えば、成膜工程で基材として高分子電解質膜51が用いられる場合は、高分子電解質膜51の両面に電極触媒層52A,52Fを形成することにより、上述の配置が実現される。また、成膜工程で基材としてガス拡散層53A,53Fまたは転写シートが用いられる場合は、高分子電解質膜51の両面に、ガス拡散層53A,53Fまたは転写シートを配置することにより、上述の配置が実現される。
ここで、例えば、成膜工程で基材として高分子電解質膜51が用いられる場合には、電極触媒層52A,52Fが形成された高分子電解質膜51の両面側に、ガス拡散層53A,53Fが配置され、これらが加熱及び加圧されることにより、一つの膜電極接合体56が形成される。
また、成膜工程で基材として転写シートが用いられる場合には、高分子電解質膜51の両面側に、電極触媒層52A,52Fが形成された転写シートが配置され、まず、これが加熱及び加圧される。次いで、加熱及び加圧された膜構造体から転写シートが剥がされ、膜構造体の両面を挟むようにガス拡散層53A,53Fが配置され、ガス拡散層53A,53F及び膜構造体が、加熱及び加圧されることにより、一つの膜電極接合体56が形成される。
また、要求される固体高分子形燃料電池50の性能に応じて、白金粒子担持炭素粒子P3と高分子電解質PEの重量比を、空気極54となる電極触媒層52Aと、燃料極55となる電極触媒層52Fとで異ならせるようにしてもよい。
また、電極触媒層52A,52Fが、ガス拡散層53と同じくガスの拡散機能を有する場合には、ガス拡散層53A,53Fが省略されてもよい。
次に、本実施形態の固体高分子形燃料電池50の製造方法について説明する。なお、本実施形態は、以下に記載する実施の形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づく設計の変更等の変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も本実施形態の範囲に含まれるものである。
なお、セパレーター57A,57Fとしては、例えば、カーボンタイプまたは金属タイプを用いることが可能である。また、セパレーター57A,57Fは、ガス拡散層53A,53Fと一体的に構成されてもよい。また、セパレーター57A,57Fが、ガス拡散層53と同じくガスの拡散機能を有する場合には、ガス拡散層53A,53Fを省略してもよい。
(実施例)
実施例では、上述した本実施形態と同様の製造方法を用いて、固体高分子形燃料電池50を製造する。
白金担持炭素粒子として白金担持カーボン(商品名:TEC10E50E、田中貴金属社製)を用い、温度1000℃で1時間熱処理を行い、白金粒子径が4.6nm、炭素粒子の比表面積が76.5m2/gである白金担持炭素粒子を得た。特に、白金担持炭素粒子の表面官能基量は、0.34mmol/gであった。水蒸気の吸着量は、120.1m3/gであった。
熱処理を実施した白金担持炭素粒子に、水蒸気を吸着させた。具体的には、温度100℃、相対湿度90%RH、圧力が大気圧となる加湿雰囲気を恒温槽内に形成し、先の白金担持炭素粒子を、加湿雰囲気に10時間曝して、水蒸気を吸着させた白金担持炭素粒子を得た。
次に、水蒸気を吸着させた白金担持炭素粒子と、高分子電解質として20質量%の高分子電解質溶液であるナフィオン(登録商標、デュポン社製)である溶媒を用い、遊星ボールミル(商品名:P−7、フリッチュ・ジャパン社製)を用いて分散し、触媒インクを得た。
この際、ボールミルのポット及びボールには、ジルコニア製のものを用いた。また、白金担持炭素粒子の質量と高分子電解質の質量との比が1:0.9となるように、白金担持炭素粒子と高分子電解質との組成を調整した。
次いで、上記の触媒インクをドクターブレード法により転写シートに塗布し、転写シート上に塗布された触媒インクを、温度80℃の大気雰囲気中で5分間乾燥させることにより、電極触媒層52を得た。この際、触媒物質の担持量が0.4mg/cm2となるように、電極触媒層52の厚さを調節した。
続いて、高分子電解質膜としてナフィオン(登録商標)212(デュポン社製)を用い、5cm2の正方形状に打ち抜かれた電極触媒層52と高分子電解質膜51の両面とが互いに向い合うように、2つの転写シートと高分子電解質膜51とを配置した。その後、これら2つの転写シートで挟まれた高分子電解質膜51を130℃に加熱するとともに、加圧下で10分間保持するホットプレスを行うことにより、実施例の膜電極接合体56を得た。
そして、燃料電池測定装置(東陽テクニカ社製APMT−02)を用い、実施例の固体高分子形燃料電池50におけるI−V特性を計測した。この際、燃料ガスとして純水素、酸化剤ガスとして空気、参照電極に可逆水素電極(RHE)を用いたところ、表1中に示すように、0.5A/cm2出力時のセル電圧は、0.662Vであった。
白金担持炭素粒子に水蒸気の吸着を行うことなく、それ以外の工程を実施例と同様として、比較例の膜電極接合体及び固体高分子形燃料電池を得た。そして、実施例と同様に、出力電圧を測定したところ、表1中に示すように、0.524Vであった。
(比較結果)
表1中に示されるように、実施例の出力電圧(0.5A/cm2出力時)は、比較例の出力電圧(0.5A/cm2出力時)よりも大きいことが確認された。すなわち、上記の加湿工程によれば、固体高分子形燃料電池50の出力電圧を向上させることが可能であることが確認された。これは、加湿工程によって白金担持炭素粒子の水蒸気吸着量が高められる結果、白金担持炭素粒子及び高分子電解質の触媒インク中における均一性を向上させることが可能であることを示唆するものである。
本実施形態であれば、以下に列挙する効果を得ることが可能である。
(1)白金担持炭素粒子と高分子電解質とが混合される前に、白金担持炭素粒子が加湿雰囲気に曝されるため、こうした加湿工程が白金担持炭素粒子に施されない方法と比べて、白金担持炭素粒子の表面と高分子電解質との親和性が高められる。
このため、触媒インクにて、白金担持炭素粒子と高分子電解質との均一性が高められ、ひいては、電極触媒層52にて、白金の利用効率が高められることになる。
そして、上記の製造方法により製造された膜電極接合体56を有する固体高分子形燃料電池50にて、出力電圧を向上させることが可能となる。
(3)電極触媒層52を形成する触媒インクを調整する前に、白金担持炭素粒子に水蒸気を吸着させる工程を有するため、触媒物質担持炭素体P3の表面と高分子電解質PEとの親和性が高められる。
このため、白金担持炭素粒子と高分子電解質とが分散した触媒インクにて、触媒物質担持炭素体と高分子電解質との均一性が高められ、触媒インクの分散性を向上させることが可能となる。
(5)白金担持密度が10質量%以上50質量%以下の範囲内であるため、白金の高担持密度化による、白金粒子の溶解際析出を抑制することが可能となり、白金担持炭素粒子の高耐久性が可能となる。
このため、白金担持炭素粒子と高分子電解質とが分散した触媒インクの分散性を向上させて、白金担持炭素粒子と高分子電解質との均一性を向上させることが可能となり、電極触媒層52にて、触媒物質の利用効率を向上させることが可能となる。そして、上記の製造方法により製造された膜電極接合体56を有する固体高分子形燃料電池60にて、出力電圧を高めることが可能となる。
51 高分子電解質膜
52A,52F 電極触媒層
53A,53F ガス拡散層
54 空気極
55 燃料極
56 膜電極接合体
57A,57F セパレーター
58A,58F ガス流路
59A,59F 冷却水通路
Claims (8)
- 固体高分子形燃料電池用の電極触媒層を形成する触媒インクの製造方法であって、
前記触媒インク中には、白金担持炭素粒子と、高分子電解質と、溶媒と、を含み、
前記白金担持炭素粒子に水蒸気を吸着させる工程と、
水蒸気を吸着させた前記白金担持炭素粒子と前記高分子電解質を溶媒に分散させて触媒インクを生成する工程と、を有することを特徴とする固体高分子形燃料電池用電極触媒層を形成する触媒インクの製造方法。 - 前記白金担持炭素粒子は、白金粒子の平均粒子径が3.0nm以上10.0nm以下の範囲内であり、炭素粒子の比表面積が40m2/g以上150m2/g以下の範囲内であり、前記白金担持炭素粒子の表面官能基量が0.7mmol/g以下であることを特徴とする請求項1に記載した固体高分子形燃料電池用電極触媒層を形成する触媒インクの製造方法。
- 前記白金担持炭素粒子の水蒸気吸着量が、50m3/g以上150m3/g以下の範囲内であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載した固体高分子形燃料電池用電極触媒層を形成する触媒インクの製造方法。
- 前記白金担持炭素粒子の白金担持密度が、10質量%以上50質量%以下の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載した固体高分子形燃料電池用電極触媒層を形成する触媒インクの製造方法。
- 高分子電解質膜の両面に電極触媒層を接合して膜電極接合体を形成する工程と、前記膜電極接合体を一対のセパレーターで挟む工程と、を有する固体高分子形燃料電池の製造方法であって、
前記膜電極接合体を形成する工程は、白金担持炭素粒子に水蒸気を吸着させる工程と、水蒸気を吸着させた前記白金担持炭素粒子と前記高分子電解質を溶媒に分散させて触媒インクを生成する工程と、前記触媒インクを基材に塗布して前記基材に前記電極触媒層を形成する工程と、を有することを特徴とする固体高分子形燃料電池の製造方法。 - 固体高分子形燃料電池用の電極触媒層に含まれ、炭素粒子と、前記炭素粒子に担持された白金と、からなる白金担持炭素粒子であって、
前記白金の平均粒子径が3.0nm以上10.0nm以下の範囲内であり、
前記炭素粒子の比表面積が40m2/g以上150m2/g以下の範囲内であり、
表面官能基量が0.7mmol/g以下であることを特徴とする固体高分子形燃料電池用電極触媒層が含む白金担持炭素粒子。 - 水蒸気吸着量が50m3/g以上150m3/g以下の範囲内であることを特徴とする請求項6に記載した固体高分子形燃料電池用電極触媒層が含む白金担持炭素粒子。
- 白金担持密度が10質量%以上50質量%以下の範囲内であることを特徴とする請求項6または請求項7に記載した固体高分子形燃料電池用電極触媒層が含む白金担持炭素粒子。
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