JP2015086103A - 変性シリカ微粒子の製造方法及びその利用 - Google Patents

変性シリカ微粒子の製造方法及びその利用 Download PDF

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Abstract

【課題】高硬度のハードコートの形成時に、耐カール性を良好にすることができる変性シリカ微粒子の製造方法を提供する。【解決手段】水性シリカゾルに特定のシランカップリング剤(A)、次いで、特定のシランカップリング剤(B)を特定の重量比率で反応させ、シリカ表面に2種類の官能基を導入する変性シリカ微粒子の製造方法。紫外線硬化樹脂のモノマーに本製造方法で得られる変性シリカ微粒子を混合した組成物は、耐カール性が良好で、かつ硬度の高いハードコート層を形成する。【選択図】なし

Description

本発明は、変性シリカ微粒子の製造方法及びその利用に関する。
近年、スマートフォンやタブレット端末など指やペンで画面に直接触れて操作するタッチパネルを備えた電子機器の普及が著しく、このような機器ではタッチパネル表面の硬度向上が求められている。タッチパネルの材質としてはガラスよりも安全かつ軽量なPETやアクリルなどの樹脂の使用が望ましいが、これらの樹脂はガラスよりも硬度が劣るのが欠点である。
このため、硬度の高いシリカ微粒子をフィラーとして配合した紫外線硬化樹脂を主成分とするハードコート層を形成させる方法が知られているが、無機物であるシリカ微粒子は、有機物である紫外線硬化樹脂のモノマー中では均一に分散し難いため、シリカ微粒子の表面に存在するシラノール基を疎水基で置換することが行われている(特許文献1)。
しかし、シリカ微粒子の表面を疎水基で変性したシリカ微粒子を含む紫外線硬化樹脂組成物を、フィルムに塗工すると、硬化させた際にフィルムが湾曲する、すなわち、耐カール性が劣る問題があった。
特開2000−264621号公報
前記疎水性のシリカ微粒子をハードコート用に適用した場合に、耐カール性が劣る原因を調査した結果、シリカ粒子同士が凝集し易く、紫外線硬化樹脂のモノマー中での分散が十分でないために、高硬度のハードコート層の形成時に均一に硬化せず、耐カール性が劣ることが判明した。
従って、本発明の目的は、高硬度のハードコートの形成時に、耐カール性を良好にすることのできる変性シリカ微粒子の製造方法を提供することである。
本発明の変性シリカ微粒子の製造方法は、二酸化ケイ素を含む水性シリカゾルと、下記一般式(1)で表現されるシランカップリング剤(A)とを混合し、反応させる工程(I)と、
前記工程(I)で得られた生成物と、下記一般式(2)で表現される化合物(2)及び/または下記一般式(3)で表現される化合物(3)から構成されるシランカップリング剤(B)とを混合し、反応させる工程(II)とを含み、
前記シランカップリング剤(A)が、前記二酸化ケイ素に対して0.1〜20重量%であり、シランカップリング剤(A)とシランカップリング剤(B)との重量比率(B/A)が6〜20である。
SiX4−m−n (1)
〔式中、Rは1〜20個の重合性官能基を有する有機基を表す。Rは炭素数1〜10のアルキル基を表す。Xはアルコキシ基またはハロゲンを表す。mは1〜3の整数。nは0〜2の整数。m+nは3以下。〕
SiY4−p (2)
〔式中、Rは、炭素数1〜20のアルキル基またはアリール基を表し、Rが複数ある場合は、同一であってもよく、異なっていてもよい。pは1〜3の整数。Yはアルコキシ基またはハロゲンを表す。〕
(R Si)Z (3)
〔式中、Rは、炭素数1〜6のアルキル基またはアリール基を表し、Rが複数ある場合は、同一であってもよく、異なっていてもよい。Zは酸素またはイミノ基を表す。〕
前記重量比率(B/A)が、10〜20であるとより好ましい。
前記Rが、(メタ)アクリロイル基またはビニル基であることが好ましい。
前記シランカップリング剤(B)がヘキサメチルジシラザンであることが好ましい。
前記水性シリカゾルが、水ガラス法で製造されたものであることが好ましい。
本発明の変性コロイダルシリカは、前記製造方法で製造された変性シリカ微粒子及び有機溶媒(E)を含む。
本発明の塗工液は、ハードコート樹脂基材に用いられ、前記変性コロイダルシリカ、紫外線硬化樹脂のモノマー及び光重合開始剤を含む。
本発明のハードコート樹脂基材は、樹脂基材の表面に前記塗工液を硬化させてなる塗膜を有する。
本発明の製造方法で得られる変性シリカ微粒子を紫外線硬化樹脂のモノマーと混合し、硬化させると、耐カール性が良好で、且つ硬度の高いハードコート層が得られる。
〔変性シリカ微粒子の製造方法〕
本発明の変性シリカ微粒子の製造方法は、工程(I)と工程(II)とを含み、工程(III)を含むとより好ましい。工程(I)、工程(II)及び工程(III)について、以下に説明する。
<工程(I)>
工程(I)は、二酸化ケイ素を含む水性シリカゾルと、前記一般式(1)で表現されるシランカップリング剤(A)とを混合し、水性シリカゾル中のシリカ微粒子中に含まれるシラノール基と、シランカップリング剤(A)の加水分解基とを反応させ、シリカ微粒子に重合性官能基を導入する工程である。
前記水性シリカゾルは、四塩化ケイ素を燃焼して生成したヒュームドシリカ、アルキルシリケートの加水分解により生成したシリカ、珪酸ソーダを原料とする水ガラス法により生成したシリカの水性シリカゾル等が挙げられる。これらの中でも、当該水ガラス法により生成したシリカの水性シリカゾルが塗膜硬度の向上や貯蔵安定性、耐カール性の点から、好ましい。
前記水性シリカゾルに含まれるシリカ粒子は、粒子径が1〜100nmであると好ましく、5〜70nmがより好ましく、10〜50nmが更に好ましい。粒子径が1nm未満では、耐カール性が低下する可能性があり、100nmを超えると塗膜のヘイズが上がる可能性がある。
前記水性シリカゾルは、酸性水性シリカゾルである場合に後述するアルコール(C)との混和性の観点から、好ましい。
当該酸性水性シリカゾルのpHが2.0〜6.5であると、分散安定性の観点から、好ましい。
前記水性シリカゾルは、二酸化ケイ素を水に分散させたものである。水性シリカゾルに対する、前記二酸化ケイ素の重量割合は、通常1〜50重量%であり、2〜45重量%が好ましく、3〜40重量%がより好ましい。1重量%未満及び50重量%を超えると、工程(I)の反応性が低下する可能性がある。
前記水性シリカゾルは、アルカリ金属イオンの含有量が少ない方が、アルコール(C)との混和性の観点から、好ましい。具体的には、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属イオンが、水性シリカゾルに対して、0.04%以下であるとアルコール(C)との混和性の観点から、好ましい。
前記水性シリカゾルの市販品としては、例えば、日産化学工業(株)製のスノーテックスOXS(粒子径:4〜6nm、固形分:10重量%、pH:2.0〜4.0)、スノーテックスO(粒子径:10〜20nm、固形分:20重量%、pH:2.0〜4.0)、日本化学工業(株)製のシリカドール20A(粒子径:10〜15nm、固形分:20重量%、pH:2.0〜4.0)等を挙げることができる。
(シランカップリング剤(A))
シランカップリング剤(A)は、前記一般式(1)で表現される。シランカップリング剤(A)は、シリカ微粒子に重合性官能基を導入する。この重合性官能基は紫外線硬化樹脂に含まれる反応性官能基と反応し、樹脂とシリカとの間に高度な架橋構造を形成させて、硬化塗膜の硬度を高める。
前記一般式(1)中のRは、1〜20個の重合性官能基を有する有機基を表し、具体的には、アクリル基、メタクリル基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基、スチリル基等が挙げられる。中でも、前記Rが、(メタ)アクリロイル基またはビニル基であると、樹脂との相溶性の観点から、好ましい。なお、(メタ)アクリロイルは、メタクリロイルまたはアクリロイルを意味する。
に含まれる重合性官能基の数は、1〜20個であり、1〜15個が好ましく、1〜6個がより好ましく、1〜5個が更に好ましい。重合性官能基の数が20を超えると、変性シリカゾルの粘度が高くなり過ぎる観点から好ましくない。
前記一般式(1)中のRは炭素数1〜10のアルキル基であり、直鎖であっても分岐であってもよい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられ、耐カール性の観点から、好ましくは、メチル基、エチル基である。
前記シランカップリング剤(A)として、特に限定はされないが、具体的には、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等の(メタ)アクリロキシアルキルシラン類、p−スチリルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニルシラン類、アリルトリメトキシシラン等のアルケニルシラン類が挙げられる。
前記シランカップリング剤(A)と前記水性シリカゾルを混合する際に、アルコール(C)中で行うと、均一な分散液となり、反応が効率よく進行するため、好ましい。
本発明で用いられるアルコール(C)として、これに限られないが、具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、及びこれらの混合溶媒が挙げられる。
反応後の分散液の一部を採取し、溶媒を留去して得られる乾燥粉体の熱分析を行い、シランカップリング剤(A)由来の重量減少が所定量となったことを確認して、工程(I)の終点とすることができる。
前記シランカップリング剤(A)は、前記二酸化ケイ素に対して、0.1〜20重量%であり、1〜15重量%が好ましく、3〜10重量%がより好ましく、5〜7重量%が更に好ましい。0.1重量%未満では、得られる変性シリカ微粒子を混合した塗膜の外観が悪化し、20重量%を超えると耐カール性が低下する。5〜7重量%では、その範囲外の場合に比べて、特に塗膜の鉛筆硬度が高くなる。
前記水性シリカゾルと前記アルコール(C)との重量比(水性シリカゾル/アルコール(C))は、0.01〜10が好ましく、0.1〜5がさらに好ましく、0.3〜1.5が特に好ましい。0.01未満及び10超では、シランカップリング剤が均一に混ざらなくなり、反応速度が低下する可能性がある。
<工程(II)>
工程(II)は、前記工程(I)で得られた生成物と、前記一般式(2)で表現される化合物(2)及び/または前記一般式(3)で表現される化合物(3)から構成されるシランカップリング剤(B)とを混合して反応させ、シリカ微粒子に疎水基を導入する工程である。
(シランカップリング剤(B))
本発明に用いられるシランカップリング剤(B)は、前記一般式(2)で表現される化合物(2)及び/または前記一般式(3)で表現される化合物(3)から構成される。
前記シランカップリング剤(B)は、水性シリカゾルに含有されるシリカ微粒子の表面に存在するシラノール基と反応し、シリカ微粒子を疎水化することで、紫外線硬化樹脂の組成物中において、シリカ微粒子の凝集を防止し、分散性を向上させる成分である。
前記一般式(2)中のRは、同一のまたは異なる炭素数1〜20のアルキル基またはアリール基を表し、直鎖であっても分岐であってもよい。Rで示されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s‐ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、セキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基等が挙げられる。アリール基としては、フェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられる。
一般式(2)中のYは、アルコキシ基または、ハロゲンを表す。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
前記一般式(2)で表現される化合物(2)の具体例としては、メトキシトリメチルシラン、エトキシトリメチルシラン、メトキシトリエチルシラン等のトリアルキルアルコキシシラン、ジメトキシジメチルシラン、ジエトキシジメチルシラン等のジアルキルジアルコキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン等のアルキルトリアルコキシシランが挙げられる。
前記一般式(3)中のRは、同一のまたは異なる炭素数1〜6のアルキル基またはアリール基を表し、当該アルキル基は、直鎖であっても分岐であってもよい。前記Rの具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、イソプロピル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、イソヘキシル基、セキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基等が挙げられる。
前記一般式(3)で表現される化合物(3)の具体例としては、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルジシロキサン等が挙げられる。中でも、反応性の理由から、ヘキサメチルジシラザンが好ましい。
工程(II)は、工程(I)と同様に、アルコール(C)中で行うと好ましい。反応時間は、3〜24時間が好ましい。反応後の分散液の一部を取って溶媒を留去し、得られた乾燥粉体がアセトン等の有機溶媒に均一に分散するのを確認した時点を工程(II)の終点とすることができる。
前記シランカップリング剤(B)と前記シランカップリング剤(A)との重量比率(B/A)は、6〜20であり、10〜20がより好ましく、11〜17が更に好ましい。6未満では、有機溶媒との相溶性が低下し塗膜の外観不良を引き起こし、20を超える場合には、樹脂との相溶性が低下し、シリカ微粒子の凝集が起こる。
<工程(III)>
工程(III)は、変性シリカ微粒子を凝集させることなく分散させるために、工程(II)で得られた、変性シリカ微粒子と、水及びアルコール(C)からなる群より選ばれた少なくとも一種である溶媒と含む変性シリカ微粒子分散液中の前記溶媒を、有機溶媒(E)に置換する工程である。この工程(III)により、変性シリカ微粒子が有機溶媒(E)に分散した変性コロイダルシリカが得られる。
前記変性シリカ微粒子は、工程(I)及び工程(II)で得られる変性シリカ微粒子でもよいが、これに限定されず、重合性官能基及び疎水基を有する変性シリカ微粒子であればよい。
当該重合性官能基としては、アクリル基、メタクリル基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基、スチリル基等が挙げられる。中でも、アクリル基、メタクリル基、(メタ)アクリロイル基またはビニル基が、樹脂との相溶性の観点から、好ましい。
当該疎水基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基等のオルガノシリル基や、メチル基、エチル基、n‐プロピル基、イソプロピル基、n‐ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n‐ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n‐ヘキシル基、セキシル基、シクロヘキシル基、n‐ヘプチル基、n‐オクチル基、2−エチルヘキシル基、n‐ノニル基、n‐デシル基等のアルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基等が挙げられる。中でも、紫外線硬化樹脂のモノマー中の分散性が良く、耐カール性が向上する観点から、メチル基、エチル基、n‐プロピル基、n‐ブチル基、n‐ヘキシル基、フェニル基、トリメチルシリル基が好ましい。
前記変性シリカ微粒子の重合性官能基は、赤外吸収スペクトル及び熱重量分析/示差熱分析(TG/DTA)で確認できる。詳しくは、溶媒を留去して得られる乾燥粉体の赤外吸収スペクトルを測定すると、1620〜1680cm−1に吸収スペクトルを有する。また、当該乾燥粉体の示差熱分析(DTA)を測定すると、250〜350℃の発熱ピークで確認できる。前記変性シリカ微粒子中の重合性官能基の量は、TG測定で0.1〜20重量%の重量減少となる量が好ましい。0.1重量%未満では、得られる変性シリカ微粒子を混合した塗膜の外観が悪化する可能性があり、20重量%を超えると耐カール性が低下する可能性がある。
前記変性シリカ微粒子の疎水基は、赤外吸収スペクトル及び熱重量分析/示差熱分析(TG/DTA)で確認できる。詳しくは、溶媒を留去して得られる乾燥粉体の赤外吸収スペクトルを測定すると、2950〜2990cm−1に吸収スペクトルを有する。また、当該乾燥粉体の示差熱分析(DTA)を測定すると、400〜500℃の発熱ピークで確認できる。前記変性シリカ微粒子中の疎水基の量は、TG測定で1〜10重量%の重量減少となる量が好ましい。1重量%未満では、シリカ粒子の凝集により、耐カール性が低下する可能性があり、10重量%を超えると、シリカ表面のシラノール基が必要以上に少なくなり、当該変性コロイダルシリカを塗工液に含む場合に、変性シリカ微粒子が均一に分散しない可能性がある。
前記変性シリカ微粒子の平均粒子径は、通常5〜40nmである。7〜35nmが好ましく、10〜30nmがより好ましい。この範囲にあると、ハードコートの形成時に、耐カール性が優れる。耐カール性が優れる原因は、粒子が細かいと、塗膜に均一に分散しているため、局所的に固まる部分がなくなることであると推定している。5nm未満では、鉛筆硬度が低下する可能性があり、40nmを超えると耐カール性が不足する可能性がある。
前記変性シリカ微粒子の平均粒子径は、動的光散乱法を用いた粒度分布測定装置(例えば大塚電子製、ELSZ−1000S)で測定し、キュムラント法で解析することにより算出した。
前記溶媒置換の方法としては、特に限定はされないが、前記変性シリカ微粒子分散液中の前記溶媒を留去して粉体化する工程がない方が特に好ましい。一度、粉体化すると粒子が凝集するため、当該粉体に有機溶媒(E)を加えても、粒子が分散し難くなるからである。
したがって、前記工程(III)は、前記変性シリカ微粒子分散液及び共沸用有機溶媒(D)を混合し、共沸用有機溶媒(D)との共沸により水を留去した後に、有機溶媒(E)を混合し、共沸用有機溶媒(D)を留去して、変性コロイダルシリカを得る方法がより好ましい。
前記共沸用有機溶媒(D)は、水と共沸可能なアルコール等が好ましい。具体的には、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ベンゼン、トルエン等及びこれらの混合溶媒であり、エタノール、イソプロパノール及びこれらの混合溶媒が好ましい。
前記有機溶媒(E)は、前記工程(III)で用いられ、変性シリカ微粒子が凝集することなく、変性コロイダルシリカを安定的に保持する役割がある。又、有機溶媒(E)は、紫外線硬化樹脂モノマーとの相溶性に優れ、変性コロイダルシリカが、紫外線硬化樹脂のモノマーに均一に分散するために、耐カール性を向上させる役割がある。
また、共沸用有機溶媒(D)と有機溶媒(E)との混合溶媒から、共沸用有機溶媒(D)を留去する必要があるため、有機溶媒(E)は共沸用有機溶媒(D)の沸点より10℃以上高い沸点を有することが好ましい。
前記有機溶媒(E)の具体例としては、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸2−メトキシ−1−メチルエチル、シクロヘキサノン等が挙げられ、2種以上の混合でも構わない。
前記変性コロイダルシリカの外観は、無色透明または微青色透明である。着色があると、塗膜外観上好ましくない。
前記変性コロイダルシリカは、前記変性シリカ微粒子が、有機溶媒(E)に分散されたものである。前記変性コロイダルシリカ中の、変性シリカ微粒子の重量割合は、10〜50重量%が好ましく、15〜45重量%がさらに好ましく、20〜40重量%が特に好ましい。10重量%未満及び50重量%超では、塗工液として使用した際に、紫外線硬化樹脂のモノマー中での分散性が劣ることで、耐カール性が不足する可能性がある。
前記変性コロイダルシリカの粘度(40℃におけるB型粘度)は、0.1〜10.0mPa・sが好ましく、0.1〜5.0mPa・sがさらに好ましく、0.1〜3.0mPa・sが特に好ましい。10.0mPa・s超では、塗工液中に均一に分散されない可能性がある。
前記変性コロイダルシリカに含有される水分量は、5.0重量%以下が好ましく、1.0重量%以下が更に好ましく、0.3重量%以下が特に好ましい。5.0重量%超であると、塗膜の外観不良を引き起こす可能性がある。
前記変性コロイダルシリカに含有される、アルコール(C)及び共沸用有機溶媒(D)の重量は、5重量%以下が好ましく、3重量%以下がさらに好ましく、2重量%以下が特に好ましい。5重量%超では塗膜硬度が低下する可能性がある。
〔塗工液〕
塗工液も、本願の発明であり、紫外線硬化樹脂のモノマー、前記変性コロイダルシリカ及び光重合開始剤を含む。更に、有機溶媒(E)を含有してもよい。
前記紫外線硬化樹脂のモノマーは、前記変性シリカ微粒子の重合性官能基と架橋反応する反応性官能基を3個以上有する。
硬化する際に反応性官能基同士や異種の反応性官能基間で架橋結合し、網目構造が形成され、硬化塗膜の硬度を更に高める。当該反応性官能基としては、炭素−炭素二重結合基、エポキシ基等が挙げられる。
前記紫外線硬化樹脂のモノマーの具体例としては、特に限定されないが、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンヘキサ(メタ)アクリレート、及びこれらの変性体が挙げられる。
なお、(メタ)とは、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートの場合には、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタアクリレートを表す。
前記光重合開始剤は、光照射により分解されて、ラジカルを発生してラジカル重合を進行させるものである。光重合開始剤は、光照射及によりラジカル重合を開始させる物質を放出することが可能であればよい。
前記光重合開始剤の具体例としては、特に限定はされないが、例えば、ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、4,4’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン等のアルキルフェノン類、キサントン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等どのキサントン、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のアシロインエーテル類、ベンジル、ジアセチル等のα−ジケトン類、テトラメチルチウラムジスルフィド、p−トリルジスルフィド等のスルフィド類、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル等の安息香酸類等が挙げられる。これらのうち1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
塗工液の調製方法は、特に限定はないが、まず、紫外線硬化樹脂のモノマーと溶剤(E)を混合し、その後前記変性コロイダルシリカを混合し、最後に光重合開始剤を混合する。
紫外線硬化樹脂のモノマーの、塗工液に対する重量割合は、5〜80重量%が好ましく、10〜70重量%がさらに好ましく、15〜60重量%が特に好ましい。5重量%未満では、塗工液が硬化しない可能性がある。80重量%を超えると、強い粘性のため塗工が困難となる可能性がある。
変性コロイダルシリカの、塗工液に対する重量割合は、10〜90重量%が好ましく、15〜85重量%がさらに好ましく、20〜80重量%が特に好ましい。10重量%未満では、鉛筆硬度が低下する可能性がある。90重量%を超えると、塗工液が硬化しない可能性がある。
光重合開始剤の、塗工液に対する重量割合は、0.05〜20重量%が好ましく、0.1〜15重量%がさらに好ましく、0.2〜10重量%が特に好ましい。0.05重量%未満では、塗工液が硬化しない可能性がある。20重量%を超えると、鉛筆硬度が低下する可能性がある。
前記変性シリカ微粒子の、前記紫外線硬化樹脂のモノマーに対する重量割合は、5〜400重量%が好ましく、10〜200重量%がより好ましく、15〜150重量%がさらに好ましく、20〜100重量%が特に好ましい。5重量%未満では、鉛筆硬度が低下する可能性があり、400重量%を超えると、塗工液が硬化しない可能性がある。
〔ハードコート樹脂基材〕
ハードコート樹脂基材も、本願の発明であり、樹脂基材に対して前記塗工液を硬化させてなる塗膜を有する。
前記樹脂基材の樹脂は、熱硬化性樹脂であっても、熱可塑性樹脂であってもよい。前記熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリウレタン系樹脂等が挙げられる。前記熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂、ナイロン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。
前記樹脂基材の基材は、形状は特に限定されるものではなく、平面状であっても、凹凸状であっても、曲面状であってもよい。本願発明の目的である、良好な耐カール性を得られ易いという観点から、平面状が好ましい。
基材の厚さは、本願の耐カール性が得られ易い観点から、10〜1000μmが好ましく、15〜500μmがさらに好ましく、20〜200μmが特に好ましい。
樹脂基材に、塗工液を塗布する方法は、特に限定されないが、例えば、スピンコート法、デイップ法、スプレー法、スライドコート法、バーコート法、ロールコーター法、メニスカスコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、ビードコーター法等の各種方法で基材上に塗布することができる。塗工物は、通常は、必要に応じて乾燥し、その後、紫外線を照射して硬化させることにより塗膜が形成される。均一に塗布する観点から、バーコート法による方法が好ましい。
塗膜の厚さは、0.1〜100μmが好ましく、1〜70μmがより好ましく、5〜50μmがさらに好ましい。0.1μm未満では、塗膜硬度の良好化が十分に発現しない可能性があり、100μmを超えると塗膜の外観が悪化する可能性がある。
前記塗工液を塗布した後、紫外線にて硬化させる前に、塗工液中の揮発成分を除くために乾燥させることが好ましい。紫外線照射による硬化前に、有機溶媒が塗工液中に残存していると、硬化が阻害される可能性がある。
前記乾燥方法としては、例えば、減圧乾燥または加熱乾燥、更にはこれらの乾燥を組み合わせる方法等が挙げられる。また、常圧で乾燥させる場合は、30〜110℃で乾燥させることが好ましい。例えば、変性コロイダルシリカの有機溶媒(E)としてプロピレングリコールモノメチルエーテル(PM)を用いる場合は、通常室温〜80℃、好ましくは40℃〜70℃の範囲内の温度で、20秒〜20分、好ましくは30秒〜15分の時間で乾燥工程が行われる。
紫外線硬化方法としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等を使用する。エネルギー線源の照射量は、紫外線波長365nmでの積算露光量として、50〜5000mJ/cm程度である。照射時間は、1〜60秒が好ましい。
前記ハードコート樹脂基材は、偏光板、タッチパネル等の平面状の物品を保護する保護フィルムとしてだけでなく、前記平面状の物品以外のプラスチック物品、例えば、携帯電話等の家電製品や自動車のバンパー等の成形品の表面を保護する為にも好適に用いられる。
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、ここに記載した実施例に限定され
るものではない。
(実施例1)
<工程(I)>
減圧蒸留装置を備えたフラスコ(容量1L)に、水性シリカゾルとして、市販の酸性水性シリカゾル(商品名:スノーテックス−O、二酸化ケイ素濃度20重量%、日産化学工業(株)製)165g、アルコール(C)として、イソプロパノール(IPA)257g(330mL)及びシランカップリング剤(A)として、3−メタクリロイルプロピルトリメトキシシラン0.99g(二酸化ケイ素に対し3重量%)を加え、70℃で5時間反応させた。
<工程(II)>
工程(I)で得られた生成物に、シランカップリング剤(B)として、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)9.9g(二酸化ケイ素に対し30重量%)を加えて3時間反応を行うことにより変性シリカ微粒子の水/IPA溶媒分散液を得た。シランカップリング剤(B)とシランカップリング剤(A)との重量比率(B/A)は10であった。
<工程(III)>
変性シリカ微粒子の水/IPA溶媒分散液の液面を保持しつつ、共沸用有機溶媒(D)として、IPA515g(600mL)を加えながら減圧蒸留による共沸により水分を留去し、その後有機溶媒(E)として、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PM)90gを加えてIPAを蒸留で取り除き、更に濃縮して固形分濃度30重量%の変性コロイダルシリカが得られた。得られたゾルの前記変性シリカ微粒子の平均粒子径は、19nmであった(動的光散乱法により測定し、キュムラント法で計算されたもの)。粘度は、1.9mPa・sで、外観は無色透明、水分量は0.2%、アルコール(C)及び共沸用有機溶媒(D)は検出されなかった。尚、水分はカールフィッシャー法で確認した。また、アルコール(C)及び共沸用有機溶媒(D)の残存量はH−NMRで確認した。
<塗工液>
紫外線硬化樹脂のモノマーとして、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート48重量部に、当該変性コロイダルシリカ40重量部と有機溶媒(E)9.1重量部、光重合開始剤(ベンゾフェノン 東京化成(株)製)2.9重量部を加え、紫外線硬化樹脂モノマーに対する変性シリカ微粒子の重量割合が25重量%となるように、塗工液を調製した。
<ハードコート樹脂基材>
バーコーターNo.5でPETフィルム(膜厚125μm)に塗布(膜厚11μm)し、70℃で10分乾燥させた後、7秒UV照射(1000mJ/cm)をして硬化させ、硬化塗膜を有するハードコート樹脂基材を得た。
(実施例2〜9)
表1及び表2に記載の各例の配合成分に変更した以外は実施例1と同様にして、評価した。その結果を表1及び表2に示す。
なお、表中の略号は、次の化合物を示すものとする。
3−MPTMS : 3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
3−APTMS : 3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン
3−MPDMS : 3−メタクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン
HMDS : ヘキサメチルジシラザン
HMDSO : ヘキサメチルジシロキサン
IPA : イソプロパノール
EtOH : エタノール
MIBK : メチルイソブチルケトン
(実施例10)
工程(I)及び工程(II)では、実施例8と同様に行い、工程(III)を経ることなく、変性シリカ微粒子の水/IPA溶媒分散液の揮発成分を留去して、変性シリカ微粒子の乾燥粉体を取り出した。次に、有機溶媒(E)として酢酸ブチル77gを添加し、該変性シリカ微粒子を分散させ、固形分濃度30重量%の変性コロイダルシリカが得られた。得られたゾル中の前記変性シリカ微粒子の平均粒子径は、57nmであった(動的光散乱法で確認)。粘度は、0.74mPa・sで、外観は無色透明、水分、アルコール(C)及び共沸用有機溶媒(D)は検出されなかった。
(比較例1)
変性シリカ微粒子を添加せず、紫外線硬化樹脂のモノマーとして、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート60重量部に、有機溶媒(E)として酢酸ブチル40重量部と光重合開始剤(ベンゾフェノン 東京化成(株)製)3重量部を加え、塗工液を調製した。以降は、実施例1と同様にした。
(比較例2)
減圧蒸留装置を備えたフラスコ(容量1L)に、実施例1と同じ水性シリカゾル165gを加え、工程(I)及び工程(II)を経なかったこと以外は、実施例1と同様にした。
(比較例3)
工程(II)において、シランカップリング剤(B)を使用しなかったこと以外は実施例1と同様にした。
(比較例4)
工程(I)及び工程(II)では、シランカップリング剤(A)を使用しなかったこと以外は実施例1と同様に行い、工程(III)を経ることなく、変性シリカ微粒子の水/IPA溶媒分散液の揮発成分を留去して、変性シリカ微粒子の乾燥粉体を取り出した。次に、有機溶媒(E)としてPM77gを添加し、該変性シリカ微粒子を分散させ、固形分濃度30重量%の変性コロイダルシリカが得られた。得られたゾル中の前記変性シリカ微粒子の平均粒子径は、85nmであった(動的光散乱法で確認)。粘度は、1.9mPa・sで、外観は無色透明、水分、アルコール(C)及び共沸用有機溶媒(D)は検出されなかった。
(比較例5)
工程(I)及び工程(II)では、実施例1と同様に行い、工程(III)を経ることなく、変性シリカ微粒子の水/IPA溶媒分散液の揮発成分を留去して、変性シリカ微粒子の乾燥粉体を取り出した。次に、有機溶媒(E)としてPM77gを添加し、該変性シリカ微粒子を分散させ、固形分濃度30重量%の変性コロイダルシリカが得られた。得られたゾル中の前記変性シリカ微粒子の平均粒子径は、80nmであった(動的光散乱法で確認)。粘度は、1.9mPa・sで、外観は無色透明、水分、アルコール(C)及び共沸用有機溶媒(D)は検出されなかった。 比較例1〜5の評価結果を表3に示す。
Figure 2015086103
Figure 2015086103
Figure 2015086103
<塗工液の外観>
以下の◎及び○を合格とした。
◎:無色透明
○:微黄色〜黄色透明
×:ブツ状の凝集物が見られる
<鉛筆硬度試験>
前記試験片の塗膜の鉛筆硬度を、JIS K5600−5−4に従い、B〜4Hの試験用鉛筆を用いて、荷重750gの鉛筆引っかき試験によって評価した。
H以上を合格とし、F以下を不合格とした。
(硬い) 4H>3H>2H>H>F>HB>B (柔らかい)
<塗膜外観>
塗膜の外観を目視にて確認し、以下の○を合格、×を不合格とした。
○:無色透明
×:スジ、ユズ肌等が見られる
<耐カール性>
ハードコート樹脂基材のPETフィルムの5cm四方の塗膜について、塗膜を作成してから24時間後の4角の浮いた高さ(mm)を測定し、その平均値で評価した。値が小さいほどカールが小さく優れた塗膜である。
以下の◎及び○を合格とした。
◎:3.0mm以下
○:3.0mm超〜3.5mm以下
×:3.5mm超
表1〜3から分かるように、実施例1〜10では、シランカップリング剤(A)とシランカップリング剤(B)との重量比率(B/A)が6〜20であるため、有機溶媒中において変性シリカ微粒子の凝集が効果的に抑制され、さらに硬化膜中において変性シリカ微粒子が均一に分散するために、耐カール性が良好である。
一方、比較例1〜5では、シランカップリング剤(A)とシランカップリング剤(B)のいずれかを反応させていないために(比較例1〜4)、及びシランカップリング剤(A)とシランカップリング剤(B)との重量比率(B/A)が6〜20の範囲にない(比較例5)ために、本願の効果が得られない。
本発明の製造方法で得られた変性シリカ微粒子は、紫外線硬化樹脂のモノマーなどに配合してフィラーとして使用し塗布した際に、変性していないシリカ微粒子と比較して、硬化時の耐カール性に優れ、硬度の高い塗膜を提供することが可能であり、液晶画面やレンズ、フィルムなどの表面のハードコート膜等として使用できる。

Claims (8)

  1. 二酸化ケイ素を含む水性シリカゾルと、下記一般式(1)で表現されるシランカップリング剤(A)とを混合し、反応させる工程(I)と、
    前記工程(I)で得られた生成物と、下記一般式(2)で表現される化合物(2)及び/または下記一般式(3)で表現される化合物(3)から構成されるシランカップリング剤(B)とを混合し、反応させる工程(II)とを含み、
    前記シランカップリング剤(A)が、前記二酸化ケイ素に対して0.1〜20重量%であり、シランカップリング剤(A)とシランカップリング剤(B)との重量比率(B/A)が6〜20である、変性シリカ微粒子の製造方法。
    SiX4−m−n (1)
    〔式中、Rは1〜20個の重合性官能基を有する有機基を表す。Rは炭素数1〜10のアルキル基を表す。Xはアルコキシ基またはハロゲンを表す。mは1〜3の整数。nは0〜2の整数。m+nは3以下。〕
    SiY4−p (2)
    〔式中、Rは、炭素数1〜20のアルキル基またはアリール基を表し、Rが複数ある場合は、同一であってもよく、異なっていてもよい。pは1〜3の整数。Yはアルコキシ基またはハロゲンを表す。〕
    (R Si)Z (3)
    〔式中、Rは、炭素数1〜6のアルキル基またはアリール基を表し、Rが複数ある場合は、同一であってもよく、異なっていてもよい。Zは酸素またはイミノ基を表す。〕
  2. 前記重量比率(B/A)が、10〜20である、請求項1に記載の変性シリカ微粒子の製造方法。
  3. 前記Rが、(メタ)アクリロイル基またはビニル基である、請求項1または2に記載の変性シリカ微粒子の製造方法。
  4. 前記シランカップリング剤(B)がヘキサメチルジシラザンである、請求項1〜3のいずれかに記載の変性シリカ微粒子の製造方法。
  5. 前記水性シリカゾルが、水ガラス法で製造されたものである、請求項1〜4のいずれかに記載の変性シリカ微粒子の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかの製造方法で製造された変性シリカ微粒子及び有機溶媒(E)を含む、変性コロイダルシリカ。
  7. ハードコート樹脂基材に用いられる塗工液であって、請求項6に記載の変性コロイダルシリカ、紫外線硬化樹脂のモノマー及び光重合開始剤を含む、塗工液。
  8. 樹脂基材の表面に請求項7に記載の塗工液を硬化させてなる塗膜を有する、ハードコート樹脂基材。
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