以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部分には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は、原則として省略する。
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。また、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことはいうまでもない。
同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
以下、実施の形態1および実施の形態2について、順次説明する。各実施の形態を説明する前に、それぞれの対象について説明する。
実施の形態1は、ユーザが自動分析装置を使用して試料を測定する場合を対象としている。ここで、「ユーザ」とは、例えば臨床検査技師や製薬メーカ、臨床検査用試薬を供給する試薬メーカ、自動分析装置を提供する装置メーカなどが含まれる。本願明細書においては、自動分析装置を使用して試料を測定する場合を、「試薬運用バージョン」と称し、臨床検査技師が臨床検査室で自動分析装置を用いる場合を例に、実施の形態1を説明する。ユーザが臨床検査技師の場合の試薬運用バージョンにおいては、臨床検査室で、ルーチン的に検査が行われる。この検査においては、患者の血液や尿など個々の検体(生体試料あるいは試料)が、自動分析装置の測定対象となる。この場合、自動分析装置には、既に撹拌条件が設定されている。この既に設定されている撹拌条件が適切かどうかの判定が、実施の形態1においては行われる。既に設定されている撹拌条件は、例えば、試薬を提供するメーカ(試薬メーカ)が試薬を供給する際に提供した撹拌条件、あるいは自動分析装置を据え付ける時に検討して決めた撹拌条件である。
測定すべき試料の液性によっては、試薬メーカが提供した撹拌条件や装置据付時に検討決定した撹拌条件が適さない場合がある。既に設定されている撹拌条件を基にして、実施の形態1に従い判定を行い、撹拌条件が適切でなかったと判定した場合には、例えば撹拌条件を変更して、検体を再度検査する。これにより、適切でない撹拌条件を使用することによる誤った測定結果を報告する危険性を除去することが可能となる。そのため、実施の形態1において述べる撹拌条件判定機能は、個々の検体(N=1)に対して運用される。
一方、実施の形態2は、自動分析装置を使用して、ユーザが臨床検査用試薬に適した撹拌条件あるいは撹拌条件を含む分析パラメータを決める場合を対象としている。ここで「ユーザ」とは、臨床検査用試薬を供給する試薬メーカや自動分析装置を提供する装置メーカなどが含まれる。本願明細書では、自動分析装置を試薬の測定条件を決定するために使用する場合を「試薬評価バージョン」と称し、試薬メーカが試薬を供給する際にその試薬に適した撹拌条件を検討する場合を例に、実施の形態2を説明する。
試薬メーカにおいては、実施の形態2において述べる撹拌条件判定機能を、例えば供給する試薬に対して適切な撹拌条件を定める際に運用する。すなわち、供給する試薬に対して、仮の撹拌条件を設定し、実施の形態2において述べる撹拌条件判定機能を運用し、試薬に適した撹拌条件が求まるまで、撹拌条件を変更しながら判定を繰り返す。あるいは自動分析装置据付時の試薬ランニングで運用する。この場合、撹拌条件判定機能を用いて、仮に設定した撹拌条件あるいはそれを含む分析パラメータが適切かどうかをチェックする。
試薬評価バージョンの場合、測定すべき試料は標準液やコントロールであり、判定対象は数検体に及ぶ(N=x)。この場合、検体間で、試料としては同じ標準液やコントロールが用いられ、試薬も同じ試薬が用いられる。これにより、検体間の再現性、バラツキも判定することが可能となる。
いずれの実施の形態においても、撹拌条件が適切でないと判定されると、撹拌条件を再設定して適切な条件が出るまで評価を行うことができる。また、後で詳しく説明するが、すべての評価は自動的にスコア化され、定量化される。そのため、ユーザ(検査技師、試薬メーカ、装置メーカ)は評価に使用する時間・労力を短縮することができる。すなわち、効率化を図ることができる。
また、撹拌条件判定機能は、先に述べた様に、プログラムをプロセッサが実行することにより、達成される。従って、試薬運用バージョンに対応したプログラムと試薬評価バージョンに対応したプログラムを用意し、いずれかをプロセッサによって実行させることにより、自動分析装置の構成を変更せずに、試薬運用バージョンの自動分析装置と試薬評価バージョンの自動分析装置を提供することができる。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態に係わる自動分析装置の構成を示すブロック図である。この実施の形態においては、血液、尿などの生体試料の分析を行う、ラックタイプの臨床用自動分析装置を例として説明するが、本発明はこれに限定されるものでは無い。図1において、1000は、自動分析装置を示している。
自動分析装置1000は、反応ディスク1、反応容器2、反応容器2の洗浄機構3、光度計4、撹拌機構5(同図では、51〜52)、撹拌機構5の撹拌棒を洗浄するための洗浄槽6(同図では、61〜62)、試薬分注機構7(同図では、71〜72)、試薬分注機構7の試薬分注プローブを洗浄するための洗浄槽8(同図では、81〜82)を具備している。さらに自動分析装置1000は、試薬ディスク9、様々な試薬が入った試薬ボトル10、試料分注機構11(同図では、111〜112)、試料分注機構11の試料分注プローブを洗浄するための洗浄槽12(同図では、121〜122)、試料容器13、試料容器13を搬送するための搬送ラック14、試料搬送機構15を具備している。上記した自動分析装置1000の構成の説明において、()内は、図面における構成を示している。例えば、51〜52は、それぞれ撹拌機構を示しており、これらの撹拌機構を纏めて表現する場合、本願明細書においては、撹拌機構5の様に記載する。他の構成についても同様である。
反応容器2は、反応ディスク1上に同心円状に配置される。試薬ボトル10は、試薬ディスク9上に同心円状に配置される。試薬分注機構7には試薬用ポンプ16が接続される。試料分注機構11には試料用ポンプ17が接続される。洗浄機構3には洗浄用ポンプ18が接続される。なお、同図においては、反応ディスク1に配置された複数の反応容器の内、1つの反応容器についてのみ、符号が付されている。同様に、試薬ディスク9に配置された複数の試薬ボトル10についても、1つの試薬ボトルについてのみ、符号が付されている。
同図において、19は、機構制御部(同図では、制御部)であり、プロセッサ、メモリなどから構成され、各機構に結合され、各機構の動作を制御する。また、ユーザは、表示部20に表示された操作画面21を通して、機構制御部19に動作の指示をすることができる。なお、動作の指示は、キーボード、マウス、タッチパネル等の入力装置(図示せず)を用いて入力される。制御部19、表示部20および入力装置を、制御機構部と見なすことができる。この様に見なした場合、表示部20は、情報を出力する出力部と見なし、表示部20の操作画面21および入力装置を、データを入力する入力部と見なす。
図1において、22は、撮影機構であり、撹拌前後の反応容器2内の様子を確認するために反応容器2内の写真あるいは動画を撮影する。撮影機構22も機構制御部19に結合され、その動作は機構制御部19によって制御される。
自動分析装置1000による測定(分析)は、以下の順で実施される。まず、試料分注機構11(111〜112)が、被分析試料を試料容器13から反応容器2へと分注する。次に、試薬分注機構7(71〜72)が、分析に使用する試薬を試薬ボトル10から反応容器2へと分注する。続いて、撹拌機構5(51〜52)が、反応容器2に分注された試料と試薬を撹拌して、反応液を生成する。
光度計4(光度機構)は、反応容器2が光度計4の前を通過する度に反応液を測光する。すなわち、反応ディスク1は所定の方向に回転し、回転する度に、反応容器2は、光度計4の前を通過し、通過の際に、測光が行われる。機構制御部19は、光度計4にも結合されており、光度計4により取得された測光データは、機構制御部19へ供給される。機構制御部19は、測光データに基づいて、分析対象項目の濃度演算を行う。表示部20(情報機器)は、濃度演算によって得られた結果を表示する。
撹拌機構5(51〜52)の撹拌棒は、撹拌をする毎に洗浄槽6(61〜62)で洗浄される。試薬分注機構7(71〜72)の分注プローブは、分注をする毎に洗浄槽8(81〜82)で洗浄される。試料分注機構11(111〜112)の分注プローブは、分注をするごとに洗浄槽12(121〜122)で洗浄される。また、測光終了後の反応容器2は洗浄機構3によって洗浄され、次の分析に繰り返し使用される。
次に、機構制御部19、表示部20および入力装置を有する制御機構(図示せず)により実現される撹拌条件判定機能について、説明する。撹拌条件判定機能は、設定されている撹拌条件に従って撹拌が行われたとき、複数のチェックポイントで撹拌の状態を判定し、総合的に撹拌の状態を判定する。この実施の形態においては、次の3つのチェックポイントで撹拌の状態を判定する。すなわち、(1)画像による判定、(2)反応過程による判定、(3)測定結果(数値)による判定である。
ここで、「(1)画像による判定」は、撮影機構22によって撮影された反応容器2の写真画像あるいは動画画像を解析することにより、行われる。「(2)反応過程による判定」は、反応液の吸光度の経時的変化(反応過程)を解析することにより、行われる。また、「(3)測定結果(数値)による判定」は、キャリブレーションの結果、あるいは測定結果の再現性あるいは測定結果の正確性などの数値を解析することにより、行われる。後で図面を用いて説明するが、それぞれのチェックポイントにおける判定結果は、スコアとして表される。この実施の形態においては、「(1)画像による判定」の結果は、スコアA1として表され、「(2)反応過程による判定」の結果は、スコアA2として表され、更に「(3)測定結果(数値)による判定」の結果は、スコアA3として表される。総合的な判定(総合判定)は、これらのスコアA1〜A3の合計で表され、総合スコアSとされる。
この実施の形態においては、チェックポイントに優先順位を付与することが可能とされている。優先順位を付与することにより、総合判定における各チェックポイントの比重を定めることが可能となる。比重を定める(反映させる)と言う観点で、本願明細書においては、優先順位は「重みづけファクタ」で表す。この場合、3つのチェックポイントは、重みづけファクタb1〜b3で表し、「(1)画像による判定」に対する重みづけファクタはb1とし、「(2)反応過程による判定」に対する重みづけファクタはb2とし、「(3)測定結果(数値)による判定」に対する重みづけファクタはb3とする。特に制限されないが、重みづけファクタb1〜b3のそれぞれは、数値で定義し、数値を高くするほど、その重みづけファクタに対応するチェックポイントの優先順位が高くなる。
例えば、3つのチェックポイントのうち、「(1)画像による判定」のチェックポイントを、総合判定において優先させたい場合、「(1)画像による判定」のチェックポイントに対応する重みづけファクタb1の数値を、他の重みづけファクタb2、b3に比べて高い値とする。これにより、総合判定における「(1)画像による判定」のチェックポイントの優先順位を高くし、「(1)画像による判定」の結果が、総合判定により高く反映される様になる。
一方、各チェックポイントの全ての優先順位を等しくする場合には、全ての重みづけファクタb1〜b3の数値を同じ値にする。例えば、この場合、重みづけファクタb1〜b3のそれぞれの数値は1とされる。
各チェックポイントの結果であるスコアA1〜A3と、各チェックポイントの重みづけファクタb1〜b3が、総合判定の総合スコアSに反映される様に、この実施の形態においては、総合スコアSは、式(1)によって求められる。すなわち、スコアとそれに対応する重みづけファクタとを掛けて求めた数値の総和を求めて、総和の値を総合スコアSとする。
S=A1×b1+A2×b2+A3×b3 ・・・・・・・式(1)
この様に総合判定を数値(スコアSの値)として表す様にしたことにより、定量的に比較および/あるいは判定を行うことが可能となる。また、この実施の形態においては、総合判定の総合スコアSに対して基準となる基準値を設定することが可能とされる。総合判定に対する設定値S’として設定された設定値は、式(1)で求めた総合スコアSの値と比較される。この比較の結果を見ることにより、測定に使用した撹拌条件が適切であったか否かを容易に判定することが可能となり、より効率化を図ることが可能となる。設定値S’および重みづけファクタb1〜b3のそれぞれの数値は、ユーザが任意に設定する。
また、各チェックポイントにおいて、判定の結果が適切であることを示す場合のスコア値と、判定の結果が適切でないことを示す場合のスコア値も、ユーザが任意に設定する。例えば、ユーザは、「(1)画像による判定」のチェックポイントにおいて、判定の結果が適切であることを示す場合のスコア値と、このチェックポイントにおいて、判定の結果が適切でないことを示す場合のスコア値とを設定する。他のチェックポイントにおいても同様にして、ユーザは、判定の結果を示すスコア値を設定する。
設定されたスコア値が、チェックポイントの結果であるスコアの値とされる。上記した「(1)画像による判定」のチェックポイントを例にすると、このチェックポイントでの判定が、適切を示す場合、適切を示す様に設定されたスコア値が、このチェックポイントの結果であるスコアA1の数値とされる。これに対して、このチェックポイントでの判定が、適切でないことを示す場合、適切でないことを示す様に設定されたスコア値が、このチェックポイントの結果であるスコアA1の数値とされる。他のチェックポイントについても同様である。
また、後で説明するが、各チェックポイントにおいて、適切であるか否かを判定する際に用いられる条件(基準値等)についても、ユーザが任意に設定することができる。条件を用いて判定すると考えた場合、上記した「判定の結果が適切であることを示す場合」とは、「条件を満たした場合」と見なすことができる。同様に、上記した「判定の結果が適切でないことを示す場合」とは、「条件を満たさない場合」と見なすことができる。この様に見なした場合、条件を満たした場合のスコア値と条件を満たさない場合のスコア値を、ユーザが設定することになる。
制御部19は、図1を用いて説明した自動分析装置の動作を制御するだけでなく、上記した3つのチェックポイントにおいて、解析および判定(スコアの算出を含む)を行い、更に総合判定の総合スコアSの算出および設定値S’と総合スコアSとの比較を自動で行う。すなわち、制御部19は、試料と試薬とを用いた測定の制御と、上記したチェックポイントでの解析、判定および総合判定の動作の制御を行う。以下では、測定の制御に関する説明は省略し、チェックポイントでの解析、判定および総合判定の制御について、主に説明する。チェックポイントでの解析、判定および総合判定の制御においても、ユーザ(オペレータ)は、図1に示した表示部20に表示された操作画面21および入力装置(図示せず)を用いて、各チェックポイントの詳細を制御部19に対して入力する。ここで入力された条件、情報に従い、制御部19は各種の制御を行う。
制御部19による制御の動作を説明する前に、自動分析装置1000の表示部20に表示される操作画面21の構成を説明する。以下の説明では、特に制限されないが、制御部19へ入力される条件、情報等は、図示されていない入力装置を用いて行われる。
図2から図5は、この実施の形態に係わる自動分析装置1000の表示部20に表示される操作画面21の構成を説明する図である。表示部20に表示される操作画面21は、2種類の画面がある。すなわち、この実施の形態の例においては、表示部20は、2種類の操作画面を、相互に切り替えて表示する。図2には、1種類目の操作画面21aが示されており、図3から図5には、2種類目の操作画面21b〜21dが示されている。
図2に示した操作画面21aは、予め設定した撹拌条件に従って撹拌された状態を判定する撹拌条件判定機能を有効あるいは無効に設定するための操作画面である。また、この操作画面21aには、撹拌条件判定機能を有効に設定した場合に、上記した(1)から(3)のチェックポイントのそれぞれにおける条件・情報(判定基準や重みづけファクタなど)を登録するための2種類目の操作画面21b〜21dへの遷移を指示する詳細ボタン32が設けられている。更に、この操作画面21aには、撹拌条件判定機能を有効に設定した場合、総合判定の設定値S’を登録するテキストボックス33が設けられている。先ず、この操作画面21aの操作方法について、説明する。
図2に示した操作画面21aにおいて、31aは、この操作画面のタイトルを示しており、この実施の形態においては、操作画面21aのタイトルは、「分析パラメータ設定画面―撹拌条件判定」となっている。同図において、31はチェックボックスであり、撹拌条件判定機能を有効に設定する場合には、このチェックボックス31にチェックマークが付される。反対に、この撹拌条件判定機能を無効に設定する場合には、チェックボックス31のチェックマークを外す。この実施の形態においては、撹拌条件判定に使用するチェックポイントは、上記した(1)から(3)の3つとなっている。
同図において、32aは、この3つのチェックポイントを項目として記載したチェックポイント項目表示である。3つのチェックポイント32aに対して、詳細ボタン32(図では詳細と記載)が設けられている。すなわち、一つのチェックポイントに対して1つの詳細ボタンが設けられている。同図では、チェックポイントの項目表示の右側に、対応する詳細ボタンが配置されている。(1)のチェックポイント「(1)画像による判定」を例にすると、同図において、その右側に配置された詳細ボタンが、このチェックポイントに対応する。残りの(2)から(3)のチェックポイントについても、同様に詳細ボタンが配置されている。また、同図において、33は、総合判定の設定値S’を登録(設定)するテキストボックスであり、その左側に、このテキストボックス33の名称である「総合判定 設定値」が記載されている。
ユーザは、チェックボックス31にチェックマークを付して、撹拌条件判定機能を有効にする。例えば、この機能を有効に設定した後、各チェックポイントに対応した詳細ボタンを順次押す。詳細ボタン32を、同図において、例えば上から下に向かって順次押すことにより、それぞれの詳細ボタンに対応するチェックポイントに対して、条件・情報を登録する2種類目の操作画面21b〜21dへ遷移する。例えば、同図において示した3個の詳細ボタンのうちの最も上側の詳細ボタンを押すことにより、この詳細ボタンに対応する(1)のチェックポイントにおける、条件・情報を設定する操作画面21bへ遷移し、上から2番目の詳細ボタンを押すことにより、(2)のチェックポイントにおける、条件・情報を設定する操作画面21cへ遷移し、上から3番目の詳細ボタンを押すことにより、(3)のチェックポイントにおける、条件・情報を設定する操作画面21dへ遷移する。
上記した説明から理解される様に、テキストボックス33は。スコアの総合判定の際に使用する基準の設定値S’を設定するテキストボックスである。また、同図において、34は設定ボタンであり、35は取消ボタンである。この操作画面21aで設定した条件で登録する場合、設定ボタン34が押され、設定した条件をキャンセルし操作画面21aを非表示にする場合には、取消ボタン35が押される。
詳細ボタン32、設定ボタン34、取消ボタン35は、例えば入力装置(図示しない)に含まれるマウス等により、押してもよいし、操作画面21aにタッチすることにより、これらのボタンを押す様にしてもよい。また、テキストボックス33へのテキスト(数値)の入力は、入力装置のキーボードを用いて入力する様にすればよい。更にチェックボックス31についても、上記したマウスあるいは操作画面のタッチにより、チェックマークを付したり、外したりすればよい。以下の操作画面においても、同様な方法で、チェックボックスにマークを付したり、外したりする。また、各種ボタンを押す操作も同様であり、テキストボックスへの入力も同様である。
撹拌条件判定機能における各種の詳細な条件・情報を決定し、登録する操作画面(2種類目の操作画面)21b〜21dは、この操作画面「分析パラメータ設定画面−撹拌条件判定」21aから遷移する。そのため、判定機能の詳細を決定する操作画面は、分析パラメータ設定画面21aに付属していると見なすこともできる。次に、分析パラメータ設定画面21aにおいて、順次詳細ボタン32が押された場合を説明する。
先ず、分析パラメータ設定画面21aにおける3個の詳細ボタン32の内、最も上側の詳細ボタンが押された場合を述べる。(1)のチェックポイントに対応する詳細ボタンが押される(選択される)と、表示部20における操作画面は、図3に示す操作画面21bへ遷移する。操作画面21bは、(1)のチェックポイントの詳細条件・情報を設定する操作(設定)画面である。図3において、41aは、この操作画面21bのタイトルであり、この実施の形態においては、「(1)画像による判定詳細画面」となっている。この操作画面21bにおいては、(1)のチェックポイントに関する条件・情報を設定する。この実施の形態においては、条件・情報として、撮影タイミング41、判定手段42、スコア43および重みづけファクタ44を、この操作画面21bで設定する。
撮影タイミング41および判定手段42のそれぞれは、項目が列記されており、該当する項目にチェックボックスが設けられている。列記されている項目から任意の項目を選択して、チェックマークを付すことにより、そのチェックマークが付された項目が選択される。一方、スコア43および重みづけファクタ44のそれぞれは、テキストボックスであり、ユーザにより任意の数値が入力される。
図3に示した操作画面21bにおいて、撮影タイミング41としては、項目として4つの項目が設けられている。すなわち、第1試薬を注入し、撹拌する直前を意味する「第1試薬撹拌直前」、第1試薬を注入し、撹拌をした直後を意味する「第1試薬撹拌直後」、第2試薬を注入し、撹拌する直前を意味する「第2試薬撹拌直前」、更に第2試薬を注入し、撹拌した直後を意味する「第2試薬撹拌直後」である。同図において、これらの項目の右側には、それぞれに対応するチェックボックスが設けられている。チェックボックスにチェックマークを付すことにより、そのチェックボックスに対応する項目が選択される。選択された項目によって意味されているタイミングで、撮影が行われる。例えば、同図においては、最も下側のチェックボックスにチェックマークが付されている。これにより、最も下側の項目である「第2試薬撹拌直後」が選択される。選択された項目である「第2試薬撹拌直後」により意味されているタイミング、すなわち第2試薬を注入し、撹拌を行った直後に、撮影機構22により撮影が行われる。
判定手段42としては、項目として2つの項目が設けられている。すなわち、写真による画像撮影を意味する項目「写真」と、動画による画像撮影を意味する項目「動画」である。同図において、各項目の左側に、チェックボックスが設けられおり、チェックボックスにチェックマークを付すことにより、対応する項目が選択される。同図では、項目「写真」の左側に設けられたチェックボックスにチェックマークが付されているため、写真により撮影された画像が、判定手段として用いられる。
(1)のチェックポイントには、判定指標が多数あり、すべてを判定に用いることができる。この実施の形態においては、判定指標として、「飛散り(エリア1)」、「飛散り(エリア2)」、「反応液中の気泡(図では、気泡)」、「反応液面の気泡層(図では、反応液面の気泡)」が例として示されている。各指標には、後に説明する方法で、「正常(条件を満たす)」あるいは「異常(条件を満たさない)」と判定された場合のスコア値をテキストボックス43に設定する。
すなわち、「飛散り(エリア1)」に対応したテキストボックス43aに正常(条件を満たす)と判定された場合のスコア値が設定され、「飛散り(エリア1)」に対応したテキストボックス43bに異常(条件を満たさない)と判定された場合のスコア値が設定される。同様にして、「飛散り(エリア2)」に対応したテキストボックス43cに正常と判定された場合のスコア値が設定され、「飛散り(エリア2)」に対応したテキストボックス43dに異常と判定された場合のスコア値が設定される。また、「反応液中の気泡」に対応したテキストボックス43eに正常と判定された場合のスコア値が設定され、「反応液中の気泡」に対応したテキストボックス43fに異常と判定された場合のスコア値が設定される。更に、「反応液面の気泡層」に対応したテキストボックス43gに正常と判定された場合のスコア値が設定され、「反応液面の気泡層」に対応したテキストボックス43hに異常と判定された場合のスコア値が設定される。図3の例においては、正常と判定された場合のスコア値として2が設定され、異常と判定された場合のスコア値として0が設定されている。
図3において、44は、(1)のチェックポイントの判定結果に付与する重みづけの値を設定するテキストボックスである。また、45は、条件の詳細を決定する設定ボタンであり、46は、設定した条件をキャンセルして画面21bを非表示にする取消ボタンである。これらのボタン45および46は、先に説明したボタン34および35と類似している。
図3に示した操作画面の設定例では、第2試薬添加後の撹拌直後に撮影機構22が撮影した反応容器2と反応液の写真を解析して判定する設定となっている。さらに、重みづけファクタはb1(数値)として設定されている。
次に、図2に示した分析パラメータ設定画面において、上から2番目の詳細ボタンが押された(選択された)場合を説明する。上から2番目の詳細ボタンを選択することにより、表示部20の画面は、図4に示した操作画面21cへ遷移する。操作画面21cは、「(2)反応過程による判定詳細画面」51aであり、(2)のチェックポイントの詳細条件・情報を設定する操作(設定)画面である。
この操作画面21cには、チェックボックス51とテキストボックス52〜54が設けられている。チェックボックス51は、判定に使用する波長を設定するチェックボックスであり、項目として、「主波長(図では主)」、「副波長(図では副)」、「二波長差」がある。ここで、二波長差は、主波長と副波長との差を意味する。テキストボックス54は、判定に使用する指標の基準値を設定するテキストボックスであり、テキストボックス52は、正常時と異常時のスコア値を設定するテキストボックスであり、テキストボックス53は、重みづけファクタb2を設定するテキストボックスである。
この実施の形態においては、(2)のチェックポイントにおける判定の指標として、反応液の反応過程における吸光度を用いている。すなわち、反応開始時点の吸光度A0、最終反応吸光度A1、反応速度定数kを、指標として用いる場合を示している。これらの反応開始時点の吸光度A0、最終反応吸光度A1、反応速度定数kのそれぞれについて、基準値をテキストボックス54に設定する。反応開始時点の吸光度A0を、一例として説明すれば、同図において、反応開始時点の吸光度A0の右側に配置されている2つのテキストボックスが、この反応開始時点の吸光度A0に対応し、この2つのテキストボックスに、基準となる範囲の下限値a00と上限値a01を設定する。同様にして、最終反応吸光度A1(反応速度定数k)についても、基準値となる範囲の下限値a10(k00)と上限値a11(k01)を、テキストボックス54に設定する。
各指標(A0、A1、k)には、後で説明する方法で「正常(条件を満たす)」あるいは「異常(条件を満たさない)」と判定された場合のスコア値を予め定め、この予め定めたスコア値をテキストボックス52に設定する。同図では、各指標(A0、A1、k)の右側に、対応するスコア値を設定するテキストボックスが配置されている。すなわち、各指標(A0、A1、k)の右側に、正常の場合のスコア値と異常の場合のスコア値を設定するテキストボックス52が設けられている。また、同図において、53は、(2)のチェックポイントに対して付与される重みづけファクタb2を設定するテキストボックスである。
なお、指標として、反応開始時点の吸光度A0、最終反応吸光度A1、反応速度定数kを例として示したが、これ以外に複数の指標があり、それらを用いることができる。
ユーザによって、図4に示す様に設定された場合、この設定は、二波長吸光度変化の解析を行い、重みづけファクタはb2(数値)であることを示している。また、操作画面21bと同様に、条件の詳細を決定する設定ボタン45、設定した条件をキャンセルして画面21cを非表示にする取消ボタン46が、この操作画面にも設けられている。
最後に、図2に示した分析パラメータ設定画面において、上から3番目の詳細ボタンが押された(選択された)場合を説明する。上から3番目の詳細ボタンを選択することにより、表示部20の画面は、図5に示した操作画面21dへ遷移する。操作画面21dは、「(3)測定結果(数値)による判定詳細画面」61aであり、(3)のチェックポイントの詳細条件・情報を設定する操作(設定)画面である。この実施の形態においては、指標として、キャリブレーションの際に行うチェックの項目を用いている。そのため、操作画面21dには、キャリブレーションの際に行うチェックの基準値を設定するチェックボックス61が設けられている。この場合も、判定に使用することが可能な指標は複数存在し、それらを判定に用いることができる。ここでは、説明を容易にするために、指標の一例として、「収束許容吸光度」、「ばらつき許容吸光度」、「感度許容吸光度」、「第一標準液吸光度範囲」を挙げている。
図5に示した操作画面21dにおいては、各指標の右側に基準値の範囲を示す下限値と上限値を設定する2つのテキストボックスが配置されている。すなわち、各指標のそれぞれに対して、対応する下限値と上限値とを設定するテキストボックスが設けられている。
この実施の形態は、試薬運用バージョンであるため、(3)のチェックポイントに対して、重みづけの設定はない。これは、後で図15Aおよび図15Bを用いて説明するが、(3)のチェックポイントで異常と判定された場合(指標の基準値を超えていた場合)、撹拌条件判定機構は、撹拌条件が不適切であると判定するためである。言い換えるならば、設定しなくても、(3)のチェックポイントに対しては、最も高い優先順位が付与されていると見なすこともできる。
なお、図5に示した設定では、収束許容吸光度が0〜20と設定されている。また、図3において説明したのと同様に、条件の詳細を決定する設定ボタン45、設定した条件をキャンセルして画面21dを非表示にする取消ボタン46が、この操作画面21dにも設けられている。
図2から図5を用いて説明した様にして、操作画面21a〜21dにより、ユーザが条件・情報を設定する。設定された条件・情報は、制御部19に伝えられ、後で図15A、図15B、図16Aおよび図16Bで説明する処理が行われる。
次に、(1)から(3)のチェックポイントにおける判定方法について説明する。先ず、(1)のチェックポイントにおける判定方法を説明する。図6から図9は、(1)のチェックポイントにおける判定方法を説明するための反応容器の模式的な断面図である。
(1)のチェックポイントにおける判定は、以下に述べる4点を用いて行う。以下に述べる4点は、試料と試薬を用いた測定に対して影響を与える。そのため、(1)のチェックポイントにおいて判定に用いている。この4点は、図3に示した操作画面21bにおいて、指標として設定した「飛散り(エリア1)」、「飛散り(エリア2)」、「反応液中の気泡」、および「反応液面の気泡層」に対応している。そのため、正常と判定された場合のスコア値と異常と判定された場合のスコア値が予め決められ、図3に示したテキストボックス43に設定されている。
(1)のチェックポイントにおいては、各指標のスコアの和(合計)が求められ、求められた和に対して重みづけファクタb1が掛け算されて、その掛け算の結果が、(1)のチェックポイントのスコアとされる。ここでは、「飛散り(エリア1)」のスコアをA1_1とし、「飛散り(エリア2)」のスコアをA1_2とし、「反応液中の気泡」のスコアをA1_3とし、「反応液面の気泡層」のスコアをA1_4として表す。
先ず、1点目の「飛散り(エリア1)」について述べる。すなわち、試薬あるいは試料の「飛散り(エリア1)」である。ここで、飛散りとは、試薬あるいは試料が一定量分注されたとき、試料分注プローブや試薬分注プローブからの吐出あるいは撹拌の勢い、試料分注プローブや試薬分注プローブや撹拌棒が反応容器2から引き抜かれるときの速度や振動と試薬・試料の液性との関係で、試薬や試料が本来の液面よりも高くに飛んで反応容器2の内側に付着している状態を指す。
図6に示した反応容器2の模式的な断面において、液面が、本来の液面の位置72よりも非常に高い位置(エリア1)に、試料および/あるいは試薬の液体71が飛散り、付着すると、洗浄機構3から吐出される洗浄液の液面より高いために、飛散りの洗浄は不可能となる。反応容器2は次の測定に再利用されるため、洗浄ができなかった飛散りは汚れとなり次の測定項目に影響を与える可能性があり、必ず避ける必要がある。撮影した画像を解析し、エリア1に飛散りがあると認識された場合、異常が発生していると判定する。この場合、飛散り(エリア1)のスコアは、異常時の値であるスコア値0となる。そのため、「飛散り(エリア1)」のスコアをA1_1=0となり、それ以外のチェックを行わず総合判定の総合スコアSを0とする。画像の解析により、飛散りがないと認識された場合には、正常と判定し、操作画面21bで設定されたスコア値(図3の正常時:2)をスコアA1_1とする。
2点目は、「飛散り(エリア2)」である。反応溶液の液面72より上(図6エリア2)に飛散った液体73は、撹拌後に反応容器2の内壁を伝って反応溶液に滴下する可能性がある。この場合は、反応溶液中の局所的な濃度が変化するので吸光度変化率の変化として現れる。例えば、酵素を測定対象の項目とした場合、この現象が、測定対象として設定された測光ポイントで起こると測定結果に大きな影響を与える。
取得した画像を解析し、エリア2への飛散り有無を確認する。この確認によって、操作画面21bで設定した正常時のスコア値あるいは異常時のスコア値が、スコアA1_2として決定される。すなわち、エリア2への飛散りがある場合、「飛散り(エリア2)」の異常スコア値(図3では0)、飛散りが無い場合は正常スコア値(図3では2)が、スコアA1_2とされる。
3点目は、「反応液中の気泡」である。自動分析装置では、光度計4の前を反応溶液の入った反応容器2が通過する際に吸光度を測定する。つまり、図7に示す様に、反応容器2から見ると光度計から出ている光束81(縦ymm×横zmm)が、反応容器(反応セルと称する場合がある)の決まった高さ(反応セルの底からxmm)を右から左、あるいは回転が逆の場合は左から右へ移動していく。この光束が移動する箇所82の反応容器2の内壁に、図8に示す様に、気泡91および/あるいは気泡92が付着していると、吸光度が異常に高くなり測定に影響するため、必ず避ける必要がある。このような状態をモニタするため、取得した画像を基にして、制御部19は反応液の光束が通過する箇所82について気泡の有無をチェックする。光路にかかる気泡は必ず避ける必要があるため、光路に気泡が確認された場合(異常)は、先に行われている飛散りのスコアA1_1とA1_2のそれぞれを異常時のスコア値0とし、さらに気泡のスコアA1_3を0とする。さらにこの後の判定を行わずに、総合判定の総合スコアSを0とする。光路に気泡がない場合(正常)は、画面21bで設定されたスコア値(図3の正常時:2)をスコアA1_3とする。
4点目は、「反応液面の気泡層」である。この場合、判定は気泡層の厚さに基づくものであるため、「反応液面の気泡層の厚さ」と称する場合がある。臨床検査用の試薬は界面活性剤を含んでいることが多く、第1試薬を撹拌し過ぎると、図9に示す様に、反応溶液の液面に細かい気泡の層101が発生する。ここに少量の第2試薬を添加しても、第1試薬と第2試薬が均一に混合することができない。このため、反応が正常に進まず異常な測定結果となる。そのため、サンプル・試薬分注の量から算出される液面高さ(反応溶液の液面付近)102を対象に気泡層のチェックを行う。このチェックは、取得した画像を制御部19によって解析し、例えば液面102から±2mmのエリア103において気泡層があるか否かを確認する。エリア103での気泡層有無によって、操作画面21bの設定に従って、スコアA1_4が決まる。すなわち、エリア103に気泡層がある場合(異常)、「反応液面の気泡層」の異常スコア値(図3では0)を、気泡層が無い場合は正常スコア値(図3では2)をA1_4とする。言うまでもないが、上記した判定の範囲±2mmは、一例であって、この数値に限定されるものではない。
以上の4点、すなわち「飛散り(エリア1)」、「飛散り(エリア2)」、「反応液中の気泡」、「反応液面の気泡層の厚さ」のそれぞれのスコアA1_1〜A1_4を合計して、(1)のチェックポイントのスコアA1とする。すなわち、スコアA1=A1_1+A1_2+A1_3+A1_4として、演算により求める。
次に(2)のチェックポイントについて判定方法の一例を述べる。この実施の形態において、(2)のチェックポイントでは、特許文献1に開示されている技術を使用して反応溶液の吸光度の経時的変化である反応過程を自動でチェックすることが行われる。特許文献1に従えば、各反応液の反応過程は、式(2)で近似することができる。
Abs=A0+A1(1−e-kt) ・・・・・式(2)
ここでAbsは吸光度、A0は反応開始時点の吸光度、A1は最終反応吸光度、kは反応速度定数である。特許文献1に従えば、自動分析装置によって計測した反応過程データを最少二乗法で式(2)に近似し、その結果得られた各係数(A0、A1、k)と実測値との差(残差)より、反応異常をチェックすることができる。この実施の形態における撹拌条件判定機能では、図4において説明した様に、各係数についての基準値(範囲)を先に設定し、指標の値として設定している。試料と試薬とを用いた計測および計測された結果を用いた演算により吸光度および反応速度定数を求め、図4で設定した基準値(範囲)を超えているか否かの判定を行う。
この場合、それぞれの係数(A0、A1、k)に対して、基準値(範囲)を超えているか否かの判定をする。そのため、それぞれの係数(A0、A1、k)に対してスコアを求める。この実施の形態においては、それぞれの係数(A0、A1、k)のスコアを、A2_1、A2_2、A2_3とし、これらの合計を(2)のチェックポイント(反応過程)のスコアA2とする。すなわち、A2=A2_1+A2_2+A2_3となる。例えば、測定により求めた値が、図4において設定した係数A0の基準値(範囲)を超えていた場合、この係数A0に対応した異常時のスコア値(0)が、係数A0のスコアA2_1の値となる。これに対して、測定により求めた値が、図4において設定した係数A0の基準値(範囲)に納まっている場合には、この係数A0に対応した正常時のスコア値(2)が、係数A0のスコアA2_1の値となる。
同様に、他の係数A1(係数k)についても、基準値を超えていた場合、この係数A1(係数k)に対応した異常時のスコア値(0)が、係数A1(係数k)のスコアA2_2(A2_3)の値となる。一方、測定により求めた値が、図4において設定した係数A1(係数k)の基準値に納まっている場合には、このA1(係数k)に対応した正常時のスコア値(2)が、A1(係数k)のスコアA2_2(A2_3)の値となる。そして、これらのスコアA2_1、A2_2、A2_3の合計が、スコアA2の値となる。
最後に(3)のチェックポイントについて、判定方法の一例を示す。この実施の形態では、(3)のチェックポイントは、キャリブレーションの結果を利用する。臨床検査の測定は、相対分析が一般的である。そのため、臨床検査の現場ではユーザによりキャリブレーションが行われ、測定項目ごとに検量線が作成される。キャリブレーションは、特定の標準液を各濃度2回以上測定し、その吸光度平均値と標準液の表示値を用いて検量線を作成する。キャリブレーション結果の判定指標は複数個あり、例えば収束許容吸光度(非直線法のキャリブレーションで、近似曲線の良否を判定するための許容値)、ばらつき許容吸光度(多重測定した標準液の吸光度差の許容値)、感度許容吸光度(標準液の感度許容値)、第一標準液吸光度範囲(ブランク液の吸光度許容範囲)などがある。これらは、各検査項目の分析パラメータから設定する。
(3)のチェックポイントは、患者の検体(生体試料)の測定前に、図5の操作画面21dで設定したところの、これらの基準値(範囲)と、各項目のキャリブレーション結果を、比較して、チェックする。チェックの結果として、予め設定された基準値(図5)を満たしていない場合、検体の測定とその後の上記した(1)および(2)のチェックポイントの判定は行われない。測定前に実施する(3)のチェックポイントを通過できた場合、患者の検体に対して、上記した(1)および(2)のチェックポイントにおける判定を行う。(1)および(2)のチェックポイントにより求められたスコアA1、A2と、それぞれに対応する重みづけファクタb1、b2とを用いて、制御部19は、総合判定のための総合スコアSを算出する。算出された総合スコアSは、総合判定の設定値S’と比較される。この比較により、先に設定した撹拌条件に対する総合判定をすることが可能となる。また、総合スコアSおよび/あるいはスコアA1、A2を参照することにより、撹拌条件の見直しを効率化することが可能となる。すなわち、ユーザは総合判定の設定値S’との比較により、先に設定した撹拌条件をアラームとして確認し、適切でない撹拌条件で測定した試料を再度確認することが可能となる。また、見直しにより、撹拌条件を変更することもできる。
次に、図13、図15Aおよび図15Bを用いて、この実施の形態に係わる自動分析装置1000において行われる撹拌条件判定機能の判定処理を説明する。この実施の形態は、試薬運用バージョンであるため、図15Aおよび図15Bは、試薬運用バージョンにおける判定を示している。なお、図15Aに示す処理は、図15Bに示す処理に繋がっている。すなわち、図15Aにおいて、符号Aは、図15Bの符号Aに繋がっており、符号Bは、図15Bの符号Bに繋がっており、符号Cは、図15Bの符号Cに繋がっており、符号Dは、図15Bの符号Dに繋がっている。また、図13は、図15Aにおける開始のステップよりも時間的に前に実施されるキャリブレーションの処理を示すフローチャート図である。キャリブレーションは、例えば1日1回実施してもよいし、所定の時間間隔で実施してもよく、撹拌条件判定機能を実施する前に、毎回実施しなくてよい。
まず、図13を用いて、キャリブレーションの処理を説明する。図13において、step130は、反応容器2に標準液を分注する標準液分注の工程である。ここで分注される標準液は、その濃度等が予め判明している。次に、step131において、試薬を反応容器2に分注する(試薬分注)。その後、step132において、予め定めた撹拌条件に従って試薬と標準液とを、反応容器2内で撹拌する(撹拌)。予め定めた撹拌条件で、試薬と標準液とを撹拌することにより、反応容器2内に生成された反応液に対して、step133において、吸光度の測定を行う(吸光度測定)。
標準液の濃度を変更しながら、step130からstep133を複数回繰り返し実行して、標準液の各濃度に対する吸光度を求める。求めたこれらの吸光度と、標準液の表示値とを用いて検量線を、step134において作成する(検量線作成)。また、このstep134において、上記した収束許容吸光度、ばらつき許容吸光度、感度許容吸光度、および第一標準液吸光度範囲を算出する。算出により求めたこれらの情報(収束許容吸光度、ばらつき許容吸光度、感度許容吸光度、および第一標準液吸光度範囲)は、step132において、予め定めた撹拌条件で撹拌して生成された反応液に基づいている。そのため、これらの情報は、撹拌条件を反映した値となっている。
次に、試薬運用バージョンにおける撹拌条件判定機能の処理を、図15Aおよび図15Bを用いて説明する。以下においては、図3から図5で設定した条件で、撹拌条件判定機能の処理が行われる場合を説明する。
先ず、制御部19は、生体試料の測定を開始する。その後、(3)のチェックポイントの条件(図5の場合、収束許容吸光度0〜20)に従って、キャリブレーションの結果のチェックを行う(step1)。図13を用いて説明した様に、キャリブレーションは、生体試料ではなく、標準液を対象としているが、その結果は撹拌条件を反映している。step1において、(3)のチェックポイントの条件をクリアしている(満たしている)と判定した場合、(3)のチェックポイントは正常であるとして、生体試料の測定を開始する。すなわち、step2および3において、生体試料の分注(試料分注)と試薬の分注(試薬分注)を行う。一方、(3)のチェックポイントの条件をクリアしていない(満たしていない)と、step1において判定された場合、制御部19は、異常であると判断して、判定対象の検査項目について測定を中止する。この様にすることにより、適切でない撹拌条件で測定を行うことによって検体試料と試薬を無駄遣いすることを防ぐことが可能となる。
(3)のチェックポイントにおいて、異常と判断された場合、ユーザ(臨床検査技師)は判定対象の項目についてキャリブレーションをやり直す。この(3)のチェックポイントの条件をクリアしないと、判定対象の項目の測定を再開することはできない。なお、この例では、図5において設定した条件(収束許容吸光度0〜20)を基準値の範囲として、キャリブレーションによって求めた値が、この基準値の範囲内に納まっている場合を、条件をクリアしているとし、基準値の範囲を超えている場合を、条件をクリアしていないとしている。
(3)のチェックポイントの条件をクリアし、step2および3において、試料および試薬の分注が行われると、制御部19は、次に、反応容器2内に分注された試薬および試料の撹拌を、step4において行う。制御部19は、図3に示した設定画面21bで設定された(1)のチェックポイントの条件に従って、自動分析装置1000に設置された撮影機構(例えばカメラ)22を起動して反応容器2の写真あるいは動画を撮影し、取得した画像情報に対して画像解析を行う(step5)。画像解析により得られた情報に基づいて、制御部19は、step6からstep9において、反応容器2の内部の様子が正常か異常かの判定を行う。
最初に、step6において、飛散り(エリア1)の判定を行う。画像解析により得られた情報から、エリア1に飛散りが存在すると判定した場合、飛散り(エリア1)の異常と判断し、総合スコアSを0として、判定を終了する。これに対して、エリア1に飛散りが無ければ(step6:正常)、操作画面21bにおいて予め設定したスコア値(正常時のスコア値)をスコアA1_1の値とする(スコアA1_1(正常時))。図3の例においては、スコアA1_1=2となる。
次に、step7において、飛散り(エリア2)の判定を行う。画像解析により得られた情報から、エリア2に飛散りが存在すると判定した時、飛散り(エリア2)の異常と判断する(step7:異常)。この様に判断した場合は、操作画面21bにおいて予め設定したスコア値(異常時)をスコアA1_2の値とする。図3の例では、スコアA1_2=0となる。これに対して、画像解析により得た情報から、エリア2への飛散りが無いと判断した場合(step7:正常)、操作画面21bにおいて予め設定したスコア値(正常時)をスコアA1_2の値とする(スコアA1_2(正常時))。図3の例では、スコアA1_2=2となる。
次に、step8において、気泡の判定を行う。画像解析により得られた情報から、光路に気泡が存在すると判断した場合(step8:異常)、総合スコアSを0として、判定を終了する。これに対して、光路に気泡が無い場合(step8:正常)、操作画面21bにおいて予め設定したスコア値(正常時のスコア値)をスコアA1_3の値とする(スコアA1_3(正常時))。図3の例では、スコアA1_3=2となる。
最後に、step9において、反応液面の気泡層の厚さの判定を行う。画像解析により得られた情報から、液面に気泡層が存在していると判断した場合(step9:異常)、操作画面21bにおいて予め設定したスコア値(異常時のスコア値)を、スコアA1_4の値とする(スコアA1_4(異常時))。これに対して、液面に気泡層が存在していないと判断した場合(step9:正常時)、予め設定したスコア値(正常時のスコア値)を、スコアA1_4の値とする(スコアA1_4(正常時))。図3の例においては、異常時のスコア値は0であり、正常時のスコア値は2である。そのため、図3の例では、異常と判断した場合、スコアA1_4は0となり、正常と判断した場合は、スコアA1_4は2となる。
以上のstep6〜9において求めたスコアA1_1〜A1_4の合計が、step10において算出される。算出された合計のスコア値は、(1)のチェックポイントのスコアA1とされる。この実施の形態においては、(1)のチェックポイント、すなわち画像による判定は、step5〜step10により行われている。
次に、制御部19は、step11(図15B)において、反応液の吸光度を光度計(光度機構)4で測定する。図4に示した操作画面21cにおいて予め設定した(2)のチェックポイントの条件に従って、撹拌条件判定機能は反応過程を解析する(step12)。解析後に反応過程が正常か異常かを、反応開始時点の吸光度A0、最終反応吸光度A1、反応速度定数kに基づいて判断を行う(step13)。操作画面21cにおいて予め設定したところのこれらの係数A0、A1、kの基準値(範囲)を、解析により求めた反応開始時点の吸光度A0、最終反応吸光度A1、反応速度定数kが満たしていれば正常(step13:正常)と判断する。これに対して、解析により求めた反応開始時点の吸光度A0、最終反応吸光度A1、反応速度定数kが、予め設定したところの係数A0、A1、kの基準値(範囲)を満たしていなければ異常(step13:異常)と判断する。
この正常および異常の判断は、係数毎に行われる。先に図4において説明した様に、係数A0における正常/異常に応じたスコア値(正常時/異常時)が、この係数の正常/異常に従って、スコアA2_1の値とされる。同様に、係数A1における正常/異常に応じたスコア値(正常時/異常時)が、この係数の正常/異常に従って、スコアA2_2の値とされる。また、係数kにおける正常/異常に応じたスコア値(正常時/異常時)が、この係数の正常/異常に従って、スコアA2_3の値とされる。この様にして、操作画面21cにおいて予め設定した正常時/異常時スコア値に従って、それぞれのスコアA2_1〜A2_3が算出される(スコアA2_1〜3(正常時)、スコアA2_1〜3(異常時))。
次に、step14において、スコアA2_1〜A2_3の合計を算出し、算出された合計の値が、(2)のチェックポイントのスコアA2とされる。
次に、制御部19は、step15において、検体試料と試薬とを用いた測定結果を取得し、取得した測定結果に基づいた測定データを算出する。
制御部19は、step10および14において得られたスコアA1およびA2と、設定画面21bおよび21cにおいて予め設定した重みづけファクタb1、b2とを使用して、総合スコアSを算出する(step16)。総合スコアSの値は、前記した式(1)で、算出する。(3)のチェックポイントは、この実施の形態においては、測定開始のトリガーとなっている。そのため、この実施の形態においては、(3)のチェックポイントにおけるスコアは、総合スコアSを算出する式(1)に算入しない。そのため、step16において、総合スコアSを算出する際には、式(1)におけるスコアA3および重みづけb3は、両方とも0とする。
制御部19は、step16において算出した総合スコアSが、設定画面21aで予め設定された総合判定用の設定値S’以上か、未満かの総合判定を、step17において行う。step17は、例えば総合スコアSの値と設定値S’とを比較することにより、行うことができる。step17において、設定値S’未満と判断された場合(step17:設定値未満)には、撹拌条件が適切でないことをユーザに知らせるためのアラームを付加する(step18)。後で、図10を用いて、一例を示すが、アラームはデータアラームとして測定結果に付加する。総合スコアSが、設定値S’以上であると判断された場合は(step17:設定値以上)、設定した撹拌条件は適切であるとして、アラームは付加せず、step19へ進む。
この実施の形態においては、step6と、step8で異常と判断された場合、step16において、総合スコアSを0として確定させる。step6あるいはstep8において、異常と判断された場合は、上記した様に、撹拌条件判定機能による判定は、停止する。しかしながら、step6あるいはstep8において異常と判断された場合であっても、step11とstep15は実施される。すなわち、撹拌条件判定機能による判定を停止した検体試料に対しても、step11における吸光度の測定とstep15における測定結果の取得および算出は実行される。この様にして、step6あるいは8において異常と判断された検体試料については、(2)のチェックポイントの判定は行われず、スコアA2の算出も行われない。また、総合スコアSは0となるため、この検体試料の測定結果は、データアラームが付加されて、表示される。
撹拌条件の総合判定(step17)と、必要な場合はアラームの付加(step18)を終了すると、制御部19は、試料分注プローブ、試薬分注プローブ、反応容器2の洗浄を行い(step19)、測定を終了する。以上述べた様にして、撹拌条件判定を行うと、撹拌条件による撹拌の状態が、(1)〜(3)のチェックポイントによって適切であるか否かの判定が行われ、当該撹拌条件が適切であるか否かを効率よく判断することが可能となる。また撹拌条件が適切でない場合は、アラームを確認することによって誤った測定結果を報告することを避けることができる。
図10は、表示部20に表示される測定結果画面21eの一例を示す図である。図10において、110は、この画面のタイトル「測定結果画面」を示している。測定結果は、特に制限されないが、表形式で表示される。表示される表は、測定した検体を特定する検体番号の列、検査項目の列、測定結果の列およびアラームの列を有している。表の各行には、測定した検体試料を特定する検体番号と、その検体試料に対する検査項目と、その測定結果と、アラームがある場合には総合評価の総合スコアSの値(アラームデータscore、図10では「0」)と異常と判断されたチェックポイント(図10では(1))が含まれている。同図には示されていないが、測定結果画面21eには、対象の検体の測定日時やユーザコメントを示す行を設けるようにしてもよい。図10に示した測定結果画面21eは、一例であって、これに限定されるものではない。
例えば、検体番号10026に対して行われた測定では、検査項目がLDであり、その測定結果が180U/Lであり、アラームがないことが示されている。一方、検体番号10025に対して行われた測定では、検査項目がLDであり、測定結果が300U/Lであり、総合評価の総合スコアSの値が、操作画面21aで設定した設定値S’よりも低く、アラームデータとして、総合スコアSの値が0として表示されている。さらに検体番号10025ではチェックポイント(1)画像による判定にて異常と判断されたことが示されている。
なお、アラームの列において、記号「!」は、アラームであることを喚起するためのマークである。また、図10において、U/Lは単位を表し、ASTはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼを表し、LDは乳酸脱水素酵素、γGTはγグルタミルトランスペプチダーゼを表す。
(実施の形態2)
この実施の形態によれば、試薬評価バージョンの撹拌条件判定機能を有する自動分析装置が提供される。以下、図2、図3〜図4、図11〜図12、図14、図16Aおよび図16Bを用いて、実施の形態1と異なる部分を主に説明する。なお、自動分析装置1000の構成、(1)から(3)のチェックポイント、スコアの求め方については、実施の形態1と同様であるので、詳細は省略する。
自動分析装置1000の構成は、制御部19を構成するプロセッサにより実行されるプログラムが、実施の形態1と異なるだけで有り、構成は同じであるため、その説明は省略する。
図3〜図4および図11〜図12は、この実施の形態に係わる自動分析装置1000の表示部20に表示される操作画面21の一例を示す図である。操作画面21としては、実施の形態1で示した2種類の画面(撹拌条件判定機能を有効/無効を設定するための操作画面21a(図2)、(1)〜(2)のチェックボックスの条件(判定基準や重みづけファクタなど)を登録するための操作画面21b〜21c(図3〜図4))に、判定機能を反映させる試料を選択する画面(図11)と、操作画面21dに類似する操作画面21g(図12)が追加される。ユーザであるメーカのオペレータは、操作画面21b、21c、21gを通して各チェックポイントの詳細な条件を自動分析装置に登録する。
試薬評価バージョンの撹拌条件判定機能においては、各検査項目の分析パラメータ画面から撹拌条件判定機能の有効/無効を設定する。詳細は実施の形態1で示した画面21a(図2)と同様であるため、説明を省略する。
先ず、撹拌条件判定機能の対象となる試料の範囲の設定について説明する。図11は、本判定機能の対象となる試料の範囲を設定する画面を説明するための図である。図11には、測定を依頼する際の測定依頼画面21fが示されている。図11において、121aは、この画面のタイトル「測定依頼画面」を示している。この測定依頼画面21fにおいて、撹拌条件判定機能を有効とする検査項目を指定する。測定依頼画面21fには、検体番号を設定するボックス121b、試料分注量(減量や増量パラメータ)を指定するプルダウンメニュー121などの測定依頼条件を設定する箇所を有している。さらに、この実施の形態においては、測定依頼画面21fに、撹拌条件判定機能の有効/無効を指定するチェックボックス122が設けられている。このチェックボックス122にチェックマークを入れた状態で、複数の検査項目キー123から所望の項目を選択する。これにより、選択された検査項目を測定する際に、撹拌条件判定が行われる。
例えば、図11では、撹拌条件判定機能のチェックボックスにチェックマークを入れ、LD検査項目を選択している。この操作により、撹拌条件判定機能を指定した印として◎マーク124が、LD検査項目に付いている。また、測定依頼画面21fには、測定依頼を決定する設定ボタン125、依頼をキャンセルして画面21fを閉じる取消ボタン126が設けられている。なお、図11において、ALTはアラニンアミノトランスフェラーゼを表している。
撹拌条件判定機能の詳細を決定する操作画面は、分析パラメータ設定画面に付属している。詳細を決定する操作画面のうち、(1)および(2)のチェックポイントの詳細を決定する操作画面は、実施の形態1において説明した図3(操作画面21b)および図4(操作画面21c)と同様である。そのため、ここでは説明を省略する。この実施の形態において、(3)のチェックポイントの詳細を決定する操作画面の一例が、図12に示されている。図12において、131aは、この画面のタイトル「(3)測定結果(数値)による判定詳細画面」である。この図には、(3)のチェックポイントの判定条件の操作画面21gが示されており、画面21gには、キャリブレーションの判定の際に用いられる基準値(範囲)を設定するチェックボックス131が設けられている。キャリブレーションの判定に用いられる指標は、実施の形態1と同じであるので、説明は省略する。なお、図12では、キャリブレーションの判定に使用する指標として、「収束許容吸光度」が選択され、基準値が入力されている。
操作画面21gには、さらに撹拌判定に使用する撹拌判定指標(ここでは例として「再現性」を挙げる)を選択するチェックボックス132と、その基準値を設定するテキストボックス133が設けられている。例えば図12では、撹拌判定指標として、再現性が判定に使用する指標として選択されており、基準値として判定範囲の測定結果の最大値と最小値の差を表すレンジが2であり、変動係数CVが0.1%と設定されている。このレンジと変動係数CVが両方設定されている場合は、両方を判定に使用し、スコアに反映させる。スコアはテキストボックス134に設定される。レンジと変動係数CVを両方設定した場合は、両方が基準値を満たしていないときだけでなく、どちらか一方が基準値を満たしていないときも「異常」と判断する。つまり「正常」となるのは、どちらも基準値を満たしたときだけである。テキストボックス134において、「正常時」のテキストボックスには、「正常」と判断された場合のスコア値が設定される。一方、「異常時」のテキストボックスには、「異常」と判断された場合のスコア値が設定される。
さらに、詳細画面21gには、重みづけファクタを設定するテキストボックス135がある。(1)および(2)のチェックポイントと同様に、条件の詳細を決定する設定ボタン45、設定した条件をキャンセルして画面21gを非表示にする取消ボタン46が、操作画面21gに設けられている。
次に、図14、図16Aおよび図16Bを用いて、この実施の形態に係わる自動分析装置1000における撹拌条件判定機能の判定処理を説明する。図14は、測定依頼をする際の処理を示すフローチャート図である。測定を依頼する場合、step140からstep142の様に、順次検体番号を特定する。複数の検体を特定した後、step143において、測定を開始する。step143において、測定が開始されると、図16Aおよび図16Bの処理が開始される。
試薬評価バージョンにおいては、例えば、試薬に対して適切な撹拌条件を、臨床検査技師を含む顧客に供給するために、自動分析装置が用いられる。この場合、検体としては予め濃度等の判明した標準液あるいは標準検体を用いて、試薬に適した撹拌条件を求める。そのため、測定依頼をする場合、対象となる複数の検体は、互いに同じ標準液あるいは標準検体が用いられる。また、これらの検体と反応させる試薬についても、互いに同じ試薬が用いられる。この様にして、標準的な検体と試薬とを反応させ、複数の反応液を生成する。予め設定した撹拌条件で、上記した複数の反応液を生成し、それぞれの反応液の測定結果から、設定した撹拌条件が適切か否かを判定する。
この実施の形態においても、実施の形態1と同様に、設定された撹拌条件に従ってキャリブレーションが、予め実行されている。
なお、図15Aと図15Bと同様に、図16Aに示す処理は、図16Bに示す処理に繋がっている。すなわち、図16Aにおいて、符号Aは、図16Bの符号Aに繋がっており、符号Bは、図16Bの符号Bに繋がっており、符号Cは、図16Bの符号Cに繋がっており、符号Dは、図16Bの符号Dに繋がっている。
以下では、図3、4、11〜12で設定した条件で、例えば20検体について判定すると仮定する。すなわち、図14において、20個の検体を特定し、測定を開始した場合を説明する。この場合、20個の検体は、互いに同じ標準液あるいは標準検体であり、測定に用いられる試薬は共通である。
先ず、制御部19は、図12に示した操作画面21gで設定された(3)のチェックポイントの条件(図12の場合、収束許容吸光度0〜20)に従って、キャリブレーション結果の判定を行う(step20)。基準値(0〜20)を満たしていれば(step20:正常)、step21へ進む。一方、基準値を満たしていなければ(step20:異常)、その後、判定対象の撹拌条件での検体(試料)測定は行わない。これは適切でない撹拌条件で自動分析を行うことによって、試料と試薬の無駄遣いを防ぐためである。
制御部19は、step21および22において、試料と試薬の分注を行い、次に反応液の撹拌を行う(step23)。このとき、制御部19は、操作画面21bで設定された(1)のチェックポイントの条件に従って、自動分析装置1000に設置されたカメラ22を起動して反応容器2の写真あるいは動画を撮影し、解析を行う(step24)。解析後からスコアA2の算出までの処理(step25〜step33)は、実施の形態1において述べたstep6〜step14までと同じであるため、ここでは説明を省略する。
上記したstep20〜step33を、依頼された複数の検体に対して実行する。ここで述べている例では、20個の検体が特定されているため、20個の検体のそれぞれに対して、step20〜step33を実施する。この特定されている複数個の検体が、撹拌条件判定対象となる。制御部19は、この撹拌条件判定対象のすべての検体の測定結果を、step34で算出する。
図12に示した操作画面21gで設定された(3)のチェックポイントの条件に従って、撹拌条件判定機能は、step35において、測定結果の同時再現性を解析し、判定する。このときの解析に用いられる測定結果は、step34で算出された測定結果であり、複数の検体から求められた情報である。解析においては、撹拌条件判定対象である複数の検体のそれぞれの測定結果が用いられる。同時再現性について述べるならば、複数の測定結果における最大値と最小値との間の差(レンジ)が算出され、また複数の測定結果の分布に関する変動係数CVが算出される。この算出されたレンジと変動係数CVが、操作画面21gで予め設定された基準値を満たしているかどうか判定を行う(step35)。基準を満たしていると判定された場合は(step35:正常)、操作画面21gで設定した正常時用のスコア値(図12では2)を、(3)のチェックポイントのスコアA3として算出する。一方、基準を満たしていないと判定した場合は(step35:異常)、異常時用のスコア値(図12では0)を、(3)のチェックポイントのスコアA3として算出する。
次に、制御部19は、上記で算出したスコアA3と、step29および33で得られたスコアA1、A2と、設定画面21b、21cおよび21gにおいて予め設定した重みづけファクタb1〜b3を使用して、総合判定の総合スコアSの値を算出する(step36)。総合スコアSの値の算出は、式(1)に従って行う。制御部19は、算出した総合スコアSの値が、操作画面21aで設定された総合判定用の設定値S’以上か、未満かを総合判定する(step37)。設定値未満の時は(step37:設定値未満)、撹拌条件が適切でないことをオペレータに知らせるためのアラームを付加する(step38)。アラームは、実施の形態1と同様にデータアラームとして測定結果に付加する(図10の111)。アラームは判定対象の全ての検体に付く。設定値以上の場合は(step37:設定値以上)、設定した撹拌条件が適切であるので、アラームを付加せず(図10の112)、次のステップへ進む。
撹拌条件の総合判定(step37)と必要な場合はアラームの付加(step38)を終了すると、制御部19は試料分注プローブや試薬分注プローブ、反応容器2の洗浄を行い(step39)、測定を終了する。
この実施の形態によれば、メーカは、適切な撹拌条件を効率的に求めることが可能となる。
以上本発明者によってなされた発明を、前記実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。例えば、図15A、図15B、図16Aおよび図16Bにおいては、スコアA1、A2、A3(図16A、図16B)のそれぞれの算出が終了した後で、それぞれに重みづけファクタb1、b2、b3(図16A、図16B)を掛ける様にしていたが、各スコアA1、A2、A3のそれぞれを算出する時に、重みづけファクタb1、b2、b3を掛ける様にしてもよい。試薬運用バージョンにおいては、試料として生体試料を用いる例を説明した。しかしながら、試料は、自動分析装置を用いる製薬メーカ、試薬メーカあるいは装置メーカによって決められる。そのため、試料は生体試料に限定されず、化学物質あるいは土壌由来の物質等であってもよい。