JP2015078321A - アルミニウム顔料分散組成物およびその製造方法 - Google Patents

アルミニウム顔料分散組成物およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】分散安定性などに優れたアルミニウム顔料分散組成物の提供。【解決手段】アルミニウム顔料が、高分子分散剤とアルコキシシラン化合物とを含んでなる溶媒に分散されてなるアルミニウム顔料分散組成物。このアルミニウム顔料分散組成物は、アルミニウム顔料と高分子分散剤とアルコキシシラン化合物とが溶媒中において密で安定したマトリクス状態を形成することが可能となり、溶媒に対する優れた分散性を有する。また、高い輝度、耐水性、耐湿性、電磁波透過性を有する。【選択図】なし

Description

本発明は、アルミニウム顔料分散組成物およびその製造方法に関する。
その表面活性の低下および凝集防止を目的として、アルミニウム顔料の表面処理が行われている。その方法として、例えば、アルミニウム微粉末にステアリン酸やオレイン酸等の脂肪酸、脂肪酸アミンなどの分散剤を加え、これを乾式法または湿式法などの公知の方法により展伸し、フレーク状とする方法が一般に知られている。また、このような方法はメタリック調塗料の用途で広く使用されている。
他方、特開平4−25573号公報(特許文献1)には、顔料と樹脂と非極性の絶縁性溶剤と分散剤とを含み、さらに顔料と樹脂または分散剤とをカップリングさせるカップリング剤を含むインクジェットプリンタ用インクが記載されている。このインクは、顔料が溶剤中に溶解している樹脂または分散剤とのカップリング反応で処理されていることにより、ノズル目詰まりが無く分散安定性が良好であるとされている。
特開平4−025573号公報
本発明者らは、今般、アルミニウム顔料を高分子分散剤およびアルコキシシランとともに溶媒に混合することにより、分散安定性などに優れたアルミニウム顔料分散組成物が得られるとの知見を得た。本発明は斯かる知見に基づくものである。
従って、本発明は、分散安定性などに優れたアルミニウム顔料分散組成物の提供をその目的としている。
そして、本発明によるアルミニウム顔料分散組成物は、アルミニウム顔料が、高分子分散剤とアルコキシシラン化合物とを含んでなる溶媒に分散されてなることを特徴とする。
本発明によるアルミニウム顔料分散組成物を含むインキの顕微鏡写真である。 本発明によるアルミニウム顔料分散組成物を含むインキの顕微鏡写真である。 本発明によるアルミニウム顔料分散組成物を含むインキの顕微鏡写真である。 本発明によるアルミニウム顔料分散組成物を含むインキの顕微鏡写真である。 本発明によるアルミニウム顔料分散組成物を含むインキの顕微鏡写真である。 本発明によるアルミニウム顔料分散組成物を含むインキの顕微鏡写真である。 本発明によるアルミニウム顔料分散組成物を含むインキの顕微鏡写真である。 アルミニウム顔料そのものを含むインキの顕微鏡写真である。 高分子分散剤のみを用いて混合したアルミニウム顔料を含むインキの顕微鏡写真である。 高分子分散剤のみを用いて混合したアルミニウム顔料を含むインキの顕微鏡写真である。 アルコキシシラン化合物のみを用いて混合したアルミニウム顔料を含むインキの顕微鏡写真である。 アルコキシシラン化合物のみを用いて混合したアルミニウム顔料を含むインキの顕微鏡写真である。 アルミニウム顔料そのものを含むインキの顕微鏡写真である。 アルミニウム顔料そのものを含むインキの顕微鏡写真である。 アルミニウム顔料そのものを含むインキの顕微鏡写真である。
アルミニウム顔料分散組成物
本発明によるアルミニウム顔料分散組成物は、分散安定性に優れ、その良好な分散安定性は長期間保たれる。その理由は定かではないが、以下のように考えられる。但し、以下の理由はあくまで仮定であって、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明による組成物中において、アルミニウム顔料と高分子分散剤とは、両者の親和性により物理的に吸着しているものと思われる。また、高分子分散剤はその分子量の大きさ故、溶剤中で立体障害作用を発揮する。これら吸着作用および立体障害作用により、アルミニウム顔料は溶剤中で優れた分散安定性を有するものと考えられる。また、アルコキシシラン化合物の反応性から、アルミニウム顔料とアルコキシシラン化合物とは、両者の特定の官能基を介して化学的に結合を生じさせるものと思われ、結合したアルコキシシラン化合物が、アルミニウム顔料に優れた分散安定性を与えるものと思われる。また、アルコキシシラン化合物の反応性から、高分子分散剤とアルコキシシラン化合物の有機官能基との間にも化学結合が形成されるものと思われ、このようにして生じた化合物が、アルミニウム顔料の表面に存在することにより、凝集が防止され、アルミニウム顔料に優れた分散安定性を与えるものと考えられる。以上の吸着および結合の結果、アルミニウム顔料と高分子分散剤とアルコキシシラン化合物とは溶剤中において密で安定したマトリクス状態を形成し、アルミニウム顔料は溶剤に対する優れた分散安定性を有するものと考えられる。なお、本明細書において、アルミニウム顔料の表面に高分子分散剤が物理的に吸着し、アルミニウム顔料の表面にアルコキシシラン化合物が化学的に結合してなるアルミニウム顔料分散組成物を表面処理アルミニウム顔料ということがある。
アルミニウム顔料
本発明によるアルミニウム顔料分散組成物を構成するアルミニウム顔料は、公知のアルミニウム顔料を用いることができる。アルミニウム顔料の形状、大きさ等は特に限定されないが、その形状がフレーク状であり、平均粒子径(D50:累積重量50%粒子径)が1〜20μmであり、厚みが5〜50nmであり、アスペクト比(平均粒子径/厚み)が20〜4,000であることが好ましい。アルミニウムフレークの形状としては、扁平状のものが好ましく、コイン状のもの(表面が平滑で丸みを帯びた形状)であってもよい。
アルミニウムフレークを製造する製造方法としては、たとえばアトマイズ粉末(アトマイズ法により得られる粉末)をボールミルによって粉砕または磨砕する方法や、アルミニウム蒸着フィルムを製造後、アルミニウム層を剥離しそれを粉砕する方法を用いることができる。また、アルミニウムフレークの純度(金属成分)については特に限定されることはなく、工業用純アルミニウムおよび公知のアルミニウム合金を用いることができる。
高分子分散剤
本発明によるアルミニウム顔料分散組成物は、アルミニウム顔料の表面に高分子分散剤が物理的に吸着してなると考えられる。高分子分散剤はその分子量の大きさ故、溶剤中で立体障害作用を発揮すると考えられる。このような高分子分散剤の吸着作用および立体障害作用により、アルミニウム顔料は溶剤中で優れた分散安定性を有することが可能となると考えられる。
本発明にあっては、このような高分子分散剤として、アルミニウム顔料を後述する溶剤に安定に分散可能なものであれば特に制限なく用いることができるが、本発明の好ましい態様によれば、その構造中に疎水性部分と親水性部分とを併せ持つものであることが好ましい。その構造中に疎水性部分と親水性部分とを併せ持つ高分子分散剤を用いることにより、高分子分散剤の疎水性部分とアルミニウム顔料粒子の疎水性の表面とを物理的に吸着させることが可能となる。その結果、例えば溶剤が水溶性有機溶剤である場合には、親水性部分で当該溶剤に馴染むことができるため、溶剤中で安定的に分散することができる。このような高分子分散剤として、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン、ビニル系ポリマーおよびコポリマー、アクリル系ポリマーおよびコポリマー、ポリエステル、ポリカルボン酸、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミノ系ポリマー、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマー、含フッ素ポリマー、エポキシ樹脂などを好ましく用いることができる。
また、より好ましい高分子分散剤として、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエステルポリアミン、ステアリルアミンアセテートが挙げられる。
高分子分散剤の具体例としては、ビックケミー社製のディスパービック130、ディスパービック161、ディスパービック162、ディスパービック163、ディスパービック170、ディスパービック171、ディスパービック174、ディスパービック180、ディスパービック182、ディスパービック183、ディスパービック184、ディスパービック185、ディスパービック2000、ディスパービック2001、ディスパービック2020、ディスパービック2050、ディスパービック2070、ディスパービック2096、ディスパービック2150、ディスパービックLPN21116、ディスパービックLPN6919;エフカ社製のエフカ46、エフカ47、エフカ48、エフカ49、エフカ4010、エフカ4055(変性ポリウレタン)、エフカ452、エフカLP4008、エフカ4009、エフカLP4010、エフカLP4050、エフカLP4055、エフカ400、エフカ401、エフカ402、エフカ403、エフカ450、エフカ451、エフカ453(変性ポリアクリレート)、エフカ4540、エフカ4550、エフカLP4560、エフカ120、エフカ150、エフカ1501、エフカ1502、エフカ1503;ルーブリゾール社製のソルスパース3000(ハイドロステアリン酸系分散剤)、ソルスパース5000(フタロシアニンアンモニウム塩系分散剤)、ソルスパース9000、ソルスパース13240、ソルスパース13650、ソルスパース13940(ポリエステルアミン系)、ソルスパース17000、ソルスパース18000(脂肪酸アミン系分散剤)、ソルスパース11200、ソルスパース20000、ソルスパース21000、ソルスパース22000、ソルスパース24000、ソルスパース26000、ソルスパース27000、ソルスパース28000(ポリアミド系分散剤)、ソルスパース32000、ソルスパース36000、ソルスパース37000、ソルスパース38000、ソルスパース41000、ソルスパース42000、ソルスパース43000、ソルスパース46000、ソルスパース54000、ソルスパース71000;花王社製のデモールP、EP、ポイズ520、521、530、ホモゲノールL−18(ポリカルボン酸型高分子界面活性剤)、味の素株式会社製のアジスパーPB711、アジスパーPB821、アジスパーPB822、アジスパーPB814、アジスパーPN411、アジスパーPA111;楠本化成社製のディスパロンKS−860、KS−873N4(高分子ポリエステルのアミン塩);日光ケミカル社製のTAMN−15(アルキルアミンのPO若しくはEO変成物);第一工業製薬社製のディスコール202、206、OA−202、OA−600(多鎖型高分子非イオン系分散剤)等を挙げることができる。
さらに別の好ましい高分子分散剤の具体例としては、主鎖に複数の窒素原子を有し、当該窒素原子を介してアミド結合した側鎖を複数有する櫛形構造のポリアミド系分散剤を挙げることができる。主鎖としてはポリアルキルイミンを好適に挙げることができ、ポリエチレンイミンを挙げることができる。また、側鎖としてはポリエステル鎖を好適に挙げることができ、ポリ(カルボニル−C3〜C6−アルキレンオキシ)鎖をより好適に挙げることができる。このようなポリアミド系分散剤の具体的としては、特開平5−177123号公報に開示されているような、ポリエチレンイミンからなる主鎖1分子当たり3〜80個のポリ(カルボニル−C3〜C6−アルキレンオキシ)鎖がアミド結合によって側鎖として結合している構造の化合物を挙げることができる。このような化合物はアルミニウム顔料の表面との吸着部位のイオン性が高いため、後述するアルコキシシラン化合物とアルミニウム顔料の表面との結合反応を促進することができると考えられる。また、このような櫛形構造のポリアミド系分散剤としては、上記ルーブリゾール社製のソルスパース11200、ソルスパース28000を挙げることができる。
アルコキシシラン化合物
本発明によるアルミニウム顔料分散組成物は、アルミニウム顔料の表面にアルコキシシラン化合物が化学的に結合してなると考えられる。本発明の好ましい態様によれば、アルコキシシラン化合物が加水分解して生成されたシラノール基が、アルミニウム顔料の表面にある水酸基との水素結合を介してアルミニウム顔料の表面に吸着し、さらに脱水縮合反応を経て、アルミニウム顔料の表面と強固な共有結合を生成して結合してなるものが好ましい。
本発明の好ましい態様によれば、高分子分散剤とアルコキシシラン化合物の有機官能基(R −)との間に化学結合がさらに形成されることが好ましい。この化学結合の形成により、インクや塗料の製造時に用いる溶剤やバインダー等の影響による、高分子分散剤のアルミニウム顔料表面からの離脱を防止し、アルミニウム顔料の凝集を防止することができるとともに、アルコキシシラン化合物によるアルミニウム顔料の凝集の起こり易さを抑制することができると考えられる。その結果、アルミニウム顔料は、溶剤中で優れた分散安定性を有することとなる。また、得られる表面処理アルミニウム顔料の解砕を容易にし、輝度の低下を防止することができる。
これらの化学的な結合を介して、アルミニウム顔料と高分子分散剤とアルコキシシラン化合物とは溶剤中において密で安定したマトリクス状態を形成することが可能となり、良好な配向性、溶剤に対する優れた分散性を有するアルミニウム顔料分散組成物を得ることが可能となる。また、優れた分散安定性を有することにより、高い輝度を有するアルミニウム顔料分散組成物を得ることが可能となる。
また本発明のさらに好ましい態様によれば、上記共有結合生成反応と並行して、シラノール基同士が縮合し、アルミニウム顔料の表面にシロキサンオリゴマーを生成してもよい。これにより、アルミニウム顔料の表面はシリカ膜で被覆された状態となり、優れた耐水性、耐湿性、電磁波透過性を有することが可能となると考えられる。
本発明の好ましい態様によれば、前記アルコキシシラン化合物が下記一般式(I)で表わされるアルコキシシラン化合物から選択される少なくとも1種類の化合物であることが好ましい。
Si(OR3−X 式(I)
(式中、Rはアルキル基(好ましくは炭素数3〜15)、アルケニル基(好ましくは炭素数3〜15)、ビニル基、(メタ)アクリル基、フェニル基、アリル基、グリシドキシ基、炭素数5または6のエポキシシクロアルキル基、アミノ基、メルカプト基およびイソシアネート基から選択される官能基を有する1価の基、Rは炭素数1〜3のアルキル基、Rは1価の炭素数1〜3のアルキル基、xは0または1を表す。)
上記一般式(I)で表わされるシランカップリング剤の具体例としては、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリプロポキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、アリルジメチルメトキシシラン、アリルジメチルエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等を挙げることができる。
本発明の好ましい態様によれば、上記一般式(I)で表わされるアルコキシシラン化合物は、Rが炭素数3〜15のアルキル基であり、xが0である化合物であることが好ましい。このような化合物として、n−プロピルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシランなどを好ましく用いることができる。
本発明の好ましい態様によれば、上記一般式(I)で表わされるアルコキシシラン化合物は、前記Rがグリシドキシ基を有する1価の基であることが好ましい。このような化合物として、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランなどを好ましく用いることができる。
アルミニウム顔料分散組成物の製造方法
本発明によるアルミニウム顔料分散組成物は好ましくは次のような方法により製造することができる。その製造方法は、アルミニウム顔料と高分子分散剤を混合する工程と、前記工程で得られた混合物にアルコキシシラン化合物および溶剤を少なくとも添加し、混合する工程とを少なくとも含んでなる。
アルミニウム顔料と高分子分散剤との混合
本発明によるアルミニウム顔料分散組成物の製造方法にあっては、先ず、アルミニウム顔料と高分子分散剤とを混合する。これにより、アルミニウム顔料の表面に高分子分散剤を物理的に吸着させることができると考えられる。混合は、例えばボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテーターミル、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、ジェットミル、オングミル等の分散機を用いて行うことができる。
アルミニウム顔料と高分子分散剤との混合物と、アルコキシシラン化合物との混合
本発明によるアルミニウム顔料分散組成物の製造方法にあっては、次いで、アルミニウム顔料と高分子分散剤との混合物に、アルコキシシラン化合物および溶剤を少なくとも添加し、混合する。これにより、アルミニウム顔料が溶剤に安定に分散した状態で、アルコキシシラン化合物の加水分解により生成されたシラノール基が、アルミニウム顔料の表面にある水酸基との水素結合を介してアルミニウム顔料の表面に吸着し、さらに脱水縮合反応を経てアルミニウム顔料の表面と強固な共有結合を生成すると考えられる。
本発明の好ましい態様によれば、上記アルミニウム顔料とアルコキシシラン化合物との反応の間に、さらに、高分子分散剤とアルコキシシラン化合物の有機官能基(R −)との間に化学結合が形成されることが好ましい。この反応は、後述するエージング処理または加熱処理により促進されると考えられる。
また、本発明の好ましい態様によれば、上記共有結合生成反応と並行して、シラノール基同士が縮合し、アルミニウム顔料の表面にシロキサンオリゴマーを生成することが好ましい。この反応も、後述するエージング処理または加熱処理により促進されると考えられる。
溶媒
本発明によるアルミニウム顔料分散組成物の製造に用いられる溶媒は、当該顔料を分散可能なものであれば特に制限なく用いることができるが、例えば、アルコール系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、脂肪族系溶剤、脂環族系溶剤、芳香族系溶剤、水などを好ましく用いることができる。また、これら溶剤は二種以上を組合せて用いることもできる。
アルコール系溶剤の具体例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ジアセトンアルコール、3−メトキシ−3メチル−1−ブタノール等を挙げることができる。本発明の好ましい態様によれば、アルコール系溶剤として高沸点アルコール系溶剤を用いることが、表面処理時に溶剤の蒸発に伴う濃度変化が低く抑えられるという観点で好ましい。高沸点アルコール系溶剤としては、3−メトキシ−3メチル−1−ブタノール(MMB)を好ましく用いることができる。
エステル系溶剤の具体例としては、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、乳酸エチル、炭酸ジメチル等を挙げることができる。
ケトン系溶剤の具体例としては、アセトン、イソホロン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、メチルイソブチルケトンベンゼン、ジイソブチルケトン、ジアセトンアルコール等を用いることができる。これらの中でも、安全性の観点でメチルイソブチルケトンを挙げることができる。
グリコールエーテル系溶剤の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等、これらモノエーテル類の酢酸エステル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等を挙げることができる。
脂肪族系溶剤の具体例としては、n−ヘプタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等を用いることができる。これらの中でも、低揮発性で取扱いし易いという観点でエチルシクロヘキサンを挙げることができる。
芳香族系溶剤の具体例としては、トルエン、キシレン、テトラリン等を用いることができる。また、その他の溶剤としては、例えば、ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素、ジメチルホルムアミド等のアミド、テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオキサン等のエーテルを挙げることができる。
エージング処理
また、本発明の好ましい態様によれば、本発明によるアルミニウム顔料分散組成物の製造方法にあっては、前記アルミニウム顔料と高分子分散剤とアルコキシシラン化合物と溶剤との混合物が、エージング処理に付されることが好ましい。これにより、高分子分散剤とアルコキシシラン化合物の有機官能基(R −)との間の化学結合の形成を促進することができると考えられる。その結果、アルミニウム顔料の表面処理反応を効率良く行うことができると考えられる。エージング処理は、例えば40℃以下の温度で300時間以上行うことが好ましい。エージング温度は5℃以上であることが好ましい。
加熱処理
また、本発明の好ましい態様によれば、本発明によるアルミニウム顔料分散組成物の製造方法にあっては、前記アルミニウム顔料と高分子分散剤とアルコキシシラン化合物と溶剤との混合物が、加熱処理に付されることが好ましい。本発明による製造方法にあっては、加熱処理は単独で行ってもよいし、エージング処理と組合せて行ってもよい。後者の場合、加熱処理はエージング処理前またはエージング処理中の適切な時期に少なくとも一度行われることが好ましい。これにより、高分子分散剤とアルコキシシラン化合物の有機官能基(R −)との間の化学結合の形成を促進することができると考えられる。その結果、アルミニウム顔料の表面処理反応を効率良く行うことができると考えられる。また、加熱処理とエージング処理とを組合せて行う場合においては、加熱処理により、必要とされるエージング時間の下限を例えば50時間以上に短縮することができる。加熱処理は、例えば40〜80℃の温度で2〜10時間行うことが好ましい。
顔料分散組成物
本発明によるアルミニウム顔料分散組成物の製造方法により得られるアルミニウム顔料分散組成物は、製造に用いた溶剤をそのまま含有させるか、または同じまたは別の溶媒を追加し、あるいは別の溶媒と置換することで、顔料分散組成物を得ることができる。顔料分散組成物の具体的形態としては、表面処理アルミニウム顔料が微量または少量の溶剤に分散してなる、いわゆる顔料分散体または顔料分散スラリーや、表面処理アルミニウム顔料が所定量の溶剤に分散してなる、いわゆる顔料分散液を挙げることができる。顔料分散組成物は後述するペン用インキ、スクリーン印刷用インキ、印刷スプレー用塗料など種々の用途においてこれらに共通する原料として用いることができる。
用途
本発明の好ましい態様によれば、本発明によるアルミニウム顔料分散組成物は、ペン、スプレー、凸版印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷およびインクジェット印刷、塗料、コーティング組成物、トナーなど種々の用途において用いられる、溶剤系インキまたは水系インクの効果顔料または色材として好適に用いることができる。とりわけ、ペン用インキ、スクリーン印刷用インキ、印刷スプレー用塗料の効果顔料として好適に用いることができる。
以下に、本発明によるアルミニウム顔料分散組成物が効果顔料または色材として好ましく用いられる用例として塗料の場合について説明する。
塗料組成物
本発明による塗料組成物は、上述したアルミニウム顔料分散組成物と、樹脂バインダーと、溶剤とを少なくとも含んでなる。アルミニウム顔料分散組成物の製造に用いた溶剤をそのまま含有させるか、または同じまたは別の溶媒を追加し、あるいは別の溶媒と置換することで、塗料組成物を得ることができる。
この態様に用いられる樹脂バインダーとしては、塗装皮膜形成可能な公知の樹脂を用いることができ、例えば、天然植物油、天然有機樹脂、半合成有機樹脂、合成有機樹脂などを用いることができる。また、樹脂バインダーは、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂の何れであってもよい。また、樹脂バインダーは、塗装基材への付着性などの要求性能や水系、溶剤系、粉体系に大きく分類される塗料組成物の種類に応じて選択すれば良い。
樹脂バインダーとしては、あまに油、大豆油、脱水ひまし油のような乾性油および半乾性油、酒精ワニス、ロジン、ニトロセルロース、エチルセルロース、酢酸セルロース、酪酸セルロース、ベンジルセルロース、ノボラック型またはレゾール型のフェノール樹脂、尿素樹脂、アルキド樹脂、アミノ樹脂、アミノアルキド樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、シリコーン樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂、変性熱可塑性または熱硬化性のフッ素樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、グラフト変性ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、グラフト変性ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、カシュー樹脂、ケイ皮酸樹脂、メラミン樹脂、ポリチオール樹脂、ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、α、β−不飽和カルボン酸またはその無水物でグラフト変性された酸変性ポリオレフィン樹脂、酸変性塩素化ポリオレフィン樹脂、アクリルモノマー等に代表される反応性モノマーでグラフト変性されたグラフト変性ポリオレフィン樹脂、グラフト変性塩素化ポリオレフィン樹脂、上記物質の共重合体、および上記物質の水性化物などを好ましく用いることができ、これらを混合して用いることもできる。また、粉体系塗料組成物として使用する場合は、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、ナイロン、塩化ビニルなどの非反応性樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂などを好ましく用いることができる。
塗装皮膜形成の方法や種類は特に限定されないが、例えば、常温乾燥、常温酸化硬化、加熱硬化、縮合反応硬化、付加反応硬化、ラジカル反応硬化や、電子線、紫外線、放射線などの高エネルギー線照射による硬化、粉体塗装などの加熱可塑化後の冷却を挙げることができる。
本発明による塗料組成物が水系塗料組成物である場合、水系塗料組成物は水溶性高分子を含むことができる。水溶性高分子の好ましい具体例としては、ゼラチン誘導体、二塩基酸無水物と反応させたゼラチン類、でんぷん類、水溶性のセルロース誘導体、有機溶剤可溶型セルロース誘導体、ポリアルキレンオキサイドおよびそれらの誘導体、ポリアクリル酸、ポリメタアクリル酸またはそのエステル、あるいは塩類及びそれらの共重合体、ポリヒドロキシエチルメタアクリレート及びその共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジウムハライド、各種鹸化度のポリビニルアルコール、カチオン変性、カルボキシ変性、両性のポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルエーテル、アルキルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイ酸共重合体、及びそれらの塩、ポリエチレンイミンなどの合成ポリマー、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタアクリレート−ブタジエン共重合体などの共役ジエン系共重合体ラテックス、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの酢酸ビニル共重合体ラテックス、アクリル酸エステル重合体、メタクリル酸エステル重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体などのアクリル系重合体または共重合体からなる水溶性高分子、及びそれらのラテックス、塩化ビニリデン系共重合体ラテックスあるいはこれらの各種重合体のカルボキシル基などの官能基含有単量体による官能基変性重合体ラテックス、メラミン樹脂、尿素樹脂などの熱硬化性合成樹脂および、ポリメチルメタクリレート、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコーポリマー、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂などの合成樹脂などを挙げることができる。
また、本発明による塗料組成物は、必要に応じて硬化剤を含むことができる。硬化剤は、樹脂バインダーの種類や塗装方法を勘案して適宜選択することができるが、例えばメラミン化合物、イソシアネート化合物、ヒドラジン化合物などを用いることができる。
また、塗料組成物は溶剤を除いた無溶剤系塗料とすることもできる。これにより、揮発性有機化合物(VOC)や有害大気汚染物質(HAP)などの環境汚染物質の発生がなく、環境対応性に優れる塗料組成物を提供することができる。
以下の実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
原料アルミニウム顔料
原料アルミニウム顔料として、Metasheen(登録商標)41−0410(10%アルミニウムフレークの酢酸エチルスラリー、BASF社製)を用いた。
上記原料アルミニウム顔料に含まれる酢酸エチル(沸点77℃)を減圧蒸留により留去し、下記3種の各溶剤で置換したアルミニウム顔料1〜4を作製した。
溶剤
・エチルシクロヘキサン(ECH)(丸善石油化学社製、沸点131℃)
・メチルイソブチルケトン(MIBK)(三菱化学社製、沸点116℃)
・3−メトキシ−3メチル−1−ブタノール(MMB)(三協化学社製、沸点174℃)
アルミニウム顔料1
1Lナスフラスコに、原料アルミニウム顔料300g(固形分30g)と、ECH100gずつを、段階的に昇温させながら(室温〜35℃)、3回に分けて添加して混合し、エバポレーターで減圧蒸留を行った。減圧はアスピレーターで行い、最大20mmHg程度まで減圧した。最初、室温(22℃)でECHを100g加え、次いで25度に昇温してECHを100g加え、次いで30℃に昇温してECHを100g加え、最終的に35℃まで昇温した。その結果、酢酸エチルは留去され、Metasheen(登録商標)41−0410由来の5%アルミニウムフレークのECHスラリーを得た。なお、スラリーの最終量が600gとなるようにECHを加えて調整した。
アルミニウム顔料2
1Lナスフラスコに、原料アルミニウム顔料300g(固形分30g)と、MIBK300gを、段階的に昇温させながら(室温〜30℃)、2回に分けて添加して混合し、エバポレーターで減圧蒸留を行った。減圧はアスピレーターで行い、最大20mmHg程度まで減圧した。当初の室温(20℃)から25度に昇温してMIBKを100g加え、次いで30℃に昇温してECHを100gずつ計200g加えた。その結果、酢酸エチルは留去され、Metasheen(登録商標)41−0410由来の5%アルミニウムフレークのMIBKスラリーを得た。なお、スラリーの最終量が600gとなるようにMIBKを加えて調整した。
アルミニウム顔料3
1Lナスフラスコに、原料アルミニウム顔料300g(固形分30g)と、300gのECHと、1.5gのソルスパース28000(ルーブリゾール社製)とを添加して混合し、段階的に昇温させながら(室温〜30℃)、エバポレーターで減圧蒸留を行った。減圧はアスピレーターで行い、最大20mmHg程度まで減圧した。その結果、酢酸エチルは留去され、Metasheen(登録商標)41−0410由来の5%アルミニウムフレークのECHスラリーを得た。なお、スラリーの最終量が600gとなるようにECHを加えて調整した。なお、溶剤置換操作に予め分散剤であるソルスパース28000(1.5g)を用いたのは、溶剤変換後のアルミニウム顔料の凝集を防止するためである。
アルミニウム顔料4
1Lナスフラスコに、原料アルミニウム顔料300g(固形分30g)と、220gのMMBと、1.5gのソルスパース28000(ルーブリゾール社製)とを添加して混合し、段階的に昇温させながら(室温〜55℃)、エバポレーターで減圧蒸留を行った。減圧はアスピレーターで行い、最大20mmHg程度まで減圧した。その結果、酢酸エチルは留去され、Metasheen(登録商標)41−0410由来の8%アルミニウムフレークのMMBスラリーを得た。なお、スラリーの最終量が375gとなるようにMMBを加えて調整した。また、MMBおよびソルスパース28000を添加して行う減圧蒸留操作を計2回行った(スラリーの最終量750g)。なお、溶剤置換操作に予め分散剤であるソルスパース28000(1.5g)を用いたのは、溶剤変換後のアルミニウム顔料の凝集を防止するためである。
アルミニウム顔料分散組成物の作製
実施例1および2
15mlのバイアルに、上記アルミニウム顔料1と高分子分散剤としてソルスパース3000またはソルスパース9000とを添加し、室温で1時間撹拌した。その後、アルコキシシラン化合物としてn−デシルトリメトキシシランおよび精製水を添加し、オイルバスで60℃まで昇温し、8時間保持した後、冷却し、アルミニウム顔料分散組成物1(実施例1)、およびアルミニウム顔料分散組成物2(実施例2)を作製した。各成分の添加量は下記表1に示すとおりとした。なお、ソルスパース3000およびソルスパース9000はそれぞれ10%のECHを含む。
実施例3および4
15mlのバイアルに、上記アルミニウム顔料2と高分子分散剤としてソルスパース3000またはソルスパース9000とを添加し、室温で1時間撹拌した。その後、アルコキシシラン化合物としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(分子量:236.3)および精製水を添加し、オイルバスで60℃まで昇温し、8時間保持した後、冷却し、アルミニウム顔料分散組成物3(実施例3)、およびアルミニウム顔料分散組成物4(実施例4)を作製した。各成分の添加量は下記表2に示すとおりとした。なお、ソルスパース3000およびソルスパース9000はそれぞれ10%のMIBKを含む。
実施例5
15mlのバイアルに、上記アルミニウム顔料3と高分子分散剤としてソルスパース28000とを添加し、室温で1時間撹拌した。その後、アルコキシシラン化合物としてn−デシルトリメトキシシラン(分子量:262.5)および精製水を添加し、オイルバスで60℃まで昇温し、8時間保持した後、冷却し、アルミニウム顔料分散組成物5(実施例5)を作製した。各成分の添加量(重量部)は下記表3に示すとおりとした。
実施例6
15mlのバイアルに、上記アルミニウム顔料2と高分子分散剤としてソルスパース28000とを添加し、室温で1時間撹拌した。その後、アルコキシシラン化合物としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランおよび精製水を添加し、オイルバスで60℃まで昇温し、8時間保持した後、冷却し、アルミニウム顔料分散組成物6(実施例6)を作製した。各成分の添加量(重量部)は下記表4に示すとおりとした。
実施例7
15mlのバイアルに、上記アルミニウム顔料4と高分子分散剤としてソルスパース28000とを添加し、室温で1時間撹拌した。その後、アルコキシシラン化合物としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランおよび精製水を添加し、オイルバスで60℃まで昇温し、8時間保持した後、冷却し、アルミニウム顔料分散組成物7(実施例7)を作製した。各成分の添加量は下記表5に示すとおりとした。
比較例1
上記アルミニウム顔料1そのものを比較例1とした。
比較例2
実施例1においてn−デシルトリメトキシシランの添加混合を行わずに、ソルスパース3000のみを用いて混合したアルミニウム顔料を作製した。
比較例3
実施例1においてn−デシルトリメトキシシランの添加混合を行わずに、ソルスパース9000のみを用いて混合したアルミニウム顔料を作製した。
比較例4
15mlのバイアルに、上記アルミニウム顔料1、アルコキシシラン化合物としてn−ヘキシルトリメトキシシランおよび水を添加し、オイルバスで60℃まで昇温し、8時間保持した後、冷却し、n−ヘキシルトリメトキシシランのみを用いて混合したアルミニウム顔料を作製した。
比較例5
15mlのバイアルに、上記アルミニウム顔料1、アルコキシシラン化合物としてn−デシルトリメトキシシランおよび水を添加し、オイルバスで60℃まで昇温し、8時間保持した後、冷却し、n−デシルトリメトキシシランのみを用いて混合したアルミニウム顔料を作製した。
比較例6
上記アルミニウム顔料3そのものを比較例6とした。
比較例7
上記アルミニウム顔料2そのものを比較例7とした。
比較例8
上記アルミニウム顔料4そのものを比較例8とした。
評価
上記のとおり作製したアルミニウム顔料分散組成物1〜7(実施例1〜7)、並びにアルミニウム顔料そのもの及び高分子分散剤のみ又はアルコキシシラン化合物のみを用いて混合したアルミニウム顔料(比較例1〜8)の各試料を用いて、下記表6に記載された組成のシルクスクリーンインキを製造した。得られた各インキを用いて、以下の各種評価を行った。
評価1
分散性
上記のとおり製造した各インキを、顕微鏡観察に適する顔料濃度となるように3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールで希釈し、スライドグラス上に滴下した。乾燥後、各試料の分散状態を偏向顕微鏡ECLIPSE LV100D−U(ニコン社製、倍率:500倍)を用いて観察した。
結果
顕微鏡観察の結果は、実施例1〜7のアルミニウム顔料分散組成物を含むインキおよび比較例1〜8のアルミニウム顔料を含むインキの順に、図1〜15に示されるとおりであった。図1〜7で観察されるアルミニウム顔料分散組成物を含むインキは、いわゆる一次粒子またはこれに近い状態で良好な分散性を示すことが確認された。一方、図8〜15で観察されるアルミニウム顔料そのものを含むインキ、高分子分散剤またはアルコキシシラン化合物のみを用いて混合したアルミニウム顔料を含むインキは、いずれも凝集体を形成し、分散性が不十分であることが確認された。
評価2
輝度
上記のとおり製造した各インキを、20μm厚のルミラー(東レ社製PETフィルム)に、シルクスクリーンでベタ印刷を行い(5μm厚)、80℃で30分乾燥して各サンプルを作製した。
作製した各サンプルについて、グロスメーター PG−M1(日本電色工業社製)を用いて裏面から60°光沢度を測定した。測定は全10回行った。その平均値は表7に示されるとおりであった。
評価3
耐水性
評価2において作製した各サンプルを、80℃の温水に3時間浸漬した。その後、各サンプルの60°光沢度の低下率を測定した。測定は全10回行った。その平均値は表7に示されるとおりであった。
評価4
耐湿性
評価2において作製した各サンプルを、温度60℃、相対湿度85%の環境下に48時間置いた。その後、各サンプルの60°光沢度の低下率を測定した。測定は全10回行った。その平均値は表7に示されるとおりであった。
評価5
電磁波透過性
評価2において作製した各サンプルに、1,000Vの電圧をかけた。その後、各サンプルの表面抵抗率(Ω・m)を測定した。この評価は電磁波透過性の代用評価として行った。表面抵抗値が高い程、電波吸収が少なくなるため、電磁波透過性が高いものと言える。測定は全10回行った。その平均値は表7に示されるとおりであった。

Claims (12)

  1. アルミニウム顔料が、高分子分散剤とアルコキシシラン化合物とを含んでなる溶媒に分散されてなる、アルミニウム顔料分散組成物。
  2. 前記高分子分散剤が、主鎖に複数の窒素原子を有し、当該窒素原子を介してアミド結合した側鎖を複数有する櫛形構造のポリアミド系分散剤である、請求項1に記載のアルミニウム顔料分散組成物。
  3. 前記アルコキシシラン化合物が、下記一般式(I)で表わされるアルコキシシラン化合物から選択される少なくとも1種類の化合物である、請求項1または2に記載のアルミニウム顔料分散組成物。
    Si(OR3−X 式(I)
    (式中、Rはアルキル基、アルケニル基、ビニル基、(メタ)アクリル基、フェニル基、アリル基、グリシドキシ基、炭素数5または6のエポキシシクロアルキル基、アミノ基、メルカプト基およびイソシアネート基から選択される官能基を有する1価の基、Rは炭素数1〜3のアルキル基、Rは1価の炭素数1〜3のアルキル基、xは0または1を表す。)
  4. 前記アルコキシシラン化合物が、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシランおよびn−デシルトリメトキシシランからなる群から選択される一種以上の化合物である、請求項3に記載のアルミニウム顔料分散組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のアルミニウム顔料分散組成物と溶剤とを少なくとも含んでなる、顔料分散組成物。
  6. 前記溶媒が、エチルシクロヘキサン、メチルイソブチルケトンおよび3−メトキシ−3メチル−1−ブタノールからなる群から選択される一種または二種以上である、請求項5に記載の顔料分散組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のアルミニウム顔料分散組成物の製造方法であって、
    アルミニウム顔料と高分子分散剤を混合する工程と、
    前記工程で得られた混合物に、アルコキシシラン化合物および溶媒を少なくとも添加し、混合する工程と
    を少なくとも含んでなる、製造方法。
  8. 前記アルミニウム顔料と高分子分散剤とアルコキシシラン化合物と溶媒との混合物をエージング処理および/または加熱処理に付す工程をさらに含んでなる、請求項7に記載の製造方法。
  9. 前記加熱処理が、前記エージング処理前または処理中に行われる、請求項8に記載の製造方法。
  10. 前記エージング処理が40℃以下で300時間以上行われる、請求項8または9に記載の製造方法。
  11. 前記加熱処理が40〜80℃で5〜10時間行われる、請求項8〜10のいずれか一項に記載の製造方法。
  12. 前記溶媒が、エチルシクロヘキサン、メチルイソブチルケトンおよび3−メトキシ−3メチル−1−ブタノールからなる群から選択される一種または二種以上である、請求項7〜11のいずれか一項に記載の製造方法。
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