JP2015077800A - 耐候ハードコートフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた耐候性と、長期間性能が保持されるハードコート性とを兼ね備えるとともに、意匠性がよく、透明性が高くうねりなどのない鏡面性に優れた表面保護層を形成することができるハードコートフィルムを提供する。【解決手段】本発明は、基材シート上に、少なくともプライマー層と表面保護層とがこの順に積層された耐候ハードコートフィルムであって、該表面保護層は6〜9官能のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含む電離放射線硬化型樹脂組成物を架橋硬化してなる硬化物であり、該プライマー層がポリカーボネート系ウレタンアクリル共重合体と、粒径が1〜7μmの球状シリカとを含み、該球状シリカが樹脂分100質量部に対して5〜25質量部配合された耐候ハードコートフィルムである。【選択図】図1

Description

本発明は、耐候ハードコートフィルムに関する。
従来より、樹脂成形品や内装品、外装品などに耐傷性などの表面保護性を付与するために、樹脂表面などにハードコート層を設けることが行われている。そして、このようなハードコート層は基材フィルム上にハードコート層を設けたフィルムとして提供されている(特許文献1〜2)。
一方、一般住居の玄関ドアや外装材、公共施設の床材や外壁などの内外装、あるいは建造物や屋外に設置される構造物は、日々直射日光や風雨に晒されるため、これらの内外装材や建造物には、極めて厳しい耐候性が求められている。
しかしながら、特許文献に記載されているような従来のハードコート層を備えたフィルムでは、耐候性の向上をある程度達成しているものではあるが、屋外で数年から数十年と長期に渡って使用し続けられるフィルムとしてはいまだ満足できるものではなく、更なる耐候性が求められているとともに、耐傷性のようなハードコート性についても、更なる向上が求められている。さらに、一方では、得られた表面保護層は、意匠性がよいこと、すなわち、透明性がよく表面のうねりなどがないなど優れた鏡面性を示し、表面保護層が設けられていることを感じさせないようなものであることも必要な特性として、要求が増大している。
ところで、このようなハードコート性と耐候性とは、相反する特性であり、ハードコート性が良い、すなわち表面の硬度が低く、柔軟性のある表面層を有するものでは、直射日光や風雨に晒された際に、表面層が剥離するようなことはなく、表面形状を維持し、耐候性を有するものであるが、表面の硬度が高いもの、すなわち硬直なものでは、表面層が剥離してしまい、耐候性に乏しいことが知られている。したがって、特に外装材では、いわゆるハードコート性と耐候性とを兼ね備え、バランスのとれた特性を示すとともに、意匠性のよい透明でうねりなどのない鏡面性を示す表面保護層を有するハードコートフィルムが求められている。
特開2004−277629号公報 特開2010― 83029号公報
本発明は、樹脂成形品や内装品、外装品などに対して、優れた耐候性と、長期間性能が保持されるハードコート性とを兼ね備えるとともに、意匠性がよく、透明性が高くうねりなどのない鏡面性に優れた表面保護層を形成することができるハードコートフィルムを提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、下記の発明により当該課題を解決できることを見出した。本発明の要旨は、以下のとおりである。
1. 基材シート上に、少なくともプライマー層と表面保護層とがこの順に積層された耐候ハードコートフィルムであって、該表面保護層は6〜9官能のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含む電離放射線硬化型樹脂組成物を架橋硬化してなる硬化物であり、該プライマー層がポリカーボネート系ウレタンアクリル共重合体と、粒径が1〜7μmの球状シリカとを含み、該球状シリカが樹脂分100質量部に対して5〜25質量部配合された耐候ハードコートフィルム。
2. 電離放射線硬化型樹脂組成物が、さらにカプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレートを含有する、上記1に記載の耐候ハードコートフィルム。
3. 電離放射線硬化型樹脂組成物が、さらに電離放射線反応型シリコーン化合物を含有する、上記1または2に記載の耐候ハードコートフィルム。
4. 電離放射線硬化型樹脂組成物が、さらに電離放射線反応型光安定剤を含有する、上記1〜3のいずれかに記載の耐候ハードコートフィルム。
本発明によれば、優れた耐候性と、長期間性能が保持されるハードコート性とを兼ね備えるとともに、意匠性がよく透明でうねりなどのない鏡面性に優れた表面保護層を有するハードコートフィルムが提供される。
本発明の耐候ハードコートフィルムの構成を示す模式図である。
[耐候ハードコートフィルム]
本発明の耐候ハードコートフィルムは、基材シート上に少なくともプライマー層と表面保護層とが積層されたものであり、表面保護層は6〜9官能のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含む電離放射線硬化型樹脂組成物を架橋硬化してなる硬化物であり、プライマー層がポリカーボネート系ウレタンアクリル共重合体およびその硬化剤と、粒径が1〜7μmの球状シリカとを含む層である耐候ハードコートフィルムである。
図1は、本発明の耐候ハードコートフィルムの好ましい態様の一例を示す模式図である。本発明の耐候ハードコートフィルムは、基材シート1の上に、プライマー層2と表面保護層3とが順に積層されたものである。以下、本発明の耐候ハードコートフィルムの構成について詳細に説明する。
《基材シート》
本発明で用いられる基材シート1は、プライマー層や表面保護層などの層を形成できるものであればよく、各種の樹脂シートが使用できる。このような樹脂シートとしては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂などの各種の樹脂シートを用いることができる。これらのうち、透明性の点でポリエステル系樹脂が好ましい。樹脂シートの厚さは4〜200μmが通常適用される。薄すぎるとカールやシワが入りやすく表面硬度の低下にも寄与するため、50〜200μmがより好ましい。
また、基材シートは、透明でも不透明でもよいが、透明であることが意匠性の観点から好ましい。また、用いる樹脂シートには、コロナ放電処理やプラズマ処理などのいわゆる易接着性処理がなされたものであってもよく、また、樹脂シート表面にプライマー層やアンカー層などの易接着層が設けられたものであってもよい。
《プライマー層》
基材シート1上に設けるプライマー層2は、基材シート1と後述する表面保護層3との間に設けられる層である。そして、このプライマー層は、表面保護層3に対する応力緩和層として機能するもので、表面保護層2の耐候劣化による割れを抑制するために設けるものであり、密着性と耐久性を向上させるように機能するものである。
本発明の耐候ハードコートフィルムで形成するプライマー層としては、ポリカーボネート系ウレタンアクリル共重合体と、粒径が1〜7μmの球状シリカとを含むものであり、このポリカーボネート系ウレタンアクリル共重合体を硬化剤であるジイソシアネート化合物などにより硬化することにより、シリカ粒子を含むプライマー層が形成される。
このようなポリカーボネート系ウレタンアクリル共重合体は、ポリカーボネートジオールとジイソシアネートとを反応させて得られるポリカーボネート系ポリウレタン高分子を、ラジカル重合開始剤を使用し、アクリルモノマーをラジカル重合させて得られる樹脂である。
ここで、ジイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族系イソシアネートや、イソホロンジイソシアネート、水素転化キシリレンジイソシアネートなどの脂環式系イソシアネートが好ましくあげられる。アクリルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸やアルキル基の炭素数が1〜6程度の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
ポリカーボネート系ウレタンアクリレートのアクリル成分とウレタン成分との質量比は、特に制限されないが、耐候性、密着性の点で、ウレタン成分:アクリル成分の質量比を80:20〜20:80の範囲とすることが好ましく、70:30〜30:70の範囲とすることがより好ましい。
また、ポリカーボネート系ウレタンアクリル共重合体を硬化させるための硬化剤としてはジイソシアネート化合物が好ましく、使用できるジイソシアネート化合物としては、上記と同様のジイソシアネート化合物を用いることができ、この硬化剤としてのジイソシアネート化合物の使用量は、硬化するに十分な量であればよく、一般的にはポリカーボネート系ウレタンアクリル共重合体100質量部に対して、1〜20質量部程度であり、より好ましくは3〜10質量部程度である。
使用するシリカ粒子は、いわゆるマット剤として使用できるものであればよく、粒径は1〜7μm程度であることが好ましく、粒子形状は球形のものが好ましい。このようなシリカ粒子の種類については、処理/未処理問わず、従来公知のものが使用でき、これらを単独で、あるいは2種以上を混合して使用することができる。また、シリカ粒子の配合量としては、プライマー層を構成する樹脂分100質量部に対して、5〜25重量部であることが好ましい。このような粒径のシリカ粒子を前記の配合量で配合することで、塗工性能を保持しつつ鏡面性、透明性を確保できる点で好ましいものである。一方、粒径が1μmよりも小さい場合や配合量が5質量部未満の場合には、ブロッキングやレベリング性が低下する傾向がみられ、粒径が10μmよりも大きい場合や配合量が25質量部を超える場合には、ヘイズが低下し、透明性に劣り、また、耐候性および耐傷性などのハードコート性も低下する傾向がみられる。
上記プライマー層2には、耐候性をさらに向上させるため、紫外線吸収剤(UVA)や光安定剤などの耐候性改善剤を含有させることが好ましい。
紫外線吸収剤としては、無機系、有機系のいずれでもよく、無機系紫外線吸収剤としては、平均粒径が5〜120nm程度の酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛などを好ましく用いることができる。また、有機系紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系、サリチレート系、アクリロニトリル系などが好ましく挙げることができる。なかでも、紫外線吸収能が高く、また紫外線などの高エネルギーに対しても劣化しにくいトリアジン系がより好ましい。
光安定剤としては、ヒンダードアミン系の光安定剤などが好ましく挙げられる。また、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に反応性基を有する紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。
紫外線吸収剤の含有量は、プライマー層2を形成する樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1〜25質量部、より好ましくは1〜25質量部、さらに好ましくは3〜20質量部であり、特に好ましくは5〜20質量部である。また、光安定剤の含有量は、プライマー層2を形成する樹脂100質量部に対して、好ましくは0.05〜7質量部、より好ましくは0.5〜5質量部、さらに好ましくは1〜5質量部であり、特に好ましくは2〜5質量部である。
プライマー層2の厚さについては、本発明の効果を奏する範囲で特に限定されないが、十分な接着性と応力緩和性を得るとの観点から、0.5〜10μmの範囲が好ましく、さらには1〜5μmの範囲が好ましい。
プライマー層2の形成は、上記樹脂組成物をそのままで又は溶媒に溶解若しくは分散させた状態のものを用い、公知の印刷方法、塗布方法などによって、基材シートに塗布し、乾燥、硬化することによって行うことができる。プライマー層は塗布後加熱することにより完全に硬化させてもよいし、加熱処理を完全に行わずに半硬化の状態にとどめ、その後、後述する表面保護層を塗布するようにしてもよい。この場合の加熱処理は、例えば50℃で72時間養生させることで硬化させることができる。なお、このプライマー層2を基材シート上に形成する際に、基材シート1に対して、コロナ放電処理やプラズマ処理などの易接着処理を施し、基材シートとの接着性を高めるようにすることもできる。
《表面保護層》
表面保護層3は、プライマー層2の上に設けられるもので、耐候性と耐傷性などのハードコート性などとを付与する層である。この表面保護層3は、6〜9官能のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含む電離放射線硬化型樹脂組成物を架橋硬化してなる硬化物からなる層であって、ハードコート性と耐候性とを有する層である。また、この電離放射線硬化型樹脂組成物には、さらに、ハードコート性や耐候性を向上させるために、カプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、電離放射線反応型シリコーン化合物、耐傷フィラーや、耐候剤などを含有することが好ましく、この耐候剤としては、例えば、紫外線吸収剤や光安定剤があげられ、具体的には、それぞれトリアジン系紫外線吸収剤や、電離放射線反応型のヒンダードアミン系光安定剤が好ましいものとしてあげられる。なお、上記の「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート又はメタクリレート」を意味するものである。
電離放射線硬化型樹脂組成物に用いる重合性のオリゴマーとしては、従来から電離放射線硬化型の樹脂として慣用されている分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマーを用いることができるが、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを用いることが、耐候性とハードコート性を両立させる点で好ましく、分子量としては、1000〜5000程度のものが好ましい。
用いるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの官能基数が大きい場合には、得られる表面保護層の耐傷性が劣るようになるとともに、耐候性も低下する傾向がみられ、また表面にうねりを生じ鏡面性が低下する傾向がみられる。一方、官能基数が小さい場合には、架橋密度が低下し、耐傷性が不足することから、官能基の数としては、6〜9が好ましいものである。一方、さらに経時での耐傷性(耐候試験後の耐傷性)を向上させるには、より官能基数の低い6〜8程度のものとすることがより好ましい結果となる。すなわち、官能基数が高ければ高いほど、耐傷性、すなわちハードコート性に優れるというものではなく、ハードコート性には、適度な柔らかさも必要であり、結果として、官能基の数が6〜9であることが必要なのである。
さらに、電離放射線硬化型樹脂組成物には、上記の6〜9官能性のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーに加えて、カプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを配合することが好ましく、これによりさらに耐候性を向上することができる。使用するカプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、カプロラクトン系ポリオールと有機イソシアネートとヒドロキシアクリレートとの反応により得ることができる。
このようなカプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレートの配合量としては、6〜9官能性のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー100質量部に対して、1〜50質量部の範囲、さらに好ましくは、10〜40質量部の範囲であることが、耐候性を向上できるとともに、電離放射線硬化型樹脂組成物の硬化時の収縮を抑え、うねりの発生を防止し、良好な鏡面性を与えることができる点から好ましい。
なお、本発明においては、6〜9官能のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーやカプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとともに、その粘度を調整するなどの目的や架橋密度を調整するなどの目的に応じて、メチル(メタ)アクリレートなどの単官能性(メタ)アクリレートやエチレングリコールジ(メタ)アクリレートのような多官能性のモノマーを、本発明の目的を損なわない範囲で適宜併用することができる。このようなモノマーは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、粘度を調整するための希釈剤としては、上記のモノマーの他、通常の有機溶媒を用いて、樹脂組成物の塗工性を確保することもできる。
また、本発明の表面保護層を構成する電離放射線硬化型樹脂組成物には、電離放射線反応型シリコーン化合物を配合することができ、この電離放射線反応型シリコーン化合物は表面保護層に表面滑り性を与え耐傷性を向上させ、ハードコート性を付与するためにも用いるものである。
このような電離放射線反応型シリコーン化合物は、シリコーン鎖(シリコーンオイル)の側鎖及び/又は末端に反応性の有機基が導入されているもので、反応性の官能基としては、(メタ)アクリロイル基、アリル基やビニル基などの不飽和二重結合を有する官能基があるが、(メタ)アクリロイル基であるシリコーン(メタ)アクリレートが好ましい。そして、これらの電離放射線反応型シリコーン化合物は、表面保護層が硬化する際に、これらの官能基が電離放射線硬化型樹脂のウレタン(メタ)アクリレートなどと反応し、結合して一体化するため、表面にブリードアウトすることもなく、持続的に表面保護層に滑り性を付与し、耐候試験後の耐擦傷性等を向上させることができる。
電離放射線反応型シリコーン化合物の配合量としては、6〜9官能性のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー100質量部に対して、0.1〜50質量部の範囲、さらに0.5〜10質量部の範囲であることが、表面滑り性の点から好ましい。
また、表面保護層を形成するための電離放射線硬化型樹脂組成物には、さらに、耐傷性などのハードコート性や耐候性を向上させるために、耐傷フィラーや、耐候剤を含有することが好ましく、この耐候剤としては、紫外線吸収剤や光安定剤などがあげられる。
本発明で用いる耐傷フィラーとしては、無機系と有機系のフィラーがあり、無機物では、例えば、α−アルミナ、シリカ、カオリナイト、酸化鉄、ダイヤモンド、炭化ケイ素等の球状粒子が挙げられる。粒子形状は、球、楕円体、多面体、鱗片形等が挙げられ、特に制限はないが、球状が好ましい。
これらの無機系の耐傷フィラーのうち、シリカは好ましいものの一つである。シリカは耐摩擦性を向上させ、かつ表面保護層の透明性を阻害しない。シリカとしては従来公知のシリカから適宜選択して用いることが可能であり、例えば、コロイダルシリカを好適に挙げることができる。コロイダルシリカは、添加量が増えた場合であっても、透明性に影響を及ぼすことが少なく、好ましい。シリカの粒子径としては、1次粒子径が5〜1000nmのものを用いることが好ましく、10〜50nmのものがさらに好ましく10〜30nmのものが特に好ましい。1次粒子径が1000nm以下のシリカを用いると透明性が確保される。また、用いるシリカの1次粒子径は一種類である必要はなく、異なる1次粒子径のシリカを混合して用いることも可能である。シリカの配合量としては、6〜9官能のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー100質量部に対して1〜20重量部の割合であることが好ましい。また、球状のα−アルミナあるいはコロイダルアルミナも、硬度が高く、耐摩耗性の向上に対する効果が大きいことや、球状の粒子を比較的得やすいことから、好ましいものである。
一方、有機物のフィラーでは、架橋アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の合成樹脂ビーズがあげられる。粒径は、通常膜厚の30〜100%程度とすることが透明性保持の観点から好ましい。配合量は、6〜9官能のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー100質量部に対して1〜20重量部程度の割合であることが好ましい。
本発明で用いる電離放射線硬化型樹脂組成物には耐候剤を含むことができる。耐候剤としては紫外線吸収剤(UVA)や光安定剤があり、紫外線吸収剤(UVA)は有害な紫外線を吸収し、本発明の表面保護層が設けられたハードコートフィルムの長期耐候性、安定性を向上させる。また、光安定剤は、これ自体は紫外線をほとんど吸収しないが、紫外線により生じる有害なフリーラジカルを効率良く捕捉することにより安定化するものである。
本発明で用いることができる紫外線吸収剤としては、二酸化チタンや酸化セリウム、酸化亜鉛などの無機系のものや、ベンゾトリアゾール系やトリアジン系の有機系の紫外線吸収剤があげられ、さらにブリードアウトを抑制するために、必要に応じて電離放射線反応型紫外線吸収剤を用いてもよい。また、光安定剤としては、例えば、ヒンダードアミン系の光安定剤があげられる。
これらのうち、本発明で好ましく用いられるトリアジン系紫外線吸収剤としては、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤が好ましい。このような紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2−ヒドロキシ−4−[1−オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス[2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル]−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−(2’−エチル)ヘキシル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンなどが好ましく挙げられ、これらを単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。
トリアジン系紫外線吸収剤の含有量は、6〜9官能のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー100質量部に対して、1〜10質量部が好ましく、3〜10質量部がより好ましく、5〜10質量部がさらに好ましい。トリアジン系紫外線吸収剤の含有量が上記範囲内であれば、該紫外線吸収剤がブリードアウトすることもなく、また十分な紫外線吸収能が得られるので、優れた耐候性が得られる。
このような紫外線吸収剤の好ましい配合量については、一般に、トリアジン系紫外線吸収剤に限らず、ある程度の量の紫外線吸収剤を配合すると、紫外線吸収剤がブリードアウトし、優れた紫外線吸収能を長期にわたって保持できないという問題があり、配合量は低く抑える必要があった。しかしながら、本発明においては、官能基数が小さいウレタン(メタ)アクリレートを用いた場合にはブリードアウトが起こるのに対して、官能基数が6以上、特に6〜9という特定の官能基数を有するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと組み合わせて用いることで、紫外線吸収剤のブリードアウトを抑制することができ、その結果、上記のようなある程度の量の紫外線吸収剤を配合することが可能となったのである。
また、本発明で用いる光安定剤としては、ヒンダードアミン系の光安定剤であることが好ましく、電離放射線反応型ヒンダードアミン系光安定剤であることが好ましい。
電離放射線反応型ヒンダードアミン系光安定剤は、電離放射線硬化型樹脂組成物中の6〜9官能のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーなどと反応性を有するものであれば特に制限はなく、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基などのエチレン性二重結合を有する官能基などが好ましく挙げられ、これらから選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。なかでも(メタ)アクリロイル基が好ましい。
このような光安定剤としては、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、2,4−ビス[N−ブチル−N−(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ]−6−(2−ヒドロキシエチルアミン)−1,3,5−トリアジン)などがあげられる。
電離放射線反応型ヒンダードアミン系光安定剤の配合量は、6〜9官能のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー100質量部に対して、1〜10質量部が好ましく、3〜10質量部がより好ましく、5〜10質量部がさらに好ましい。ヒンダードアミン系光安定剤の含有量が上記範囲内であれば、該光安定剤がブリードアウトすることなく、また十分な光安定性が得られるので、優れた耐候性が得られ、かつ自身も電離放射線硬化型樹脂と共に硬化するためハードコート性を保持できる。
また、本発明で用いられる表面保護層用の電離放射線硬化型樹脂組成物には、その性能を阻害しない範囲で各種添加剤を含有することができる。各種添加剤としては、例えば重合禁止剤、架橋剤、帯電防止剤、接着性向上剤、酸化防止剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤などが挙げられる。
なお、電離放射線硬化型樹脂として紫外線硬化型樹脂を用いる場合には、光重合用開始剤を硬化型樹脂100質量部に対して、0.1〜5質量部程度添加することが望ましく、光重合用開始剤としては、従来慣用されているもののなかから適宜選択することがきできる。
本発明の耐候ハードコートフィルムの表面保護層3は、上記の6〜9官能のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと、必要に応じて、カプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレート、電離放射線反応型シリコーン化合物、耐傷フィラー、耐候剤である紫外線吸収剤や光安定剤などを含む電離放射線硬化型樹脂組成物を、基材フィルム1上に設けられたプライマー層2の上に塗工し、電離放射線などを照射することにより架橋硬化させて形成する層であり、表面保護層3の形成は、以下のようにして行われる。
表面保護層を形成する電離放射線硬化型樹脂組成物の塗工は、硬化後の厚さが通常1〜20μm程度となるように、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコートなどの公知の方式、好ましくはグラビアコートにより行う。また、優れた耐候性とその持続性、さらには耐傷性や透明性、鏡面性とを得る観点から、好ましくは2〜20μmである。
なお、樹脂組成物が溶剤を含むような場合は、塗工後、熱風乾燥機などにより塗工層を予め加熱乾燥してから電離放射線を照射することが好ましい。
上記の樹脂組成物の塗工により形成した未硬化樹脂層は、電離放射線などを照射して架橋硬化することで、表面保護層3が形成される。ここで、硬化に電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚みに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70〜300kV程度で未硬化樹脂層を硬化させることが好ましい。
照射線量は、電離放射線硬化型樹脂の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜50kGy(1〜5Mrad)の範囲で選定される。
電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用いることができる。
また、電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含むものを放射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば、高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク灯などが用いられる。
また、プライマー層2上に表面保護層3を積層する際に、表面保護層3とプライマー層2との接着性を確保するために、プライマー層2の表面をいわゆるコロナ放電処理、プラズマ処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理などの処理により表面保護層との間の接着性をさらに高めるようにすることもできるし、プライマー層2を半硬化の状態にとどめ、その後、表面保護層3を塗工した後、電離放射線を照射し、表面保護層3を硬化することにより、表面保護層3とプライマー層2とを一体化し、両者の間の接着性を高めるようにすることもできる。
なお、本発明の耐候ハードコートフィルムは、プライマー層2上に表面保護層3が積層されるものであるが、このプライマー層は、表面保護層3の耐候劣化による収縮を緩和し、割れを抑制するための応力緩和層として機能するもので、この点から比較的柔軟なポリカーボネート系ウレタンアクリル共重合体が好ましいものである。そして、耐候試験後の耐傷性は、電離放射線硬化型樹脂であるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの官能基数をより高くして硬化の架橋密度を高くすると低下するようになり、また、プライマー層をより硬質のプライマー層としても、同様に耐候試験後の耐傷性は低下するようになる。そこで、本発明は、これらのプライマー層にポリカーボネート系ウレタンアクリル共重合体を用い、表面保護層の電離放射線硬化型樹脂の架橋密度を低くし、両者の層を比較的軟質なものとして、これらを組み合わせることにより、両者の間で相乗効果が生じ、耐候試験後の耐傷性を大幅に向上させることが可能となるという顕著な作用効果を見いだしたものなのである。
本発明の耐候ハードコートフィルムは、基材シート側の表面に、粘着剤を介してセパレータを設けることもできる。こうした構成とすることにより、セパレータを剥がして露出した面を被貼着物に貼着することができる。このようにして得られた耐候ハードコートフィルムは、例えば、外装材や内装材などに貼り付けて用いることができ、意匠性にすぐれ、耐候性と耐傷性などを兼ね備えたのようなハードコート層を表面に有する外装剤や内装材などを得ることができる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、この例によって何ら限定されるものではない。
(評価方法)
(1)耐候性の評価(耐候性試験)
実施例及び比較例で得られた耐候ハードコートフィルムを、ダイプラ・ウィンテス株式会社製メタルウェザーにセットし、ライト条件(照度:60mW/cm、ブラックパネル温度63℃、層内湿度50%RH)で20時間、結露条件(照度:0mW/cm、ブラックパネル温度30℃、層内湿度98%RH)で4時間、水噴霧条件(結露条件の前後10秒間)の条件で300時間放置する耐候性試験を行った。該試験後、25℃50%RHの条件下で2日間保持してから、シート表面にクラックや白化などの外観を下記の基準で評価した。
◎ :外観変化は全くなかった
○ :外観変化はほとんどなかった
△ :外観変化は若干あるが、実用上問題なかった
× :外観変化が著しかった
(2)耐傷性
各実施例及び比較例で得られた耐候ハードコートフィルムについて、スチールウール(日本スチールウール株式会社製、ボンスター#0000)を用いて、300g/cmの荷重をかけて5往復擦り、外観を目視で評価した。評価基準は以下のとおりである。
○ :外観にほとんど変化なかった
△ :外観に若干の傷つきや艶変化があった
× :外観に傷つきがあり、艶変化があった
(3)耐傷性(耐候試験後)
上記耐候性試験を行った耐候ハードコートフィルムについて、耐傷性試験と同様に、スチールウールを用いて、300g/cmの荷重をかけて5往復擦り、外観を目視で評価した。評価基準は以下のとおりである。
◎ :外観変化は全くなかった
○ :外観にほとんど変化なかった
△ :外観に若干の傷つきや艶変化があった
× :外観に傷つきがあり、艶変化があった
(4)耐候密着性
上記耐候性試験を行った耐候ハードコートフィルムについて、その表面にニチバン製セロテープ(登録商標)を貼り付けて急激に剥離する操作を1回行った。このときの、基材シート上に設けた各層が剥離するかどうかを肉眼観察により確認し、下記の基準で評価した。
◎ :層の剥離は全くなかった
○ :層の剥離はほとんどなかった
△ :層の剥離は若干あるが、実用上問題なかった。
× :層の剥離が著しかった
(5)滑り性
(株)東洋精機製作所製「摩擦測定器AN型」を用いて、耐候ハードコートフィルムの滑り出し角度を測定することで滑り性を評価した。評価基準は以下のとおりである。
○ :滑り角15°以下
△ :滑り角15°〜20°
× :滑り角20°以上
(6)べたつき(ブリードアウトの評価)
実施例及び比較例で得られた耐候ハードコートフィルムを常温下で24時間保管した後、耐候ハードコートフィルムの表面を指で触って、下記の基準で評価した。
○ :べたつきは全くなかった
△ :紫外線吸収剤などのブリードによるべたつきは若干あるが、実用上問題なかった
× :ブリードによるべたつきが著しかった
(7)面状態(平滑性)
実施例及び比較例で得られた耐候ハードコートフィルムの表面の平滑性(凹凸感)を目視により下記基準にて評価した。
○ :表面の凹凸感はほとんど確認できない
△ :多少の表面の凹凸感は確認されるが、問題ない
× :表面の凹凸感が著しい
(8)透明性
各実施例及び比較例で得られた耐候ハードコートフィルムについて、表面の状態を下記の基準で目視にて評価した。
○ :ヘイズ感(曇った感じ)は全くなかった
△ :ヘイズ感が若干あるが、実用上問題なかった
× :ヘイズ感があった
実施例1
基材シート1に厚さ100μmの易接着処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、該基材シート1の片面に下記の組成物からなる膜厚3μmのプライマー層2および下記の組成物よりなる膜厚7μmの表面保護層3を順次積層して、耐候ハードコートフィルムを得た。
なお、プライマー層2は、塗布後50℃で30秒間乾燥させることにより形成し、また、表面保護層の硬化は175keV及び10Mrad(100kGy)の条件で電子線を照射することにより行った。
この得られた耐候ハードコートフィルムを用いて、各物性について評価し、得られた結果を、用いた樹脂組成とともに表1に示す。
プライマー層用組成物
プライマー層形成用の組成物は、以下の樹脂組成物と硬化剤とを100:6(質量比)の割合で混合して得られる組成物である。
樹脂組成物:
ポリカーボネート系ウレタンアクリル共重合体:100質量部
ポリカーボネート系ウレタンアクリル共重合体におけるウレタン成分とアクリル成分の質量比:70/30
粒径4μmの球状シリカ:25質量部
ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤:15質量部
「チヌビン400(商品名)」、BASFジャパン株式会社製
ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤:5質量部
「チヌビン479(商品名)」、BASFジャパン株式会社製
ヒンダードアミン系光安定剤:6質量部
「チヌビン123(商品名)」、BASFジャパン株式会社製
硬化剤:
ヘキサメチレンジイソシアネート
表面保護層用組成物
また、表面保護層の電離放射線硬化型樹脂組成物は次のとおりである。
6官能ウレタンアクリレート:100重量部
シリコーンアクリレート:0.3重量部
紫外線吸収剤:4重量部
チヌビン479(商品名)、2−(2−ヒドロキシ−4−[1−オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン、BASFジャパン株式会社製
電離放射線硬化型光安定剤(反応性HALS):4重量部
サノールLS−3410(商品名)、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート、BASFジャパン株式会社製
耐傷フィラー:コロイダルシリカ 10重量部
実施例2
実施例1において、電離放射線硬化型樹脂組成物中の6官能ウレタンアクリレートを、6官能ウレタンアクリレートとカプロラクトン系ウレタンアクリレートオリゴマーの混合樹脂(質量比70/30)とした以外は、実施例1と同様にして、耐候ハードコートフィルムを作製した。得られた評価結果を組成とともに表1に示した。
実施例3
実施例1において、電離放射線硬化型樹脂組成物中の6官能ウレタンアクリレートを、9官能ウレタンアクリレートとした以外は、実施例1と同様にして、耐候ハードコートフィルムを作製した。得られた評価結果を組成とともに表1に示した。
実施例4
実施例1において、電離放射線硬化型樹脂組成物中のシリコーンアクリレートを、シリコーンオイル(二重結合を持たない非反応性のシリコーン)とした以外は、実施例1と同様にして、耐候ハードコートフィルムを作製した。得られた評価結果を組成とともに表1に示した。
実施例5
実施例1において、電離放射線硬化型樹脂組成物中の電離放射線硬化型光安定剤を、電離放射線硬化型ではない通常の液状光安定剤(「チヌビン123(商品名)」、BASFジャパン株式会社製)とした以外は、実施例1と同様にして、耐候ハードコートフィルムを作製した。得られた評価結果を組成とともに表1に示した。
実施例6
実施例1において、電離放射線硬化型樹脂組成物中の耐傷フィラーを用いなかった以外は、実施例1と同様にして、耐候ハードコートフィルムを作製した。得られた評価結果を組成とともに表1に示した。
比較例1
実施例1において、電離放射線硬化型樹脂組成物中の6官能ウレタンアクリレートを、15官能ウレタンアクリレートとした以外は、実施例1と同様にして、耐候ハードコートフィルムを作製した。得られた評価結果を組成とともに表1に示した。
比較例2
実施例1において、プライマー層のポリカーボネート系ウレタンアクリル共重合体を、ポリエステル系ウレタンアクリル共重合体とした以外は、実施例1と同様にして、耐候ハードコートフィルムを作製した。得られた評価結果を組成とともに表1に示した。
比較例3
実施例1において、電離放射線硬化型樹脂組成物中の6官能ウレタンアクリレートを、15官能ウレタンアクリレートとし、プライマー層のポリカーボネート系ウレタンアクリル共重合体を、ポリエステル系ウレタンアクリル共重合体とした以外は、実施例1と同様にして、耐候ハードコートフィルムを作製した。得られた評価結果を組成とともに表1に示した。
比較例4
実施例1において、電離放射線硬化型樹脂組成物中の6官能ウレタンアクリレートを、3官能ウレタンアクリレートとした以外は、実施例1と同様にして、耐候ハードコートフィルムを作製した。得られた評価結果を組成とともに表1に示した。
比較例5
実施例1において、プライマー層の粒径4μmの球状シリカの配合量25質量部を、2質量部とした以外は、実施例1と同様にして、耐候ハードコートフィルムを作製した。得られた評価結果を組成とともに表1に示した。
比較例6
実施例1において、プライマー層の粒径4μmの球状シリカの配合量25質量部を、40質量部とした以外は、実施例1と同様にして、耐候ハードコートフィルムを作製した。得られた評価結果を組成とともに表1に示した。
比較例7
実施例1において、プライマー層の粒径が4μmの球状シリカを、粒径が0.5μmの球状シリカとした以外は、実施例1と同様にして、耐候ハードコートフィルムを作製した。得られた評価結果を組成とともに表1に示した。
比較例8
実施例1において、プライマー層の粒径が4μmの球状シリカを、粒径が10μmの球状シリカとした以外は、実施例1と同様にして、耐候ハードコートフィルムを作製した。得られた評価結果を組成とともに表1に示した。
Figure 2015077800
実施例1〜6の耐候ハードコートフィルムは、優れた耐候性と、長期間性能が保持されるハードコート性とを兼ね備えるとともに、意匠性がよく、透明性が高くうねりなどのない鏡面性に優れた表面保護層であることが確認された。
すなわち、表1によると、表面保護層として、特定の官能基数(6〜9)のウレタンアクリレートを用い比較的柔軟な硬化物の層とし、プライマー層としてポリカーボネート系ウレタンアクリル共重合体を用いた比較的柔軟な層とすることにより、両者の相乗効果により耐候性と、耐傷性等のいわゆるハードコート性とが向上しているが、これらの特性は、表面保護層に電離放射線硬化型シリコーンや耐傷フィラーを加えることにより、さらに改善されることがわかる。また、表面保護層にカプロラクトン系ウレタンアクリレートを配合することによりさらに耐候性、耐傷性とともに、平滑性に優れたハードコート層を有する耐候ハードコートフィルムが得られるものであることがわかる。
1.基材シート
2.プライマー層
3.表面保護層

Claims (4)

  1. 基材シート上に、少なくともプライマー層と表面保護層とがこの順に積層された耐候ハードコートフィルムであって、該表面保護層は6〜9官能のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含む電離放射線硬化型樹脂組成物を架橋硬化してなる硬化物であり、該プライマー層がポリカーボネート系ウレタンアクリル共重合体と、粒径が1〜7μmの球状シリカとを含み、該球状シリカが樹脂分100質量部に対して5〜25質量部配合された耐候ハードコートフィルム。
  2. 電離放射線硬化型樹脂組成物が、さらにカプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレートを含有する、請求項1に記載の耐候ハードコートフィルム。
  3. 電離放射線硬化型樹脂組成物が、さらに電離放射線反応型シリコーン化合物を含有する、請求項1または請求項2に記載の耐候ハードコートフィルム。
  4. 電離放射線硬化型樹脂組成物が、さらに電離放射線反応型光安定剤を含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の耐候ハードコートフィルム。
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