JP2015074902A - 鋼管の補強方法及び補強装置 - Google Patents
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Abstract
Description
また、建築物の柱・梁接合部において柱が鋼管である場合も同様である。
鋼管矢板土留壁や建築物の鋼管柱・梁接合部などにおいて鋼管柱の側面に局部荷重が作用すると、鋼管側面は凹みなど損傷を受ける虞がある。
そこで、これら鋼管側面に作用する局部荷重に対しその作用点位置の鋼管の内部に補強部材を挿入して鋼管を補強することが行われる。そのために、例えば、特許文献1にあっては、短尺のコンクリート柱を膨張セメントで鋼管杭内に固着する。また特許文献2にあっては、縦リブを有する治具を梁接合位置の鋼管柱内部に溶接固定する。
また、特許文献3には、鋼管と鋼管との継手部に設置されるリング状の本体を成した継手部裏当リングが記載されている。この継手部裏当リングは、外周に設けられた突起部で溶接間隔を保持するためのものであって、リング本体に設けられたテーパー状スリットに楔を打ち込んでリング本体を拡径させて鋼管に密着安定させることができる。
特許文献1に記載の方法では、膨張セメントを充填する作業や、その膨張セメントの硬化・強度発現を待たなければならず、補強完了までに時間を要して効率的でない。
特許文献2に記載の方法では、治具を鋼管内部に溶接するため、補強個所が鋼管の開口端より遠い中ほどになるほど、治具の位置決めや溶接作業が困難となり、相当の労力を要する。
特許文献3に記載の継手部裏当リングは、鋼管と鋼管の継手部にしか設置できず、かつ、外圧に対する補強を目的としておらず補強効果があまり期待でいない。
また以上の何れの従来技術においても、補強部材は1個所ずつの設置となり作業効率が悪いほか、補強が不要となった場合には容易に補強部材を撤去・回収ができず不経済である。
鋼管内面と略等価曲率の支持面をそれぞれ有し、鋼管軸を中心にして前記支持面が外向きに配置される複数の支持部と、
前記複数の支持部が鋼管軸を中心に集散するよう半径方向に前記複数の支持部を相対的に移動させる移動機構と、
を備え、
前記支持面が鋼管軸を中心とした最大径部位とされ、前記移動機構による前記最大径部位の径の拡大に伴い前記支持面を鋼管内面に当接させて鋼管内部に設置可能にされた鋼管の補強装置である。
前記支持面を、側面に局部荷重を受ける鋼管の、当該局部荷重作用点に相当する鋼管内面に当接させて、前記補強装置を鋼管内部に設置することを特徴とする鋼管の補強方法である。
鋼管100背面に作用する土水圧は支保工200によって支持されるが、支保工200と線接触する鋼管100の側面101には支保工200からの反力が局部荷重として作用する。この場合、鋼管100は局部荷重によって凹み等の損傷を受ける虞があるため、その局部荷重作用点に相当する鋼管内面102を補強装置1によって内側から突っ張るようにして支持することで当該局部荷重に対する補強を行う。
それには、まず、補強対象個所の数に相等する数の補強装置1を用意する。補強対象個所がN個所であるとすると、補強装置1をN個用意する。なお、図1では3個所分を図示する。
最下位置の補強対象個所を1番目として、上へ向って2番目、3番目、・・・N番目とする。1番目を補強する補強装置1と2番目を補強する補強装置1とを、1番目と2番目の補強対象個所の間隔に相等する間隔で連結材2により連結する。1番目、2番目の補強対象個所にそれぞれ補強装置1を精度良く配置するためである。この間隔は、予め決まっているので連結材2の長さを適宜合うように調整しておけばよい。
同様にして、2番目を補強する補強装置1と3番目を補強する補強装置1とを、2番目と3番目の補強対象個所の間隔に相等する間隔で連結材2により連結する。
また、使用するすべて補強装置1を使用するすべての連結材2で連結してから、1番目を補強する補強装置1から順次に鋼管100内に挿入してもよい。
また、使用するすべて補強装置1を使用するすべての連結材2で連結し、N番目を補強する補強装置1に連結した連結材2を鋼管100の上端部や鋼管100外の適所に固定した後、1番目を補強する補強装置1から順次に鋼管100内に挿入してもよい。連結材2で正しく連結された補強装置1を現場に持ち込めば、現場作業を格段に効率化できる。
すなわち、拡径する機能を利用する場合、すべての補強装置1が補強対象個所に配置されたら、各補強装置1を拡径させて鋼管内面102に当接させて設置する。
以上で補強が完了する。
その後、補強が不要となれば、各補強装置1を縮径させて鋼管100内から順次引き抜き撤去できる。すべての補強装置1が連結材2で連結されているから、すべての補強装置1を引き抜き撤去する作業が迅速かつ容易に行える。
まず、図2に示した一構成例である補強装置1Aにつき説明する。
図2に示すように補強装置1Aは、中心に配置されるコッタ10と、コッタ10を介して対向する2つの支持部11,11とを備える。
コッタ10は、軸方向の位置によって外径が増減する雄テーパー面を有した円錐台状の形状を有する。支持部11,11はそれぞれコッタ10の雄テーパー面にして相補的な雌テーパー面を有しており、コッタ10の雄テーパー面と支持部11,11の雌テーパー面とが接している。2つの支持部11,11は、ガイド部12,12により連結されている。2つの支持部11,11は、ガイド部12,12により径方向に沿って相対的に近づいたり離れたりできるようにガイドされている。また、2つの支持部11,11は、ガイド部12,12に設けられたバネ(不図示)によって互いに近づく方向に付勢されている。
支持部11,11は、上下の支持板13,13によって挟まれ、軸方向に移動規制され半径方向に移動自由にされている。支持板13に固定されたフレーム14を介して複動シリンダー15が設けられ、複動シリンダー15の出力軸が継手16を介してコッタ10に連結されている。
以上のように複数の支持部11,11を相対的に移動させる移動機構が構成されている。コッタ10、支持部11は、金属類のほかコンクリートや、塩ビ等のプラスチックなどで、耐荷部材であればよい。
図2に示すように、鋼管軸Aを中心にして支持面11a,11aが外向きに配置される。また、支持面11a,11aが鋼管軸Aを中心とした最大径部位とされ、上述した移動機構による最大径部位の径の拡大に伴い支持面11a,11aを鋼管内面に当接させて鋼管100内部に設置可能である。支持面11a,11aが最大径部位であるので、鋼管内部の任意の個所に設置可能である。
図2(b)の場合、複動シリンダー15を縮ませてコッタ10を引き上げることにより、支持面11a,11aが拡径移動し、これにより支持面11a,11aを鋼管内面に当接させて補強装置1Aを鋼管100内部に設置でき、反対に、複動シリンダー15を伸ばしてコッタ10を押し下げることにより、支持面11a,11aがバネの力により縮径移動し、これにより補強装置1Aを取り外し鋼管100内部から撤去することができる。
そのためには、支持面11aの中心角θ(図2(a)参照)は大きいほうが良い。中心角θを大きくするためには、支持部11は少ない方が良いため、本例のように最少の2つとすることが好ましい。そして、中心角θとして90度以上を確保するように支持部11を形成する。こうしたことで支保工が架設される側に対面する鋼管側面には、支持部材を介して反力が作用するが、支持部材に触れない部分の力の成分は法線方向に対して接線方向が卓越するため鋼管の変形を抑止できる。
またこの場合、±45度以上の設置誤差が許容されるが、設置誤差が大きくならないようにするために、連結材2を接続する連結部17(図2(b)参照)を上下各2個所に設け、図1に示したように2本の並列な連結材2,2で補強装置1,1間を連結することが好ましい。これにより、鋼管100内へ挿入時における補強装置1の回転を抑え、支持面11aが局部荷重作用点に相当する鋼管内面102から外れることを防ぐことができる。複動シリンダー15に替えてネジジャッキなど往復動可能なものとしてもよい。
本例の補強装置1Bは、モーターとネジ機構によって支持部11,11の半径方向への移動機構を実現するものである。
例えば図3に示すとおり、モーター20と、かさ歯車21,22,22と、支持部11,11とをフレーム24に支持し、かさ歯車22,22の軸23に形成された雄ネジ23aを、支持部11に形成された雌ネジ11bに螺合連結し、モーター20の回転動力を、かさ歯車21,22,22を介して雄ネジ23aまで伝達することで、支持部11,11の半径方向への移動機構を実現できる。支持部11,11はフレーム24に対し半径方向にのみ可動にして支持される。
本例の補強装置1Cは、複動シリンダーとリンク機構によって支持部11,11の半径方向への移動機構を実現するものである。
例えば図4に示すとおり、複動シリンダー30の両端に連結されたヒンジベース31,31をそれぞれ経由するように2つの支持部11,11を4つのリンク32,32,32,32を介して連結し、複動シリンダー30を伸縮させることで、支持部11,11の半径方向への移動機構を実現できる。
なお、リンク32,32,32,32とブラケット33,33を排して、複動シリンダー30の軸方向を一方の支持部11から他方の支持部11に至る方向に配置し、2つの支持部11,11を直接的に複動シリンダー30で連結した構成を実施してもよい。いわば、一方のヒンジベース31が一方の支持部11に固定され、他方のヒンジベース31が他方の支持部11に固定されたような構成である。
各動力装置(15,20,30)と接続されたコントローラーを鋼管100の外部に設置しておき、必要数の補強装置1を鋼管100内に配置した後、コントローラーを操作して支持部11の拡径動作を実行させることで、補強装置1を鋼管100の内部に設置する。その際、コントローラーを操作して全補強装置1の支持部11の拡径動作を一斉に実行させることで、必要数の補強装置1を鋼管100の内部に短時間で設置することができる。
設置後、コントローラーを操作して支持部11の縮径動作を実行させれば、鋼管100内から補強装置1を引き抜き撤去することができる。その際、コントローラーを操作して全補強装置1の支持部11の縮径動作を一斉に実行させれば、鋼管100内から補強装置1を引き抜き撤去するための準備を短時間に行える。
動力装置(15,20,30)のエネルギー形態は、電気、油圧、空圧などを挙げることができるが、特に限定されるものではない。
なお、補強装置1は、支持面11aの曲率を変えることで、各径の鋼管の補強に適用することができる。
11 支持部
11a 支持面
2 連結材
100 鋼管
200 支保工
Claims (5)
- 側面に局部荷重を受ける鋼管の、当該局部荷重作用点に相当する鋼管内面を支持して当該局部荷重に対する構造強度を補強する補強装置を鋼管の内部に着脱自在に設置する鋼管の補強方法。
- 鋼管の軸方向に位置の異なる2以上の補強対象個所の内部に前記補強装置をそれぞれ設置するにあたり、前記補強対象個所の数に相等する数の前記補強装置を、前記補強対象個所の間隔に相等する間隔で連結して、鋼管内に挿入することを特徴とする請求項1に記載の鋼管の補強方法。
- 側面に局部荷重を受ける鋼管の、当該局部荷重作用点に相当する鋼管内面を支持して当該局部荷重に対する構造強度を補強する補強装置であって、
鋼管内面と略等価曲率の支持面をそれぞれ有し、鋼管軸を中心にして前記支持面が外向きに配置される複数の支持部と、
前記複数の支持部が鋼管軸を中心に集散するよう半径方向に前記複数の支持部を相対的に移動させる移動機構と、
を備え、
前記支持面が鋼管軸を中心とした最大径部位とされ、前記移動機構による前記最大径部位の径の拡大に伴い前記支持面を鋼管内面に当接させて鋼管内部に設置可能にされた鋼管の補強装置。 - 前記支持部が対向する2つで、前記各支持面の中心角が90度以上である請求項3に記載の鋼管の補強装置。
- 請求項3又は請求項4に記載の鋼管の補強装置を用いた鋼管の補強方法であって、
前記支持面を、側面に局部荷重を受ける鋼管の、当該局部荷重作用点に相当する鋼管内面に当接させて、前記補強装置を鋼管内部に設置することを特徴とする鋼管の補強方法。
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