JP2019183632A - 更生管の浮上防止装置 - Google Patents
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Abstract
Description
一方、更生管が高剛性の場合、極めて大きな裏込め注入圧をかける等しない限り更生管が座屈することはないため、従来の支保構造は過剰であるといえる。
本発明は、かかる事情に鑑み、簡易で設置容易な構造によって裏込め時の更生管の浮上を防止でき、高剛性の更生管に適した浮上防止装置を提供することを目的とする。
前記更生管の底部に配置された底部腹起しと、
前記底部腹起し上に立設され、かつ上端部が前記更生管の頂部を貫通する複数の柱状の突張部材と、
前記突張部材を前記既設管の頂部と前記底部腹起しとの間で突っ張らせる突張力付与手段と、
を備えたことを特徴とする。
高剛性とは、更生管が、充填時の裏込め材の圧力で座屈しない程度の剛性を有していることを言う。該更生管を既設管の内周に沿って構築後、前記浮上防止装置からなる支保工を設置する。要するに、該支保工は、主として更生管の浮上防止機能を有していればよく、更生管の断面保持機能については特別な場合を除き不要ないしは最小限でよい。このため、構造が簡素であり容易に短時間で設置でき、作業性が良好である。
前記突張力付与手段の操作によって突張部材を上下に突っ張らせておくことで、裏込め材の充填で生じる浮力によって更生管が浮き上がるのを防止できる。
これによって、突張力付与手段の構造を簡素化できる。
昇降部材を回すことで、該昇降部材が軸部材に沿って昇降される。これによって、突張部材が昇降される。突張部材を上昇させることで既設管の頂部に突き当て、更には突っ張らせることができる。
昇降部材には、取っ手などの把持部が設けられていることが好ましい。昇降部材を人力で回転操作可能とすることで、駆動源や特殊な治具無しで、突張部材の昇降及び突っ張り操作を行なうことができる。
これによって、ベース部材を底部腹起しに安定的に設置でき、突張部材を建て込みやすくできる。また、昇降部材を回す際にベース部材が回転するのを防止でき、突っ張り操作を容易化できる。
これにより、ベース部材によって、隣接する腹起し部材どうしがずれるのを防止できる。特に、一対の係止部によって、隣接する腹起し部材どうしが幅方向へずれるのを防止できる。また、ベース部材が隣接する腹起し部材どうしの継ぎ目に配置されるため、突張部材も前記継ぎ目上に配置される。したがって、突張部材を配置すべき位置が明確になる。
腹起し部材を凹凸嵌合させながら順次継ぎ足すことによって、底部腹起しを延伸させることができる。隣接する腹起し部材どうしを凹凸嵌合によってしっかりと連結することで、これら腹起し部材がずれないようにすることができる。
突張部材は、底部腹起しの長手方向に間隔を置いて複数配置される。
これによって、突張部材の上端部を更生管の貫通孔に簡単に通すことができる。突張部材の上端部を高剛性の更生管の貫通孔に圧入する必要が無い。
突張部材の上端部の外周面と更生管の貫通孔の内周面との間は好ましくは封止手段によって封止したうえで、裏込め材の充填を行なう。
これによって、突っ張り時に既設管の頂部が損傷するのを防止できる。特に既設管の頂部が老朽化によって脆弱になっているときに有効である。
前記保護板としては鉄板を用いることができる。
前記突張部材又は前記底部腹起しと前記側部腹起しとを結ぶように延びる横架部材と、
前記横架部材に設けられて前記側部腹起しを前記更生管へ押し付ける押付手段と、
を更に備えていることが好ましい。
座屈しにくい高剛性の更生管であっても大断面であったり裏込め材の比重が大きかったりすると、裏込め材の充填によって座屈はしないまでも変形することが考えられる。これに対して、更生管の下半部を底部腹起しに加えて側部腹起しによっても押えることで、更生管の浮き上がり防止だけでなく、更生管の変形を抑制できる。したがって、簡素な装置構造を維持したまま、更生管の断面形状の保持機能を確保できる。言い換えると、浮上防止装置に更生管の断面保持機能を付与できる。
前記横架部材が、前記更生管の下半部の内周に沿う弧状であることが好ましい。これによって、横架部材による流水阻害を一層緩和できる。
前記弧状の横架部材が、前記突張部材の下端と底部腹起しとの間に挟まれていてもよい。
前記突張部材の上端部には前記ネジ孔部の雌ネジと螺合される雄ネジが形成されていることが好ましい。
これによって、更生管の底部を突張部材で既設管の底部に押さえ付けるのに加えて、更生管の頂部を突張部材に対して固定できる。したがって、裏込め材の充填時における更生管の変形を抑制でき、簡素な装置構造を維持したまま、更生管の断面形状の保持機能を高めることができる。
これによって、更生管の底部を突張部材で既設管の底部に押さえ付けるのに加えて、前記介在物によって更生管の頂部の浮き上がりを阻止でき、前記更生管の頂部と既設管の頂部どうしの接近を阻止できる。したがって、裏込め材の充填時における更生管の変形を抑制でき、簡素な装置構造を維持したまま、更生管の断面形状の保持機能を高めることができる。
<第1実施形態>
図1〜図4は、本発明の第1実施形態を示したものである。図1及び図2に示すように、更生対象の既設管1は、老朽化した下水道管である。なお、既設管1は、下水道管に限られず、上水道管、農業用水管、水力発電導水管、ガス管等であってもよい。
既設管1の内周に沿って更生管3がライニングされることで、既設管1が更生される。
高剛性とは、更生管3が、充填時の裏込め材からの圧力で座屈しない程度の剛性を有していることを言う。
前記金属製の補強帯材は、合成樹脂製の主帯材の裏側部(製管されたとき外周側を向く側部)のリブ間に嵌め込まれていてもよく、主帯材のリブ等の内部に埋め込まれていてもよい。
充填に先立って、更生管3の内部に浮上防止装置4が設置される。浮上防止装置4は、底部腹起し10と、突張部材20と、ジャッキ30(突張力付与手段)を備えている。
突張部材20の上端部は、更生管3の頂部に形成された貫通穴3cを貫通している。突張部材20の少なくとも上端部は貫通孔3cより少し小径である。
好ましくは、ジャッキ30は、隣接する腹起し部材11どうしの継ぎ目11c上に配置されている。詳しくは、ベース部材31が、継ぎ目11cを挟んで、隣接する腹起し部材11どうし間に跨っている。ベース部31aが、これら腹起し部材11の上面どうし間に跨っている。係止部31bが、これら腹起し部材11の側面どうし間に跨っている。
各突張部材20が継ぎ目11c上に配置されている。
突張部材20の下端が昇降部材33に突き当てられている。ひいては、突張部材20の下端が、ジャッキ30を介して底部腹起し10に突き当てられている。
昇降部材33の昇降に伴って突張部材20が昇降される。
更生管3を既設管1の内周に沿って構築後、更生管3内に浮上防止装置4を設置する。詳しくは、腹起し部材11を凹凸嵌合させて順次継ぎ足し、底部腹起し10を延伸させる。隣接する腹起し部材11どうしを凹凸嵌合させて連結することで、これら腹起し部材11がずれないようにすることができる。
好ましくは、昇降部材33は下降させておく。該昇降部材33に突張部材20の下端部を載せる。
更生管3の頂部には予め貫通穴3cを形成しておく。
突張部材20の上端部の外周面と、貫通孔3cの内周面との間は、封止手段(図示省略)によって封止する。封止手段としては、特に限定が無く、目地材、ゴムパッキンの他、柔軟なシート、布切れ、紙などを用いてもよい。
また、更生管3は裏込め材の注入圧を受ける。一方、更生管3は、高剛性であるために前記注入圧で座屈することがない。したがって、前記注入圧に対抗する機構を浮上防止装置4に付加したり浮上防止装置4とは別途に設けたりする必要がない。
支保工としての浮上防止装置4は、主として更生管3の浮上防止機能を有していればよく、更生管3の断面保持機能については後述の特別な場合を除き必要でないか最小限でよい。このため、浮上防止装置4は、構造が簡素であり容易に短時間で設置でき、設置作業性が良好である。ジャッキ30は人力で操作でき、駆動源や特殊な治具無しで、突張部材20の昇降及び突っ張り操作を行なうことができる。
<第2実施形態>
図5は、本発明の第2実施形態を示したものである。
第2実施形態の浮上防止装置4Bにおいては、既設管1の頂部の内周面に保護板40が設けられている。保護板40としては鋼板が用いられている。保護板40は、既設管1の頂部の内周形状に合わせて湾曲されている。
図6は、本発明の第3実施形態を示したものである。本実施形態の浮上防止装置4Cは、更生管3が大断面であったり裏込め材の比重が大きかったりするような場合に適している。
詳しくは、浮上防止装置4Cにおいては、第1実施形態の装置4(図1)に対して、一対の側部腹起し12と、横架部材50が付加されている。側部腹起し12は、更生管3の下半部の内周上の底部腹起し10を挟んで両側にそれぞれ配置されている。すなわち、更生管3の周方向における底部を0°として、0°〜±90°の角度範囲に側部腹起し12が配置されている。3つ(複数)の腹起し10,12が、更生管3の下半部の内周面の周方向に互いに離れている。
ジャッキ30による突張部材20の突っ張りによって、横架部材50を介して底部腹起し10が更生管3の底部に押し当てられている。
なお、ネジ状軸部材53の上端部が、横架部材50から多少突出されていてもよい。
横架部材50は更生管3の下半部の内部に配置されているから流水阻害を緩和できる。さらにはネジ状軸部材53の上端部が横架部材50の内部に引っ込んでいることによって、流水阻害を抑えることができる。
図7は、本発明の第4実施形態を示したものである。第4実施形態に係る浮上防止装置4Dにおいては、横架部材50Dが、両側の側部腹起し12を結ぶように略水平に真っ直ぐ延びている。横架部材50Dの中間部が、突張部材20の中央部より下側の部分と直交(交差)している。これら横架部材50Dと突張部材20との交差部には、直交クランプ55が設けられている。突張部材20の下端がジャッキ30を介して底部腹起し10上に載っている点については第1実施形態(図1)と同様である。
横架部材50Dが突張部材20の下側部分の高さに配置されることで、横架部材50Dによる流水阻害を緩和できる。
図8は、本発明の第5実施形態を示したものである。第5実施形態に係る浮上防止装置4Eにおいては、突張部材20の上端部の外周面に雄ネジ23が形成されている。
更生管3の頂部には、貫通孔3c(図1)に代えて、内周面が雌ネジとなったネジ孔部3eが設けられている。ネジ孔部3eは、更生管3の頂部を上下に貫通している。
図9は、本発明の第6実施形態を示したものである。第6実施形態の浮上防止装置4Fは、第5実施形態の変形態様であり、更生管3の頂部にナット部材22が設けられている。ナット部材22は、更生管3の貫通孔3cに嵌め込まれて接着されている。ナット部材22の雌ネジを有する内周面が、ネジ孔部22eを構成している。
突張部材20の雄ネジ23がナット部材22と螺合されている。
図10は、本発明の第7実施形態を示したものである。第7実施形態の浮上防止装置4Gにおいては、更生管3の頂部の外周面と既設管1の頂部の内周面との間(管間隙間1dの頂部)に介在物5が設けられている。介在物5によって、更生管3の頂部と既設管1の頂部とが接近するのが阻止されている。介在物5は、例えばモルタルによって構成されているが、これに限らず、セメントや接着剤などであってもよい。介在物5は、更生管3の管軸に沿って連続的に延びていてもよく、非連続的に例えば貫通孔3cの周辺部だけに設けられていてもよい。
更生管3の構築後、突張部材20の設置前に、更生管3と既設管1の頂部間における、貫通孔3cの周囲の部分にモルタル等の介在物5を詰めてもよい。
第7実施形態によれば、突張部材20の突っ張りによって更生管3の底部が既設管1の底部に押し付けられるのに加えて、介在物5によって更生管3の頂部の浮き上がりが阻止される。これによって、簡便な装置構造を維持したまま、更生管3の断面形状の保持機能を確保することができる。
例えば、更生管3は、裏込め材の充填圧力で座屈しない程度に高剛性であればよく、螺旋管に限られない。
突張力付与手段は、油圧ジャッキでもよい。
突張部材が伸縮式になっていてもよく、該突張部材を延ばすことで既設管1の頂部に突き当てられて突っ張り力を生じるようになっていてもよい。突張部材の伸縮機能によって突張力付与手段が構成されていてもよい。
1d 管間隙間
3 更生管
3c 貫通孔
3e ネジ孔部
4 浮上防止装置
4B,4C,4E,4D,4F,4G 浮上防止装置
5 介在物
10 底部腹起し
11 腹起し部材
11b 凹状嵌合部
11c 継ぎ目
11d 凸状嵌合部
12 側部腹起し
20 突張部材
22 ナット部材
22e ネジ孔部
23 雄ネジ
30 ジャッキ(突張力付与手段)
31 ベース部材
31a ベース部
31b 係止部
32 軸部材
33 昇降部材
34 取っ手
40 保護板
50,50D 横架部材
51,51D 押付手段
52 ナット部
53 ネジ状軸部材
55 直交クランプ
L12 回転軸線
L51,L51D 押付軸線
Claims (12)
- 既設管の内周に沿う高剛性の更生管と前記既設管との間に裏込め材を充填する際の前記更生管の浮上防止装置であって、
前記更生管の底部に配置された底部腹起しと、
前記底部腹起し上に立設され、かつ上端部が前記更生管の頂部を貫通する複数の柱状の突張部材と、
前記突張部材を前記既設管の頂部と前記底部腹起しとの間で突っ張らせる突張力付与手段と、
を備えたことを特徴とする浮上防止装置。 - 前記突張力付与手段が、前記底部腹起しに設置されたベース部材と、前記ベース部材に立設された雄ネジ状の軸部材と、前記軸部材に螺合されたナット状の昇降部材とを含み、前記突張部材の下端が前記昇降部材に突き当てられていることを特徴とする請求項1に記載の浮上防止装置。
- 前記ベース部材には、前記底部腹起しの両側面に係止される一対の係止部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の浮上防止装置。
- 前記底部腹起しが前記更生管の管軸に沿う長手方向に並べられた複数の腹起し部材を含み、前記ベース部材ひいては前記一対の係止部が、隣接する腹起し部材どうし間に跨っていることを特徴とする請求項3に記載の浮上防止装置。
- 前記底部腹起しが前記更生管の管軸に沿う長手方向に並べられた複数の腹起し部材を含み、隣接する腹起し部材どうしが凹凸嵌合されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の浮上防止装置。
- 前記突張部材の上端部が、前記更生管の頂部に形成された貫通孔より小径であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の浮上防止装置。
- 前記既設管の頂部の内周面に設けられる保護板を更に備え、前記突張部材の上端部が前記保護板に突き当てられることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の浮上防止装置。
- 前記更生管の下半部における前記底部腹起しから周方向に離れた内周上に配置された側部腹起しと、
前記突張部材又は前記底部腹起しと前記側部腹起しとを結ぶように延びる横架部材と、
前記横架部材に設けられて前記側部腹起しを前記更生管へ押し付ける押付手段と、
を更に備えたことを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の浮上防止装置。 - 前記横架部材が、前記更生管の下半部の内周に沿う弧状であることを特徴とする請求項8に記載の浮上防止装置。
- 前記横架部材が、前記突張部材の中央部より下側の部分と交差するように連結されていることを特徴とする請求項8に記載の浮上防止装置。
- 前記更生管の頂部にはネジ孔部が設けられ、
前記突張部材の上端部には前記ネジ孔部の雌ネジと螺合される雄ネジが形成されていることを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の浮上防止装置。 - 前記更生管の頂部の外周面と前記既設管の頂部の内周面との間に介在物が設けられていることを特徴とする請求項1〜11に記載の浮上防止装置。
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