JP6832228B2 - 更生管用支保工装置 - Google Patents

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本発明は、老朽化した既設管とこの既設管の内周にライニングされた更生管との間に裏込め材を充填する際、更生管の管径方向内側への変形を防止するために用いられる支保工装置に関する。
老朽化した下水道管等の既設管を更生するために、更生管を既設管の内周にライニングすることは知られている。更生管は例えば帯状部材を螺旋状に巻き、隣接する巻き部分の縁部同士を嵌合することにより構成されている。
上記既設管と更生管との間にはモルタル等の裏込め材が充填されるが、この裏込め材の充填圧力による更生管の径方向内側への変形を防ぐために、特許文献1は、支保工装置を提案している。
上記支保工装置は、更生管内に管軸方向に間隔をおいて配置された複数の環状のフレームと、フレームに周方向に間隔をおいて支持されたジャッキと、複数のフレームのジャッキ間に架け渡された腹起し部材を備えている。腹起し部材は、アルミ等の金属で形成されていて剛性を有している。
上記支保工装置は、裏打ち材の充填前に更生管内に設置され、ジャッキにより腹起し部材が更生管の内面に押し当てられる。この支保工装置の設置状態で、裏込め材が充填される。裏込め材により更生管に働く径方向内方向の圧力が腹起し部材で受け止められるため、更生管の変形を防止することができる。
特開平10−121565号公報
特許文献1の支保工装置は、更生管の断面形状が真円にちかい円形をなし、この円形の断面形状が管軸方向に沿って維持される場合には有効に働く。
近年、更生管を既設管内周に接するようにライニングする工法が開発されている。この工法では老朽化した既設管内周の凹凸に沿うように更生管が設置されるので、更生管の内面には、周方向のみならず、管軸方向にも歪みが生じている。特許文献1の支保工装置を用いた場合には、更生管の内面と腹起し部材との間に隙間が生じるため、裏込め材の充填時に、更生管が上記隙間に臨む部位で径方向側に変形するのを防ぐことができない。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、既設管とこの既設管の内周にライニングされた更生管との間に裏込め材を充填する際に、上記更生管を支持し、上記更生管の管径方向内側への変形を抑制する支保工装置において、
上記更生管の管軸方向に間隔をおいて配置されるとともに上記更生管の内面と管径方向に対峙する複数のフレームと、
管軸方向に延びて上記フレーム間に架け渡されるとともに、上記更生管の周方向に間隔をおいて配置された剛性をなす複数の支持杆と、
上記支持杆に沿って配置されるとともに上記支持杆に支持され、上記更生管の内面の管軸方向の歪みに追従して上記更生管の内面に当たることにより、上記裏込め材充填時に上記更生管に加わる管径方向内方向の圧力を受け止める抗圧手段と、
を備えたことを特徴とする。
上記構成によれば、抗圧手段が上記更生管の内面の管軸方向の歪みに追従して上記更生管の内面に当たるため、裏込め材の充填時に更生管に加わる圧力を良好に受け止めるができ、更生管の変形を抑制することができる。
好ましくは、さらに、上記フレームに上記更生管の周方向に間隔をおいて支持された複数のジャッキを備え、上記ジャッキの管径方向外側の端部に、上記支持杆が架け渡されている。
上記構成によれば、抗圧手段を作業性良く更生管内面に当てることができる。
より好ましくは、上記ジャッキが、上記フレームに螺合されて上記フレームを管径方向に貫通するねじ杆を含む。
一態様では、上記抗圧手段は、上記支持杆に沿って延びるとともに上記支持杆の管径方向外側に支持された弾性部材を含み、上記ジャッキにより上記支持杆が管径方向外方向に移動する際に、上記弾性部材が上記更生管の内面の管軸方向の歪みに追従して弾性変形する。
上記構成によれば、弾性部材を略全長にわたって更生管の内面に当てることができる。
他の態様では、上記抗圧手段は、上記支持杆に沿って延びるとともに上記支持杆の管径方向外側に支持された可撓性のホースを含み、上記ホースには流体が充填されており、上記ジャッキにより上記支持杆が管径方向外方向に移動する際に、上記ホースが上記更生管の内面の管軸方向の歪みに追従して変形する。
上記構成によれば、ホースを略全長にわたって更生管の内面に当てることができる。
さらに他の態様では、上記抗圧手段が、上記支持杆に長手方向に間隔をおいて支持され管径方向外方向への突出量を調節可能な複数の当て部材を有し、上記複数の当て部材が上記更生管の内面の管軸方向の歪みに対応した突出量に調節されることにより、上記複数の当て部材の管径方向外側の端部が上記更生管の内面に当てられる。
好ましくは、上記支持杆が中空をなし、上記当て部材が、管径方向に延びて上記支持杆を貫通するロッド部を有し、上記抗圧手段はさらに、上記支持杆に固定されて上記複数の当て部材のロッド部を摩擦により仮止めする仮止め部材と、上記複数の当て部材が上記更生管の内面に当たった突出位置において、これら複数の当て部材を上記支持杆に固定する固定機構を有し、上記固定機構は、上記支持杆内において上記支持杆に沿って延びる受け部と、上記支持杆の内部に収容されるとともに上記支持杆に沿って延びる押圧部材と、上記支持杆に螺合された固定ねじとを有し、上記押圧部材と上記受け部との間に、上記複数の当て部材のロッド部が配置されており、上記固定ねじをねじ込んで上記押圧部材を上記受け部に向けて押し込むことにより、上記複数の当て部材が上記支持杆に固定される。
上記構成によれば、ジャッキにより支持杆を管径方向外方向に移動させて、複数の当て部材を更生管の内面に当てた後で固定ねじをねじ込むことにより複数の当て部材を一度に支持杆に固定することができるので、作業性が良い。
本発明によれば、老朽化した既設管と、この既設管の内周に沿うようにライニングされた更生管との間に裏込め材を充填する際に、裏込め材の充填圧による更生管の径方向内側への変形を抑制することができる。
本発明の第1実施形態に係る支保工装置を用いて、老朽化した既設管の内周にライニングされた更生管を、裏込め材充填時に支持している状態を示す横断面図である。 図1のII-II線に沿う縦断面図である。 (A)は、上記更生管が上記既設管内に既設管の内周の凹凸に沿うようにしてライニングされた状態を誇張して示す要部拡大縦断面図であり、(B)は更生管内周に上記支保工装置の弾性部材を当てた状態を示す要部拡大縦断面図である。 本発明の第2実施形態に係る支保工装置のホースの拡大横断面図であり、(A)は水を充填する前の状態、(B)は水を充填した後の状態をそれぞれ示す。 同第2実施形態における図3(B)相当図である。 本発明の第3実施形態に係る支保工装置を示す図2相当図である。 図6のVII-VII線に沿う断面図である。 図6のVIII-VIII線に沿う断面図である。
以下、本発明の第1実施形態を図1〜図3を参照しながら説明する。図1において符号1は地中に埋設された下水道管等の既設管を示す。既設管1は例えばコンクリート製であり老朽化しており、その内周は腐食により図3(A)に誇張して示すように凹凸を有している。
既設管1の内周には既設管1に沿って延びる更生管2がライニングされている。
更生管2は、例えば帯状部材を螺旋状に巻き、隣接する巻き部分の縁部同士を嵌合することにより構成されている。図において更生管2は単純化した断面形状で示されているが、実際には、更生管2の内周が平滑で、外周では嵌合領域と非嵌合領域が管軸方向に交互に配置され複雑な形状をなしている。
本実施形態では、帯状部材を老朽化した既設管1の内周に更生管2の外周が接するようにして更生管2を製管(はりつけ製管)するため、図3(A)に誇張して示すように、更生管2の内周は既設管1の内周の凹凸に対応した凹凸形状をなしている。
既設管1の内周と更生管2の外周との間にモルタル等の裏込め材を充填する前に、図1、図2に示すように、本発明に係る支保工装置3が更生管2内に設置される。
支保工装置3は、更生管2の全長にわたり管軸方向に間隔をおいて配置された多数(複数)の環状のフレーム10を備えている。フレーム10は、更生管2の内面と管径方向に対峙している。
フレーム10は例えば正八角形をなし、直管形状の8つのサポート部材11と、135°に曲げられた曲管形状の8つのコーナー部材12とを有している。コーナー部材12の両端部に隣接するサポート部材11を挿入し、図示しない固定機構でサポート部材11をコーナー部材12に固定することにより、フレーム10が得られる。
本実施形態では、サポート部材11のコーナー部材12への挿入深さを変えることにより、更生管2の管径に合わせてフレーム10のサイズが拡縮可能であるが、フレームを1つの部材で構成し、更生管2の管径に合うサイズのフレームを選択してもよい。
フレーム10の8つのサポート部材11には、それぞれジャッキ20が支持されている。ジャッキ20は、サポート部材11に形成されたねじ穴に螺合されて更生管2の管径方向に延びるねじ杆21と、このねじ杆21における管径方向外側の端に回動可能に取り付けられた受座22と、ねじ杆21の管径方向内側の端に形成された掛部23とを有している。受座22はコ字形の断面形状を有している。掛部23は6角断面形状を有し、スパナが掛けられるようになっている。
隣り合うフレーム10のジャッキ20の受座22には、支持杆30が架け渡されるとともにその両端が受座22に固定されている。支持杆30は、金属により形成されていて剛性を有しており、管軸方向に直線状に延びている。
支持杆30はフレーム10の周方向に等間隔をなして8本配置されている。
支持杆30の管径方向外側には、ゴム等からなり支持杆30に沿って延びる弾性部材40(抗圧手段)が固定されている。本実施形態では、支持杆30の管径方向外側の面に直線状に延びる溝31が形成されており、この溝31に、弾性部材40の管径方向内側の面に形成された直線状に延びる突条41が嵌め込まれている。
上記支保工装置3において、ねじ杆21を回して受座22ひいては支持杆30を管径方向外方向に移動させることにより、弾性部材40が更生管2の内面に当たる。
従来の支保工装置では、図3(A)に想像線で示すように剛性を有する腹起し部材100が用いられているため、更生管2の歪んだ内面と腹起し部材100との間に隙間101が形成される。
しかし、本実施形態では弾性部材40が更生管2の内面の一部に当たった後、さらに支持杆30を管径方向外方向に移動させることにより、図3(B)に示すように弾性部材40が更生管2の内面の歪みに追従して弾性変形する。これにより、弾性部材40は略全長にわたって隙間なく更生管2の内面に当接される。
上記のようにして弾性部材40を更生管20の内面に弾性変形を伴って当てた状態で、既設管1の内周と更生管2の外周との間に裏込め材を充填する。この充填圧は更生管2を管径方向内側に変形させる方向に働くが、周方向に等間隔をなして配置された8本の弾性部材40が弾性変形を伴い略全長にわたって更生管2の内面に当たり、しかもこれら弾性部材40を剛性の支持杆30が支えているので、充填圧に抗して更生管2の管径方向内側への変形を防止できる。特に、更生管2の内面が管軸方向に歪みを有していても、更生管2と弾性部材40との間に隙間を無くすことができるので、更生管2がこの隙間に向かって管径方向内側に変形するのを防止することができる。
以下、本発明の他の実施形態について図を参照しながら説明する。これら実施形態において先行する実施形態に対応する構成部には同番号を付してその詳細な説明を省略する。
図4、図5に示す第2実施形態では、抗圧手段として、第1実施形態の弾性部材40の代わりに、可撓性材料からなるホース50が用いられる。
図4(A)に示すように、支持杆30Aの管径方向外側の面には断面半円形状の直線状の溝32が、支持杆30Aの全長にわたって形成されている。この溝32には、ホース50が潰された状態で収容されるとともに、溝32に貼り付けられている。
図4(B)に示すように、ホース50には水51(流体)が充填される。この水51を充填した状態で、第1実施形態と同様にジャッキ20により支持杆30Aを管径方向外方向に移動させることにより、図5に示すようにホース50が更生管2の内面の管軸方向の歪みに追随して変形する。その結果、ホース50と更生管2の内面との間に隙間が生じず、裏打ち材の充填の際に、この隙間に向かう更生管2の管径方向内側への変形を防止することができる。
図6〜図8に示す第3実施形態では、支持杆30Bは、中空で断面矩形をなしている。抗圧手段60は、支持杆30Bの長手方向に等間隔をおいて配置された多数(複数)の当て部材61を有している。当て部材61は、更生管2の管径方向に延びるロッド部61aと、管径方向外側の端部に形成された板部61bとを有している。
図8に示すように、支持杆30Bの2つの壁(更生管2の管径方向に対峙する壁)の内面には当て部材61のロッド部61aが貫通する穴35を囲むようにゴム製の摩擦リング62(仮止め部材)が固定されており、これら摩擦リング62がロッド部61aの外周に接することにより、当て部材61は任意の位置で仮止め可能である。
抗圧手段60はさらに、当て部材61を固定するための固定機構65を備えている。
固定機構65は、受け部材66(受け部)と、押圧部材67と、固定ねじ68を有している。受け部材66と押圧部材67は板形状をなして支持杆30Bの長手方向に延び、支持杆30B内に配置されている。
受け部材66と押圧部材67は更生管2の周方向に対峙して配置され、両者の間に上記当て部材61のロッド部61aが配置されている。受け部材66と押圧部材67の対向面はロッド部61aの外周面に接する円弧面66a,67aを有している。受け部材66は支持杆30B内で固定されており、押圧部材67は受け部材66との対向方向に移動可能に支持杆30Bに支持されている。
支持杆30Bにおいて上記押圧部材67と対向する側壁にはねじ穴36が形成されており、このねじ穴36に上記固定ねじ68が螺合されている。この固定ねじ68は支持杆30Bの長手方向に間隔をおいて複数配置されているが、当て部材61より少ない。
第3実施形態では、最初に全ての当て部材61の支持杆30Bからの管径方向外方向の突出量を一定にしておき、この状態でジャッキ20により支持杆30Bを管径方向外方向に移動させる。これにより全ての当て部材61の板部61bが更生管2の内面に当たる。これら当て部材61の突出量は、この更生管2の内面の管軸方向の歪みに追随して異なっている。
次に、固定ねじ68をねじ込んで押圧部材67を受け部材66に向けて押し込み、これにより、当て部材61のロッド部61aを押圧部材67と受け部材66により強い力で挟持する。このようにして、全ての当て部材61を更生管2の内面に当てた状態で支持杆30Bに一度に固定することができる。
上記のようにして支保工装置を設置した後で、裏込め材を既設管1と更生管2との間に充填する。全ての当て部材61が更生管2の内面の管軸方向の歪みに追随して当たっているので、更生管2の管径方向側への変形を防止することができる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その精神を逸脱しない範囲において種々の改変をなすことができる。
フレームは環状に限らず、上下のみの2点支保、上下左右の4点支保(十字支保)等、種々の形状のフレームを用いることができる。
周方向に配置される支持杆の数は実施例に制約されず更生管の管径に応じて任意に選択することができる。
第3実施形態における当て部材の数、固定ねじの数も状況に応じて任意に選択することができる。
本発明は、下水道管等の老朽化した既設管にライニングされた更生管のための支保工装置に適用可能である。
1 既設管
2 更生管
3 支保工装置
10 フレーム
20 ジャッキ
21 ねじ杆
30,30A,30B 支持杆
40 弾性部材(抗圧手段)
50 ホース(抗圧手段)
51 水(流体)
60 抗圧手段
61 当て部材
61a ロッド部
62 摩擦リング(仮止め部材)
65 固定機構
66 受け部材(受け部)
67 押圧部材
68 固定ねじ

Claims (4)

  1. 既設管と、この既設管の内周にライニングされた更生管との間に裏込め材を充填する際に、上記更生管を支持し、上記更生管の管径方向内側への変形を抑制する支保工装置において、
    上記更生管の管軸方向に間隔をおいて配置されるとともに上記更生管の内面と管径方向に対峙する複数のフレームと、
    管軸方向に延びて上記フレーム間に架け渡されるとともに、上記更生管の周方向に間隔をおいて配置された剛性をなす複数の支持杆と、
    上記支持杆に沿って配置されるとともに上記支持杆に支持され、上記更生管の内面の管軸方向の歪みに追従して上記更生管の内面に当たることにより、上記裏込め材充填時に上記更生管に加わる管径方向内方向の圧力を受け止める抗圧手段と、
    を備え
    上記抗圧手段が、上記支持杆に長手方向に間隔をおいて支持され管径方向外方向への突出量を調節可能な複数の当て部材を有し、上記複数の当て部材が上記更生管の内面の管軸方向の歪みに対応した突出量に調節されることにより、上記複数の当て部材の管径方向外側の端部が上記更生管の内面に当てられることを特徴とする更生管用支保工装置。
  2. 上記支持杆が中空をなし、上記当て部材が、管径方向に延びて上記支持杆を貫通するロッド部を有し、
    上記抗圧手段はさらに、上記支持杆に固定されて上記複数の当て部材のロッド部を摩擦により仮止めする仮止め部材と、上記複数の当て部材が上記更生管の内面に当たった突出位置において、これら複数の当て部材を上記支持杆に固定する固定機構を有し、
    上記固定機構は、上記支持杆内において上記支持杆に沿って延びる受け部と、上記支持杆の内部に収容されるとともに上記支持杆に沿って延びる押圧部材と、上記支持杆に螺合された固定ねじとを有し、
    上記押圧部材と上記受け部との間に、上記複数の当て部材のロッド部が配置されており、上記固定ねじをねじ込んで上記押圧部材を上記受け部に向けて押し込むことにより、上記複数の当て部材が上記支持杆に固定されることを特徴とする請求項に記載の更生管用支保工装置。
  3. さらに、上記フレームに上記更生管の周方向に間隔をおいて支持された複数のジャッキを備え、上記ジャッキの管径方向外側の端部に、上記支持杆が架け渡されていることを特徴とする請求項1または2に記載の更生管用支保工装置。
  4. 上記ジャッキが、上記フレームに螺合されて上記フレームを管径方向に貫通するねじ杆を含むことを特徴とする請求項に記載の更生管用支保工装置。
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