JP6747872B2 - 既設管の止水方法および既設管の止水構造 - Google Patents

既設管の止水方法および既設管の止水構造 Download PDF

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Description

本発明は、既設管の止水方法および既設管の止水構造に関する。
人孔に連通する既設管が老朽化したときに、既設管を非開削にてリニューアルする管路更生工法は、幅広く使用されている。老朽化した既設管の内側に更生管をライニングした場合、更生管自体は、強度もあり水密性に優れる。しかしながら、例えば老朽化した既設管に損傷があり、その損傷部から地下水が浸入することがある。この場合、既設管の内側に更生管をライニングしていても、浸入水は、既設管と更生管との間を伝って進み、人孔内に入り込むおそれがある。そのため、本来の目的である更生管による止水が不十分になってしまう。
従来技術では、例えば、下記特許文献1に示すような止水方法が提案されている。
特開平3−144185号公報
しかしながら、前記従来の止水方法では、更生前に既設管の一部を切除する必要がある。浸入水が懸念される環境下で既設管を切断する場合、浸入水が直接、既設管内に浸入する。そのため、施工がかなり困難になり、この止水方法は現実的とは言い難い。
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、既設管から人孔への浸入水を容易に止水することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る既設管の止水方法は、人孔に連通する既設管の止水方法であって、前記既設管の内面に更生管を配置するとともに、前記更生管の管端部を前記既設管内から前記人孔内に突出させる更生管配置工程と、前記管端部の外周に環状の弾性体を配置する弾性体配置工程と、前記管端部の外周に環状の押圧部材を、前記管端部の外周面と前記押圧部材の内周面との間を離した状態で配置して人孔壁と前記押圧部材との間に前記弾性体を挟み込んで弾性変形させ、前記弾性体を前記人孔壁および前記更生管の外周面に圧接させる挟み込み工程と、を備えていることを特徴とする。
前記挟み込み工程では、前記管端部の外周に前記押圧部材を配置した後、固定部材によって前記押圧部材を前記人孔壁に固定してもよい。
前記弾性体配置工程の前に、前記人孔壁の表面のうち、前記弾性体が圧接される部分を補修材で補修する補修工程を更に備えていてもよい。
この場合、人孔壁と押圧部材との間に弾性体を挟み込んで弾性変形させ、弾性体を人孔壁および更生管の外周面に圧接させる。これにより、環状の弾性体を、人孔壁の内面および更生管の外周面それぞれに、全周にわたって密に圧接させることができる。その結果、仮に、既設管の損傷部から地下水が浸入し、既設管と更生管の間を伝って進んだとしても、この浸入水の人孔内への浸入を、弾性体によって確実に規制することができる。
このように、既設管の切断などをせず、単に、人孔壁と押圧部材との間に弾性体を挟み込むことで、浸入水を止水することができる。したがって、浸入水を容易に止水することができる。
前記弾性体および前記押圧部材はそれぞれ、前記挟み込み工程の際に前記弾性体と前記押圧部材とを当接させる当接面を備え、前記弾性体の前記当接面および前記押圧部材の前記当接面のうちの少なくとも一方は、前記挟み込み工程の前の状態で、前記既設管の管軸方向および前記既設管の径方向の両方向に交差する方向に延びていてもよい。
この場合、当接面が、挟み込み工程の前の状態で、管軸方向および径方向の両方向に交差する方向に延びている。したがって、挟み込み工程の際、人孔壁と押圧部材との間に弾性体を挟み込んで弾性変形させるときに、押圧部材から弾性体に作用する外力を、管軸方向および径方向の両方向に作用させることができる。これにより、環状の弾性体を、人孔壁の内面および更生管の外周面それぞれに、全周にわたって更に密に圧接させることができる。その結果、浸入水を弾性体によって一層確実に止水することができる。
本発明に係る既設管の止水構造は、人孔に連通する既設管の止水構造であって、前記既設管の内面に配置されるとともに、管端部が前記既設管内から前記人孔内に突出する更生管と、前記管端部の外周に配置された環状の弾性体と、前記管端部の外周に、前記管端部の外周面から離れた状態で配置されるとともに人孔壁との間に前記弾性体を挟み込む環状の押圧部材と、を備え、前記弾性体は、前記人孔壁と前記押圧部材との間で弾性変形し、前記人孔壁および前記更生管の外周面に圧接されていることを特徴とする。
前記押圧部材を前記人孔壁に固定する固定部材を更に備えていてもよい。
前記人孔壁の表面のうち、前記弾性体が圧接されている部分を補修する補修材を更に備えていてもよい。
この場合、押圧部材が、人孔壁との間に弾性体を挟み込んで弾性変形させ、弾性体を人孔壁および更生管の外周面に圧接させる。これにより、環状の弾性体を、人孔壁の内面および更生管の外周面それぞれに、全周にわたって密に圧接させることができる。その結果、仮に、既設管の損傷部から地下水が浸入し、既設管と更生管の間を伝って進んだとしても、この浸入水の人孔内への浸入を、弾性体によって確実に止水することができる。
このように、既設管の切断などをせず、単に、人孔壁と押圧部材との間に弾性体を挟み込むことで、浸入水を止水することができる。したがって、浸入水を容易に止水することができる。
本発明によれば、既設管から人孔への浸入水を容易に止水することができる。
本発明の一実施形態に係る既設管の止水構造を示す正面図であって、充填材を除去した状態を示す図である。 図1に示すII−II矢視断面図である。 本発明の一実施形態に係る既設管の止水方法を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る既設管の止水方法を説明するための図1に示すII−II矢視断面図に相当する図であって、スリーブ設置工程を説明する図である。 本発明の一実施形態に係る既設管の止水方法を説明するための図1に示すII−II矢視断面図に相当する図であって、補修工程を説明する図である。 本発明の一実施形態に係る既設管の止水方法を説明するための図1に示すII−II矢視断面図に相当する図であって、更生管配置工程を説明する図である。 本発明の一実施形態に係る既設管の止水方法を説明するための図1に示すII−II矢視断面図に相当する図であって、弾性体配置工程を説明する図である。 本発明の一実施形態に係る既設管の止水方法を説明するための図1に示すII−II矢視断面図に相当する図であって、挟み込み工程を説明する図である。 本発明の一実施形態に係る既設管の止水方法を説明するための図1に示すII−II矢視断面図に相当する図であって、返し工程を説明する図である。 本発明の第1変形例に係る既設管の止水方法に用いられる弾性体の断面図である。 本発明の第2変形例に係る既設管の止水方法に用いられる弾性体の断面図である。 本発明の第3変形例に係る既設管の止水方法に用いられる弾性体の断面図である。 本発明の第4変形例に係る既設管の止水方法に用いられる弾性体の断面図である。
以下、図1から図9を参照し、本発明の一実施形態に係る既設管の止水構造を説明する。
なお本実施形態では、後述する既設管31の軸線を管軸Oという。管軸Oは、水平方向に延びている。以下では、管軸Oに沿う方向を管軸O方向という。管軸O方向から見た既設管31の正面視において、管軸Oに直交する方向を単に径方向といい、管軸O回りに周回する方向を単に周方向という。なお管軸O方向は、水平方向に平行である。
図1および図2に示すように、既設管の止水構造10は、既設管31から人孔32(マンホール)への浸入水を止水する。この止水構造10は、例えば、既設管31として、電力用や通信用のケーブルを収容する電力・通信管路に適用することができる。
人孔32は、地表から下方に延びる縦穴である。人孔32を形成する人孔壁30(マンホール壁)は、鉛直方向に延びる筒状に形成されている。人孔壁30は、例えばコンクリート等により形成されている。
既設管31は、人孔32に連通する。既設管31は、例えば鋼管などにより形成されている。既設管31は、円筒状に形成されている。既設管31は、人孔壁30から水平方向に延びている。既設管31は、人孔壁30における鉛直方向の途中位置であって、人孔壁30における水平方向(肉厚方向)の途中位置から、水平方向に沿う人孔32の外側に延びている。
既設管31は、人孔壁30に形成された開口部33を通して人孔32内に連通可能である。開口部33は、管軸O方向に沿う人孔32の外側から内側に向かうに従い、徐々に拡径している。開口部33の内周面34は、管軸O方向に沿う人孔壁30の断面視において、管軸O方向および径方向の両方向に交差する方向に延びている。開口部33の内周面34は、前記断面視において、径方向の内側に向けて突となる曲線状に形成されている。これにより、既設管31内にケーブルを引き込むときに、前記ケーブルが開口部33に引っかかることが抑制されている。
既設管の止水構造10は、補修材35と、更生管40と、弾性体11と、押圧部材12と、固定部材13と、充填材14と、を備えている。
補修材35は、開口部33の内周面34を補修している。補修材35は、人孔壁30の表面に塗布されている。補修材35としては、例えばエポキシ樹脂などを採用することができる。開口部33の内周面34は、補修材35によって補修されることにより、補修されていない場合(人孔壁30の表面が露出している場合)に比べて平滑になっている。
更生管40は、既設管31をライニングする。更生管40は、既設管31の内面に配置されている。更生管40は、例えば硬質塩化ビニル樹脂などによって形成される。更生管40は、円筒状に形成されている。更生管40の外面には、例えば、図示しない遮水シートが装着されていてもよい。更生管40が形状記憶樹脂により形成され、蒸気などによる加熱で更生管40を管状に復元させるライニング工法では、加熱時に、地下水が直接、更生管40に当たらないように円筒状のシート、すなわち遮水シートを設けるのが好ましい。こうすることで、地下水により更生管40が部分的に冷却され、更生管40が不均一に復元するおそれが小さくなる。
更生管40は、管本体41と、管端部42と、を備えている。管本体41および管端部42は、管軸O方向に沿う人孔32の外側から内側に向けて、この順に連続して設けられている。管本体41は、既設管31内に配置されている。管端部42は、既設管31内から人孔32内に突出している。
管端部42は、真直部43と、返し部44と、を備えている。真直部43および返し部44は、管軸O方向に沿う人孔32の外側から内側に向けて、この順に連続して設けられている。真直部43は、管本体41と同等の直径を備えている。返し部44は、管軸O方向に沿う人孔32の外側から内側に向けて、徐々に拡径している。返し部44の内周面は、管軸O方向に沿う更生管40の断面視において、管軸O方向および径方向の両方向に交差する方向に延びている。返し部44の内周面は、前記断面視において、径方向の内側に向けて突となる曲線状に形成されている。返し部44は、更生管40内にケーブルを引き込むときに、前記ケーブルが更生管40の管端部42に引っかかることを抑制する。
弾性体11は、環状(円環状)に形成されている。弾性体11は、更生管40の管端部42の外周に配置されている。弾性体11は、真直部43に嵌合されている。弾性体11は、例えばゴムやエラストマー、軟質塩化ビニル樹脂などにより形成されている。弾性体11は、人孔壁30と押圧部材12との間で弾性変形し、人孔壁30および更生管40の外周面に圧接されている。
押圧部材12は、環状(円環状)に形成されている。押圧部材12は、更生管40の管端部42の外周に配置されている。押圧部材12は、真直部43の径方向の外側に挿通されている。押圧部材12の内径は、更生管40の外径よりも大きい。押圧部材12は、例えば金属(例えばSUS304)やプラスチック(例えばNCナイロン)等により形成されている。
押圧部材12は、押圧部15と、固定部16と、を備えている。押圧部15および固定部16は、径方向の内側から外側に向けて、この順に連続して設けられている。
押圧部15は、弾性体11に当接する。押圧部15は、管軸O方向に沿う押圧部材12の断面視において、管軸O方向および径方向の両方向に延びる矩形状に形成されている。
固定部16は、押圧部15から径方向の外側に向けて突出している。固定部16は、押圧部15よりも管軸O方向に薄肉に形成されている。押圧部15および固定部16それぞれにおいて、管軸O方向に沿う人孔32の外側を向く面は、面一に形成され、押圧部材12の端面を形成している。
固定部16には、挿通孔18が形成されている。挿通孔18は、固定部16を管軸O方向に貫通している。挿通孔18は、周方向に間隔をあけて複数設けられている。
弾性体11および押圧部材12はそれぞれ、当接面17を備えている。当接面17は、弾性体11と押圧部材12とを当接させる。当接面17は、弾性体11に設けられた第1当接面17aと、押圧部材12に設けられた第2当接面17bと、を備えている。
第1当接面17aは、押圧部材12によって弾性変形されている。
第2当接面17bは、押圧部材12の前記端面と内周面とを連結している。第2当接面17bは、押圧部材12を管軸O方向に沿う断面で断面視した場合に、管軸O方向および径方向の両方向に交差する方向に延びている。第2当接面17bは、前記断面視において、径方向の内側に向けて突となる曲線状に形成されている。
固定部材13は、押圧部材12を人孔壁30に固定する。固定部材13は、挿通孔18に対応して複数設けられている。本実施形態では、固定部材13が、スリーブ19と、ボルト20と、ナット21と、を備えるいわゆるアンカーボルトである。
スリーブ19は、人孔壁30に埋設されている。ボルト20は、スリーブ19に螺着されるとともに挿通孔18に挿通されている。ナット21は、ボルト20に螺着されている。ナット21は、固定部16よりも、管軸O方向に沿う人孔32の内側に配置され、固定部16に前記内側から当接している。
充填材14は、更生管40の外周に形成される空間に充填されている。充填材14は、弾性体11、押圧部材12および固定部材13を被覆する。充填材14は、更生管40の外周の全周にわたって配置されている。充填材14は、例えばモルタル等により形成されている。充填材14は、更生管40の管端部42の外周面と、人孔壁30の内面と、に固着されている。充填材14は、弾性体11、押圧部材12および固定部材13を、例えば腐食や損傷などから保護する。
次に、図3に示すような本発明に係る既設管の止水方法(更生方法)について説明する。
図4に示すように、人孔壁30にスリーブ19を設置するスリーブ設置工程を実施する(S11)。このとき、例えばハンマードリル等で下孔を設けた後、スリーブ19を打ち込む。
図5に示すように、開口部33の内周面34を補修材35で補修する補修工程を実施する(S12)。このとき、スリーブ19用の前記下孔の周辺部を併せて補修してもよい。なお補修工程を、スリーブ設置工程の前に実施することもできる。
図6に示すように、既設管31の内面に更生管40を配置するとともに、更生管40の管端部42を人孔32内に突出させる更生管配置工程(ライニング工程)を実施する(S13)。このとき、管状の更生材を用いる。更生材は、更生管40よりも小径であり、拡径することで更生管40となる。
本実施形態では、更生管配置工程の際、前記更生材を既設管31内に挿入するとともに、更生材の端部を人孔32内に突出させ、この端部に、拡径抑制治具51を装着させる。拡径抑制治具51は、既設管31と同径の筒状に形成されている。拡径抑制治具51は、更生材の端部に外側から嵌合される。
拡径抑制治具51が更生材に装着された状態で、更生材を拡径させる。これにより、更生材が更生管40に成型され、管本体41の外周面が既設管31の内周面に密接する。このとき、拡径抑制治具51は、管端部42が既設管31よりも拡径することを抑制する。その後、拡径抑制治具51を管端部42から離脱させる。
図7に示すように、管端部42の外周に環状の弾性体11を配置する弾性体配置工程を実施する(S14)。
弾性体配置工程の後で、後述する挟み込み工程の前の状態で、弾性体11の外径は、押圧部材12の内径よりも大きい。弾性体11は、径方向の外側に向けて突となっている。弾性体11の管軸O方向の大きさは、径方向の内側から外側に向かうに従い漸次、小さくなっている。
弾性体11は、管軸O方向に沿う弾性体11の断面視において三角形状をなす。前記三角形の底辺は、更生管40の外周面上に位置する。前記三角形は、二等辺三角形ではない。前記三角形の頂点の位置は、管軸O方向に沿う人孔32の外側に偏って位置している。
前記第1当接面17aは、管軸O方向および径方向の両方向に交差する方向に延びている。第1当接面17aは、前記断面視おいて、管軸O方向および径方向の両方向に傾斜する直線状に延びている。
図8に示すように、更生管40の管端部42の外周に押圧部材12を配置して人孔壁30と押圧部材12との間に弾性体11を挟み込む挟み込み工程を実施する(S15)。このとき、弾性体11を弾性変形させ、人孔壁30および更生管40の外周面に圧接させる。
本実施形態では、まず、更生管40の管端部42の外周に押圧部材12を配置する。その後、固定部材13によって押圧部材12を人孔壁30に固定する。これにより、弾性体11が人孔壁30の内面(開口部33の内周面34)と押圧部材12の当接面17との間で管軸O方向に挟持される。すると、弾性体11が、管軸O方向に圧縮させられて径方向の内側に向けて膨出する。その結果、弾性体11が、人孔壁30の内面および更生管40の外周面それぞれに密接する。なお本実施形態では、開口部33の内周面34が補修材35によって補修されているので、弾性体11を人孔壁30の内面に隙間少なく密接させることができる。
ここで当接面17(本実施形態では、第1当接面17aおよび第2当接面17bの両方)が、挟み込み工程の前の状態で、管軸O方向および径方向の両方向に交差する方向に延びている。したがって、挟み込み工程の際、人孔壁30と押圧部材12との間に弾性体11を挟み込んで弾性変形させるときに、押圧部材12から弾性体11に作用する外力を、管軸O方向および径方向の両方向に作用させることができる。これにより、環状の弾性体11を、人孔壁30の内面および更生管40の外周面それぞれに、全周にわたって更に密接させることができる。
図9に示すように、更生管40の管端部42に返し部44を形成する返し工程を実施する(S16)。このとき本実施形態では、返し治具52を用いる。返し治具52は、返し部材53と、ヒーター54と、を備えている。返し部材53は、例えば金属などにより形成されている。返し部材53の外面形状は、返し部44の内面形状に沿うようにR加工されている。ヒーター54は、返し部材53を加熱する。返し治具52は、ヒーター54により加熱された返し部材53を更生管40の管端部42の押し当てることで、管端部42に返し部44を形成する。
図2に示すように、更生管40の管端部42の外周に充填材14を充填する充填工程を実施する(S17)。これにより、既設管の止水構造10が形成される。
以上説明したように、本実施形態に係る既設管の止水構造10および既設管の止水方法によれば、人孔壁30と押圧部材12との間に弾性体11を挟み込んで弾性変形させ、弾性体11を人孔壁30および更生管40の外周面に圧接させる。これにより、環状の弾性体11を、人孔壁30の内面および更生管40の外周面それぞれに、全周にわたって密に圧接させることができる。その結果、仮に、既設管31の損傷部から地下水が浸入し、既設管31と更生管40の間を伝って進んだとしても、この浸入水の人孔32内への浸入を、弾性体11によって確実に規制することができる。
このように、既設管31の切断などをせず、単に、人孔壁30と押圧部材12との間に弾性体11を挟み込むことで、浸入水を止水することができる。したがって、浸入水を容易に止水することができる。
また、当接面17が、挟み込み工程の前の状態で、管軸O方向および径方向の両方向に交差する方向に延びている。これにより、環状の弾性体11を、人孔壁30の内面および更生管40の外周面それぞれに、全周にわたって更に密に圧接させることができる。その結果、浸入水を弾性体11によって一層確実に止水することができる。
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
充填材14がなくてもよい。
返し部材53の外面形状は、R形状でなくてもよく、例えば、R形状のほかに、直角に折り曲げられていてもよい。返し部44が直角に折り曲げられていてもよい。
返し部44がなくてもよい。例えば、既設管31や更生管40が下水管路である場合など、返し部44がなくてもよい。
補修材35がなくてもよい。例えば、人孔壁30の表面に補修材35が塗布されず、この表面が露出した状態で、弾性体11が人孔壁30と押圧部材12との間に挟み込まれてもよい。
固定部材13は、前述のアンカーボルトに限られない。固定部材13として、押圧部材12を人孔壁30に固定する他の構成を適宜採用することも可能である。例えば、固定部材13として、スリーブ19を有さない構成を採用してもよい。この場合、例えば、スリーブ設置工程に代えて、ボルト20を前記下孔に接着剤を介して固定するボルト固定工程を採用すること等が可能である。
前記実施形態では、弾性体配置工程の後で、かつ、挟み込み工程の前において、弾性体11が、管軸O方向に沿う断面視において、三角形状をなす。その上で、前記三角形の頂点の位置が、管軸O方向に沿う人孔32の外側に偏って位置している。しかしながら、本発明はこれに限られない。
例えば、図10および図11に示すように、前記三角形が、二等辺三角形であってもよい。これらの場合、弾性体11のうち、開口部33の内周面34に突き当たる面11aが、管軸O方向および径方向の両方向に交差する方向に延びる。これにより、挟み込み工程の際、弾性体11を、開口部33の内周面34に更に密接させ易くすることができる。なお、図10に示す弾性体11では、弾性体11の外径が、開口部33の最大内径(管軸O方向に沿う人孔32の内側の端縁の内径)よりも小さい。図11に示す弾性体11では、弾性体11の外径が、開口部33の最大内径よりも大きい。
さらに、図12および図13に示すように、弾性体11が、前記断面視において、真円形状や楕円形状であってもよい。
第2当接面17bおよび開口部33の内周面34が、管軸O方向に沿う断面視において、径方向の内側に向けて突となる曲線状に形成されていなくてもよい。第1当接面17aが、前記断面視において、管軸O方向および径方向の両方向に傾斜する直線状に形成されていなくてもよい。
本発明では、第1当接面17aや第2当接面17b、開口部33の内周面34として、前記断面視において、管軸O方向および径方向の両方向に交差する方向に延びる他の構成を適宜採用することができる。
例えば、第2当接面17bや開口部33の内周面34が、前記断面視において、管軸O方向および径方向の両方向に傾斜する直線状に形成されていてもよい。第1当接面17aが、前記断面視において、径方向の外側に向けて突となる曲線状に形成されていてもよい。
本発明では、第1当接面17aおよび第2当接面17bのうちの少なくとも一方が、挟み込み工程の前の状態で、管軸O方向および径方向の両方向に交差する方向に延びている他の形態を採用してもよい。
本発明では、第1当接面17aおよび第2当接面17bの両方ともが、挟み込み工程の前の状態で、管軸O方向および径方向の両方向に交差する方向に延びていない形態を採用してもよい。
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
10 止水構造
11 弾性体
12 押圧部材
17 当接面
30 人孔壁
31 既設管
32 人孔
40 更生管
42 管端部
O 管軸

Claims (7)

  1. 人孔に連通する既設管の止水方法であって、
    前記既設管の内面に更生管を配置するとともに、前記更生管の管端部を前記既設管内から前記人孔内に突出させる更生管配置工程と、
    前記管端部の外周に環状の弾性体を配置する弾性体配置工程と、
    前記管端部の外周に環状の押圧部材を、前記管端部の外周面と前記押圧部材の内周面との間を離した状態で配置して人孔壁と前記押圧部材との間に前記弾性体を挟み込んで弾性変形させ、前記弾性体を前記人孔壁および前記更生管の外周面に圧接させる挟み込み工程と、を備えていることを特徴とする既設管の止水方法。
  2. 前記弾性体および前記押圧部材はそれぞれ、前記挟み込み工程の際に前記弾性体と前記押圧部材とを当接させる当接面を備え、
    前記弾性体の前記当接面および前記押圧部材の前記当接面のうちの少なくとも一方は、前記挟み込み工程の前の状態で、前記既設管の管軸方向および前記既設管の径方向の両方向に交差する方向に延びていることを特徴とする請求項1に記載の既設管の止水方法。
  3. 前記挟み込み工程では、前記管端部の外周に前記押圧部材を配置した後、固定部材によって前記押圧部材を前記人孔壁に固定することを特徴とする請求項1または2に記載の既設管の止水方法。
  4. 前記弾性体配置工程の前に、前記人孔壁の表面のうち、前記弾性体が圧接される部分を補修材で補修する補修工程を更に備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の既設管の止水方法。
  5. 人孔に連通する既設管の止水構造であって、
    前記既設管の内面に配置されるとともに、管端部が前記既設管内から前記人孔内に突出する更生管と、
    前記管端部の外周に配置された環状の弾性体と、
    前記管端部の外周に、前記管端部の外周面から離れた状態で配置されるとともに人孔壁との間に前記弾性体を挟み込む環状の押圧部材と、を備え、
    前記弾性体は、前記人孔壁と前記押圧部材との間で弾性変形し、前記人孔壁および前記更生管の外周面に圧接されていることを特徴とする既設管の止水構造。
  6. 前記押圧部材を前記人孔壁に固定する固定部材を更に備えている請求項5に記載の既設管の止水構造。
  7. 前記人孔壁の表面のうち、前記弾性体が圧接されている部分を補修する補修材を更に備えていることを特徴とする請求項5または6に記載の既設管の止水構造。
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