JP2001348819A - 落下物防止杭 - Google Patents

落下物防止杭

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JP2001348819A JP2000172636A JP2000172636A JP2001348819A JP 2001348819 A JP2001348819 A JP 2001348819A JP 2000172636 A JP2000172636 A JP 2000172636A JP 2000172636 A JP2000172636 A JP 2000172636A JP 2001348819 A JP2001348819 A JP 2001348819A
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充 森崎
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 杭本体に簡便な補強を施すことで、最大曲げ
耐力に達した後の耐力低下を抑制し、かつ、杭の変形量
を低下させないことによって吸収エネルギー性能を向上
させた合理的な落下物防止杭を提供する。 【解決手段】 地盤に埋め込まれる埋設部2と、傾斜地
1に沿って転落する落下物を受けて落下抑止する地上立
設部3とを一体形成した杭本体K1を有する落下物防止
杭Kであって、地上立設部3に落下物が衝突した際に、
杭本体K1のうち最大曲げモーメントが作用する位置の
断面変形を抑制すべく、杭本体K1の両端部を除いた位
置であって、最大曲げモーメントが作用する位置および
/またはその近傍位置に局所的に補剛手段Sを設けると
共に、曲げモーメントを受けた杭本体K1が、自身の長
手方向Xに沿って補剛手段Sとは独立に伸縮変形可能と
なるよう補剛手段Sを取り付けてある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、地盤に埋め込まれ
る埋設部と、傾斜地に沿って転落する落下物を受けて落
下抑止する地上立設部とを一体形成した杭本体を有する
落下物防止杭に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の落下物防止杭Kとしては、例え
ば、図11(イ)に示すごとく、土基礎部に円筒断面形
状の杭Kを挿入する形式のものがあった(特開平11−
172634、特開平11−172635参照)。この
ような形式の杭Kの吸収エネルギーは、杭Kが有する円
筒断面の寸法・材料強度に応じて決定される。しかし、
内部が中空である杭は、図11(ロ)に示すごとく半径
方向に局部座屈が発生し易い。局部座屈が発生すれば、
杭Kは、耐力が大幅に低下しながら変形することとなる
ので、吸収エネルギーは小さなものになってしまう。こ
の局部座屈を防止するため、一般に杭Kの内面にコンク
リートを充填することが考えられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の落
下物防止杭Kのごとく、杭Kの内部にコンクリートを充
填し、この半径方向の局部座屈を防止しようとするもの
は、杭Kのうち最大曲げモーメントが作用する位置の近
傍に変形が集中する傾向がある。つまり、コンクリート
が充填された杭Kは、曲がり変形しようとする際に、曲
がり変形そのもの、および、断面変形が大幅に拘束され
る。このため、落下物の衝突による衝撃エネルギーを負
担するための応力が一箇所に集中し易くなり、しかも、
杭Kの曲がり外側および内側において杭Kの長手方向に
沿って生じる応力負担が増大する。この結果、特に、引
張応力が増大することで、最大曲げモーメント位置で破
断し易くなるのである。このような理由から、最大耐力
は上昇するものの、変形量はそれ程大きくなく、結局、
杭Kの吸収エネルギーは中空管と比べて大差ないものと
なる。従って、このような吸収エネルギーに基づく設計
を行う対策工の場合、コンクリート充填の効果があまり
期待できないという問題があった。
【0004】そこで、本発明においては、上記従来の問
題を解決しつつ、杭本体に簡便な補強を施すことで、最
大曲げ耐力に達した後の耐力低下を抑制し、かつ、杭の
変形量を低下させないことによって吸収エネルギー性能
を向上させた合理的な落下物防止杭を提供することを目
的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】(特徴構成1)本発明に
係る落下物防止杭の特徴構成は、請求項1に記載したご
とく、前記地上立設部に落下物が衝突した際に、前記杭
本体のうち最大曲げモーメントが作用する位置の断面変
形を抑制すべく、前記杭本体の両端部を除いた位置であ
って、前記最大曲げモーメントが作用する位置および/
またはその近傍位置に局所的に補剛手段を設けると共
に、曲げモーメントを受けた前記杭本体が自身の長手方
向に沿って前記補剛手段とは独立に伸縮変形可能となる
よう前記補剛手段を取り付けた点にある。 (作用効果)本構成のごとく、杭本体のうち最大曲げモ
ーメントが作用する位置の断面変形を抑制すべく、最大
曲げモーメントが作用する位置および/またはその近傍
位置に補剛手段を設ける構成とすれば、杭本体に局部座
屈が生じるのを有効に防止して、杭本体の吸収エネルギ
ー性能を向上させることができる。そして、本構成のご
とく、前記補剛手段を取り付ける際に、前記杭本体の両
端部を除いた位置であって、最大曲げモーメントが作用
する位置および/あるいはその近傍位置に局所的に補剛
手段を取り付けるものであれば、補剛手段をコンパクト
に構成することができる。この場合、杭本体のうち最大
曲げモーメントが作用する位置を含めて補剛手段を取り
付けるのが望ましいが、その他に、最大曲げモーメント
が作用する位置そのものには補剛手段を取り付けていな
くても、補剛手段による変形拘束の効果が前記最大曲げ
モーメント位置に及ぶのであれば、任意の位置に補剛手
段を取り付けることができる。本構成であれば、杭本体
に対する補剛手段の取付作業が簡便なものとなるうえ、
補剛手段の製造コストが低下するなど、落下物防止杭の
性能を合理的に向上させることができる。
【0006】(特徴構成2)本発明に係る落下物防止杭
は、請求項2に記載したごとく、前記補剛手段を、前記
杭本体を取り囲む外挿体で構成することができる。 (作用効果)本構成のごとく、前記補剛手段を、前記杭
本体を取り囲む外挿体で構成すれば、杭本体に対する取
付位置の確認が容易であるから、前記最大曲げモーメン
トが作用する位置に確実に外挿体を取り付けることがで
きる。
【0007】(特徴構成3)本発明に係る落下物防止杭
は、請求項3に記載したごとく、前記補剛手段を、前記
杭本体に挿入可能な内挿体で構成することができる。 (作用効果)本構成のごとく、前記補剛手段を、前記杭
本体に挿入可能な内挿体で構成しておけば、杭本体の外
径を増加させることなく杭本体を補剛することができ
る。よって、杭本体を埋設する穴の内径を、杭本体の外
径に対して僅かに大きくするだけでよく、埋設穴の穿設
作業を効率化することができる。また、杭本体を埋設穴
に配置する際にも、前記補剛手段が障害となることはな
いから、杭本体の埋設作業を円滑に行うことができる。
【0008】(特徴構成4)本発明に係る落下物防止杭
は、請求項4に記載したごとく、前記外挿体或いは前記
内挿体の複数を、前記杭本体の長手方向に沿って断続的
に設けることができる。 (作用効果)本構成のごとく、前記外挿体或いは前記内
挿体の複数を、前記杭本体の長手方向に沿って断続的に
設ける場合でも、杭本体のうち最大曲げモーメントが作
用する位置の近傍を補剛することは可能である。例え
ば、前記補剛手段を外挿体で構成する場合に、隣接する
外挿体どうしの間隔が短い場合には、これら外挿体によ
る補剛効果は、外挿体が設けられていない隣接部分にも
ある程度及ぶ。つまり、外挿体がない部分であっても、
局部座屈の発生が抑制されるのである。このように、補
剛手段を断続的に設けることとすれば、補剛手段を更に
コンパクトにすることができ、より経済的な補剛手段を
得ることができる。しかも、取り付ける杭本体の外径さ
え適合するものであれば、杭本体の管厚に応じて、補剛
程度を適宜変更することができる。例えば、管厚が大き
く、杭本体そのものの曲げ耐力が大きい場合には、補剛
手段どうしをより離間させて取り付けることができ、補
剛手段の使用個数を減らして経済的な補剛作業を行うこ
とができる。一方、管厚が小さく、杭本体そのものの曲
げ耐力が小さい場合には、補剛手段どうしをより接近さ
せて取り付けることで、十分な補剛効果を得ることがで
きる。
【0009】
【発明の実施の形態】(概要)本発明に係る落下物防止
杭の概要を図1に示す。図1には、本発明の落下物防止
杭K(以下、単に「杭K」と称する)を傾斜地1の下手
部分に設置してある状況を示す。前記落下物防止杭K
は、図1の紙面奥行き方向に沿って間隔をあけた状態に
複数並設してある。これにより、傾斜地1に沿って落下
する落石などの落下物を受け止めようとするものであ
る。
【0010】前記杭Kは、地盤に埋め込まれる埋設部2
と、傾斜地1に沿って転落する落下物を受けて落下抑止
する地上立設部3とを一体形成した杭本体K1を有す
る。本実施形態では、当該杭本体K1は例えば円筒形の
鋳鋼管で構成してある。勿論、この他に、一般のシーム
レス鋼管や板巻鋼管等を用いることも可能である。
【0011】杭本体K1は種々の形状を採ることができ
る。本実施形態では、杭本体K1の外径と内径とが、杭
本体K1の長手方向Xに沿った何れの位置でも同じとす
る。尚、鋳鋼管を用いる場合、鋳鋼管の製造方法によっ
ては、外径或いは内径を、杭本体K1の一方の端部に向
かって漸増させた構成をとることもできる。勿論、外径
および内径の双方を杭本体K1の一方の端部に向かって
漸増させてもよい。さらに、埋設部2については、長手
方向Xのどの位置でも管厚を一定にし、地上立設部3に
ついては、上端側ほど管厚を薄く構成することもでき
る。ただし、前記埋設部2と地上立設部3との境界部分
では、双方の外径及び内径は等しく構成する。
【0012】埋設した杭の地上立設部3に横向きの力が
作用した場合に、杭本体K1に作用する曲げモーメント
の分布は図1に示すとおりである。上下端部側には殆ど
曲げモーメントは作用しない。
【0013】土の地盤中に埋設した落下物防止杭Kに作
用する最大曲げモーメントは、通常埋設部2の上端部付
近、即ち、地表面4の付近に作用する。しかし、厳密に
は、地表面4から所定の深さdだけ地中に入った部分に
作用する。これは、落下物防止杭Kに落石が衝突した場
合に、落下物防止杭Kの埋設部2分も地表面4の広がり
方向に沿って僅かに移動することに起因する。
【0014】本発明に係る落下物防止杭Kでは、上記最
大曲げモーメントが作用する位置を確実に把握し、必要
最小限の補強を施すことで、落下物防止杭Kを合理的に
構成しようとするものである。具体的には、埋設部2の
うち、最大曲げモーメントが作用する位置であって、前
記杭本体K1の両端部を除いた位置に、前記杭本体K1
の長手方向Xに対して垂直な方向における杭本体K1の
断面変形を抑制可能な補剛手段Sを設ける。
【0015】当該補剛手段Sとしては、例えば、前記杭
本体K1を取り囲む外挿体S1で構成することができ
る。当該外挿体S1としては、例えば、鋳鋼製あるいは
鋼製等のスリーブを用いる。当該外挿体S1を前記杭本
体K1に外挿させることにより、曲げモーメントを受け
た杭本体K1の断面が変形しようとするのを拘束する。
外挿体S1の高さ寸法は、例えば、当該外挿体S1の外
径と同程度の長さとすることができる他、前記外挿体S
1の外径の2乃至3倍の高さに構成することもできる。
ただし、外挿体S1のサイズは、補剛する杭本体K1の
管厚等に応じて適宜変更可能である。この結果、杭本体
K1に局部座屈が発生するのを防止でき、杭本体K1の
曲げ耐力を向上させることができる。
【0016】前記杭本体K1と前記外挿体S1とは強固
に接合してはならず、例えば、杭本体K1の側に設けた
固定手段10であるストッパー10aによって固定す
る。ここでは当該ストッパー10aとしてブロック状の
ものを用い、前記杭本体K1の外周に分散させた状態に
取り付けておく。つまり、前記ストッパー10aを取り
付けた杭本体K1に前記外挿体S1をはめ込んでおく。
本構成であれば、曲げモーメントを受けた前記杭本体K
1が前記外挿体S1とは独立した状態で自身の長手方向
Xに沿って伸縮するのを許容することができる。つま
り、主に断面変形が過大となるのを抑制しつつ杭本体K
1の伸縮を行わせる。杭本体K1に落石が衝突し、杭本
体K1に曲がりが生じる場合には、杭本体K1の外周部
分のうち落石が衝突した側に引張変形が生じ、その反対
側には圧縮変形が生じる。局部座屈が生じるのを防止し
てこれら伸縮を生じさせることで、杭本体K1の吸収エ
ネルギーを増大させるのである。
【0017】尚、吸収エネルギーとは、例えば、杭本体
K1の一端に曲げ力を載荷し、横軸に作用点の変位をと
り、縦軸に曲げ荷重を取って整理した場合の荷重−変位
曲線の積分値である。即ち、前記荷重−変位曲線と横軸
とによって囲まれる面積をいう。
【0018】上記のごとく、杭本体K1と当該補剛手段
Sとは相対移動できることが必要であり、少なくとも前
記最大曲げモーメントが作用する部位に設けるものであ
ればよく、前記杭本体K1の全長に亘って設ける必要は
ない。両者を強固に固着した場合には、杭本体K1の前
記伸縮変形までもが阻止されて、杭本体K1と外挿体S
1との境界部に曲げ応力が集中し、引張側に亀裂が生じ
る。その結果、杭本体K1の曲げ耐力は急激に低下する
こととなる。
【0019】(埋設手順)上記杭本体K1は、例えば以
下の手順で埋設する。まず、設置対象位置に、前記埋設
部2に比べて一回り大きな径の埋設穴5を形成する。次
に、前記埋設穴5に埋設部2が納まるように杭を配置す
る。さらに、前記埋設穴5と前記埋設部2の外周部との
間にモルタル6を充填して硬化させる。そして、同様に
して、別の杭本体K1を図1の紙面奥行き方向に沿って
間隔をあけた状態に複数並設し、落石抑止帯を形成す
る。
【0020】尚、前記埋設穴5を設ける際には、補剛手
段Sを埋設する位置から上方に位置する埋設穴5の内径
を大径に構成すれば、埋設穴5の穿設作業を極めて効率
化することができる。つまり、前記埋設部2のうち前記
補剛手段Sを設けた位置から下方の部分を挿入する穴の
内径は、前記杭本体K1の外径より僅かに大径とすれば
よく、補剛手段Sが埋設される位置から上方の部分のみ
をより大径に穿設するだけでよいから、埋設穴5の穿設
量を低減化することができるからである。
【0021】(効果)本発明のごとく、杭本体K1のう
ち最大曲げモーメントが作用する位置の断面変形を抑制
すべく、最大曲げモーメントが作用する位置および/ま
たはその近傍位置に補剛手段Sを設ける構成とすれば、
杭本体K1に局部座屈が生じるのを有効に防止して、杭
本体K1の吸収エネルギー性能を向上させることができ
る。そして、本発明のごとく、前記補剛手段Sを取り付
ける際に、前記杭本体K1の両端部を除いた位置であっ
て、最大曲げモーメントが作用する位置および/または
その近傍位置に局所的に補剛手段Sを取り付けるもので
あれば、補剛手段Sをコンパクトに構成することができ
る。このように、本発明であれば、杭本体K1に対する
補剛手段Sの取付作業が簡便であり、補剛手段Sの製造
コスト等を低下させつつ、吸収エネルギー性能に優れた
落下物防止杭を得ることができる。
【0022】(実験例) 〈概要〉鋳鋼管を用い、断面形状の拘束を行った場合と
拘束を行わない場合とで、鋳鋼管の吸収エネルギーに生
じる差異を確認すると共に、吸収エネルギーの算定手法
を導いた。併せて、杭本体K1の内部にコンクリートを
充填した場合の他、開孔を設けた場合、溶接を施した場
合、内面加工を施した場合についても吸収エネルギーが
どのように変化するかを検討した。これらを検討するた
め、静的曲げ実験と落錘式衝撃曲げ実験とを行った。
【0023】〈試験体〉表1および表2に示すごとく、
用いた試験体7は、外径が略150mmφの中空鋳鋼管
であって、管厚が7.8mmから20.5mmまでの各
種サイズの鋳鋼管を用いて実験を行った。この場合、前
者の径厚比(D/t)が19.2であり、後者の径厚比
が7.3であった。径厚比は、鋳鋼管の衝撃吸収エネル
ギーを定量的に評価するためのパラメータである。試験
体7は合計で18体使用した。
【0024】図8(イ)(ロ)に示すごとく、試験体7
のいくつかには、断面形状を拘束する手段を施した。図
8(イ)は、試験体7の側部を単に載荷治具8によって
押圧するものであり、拘束手段なしの実験態様を示すも
のである。一方、図8(ロ)は、試験体7に外挿可能な
載荷治具9を用いて試験体7の側部を押圧するものであ
り、拘束手段を施した実験態様を示すものである。
【0025】変形拘束は、鋳鋼管が落下物防止杭Kや落
石防護柵の支柱に用いられた場合を想定し、基礎の拘束
条件の違いによる影響を調べるために設けたパラメータ
である。具体的には、岩盤やモルタル6基礎へ根入れし
た場合を想定して変形拘束を施し、通常の土基礎へ根入
れした場合を想定して変形拘束なしとした。
【0026】この他、鋳鋼管への加工の影響を検討する
ために、開孔を設けた鋳鋼管および溶接を施した鋳鋼管
を用いた。特に、衝撃試験においては、鋳鋼管の内面形
状の影響を評価するために内面加工した試験体7と内面
加工しない試験体7とを用いた。
【0027】〈静的曲げ実験〉静的曲げ実験の概要を図
8(イ)(ロ)に示す。試験は、支点間距離1000m
mにセットした試験体7中央部に載荷治具9をセット
し、その上にロードセルを挟み、静荷重を載荷する3点
曲げ試験を行った。実験では、荷重の他、試験体7中央
部の鉛直変位、試験体7中央部から100mm、250
mmの位置での歪みを測定した。荷重はロードセルで測
定し、鉛直変位はワイヤー式変位計で、歪みは歪みゲー
ジで測定した。
【0028】静的曲げ実験に供した試験体7の機械的性
質を表1に示し、併せて、静的曲げ実験の結果を表3に
示す。試験体7は、No.1からNo.4までが変形拘
束なしのものであり、No.5からNo.10までが変
形拘束ありのものである。また、表3に示した吸収エネ
ルギーは、荷重−変位曲線の変位軸に関する積分値であ
る。
【0029】鋳鋼管の静的曲げ挙動は、降伏荷重に達し
たのち塑性変形を生じ始め、耐力が徐々に上昇した。や
がて最大耐力に達し、その後耐力は徐々に低下しながら
変形を続けた。載荷点の断面形状は変形が進行するにつ
れて局部座屈が進行し、円形断面が偏平化していく。耐
力低下および局部座屈の度合いは、径厚比が大きいもの
ほど大きかった。変形拘束ありの場合、鋳鋼管の局部座
屈を治具で拘束しているため、載荷点の円形断面は偏平
化が抑制され、変形拘束を施さなかった場合よりも耐力
の低下が小さくなった。静的曲げ試験は、試験機の都合
で最大変位250mm(変位角27度)で実験を終了し
たが、鋳鋼管に亀裂は発生しなかった。
【0030】径厚比が比較的大きいNo.4試験体およ
びNo.10試験体についてコンクリートを充填し、そ
の影響を調べた。変形拘束なしのNo.4試験体では、
中空管に比べて最大耐力およびその時の変位が上昇し、
耐力面ではコンクリート充填の効果があることがわかっ
た。しかし、変位角15度程度で鋼管の引張側に亀裂が
発生し耐力が急激に低下することから、変形能力の面に
おいては中空管に比べて劣っていることがわかった。結
局、コンクリートを充填した鋼管と中空管とを比較した
結果、亀裂発生時までの吸収エネルギーは両者とも略等
しかった。
【0031】コンクリートを充填した鋼管のうち、変形
拘束なしのNo.4試験体と、変形拘束ありのNo.1
0試験体とを比較すると、変形拘束ありの場合には、変
形拘束なしの場合に比べて、引張側での亀裂発生時の変
位角がやや改善される。しかし、中空管に変形拘束を施
したものも耐力低下が少なくなる傾向を示すことから、
耐力面・変形拘束面の何れにおいてもコンクリート充填
の効果は少ないと考えられる。吸収エネルギー性能にあ
っては、中空管の方が良好な結果を示した。
【0032】一方径厚比が小さい鋳鋼管では、中空管の
耐力低下の度合いが小さくなることから、コンクリート
充填の効果は減少するものと予想される。即ち、径厚比
20以下の鋳鋼管では、基礎への根入れ条件に拘わらず
コンクリート充填を施すよりも中空管の方が吸収エネル
ギー性能に優れているといえる。
【0033】No.9試験体には、鋳鋼管にワイヤーロ
ープなどを取り付けるために開孔を形成した場合の影響
を調べるため、試験体7の中央から65mmおよび36
5mmの位置の上下面に15mmφの開孔を設けた。開
孔を設けた場合には、変位曲線の全体に亘って略一定の
耐力低下を伴ったまま変形が進行した。ただ、表3にお
いて、例えば、No.9試験体とNo.5試験体とにつ
いて実験値と計算値との比に注目した場合、開孔による
断面欠損を考慮すると、開孔なしの場合の値に近づくこ
とがわかる。よって、吸収エネルギーを評価する上で
は、開孔の断面欠損を考慮しておけば、実用上の問題は
ないと考えられる。
【0034】No.8試験体は、鋳鋼管の表面に溶接を
施した場合の影響を調べるためのものである。表3の結
果において、No.8試験体とNo.7試験体との比較
から明らかなごとく、鋳鋼管に溶接を施した場合にも吸
収エネルギー性能には殆ど差がみられなかった。
【0035】しかし、静的曲げ試験において、変形拘束
を与えなかったNo.1試験体乃至No.4試験体と、
変形拘束を与えたNo.5試験体乃至No.7試験体と
を比較すると、変形拘束を与えた方が吸収エネルギーは
明らかに増大していた。
【0036】〈落錘式衝撃曲げ実験〉落錘式衝撃曲げ実
験の場合にも静的曲げ実験と同様に支点間距離を100
0mmとした試験体7の中央部に載荷治具9をセット
し、その上にロードセルを挟み込んだ。この載荷治具9
に重錘を自由落下させ衝撃載荷した。各試験体7の機械
的性質を表2に示す。併せて、落錘式衝撃曲げ実験の結
果を表4に示す。当該実験では、衝撃荷重の他、試験体
7中央部の鉛直変位、試験体7中央部から50mm、2
50mmの位置での歪みを測定した。衝撃荷重はロード
セルで測定し、鉛直変位はレーザー変位計で、歪みは歪
みゲージで測定した。計測データは0.1msec間隔
でサンプリングした。
【0037】衝撃力の載荷時間は、全般に剛性の高い試
験体ほど、つまり、径厚比の小さい試験体ほど短かかっ
た。表4に示したごとく、試験体7の中央から50mm
の位置での鋳鋼管の最大歪み速度は、開孔を設けた鋳鋼
管以外は、8/sec乃至11/secであり、剛性の
高い試験体ほど歪み速度が大きかった。開孔を設けた鋳
鋼管を想定したNo.14試験体で歪み速度が2/se
cと小さいのは、歪みゲージの貼付位置と開孔位置とが
近接していたため、開孔の変形が開孔近傍の鋳鋼管本体
の歪み及び歪み速度に影響を与えたためと考えられる。
【0038】通常、鋳鋼管は内面加工しない状態で使用
されるが、静的曲げ実験・衝撃曲げ実験の双方におい
て、鋳鋼管が有する衝撃吸収エネルギーを定量的に評価
するために、No.16試験体以外は全て試験体の内面
を加工した。表4において、例えば、No.16試験体
とNo.11試験体との結果を比較すると、内面加工の
有無による影響はないといえる。その他の因子の影響と
して、コンクリート充填・開孔・溶接等によるものが考
えられるが、これらが衝撃曲げ挙動に悪影響を及ぼすこ
とはなく、静的曲げ挙動でみられた影響と特に変わる点
はなかった。また、溶接を施したNo.15試験体につ
いても、No.13試験体と比較する限り、衝撃曲げ挙
動に与える影響は少ないと考えられる。
【0039】衝撃曲げ実験の吸収エネルギーは、静的曲
げ実験の吸収エネルギーに比べて大きい傾向がある。そ
の様子を例えば図9に示す。よって、衝撃吸収エネルギ
ーは静的曲げ挙動に基づいて評価しておけば、安全側に
評価することができる。
【0040】〈限界吸収エネルギー評価〉落下物防止杭
Kあるいは落石防護柵の設計は、落石エネルギーを上回
るように行われる。この場合、鋳鋼管の耐力が低下する
部分まで見込んで吸収エネルギーを評価しても差し支え
ない。ただし、評価に際しては、その杭が新設か既設対
策工の補強か、あるいは、その構造が単独杭か防護柵の
支柱か等の差異を評価すべきと考える。
【0041】そこで、ここでは実構造物として使用され
た場合の鋳鋼管の変位角の上限値、即ち、終局変位角を
設定し、そこに到達するまでの吸収エネルギー、即ち、
限界吸収エネルギーを算定すると共に、設計時の判断に
役立つ安全率と変位角との関係も併せて提案することと
した。
【0042】鋳鋼管の変形能力は、実験結果から変位角
で30度以上あるが、単独杭や防護柵の支柱のように片
持梁形式で使用される場合、落石の飛び出しなどを考慮
して、鋳鋼管の終局変位角は30度とする。
【0043】〈設計降伏荷重の評価式〉鋳鋼管を支柱に
使用した落下物防止杭Kあるいは落石防護柵を設計する
には、支柱に塑性ヒンジを形成させる力の算定が必要で
ある。表3によれば、降伏荷重実験値ePyと全塑性荷
重計算値cPpとの比が径厚比によらず略一定であるこ
とから、設計降伏荷重dPyの算定式は次式とすること
にした。 dPy = α・cPp ・・・・・・ (1) ここで、αは、変形拘束の有無に応じて実験から求めら
れる定数である。式(1)を変形すると次式のようにな
る。 dMy = α・cMp ・・・・・・ (2) ここで、dMy:設計用降伏曲げモーメント cMp:全塑性モーメント(=σy・Zp) σy:降伏点 Zp:塑性断面係数
【0044】〈限界吸収エネルギーの評価式〉終局変位
までの吸収エネルギーの実験値eEuを降伏荷重実験値
ePyと終局変位σuとの積で割った値をβとすると、
限界吸収エネルギーEuの評価式は、次式で定式化でき
る。 Eu = β・dPy・σu ・・・・・・ (3) ここに、σuは、荷重作用位置と支点との距離をLとす
ると、σu = L・tan30° であり、設計降伏
曲げモーメント dMy は、dMy = dPy・L
であるので、式(3)を変形して次式を得る。 Eu = β・dMy・tan30° ・・・・・・ (4)
【0045】βと径厚比D/tとの関係を図10に示
す。
【0046】表5には、安全率と部材変位角との関係を
示す。つまり、静的曲げ試験の結果を用い、各径厚比の
鋳鋼管の限界吸収エネルギー実験値を安全率で割った吸
収エネルギー値になるときの変位および変位角を示す。
径厚比によって、安全率と変位角との関係は若干異なる
ものの、落石対策工設計時の目安として利用することが
できる。
【0047】以上のごとく、本実験では、鋳鋼管を試験
体7として、静的曲げ実験および落錘式衝撃曲げ実験を
行い、これらの実験結果を基に鋳鋼管の衝撃吸収エネル
ギーについてこれを定量的に評価した。また、実際の設
計時に役立つ限界吸収エネルギーの算定およびこれらに
対する安全率と部材変位角との関係も示すことができ
た。これにより、鋳鋼管を使用した落石対策工等の吸収
エネルギーに基づく設計が簡便にできるようになった。
【0048】(効果)以上のごとく、本発明の落下物防
止杭Kであれば、杭の断面形状が変化するのを抑制し、
局部座屈を生じさせ難くすると共に杭の変形量を低下さ
せ難くして、杭本体K1の吸収エネルギー性能を向上さ
せることができる。しかも、杭本体K1のうち最大曲げ
モーメントが作用する位置に、杭本体K1に比べて短い
補剛手段Sを取り付けるだけでよいから、補剛手段Sを
コンパクトに構成することができる。しかも、補剛手段
Sがコンパクトになれば、杭本体K1に対する取付作業
も必然的に簡便なものとなる。このように、杭の補剛作
業を簡略化しながら、高強度を有する落下物防止杭Kを
得ることができる。
【0049】(別実施形態) 〈1〉 前記補剛手段Sとしては、例えば図2に示すご
とく、杭の内部に挿入可能な内挿体S2を用いてもよ
い。例えば、杭本体K1が変形断面を有する場合には、
略円柱状の部材を用いることができる。当該内挿体S2
は、例えば、鋳鋼の他、一般の鋼材を用いて構成するこ
ともできる。当該内挿体S2の高さ寸法も、前記外挿体
S1と同様に、杭本体K1の外径と同等の高さ、あるい
は、杭本体K1の外径に対して2乃至3倍の高さに任意
に構成することができる。そして、これらの部材どうし
の連結は、例えば、溶接によって仮付けしておくことが
できる。勿論、前述のストッパー10aを用いるもので
あってもよい。本別実施の場合にも、杭の断面形状の変
化を拘束しつつ、前記内挿体S2とは独立に杭の長手方
向Xへの杭本体K1の伸縮を許容して吸収エネルギー性
能を向上させることができる。
【0050】そして、本構成のごとく、前記補剛手段S
を前記杭本体K1に挿入可能な内挿体S2で構成してお
けば、杭本体K1の外径を増加させることなく杭本体K
1を補剛することができる。よって、杭本体K1を埋設
する穴の内径を、杭本体K1の外径に対して僅かに大き
くするだけでよく、埋設穴5の穿設作業を効率化するこ
とができる。また、杭本体K1を埋設穴5に配置する際
にも、補剛手段Sが障害となることはないから、杭本体
K1の埋設作業を円滑に行うことができる。
【0051】〈2〉 前記補剛手段としては、前記外挿
体S1或いは前記内挿体S2の複数を、前記杭本体K1
の長手方向Xに沿って断続的に設けるものであってもよ
い。この場合でも、杭本体K1のうち最大曲げモーメン
トが作用する深さdの位置の近傍を補剛することは可能
である。図3には、例えば前記補剛手段Sを外挿体S3
で構成する場合を示す。このように、隣接する外挿体S
3どうしが離間しているものであっても、これら外挿体
S3による補剛効果は、外挿体S3が設けられていない
隣接部分にもある程度及ぶ。つまり、外挿体S3が存在
しない部分であっても局部座屈の発生が抑制されるので
ある。一例として、本実施形態では、一つの外挿体S3
の高さ寸法は前記杭本体K1の外径の約半分に設定して
ある。そして、隣接する外挿体S3どうしの間隔は、当
該外挿体S3の高さ寸法のさらに半分に設定してある。
夫々の外挿体S3は、例えば、前述と同様にストッパー
10aを用いて固定することができる。勿論、これら外
挿体S3の高さ寸法、および、外挿体S3どうしの間隔
は、用いる杭本体K1の管厚に応じて適宜変更可能であ
る。
【0052】このように、補剛手段Sを断続的に設ける
こととすれば、補剛手段Sを更にコンパクトにすること
ができ、より経済的な補剛手段Sを得ることができる。
しかも、取り付ける杭本体K1の外径さえ適合するもの
であれば、杭本体K1の管厚に応じて補剛程度を適宜変
更することができる。例えば、管厚が大きく杭本体K1
そのものの曲げ耐力が大きい場合には、補剛手段Sどう
しをより離間させて取り付けることができ、補剛手段S
の使用個数を減らして経済的な補剛作業を行うことがで
きる。一方、管厚が小さく杭本体K1そのものの曲げ耐
力が小さい場合には、補剛手段Sどうしをより接近させ
て取り付けることで十分な補剛効果を得ることができ
る。
【0053】〈3〉 前記補剛手段Sは、図4に示すご
とく構成することもできる。即ち、前記補剛手段Sとし
て、例えば、その周面がドーナツ状に形成してある内挿
体S4を用いる。当該内挿体S4は、例えば、一般の鋼
材或いは鋳鋼などによって構成する。当該内挿体S4
は、前述のストッパー等で固定することもできるが、例
えば、杭本体K1の上方端部に設けた蓋部材12に吊り
下げた棒体10cに固定することもできる。この棒体1
0cの長さを適宜調節することで、杭本体K1のうち最
大曲げモーメントが作用する位置に前記内挿体S4を固
定することができる。
【0054】本構成の場合にも、前記杭本体K1に落下
物が衝突して杭本体K1が曲がり変形した際に、特に、
前記内挿体S4のうち落下物の衝突方向と同方向の部位
が杭本体K1の内面に当接し、杭本体K1の断面変形を
抑制して局部座屈が生じるのを防止することができる。
【0055】尚、図4には前記内挿体S4を一つ備えた
例を示したが、この例に限られるものではない。図示は
省略するが、複数の内挿体S4を取り付けるものであっ
てもよい。例えば、最大曲げモーメントが作用する位置
を挟んで上下の領域に亘って三つの内挿体S4を取り付
けることができる。上下に隣接する内挿体S4どうしの
間隔あるいは使用する内挿体S4の数は、杭本体K1の
管厚等により適宜設定することができる。管厚が厚く杭
本体K1の剛性が高い場合には、内挿体S4の間隔を広
くしたり使用個数を少なくすることができる。逆に、管
厚が薄く杭本体K1の剛性が低い場合には、内挿体S4
の間隔を狭くしたり使用個数を多くすることができる。
【0056】〈4〉本発明に係る落下物防止杭は、土基
礎に埋設するものの他にコンクリート基礎に埋設して用
いることができる。図5(イ)は、杭本体K1をコンク
リート基礎11に埋設した状態の側方断面図であり、図
5(ロ)は、同平面図である。杭本体K1の埋設穴5
は、例えば、コンクリートを打ち込む際に型枠を用いて
構成する。杭本体K1とコンクリート基礎11との間に
はモルタル6を充填してある。
【0057】本実施形態では、杭本体K1の地上立設部
に外挿体S5を取り付けてある。当該外挿体S5は、コ
ンクリート基礎11の上に単に載置しておく。本実施形
態にあっては、杭本体K1に落下物が衝突した際に、杭
本体K1のうち最大曲げモーメントが作用する位置は、
コンクリート基礎11の上面に位置する部分である。前
記外挿体S5を設けない場合には、当該部分に曲げ力が
集中して杭本体K1に断面変形が生じ易くなる。このた
め、コンクリートの埋設穴には、前記落下物の衝突方向
に対して直角方向に拡径しようとする外力が作用し、当
該直角方向に引張力を受けたコンクリートが破損する場
合がある。この結果、拘束力を失った杭本体K1は局部
座屈し易くなるのである。しかし、当該外挿体S5を設
けることで杭本体K1の断面変形を拘束し、前記局部座
屈を抑制することができる。曲げ力を受けた前記杭本体
K1は、落下物が衝突した側の面において引張変形し、
その裏側では圧縮変形しようとするが、このときモルタ
ル6は比較的容易に破壊されるから、杭本体K1の変形
を十分に許容することができる。
【0058】本構成であれば、外挿体S5を単に杭本体
K1の地上立設部に落とし込むだけでよいから外挿体S
5の取付構造及び取付作業が極めて簡略化することがで
きる。しかも、外挿体S5をセットした状態では、外挿
体S5の下面が、杭本体K1のうち最大曲げモーメント
が作用する位置に常に接した状態となるから、杭本体K
1の断面変形を確実に防止することができる。
【0059】〈5〉図5で示した外挿体S5は、図6に
示すごとく、その一部を切り欠いた形状にすることもで
きる。杭本体K1の断面変形を拘束するには、落下物の
衝突方向に対して直角な方向に杭本体K1が拡径するの
を阻止すればよい。そのためには、少なくとも図6にお
ける杭本体K1の上下方向に当接し得るよう外挿体S6
を構成すればよい。尚、切欠き位置は、落下物が衝突す
るのと反対方向であっても差し支えない。
【0060】本構成であれば、図6に示すごとく埋設穴
5の一部を常に露出させることができる。よって、前記
外挿体S6を取り付けた後でも埋設穴5にモルタル6を
充填することができ、杭本体K1の設置作業の自由度を
高めることができる。尚、外挿体S6を設置した後、外
挿体S6が不用意に回転して切欠き方向が変更されるの
を防止するために、外挿体S6の下面に突起部などを設
けておき、これをモルタル6の内部に埋設固定する構成
とすれば、落下物防止杭の信頼性をより向上させること
ができる。
【0061】〈6〉本発明の落下物防止杭は図7に示す
ごとく構成することもできる。本別実施形態では、外挿
体S7を、その高さ方向の半分だけコンクリート基礎1
1に埋設する。ただし、外挿体S7は、コンクリート基
礎11に対して独立に移動可能に構成しておく。ここで
は前記外挿体S7をモルタル6で固定してある。当該モ
ルタル6は、杭本体K1に落下物が衝突した際の衝撃力
によって破壊し得るものとする。外挿体S7は、杭本体
K1に取り付けたストッパー10aによって受け止め支
持してある。
【0062】本構成の場合も、杭本体K1のうち最大曲
げモーメントが作用する位置はコンクリート基礎11の
上面位置である。しかし、当該実施形態では、落下物に
よる衝撃力が作用した際に前記モルタル6が破壊され、
外挿体S7と杭本体K1とは略一体となって傾くことが
できる。しかも、杭本体K1は外挿体S7とは独立に伸
縮変形可能である。よって、本実施形態の場合にも、杭
本体K1の吸収エネルギー性能を向上させることができ
る。
【0063】〈7〉上記実施形態では、落下物防止杭K
についての例を示したが、この他にも、複数の落下物防
止杭Kを断続的に埋設すると共に、隣接する落下物防止
杭Kどうしに亘って柵を設け、落下物防止用柵を構成す
るものであってもよい。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】
【表3】
【0067】
【表4】
【0068】
【表5】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る落下物防止杭を示す説明図
【図2】本発明の別実施形態に係る落下物防止杭を示す
説明図
【図3】本発明の別実施形態に係る落下物防止杭を示す
説明図
【図4】本発明の別実施形態に係る落下物防止杭を示す
説明図
【図5】本発明の別実施形態に係る落下物防止杭を示す
説明図
【図6】本発明の別実施形態に係る落下物防止杭を示す
説明図
【図7】本発明の別実施形態に係る落下物防止杭を示す
説明図
【図8】曲げ実験の手法を示す模式図
【図9】曲げ変位と吸収エネルギーとの関係を示す説明
【図10】限界吸収エネルギー評価を示す説明図
【図11】従来の落下物防止杭を示す説明図
【符号の説明】
1 傾斜地 2 埋設部 3 地上立設部 K 落下物防止杭 K1 杭本体 S 補剛手段 S1 外挿体 S2 内挿体 X 杭本体の長手方向
フロントページの続き (72)発明者 中野 明 東京都中央区日本橋室町3丁目1番3号 株式会社クボタ東京本社内 Fターム(参考) 2D001 PA06 PB04 PC03 PD05 2D041 AA02 BA04 BA20 CA03 CA04 DB02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 地盤に埋め込まれる埋設部と、傾斜地に
    沿って転落する落下物を受けて落下抑止する地上立設部
    とを一体形成した杭本体を有する落下物防止杭であっ
    て、 前記地上立設部に落下物が衝突した際に、前記杭本体の
    うち最大曲げモーメントが作用する位置の断面変形を抑
    制すべく、前記杭本体の両端部を除いた位置であって、
    前記最大曲げモーメントが作用する位置および/または
    その近傍位置に局所的に補剛手段を設けると共に、 曲げモーメントを受けた前記杭本体が自身の長手方向に
    沿って前記補剛手段とは独立に伸縮変形可能となるよう
    前記補剛手段を取り付けてある落下物防止杭。
  2. 【請求項2】 前記補剛手段が、前記杭本体を取り囲む
    外挿体である請求項1に記載の落下物防止杭。
  3. 【請求項3】 前記補剛手段が、前記杭本体に挿入可能
    な内挿体である請求項1に記載の落下物防止杭。
  4. 【請求項4】 前記外挿体或いは前記内挿体の複数を、
    前記杭本体の長手方向に沿って断続的に設けてある請求
    項2または3に記載の落下物防止杭。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014029070A (ja) * 2012-07-31 2014-02-13 Diguard Engineering:Kk 防護柵及び既設の防護柵の嵩増し工法
JP2015074902A (ja) * 2013-10-08 2015-04-20 株式会社技研製作所 鋼管の補強方法及び補強装置
JP2016094822A (ja) * 2016-01-18 2016-05-26 ディガードエンジニアリング株式会社 防護柵

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014029070A (ja) * 2012-07-31 2014-02-13 Diguard Engineering:Kk 防護柵及び既設の防護柵の嵩増し工法
JP2015074902A (ja) * 2013-10-08 2015-04-20 株式会社技研製作所 鋼管の補強方法及び補強装置
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