JP5978426B2 - 杭の引抜き抵抗力の算定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、軸部から下方に向けて斜めに拡大される拡径部を有する杭の引抜き抵抗力の算定方法に関するものである。
杭に、円柱状の軸部から截頭円錐状に下方に向けて広がる拡径部を設けることで、杭の引抜き抵抗力が高められることが知られている。しかしながら、拡径部の引抜き抵抗の算定方法については、明確な算定基準が存在していないのが現状である。
一方、細長いビルなどのアスペクト比の大きな建築物は、地震力を受けると支持杭に大きな引抜き力が作用することが知られている。また、地下水位が上昇して浮力を受けたり、津波によって水平力を受けたりした場合も、杭に大きな引抜き力が作用することになる。
このような大きな引抜き力に対しては、定性的には拡径部のある杭が有効であることは容易に理解できるため、特許文献1,2に開示されているように、拡径部の引抜き抵抗の算定方法が提案されている。
特許文献1,2は、いずれも軸方向に間隔を置いて複数の拡径部が設けられることを前提とした多段杭における引抜き抵抗力の算定方法である。例えば、特許文献1では、拡径部からある広がりを想定した範囲に含まれる地盤が、拡径部の上載荷重となって引抜き抵抗となるとして、引抜き抵抗力を算定する。
一方、特許文献2では、拡径部の周辺地盤から受ける極限せん断抵抗力と極限支圧力との和から、引抜き抵抗力を算定する。ここで、特許文献2は、いわゆる節付き杭に関する文献で、一つ一つの拡径部が小さく、それぞれの拡径部に接する地盤の土質は均一であることを前提にした算定方法となっている。
特開2011−174251号公報 特許第4658684号公報
しかしながら、拡径部が大きくなると、拡径部の途中から土質が変化する場合がある。また、拡径部が一つの場合(拡底杭)でも、通常の円柱状の杭に比べて引抜き抵抗力が大きくなるのは自明である。
そこで、本発明は、拡径部毎の引抜き抵抗を明確にできるとともに、拡径部の途中で土質が変化した場合でも正確に引抜き抵抗を算定することが可能な杭の引抜き抵抗力の算定方法を提供することを目的としている。
前記目的を達成するために、本発明の杭の引抜き抵抗力の算定方法は、軸部から下方に向けて斜めに拡大される拡径部を有する杭の引抜き抵抗力の算定方法であって、前記軸部及び拡径部が地盤に接する側面積を算出するステップと、前記側面積に対して、その周囲の土質の強度及びその土質との摩擦抵抗に関する摩擦抵抗係数を掛け合わせるステップと、上記軸部及び拡径部の演算結果の積算値と前記杭の有効自重に基づいて引抜き抵抗力を算出するステップとを備え、前記拡径部の下方に向けて斜めに拡大される傾斜面の範囲においては、前記側面積は少なくとも土質毎に算出するとともに、前記摩擦抵抗係数は前記傾斜面の傾斜角及び前記土質によって異なる値を使用することを特徴とする。
ここで、前記傾斜面の範囲で使用する摩擦抵抗係数は、前記傾斜角の増加に伴って増加する値を使用するのが好ましい。例えば、前記傾斜面の範囲で使用する摩擦抵抗係数は指数関数的に増加する値を使用することができる。
また、前記土質の強度は、砂質地盤ではN値であり、粘土質地盤では一軸圧縮強度であることが好ましい。
このように構成された本発明の杭の引抜き抵抗力の算定方法では、拡径部の傾斜面の範囲においては、少なくとも土質毎に拡径部の傾斜面が接する側面積を算出し、その側面積に土質の強度と、拡径部の傾斜角及び土質によって異なる摩擦抵抗係数を掛け合わせる。
そして、このようにして土質毎に算出される拡径部の演算結果と軸部の演算結果との積算値及び杭の有効自重に基づいて、杭の引抜き抵抗力を算定する。
このように拡径部毎に引抜き抵抗を明確に算定できるので、拡径部が一つの拡底杭であっても、拡径部が複数設けられる多段杭であっても、正確に引抜き抵抗力を算定することができる。
また、拡径部の途中で土質が変化した場合でも、土質毎に引抜き抵抗を算出できるので、正確に杭の引抜き抵抗力を算定することができる。当然、拡径部が接する土質が一種類しかない場合にも適用できる。
さらに、摩擦抵抗係数が傾斜角の増加に伴って増加する係数であれば、傾斜角を大きくしたことを正確に反映できるので、杭長を短くできるなど経済的に杭を構築することができるようになる。特に、摩擦抵抗係数が指数関数的に増加するという知見を反映させることで、より経済的な杭の設計及び構築ができるようになる。
また、杭の引抜き抵抗力の算定に用いられる土質の強度が、砂質地盤ではN値であり、粘土質地盤では一軸圧縮強度である場合は、土質毎の強度に関する数値を容易に取得することができる。
本発明の実施の形態の拡底杭の引抜き抵抗力の算定方法を説明するための説明図である。 拡底杭に作用する引抜き力を説明するために建物全体の構成を示した説明図である。 拡底杭に作用する引抜き力と抵抗力との関係を説明するための説明図である。 砂質地盤における傾斜角θと摩擦抵抗係数λとの関係を示した図である。 粘土質地盤における傾斜角θと摩擦抵抗係数μとの関係を示した図である。 実施例の多段杭に作用する引抜き力を説明するために建物全体の構成を示した説明図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態の杭の引抜き抵抗力の算定方法の説明に使用する、杭としての拡底杭1の構成を示した図である。
図2は、複数の拡底杭1,1によって支持されるビルBの全体構成を模式的に示した図である。このビルBは、底辺(底面積)に対して高さが高いアスペクト比の大きい細長い建物である。
ビルBは、その底盤となる基礎B1を介して拡底杭1,1によって支持される。拡底杭1は、直径が一定の円柱状の軸部2と、軸部2から下方に向けて斜めに拡大される拡径部3とによって主に構成される。
このような拡底杭1は、地盤Gに掘削された孔に、鉄筋籠を挿入し、コンクリートを打設することによって構築することができる。すなわちこの拡底杭1は、場所打ちコンクリート杭である。
常時においては、拡底杭1,1には、ビルB及び基礎B1の自重と建物内部に設置された設備や利用者の重量などが上載荷重として作用している。すなわち、地盤Gに対して押し込まれる状態にある。なお、本明細書においては、この押込み抵抗力(支持力)に関する説明は省略する。
一方地震時には、図2に示したように、例えばビルBの左側から地震に起因した力(地震力Q)が作用する。その結果、ビルBは右側に傾きかけることになる。
そうなると、ビルBの右側の拡底杭1には、常時以上の押込み力が作用することになる。その押込み力に対しては、図示したように、拡底杭1の周囲に発生する上向きの抵抗力によって対抗させることになる。
これに対して、ビルBの左側の拡底杭1には、常時の押込み力とは反対向きの引抜き力が作用することになる。その引抜き力に対しては、図示したように、拡底杭1の周囲に発生する下向きの抵抗力によって対抗させることになる。
拡底杭1に引抜き力が作用するのは、地震時だけでなく、例えば地下水位G1が上昇して基礎B1が受ける浮力Wが増加した場合なども、引抜き力が作用することがある。
図3は、引抜き力Pが作用しているときの拡底杭1の抵抗状態を模式化して示した図である。ここで、拡径部3は、截頭円錐状の傾斜部31と、傾斜部31の下端から円柱状に形成される立上り部32とによって主に構成される。また、立上り部32の中央から下方に向けては、先端部33が突出される。
そして、引抜き力Pに対しては、軸部2の周面と地盤Gとの間に生じる摩擦抵抗力τと、傾斜部31の周面と地盤Gとの間に生じる摩擦抵抗力τと、立上り部32の周面と地盤Gとの間に生じる摩擦抵抗力τと、拡底杭1の有効自重Sによって対抗することになる。
そこで、以下では、この引抜き力Pに対抗させる引抜き抵抗力について説明する。ここで、引抜き抵抗力には、浮力Wのように長期間作用する力に対して算定される値と、地震力Qのように短期間作用する力に対して算定される値とがある。
以下では、長期間作用する引抜き力に対して許容できる値を長期許容引抜き抵抗力Rとし、短期間作用する引抜き力に対して許容できる値を短期許容引抜き抵抗力Rとする。
=1/3(λ・N・L・ψ+μ・q・L・ψ)+w (1)
=2/3(λ・N・L・ψ+μ・q・L・ψ)+w (2)
ここで、λは砂質地盤の摩擦抵抗係数、Nは砂質地盤の標準貫入試験による打撃回数の平均値、Lは拡底杭1が砂質地盤に接する長さ、ψは拡底杭1の周囲の長さを示す。
また、μは粘土質地盤の摩擦抵抗係数、qは粘土質地盤の一軸圧縮強度の平均値、Lは拡底杭1が粘土質地盤に接する長さを示す。さらに、wは拡底杭1の有効自重を示す。
要するに、拡底杭1の引抜き抵抗力(R,R)は、軸部2及び拡径部3がそれぞれ地盤Gに接する側面積(L・ψ又はL・ψ)と、その周囲の土質の強度(N又はq)と、その周囲の土質の摩擦抵抗係数(λ又はμ)とを掛け合わせて積算することで算出される。
上式(1),(2)について、図1を参照しながら傾斜部31の計算の詳細な説明を続ける。傾斜部31は、軸線(鉛直線)に対する傾斜面の傾斜角がθ、上面の直径がD、下面の直径がD、全体の高さがHの截頭円錐体である。
この傾斜部31は、土質が変化する位置(土質毎)で、計算上では分割することができる。「土質毎」とは、砂質地盤、粘土質地盤という地盤の種類だけでなく、地盤の種類が同じでも強度(N,q)の大きさが異なれば別の土質として処理することができることを言う。
図1では、傾斜部31をn個の領域に平行線によって分割している。ここで、高さ方向の位置を、傾斜部31の上面から下面までで、Z,・・・Zi−1,Z,・・・Zで示す。なお、分割数nは、傾斜部31に出現する土質の数とすることもできるが、後述する計算精度を上げるために、同一土質内でも分割することができる。
そして、それぞれの高さに対応する位置の傾斜部31の直径を、D,・・・Di−1,D,・・・Dで示す。また、分割された各領域の高さを、L,・・・L,・・・Lで示す。
また、分割された各領域の側面積(周面積)を、A,・・・A,・・・Aで示す。このように設定された符号を使うと、Zi−1〜Z間の領域の側面積Aは、次式で表わすことができる。
=π/(2cosθ)(Di−1+D)L (3)
そして、傾斜部31の各領域の周囲の長さψは、ψ=A/Lとなる。但し、上式(1),(2)のL・ψ及びL・ψは、地盤に接する傾斜面の面積(側面積)を表しているため、それぞれの領域で側面積Aが求められれば良い。
一方、軸部2は、直径がDで長さがL1の円柱体である。また、立上り部32は、直径がDで高さがhの円柱体である。なお、例えば、h=0.5mの定数とする。
この軸部2及び立上り部32については、通常の杭と同様に円柱体であり、この部分については通常の杭と同様に上式(1),(2)を使って、簡単に引抜き抵抗力を算出することができる。
すなわち、円柱体の範囲であれば、周囲の長さψが一定となるので、各土質に接する長さ(L又はL)を求めればよいことになる。この軸部2及び立上り部32においても、上述した拡径部3と同様に、土質毎に計算を行うことができる。
また、拡底杭1の有効自重wは、軸部2の重量と拡径部3の重量との合計から、拡底杭1に作用する浮力を減じた値となる。要するに、拡底杭1の体積に鉄筋コンクリートの比重を乗じ、地下水位G1以下となる拡底杭1の部分の体積から浮力を算出することで、有効自重wを求めることができる。
砂質地盤の強度は、標準貫入試験による打撃回数(N値)の平均値(N)で表わすことができる。ここで、例えば軸部2では、Nが30を超えるときは30とする。一方、傾斜部31では、Nが60を超えるときは60とする。
粘土質地盤の強度は、一軸圧縮強度の平均値(q)で表わすことができる。ここで、例えば軸部2では、qが200 kN/m2を超えるときは200とする。一方、傾斜部31では、qが1000 kN/m2を超えるときは1000とする。
また、摩擦抵抗係数(λ,μ)は、拡底杭1の周面とそれに接する周囲の地盤Gとの摩擦抵抗に関する数値である。
側面が鉛直面となる軸部2及び立上り部32の摩擦抵抗係数(λ,μ)には、例えば従来から知られている定数が使用される。例えば、砂質地盤の摩擦抵抗係数λには、0.8×10/3が使用できる。また、粘土質地盤の摩擦抵抗係数μには、0.8×1/2が使用できる。
一方、軸部2から下方に向けて斜めに広がる傾斜面を有する傾斜部31においては、土質及び傾斜角θによって異なる摩擦抵抗係数(λ,μ)を使用する。この傾斜部31における摩擦抵抗係数(λ,μ)について、図4,5を参照しながら説明する。
図4は、砂質地盤における傾斜角θと摩擦抵抗係数λとの関係を示した図である。○、□等の凡例は、載荷試験によって得られた値を示し、曲線は、それらの載荷試験結果に基づいて作成した。
この曲線からわかるように、砂質地盤においては、傾斜角θの増加に対して摩擦抵抗係数λが指数関数的に増加するといえる。そこで、許容引抜き力を算定する際に使用する傾斜部31の摩擦抵抗係数λを、安全側で考えて以下の数式で表わすこととする。
λ=5.85e0.05θ・ζ (4)
ここで、ζは、杭長Lと拡径部3の最大拡底径Dとの比によって設定される低減係数を示す。例えば、0<L/D<3.3の範囲においてはζ=0.46+0.164(L/D)、L/D≧3.3の範囲においてはζ=1.0と設定することができる。
すなわち、根入れ(杭長L)が浅い場合は、拡径部3が上記数式通りの充分な引抜き抵抗とならないことが想定されるため、3.3D以浅に拡径部3を設ける場合は、低減係数ζによって摩擦抵抗係数λを低減する。
このように本実施の形態で説明する拡底杭1の引抜き抵抗力の算定方法では、傾斜部31の傾斜角θの大きさに応じて摩擦抵抗係数λが変化することになる。
一方図5は、粘土質地盤における傾斜角θと摩擦抵抗係数μとの関係を示した図である。○、□等の凡例は、載荷試験によって得られた値を示し、曲線は、それらの載荷試験結果に基づいて作成した。
この曲線からわかるように、粘土質地盤においても、傾斜角θの増加に対して摩擦抵抗係数μが指数関数的に増加するといえる。そこで、許容引抜き力を算定する際に使用する傾斜部31の摩擦抵抗係数μを、安全側で考えて以下の数式で表わすこととする。
μ=0.40e0.04θ・ζ (5)
なお、上記した式(4),(5)は、載荷試験結果のある1.1°≦θ≦21.1°の範囲では、確実に適用することができる。また、傾斜角θが45°以下の範囲であれば、適用可能であるといえる。
次に、本実施の形態の拡底杭1の引抜き抵抗力の算定方法の作用について説明する。
このように構成された本実施の形態の拡底杭1の引抜き抵抗力の算定方法では、拡径部3の傾斜部31の傾斜面の範囲においては、少なくとも土質毎に傾斜部31の傾斜面が接する側面積を算出する。ここで「少なくとも土質毎」とするのは、土質が同じ範囲内においても分割を行うことができることをいう。少なくとも土質の変わり目(境界)において、算出される側面積が分割されていればよい。
さらに、その側面積に土質の強度(N又はq)と、拡径部3の傾斜部31の傾斜角θ及び土質(砂質地盤又は粘土質地盤)によって異なる摩擦抵抗係数(λ又はμ)を掛け合わせる。
そして、このようにして土質毎に算出される拡径部3の演算結果と軸部2の演算結果との積算値及び拡底杭1の有効自重Sに基づいて、拡底杭1の引抜き抵抗力を算定する。
このように拡径部3毎に引抜き抵抗を明確に算定できるので、拡径部3が一つの拡底杭1であっても、正確に引抜き抵抗力を算定することができる。
また、拡径部3の途中で土質が変化した場合でも、土質毎に引抜き抵抗を算出できるので、正確に拡底杭1の引抜き抵抗力を算定することができる。当然、拡径部3が接する土質が一種類しかない場合にも適用できる。
さらに、摩擦抵抗係数が傾斜角θの増加に伴って増加する係数であれば、傾斜角θを大きくしたことを正確に反映できるので、杭長Lを短くできるなど経済的に杭を構築することができるようになる。
すなわち、せっかく傾斜角θの大きな拡径部3を構築できるようになっても、拡大した分の引抜き抵抗の増加が設計上、認められなければ、杭長を長くしたり杭本数を増やしたりするなどして引抜き抵抗力を高めなければならない。
これに対して、傾斜角θが増加した分が正当に評価されれば、杭長を無駄に長くしたり杭本数を増やしたりする必要がなくなり、経済的に杭を構築することができる。
また、軸部2の直径を小さくして傾斜角θを大きくした方が、同じ引抜き抵抗力でも掘削量が削減できる場合がある。このようにして掘削量が削減できれば、掘削コストが削減できるだけでなく、コンクリートの打設量や産廃残土の発生量を抑えることもできるようになる。
特に、土質が砂質地盤である場合には、傾斜角θの増加に対して摩擦抵抗係数λの指数関数的に増加する比率が大きく、より経済的な杭の設計及び構築ができるようになる。
また、杭の引抜き抵抗力の算定に用いられる土質の強度が、砂質地盤ではN値から導かれ、粘土質地盤では一軸圧縮強度から導かれる場合は、土質毎の強度に関する数値を容易に取得することができる。
以下、前記した実施の形態の拡底杭1とは別の形態の多段杭4の引抜き抵抗力の算定方法について、図6を参照しながら説明する。なお、前記実施の形態で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同一用語や同一符号を付して説明する。
この実施例で説明する杭としての多段杭4は、軸方向に間隔を置いて複数の拡径部42,43が設けられる。すなわち、多段杭4は、直径が一定の円柱状の軸部41Aと、軸部41Aから下方に向けて斜めに拡大される1段目の拡径部42と、その拡径部42から下方に延びる円柱状の軸部41Bと、その軸部41Bから下方に向けて斜めに拡大される最下段の拡径部43とによって主に構成される。
本実施例では、拡径部42,43が2段の多段杭4について説明するが、これに限定されるものではなく、必要な引抜き力や支持力に応じて拡径部の段数を設定することができる。
前記実施の形態で説明したように、地震時にはビルBの例えば左側から地震に起因した力(地震力Q)が作用する。また、津波が発生した場合には、図6に示すように、大きな水平力Hや地下水位G1の上昇による浮力Wを受ける可能性もある。
このような巨大な引抜き力に経済的に対抗させるために、複数の拡径部42,43を設けることで対応することができる。そして、拡径部42,43を増やしたことによる引抜き抵抗の増加が正確に算定できれば、安全かつ経済的な杭の構築を実現することができる。
本実施例の多段杭4の引抜き抵抗力の算定方法においても、前記実施の形態で説明した算定方法と同様の演算を行う。要するに、式(1)〜(5)は、同じように使用できる。
相違点としては、前記実施の形態の拡底杭1では一つの拡径部3に対してのみ引抜き抵抗を演算すればよかったが、本実施例の多段杭4においては、複数の拡径部42,43に対して引抜き抵抗の演算を行う点が挙げられる。
このように拡径部42,43毎に引抜き抵抗を明確に算定できるので、拡径部42,43が複数設けられる多段杭4であっても、正確に引抜き抵抗力を算定することができる。
なお、他の構成及び作用効果については、前記実施の形態と略同様であるので説明を省略する。
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態及び実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
例えば、前記実施の形態及び実施例では、拡径部3,42,43の下面が水平面になる場合について説明したが、これに限定されるものではなく、拡径部の下面が下方の杭底又は軸部に向けて縮小される(狭くなる)傾斜面が設けられた杭に対しても、本発明の算定方法を適用することができる。要するに、引抜き抵抗力に加算される傾斜面は、下方に向けて斜めに拡大される傾斜面だけなので、下面の形状によって限定を受けることはない。
1 拡底杭(杭)
2 軸部
3 拡径部
31 傾斜部(傾斜面の範囲)
4 多段杭(杭)
41A,41B 軸部
42,43 拡径部
G 地盤
P 引抜き力
θ 傾斜角
λ,μ 摩擦抵抗係数
側面積
S 有効自重

Claims (4)

  1. 軸部から下方に向けて斜めに拡大される拡径部を有する杭の引抜き抵抗力の算定方法であって、
    前記軸部及び拡径部が地盤に接する側面積を算出し、
    前記側面積に対して、その周囲の土質の強度及びその土質との摩擦抵抗に関する摩擦抵抗係数を掛け合わせ、
    上記軸部及び拡径部の演算結果の積算値と前記杭の有効自重に基づいて引抜き抵抗力を算出する際に、
    前記拡径部の下方に向けて斜めに拡大される傾斜面の範囲においては、前記側面積は少なくとも土質毎に算出するとともに、前記摩擦抵抗係数は前記傾斜面の傾斜角及び前記土質によって異なる値を使用することを特徴とする杭の引抜き抵抗力の算定方法。
  2. 前記傾斜面の範囲で使用する摩擦抵抗係数は、前記傾斜角の増加に伴って増加することを特徴とする請求項1に記載の杭の引抜き抵抗力の算定方法。
  3. 前記傾斜面の範囲で使用する摩擦抵抗係数は指数関数的に増加することを特徴とする請求項2に記載の杭の引抜き抵抗力の算定方法。
  4. 前記土質の強度は、砂質地盤ではN値であり、粘土質地盤では一軸圧縮強度であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の杭の引抜き抵抗力の算定方法。
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