JP5259510B2 - 擁壁及びその施工方法 - Google Patents

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本発明は、擁壁及びその施工方法に関するものであり、より詳細には、大型フーチングを備えずに高い安定性及び剛性を発揮することができる湿式工法の擁壁及びその施工方法に関するものである。
高さ2mを超える切土、或いは、高さ1mを超える盛土等によって生じる崖や、急傾斜地又は水路等の如く高低差が生じる地盤においては、地盤の崩壊を阻止すべく擁壁を設置する必要が生じる。擁壁は、鉄筋コンクリート構造の壁体、或いは、プレキャストコンクリート製品又はコンクリートブロック等を組積した壁体からなる。
このような擁壁は、通常は、全体的にL型断面又はT型断面に設計され、比較的大型の基礎フーチングが擁壁底部に形成される。基礎フーチングは、擁壁に作用する荷重(土圧)及び擁壁の自重を支持地盤に伝達する広範な接地面積を確保するとともに、擁壁の転倒を防止するように機能する。
基礎フーチングは、高地盤側に比較的大きく延びるので、擁壁施工時に高地盤を広範囲に掘削し、擁壁施工後に掘削部分を埋戻す必要が生じる。しかし、広範な高地盤の掘削及び埋戻しは、多大な掘削工事の労力、移動土量の増加、埋戻し土の非安定性等の問題を生じさせる。また、施工現場の環境、条件又は地形によっては、大型の基礎フーチングを施工し難い状態が生じる。
このような基礎フーチング施工の問題を解消すべく、支柱を構成する鋼製親杭に予め非転倒側の曲げモーメントを付与するように構成された乾式工法の擁壁構造が、特許第2824217号掲載公報に開示されている。
本発明者は、このような擁壁構造において、杭の直上に配置された鉄筋コンクリート構造の立柱と、壁体の鉛直荷重を支持する鉄筋コンクリート構造の地中梁形基礎とを一体化するとともに、鉄筋コンクリート構造のバットレスを擁壁の背後に突設し、梁状の錘形基礎をバットレス先端部に連結した構成を有する湿式工法の擁壁を特願2005-113760号(特開2006-291575号公報)において提案している。
このように鉄筋コンクリート構造のバットレス及び錘形基礎を備えた擁壁においては、バットレス及び錘形基礎の自重によって擁壁の重心を高地盤側に変位させるとともに、バットレス壁面及び地盤の間の摩擦力や、錘形基礎及び地盤の間の摩擦力によって擁壁の転倒を効果的に阻止することができる。
特許第2824217号掲載公報 特開2006-291575号公報
このような構造の擁壁において掘削工程及びその労力を短縮又は軽減するとともに、掘削土量、廃土量及び埋戻し土量を効果的に削減するには、バットレス及び錘形基礎をなるべく高い位置、即ち、高地盤側の地盤面になるべく近い位置に配置することが望ましい。しかし、実際には、擁壁の転倒又は滑動、或いは、バットレス及び錘形基礎の浮き上がり等を考慮し、バットレス及び錘形基礎を比較的低い位置、即ち、高地盤側の地盤面から深く掘削した位置に配置しなければならない事例が多い。
また、各杭に十分な杭耐力を発揮せしめるには、隣接する杭の間隔を十分に確保する必要があり、杭間隔を拡大することが望ましい。杭間隔の拡大は、杭及び柱の本数の減少をも意味するので、経済的にも有利である。しかし、杭間隔を拡大すると、各杭が支持すべき水平力が増大する。加えて、杭間の地盤の安定性をも考慮すると、杭間隔を所望の如く拡大し難い事情がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、バットレス及び錘形基礎を有する擁壁に関し、バットレス及び錘形基礎をなるべく高い位置(高地盤側の地盤面からの掘削深さが浅い位置)に位置決めするとともに、杭間隔を拡大することができる擁壁及びその施工方法を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成すべく、間隔を隔てて配置された鉄筋コンクリート構造のと、該柱を支持する主杭と、隣合う前記柱の間に配置された鉄筋コンクリート構造の壁体と、前記柱から高地盤内に突出する鉄筋コンクリート構造のバットレスと、該バットレスの先端部に一体化し、隣合うバットレス同士を相互連結するように横方向に延びる鉄筋コンクリート構造の梁状錘形基礎とを有し、高地盤の土圧を支持して高地盤の崩壊を阻止する一体的な鉄筋コンクリート構造の擁壁において、
前記バットレスの先端部の間に配置され、上端部が前記梁状錘形基礎に一体化した補助杭を設け、擁壁の転倒を防止する擁壁の安定モーメントを前記補助杭によって増大するようにしたことを特徴とする擁壁を提供する。
本発明は又、上記構成の擁壁の施工方法であって、前記バットレスの先端部の間に場所打ちコンクリート杭又は既成杭を前記補助杭として施工し、該補助杭の直上に前記梁状錘形基礎を施工し、前記補助杭の上端部と前記梁状錘形基礎とを一体化することを特徴とする擁壁の施工方法を提供する。
本発明の上記構成によれば、擁壁の軸組は、柱及び主杭からなる垂直軸組部材と、柱間に配設された壁体と、柱の背後に配置されたバットレス及び梁状錘形基礎と、梁状錘形基礎から下方に延びる補助杭とから構成される。高地盤の土圧は、主として、主杭及び補助杭の水平支持力や、梁状錘形基礎、バットレス等と地盤との間の摩擦力によって支持される。梁状錘形基礎、バットレス及び補助杭は、擁壁の重心を高地盤側に変位させ、擁壁の安定モーメントを増大して擁壁の転倒を防止するように作用する。また、本発明によれば、補助杭の引抜き抵抗が擁壁の転倒を防止するように作用する。このため、安定モーメント確保のために梁状錘形基礎及びバットレスに作用すべき土の重量を軽減することができ、従って、バットレス及び梁状錘形基礎を高い位置(高地盤側の地盤面からの掘削深さが浅い位置)に位置決めすることができる。
また、補助杭は、主杭が負担すべき水平支持力を部分的に負担し、主杭の負荷を軽減する。補助杭は又、主杭の間のスパン間領域に配置され、高地盤Gを安定させる。このため、主杭の間隔(柱の間隔)を拡大することができる。
本発明によれば、バットレス及び錘形基礎を有する擁壁おいて、バットレス及び錘形基礎をなるべく高い位置(高地盤側の地盤面からの掘削深さが浅い位置)に位置決めするとともに、主杭の間隔(柱の間隔)を拡大することができる。
図1は、本発明に係る擁壁の実施例を示す部分破断斜視図である。 図2は、図1に示す擁壁の縦断面図である。 図3は、図2のA−A線における断面図である。 図4は、図2のB−B線における断面図である。 図5は、柱、主杭、補助杭、バットレス及び梁状錘形基礎の配筋を概略的に示す横断面図である。 擁壁に作用する荷重の分布を概略的に示す荷重分布図である。
本発明の好適に実施形態によれば、水平地盤面に対するバットレスの下端面の傾斜角(θ)は、45°以上の角度に設定される。好ましくは、高地盤の地盤面とバットレスの上端面との間の距離(J)は、擁壁の高さ(H)の1/4〜1/6の範囲内に設定される。
本発明の更に好適に実施形態によれば、主杭及び補助杭は、擁壁の壁芯方向に千鳥配列に配置される。好ましくは、補助杭の下端部は、低地盤の地盤面よりも下方に位置する。更に好ましくは、補助杭の下端部と、低地盤の地盤面との間の距離(M)は、1m以上の寸法に設定される。
好適には、主杭及び補助杭の間の杭芯間の距離(E)と、擁壁の高さ(H)との比率(E/H)は、1.0以下に設定される。なお、杭芯間の距離(E)は、擁壁の壁体と直交する方向において測定した寸法である。
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施例について詳細に説明する。
図1は、本発明に係る擁壁の実施例を示す部分破断斜視図であり、図2は、図1に示す擁壁の縦断面図である。
擁壁1は、壁芯方向に間隔を隔てて配置された方形断面の柱2を備える。主杭3が、各柱2の直下に配置される。柱2及び主杭3の軸芯は一致し、柱2及び主杭3は上下に整列する。柱2は、鉄筋コンクリート構造の垂直立柱からなり、主杭3は、円形断面の場所打ちコンクリート杭からなる。本例において、主杭3の先端部(下端部)の深さNは、地盤面Laから約3〜7mの範囲内に設定されている。柱2及び主杭3は、擁壁1の垂直軸組部材を構成する。
柱2の柱脚部を相互連結する鉄筋コンクリート構造の地中梁形基礎4が、擁壁1の壁芯方向に延び、壁体6が基礎4上に構築される。壁体6は、25〜30cm程度の壁厚を有する鉄筋コンクリート壁からなる。本例において、柱2及び壁体6は、主杭3の深さNと概ね同等の高さHを有し、高さHは、地盤面Laから約3〜5mの範囲内に設定されている。基礎4は、垂直方向に延びる強軸(水平方向の弱軸)を有する方形の梁形断面を有し、基礎4に作用する鉛直荷重及び水平荷重に耐える曲げ剛性及び剪断剛性を備える。基礎4は、隣接する垂直軸組部材(柱2及び主杭3)を相互連結する擁壁1の水平軸組部材を構成する。なお、擁壁用PCブロック(プレキャストコンクリートブロック)によって壁体5を構築することも可能である。例えば、PCブロックは、縦横の鉄筋を目地部及び中空部等に配筋した後にセメントモルタルを目地部及び中空部に充填する公知の湿式組積工法に従って施工される。
バットレス(控え壁)7が、柱2の背後に配設される。バットレス7は、柱2の裏面に一体化した鉄筋コンクリート構造の壁体からなり、柱2の裏面から高地盤G側に突出する。例えば、擁壁1が真っ直ぐに直線的に延びる場合、バットレス7の構面は、壁体6の構面と直交する方向に延びる。所望により、バットレス7の構面を壁体6に対して任意の角度をなす方向に配向しても良い。
バットレス7の上端面7aは、高地盤G側に水平に延び、バットレス7の下端面7bは、柱2の柱脚部から高地盤Gに向かって斜め上方に延びる。
鉄筋コンクリート構造の高剛性梁形基礎8が高地盤G内に形成される。基礎8は方形断面を有する。基礎8は概ね壁芯方向に水平に延びる。隣合うバットレス7の先端部は基礎8によって相互連結される。基礎8の断面寸法W×Iは、700×700〜1200×1200程度の寸法に設定される。基礎8は、その自重によって擁壁1の重心位置を高地盤Gの側に変位させる。擁壁1の重心位置の変位により、擁壁1の転倒を防止するように作用する安定モーメントが更に得られる。
擁壁1は又、基礎8に沿って所定間隔を隔てて配置された補助杭10を有する。補助杭10は、円形断面の場所打ちコンクリート杭からなり、補助杭10の上端部は基礎8に一体化する。補助杭10は基礎8の下面から垂直下方に延び、補助杭10の下端部(先端部)は、低地盤Lの地盤面Laよりも所定寸法M(1.0m以上)だけ下方に位置する。補助杭10の全長Kと基礎8の高さ寸法Iとの合計値は、擁壁1の高さHと概ね同等の値である。
図3及び図4は、図2のA−A線及びB−B線における断面図である。
補助杭10は柱スパンSの中央部に配置される。隣合う補助杭10同士は、柱スパンSと同寸法のスパンTだけ互いに離間する。擁壁1は主杭3と同数の補助杭10を有する。主杭3及び補助杭10は、擁壁1に沿って千鳥配置に配列されるので、補助杭10同士の間隔を十分に確保するとともに、高地盤Gの安定性を向上させることができる。高地盤Gの安定性向上により、従来の擁壁に比べて柱スパンSを拡大することができる。例えば、柱スパンSは、補助杭10を備えていない従来の擁壁では2.0〜3.0m程度であったのに対し、本発明の擁壁1によれば、柱スパンSを4.0m以上、例えば、4.0〜5.0mの範囲に設定することができる。
図5は、柱2、主杭3、バットレス7、基礎8及び補助杭10の配筋を概略的に示す横断面図である。
柱2の主筋2aは、基礎4を貫通して主杭3内に延び、基礎4及び主杭3のコンクリートに定着し、主杭3の主筋3aは、基礎4を貫通して柱2内に延び、基礎7及び柱2のコンクリートに定着する。基礎8は、基礎8の長手方向(擁壁1の壁芯方向)に延びる主筋8aを有し、基礎8に作用する荷重、剪断力等の外力に耐える耐力を発揮する。バットレス7は、上下の主筋7c、7dを有する。主筋7cの柱側端部は、柱2内に延び、柱2のコンクリートに定着し、主筋7dの柱側端部は、基礎4を貫通し、主杭3内に延び、基礎4及び主杭3のコンクリートに定着する。主筋7c、7dの外端部は、基礎8内に延び、基礎8のコンクリートに定着する。補助杭10の主筋10aは、基礎8内に延び、基礎8のコンクリートに定着する。柱2、杭3、10は、フープ筋2b、3b、10bを有する。
主筋2a、3a、8a、10aとして、D19〜D29程度の汎用の異形鉄筋を使用し、フープ筋2b、3b、10b及びスタラップ筋8bとして、D13〜D19程度の汎用の異形鉄筋を使用することができる。
なお、基礎4は、基礎8と同様、壁芯方向に延びる主筋(図示せず)と、主筋を囲むスタラップ筋(図示せず)とを有する。基礎4の主筋として、D19〜D29程度の汎用の異形鉄筋を使用し、基礎4のスタラップ筋として、D13〜D19程度の汎用の異形鉄筋を使用することができる。
図2に示す如く、バットレス7の下端面7bは、水平地盤面La、Gaに対し、比較的急勾配に傾斜しており、下端面7bの傾斜角θは、30°以上、好ましくは、45°〜60°の範囲に設定される。好適には、高地盤Gの地盤面Gaと上端面7aとの間の距離Jは、柱2及び壁体6の高さ(擁壁1の高さ)Hの約1/4〜1/6の範囲に設定され、例えば、高さH=5.0mであるとき、距離Jは、1.5m以下、例えば、J=1.0mに設定される。好ましくは、主杭3及び補助杭10の杭芯間距離Eと、柱2及び壁体6の高さ(擁壁1の高さ)Hとの比率E/Hは、1.0以下に設定される。杭芯間距離Eは、壁体6の構面と直交する方向に測定した寸法である。
図6は、擁壁1に作用する荷重の分布を概略的に示す荷重分布図である。
図6に示す如く、バットレス7及び基礎8には、高地盤Gの土の重量が作用し、壁体6及び柱2には、水平土圧が作用する。杭3、10には、地盤バネ及び地盤支持力が作用する。基礎8及び補助杭10の自重と、補助杭10の引抜き抵抗とは、高地盤Gの土の重量とともに、擁壁1の転倒モーメントに抗する安定モーメントとして働く。
図2に示すように、基礎8は、高地盤Gの地盤面Gaに比較的近い位置に配置されるので、バットレス7及び基礎8の上側の土の重量は比較的小さい。また、下端面7bの傾斜角θが比較的大きい角度に設定されることから、擁壁1の壁芯と基礎8の軸芯との間の水平距離(杭芯間距離E)は比較的小さい寸法に設定される。従って、掘削工程及びその労力を短縮又は軽減するとともに、掘削土量、廃土量及び埋戻し土量を削減することができる。
また、このように基礎8を高地盤Gの地盤面Gaに近い位置(浅い位置)に配置したり、角度θを増大すると、擁壁1の転倒又は滑動や、バットレス7及び基礎8の浮き上がり等の現象が懸念されるが、本発明の擁壁1においては、転倒モーメントに抗する安定モーメントが、バットレス7及び基礎8と地盤との摩擦、補助杭10の重量(自重)、補助杭10の引抜き抵抗、補助杭10と高地盤Gとの間の摩擦等によって増大するので、擁壁1の転倒又は滑動や、バットレス7及び基礎8の浮き上がり等の問題は生じない。
更に、補助杭10は、主杭3が負担すべき水平抵抗を部分的に負担し、主杭3の負荷を軽減するとともに、主杭3の間のスパン間領域に配置され、高地盤Gを安定させる。これは、主杭3の間隔(スパンS)を増大し、擁壁1全体の主杭3(及び柱2)の本数を削減することを可能にする。
次に、擁壁1の施工方法について説明する。
擁壁1の施工において、高地盤Gの掘削範囲は、杭3、10、基礎4、8及びバットレス7を施工可能な程度に限定される。即ち、擁壁1の施工においては、従来の擁壁施工方法と異なり、フーチング施工のために高地盤Gを大きく掘削することを要しない。
先ず、杭3、10、基礎4、8及びバットレス7を施工するために必要とされる最小限の範囲だけ高地盤Gを掘削し、杭3、10の杭孔に鉄筋を配筋し、杭孔にコンクリートを打設して、場所打ちコンクリート杭(杭3、10)を施工する。柱2及びバットレス7の主筋2a、7dは、杭3、10の配筋と同時に少なくとも部分的に施工され、主筋2a、7dは、主杭3のコンクリートに定着する。
次いで、基礎4の配筋及びコンクリート打設を行い、基礎4を施工する。
しかる後、柱2、壁体6、バットレス7及び基礎8の配筋およびコンクリート打設を行い、柱2、壁体6、バットレス7及び基礎8を施工する。各部のコンクリート及びモルタルの硬化後、掘削土の埋戻しを行い、擁壁1の工事を完了する。
このような構成の擁壁1及びその施工方法によれば、擁壁1の荷重は、主として、上下に整列した柱2及び主杭3によって地盤に伝達する。従って、従来のような大型フーチングの施工を省略し得るので、掘削範囲を制限し、掘削土、廃土及び埋戻し土の量を削減することができる。
ここに、基礎4は、垂直軸組部材(柱2及び主杭3)同士を相互連結する水平軸組部材を構成し、擁壁1の剛性を全体的に向上させるとともに、壁体6の自重及び荷重を垂直軸組部材(柱2及び主杭3)に伝達する。また、バットレス7は、柱2の剛性を向上するばかりでなく、バットレス7の側面と地盤との間に生じる摩擦力によって擁壁1の転倒を阻止するように働く。更に、基礎8は、各バットレス7を相互連結し、バットレス自身の剛性を向上させる。基礎8は又、バットレス7の先端部に鉛直荷重を付与し、バットレス7及び基礎8の重量は、擁壁1の重心を非転倒側に変位させる。かくして、土圧による擁壁1の転倒を確実に防止することができる。
また、本発明の擁壁1においては、補助杭10は、主杭3が負担すべき水平抵抗を部分的に負担し、主杭3の負荷を軽減する。補助杭10は又、主杭3の間のスパン間領域に配置され、高地盤Gを安定させる。このため、主杭3(及び柱2)の間隔(スパンS)を拡大し、主杭3(及び柱2)の本数を削減することが可能となる。しかも、転倒モーメントに抗する安定モーメントは、補助杭10の重量(自重)、補助杭10の引抜き抵抗、補助杭10と高地盤Gとの間の摩擦等によって増大するので、擁壁1の転倒又は滑動や、バットレス7及び基礎8の浮き上がり等を効果的に防止することができる。
以上、本発明の好適な実施例について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内で種々の変形又は変更が可能である。
例えば、上記実施例は、直線的な壁体を有する擁壁に関するのものであるが、本発明は、湾曲した平面形態の擁壁、或いは、角度をなして屈曲する擁壁等の各種平面形態の擁壁に適用しても良い。
また、上記実施例では、擁壁1は、方形断面の柱2及び基礎4、8を備えるが、柱及び基礎の断面は、方形、多角形又は楕円形等の任意の形態に設計しても良い。
更に、バットレス7の形態は、必ずしも直角三角形に限定されるものではなく、例えば、下端面7bを湾曲させ、或いは、上端面7aを傾斜させても良い。
また、上記実施形態では、杭3、10として場所打ちコンクリート杭を採用したが、既成RC杭、PC杭、鋼製杭等の他の形式の杭を杭3、10として採用しても良い。
更には、上記実施形態の擁壁は、唯一の補助杭10を柱スパンSの中央部に配置した構成のものであるが、複数の補助杭10を柱スパンSの範囲内に配置することも可能である。
本発明は、崖、急傾斜地又は水路等に施工される擁壁に適用される。本発明の擁壁は、大型フーチングの施工を要しないので、擁壁の施工性は、大きく改善する。また、本発明によれば、高地盤の掘削量を削減し得るので、従来の擁壁構造では擁壁の施工が困難であった地盤においても擁壁を施工することができる。更に、本発明によれば、バットレス及び錘形基礎を有する擁壁おいて、バットレス及び錘形基礎をなるべく高い位置(高地盤側の地盤面からの掘削深さが浅い位置)に位置決めするとともに、杭及び柱の間隔を拡大することができるので、その実用的効果は、顕著である。
1 擁壁
2 柱
3 主杭
4 地中梁形基礎
6 壁体
7 バットレス
8 高剛性梁形基礎
10 補助杭
G 高地盤
L 低地盤

Claims (7)

  1. 間隔を隔てて配置された鉄筋コンクリート構造のと、該柱を支持する主杭と、隣合う前記柱の間に配置された鉄筋コンクリート構造の壁体と、前記柱から高地盤内に突出する鉄筋コンクリート構造のバットレスと、該バットレスの先端部に一体化し、隣合うバットレス同士を相互連結するように横方向に延びる鉄筋コンクリート構造の梁状錘形基礎とを有し、高地盤の土圧を支持して高地盤の崩壊を阻止する一体的な鉄筋コンクリート構造の擁壁において、
    前記バットレスの先端部の間に配置され、上端部が前記梁状錘形基礎に一体化した補助杭を設け、擁壁の転倒を防止する擁壁の安定モーメントを前記補助杭によって増大するようにしたことを特徴とする擁壁。
  2. 水平地盤面に対する前記バットレスの下端面の傾斜角(θ)は、45°以上の角度に設定されることを特徴とする請求項1に記載の擁壁。
  3. 高地盤の地盤面と前記バットレスの上端面との間の距離(J)は、擁壁の高さ(H)の1/4〜1/6の範囲内に設定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の擁壁。
  4. 前記主杭及び前記補助杭は、擁壁の壁芯方向に千鳥配列に配置されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の擁壁。
  5. 前記補助杭の下端部は、低地盤の地盤面よりも下方に位置することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の擁壁。
  6. 前記壁体と直交する方向における前記主杭及び前記補助杭の間の杭芯間の距離(E)と、前記擁壁の高さ(H)との比率(E/H)は、1.0以下に設定されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の擁壁。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載された擁壁の施工方法であって、前記バットレスの先端部の間に場所打ちコンクリート杭又は既成杭を前記補助杭として施工し、該補助杭の直上に前記梁状錘形基礎を施工し、前記補助杭の上端部と前記梁状錘形基礎とを一体化することを特徴とする擁壁の施工方法。
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