JP5943202B2 - 複合擁壁及びその施工方法 - Google Patents

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Description

本発明は、複合擁壁及びその施工方法に関するものであり、より詳細には、地盤の傾斜方向に離間した複数の擁壁を複合してなる複合擁壁及びその施工方法に関するものである。
高さ2mを超える切土、或いは、高さ1mを超える盛土等によって生じる崖や、急傾斜地又は水路等の如く高低差が生じる地盤においては、地盤の崩壊を阻止すべく擁壁を設置する必要が生じる。一般に、擁壁は、鉄筋コンクリート構造の壁体、或いは、プレキャストコンクリート製品又はコンクリートブロック等を組積した壁体からなる。
典型的な擁壁設計手法の下では、擁壁は、全体的にL字型断面又は逆T字型断面に設計され、比較的大型の基礎フーチングが擁壁底部に形成される。基礎フーチングは、擁壁に作用する荷重(土圧)及び擁壁の自重を支持地盤に伝達する広範な接地面積を確保するとともに、擁壁の転倒を防止するように機能する。
基礎フーチングは、高地盤側に比較的大きく延びるので、擁壁施工時に高地盤を広範囲に掘削し、擁壁施工後に掘削部分を埋戻す必要が生じる。しかし、広範な高地盤の掘削及び埋戻しは、多大な掘削工事の労力、移動土量の増加、埋戻し土の非安定性等の問題を生じさせる。また、一般には、大型の基礎フーチングは、厚さ500mm〜600mm程度の比較的厚いコンクリート版からなり、施工において多量のコンクリート及び鉄筋を使用する必要があるので、多額の工事費を要する傾向がある。更には、施工現場の環境、条件又は地形によっては、大型の基礎フーチングを施工し難い状態が生じることも多い。
このような基礎フーチング施工の問題を解消すべく、支柱を構成する鋼製親杭に予め非転倒側の曲げモーメントを付与するように構成された乾式工法の擁壁構造が、例えば、特許第2824217号掲載公報に記載されている。
本発明者は、このような擁壁構造において、杭の直上に配置された鉄筋コンクリート構造の立柱と、壁体の鉛直荷重を支持する鉄筋コンクリート構造の地中梁形基礎とを一体化するとともに、鉄筋コンクリート構造のバットレスを擁壁の背後に突設し、地中梁形態の錘形基礎をバットレス先端部に連結した構成を有する擁壁を特開2006-291575号公報において提案している。
このように鉄筋コンクリート構造のバットレス及び錘形基礎を備えた擁壁においては、バットレス及び錘形基礎の自重によって擁壁の重心を高地盤側に変位させるとともに、バットレス壁面及び地盤の間の摩擦力や、錘形基礎及び地盤の間の摩擦力によって擁壁の転倒を効果的に阻止することができる。
また、本発明者は、擁壁の壁芯位置、或いは、錘形基礎の直下に配置した鋼管杭等の杭基礎を用いて鉄筋コンクリート構造の擁壁又は錘形基礎を支持するように構成した擁壁構造を特開2007-308876号公報、特開2011-17184号公報及び特開2011-236571号公報において提案している。
特許第2824217号掲載公報 特開2006-291575号公報 特開2007-308876号公報 特開2011-17184号公報 特開2011-236571号公報
現実の傾斜地、崖、丘陵等においては、低地盤面及び高地盤面の高低差が5乃至6mを超えることが比較的多い。このような地盤が図19に例示されている。図19に示す事例では、高地盤HGの地表面を構成する高地盤面Haは、車両が通行可能な道路R(部分的にのみ示す)として使用されており、他方、低地盤LGの地表面を構成する低地盤面Laは、住宅建築物Bが既に建設された宅地、或いは、住宅建築物Bが将来的に建設される予定の宅地である。低地盤面Laは、住宅建築物Bの外壁面から距離J1の範囲内である。高地盤HGの境界部分には、ガードレールuが配置され、傾斜地盤Sが、高地盤HG及び低地盤LGの間に延在し、比較的急勾配の傾斜面Saが傾斜地盤Sの地表面を構成する。高地盤面Haと低地盤面Laとの高低差hxは、5mを超え、例えば、7〜8mである。
このような傾斜地盤Sに擁壁Wを建設した状態が図20に示されている。擁壁Wは、擁壁Wの転倒を防止する大形基礎フーチングF(部分的に図示する。)を最下部に備える。このような擁壁Wを施工した場合、有効利用可能な低地盤面Laは、距離J1(図19)の範囲から距離J2(図20)の範囲に大きく拡大するので、極めて有益である。しかしながら、多くの場合、このような大形基礎フーチングFの施工は、極めて困難であり、仮に施工し得たとしても、工期の長期化、過大な掘削土量、過大なコンクリート量及び鉄筋量、工事費の増額等の問題が生じる。また、大形基礎フーチングFに換えて杭基礎を用いた擁壁等では、5m以上の高低差hxに所望の如く適応し難い。
このため、このような傾斜地盤Sに擁壁Wを建設する場合、図21に示す如く、高さhzが5m未満の擁壁を傾斜地盤Sの裾部分に施工し、擁壁Wの転倒を比較的小型の基礎フーチングF、或いは、杭基礎によって防止する設計が採用されてきた。このような擁壁Wを施工した場合、有効利用可能な低地盤面Laは、距離J1(図19)の範囲から距離J3(図21)の範囲に拡大するにすぎず、有効に利用し難い高地盤HG側の傾斜面Saが広範に残存する。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、大形基礎フーチングを施工することなく、高低差5m以上の傾斜地盤に施工し得るとともに、傾斜地盤面をその広範囲に亘って有効利用可能な地盤面に転換することができる複合擁壁及びその施工方法を提供することにある。
上記目的を達成すべく、本発明は、低地盤側への高地盤の崩壊又は崩落を阻止すべく高低差5m以上の傾斜地盤に設置される複合擁壁であって、
高地盤側に配置される上層擁壁と、該上層擁壁から低地盤側に分離し且つ離間した下層擁壁と、前記上層擁壁の下部と前記下層擁壁の上部とを相互連結する擁壁連結用横架材と、前記下層擁壁を支持する第1杭と、前記上層擁壁を支持する第2杭とを有し、
前記上層擁壁の下部と前記下層擁壁の上部との間に中間地盤が延在し、該中間地盤の表層は、整地可能な中間地盤面を形成しており
前記擁壁連結用横架材は、第1杭の杭頭と第2杭の杭頭とを相互連結するように第1杭及び第2杭の杭頭間に架設され、第2杭の杭頭同士を相互連結する高地盤側横架材が、隣り合う第2杭の杭頭間に架設されていることを特徴とする複合擁壁を提供する。
本発明は又、低地盤側への高地盤の崩壊又は崩落を阻止すべく高低差5m以上の傾斜地盤に複数の擁壁を設置する複合擁壁の施工方法であって、
傾斜地盤を掘削して、高地盤面のレベルと低地盤面のレベルとの間の中間レベルに中間地盤を形成し、
低地盤側の第1杭と、該第1杭から高地盤側に離間した第2杭とを施工し、
前記第1杭によって支持される下層擁壁と、該下層擁壁の上部と前記第2杭の杭頭とを相互連結する擁壁連結用横架材とを構築するとともに、前記第2杭によって支持され且つ前記下層擁壁の高地盤側に離間した上層擁壁を構築し、
前記上層擁壁の下部と前記下層擁壁の上部との間に延在する前記中間地盤の表層によって、整地可能な中間地盤面を形成することを特徴とする複合擁壁の施工方法を提供する。
本発明の上記構成によれば、傾斜地盤の傾斜方向に間隔を隔てて配置された下層擁壁及び上層擁壁の間に中間地盤が形成され、整地可能な中間地盤の表層によって中間地盤面が形成される。中間地盤面は、庭園、緑地、菜園、通路、道路、宅地、建築物又は工作物建設用地等の任意の用途に有効利用することができる。複合擁壁は、複数の擁壁(下層擁壁及び上層擁壁)に分割されているので、高低差5m以上の傾斜地盤に容易に適応することができる。また、上層擁壁は、高地盤面と傾斜地盤との境界近傍に配置することができるので、傾斜地盤面をその広範囲に亘って有効利用可能な地盤面に転換することができる。
上記複合擁壁においては、主として、下層擁壁の高地盤側に配置される擁壁構成要素(横架材、上層擁壁等)の自重と、杭の支持力及び引抜き抵抗とによって、擁壁の転倒モーメントに抗する安定モーメントを効果的に確保することができる。
好ましくは、上層擁壁の高さ寸法は、4m以下(更に好ましくは、3m以下)に設定され、上層擁壁は、片持ち梁形態(カンチレバー形態)の構造に設計される。
本発明によれば、大形基礎フーチングを施工することなく、高低差5m以上の傾斜地盤に施工し得るとともに、傾斜地盤面をその広範囲に亘って有効利用可能な地盤面に転換することができる複合擁壁及びその施工方法を提供することができる。
図1は、本発明の実施例に係る複合擁壁の基本構成を示す縦断面図である。 図2は、高地盤の側から見た複合擁壁の構造を概略的に示す斜視図である。 図3は、低地盤の側から見た複合擁壁の軸組構造を概念的に示す斜視図である。 図4は、低地盤の側から見た複合擁壁の構成を示す正面図である。 図5は、図4のI−I線における断面図である。 図6は、図4のII−II線における断面図である。 図7は、図5及び図6のIII−III線における断面図である。 図8は、図5及び図6のIV−IV線における断面図である。 図9は、複合擁壁を施工すべき傾斜地盤の事例を概略的に示す断面図である。 図10は、図9に示す傾斜地盤の掘削工程を概略的に示す断面図である。 図11は、複合擁壁の杭打ち工程を概略的に示す断面図である。 図12は、複合擁壁の杭打ち工程を概略的に示す平面図である。 図13は、複合擁壁の型枠・配筋工程を概略的に示す断面図である。 図14は、複合擁壁の型枠・配筋工程を概略的に示す平面図である。 図15は、下層擁壁及び横架材のコンクリート打設工程を概略的に示す断面図である。 図16は、上層擁壁のコンクリート打設工程を概略的に示す断面図である。 図17は、3層の擁壁を有する複合擁壁の構成を概略的に示す縦断面図である。 図18は、中間地盤面によって斜路を形成した構成を示す複合擁壁の正面図である。 図19は、高低差が5乃至6mを超える傾斜地盤の事例を例示する地形の概略断面図である。 図20は、図19に示す傾斜地盤に大形の擁壁を建設した状態を示す概略断面図である。 図21は、図19に示す傾斜地盤に比較的小形の擁壁を建設した状態を示す概略断面図である。
1 複合擁壁
2 鋼管杭(第1杭)
3 鋼管杭(第2杭)
11 下層擁壁
12 上層擁壁
13 横架材又は地中梁(擁壁連結用横架材)
14 壁体(下層擁壁の壁体)
15 柱(下層擁壁の柱)
16 壁体(上層擁壁の壁体)
17 柱(上層擁壁の柱)
18 横架材又は地中梁(高地盤側横架材)
S 傾斜地盤
Sa 傾斜面
HG 高地盤
Ha 高地盤面
LG 低地盤
La 低地盤面
MG 中間地盤
Ma 中間地盤面
hx 高地盤面レベル
hm 中間地盤面レベル
本発明の好適に実施形態によれば、擁壁連結用横架材と高地盤側横架材とは、同一レベルにおいて連続した三方枠形態の剛性枠を概ね中間地盤のレベルに形成する。
本発明の更に好適に実施形態によれば、下層擁壁は、第1杭の直上に配置された鉄筋コンクリート構造の柱と、柱間領域に配置され且つ柱と一体化した鉄筋コンクリート構造の壁体とから構成され、上層擁壁は、第2杭の直上に配置された鉄筋コンクリート構造の柱と、柱間領域に配置され且つ柱と一体化した鉄筋コンクリート構造の壁体とから構成される。第1杭の上部は、下層擁壁の柱内に延入する。
好適には、第1及び/又は第2杭は、鋼管杭からなり、第1及び第2杭の内部中空域には、柱のコンクリートと連続するコンクリートが充填される。第1杭及び/又は第2杭として、鋼管杭の他、PC杭、PHC杭、PRC杭、ST杭、SC杭、SL杭等のコンクリート既製杭を好ましく使用し得る。所望により、場所打ちコンクリート杭を第1又は第2杭として用い、或いは、第1及び第2杭と併用することも可能である。
好ましくは、隣り合う連結用横架材と、横架材の高地盤側端部を相互連結するように横架材と一体化した高地盤側横架材とからなる剛性三方枠と、この剛性三方枠を支持する少なくとも4本の杭とによって、軸組構造の立体架構が形成される。立体架構は、複合擁壁の構成単位として傾斜地盤に隔設されるとともに、上層擁壁及び下層擁壁を構成する壁体によって相互連結される。更に好ましくは、立体架構は、下層擁壁の柱と上層擁壁の柱とを含み、下層擁壁の壁体は、下層擁壁の柱を相互連結し、上層擁壁の壁体は、上層擁壁の柱を相互連結する。
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施例について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施例に係る複合擁壁の基本構成を示す縦断面図である。
複合擁壁1を施工する前の地盤の地形が、図1に二点鎖線(仮想線)で示されている。高地盤HGの地表面を構成する高地盤面Haは、車両が通行可能な道路R(部分的にのみ示す)として使用されており、他方、低地盤LGの地表面を構成する低地盤面Laは、住宅建築物Bが既に建設された宅地、或いは、住宅建築物Bが将来的に建設される予定の宅地として使用される。低地盤面Laの境界は、住宅建築物Bの外壁面から距離J1だけ離間した位置に位置する。高地盤HGの境界部分には、ガードレールuが配設される。傾斜地盤Sが、高地盤HG及び低地盤LGの間に延在する。傾斜地盤Sの地表面は、比較的急勾配の傾斜面Saを構成する。高地盤面Haのレベル(高地盤面レベルhx)は、7〜8mである。なお、以下の記載において、「レベル」は、低地盤面Laを基準とした高さ位置を意味するものとする。
複合擁壁1(以下、「擁壁1」という。)は、低地盤LG側に配置された下層擁壁11と、高地盤HG側に配置された上層擁壁12と、擁壁11、12を連結する横架材(又は地中梁)13とを有する。横架材13は、下層擁壁11と上層擁壁12とを相互連結する擁壁連結用横架材を構成する。本例において、下層擁壁11及び上層擁壁12の壁芯は、平面視において平行に配置される。但し、下層擁壁11及び上層擁壁12の位置は、地盤の地形に相応して適宜設定される性質のものであるので、下層擁壁11及び上層擁壁12の壁芯は、必ずしも平行に配置することを要しない。
鋼管杭2、3が横架材13の両端部から鉛直下方に延びる。鋼管杭2、3の先端部21、31(図2)は、地盤の支持層V(図2)に達する。鋼管杭2は、下層擁壁11を支持する第1杭を構成し、鋼管杭3は、上層擁壁12を支持する第2杭を構成する。中間地盤面Maを有する中間地盤MGが、下層擁壁11と上層擁壁12との間に形成される。本例において、高地盤面Haと中間地盤面Maとの高低差hdは、3m以下に設定される。中間地盤面Maのレベル(中間地盤面レベルhm)は、4〜5mに設定され、[中間地盤面Maの高さhm]/[高地盤面Haの高さhx]は、約0.5〜0.7の範囲内の値である。
擁壁1の施工前においては、低地盤面Laは、建築物Bから水平距離J1の範囲に延在するにすぎない。これに対し、擁壁1の施工後においては、低地盤面Laは、建築物Bから水平距離K1の範囲に延在するとともに、水平な中間地盤面Maが水平距離K2の範囲に更に延在する。従って、有効利用可能な水平地盤面として、低地盤面Laが範囲K1に拡大するばかりでなく、範囲K2の中間地盤面Maが新たに形成される。水平地盤面の範囲K1+K2は、図20に示す水平地盤面の範囲J2に匹敵するので、このような水平地盤面の拡大は、極めて有益である。本例において、中間地盤面Maは、庭園、緑地、菜園、通路、道路等の用途に用いられる。所望により、新たな建築物又は工作物を建設する宅地等の用途として中間地盤面Maを使用することも可能である。本例では、中間地盤面Maと建築物Bの2階部分との間を歩行可能に接続する渡り廊下、キャットウォーク等の通路N(一点鎖線(仮想線)で示す)が設置される。所望により、中間地盤面Maと低地盤面Laとの間を歩行可能に接続する階段、斜路等を設置しても良い。
図2は、高地盤HGの側から見た擁壁1の構造を概略的に示す斜視図である。図2において、上層擁壁12は、一点鎖線(仮想線)で示されている。図3は、低地盤LGの側から見た擁壁1の軸組構造を概念的に示す斜視図である。なお、図3において、下層擁壁11及び上層擁壁12は、一点鎖線(仮想線)で示されている。図2以下の各図においては、擁壁1の壁芯方向をX方向として記載し、擁壁1の壁芯と直交する方向をY方向として記載する。
擁壁1は、低地盤LG側への高地盤HGの崩壊又は崩落を阻止するように高地盤HGの地形に相応して配置される。低地盤LG側に位置する複数の鋼管杭2は、X方向(壁芯方向)に所定間隔を隔てて整列配置される。高地盤HG側に位置する複数の鋼管杭3は、鋼管杭2からY方向に距離Eを隔てた位置において、X方向に整列配置される。鋼管杭2、3の先端部(下端部)21、31は、地盤の支持層Vに達する。距離Eは、中間地盤面Maの範囲K1(図1)と関連するとともに、横架材13の支点間距離と関連する。例えば、中間地盤面Maを通路や、緑地帯等に使用する場合には、範囲K1の寸法を3〜5m程度に設定することができるが、中間地盤面Maを独立宅地等の用途に使用する場合には、範囲K1の寸法を10m以上の寸法に設定する必要が生じるであろう。範囲K1の寸法が、例えば10mを超え、横架材13の構造断面が極端に大形化する場合には、横架材13を中間支持する補助杭等の支点を鋼管杭2、3の間に形成しても良い。
下層擁壁11は、鋼管杭2の杭列に沿ってX方向に延在する鉄筋コンクリート構造の壁体14と、各鋼管杭2の直上に合芯配置された鉄筋コンクリート構造の柱15とを有する。上層擁壁12は、鋼管杭2の杭列に沿ってX方向に延在する鉄筋コンクリート構造の壁体16と、各鋼管杭2の直上に合芯配置された鉄筋コンクリート構造の柱17とを有する。横架材13は、鋼管杭2、3の杭頭22、32間においてY方向に延在する。横架材13と概ね同断面且つ同レベルの横架材(地中梁)18が、隣り合う杭頭32の間においてX方向に延在する。横架材18は、柱17の柱列に沿って1スパン置きに隔設される。横架材13、18は、三方枠形態の剛性枠を概ね中間地盤Maのレベルに形成する。かくして、これらの擁壁構成要素11〜18は、互いに協働して高地盤HG及び中間地盤MGの土圧に耐える一体的な土留め壁を構成する。
横架材18が柱17の柱列の1スパン置きに隔設されるので、一組の鉛直又は水平軸組部材2、3、13、15、17、18、即ち、合計4本の鋼管杭2、3と、合計4本の柱15、17と、合計3本の横架材13、18(剛性三方枠)とを方形枠組形態に剛接合してなるラーメン構造の立体架構20が、図3に示す如く形成される。柱15、17の1スパン(柱間隔)だけ互いに離間した各立体架構20は、壁体14、16によって相互連結される擁壁構成単位として把握し得る。
擁壁1の自重は、主として、壁体14、16、柱15、17及び横架材13、18の接地地盤の支持力と、鋼管杭2、3と地盤との摩擦力、更には、鋼管杭2、3に対する支持層Vの支持力によって支持される。擁壁1に作用する土圧、地震力等の水平荷重は、壁体14、16、柱15、17及び地中梁13、18と地盤との間に作用する摩擦力、擁壁1の安定モーメント、鋼管杭2、3の鉛直支持力及び引抜き耐力等によって支持される。
擁壁1においては、相対的に大きな土圧が下層擁壁11に作用する。殊に、高地盤面Haを道路Rとして使用するような事例においては、自動車荷重が高地盤HGに作用するので、下層擁壁11に比較的大きな活荷重や振動等が作用すると想定される。しかしながら、上層擁壁12の位置が平面視において高地盤HG側にセットバック又はオフセットしているので、擁壁1の重心を非転倒側に変位させる鉛直荷重が、下層擁壁11の高地盤HG側に位置する擁壁構成要素13、16、17、18の自重によって得られるとともに、擁壁1の転倒に抗する摩擦力が、擁壁構成要素13、16、17、18と地盤との間に作用し、この結果、下層擁壁11の転倒モーメントに抗する安定モーメントが大きく増大する。即ち、擁壁構成要素13、16、17、18の自重及び摩擦力が、鋼管杭2、3の支持力及び引抜き抵抗(図3に実線矢印で示す)とともに、擁壁1の安定モーメントを増大するので、下層擁壁11に作用する土圧は、下層擁壁11によって確実に支持される。従って、上下に分割し且つ上層擁壁12を高地盤HG側にセットバック又はオフセットした擁壁1の全体構造によれば、擁壁1を合理的に構造設計することが可能となる。
また、擁壁1においては、上層擁壁12は、片持ち梁形態(カンチレバー形態)の構造を有し、従って、上層擁壁12は、構造強度上は一般に不利な構造を有すると考えられるが、高地盤面Haと中間地盤面Maとの高低差hdを4m以下(好ましくは、3m以下)に設定することにより、上層擁壁12に作用する土圧、活荷重、振動等を軽減することができるので、上層擁壁12は、上層擁壁12に作用する土圧等を確実に支持することができる。
なお、高地盤HGの土圧と反対の方向に働く外力(地震力等)が擁壁1に作用した場合、外力は、図3に破線矢印で示す立体架構20の反力や、擁壁1に作用する土圧等によって打ち消される。また、X方向に作用する外力(地震力等)が擁壁1に作用した場合、外力は壁体14、16及び立体架構20に分散し、擁壁1全体の反力によって打ち消される。
次に、擁壁1の各部構造について説明する。
図4は、低地盤LGの側から見た擁壁1の構成を示す正面図である。図5及び図6は、図4のI−I線及びII−II線における断面図である。図7及び図8は、図5及び図6のIII−III線及びIV−IV線における断面図である。
図4に示す如く、鋼管杭2の上部は柱15の柱芯位置において柱15内に埋設される。鋼管杭2の下部は地中に貫入し、鋼管杭2の先端部21は、前述の如く支持層Vに達する。図8に示す如く、鋼管杭3の杭頭部(上端部)は柱17の柱芯位置において柱17の下部又は横架材13、18に埋設される。鋼管杭3の下部は地中に貫入し、鋼管杭3の先端部31は、前述の如く支持層Vに達する。支持層Vは、好ましくは、N値10以上の地耐力を有する。
図5及び図6に示す如く、鋼管杭2、3は均一な円形断面の鋼管からなり、地盤に鉛直に埋入される。鋼管杭2、3の先端部21、31に形成された下端開口は、図8に示す如く、円形盲板23、33によって閉塞される。
鋼管杭2、3の上端開口22、32は、いずれもレベルh3に位置する。レベルh3は、壁体14及び柱15の天端レベルh1よりも所定距離h2だけ低い高さ位置に設定される。横架材13、18の下端及び天端は、レベルh4、h5に位置する。天端レベルh5は、上端開口22、32のレベルh3よりも若干上方に設定されるとともに、中間地盤面Maよりも距離h6だけ下方の位置に設定される。
好ましくは、距離h2は800〜1600mmの範囲に設定され、距離h6は、500〜1200mmの範囲内に設定される。距離h2、h6は、中間地盤MGの用途に相応して適宜設定される。例えば、中間地盤MGを緑地、庭園、歩道等の用途に使用する場合、距離h2、h6を比較的小さい寸法に設定することができる。他方、建築物又は工作物等を建設するための宅地等として中間地盤MGを使用する場合、或いは、道路又は車路等の用途に中間地盤MGを使用する場合、建物基礎の施工、道路基盤の施工等のために距離h2、h6を比較的大きい寸法に設定することが望ましい。
鋼管杭2、3の内部中空域には、擁壁11、12のコンクリートと連続するコンクリートが充填される。鋼管杭2、3を構成する鋼管の直径は、好ましくは、100mm〜400mmの範囲に設定される。コンクリート充填の施工性を考慮し、鋼管の直径を200mm以上に設定することが望ましい。本例では、鋼管の直径は、約250mmに設定されている。
壁体14、16は、縦横の壁筋(図示せず)を配筋した鉄筋コンクリート構造の壁体からなる。壁体4の壁厚は、好ましくは、200mm〜400mmの範囲に設定される。本例では、壁体4の壁厚は、約250mmに設定されている。壁筋として、D10〜D25程度の汎用の異形鉄筋が使用され、壁筋間隔は、100mm〜300mm程度の寸法に設定される。本例では、壁筋として、D13の異形鉄筋が使用され、壁筋の間隔は、200mm に設定されている。
柱15、17は鉄筋コンクリート構造の鉛直部材からなり、方形断面を有する。柱15、17の断面寸法は、450mm×450mm〜1000mm×1000mm程度の寸法の正方形断面又は長方形断面に設定される。本例において、柱15、17は、600mm×600mmの正方形断面を有する。柱15、17の柱主筋(図示せず)として、D16〜D29程度の汎用の異形鉄筋を好ましく使用し得る。また、柱15、17のフープ筋(図示せず)として、D13〜D19程度の汎用の異形鉄筋を好ましく使用し得る。フープ筋は、例えば、150mm〜250mm程度の間隔に配置される。
横架材13、18は鉄筋コンクリート構造の水平横架材からなり、概ね方形断面を有する。横架材13、18の断面寸法(幅×高さ)は、450mm×450mm〜1000mm×1000mm程度の寸法の正方形断面又は長方形断面に設定される。本例において、横架材13、18は、600mm×800mmの長方形断面を有する。
横架材13、18の梁主筋(図示せず)は横架材13、18の軸芯方向に横架材13、18内に配筋される。横架材13、18の梁主筋の端部は、柱15、17内に延び、柱15、17のコンクリートに定着し、或いは、他方の横架材13、18内に延び、他方の横架材13、18のコンクリートに定着する。横架材13、18の梁主筋(図示せず)は、地中梁6の軸線方向に地中梁6内に配筋される。梁主筋として、D16〜D29程度の汎用の異形鉄筋を好ましく使用し得る。また、地中梁6のスタラップ筋(図示せず)として、D13〜D19程度の汎用の異形鉄筋を好ましく使用し得る。スタラップ筋は、例えば、150mm〜250mm程度の間隔に配置される。
図9〜図17には、擁壁1の施工方法が段階的且つ概略的に示されている。図9〜図17を参照して、擁壁1の施工方法について説明する。
図9は、擁壁1が施工される地盤の地形を例示する縦断面図である。図9に示す地盤においては、高地盤レベルhxは約8mであり、かなりの急勾配の法面(傾斜面)Gaが形成されており、地盤面La、Haに対する法面Gaの傾斜角度は、例えば、45〜60度の範囲内の角度である。
図10は、杭施工工程における地盤の掘削範囲を示す縦断面図であり、図11及び図12は、鋼管杭2、3を地盤に圧入した状態を示す縦断面図及び平面図である。
鋼管杭2、3の打設のために掘削される地盤掘削範囲Qが図10にドットで示されている。擁壁1の施工では、大形基礎フーチングの施工のために高地盤HGを大きく掘削することを要しないので、地盤掘削範囲Qは、鋼管杭2、3、横架材13、18、壁体14、16及び柱15、17を施工可能な最小限の範囲に限定される。掘削により、中間地盤MGが高地盤HGと低地盤LGとの間に形成される。
中間地盤MGの地盤面には、オーガ併用の杭打ち機等によって杭孔(図示せず)が削孔され、図11及び図12に示す如く、鋼管杭2、3が地盤に圧入される。杭孔を削孔せずに、杭打ち機によって鋼管杭2、3を地盤に圧入することも可能である。鋼管杭2、3は、円形盲板23、33(図8)を有する先端部21、31が支持層Vに若干喰込む位置まで地中に埋入される。鋼管杭2、3の杭頭部22、32は、中間地盤MGの地盤面から僅かに上方のレベルに突出し、その頂面開口を開放する。鋼管杭2、3として、先端部に掘削刃(先端スクリュー)を備えた回転貫入式の埋設杭を使用し、鋼管杭2、3をパイルドライバ等の重機によって施工しても良い。
図13及び図14は、横架材13、18、壁体14及び柱15の型枠・配筋工程を示す縦断面図及び平面図である。図15は、横架材13、18、壁体14及び柱15のコンクリート打設工程を概略的に示す断面図である。
横架材13、18、壁体14及び柱15の接地部分は、捨てコンクリート及び採石等によって整地され、横架材13、18、壁体14及び柱15のコンクリート打設用型枠41、42、43が所定位置に建て込まれる。横架材13、18、壁体14及び柱15の壁筋、柱主筋、梁主筋、フープ筋及びスタラップ筋等(図示せず)が型枠41、42、43内に配筋される。配筋・型枠の施工が完了した後、流動状態のコンクリートC(図15)が型枠41、42、43内に流し込まれる。
図15に示す如く、コンクリートCは、型枠41、42、43内に充填されるとともに、鋼管杭2、3の上端開口22、32を介して鋼管杭2、3内に流入し、鋼管杭2、3の内部中空域に充填される。所定の養生期間を経た後、型枠41、42、43が解体・撤去される。
図16は、壁体16及び柱17の型枠・配筋・コンクリート打設工程を示す縦断面図である。
壁体16及び柱17のコンクリート打設用型枠44が所定位置に建て込まれ、壁体16及び柱17の壁筋、柱主筋及びフープ筋等(図示せず)が型枠44内に配筋される。配筋・型枠の施工が完了した後、流動状態のコンクリートCが型枠44内に流し込まれ、所定の養生期間を経た後、型枠44が解体・撤去される。しかる後、擁壁1の背後等に形成された隙間等が埋戻し土によって埋め戻される。
かくして、図2〜図8に示す擁壁1が構築されるが、このような擁壁1の施工方法においては、地盤は、施工のために必要最小限の範囲を掘削されるすぎず、しかも、かなり少量の埋戻し土を要するにすぎない。従って、上記施工方法によれば、大形基礎フーチングの施工のために高地盤HGを大きく掘削する従来の擁壁施工方法に比べ、掘削土、廃土及び埋戻し土の量を大幅に削減することができるので、施工上、極めて有利である。
図17は、3層構成の擁壁1を概略的に示す縦断面図である。
図1〜図16に示す擁壁1は、下層擁壁11及び上層擁壁12からなる2層構成の擁壁1であるが、擁壁1は、3層構成又は多層構成に設計することも可能である。図17には、下層擁壁11及び上層擁壁12、12’からなる3層構成の擁壁1が示されている。下層擁壁11及び上層擁壁12は、横架材13によって相互連結され、上層擁壁12、12’は、横架材13’によって相互連結される。傾斜地盤Sには、複数の中間地盤MG、MG’が形成され、傾斜面Saは、複数の中間地盤面Ma、Ma’に変換される。
図18は、中間地盤面Maによって斜路を形成した構成を示す複合擁壁の正面図である。
中間地盤面Maは、必ずしも水平面でなくとも良く、例えば、X方向に傾斜した平面であっても良い。図18には、横架材13の天端レベルを段階的に下方に変化させるとともに、下層擁壁11の上縁を全体的に傾斜させた構成の擁壁1が示されている。中間地盤面Maは、X方向に傾斜する。このような構成によれば、中間地盤面Maを斜路又は階段として使用することができる。
以上、本発明の好適な実施例について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内で種々の変形又は変更が可能であることはいうまでもない。
例えば、上記実施例は、直線的な壁体14、16を有する擁壁に関するのものであるが、湾曲した平面形態の擁壁、或いは、角度をなして複雑に屈曲する擁壁等の各種平面形態の擁壁に対して本発明を適用しても良い。
また、上記実施例においては、鋼管杭2、3の杭列は、平行に配置され、壁体14、16も又、平行に配置され、横架材13は壁体14、16と直交する方向に配向されているが、鋼管杭2、3の杭列を所定角度をなす方向又は不規則な方向に配列し、或いは、壁体14、16を互いに所定角度をなす方向又は不規則な方向に配列することも可能であり、また、地中梁13を壁体14、16に対して所定角度をなす方向又は不規則な方向に配置することも可能である。
更に、上記実施例では、円形断面の鋼管杭2、3を使用しているが、方形、多角形、楕円形、長円形等の断面の鋼管を鋼管杭2、3として使用しても良い。
更に又、上記実施例の柱15、17及び横架材13、18の断面形状は、任意に設定し得るものであり、例えば、柱15、17を円形断面に形成し、横架材13、18をH形断面又はI型断面に設計しても良い。また、柱15、17を壁柱形態に設計し、或いは、壁体14、16の壁厚を増大して柱15、17を省略することも可能である。
本発明の構成は、低地盤側への高地盤の崩壊又は崩落を阻止すべく高低差5m以上の傾斜地盤に設置される擁壁に好ましく適用される。本発明の擁壁は、大型基礎フーチングの施工を要しないので、擁壁の施工性は、大きく改善する。しかも、本発明によれば、高地盤の掘削量を削減し得るので、従来の擁壁構造では擁壁の施工が困難であった地盤においても擁壁を施工することができる。
しかも、本発明によれば、有効利用可能な中間地盤を傾斜地盤面に形成し、低地盤面(又は高地盤面)の宅地等を実質的に拡張することができるので、実用的に極めて有利である。
また、本発明によれば、レベルが相違する3つ以上又は3種以上の敷地又は宅地を複合擁壁の施工によって区画し又は造成し得るので、本発明の構成を宅地造成又は都市再開発等の工事において有利に使用することができる。
従って、本発明に係る複合擁壁及びその施工方法の実用的効果又は実利性は、極めて顕著である。

Claims (12)

  1. 低地盤側への高地盤の崩壊又は崩落を阻止すべく高低差5m以上の傾斜地盤に設置される複合擁壁であって、
    高地盤側に配置される上層擁壁と、該上層擁壁から低地盤側に分離し且つ離間した下層擁壁と、前記上層擁壁の下部と前記下層擁壁の上部とを相互連結する擁壁連結用横架材と、前記下層擁壁を支持する第1杭と、前記上層擁壁を支持する第2杭とを有し、
    前記上層擁壁の下部と前記下層擁壁の上部との間に中間地盤が延在し、該中間地盤の表層は、整地可能な中間地盤面を形成しており
    前記擁壁連結用横架材は、第1杭の杭頭と第2杭の杭頭とを相互連結するように第1杭及び第2杭の杭頭間に架設され、第2杭の杭頭同士を相互連結する高地盤側横架材が、隣り合う第2杭の杭頭間に架設されていることを特徴とする複合擁壁。
  2. 前記連結用横架材の高地盤側端部を相互連結するように該横架材と一体化した前記高地盤側横架材と、隣り合う前記連結用横架材とによって剛性三方枠が形成され、この剛性三方枠と、該三方枠を支持する第1杭及び第2杭とによって、軸組構造の立体架構が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の複合擁壁。
  3. 前記下層擁壁は、前記第1杭の直上に配置された鉄筋コンクリート構造の柱と、該柱の柱間領域に配置され且つ前記柱と一体化した鉄筋コンクリート構造の壁体とから構成され、
    前記上層擁壁は、前記第2杭の直上に配置された鉄筋コンクリート構造の柱と、該柱の柱間領域に配置され且つ前記柱と一体化した鉄筋コンクリート構造の壁体とから構成されており、
    前記第1杭の上部は、前記下層擁壁の柱内に延入することを特徴とする請求項1又は2に記載の複合擁壁。
  4. 前記第1及び第2杭は、鋼管杭からなり、前記第1及び第2杭の内部中空域には、前記柱のコンクリートと連続するコンクリートが充填されたことを特徴とする請求項3に記載の複合擁壁。
  5. 前記立体架構は、複合擁壁の構成単位として傾斜地盤に隔設されるとともに、前記上層擁壁及び下層擁壁を構成する壁体によって相互連結されることを特徴とする請求項2に記載の複合擁壁。
  6. 前記立体架構は、前記下層擁壁を構成する低地盤側の柱と、前記上層擁壁を構成する高地盤側の柱とを含み、前記下層擁壁の壁体は、低地盤側の柱を相互連結し、前記上層擁壁の壁体は、高地盤側の柱を相互連結することを特徴とする請求項5に記載の複合擁壁。
  7. 低地盤側への高地盤の崩壊又は崩落を阻止すべく高低差5m以上の傾斜地盤に複数の擁壁を設置する複合擁壁の施工方法であって、
    傾斜地盤を掘削して、高地盤面のレベルと低地盤面のレベルとの間の中間レベルに中間地盤を形成し、
    低地盤側の第1杭と、該第1杭から高地盤側に離間した第2杭とを施工し、
    前記第1杭によって支持される下層擁壁と、該下層擁壁の上部と前記第2杭の杭頭とを相互連結する擁壁連結用横架材とを構築するとともに、前記第2杭によって支持され且つ前記下層擁壁の高地盤側に離間した上層擁壁を構築し、
    前記上層擁壁の下部と前記下層擁壁の上部との間に延在する前記中間地盤の表層によって、整地可能な中間地盤面を形成することを特徴とする複合擁壁の施工方法。
  8. 前記擁壁連結用横架材によって前記第1杭の杭頭と前記第2杭の杭頭とを相互連結するとともに、隣り合う前記第2杭の杭頭同士を高地盤側横架材によって相互連結することを特徴とする請求項7に記載の施工方法。
  9. 前記第1杭の直上に配置され且つ該第1杭の上部を埋込んだ鉄筋コンクリート構造の柱と、該柱の柱間領域に配置され且つ前記柱と一体化した鉄筋コンクリート構造の壁体とによって前記下層擁壁を構築し、
    前記第2杭の直上に配置された鉄筋コンクリート構造の柱と、該柱の柱間領域に配置され且つ前記柱と一体化した鉄筋コンクリート構造の壁体とによって前記上層擁壁を構築することを特徴とする請求項7又は8に記載の施工方法。
  10. 前記第1及び第2杭として鋼管杭を使用し、前記柱のコンクリートと連続するコンクリートを前記第1及び第2杭の内部中空域に充填することを特徴とする請求項9に記載の施工方法。
  11. 隣り合う前記連結用横架材と、該横架材の高地盤側端部を相互連結するように該横架材と一体化した前記高地盤側横架材とによって剛性三方枠を形成し、
    少なくとも4本の前記杭によって前記剛性三方枠を支持することにより、軸組構造の立体架構を形成し、
    該立体架構を複合擁壁の構成単位として傾斜地盤に隔設するとともに、前記上層擁壁及び下層擁壁を構成する壁体によって前記立体架構を相互連結することを特徴とする請求項8に記載の施工方法。
  12. 前記立体架構は、前記下層擁壁を構成する低地盤側の柱と、前記上層擁壁を構成する高地盤側の柱とを含み、前記下層擁壁の壁体は、低地盤側の柱を相互連結し、前記上層擁壁の壁体は、高地盤側の柱を相互連結することを特徴とする請求項11に記載の施工方法。
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