JP2824217B2 - 土留擁壁の構築方法及び土留擁壁構築材 - Google Patents

土留擁壁の構築方法及び土留擁壁構築材

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JP2824217B2
JP2824217B2 JP3376595A JP3376595A JP2824217B2 JP 2824217 B2 JP2824217 B2 JP 2824217B2 JP 3376595 A JP3376595 A JP 3376595A JP 3376595 A JP3376595 A JP 3376595A JP 2824217 B2 JP2824217 B2 JP 2824217B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、従来のL型土留擁壁ブ
ロックに代る新規な土留擁壁の構築方法とこの構築に用
いられる擁壁構築材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】土留擁壁の構築方法としては、図8に示
すようなL型プレキャスト擁壁ブロック31(以下「L
型ブロック」という)を用いる方法が知られている。こ
のL型ブロック31を用いて土留擁壁を構築する場合に
は、地山30側の傾斜地30aを少なくともL型ブロッ
ク31の底版31a部分が占める面積は一旦切り崩して
この土砂をどかし、ここに図9に示すようにL型ブロッ
ク31を置き、その後L型ブロック31の底版31a上
に埋め戻し土32を入れて埋め戻しを行い、この埋め戻
し土32の重力により耐力をつけている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このため、次のような
欠点がある。 a.図8からも明らかなように、L型ブロック31を置
くためには、L型ブロック31の底版31aの奥行き分
地山30側の土を一旦どかし、図9に示すように再びこ
の底版31a上(L型ブロック31の後方)に土を埋め
戻すため、移動土量が多くなり、工事に多大の労力と時
間がかかる。 b.地山30側を一旦掘削して埋め戻すため、この埋め
戻した場所の土は安定性に欠ける。 c.L型ブロック31の場合、埋め戻し土の重量及びL
型R・C構造体の重量を支持する地耐力が必要である
が、この地耐力が不足するとL型構造体が沈下してしま
う。このため土質によって構築不可能になる例が非常に
多く、底盤の下部の土質を改良したり、杭打を行ったり
して地耐力の不足を補っている。 d.現場の状況からL型ブロックを用いられない場合も
ある。 本発明の目的は、地耐力に影響されずに耐力の大きい土
留擁壁の構築が可能な方法及びその構築材を提案するこ
とである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明において提案する
土留擁壁の構築方法及びその構築材の構成は次のとおり
である。 1.擁壁構築用に垂直に立てられた親杭の後方であっ
て、地山側に支持梁構築用 の溝と、この溝の先端に錘構
築用の溝を掘削し、この溝内に親杭の上部に連結 された
ブラケットとこのブラケットに連結されたアンカーを位
置させて溝内に コンクリートを打設することにより、親
杭の上部から地山側に向けて支持梁と この支持梁の先端
に錘を構築して、親杭に対して地山側に作用するモーメ
ント を付加すると共に、前記支持梁及び錘に作用する地
山との粘着力、摩擦力によ 耐力を確保する土留擁壁の
構築方法。 2.親杭用根入れを掘削すると共に、地山側に支持梁用
溝及びこの溝の先端側に 錘用溝を掘削する、 前記根入れ
内に一定の間隔で親杭を垂直に立ててコンクリートによ
り親杭の 根入れ部分を固定する、 前記支持梁用溝内にブ
ラケットを位置させてこのブラケットを親杭の上部に
結する、 前記錘用溝内にアンカーを位置させてこのアン
カーをブラケットに連結する 前記支持梁用溝及び錘用
溝内にコンクリートを流し込んでブラケット及びア ンカ
ーを骨組とした支持梁と錘を構築する、 前記親杭間に擁
壁を構築する、 ことを特徴とする土留擁壁の構築方法。 3.前記1又は2において、錘を支持梁ごとに独立して
構築する土留擁壁の構築方法。 4.前記1又は2において、錘全体又は錘複数個を連結
する土留擁壁の構築方法。 5.前記1において、親杭間に現場打ちで又はPC版又
はRC版で擁壁を構築す 土留擁壁の構築方法。 6.前記1又は2において、親杭を根入れ付のコンクリ
ートブロックを用いて立 てるようにする土留擁壁の構築
方法。 7.PC版又はRC版挿入用の溝を両サイドに形成して
成るH型鋼から成る親杭 と、 前記親杭の上部に対してボ
ルト止めすることができると共に、地山側に延長 した後
端にアンカー連結部を形成して成るブラケットと、 前記
ブラケットのアンカー連結部に対する連結手段により取
り付けられるア ンカーと、 前記親杭間に挿入されるPC
版又はRC版と、 から成る土留擁壁構築材。
【0005】
【作用】根入れに親杭を立て、この親杭にブラケットを
ボルト止めし、このブラケットにアンカーをボルト止め
してから溝内にコンクリートを流し込んで所謂支持梁と
錘を構築し、更に親杭間にPC版又はRC版又は現場打
ちで擁壁を構築する。このようにして構築された擁壁の
場合、その耐力は、基本的には支持梁と錘の作用により
発生するモーメント及び地山と支持梁及び錘との間に作
用する粘着力及び摩擦力並びに親杭の根入れ部分の強度
により決まる。
【0006】
【実施例】以下に本発明の実施例を詳述する。図1及び
図2は本発明の実施に使用される擁壁構築材の組み立て
図であって、1はH型鋼から成る親杭、2は前記親杭1
の上部から後方(山側)にボルト2aを用いて水平に連
結されたブラケット、3はブラケット2を支持するため
に、ボルト3a及び3bにより親杭1とブラケット2間
に斜めに入れられたブラケット支持梁、4はブラケット
2の先端にボルト2bにより連結されたアンカーであ
る。
【0007】図3は土留擁壁構築現場の斜視図であっ
て、あらかじめ所定の場所に親杭1を立てるための根入
れ6aを形成した根入れブロック6を埋設し、背後の地
山5は必要以上に崩さないように注意しながら前記ブラ
ケット2及びブラケット支持梁3が入る支持梁用溝7、
及びアンカー4が入る錘用溝8を掘削する。そして、根
入れ6aに親杭1を立てると共に、溝7、8内にブラケ
ット2及びブラケット支持梁3及びアンカー4を位置さ
せる(図4)。この際、実施例は、あらかじめ図1及び
図2に示すように組み立てた親杭1、ブラケット2、ブ
ラケット支持梁3、アンカー4をクレーンを用いてセッ
トしているが、現場で親杭1及びブラケット2、ブラケ
ット支持梁3、アンカー4を組み立てるようにしてもよ
いし、あらかじめブラケット2及びブラケット支持梁
3、アンカー4を組み立てたものを親杭1に連結するよ
うにしてもよい。
【0008】次に、図5及び図6に示すように、親杭1
間に水抜き9a付のPC版9を入れて擁壁をつくり、更
に溝掘りした支持梁用溝7、錘用溝8の部分にコンクリ
ートを流し込んで固化させ、これにより支持梁11と錘
12を構築する。なお、実施例は、錘用溝8を横方向に
連続させて錘12を一体化しているが、この錘12はア
ンカーごとに夫々独立させてもよい。
【0009】図7は上記のようにして擁壁を構築した状
態の断面図である。
【0010】上記擁壁の場合、地山5側に構築された支
持梁11と錘12の重力が親杭1にモーメントとして作
用し、更に地山5と支持梁11及び錘12間に作用する
粘着力及び摩擦力が反力として作用するため、擁壁は十
分な耐力を有し、土圧により倒壊しない。
【0011】
【発明の効果】本発明の効果は次のとおりである。 a.地山を残す(地山を崩さない)工法のため、L型ブ
ロックを置くために地山を崩してしまう従来工法に比較
して、地山の地盤強度がそのまま残る。 b.地山側は、溝掘りを行うだけのため、L型ブロック
を置くために一旦地山の地盤を切り崩し、再び埋め戻す
従来工法に比較して、労力と作業時間の短縮を図ること
が出来る。 c.地山を崩してしまう従来工法の場合、埋め戻し箇所
において不等沈下が発生していたが、本発明の場合は地
山を崩さないため、不等沈下の心配がない。 d.親杭及びブラケット、アンカー等は工場において生
産し、必要に応じてあらかじめ組み立てておくこともで
きるので、工期の短縮と工事費の大幅な削減が可能であ
る。 e.従来のL型ブロックの場合、大きな重量を有し、移
動にはクレーン等を用いなければならないことから、工
事には細心の注意が必要であり、また危険も多かった
が、本発明の場合は工事の危険性はL型ブロックの場合
に比較して殆どない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に用いられる擁壁構築材の側面
図。
【図2】擁壁構築材の平面図。
【図3】擁壁構築現場の説明図。
【図4】擁壁構築材を溝内にセットした状態の平面図。
【図5】擁壁を構築した状態の平面図。
【図6】擁壁を構築した状態の正面図。
【図7】擁壁を構築した状態の断面図。
【図8】従来のL型擁壁ブロックの説明図。
【図9】従来のL型擁壁ブロックの施工例の説明図。
【符号の説明】
1 親杭 2 ブラケット 3 ブラケット支持梁 4 アンカー 5 地山 6 親杭根入れブロック 7 支持梁用溝 8 錘用溝 9 PC版 10 砂利 11 支持梁 12 錘 13 表土

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 擁壁構築用に垂直に立てられた親杭の後
    方であって、地山側に支持梁構築用の溝と、この溝の先
    端に錘構築用の溝を掘削し、この溝内に親杭の上部に連
    結されたブラケットとこのブラケットに連結されたアン
    カーを位置させて溝内にコンクリートを打設することに
    より、親杭の上部から地山側に向けて支持梁とこの支持
    梁の先端に錘を構築して、親杭に対して地山側に作用す
    るモーメントを付加すると共に、前記支持梁及び錘に作
    用する地山との粘着力、摩擦力により耐力を確保する土
    留擁壁の構築方法。
  2. 【請求項2】 親杭用根入れを掘削すると共に、地山側
    に支持梁用溝及びこの溝の先端側に錘用溝を掘削する、 前記根入れ内に一定の間隔で親杭を垂直に立ててコンク
    リートにより親杭の根入れ部分を固定する、 前記支持梁用溝内にブラケットを位置させてこのブラケ
    ットを親杭の上部に連結する、 前記錘用溝内にアンカーを位置させてこのアンカーをブ
    ラケットに連結する、 前記支持梁用溝及び錘用溝内にコ
    ンクリートを流し込んでブラケット及びアンカーを骨組
    とした支持梁と錘を構築する、 前記親杭間に擁壁を構築する、 ことを特徴とする 土留擁壁の構築方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2において、錘を支持梁ご
    とに独立して構築する土留擁壁の構築方法。
  4. 【請求項4】 請求項1又は2において、錘全体又は錘
    複数個を連結する土留擁壁の構築方法。
  5. 【請求項5】 請求項1において、親杭間に現場打ちで
    又はPC版又はRC版で擁壁を構築する土留擁壁の構築
    方法。
  6. 【請求項6】 請求項1又は2において、親杭を根入れ
    付のコンクリートブロックを用いて立てるようにする
    留擁壁の構築方法。
  7. 【請求項7】 PC版又はRC版挿入用の溝を両サイド
    に形成して成るH型鋼から成る親杭と、 前記親杭の上部に対してボルト止めすることができると
    共に、地山側に延長した後端にアンカー連結部を形成し
    て成るブラケットと、 前記ブラケットのアンカー連結部に対する連結手段によ
    り取り付けられるアンカーと、 前記親杭間に挿入されるPC版又はRC版と、 から成る土留擁壁構築材。
JP3376595A 1995-02-22 1995-02-22 土留擁壁の構築方法及び土留擁壁構築材 Expired - Lifetime JP2824217B2 (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006291575A (ja) * 2005-04-11 2006-10-26 Kanuka Design:Kk 擁壁及びその施工方法
JP2011017184A (ja) * 2009-07-09 2011-01-27 Kanuka Design:Kk 擁壁及びその施工方法
JP2011236571A (ja) * 2010-05-06 2011-11-24 Kanukadesign Ltd 擁壁及びその施工方法

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
栗原利栄外4名著、「土木構造物設計シリーズ 擁壁の設計」、第4版、株式会社オーム社、1984年5月30日 P.5

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