JP4708296B2 - 杭と柱の接合構造 - Google Patents

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Description

本発明は、主として1杭1柱式の鉄道RCラーメン高架橋で採用される鉄筋コンクリート造の杭と鉄筋コンクリート造の柱との接合構造に関する。
従来、この種の杭と柱の接合構造は図7に示すようになっている。図中GLは地面、GL´は盛土、1は鉄筋コンクリート造の杭を示している。杭1は、ケーシング工法により地表から掘削した孔内に鉄筋11を建て込んだ後、孔内にコンクリートを打設することにより造成される。杭1の上端には、橋台2を支える鉄筋コンクリート造の柱3が接続されている。尚、柱3の下端部は鉄筋コンクリート造の地中梁4に一体に連続するフーチング3aになっている。杭1の鉄筋11と柱3の鉄筋31は、夫々、周方向の間隔を存して配設した軸方向に長手の主筋12,32と、これら主筋12,32を取り囲む、軸方向の間隔を存して配設したリング状の帯鉄筋13,33とで構成される。
杭1の鉄筋11の上端部は、杭1の上端面より上方にのびて、柱3の鉄筋31の下端部にオーバーラップしている。これにより杭1と柱3の接続強度が向上する。然し、柱3の鉄筋31の下端部における配筋作業がこれにオーバーラップする杭1の鉄筋11に邪魔されて非常に面倒になり、また、鉄筋11,31のオーバーラップ部分へのコンクリートの打設も面倒になり、施工性が悪くなる不具合がある。
かかる不具合を解消するため、鉄筋コンクリート造の杭と鉄筋コンクリート造の柱とを、杭の鉄筋の上端部を柱の鉄筋の下端部にオーバーラップさせることなく接続する杭と柱の接合構造も従来知られている(例えば、特許文献1参照)。このものでは、断面正方形の鋼管の下半部が杭の上端部の鉄筋で囲われる断面中央部に埋め込まれると共に、鋼管の上半部が柱の下端部の鉄筋で囲われる断面中央部に埋め込まれ、杭と柱が鋼管を介して接続される。
特開2005−76330号公報
上記の如く杭と柱とを鋼管を介して接続するものでは、杭の鉄筋の上端部が柱の鉄筋の下端部にオーバーラップしないため、施工性が著しく向上する。然し、このものでは、本願発明者が行った後述する試験の結果、杭への鋼管の埋め込み深さや鋼管の周囲の杭部分の帯鉄筋の量が不足すると、鋼管周囲の杭部分のコンクリートが割裂破壊し、杭と柱の接続部分の曲げ耐力が低下すると共にじん性能も低下して、所要の耐震性能を確保できなくなることが判明した。
本発明は、以上の点に鑑み、杭への鋼管の埋め込み深さや鋼管の周囲の杭部分の帯鉄筋の量を適切に設定して、杭と柱の接続部分の曲げ耐力とじん性能とを杭の鉄筋の上端部が柱の鉄筋の下端部にオーバーラップするものと同等以上に向上できるようにした杭と柱の接合構造を提供することをその課題としている。
上記課題を解決するために、本発明は、鉄筋コンクリート造の杭と鉄筋コンクリート造の柱とを、杭の鉄筋の上端部を柱の鉄筋の下端部にオーバーラップさせることなく接続する杭と柱の接合構造であって、断面正方形の鋼管の下半部が杭の上端部の鉄筋で囲われる断面中央部に埋め込まれ、鋼管の上半部が柱の下端部の鉄筋で囲われる断面中央部に埋め込まれるものにおいて、鋼管の断面の一辺の長さ及び肉厚は、鋼管の断面の曲げ耐力が杭の鉄筋の主筋全体の断面の曲げ耐力と同等になるように設定され、JIS G 3112に規定されるSD295,SD345,SD390,SD490のうちの何れかの鉄筋コンクリート用棒鋼を帯鉄筋として用い、鋼管の断面の一辺の長さをd、杭への鋼管の埋め込み長さをL、鋼管の周囲の杭部分に配設されるリング状の帯鉄筋の帯鉄筋比をpwとして、pw・L/dの値が0.019〜0.040の範囲になるように鋼管及び帯鉄筋を配設してなることを特徴とする。
後述する試験結果から明らかなように、鋼管周囲の杭部分の帯鉄筋比pwが同一である場合は、鋼管の断面の一辺の長さdに対する杭への鋼管の埋め込み長さLの倍率(=L/d)が大きくなる程、また、L/dが同一である場合は、鋼管の周囲の杭部分の帯鉄筋比pwが大きくなる程、杭の鋼管周囲のコンクリートが割裂破壊しにくくなる。即ち、pw・L/dの値が大きくなる程、杭の鋼管周囲のコンクリートが割裂破壊しにくくなって、杭と柱の接続部分の曲げ耐力及びじん性能が向上する。そして、pw・L/dの値を0.019以上にすれば、杭と柱の接続部分の曲げ耐力及びじん性能を杭の鉄筋の上端部が柱の鉄筋の下端部にオーバーラップするものと同等以上に向上できる。尚、pw・L/dの値が大きくなるのに伴い施工性が悪くなるため、pw・L/dの値の上限は0.040としている。
図1は本発明の実施形態の杭と柱の接合構造を示している。尚、図7に示した上記従来例と同様の部材、部位には上記と同一の符号を付している。本実施形態では、図2に示されているように、杭1が断面円形であり、柱2が断面正方形である。
また、本実施形態では、杭1の鉄筋11の上端部が柱3の鉄筋31の下端部にオーバーラップしていない。その代り、図2に示す如く断面正方形の鋼管5を用い、この鋼管5の下半部を杭1の上端部の鉄筋11で囲われる断面中央部に埋め込むと共に、鋼管5の上半部を柱3の下端部の鉄筋31で囲われる断面中央部に埋め込んでいる。これにより、杭1と柱3とが鋼管5を介して接続される。尚、杭1と柱3の接続部分の曲げ耐力が杭1の鉄筋11の上端部を柱3の鉄筋31の下端部にオーバーラップさせる図7に示すものと同等になるように、鋼管5の断面の一辺の長さと肉厚は、鋼管5の断面の曲げ耐力が杭1の鉄筋11の主筋12全体の断面の曲げ耐力と同等になるように設定されている。
ここで、鋼管5及びコンクリートの材料強度を十分利用して、杭1と柱3の接続部分の曲げ耐力及びじん性能を効率良く向上させるには、杭1への鋼管5の埋め込み深さと鋼管5の周囲の杭部分の帯鉄筋比(帯鉄筋13の配置間隔分の軸方向区間における帯鉄筋13の総断面積を同区間の杭1の軸方向に沿う断面積で除した値)とを適切に設定して、鋼管5の周囲の杭部分のコンクリートが割裂破壊しないようにすることが必要になる。そこで、杭1への鋼管5の埋め込み深さと鋼管5の周囲の杭部分の帯鉄筋比とをどのように設定すれば良いかを調べるため、下記の試験を行った。
試験に用いた試験体はNo1からNo6までの6種類であり、何れの試験体も外形寸法は図3に示す通りである。即ち、試験体は、鉄道RCラーメン高架橋の1柱1杭式の基礎に一般的に用いられるφ1000mmの杭の1/2モデルのφ500(長さ2000mm)の鉄筋コンクリート造の杭1であり、その一端にフーチング3aに対応する平面形状2500mm×1500mm高さ800mmの直方体形状の接合部3a´が一体に形成されている。そして、接合部3a´を下にした上下反転姿勢で試験体を試験機のベースに接合部において固定し、杭1の上端に自重による圧縮応力度に相当する1N/mmの鉛直荷重を載荷する。また、接合部3a´から1500mm離れた杭1の上部を油圧ジャッキで水平方向に押し引きし、この部分に正負交番の水平荷重を載荷するようにした。
No1の試験体は、図7に示した従来例を模したものであり、図4(a)に示すように、主筋12が接合部3a´に亘って配設されている。主筋12は、杭1の断面中心と同心の直径360mmの円周上に周方向に等間隔で16本配設されている。また、帯鉄筋13は、図4(a)にA,Cで示す杭1の上部と接合部3a´内の領域では軸方向に120mm間隔で配設され、Bで示す領域では軸方向に60mm間隔で配設されている。
No2〜No6の試験体も、主筋12が杭1の断面中心と同心の直径360mmの円周上に周方向に等間隔で16本配設されているが、主筋12は、図4(b)に示すように、接合部3a´の60mm手前で終端している。そして、杭1の鉄筋11で囲われる断面中央部に接合部3a´の下端に達する鋼管5が埋め込まれている。また、帯鉄筋13は、図4(b)にAで示す杭1の上部領域では軸方向に120mm間隔で配設され、Bに示す鋼管5の周囲の杭部分を含む領域では60mm間隔で配設されている。
ここで、主筋12は、No1〜No6の何れの試験体においても、JIS G 3112で規定するSD345製の直径16mmのものである。また、鋼管5は、No2〜No6の何れの試験体においても、SM490製で、断面形状が一辺200mmの正方形である。また、鋼管5の肉厚は、鋼管5の断面の曲げ耐力が16本の主筋12全体の断面の曲げ耐力と同等になるように、8mmに設定されている。
No1の試験体の図4(a)のA,B,C各領域と、No2〜No6の試験体の図4(b)のA領域に配設する帯鉄筋13は何れもSD345製の直径10mmのものである。また、No2〜No4の試験体の図4(b)のB領域に配設する帯鉄筋13は、上記と同様にSD345製の直径10mmのものであるが、杭1への鋼管5の埋め込み深さLがNo2の試験体では800mm、No3の試験体では600mm、No4の試験体では400mmになっている。また、No5とNo6の試験体は、杭1への鋼管5の埋め込み深さLが共に600mmになっているが、図4(b)のB領域に配設する帯鉄筋13を、No5の試験体ではSD345製の直径13mmのものとし、No6の試験体ではSD345製の直径16mmのものとしている。
各試験体に用いた主筋12、帯鉄筋13、鋼管5及びコンクリートの材料強度の試験値を下記表1に示す。
Figure 0004708296
試験は、各試験体の杭1の上部に上記の如く油圧ジャッキの押し引きで正負交番の水平荷重を載荷することで行った。荷重・変位の制御は、No1の試験体において以下の手順で行った。即ち、降伏するまでは荷重制御で水平荷重を正負1サイクル毎に10kN宛増加させて載荷した。降伏の判定は、油圧ジャッキを押し出す方向の載荷において、引張側45°方向(水平荷重の作用線に対し水平方向に45°回転した方向)の主筋11のひずみが降伏ひずみに達した時点とし、このときの変位を降伏変位とした。降伏後は、変位が降伏変位の偶数倍で3サイクル毎に段階的に増加するように変位制御で水平荷重を載荷した。載荷の終了は荷重―変位曲線の包絡線における水平荷重が最大水平荷重の50%を下回ることを目標にした。No2〜No6の試験体の載荷試験は、No1の試験体の降伏変位を用いてNo1の試験体の場合と同様の方法で行った。
以下の説明では、No1の試験体の降伏変位8.7mmをΔと記し、油圧ジャッキを押し出す方向の水平荷重・水平変位を+、油圧ジャッキを引き戻す方向の水平荷重・水平変位を−とする。また、荷重、変位は水平荷重の作用点の水平荷重、水平変位を意味する。
図5は各試験体の荷重と変位の履歴曲線を示している。尚、荷重は、鉛直方向荷重による偏心曲げモーメントの影響を加味した値になっている。
No1の試験体では、変位8.7mm、荷重148kNで引張側45°方向の主筋12のひずみが降伏ひずみに達し、杭基部及び杭側面に3本の水平な曲げひび割れが発生した。その後、6Δまでは175kN前後の一定の荷重のまま変形が増大した。この間に曲げひび割れの先端から斜め下方へ向かうせん断ひび割れが発生した。せん断ひび割れは杭基部から30cm程度の区間で密に発生した。また、杭基部には、コンクリートの圧壊に伴う縦方向のひび割れも生じた。
そして、6Δで杭基部コンクリートの圧壊に伴う被りコンクリートの剥落が始まり、変形が進むのに伴い剥落範囲が大きくなって、荷重が低下した。その後、12Δの2,3サイクル目の繰り返し載荷において荷重は1サイクル目に比べ低下が顕著になり、12Δの3サイクル〜14Δにかけて主筋12が破断して荷重は大きく低下した。履歴曲線の形状は、図5(a)に示すように、紡錘型の吸収エネルギーが大きい形状になった。また、破壊形式は、杭基部に塑性ヒンジが形成され、主筋12が座屈して被りコンクリートがはらみ出す曲げ破壊であった。
No2の試験体では、変位17.3mm、荷重171kNで鋼管5の引張側ひずみが降伏ひずみに達した。また、2Δまでに水平のひび割れが鋼管埋め込み部(鋼管5の上端より下方の杭部分)の上部に3〜4本発生すると共に、鋼管埋め込み端部(鋼管5の上端と同レベルの部分)から下方にのびる鉛直の割裂ひび割れ及び杭基部から上方にのびる鉛直の割裂ひび割れが発生した。その後、2〜4Δの間で水平の曲げひび割れの進展とともに鉛直の割裂ひび割れも進展した。この鉛直の割裂ひび割れは荷重作用線に対し水平方向に±45°回転した位置に集中して発生した。
そして、4Δで杭基部コンクリートの圧壊に伴う被りコンクリートの剥落が始まり、剥落範囲は徐々に大きくなったが、12Δまでは215kN前後でほぼ一定の荷重のまま変形が増大した。12Δでコンクリートの圧壊に伴う被りコンクリートの剥落が大きくなり、その後16Δまで12Δのときに比べ荷重の低下は見られるが、繰り返し載荷において荷重の低下は顕著ではなかった。履歴曲線は、図5(b)に示すように、紡錘型の吸収エネルギーが大きい形状になった。載荷は試験機の限界から+16Δ、−18Δで終了した。そのため、終局状態は確認できなかったが、破壊形式は杭基部での鋼管5の座屈による曲げ破壊と考えられる。
No3の試験体では、変位22.4mm、荷重172kNで鋼管5の引張側ひずみが降伏ひずみに達した。また、2Δまでに水平のひび割れが鋼管埋め込み部の上部に4本発生すると共に、鋼管埋め込み端部から下方にのびる鉛直の割裂ひび割れ及び杭基部から上方にのびる鉛直の割裂ひび割れが発生した。その後、2〜4Δの間で水平の曲げひび割れの進展とともに鉛直の割裂ひび割れも進展した。この鉛直の割裂ひび割れは荷重作用線に対し水平方向に±45°回転した位置に集中して発生した。
そして、4Δで202kNの最大荷重を示すが、この時点で鋼管埋め込み端部の水平の曲げひび割れ及び鉛直の割裂ひび割れが大きくなり、鋼管埋め込み端部下方の被りコンクリートの剥落が始まった。その後、4〜6Δまでは荷重をかろうじて維持したが、6Δで鋼管埋め込み端部下方の被りコンクリートの剥落が大きくなり、鋼管埋め込み端部下方20cmで折れ曲がったような変形状態になった。そして、8Δの繰り返し載荷において鋼管埋め込み端部を中心とした被りコンクリートの剥落を生じて荷重の低下が顕著になり、10Δ、12Δで荷重は大きく低下した。履歴曲線の形状は、図5(c)に示すように、スリップ型に近似した吸収エネルギーが小さい形状になった。破壊形式は鋼管5の周囲のコンクリートの割裂破壊であった。
No4の試験体では、鋼管5の引張側ひずみが降伏ひずみを越えなかった。また、2Δまでに水平のひび割れが鋼管埋め込み部の上部に2本発生すると共に、鋼管埋め込み端部から下方にのびる鉛直の割裂ひび割れ及び杭基部から上方にのびる鉛直の割裂ひび割れが発生した。その後、2〜4Δの間で水平の曲げひび割れの進展とともに鉛直の割裂ひび割れも進展した。この鉛直の割裂ひび割れは荷重作用線に対し水平方向に±45°回転した位置に集中して発生した。
そして、4Δで140kNの最大荷重を示すが、この時点で鋼管埋め込み端部の水平の曲げひび割れ及び鉛直の割裂ひび割れが大きくなり、鋼管埋め込み端部付近の被りコンクリートの剥落が始まった。その後、荷重は4Δでの値を維持することなく6Δ、8Δ、10Δで順に低下していった。また、6Δで鋼管埋め込み端部付近の被りコンクリートの剥落が大きくなり、鋼管埋め込み端部下方20cmで折れ曲がったような変形状態になった。そして、8Δの繰り返し載荷において荷重の低下が顕著になった。履歴曲線の形状は、図5(d)に示すように、スリップ型に近似しており、No3の試験体に比べ吸収エネルギーは更に小さい。破壊形式は、No3の試験体と同様に鋼管5の周囲のコンクリートの割裂破壊であった。
No5の試験体では、変位20.6mm、荷重175kNで鋼管5の引張側ひずみが降伏ひずみに達した。また、2Δまでに水平のひび割れが鋼管埋め込み部の上部に2〜3本発生すると共に、鋼管埋め込み端部から下方にのびる鉛直の割裂ひび割れ及び杭基部から上方にのびる鉛直の割裂ひび割れが発生した。その後、2〜4Δの間で水平の曲げひび割れの進展とともに鉛直の割裂ひび割れも進展した。この鉛直の割裂ひび割れは荷重作用線に対し水平方向に±45°回転した位置に集中して発生した。
そして、8Δで杭基部コンクリートの圧壊に伴う被りコンクリートの剥落が始まり、剥落範囲は徐々に大きくなったが、16Δまで200kN前後でほぼ一定の荷重のまま変形が増大した。16Δで杭基部コンクリートの圧壊に伴う被りコンクリートの剥落が大きくなったが、荷重は殆ど低下しなかった。18Δの繰り返し載荷において荷重の低下が顕著になり、3サイクル目を+20Δまで載荷した。履歴曲線の形状は、図5(e)に示すように、紡錘型の吸収エネルギーの大きい形状になった。尚、試験機の限界はNo2の試験体で載荷を終了した16Δ程度であるが、No5,6の試験体では安全を確認しながら限界を超えて載荷を続行した。破壊形式は杭基部での鋼管5の座屈による曲げ破壊であった。
No6の試験体では、変位17.8mm、荷重176kNで鋼管5の引張側ひずみが降伏ひずみに達した。また、2Δまでに水平のひび割れが鋼管埋め込み部の上部に2〜3本発生すると共に、鋼管埋め込み端部から下方にのびる鉛直の割裂ひび割れ及び杭基部から上方にのびる鉛直の割裂ひび割れが発生した。その後、2〜4Δの間で水平の曲げひび割れの進展とともに鉛直の割裂ひび割れも進展した。この鉛直の割裂ひび割れは荷重作用線に対し水平方向に±45°回転した位置に集中して発生した。
そして、8Δで杭基部コンクリートの圧壊に伴う被りコンクリートの剥落が始まり、剥落範囲は徐々に大きくなったが、16Δまで210kN前後でほぼ一定の荷重のまま変形が増大した。16Δで杭基部コンクリートの圧壊に伴う被りコンクリートの剥落が大きくなったが、荷重は殆ど低下しなかった。18Δの繰り返し載荷において荷重の低下が顕著になり、20Δの繰り返し載荷において荷重の低下が更に顕著になり、3サイクル目を+22Δまで載荷した。履歴曲線の形状は、図5(f)に示すように、紡錘型の吸収エネルギーの大きい形状になった。破壊形式は杭基部での鋼管5の座屈による曲げ破壊であった。
各試験体の試験結果を下記表2に示す。尚、表2中の損傷レベル2は、繰り返し載荷で耐力低下が顕著にならない最大変位時点を意味する。
Figure 0004708296
図6(a)は、No1の試験体と、No2,3,4の試験体の荷重―変位曲線の包絡線を示している。No2,3,4の各試験体は、鋼管5の周囲の杭部分の帯鉄筋比pwが0.0048と同一であるが、鋼管5の断面の一辺の長さd(=200mm)に対する鋼管5の埋め込み深さLの倍率が4,3,2と互いに異なる(下記表3参照)。同図より、No2の試験体はNo1の試験体よりじん性能が優れていることが分かる。尚、鋼管5の断面の曲げ耐力を主筋12全体の断面の曲げ耐力と同程度に設定しているにも拘らず、No2,3,5,6の試験体はNo1の試験体より最大荷重、即ち、曲げ耐力が大きくなっている。これは、鋼材の材料の規格値と実強度とが表1に示されているように異なること、即ち、主筋12(SD345)では降伏点規格値が345kNであるのに対し実降伏点が381〜391と異なり、鋼管5(SM490)では降伏点規格値が325kNであるのに対し実降伏点が402〜431kNと異なることに起因すると考えられる。
No3の試験体は、No2の試験体とほぼ同等の曲げ耐力を有するが、じん性能はNo1の試験体よりも劣り、No4の試験体は曲げ耐力及びじん性能がNo1の試験体よりも劣ることが分かる。
図6(b)は、No1の試験体と、No3,5,6の試験体の荷重―変位曲線の包絡線を示している。No3,5,6の各試験体は、鋼管5の断面の一辺の長さdに対する鋼管5の埋め込み深さLの倍率が3と同一であるが、鋼管5の周囲の杭部分の帯鉄筋比pwが0.0048,0.0084,0.0132と互いに異なる(下記表3参照)。No3の試験体では終局変位が107.0mmでじん性率(終局変位を降伏変位で除した値)が3.3であるのに対し、No5の試験体では終局変位150.5mmじん性率7.3、No6の試験体では終局変位163.1mmじん性率9.2とじん性能が大きく向上している。
尚、帯鉄筋比pwは、杭1のように中実円形断面の鉄筋コンクリート構造物においては、断面形状を面積の等しい正方形(等積正方形)とした場合の一辺の長さをbw(mm)、帯鉄筋の配置間隔をSs(mm)、Ssの区間における帯鉄筋の総断面積をAw(mm)として、Aw/(bw×Ss)で定義される。これは、国土交通省監修、鉄道総合技術研究所編「鉄道構造物等設計基準・同解説コンクリート構造物」(平成16年4月丸善発行)の144頁に記載されている「せん断補強筋比」と等価である。
上述した試験結果から明らかなように、鋼管5の周囲の杭部分の帯鉄筋比pwが同一である場合は、鋼管5の断面の一辺の長さdに対する杭への鋼管の埋め込み長さLの倍率(=L/d)が大きくなる程、また、L/dが同一である場合は、鋼管5の周囲の杭部分の帯鉄筋比pwが大きくなる程、鋼管5の周囲の杭部分のコンクリートが割裂破壊しにくくなって、曲げ耐力及びじん性能が向上する。即ち、pw・L/dの値が大きくなる程、曲げ耐力及びじん性能が向上する。そして、pw・L/dの値が、じん性能の劣るNo3,4の試験体では夫々0.0144,0.0096であるのに対し、じん性能に優れたNo2,5,6の試験体では夫々0.0192,0.0252,0.0396になっていることから、pw・L/dの値を0.019以上にすれば、杭1と柱3の接続部分の曲げ耐力及びじん性能を杭1の鉄筋11の上端部が柱3の鉄筋33の下端部にオーバーラップする図7に示すものと同等以上に向上できることが分かる。尚、pw・L/dの値が大きくなるのに伴い施工性が悪くなるため、pw・L/dの値は0.040以下にすべきである。
No2〜6の試験体における鋼管5の断面の一辺の長さdに対する杭1への鋼管5の埋め込み深さLの倍率(=L/d)、鋼管5の周囲の杭部分(図4(b)のB領域)の帯鉄筋比pw、pwとL/dとの乗算値(=pw・L/d)及び耐震性能の評価を下記表3に纏めた。耐震性能の評価は、曲げ耐力及びじん性能がNo1の試験体と同等以上になるものが○、そうでないものが×である。
Figure 0004708296
ところで、帯鉄筋13の強度が余りに低いと、pw・L/dの値を0.19以上にしても十分なじん性能が得られない可能性がある。ここで、帯鉄筋13として用いることが可能な鉄筋コンクリート用棒鋼(JIS G 3112)としては、SD295,SD345,SD390、SD490(数字は降伏点の下限値を示す)が挙げられる。これら棒鋼の降伏点の範囲は、SD295で295〜390N/mm、SD345で345〜440N/mm、SD390で390〜510N/mm、SD490で490〜625とされている。試験体では帯鉄筋13としてSD345を用いているが、SD295でも降伏点がNo6の試験体の帯鉄筋の実降伏点である391N/mmにほぼ等しい390N/mmになることがある。そして、帯鉄筋13としてSD295,SD345,SD390、SD490のうち何れかを用いれば、pw・L/dの値を0.19以上にすることで、杭1と柱3の接続部分の曲げ耐力及びじん性能を杭1の鉄筋11の上端部が柱3の鉄筋33の下端部にオーバーラップする図7に示すものと同等以上に向上できる。
尚、No5,6の試験体では、帯鉄筋比pwを大きくするために、帯鉄筋13を太くしているが、帯鉄筋13の軸方向間隔を狭くして帯鉄筋比pwを大きくしても良い。また、No2〜No6の試験体では、鋼管5の周囲の杭部分より広範囲の図4(b)のB領域で帯鉄筋13の軸方向間隔を狭めているが、帯鉄筋13の軸方向間隔を狭める領域は鋼管5の周囲の杭部分に限定しても良い。
本発明の実施形態の接合構造を示す杭と柱の縦断面図。 図1のII−II線切断面図。 (a)試験体の正面図、(b)試験体の平面図。 (a)No1の試験体の配筋を示す図、(b)No2〜No6の試験体の配筋を示す図。 各試験体の荷重と変位の履歴曲線を示すグラフ。 各試験体の荷重―変位曲線の包絡線を示すグラフ。 従来例の接合構造を示す杭と柱の縦断面図。
符号の説明
1…杭、11…杭の鉄筋、12…主筋、13…帯鉄筋、3…柱、31…柱の鉄筋、5…鋼管。

Claims (1)

  1. 鉄筋コンクリート造の杭と鉄筋コンクリート造の柱とを、杭の鉄筋の上端部を柱の鉄筋の下端部にオーバーラップさせることなく接続する杭と柱の接合構造であって、断面正方形の鋼管の下半部が杭の上端部の鉄筋で囲われる断面中央部に埋め込まれ、鋼管の上半部が柱の下端部の鉄筋で囲われる断面中央部に埋め込まれるものにおいて、
    鋼管の断面の一辺の長さ及び肉厚は、鋼管の断面の曲げ耐力が杭の鉄筋の主筋全体の断面の曲げ耐力と同等になるように設定され、
    JIS G 3112に規定されるSD295,SD345,SD390,SD490のうちの何れかの鉄筋コンクリート用棒鋼を帯鉄筋として用い、
    鋼管の断面の一辺の長さをd、杭への鋼管の埋め込み長さをL、鋼管の周囲の杭部分に配設されるリング状の帯鉄筋の帯鉄筋比をpwとして、pw・L/dの値が0.019〜0.040の範囲になるように鋼管及び帯鉄筋を配設してなることを特徴とする杭と柱の接合構造。
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