JP5062571B2 - 角型鋼管を用いた合成構造枠体およびトンネル築造方法 - Google Patents
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Description
特許文献1は、継手板と主桁で外周を囲まれた鋼殻体の中空にコンクリートを充填させた合成構造セグメントであって、継手板に開設するボルト挿通孔を挟んで継手板と垂直で、かつ主桁相互が並行する配置で、少なくとも一方が開孔鋼板よりなる外主桁と内主桁を構成した構造とすることで、合成一体化を確実にしたセグメントについて記載したものである。
すなわち、大断面トンネルの場合、1つのセグメントの幅寸法(トンネル軸方向の長さ寸法)が例えば1m〜1.5m程度となり、1リング分の重量が増大することから、発進立坑内において先行するセグメントと推進ジャッキとの間で、セグメントピース毎に吊り下げながら1リング分のセグメントを組み立てる作業を行っている。そのため、セグメントの組み立て作業に多大な時間を要し、推進効率が低下するという問題があった。
また、推進ジャッキは幅寸法の大きなセグメントに対応させるためにジャッキストロークの長いものを使用する必要があることから、設備費が大きくなり、コストが増大することになり、その点で改良の余地があった。
図1は本発明の実施の形態による合成構造枠体の概略構成を示す斜視図、図2は合成構造枠体を構成する角型鋼管を示す斜視図であって、(a)はその横角型鋼管の図、(b)はその縦角型鋼管の図、図3は合成構造枠体の正面図、図4は図3に示すA−A線断面図であって、(a)はコンクリート充填前の図、(b)はコンクリート充填後の図、図5は接合継手の構造を示す一部破断断面図、図6はトンネル築造工程を示す図であって、合成構造枠体を組み付けた正面図、図7(a)、(b)は図6に続くトンネル築造工程を示す図、図8(a)、(b)は図7(b)に続くトンネル築造工程を示す図、図9は水膨張シールと非膨張性シールの設置状態を示す図である。
この合成構造枠体1は、その内部にコンクリート2(図4(b)参照)が充填された角型鋼管3、4から形成され、トンネル断面形状に沿って矩形枠状に形成され、トンネル軸方向の幅寸法が角型鋼管の1本分の幅寸法をなしている。このように角型鋼管3、4内にコンクリート2を充填することで、角型鋼管3、4とコンクリート2とが一体構造となり、外力による曲げやせん断荷重に対して対応できる強度を確保できる構造となっている。そして、合成構造枠体1は、トンネル軸方向に複数配列され、隣接する合成構造枠体1、1どうしを接合させて推進トンネルが築造されることになる。
そして、縦角型鋼管3および横角型鋼管4は、図4(a)、(b)に示すように、断面視で角部を丸めて面取りされた角曲部1aが形成されている。
さらに、図1に示すように、横角型鋼管4A、4Bの上面両端部、及び縦角型鋼管3A、3Bの外方側面上部には、それぞれコンクリート2を充填するための打設口6が設けられている。
なお、ピース間接合面3a、4aに端板を設けていない場合、或いは端板に開口が空けられている場合には、打設口6は上側の横角型鋼管4Aにのみ打設口を設ければよい。
つまり、一方のリング間接合面3b、4b(推進方向前方側の接合面)には雄型継手をなすピン11が設けられ、他方のリング間接合面3c、4c(推進方向後方側の接合面)には雌型継手をなすピン穴12が設けられている。
一方、ピン穴12は、角型鋼管3、4内に配置された雌側ハウジング14と、この雌側ハウジング14内に設けられた嵌合部15とから概略構成されている。雌側ハウジング14は、略円筒状で、角型鋼管3、4の端面(接合面3c、4c)に露出した先端部14aには内周側に張り出すフランジ14bが形成されている。このフランジ14bは、角型鋼管の端面に露出している側の内周縁部が面取りまたはR加工されている。また、雌側ハウジング14の基部14c側には蓋体16が取り付けられており、この蓋体16によって、雌側ハウジング14が塞がれている。そして、雄側ハウジング13と雌側ハウジング14とは連結部材17によって連結されている。
このようなピン11とピン穴12とをそれぞれ備えた合成構造枠体1、1どうしを接合するには、一方の合成構造枠体1側のピン穴12に、他方の合成構造枠体1側のピン11を挿入させることで互いに嵌合した状態となり、嵌合部15の嵌合金具が、ピン11にくい込むようにしてこれを締め付けることで、引き抜きが防止される構造となっている。
本トンネル築造方法では、上述したような大断面トンネルを推進工法によって施工するものであり、図1に示す合成構造枠体1の角型鋼管3、4として一辺が350mmの断面形状の部材を使用している。そのため、縦角型鋼管3A、3Bと横角型鋼管4A、4Bとを枠組みして矩形状の合成構造枠体1とした状態では、一般道路を運搬することができないことから、各角型鋼管3、4と補強部材5とを分割した状態で現場に搬入する。そして、現場で立てかけて或いは寝かせた状態で縦角型鋼管3A、3B、横角型鋼管4A、4B、および補強部材5をそれぞれ溶接手段により接合して一体化させ、図6に示すように、矩形状に組み立てた合成構造枠体1を支持台7、7上に立て、合成構造枠体1に設けた複数の打設口6、6(図1参照)から枠体内にコンクリート2を充填する。このときのコンクリート2には、高流動化早強コンクリートが用いられる。そして、コンクリート2が硬化するまで養生し、硬化した合成構造枠体1を例えば現場ヤードなどに仮置きしておく。
ここまでがトンネル推進機21における1サイクル分の推進工程であり、この工程を順次繰り返すことで、矩形断面をなすトンネルが築造されることになる。
例えば、本実施の形態では矩形状の合成構造枠体1における四辺の各辺に相当する縦角型鋼管3A、3Bと横角型鋼管4A、4Bに分割しているが、この分割形態に限定されることはない。例えば、本実施の形態では大断面トンネルを対象としているが、中小断面トンネルに適用する場合であって、現場への運搬が可能な大きさ、重量となるのであれば、横方向に二分割した形状、或いは分割しない形態であってもかまわない。
さらに、本実施の形態では合成構造枠体1の四隅の内側角部に補強部材5を設けているが、補強部材5を設けない構造の合成構造枠体1であってもよい。
それから、合成構造枠体1は角型鋼管1本分の幅寸法を有しているが、合成構造枠体1を複数本トンネル軸方向に並べて溶接により一体化した合成構造枠体ユニットとしてもよい。トンネル築造方法においても、角型鋼管1本分の幅寸法を有する合成構造枠体1を1つずつトンネル推進機の後方に組み立ててその都度押圧装置を伸長させてトンネル推進機を前進させるようにしているが、合成構造枠体1をトンネル推進機の後方に複数本組み立ててから押圧装置を伸長させてトンネル推進機を前進させてもよいし、合成構造枠体1を複数本トンネル軸方向に並べて溶接により一体化した合成構造枠体ユニットとして、トンネル推進機の後方に組み立てるようにしてもよい。
2 コンクリート
3、3A、3B 縦角型鋼管(角型鋼管)
4、4A、4B 横角型鋼管(角型鋼管)
5 補強部材
6 打設口
8 水膨張シール
9 非膨張性シール
10 接合継手
21 トンネル推進機
24 推進ジャッキ(押圧装置)
Claims (2)
- トンネル壁面に沿って覆工体として設置される角型鋼管を用いた合成構造枠体であって、
内部にコンクリートが充填された角型鋼管をトンネル断面形状に沿って枠状に形成させ、
トンネル軸方向の幅寸法が前記角型鋼管の1本分の幅寸法をなしていることを特徴とする角型鋼管を用いた合成構造枠体。 - トンネル壁面に沿って覆工体として設置されるとともに、内部にコンクリートが充填された角型鋼管をトンネル断面形状に沿って枠状に形成させ、トンネル軸方向の幅寸法が前記角型鋼管の1本分の幅寸法をなしている合成構造枠体を、トンネル推進機の後方に組み付ける第1工程と、
組み付けた前記合成構造枠体の後方を押圧装置を伸長させて押し込み、前記合成構造枠体と共に前記トンネル推進機を前進させる第2工程と、
所定距離を推進した後、前記押圧装置を縮退させ、前記合成構造枠体と前記押圧装置との空間に次に組み付ける合成構造枠体を挿入する第3工程と、
を有し、
前記第1工程から前記第3工程までの施工以降、前記第2工程と第3工程とを順次繰り返すことで、前記合成構造枠体によるトンネルを形成するようにしたことを特徴とするトンネル築造方法。
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