JP2015073502A - 粉末醤油及びその製造法 - Google Patents

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Abstract

【課題】上掛け用粉末醤油として、液体状の醤油に代えて掛け醤油として用いることができる、醤油の香りのバランスが醤油の香りと同等であり、且つ、醤油の風味が豊かな粉末醤油を得る。【解決手段】醤油諸味、醤油油蒸留液、賦形剤及び食塩を配合した醤油を乾燥粉末化した粉末醤油であって、粉末醤油中の醤油諸味由来の固形分が、3〜32%(w/w)、且つ、賦形剤含量が15〜30%(w/w)となるように混合した醤油に醤油油蒸留物を加えて、乾燥粉末化することにより、豆腐や焼魚等の食材への上掛け用途に用いることができる醤油としての香りのバランスが良く、また、醤油として先味が強い上掛け用粉末醤油を得る。【選択図】図1

Description

本発明は、豆腐や目玉焼き等の食材に上掛け用として用いられる醤油香が強く、風味豊かな粉末醤油、及びその製造法に関する。
近年、食生活の多様化に伴い、食品の香味のベースとして多く用いられる醤油を粉末化・顆粒化した粉末醤油・顆粒醤油のニーズが高まっている。粉末醤油等は、例えば、水産加工食品又は畜肉加工食品、スープ類、ソースやたれ等の調味料、インスタントラーメン、粉末スープ等のインスタント食品の粉末調味料として広く利用されている。
しかしながら、粉末醤油の用途のほとんどは、上記加工食品の原料であり、一部、旅行時等に携帯に便利な粉末醤油として市販されている程度である。したがって、粉末醤油を、液体醤油や塩のように、例えば、豆腐、目玉焼き、焼魚、刺身、天ぷらといった食材に、直接上掛けして、すなわち、掛け用の粉末醤油として食材に上掛けしてそのまま食するという使い方は、ほとんどされていないのが現状である。その大きな理由は、粉末醤油が加熱乾燥工程を経て製造されているため、ほとんどの醤油香が消失し、醤油風味が非常に弱くなるためである。
一般的に、粉末醤油は、醤油に澱粉やデキストリン等の賦形剤を添加して、スプレードライ法、あるいは、ドラムドライ法等で製造される(例えば、特許文献1及び2参照)さらに、粉末醤油に5%(w/w)の水を含有する含水エチルアルコールを加え、混練して団塊状にし、10メッシュのステンレス篩より押出し、乾燥して顆粒醤油として製造される(例えば、特許文献3参照)。
しかしながら、これらの粉末醤油や顆粒醤油は、醤油を粉末化あるいは顆粒化する工程で加熱するため、揮発性の醤油香が極端に減少し、液状の醤油とは全く異なった風味となり、掛け粉末醤油として使用するためには、醤油風味が少なく非常に物足りないのが現状である。
さらに粉末醤油の醤油香を残存させるために、真空ドラムドライ法やフリーズドライ法により、粉末醤油や顆粒醤油を製造する方法もあるが、真空状態で長時間にわたり乾燥化するため、醤油香が飛散してしまう欠点を有する。
上記の醤油香の極端な減少を補うために、醤油の揮発性の香り成分を多く含有する醤油油から香り成分を抽出して、粉末醤油に添加混合することで、醤油感が強い粉末醤油を製造する方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。また、乳化剤を醤油と醤油油の混合物に添加し、攪拌混合した後、水層部をスプレードライして醤油香の強い粉末醤油を製造する方法が提案されている(例えば、特許文献5参照)。
しかしながら、前者の方法では、醤油油由来の香り成分を入れていない場合と比べて、醤油感は比較的強くなるが、掛け用粉末醤油として使用するためには、醤油香や醤油の風味が物足りなく、また、後者の方法では、醤油油が、粉末醤油に移行してくるため、醤油油の酸化等のため風味が劣化しやすいという欠点がある。
特公昭54−17813号公報 特開2006−204119号公報 特公昭54−2259号公報 特公昭50−18076号公報 特開2010−279303号公報
本発明は、醤油と同等の醤油香と風味があり、豆腐、卵焼き、焼魚、あるいは、天ぷら等の掛け醤油として、醤油に代えて使用できる醤油香及び醤油の風味が強い粉末醤油を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、醤油に醤油諸味、賦形剤及び醤油油を水蒸気蒸留して製造した醤油油蒸留液を混合して、スプレードライにより製造された粉末醤油が、醤油の醤油香と風味を持ち、豆腐、卵焼き、焼魚、あるいは、天ぷら等の醤油を掛けて食している食材に、該粉末醤油を上掛けすることで、醤油と同じような醤油の香りと風味を感じて、食材を食することができることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下に示す粉末醤油及びその製造法である。
(1)醤油諸味、賦形剤及び醤油油蒸留液を配合した醤油を乾燥粉末化した粉末醤油、
(2)上記(1)記載の粉末醤油に含まれる、醤油諸味由来の固形分の含量が3〜32%(w/w)、賦形剤の含量が15〜30%(w/w)、且つ、2−フェニルエタノールの含量が4.5〜7.5ppmの範囲である上記(1)記載の粉末醤油、
(3)醤油諸味、賦形剤及び醤油油蒸留液を配合した醤油を乾燥粉末化した掛け用粉末醤油であって、該粉末醤油中に含まれる、醤油諸味由来の固形分の含量が3〜32%(w/w)、賦形剤の含量が15〜30%(w/w)、且つ、2−フェニルエタノールの含量が4.5〜7.5ppmの範囲であることを特徴とする粉末醤油の製造法、
に関する。
本発明によれば、特に醤油の香りが強く、上掛け用の粉末醤油として、醤油と同じように使用できる粉末醤油を容易に得ることができる。
本発明の粉末醤油において、醤油に醤油諸味、醤油油蒸留物、賦形剤及び食塩を配合して、乾燥粉末化した粉末醤油に含有する醤油諸味由来の固形物の含量と賦形剤の含量が、粉末醤油の先味が強く、且つ、醤油としての香りのバランスがよい粉末醤油とするための成立条件を示す図。
以下、本発明について、詳細に説明する。
本発明の粉末醤油は、醤油と同様に、醤油香及び醤油の風味が強く、上掛け用として用いることができる粉末醤油である。
具体的には、本発明の粉末醤油は、醤油に醤油諸味、賦形剤及び醤油油蒸留物を混合した混合物を、スプレードライにより乾燥粉末化することで得られ、上掛け用の粉末醤油として好適な、粉末醤油である。
本発明に用いられる醤油は、通常の濃口醤油、淡口醤油、溜醤油、再仕込醤油又は白醤油の製造法にしたがって調製された熟成諸味を圧搾濾過後、火入れして得られた液状醤油を用いることができる。さらに、液状の醤油としては、熟成諸味を圧搾濾過して得られた生揚げ醤油、この生揚げ醤油からマイクロフィルター、精密濾過膜等を使用して微生物をとり除いた醤油等の、いわゆる生醤油を使用することができる。
本発明に用いられる醤油諸味は、上記の醤油の通常用いられる醸造法にしたがって得られる醤油諸味、特に熟成諸味を使用することができる。しかしながら、粉末醤油を製造する上で、醤油諸味中に含まれる原料由来の小麦外皮、大豆外皮等の不消化物は、スプレードライ時に目詰まり等を引き起こすため、醤油諸味から除去することが好ましい。すなわち、醤油諸味を強制的に網濾過することで、小麦外皮、大豆外皮等の不消化物を除去することができるが、網濾過に用いる網としては、8〜80メッシュの網を用いることが好ましく、10〜60メッシュの網を用いることがより好ましい。
醤油諸味は、醤油油蒸留物等に含まれる醤油香の中でも重要な、バラ用の香りを持つ香気成分2−フェニルエタノールを効率よく保持するため、粉末醤油中の醤油諸味由来の固形分が3〜32%(w/w)となるように配合することが好ましく、3〜24%(w/w)配合することがより好ましい。
本発明で用いる醤油油は、上記醤油を製造する工程において、発酵熟成後の醤油諸味を圧搾して得た醤油(生揚げ)の表面に浮遊してくる油の総称を意味し、醤油の製造における副産物として得られるものである。この醤油油は新鮮なものが好ましい。
醤油油を水蒸気蒸留することにより得られる醤油香の強い醤油油蒸留物は、新鮮な醤油油を水蒸気蒸留した蒸留液を濃縮することにより製造できる。すなわち、醤油油の水蒸気蒸留は、醤油油に水蒸気を接触させ(吹き込み)、噴出してくる水蒸気を分留管により捕集し、これを強く冷却して凝縮させ、得られた留出液を分離して、醤油油蒸留物とするか、あるいは、この流出液を減圧下エバポレーター等により濃縮して、濃縮醤油油蒸留物を得ることができる。この醤油油蒸留物は、2−フェニルエタノール等の醤油香気成分を濃厚に保持しているので、食品に醤油の香りを付与するための香味液として利用可能である。
上記醤油油蒸留物を製造する際に、醤油油と水蒸気との接触は、水蒸気蒸留よる留出液の採取量が、醤油油の容量の10〜60%(v/v)となるまで行うことが好ましく、45〜55%(v/v)がより好ましい。このような採取量とすることで、醤油特有の香りを豊富に含む留出液を得ることができる。なお、醤油油蒸留物の留出液の採取量が10%(v/v)未満の場合は、十分に香気成分を得ることができず、また、60%(v/v)を超える場合は、醤油油蒸留物中の香気成分が過度に希釈されることから、濃縮等の操作に時間がかかる等の問題がある。
本発明に用いる賦形剤は、一般的にスプレードライを行う際に使用される各種澱粉、化工澱粉、デキストリン等の賦形剤を使用することができ、例えば、澱粉としてはスタビローズ(登録商標)K(松谷化学工業株式会社製)、SF−2200(敷島スターチ社製)、SSソルブルスターチ(東海デキストリン社製)等、デキストリンとしてはパインデックス(登録商標)♯1(松谷化学工業社製)、サンデック(登録商標)♯70(三和澱粉工業社製)等の商品名で市販されているものが好適に使用される。
本発明の粉末醤油の製造時における上記賦形剤の配合量は、乾燥粉末化する際の易操作性、あるいは、長期の保存性を付与するために、粉末醤油中に15〜30%(w/w)となるように添加して粉末化することが好ましく、15〜25%(w/w)であることがより好ましい。粉末醤油に含まれる賦形剤の含量が15%(w/w)未満の場合、スプレードライによる粉末化が不十分となり、また、粉末醤油の歩留まりも悪くなる。粉末醤油に含まれる賦形剤の含量が30%(w/w)を超えると、醤油の風味がぼやけるとともに、醤油の香りが非常に弱くなってしまう。なお、賦形剤の添加は、スプレードライによる乾燥粉末化前の醤油や醤油諸味等が配合された液体を調製する際に、適宜混合して、十分に攪拌しておくことが望ましい。
本発明の粉末醤油を製造するための乾燥粉末化は、スプレードライによる従来公知の手段をそのまま採用することができ、例えば、圧力式ノズルを用いるか、回転円盤アトマイザーを用いて高温気流中に噴霧する方法があげられる。スプレードライの噴霧乾燥の条件は、熱風入口温度120〜200℃、出口温度80〜100℃が好ましい。温度が低すぎると噴霧乾燥の効率が低下し、反対に高すぎると醤油諸味や醤油油蒸留物に含まれる香気成分が減少するとともに、粉末醤油に焦臭が付着するので好ましくない。
本発明の粉末醤油に含まれる2−フェニルエタノールは、醤油の香りと風味を、粉末醤油に付加するために重要な香気成分である。醤油の香り成分としては、ハイドロキシエチルメチルフラノン(HEMF)が良く知られているが、本発明の2−フェニルエタノールは、醤油麹菌により生産されるHEMFとは異なり、醤油諸味発酵過程において、醤油酵母発酵により生産される醤油の香り成分である。2−フェニルエタノールは、醤油諸味の熟成中に、生成される高級アルコールであり、バラ様の香気を有する醤油中の重要な香気成分の一つである(例えば、特許第2609580号参照)。したがって、醤油としての香りを、粉末醤油に付与するためには、HEMFと同様に2−フェニルエタノールは必須の香り成分である。
従来の粉末醤油では、粉末化工程における加熱等のため、2−フェニルエタノールの含有量が低くなり、上掛け用の粉末醤油として用いた場合、醤油の香りと風味に乏しいという欠点を有していた。
しかしながら、本発明の粉末醤油では、上記の2−フェニルエタノールの含有量を4.5ppm以上とすることで、該粉末醤油を食品に掛けて食した際に、従来の粉末醤油と比較して格段に醤油の香りと風味が感じられる粉末醤油とすることができる。また一方で、2−フェニルエタノールの含有量が、7.5ppmを越えると、2−フェニルエタノールの香りが強くなりすぎるため、醤油としての香りのバランスが崩れてしまい、醤油の風味が損なわれ好ましくない。
一方、本発明の粉末醤油中の固形分は、粉末醤油の原料である醤油、醤油諸味、賦形剤及び食塩から由来するが、特に、醤油諸味から由来する固形分が、粉末醤油中に3〜32%(w/w)となるように含有させることが好ましく、3〜24%(w/w)であることがより好ましい。醤油諸味の固形分量が3%(w/w)未満の場合は、粉末醤油に含有する2−フェニルエタノール等の香気成分の保持安定性が悪くなってしまい、32%(w/w)を超えると醤油諸味の風味が強くなりすぎて、醤油の香りと風味から乖離してしまうという問題がある。
なお、醤油諸味が有する香りは、醤油諸味に含まれる醤油油由来の脂質臭に起因する醤油諸味特有の、いわゆる諸味臭があり、醤油の香りとは明確に異なっている。
上記のように、醤油、醤油諸味、醤油油蒸留液、賦形剤及び食塩を配合してスプレードライ法により製造する粉末醤油において、粉末醤油に含まれる、醤油諸味由来の固形分を3〜32%(w/w)、賦形剤の含量を15〜30%(w/w)、且つ、2−フェニルエタノールの含量を4.5〜7.7ppmの範囲とすることで、豆腐、卵焼き、焼魚、天ぷら等の食材に醤油のように掛けて食したときに、醤油と同じような香りと風味を感じられる粉末醤油を製造できる。
以下、実施例を示して本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明の技術的範囲は、それらの例により何ら限定されるものではない。
<粉末醤油製造時における醤油混合液への、醤油諸味と醤油油蒸留物との配合量と、醤油の先味の強さと醤油としての香りのバランスへの影響>
(粉末醤油の製造)
醤油に表1記載の配合で調製した醤油混合液をスプレードライすることにより、粉末醤油を製造した。
すなわち、水に、市販の食塩と賦形剤として酸化澱粉(SF−2200:敷島スターチ社製)を混合し、約100℃の湯煎で80℃達温まで加熱して、完全に溶解し、食塩含有酸化澱粉液を得た。ついで、食塩含有酸化澱粉液に、濃口醤油(キッコーマン食品社製)、醤油諸味(キッコーマン食品社製)及び醤油油蒸留物を混合した醤油混合液を調製した。該醤油混合液を、スプレードライヤー(MOBILE MINOR 2000:ニロジャパン社製)を用いて、入口温度160℃、出口温度90℃で噴霧乾燥を行い、表1記載の粉末醤油を得た。
なお、得られた粉末醤油中に含まれる食塩量は28〜50%(w/w)、窒素分は2.4〜3.3%(w/w)に調製した。また、醤油混合液から粉末醤油を製造する際の歩留まり率は、70〜90%(w/w)であった。
(醤油諸味の調製)
本発明に用いる醤油諸味は、通常の醤油醸造過程で得られる熟成醤油諸味を、先行技術(例えば、特開平11−32718参照)に記載の方法で調製した。すなわち、熟成醤油諸味を、12メッシュ(目開きは約1.4mm)の第1の円筒形多孔板及び24メッシュ(目開きは約0.7mm)の第2の円筒形多孔板をセットしたパルパー/フィニッシャー(PFRT200型:イケサン社製)を用いて、強制的に網濾過して、小麦外皮、あるいは、大豆外皮等の原料由来の未消化物を除去することで、本発明に用いる醤油諸味を調製した。
(醤油油蒸留物の調製)
醤油油蒸留物は、先行技術(例えば、特公昭50−18076参照)に記載の方法で調製した。すなわち、醤油油300ml(キッコーマン食品社製)を、1,000ml容量の蒸留フラスコに入れ、これに90〜95℃の水蒸気を接触させ(吹き込み)、噴出してくる水蒸気を分留管により捕集し、これを強く冷却して凝縮させ、留出液150mlを得た。これに水を加え全量を300mlとし、さらに保存性を高めるために外割りで10%のアルコールを添加したものを醤油油蒸留物とした。なお、この方法により製造した醤油油蒸留物の2−フェニルエタノールの含量は、14.6ppmであった。
(粉末醤油の製造原料に含まれる固形分の測定)
醤油、醤油諸味及び醤油油蒸留物の固形分は、それぞれの液体から水分を蒸発させた後の残渣の重量を測定して求め、賦形剤である酸化澱粉及び食塩は、それぞれ10gを水30gに溶解した後、同様の方法で固形分を求めた。すなわち、7gの海砂を入れた直径5cmの秤量瓶に、上記のサンプル3gを採取した後、約100℃の湯煎で約2時間加熱して水分を蒸発させてから、さらに、60℃で3時間減圧乾燥を行った。固形分の重量は、秤量瓶の乾燥前の重さと乾燥後の重さの差から求めた。その結果、醤油中の固形分は35.8%(w/w)、醤油諸味中の固形分は37.0%(w/w)、醤油油蒸留物の固形分は0.0%(w/w)、食塩の固形分は100%(w/w)、酸化澱粉の固形分は95.0%(w/w)であった。
なお、表1に示した粉末醤油中に含まれる、醤油諸味由来の固形分及び酸化澱粉の含量は、上記に示した粉末醤油を製造する際の原料である醤油、醤油諸味、酸化澱粉、醤油油蒸留物及び食塩のそれぞれの固形分含量より算出した。
(窒素量の測定)
醤油と醤油諸味の窒素量は、ケルダール法にて測定した。その結果、醤油の窒素含量は1.7%(w/w)、醤油諸味の窒素含量は1.4%(w/w)であった。窒素分を含まない酸化澱粉、食塩及び醤油油蒸留物の窒素含量は、0.0%(w/w)であった。
(食塩の測定)
醤油と醤油諸味の食塩は、モール法にて測定した。その結果、醤油の食塩含量は16.9%(w/w)、醤油諸味の食塩含量は14.0%(w/w)であった。また、食塩の食塩含量は100%(w/w)、酸化澱粉及び醤油油蒸留物の食塩含量は0.0%(w/w)であった。
(粉末醤油製造時に配合する醤油諸味と醤油油蒸留物とが、粉末醤油の先味の強さ及び醤油としての香りのバランスに及ぼす影響)
醤油に賦形剤として、酸化澱粉及び食塩を配合して製造した粉末醤油及び醤油諸味と醤油油蒸留物のどちらか一方又は両方を配合して製造した粉末醤油の醤油らしさを評価した。醤油らしさの評価は、冷やした市販の絹豆腐20gに表1記載の配合で製造した粉末醤油2.0gを上掛けして食し、食したときに直ちに口内で感じられる先味の強さと醤油の香りのバランス及び咀嚼中に感じる醤油風味の強さに関して、官能評価を実施した。
なお、先味とは口に含んだ際最初に感じる味であり、上記の粉末醤油を掛けた豆腐を食した際に、直ちに口内で感じられる醤油の風味の強さと醤油としての香りのバランスのことである。食した際に、先味が強い場合は、より醤油に近い香りと風味を持ち、先味が弱い場合、醤油らしい香りや風味を感じられない。
官能評価は、評点法によって行い、比較例又は実施例の粉末醤油の先味と咀嚼中に感じる醤油の強さについて、弱いを0、やや強い場合を1、強い場合を2と評価し、識別能力を有する訓練されたパネル5名の評点の平均が1.5未満の場合「×」、1.5以上の場合「○」とした。
結果を表1に示す。
Figure 2015073502
表1の比較例1〜6及び試験例1〜3の結果から、食した際に先味が強く、醤油としての香りのバランスを有する粉末醤油を得るためには、醤油に醤油諸味と醤油油蒸留物との両者を配合することが必要であることがわかった。すなわち、本発明の粉末醤油を得るためには、乾燥粉化する前の醤油混合液に醤油諸味と醤油油蒸留物とを配合することが必須であることがわかった。
<粉末醤油中の醤油諸味由来の固形分量と賦形剤の含量とが、粉末醤油の先味の強さと醤油としての香りのバランスへの影響の検討>
(粉末醤油の製造)
粉末醤油中の醤油諸味由来の固形分量と賦形剤の含量とが、粉末醤油の先味の強さと咀嚼時の醤油の香りのバランスに及ぼす影響について検討した。
粉末醤油中の醤油諸味由来の固形分量と賦形剤の含量とが異なる粉末醤油は、醤油に表2記載の配合で醤油諸味、醤油油蒸留物、賦形剤及び食塩を配合した醤油混合液を、実施例1と同様の方法でスプレードライすることにより、製造した。
ついで、該粉末醤油の先味の強さと醤油の香りのバランスについての評価は、実施例1に記載した官能評価法と同じく、市販の絹豆腐20gに、粉末醤油2.0gを上掛けして、豆腐を食し、食したときにすぐに口内で感じる醤油の強さ(先味)及び咀嚼中に感じる醤油の香りのバランスについて、官能評価を実施した。
結果を、表2及び図1に示した。
Figure 2015073502
表2及び図1に示す比較例6〜10及び試験例1〜9の結果から、粉末醤油に含まれる醤油諸味の固形分の含量が、3〜32%(w/w)、且つ、賦形剤である酸化澱粉の含量として15〜30%(w/w)となるように配合したとき、官能評価において、粉末醤油の香りが醤油としての香りのバランスを有し、さらに、食した際に醤油としての先味が強い風味がある粉末醤油となることがわかった。また、酸化澱粉の含量が15%未満の場合は、粉末醤油の回収率が著しく減少するため、粉末醤油中の含量が15%以上となるように調整する必要があることがわかった。
なお、本発明の粉末醤油の特徴である醤油としての香りのバランスを有し、さらに、食した際に醤油としての先味が強い、粉末醤油の製造に最適な醤油諸味の固形分の含量と賦形剤である酸化澱粉の含量の範囲を、図1の破線の内側で示した。
<粉末醤油中の2−フェニルエタノール量>
(粉末醤油の製造)
醤油油蒸留物を含まない粉末醤油製造用醤油混合物に、表3記載の配合割合で醤油油蒸留物を配合して、実施例1と同様に、粉末醤油を調製した。
(2-フェニルエタノールの測定)
醤油油蒸留物及び粉末醤油中の2−フェニルエタノール含量の測定は、醤油試験法に記載されている香気成分のガスクロマトグラフィーによる定量法(財団法人 日本醤油研究所編、昭和60年3月1日発行、177〜179ページ)に基づいて実施した。すなわち、醤油油蒸留物又は粉末醤油10gを水15mlで希釈した粉末醤油希釈液から、サンプル瓶に5mlを秤量した後、醤油試験法に記載の方法を用いて、ガスクロガスクロマトグラフィーにて、定量分析した。
(粉末醤油中の2−フェニルエタノール量と食した際の粉末醤油の醤油らしさの評価)
醤油油蒸留物の配合量の粉末醤油の醤油らしさへの影響の評価は、実施例1に記載した官能評価法と同じく、市販の絹豆腐20gに、粉末醤油2.0gを上掛けして、豆腐を食し、食したときに直ちに口内で感じる醤油の強さ(先味)及び咀嚼中に感じる醤油の香りのバランスについて、官能評価を実施した。
結果を表3に示す。
Figure 2015073502
表3の結果から、スプレードライにより乾燥粉末化する前の醤油混合物への、醤油油蒸留物の配合量及び醤油諸味の配合量を調節することで、粉末醤油に含まれる2−フェニルエタノールの含量を調整でき、さらに、粉末醤油中の2−フェニルエタノール含量が4.5〜7.5ppmの範囲である場合、豆腐に上掛けして食すると、醤油としての先味が強く、また、醤油としての香りのバランスがよくなることがわかった。しかし、粉末醤油中の2−フェニルエタノールが、4.5ppm未満では、醤油の香りや先味が弱く、醤油と比較して物足りないものであった。また、比較例12〜14に示すように、2−フェニルエタノールの含量が7.5ppmを超えると、2−フェニルアルコールの香りが強くなりすぎて、醤油としての香りのバランスが崩れることから、醤油の風味が非常に悪くなり、上掛け用の粉末醤油としては好ましくないことが判った。
<賦形剤にデキストリンを使用した粉末醤油>
(粉末醤油の製造と官能評価)
実施例2の試験例7の配合を用い、酸化澱粉の代わりに、デキストリン(パインデックス♯1:松谷化学工業社製)を用いて、実施例1と同様に粉末醤油を製造して、市販の絹豆腐に上掛けして食した際の、粉末醤油の醤油としての香りのバランスと風味の強さ及び先味の強さへの影響を評価した。なお、官能評価は、実施例1と同様に実施した。
結果を表4に示す。
Figure 2015073502
表4の試験例10に示すように、粉末醤油の賦形剤を、試験例7で使用した酸化澱粉に変えて、デキストリンを賦形剤として用いた場合でも、粉末醤油の醤油としての香りのバランス及び先味の強さは、酸化澱粉を用いた粉末醤油と同等であることがわかった。

Claims (3)

  1. 醤油諸味、賦形剤及び醤油油蒸留液を配合した醤油を乾燥粉末化した粉末醤油。
  2. 請求項1記載の粉末醤油に含まれる、醤油諸味由来の固形分の含量が3〜32%(w/w)、賦形剤の含量が15〜30%(w/w)、且つ、2−フェニルエタノールの含量が4.5〜7.5ppmの範囲である請求項1記載の粉末醤油。
  3. 醤油諸味、賦形剤及び醤油油蒸留液を配合した醤油を乾燥粉末化した粉末醤油であって、該粉末醤油中に含まれる、醤油諸味由来の固形分の含量が3〜32%(w/w)、賦形剤の含量が15〜30%(w/w)、且つ、2−フェニルエタノールの含量が4.5〜7.5ppmの範囲であることを特徴とする粉末醤油の製造法。
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